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比較的短編小説掲示板

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[39] フリーター生活ニャンニャン(謎)
ミヤ - 2008年01月14日 (月) 20時29分

何か子供のころあった出来事を色々脚色して
書いてみた話です。

この話に出てくる人物は作者とはなんら関係も無い
架空のキャラですからあくまで『参考』にしたという事で。

まあ、大した話でもないのでヒマがあったら見てみてください。

[41] 本編
ミヤ - 2008年01月14日 (月) 20時38分

…眠い。春眠暁を覚えずの言葉通り、春の朝を見ることがない俺。顔を洗いながら鏡に映る冴えない自分の顔を眺める。

目の下はクマがあり、頬も痩せてる感じがする。

どれだけオマケしても、健康的には見えない顔。昼間だというのにもう一度働くのも面倒で寝たくなった。

 携帯を見ると親からの着信記録があった。こっちでの暮らしはどうなのか、元気でやっているか。仕事は見つかったか。

 と、いつも通りの小言を繰り返すだけだろう。
こちらからかけるのは気が進まない。 俺は携帯を放り出して、
布団にもぐりこんだ。
      


 高校卒業後、都会へとやってきたのだが、早々に職に就くなんて
オイシイ話もなく、勉強もせずバイトしてた高校時代の貯金でしばらく
暮らしている。

とはいってもたかがバイトでの収入ではどうあっても足りるはずがない。

 仕方なしにこちらでもバイトして何とか家賃やら水道代やらを賄って
いるのだが、毎日深夜まで続けるのにもいい加減限界だ。


 疲れがたまっているんだろう。二度目の就寝もすんなり入った。

 今日は一日中寝通そう。何かもう面倒くさいし。春の気候は本当に
気持ちがいい。布団のぬくもりと差し込む日光は天然の睡眠薬だ。

 俺の意識がゆっくりと沈んでいく……



     とりあえずその夜バイト先からはクビの通達が来た。


[42] 本編その2
ミヤ - 2008年01月14日 (月) 20時41分

 で、翌朝になって猛烈に後悔していた。

 一瞬の気の迷いでサボっちまったせいで、収入源まで失くしてしまったのである。

家でボーっとしているワケにもいかず、コンビニまで行って求人誌なんかを読みあさり、片っ端から電話をかけてバイト先を探すも、全滅した。

 ……どうしたものか。 考えもなく、仕方なしに外に出る。
外はいつの間にか夕方だった。その中をとぼとぼと歩く。



 俺のアパート周辺は都会の中でも緑の多い場所にあり、車通りも比較的少ない。

夕焼けで木や地面がオレンジや橙に照らされる時だけ、そのキレイな
光景に色んな悩みから解放される。

俺は悩みがあったり、気分が優れない時は散歩して気持ちを切り替えるようにしていた。

 

 と、歩いていた時、ちょこん。という具合に電信柱の隅っこにいたものに
目がいった。
 
 おや? とよく見たら、一匹の猫が体を丸めている。

 ここらではよく猫は見かけるが、猫が座り込んでいる珍しい光景だった
ので、足を止めて眺めていた。

 そこは陽がよく当たっており、居心地がいいらしい。

 毛並みのいい黒猫だ。飼い猫、という風には見えないが、
それにしては何というか、丸まっているだけにしても上品で、
小奇麗な感じがした。

 途端、黒猫がパッと目を覚まして、俺と目を合わせた瞬間、ササッと
電柱から逃げ去った。



 その翌日の買い物帰り、また同じ場所に昨日の黒猫がいた。

 昨日と同じように陽当たりのよい所で丸まっている。が、俺が来たと
気づくとすぐにいつでも逃げられるように構える。

 見れば見るほどキレイな猫だ。触りたいと思ったが向こうがそうさせてくれそうにない。ふとスーパーの袋を見ると、ツナ缶があった。

 缶を開け、少々黒猫に投げてみる。 黒猫はビクッとしたが、ツナを見ると、落ちたソレを食いだす。

その仕草が可愛かったので、つい中身を全部そいつに投げてやった。
缶を袋にしまってから、近づいてみたが、そこはやはりササッと逃げられた。

「ちぇっ。 まあそう簡単には近寄らせちゃあくれないよな」

遠くに離れたところで黒猫はこっちをジロジロ見ている。
軽く手を振りながら帰路につく。心の中はなんだか晴れやかだった。
 今まで悩んでいたのも何だかあの猫の仕草を思い出すとバカらしい。 



 それから何日か、俺は猫に会いに行った。 相変わらず近づくと逃げるが、その道を通ると顔を見せてくれる。 微笑ましい関係だった。

 雨の日には屋根の下でよく見かけた。
 こちらの贈り物をいつものように受け取り、またあくびをしながら俺を見送る。
 そのうちに向こうから家の近くに姿を見せるようにもなった。
 帰り道の方角を覚えていたのだろう。
 室外機などの上にちょこんと座ってゆく人をのんびりと眺める。


 猫に出会ってから、あれこれ悩まなくなった俺は新しくバイトも見つけて、毎日楽しく生きた。
 都会暮らしでこういうのも悪くないな、こういうのが続くなら今のこの生活も気に入ってる。 そう思った。


 しかし。世の中というのは気まぐれでその場に留まることはないものだ。
 そこでせっせとエサを貪る黒猫のように。

[44] 本編その3
ミヤ - 2008年01月14日 (月) 20時44分

 ある雨の日。家の前に出たときに見たのは傷だらけになった黒猫。

 いつも見ていたような綺麗な感じは全くなかった。

 所々の毛が反り返っていたし、片耳は引き千切れていた。
 足の方も赤く乾ききった血がこびり付いていた。別の猫にやられたのか、昨日から続く雨で何か大怪我をしたのか。
 とにかく俺はまず傷を見ようとした。

 しかし、ケガによって心が荒くなっていた猫は。
 近づこうとした俺に牙を剥いて逃げた。それっきり、その猫を見ることは
なくなった。



 2ヶ月経ってもあいつは見つからない。
 きっともう、あの黒猫は生きてはいないのだろう。傷だらけのまま、
冷たくて寒い雨の中に駆け出していったきり、黒い猫はこの辺りから完全に姿を消した。


 決して触らせようともしなかったし、近づいても逃げてしまう素っ気無い
奴だったが、それでもあの猫はあいつなりに愛想を見せてくれた。
 いなくなったと分かって、もう会うことはないと思った時。無性に寂しくなった。
 

 少しずつ俺は、以前の無気力な自分に戻っていった。


 
 そして更に3ヶ月が過ぎた。
 もう俺はまともな仕事を探そうとしなくなり、バイトだけで過ごしていた。

 その日も、俺は夕焼けの中をぶらぶらと歩いている。秋になって、少し肌寒くなってきた。 地面に写る影法師を眺めながら、ふと向こうの植物が多く植えられた家で、何かがパッと走りぬけた。


 黒猫に見えた。 俺は思わず走り出した。いつかこの街にいたあの黒猫かと信じて。が、その猫は俺に気づいた途端、パパッと茂みの中に入り込み、行ってしまった。 

 うしろ姿だけが、ひどく心に残った。




 それから先、本当に俺は黒猫を見ることは無くなった。

 あの時見たのがあいつかどうかは今でも分からない。人違い、もとい
猫違いなのかも知れない。たまたまここらにやってきた新参者だろうか。

 けれども、あの時見た黒猫は、逃げる前に俺を見た。

 “シャンとしろヨ” そういったように感じた。
 あまりにも俺が情けないから最後にもう一度出てきてくれた。
 そう思いたい。


 
 冬に差しかかろうという季節。 俺はまだちゃんとした仕事は見つけてはいない。でも、以前のようにつまらない生き方はしていないと思う。
 あいつは精一杯この街で生きてきたのだろう。 ならば自分もそうしなければ。 
 
 毎日色々大変ではあるが、もうきっと大丈夫だ。何とかやっていく。



 今日も太陽の光が気持ちいい。寒さもあるが、それ以上に暖かい。
 あ、スーパー大安売りの日だったっけな。何買いにいくかなあ。
 



 ―――ツナ缶、でも買おうか。 



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