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桜ノ宮学園 学生掲示板

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[3] 普通科用スレッド
管理人 - 2007年05月22日 (火) 23時16分

普通科についての小説を投稿、雑談をする場合はこのスレッドにお願いします。

小説投稿用テンプレート↓

-----------------------------------------
- タイトル -
-----------------------------------------
ここに内容。
-- END or NEXT --------------------------

[20] 始まりのようなもの。
ラスティto管理人 - 2007年05月22日 (火) 23時34分

主催権。

イベントは、何かしらの競争要素があったほうが盛り上がる。

盛り上がれば自然と桜ノ宮学園も活性化する。

活性化すれば生徒たちのテンションも上がる。

テンションが上がれば、色々とフラグも立つ。

光「何をぶつぶつ言ってるんですか、鶯さん?」
鶯「いや、少しばかりフラグを立てる為の考えを纏めていたのだよ。」
光「フラグ? ……もしかして?」
鶯「体育祭・文化祭・臨海学校。これらは、愛を求める若者達が大胆になれる機会。」
光「……。」
鶯「これらのイベントで、多くのカップルが生まれる。」
光「止めてください、人の恋路を踏みにじるのは。」
鶯「何故?私は、後押しをしてあげようと思っているのに。」
光「正しくは、突き落とされた人間の反応を楽しみにしてるのよね……?」
鶯「何を言うんだい。純粋に助けてあげたいのに。」
光「ふぅ。この間のような泥沼の死闘の引き金を引きたいの?」
鶯「この間とは?」
光「……体育祭の主催権の口論以上のもの。」
鶯「それと、人の恋路が何の関係が?」
光「分かってて言ってるの?ルティアさんも蒼月さんも晴美さんも、紅夜さんの事が好きみたいなのよ。」
鶯「知っているよ。3人とも紅夜君の事になると、すぐムキになる事は。」
光「……まさか。」
鶯「だから面白いんじゃないかw」
光「そんな事は、さーせーまーせーんー!」
鶯「ふふふ。」
光「全く、鶯ってば……」
鶯「一人の鈍感男をめぐって熾烈な女のバトル!ああ…ドラマね。」
光「……テレビの昼メロなら誰かが殺されるお話ね。」

[21] 会議、なの……?
ラスティto管理人 - 2007年05月22日 (火) 23時35分

鶯「とりあえず、今年の体育祭は球技大会ね。」
光「実際にやる種目はどうします?」
鶯「うりうり〜♪」
光「鶯さん?」
鶯「ごろごろー♪」
光「鶯さん……。マルコキアスと戯れてないでちょっとは話を…」
鶯「ソフトボール・サッカー・バスケットボール・ドッジボールが候補かしら?」
光「なんて言いますか、卓球とかテニスじゃだめなの?」
鶯「ボールを手で掴む球技じゃないとと光の魔弾が必中にならないよ。それじゃあ、勝ち目が薄くなるじゃないか。」
光「……自分のところが有利になるように仕組んでどうするんですか?ところで魔弾とは何の事です?」
鶯「知らないのかい?光が投げた物はいつも狙いを外さないでしょ。この間の盗撮騒ぎとかで活躍した話が広まって、何時の間にやら『黄昏の魔弾』とか呼ばれてるんだよ。」
光「それって、第一話で死ぬエースに与えられた二つ名では……?」
鶯「ミゲルー!」
光「……それはさて置き、本題を……」
鶯「光。少しは肩の力を抜きなよ。」


……その後もいろいろあったけど、最終的には、
卓球・バレーボール・テニス・ドッジボールが球技大会の種目として決まった。
参加種目はクラス内でチームを組み、生徒の希望によって選択する事となる。
トーナメント形式で進み、優勝したチームには何かを出すということまで決めて、
今日は普通科総括会は解散した。

[33] ニコニコの遊戯王関連見た。ただ、なんとなく。
ラスティ・ブランフォード - 2007年05月26日 (土) 00時15分

……ドッチボール部門

鶯「強靭!無敵!最強!」
宇美「や、やっぱり負けたか……でも悔いは無い!」
3年生A「どんな魔球よ…」

相手チームA「きゃん!」
鶯「粉砕!」
相手チームB「受け止めて…うわぁ!」
鶯「玉砕!」
観客『わぁぁぁぁぁ』
鶯「大喝采!」

光「……。」
鶯「やったね、光。コレが私たちの結束の力ね!」
光「私一人で相手チームを倒したのは気のせい?」

ドッチボール部門の優勝は、3年生の光チーム!

[37]
凪鳥 - 2007年05月26日 (土) 02時43分

光、地味に活躍が響きますね、彼女は。
というか、鶯は叫ぶだけですか…。

そういえば、今のところ主催権獲得数は…。

普通科=1.球技大会。
看護科=0.
美術科=0.
中等部=?

ですか。
ふ〜む、軽くまとめた方が良いかもですね。

[83]
ラスティ・ブランフォード - 2007年06月27日 (水) 20時58分

-----------------------------------------
- 笑顔が崩れる時 -
-----------------------------------------


女子寮のロビー。そこで聞こえて来るのは、過去話。

鶯「それでね、光は……」
晴美「意外だな、あの光さんにそんな一面があったなんて。」
遊意華「普段は落ち着いてるけど、その裏にはつらい事があったんだね。」

宇美「……。お前も大概だろ、鶯。そもそもお前と姉さんが友達になったきっかけが、
   姉さんの血を吸おうとした事から始まってるそうじゃないか。
   その話を聞いてから実際に顔を合わせるまで、脳内イメージがヴァンパイアで通ってたぞ。」
晴美「なんだそりゃ。」
鶯「ははは。ちなみにその一件で怪我こそしなかったものの、とっさに光に護身術かけられて吸い損ねました。」
宇美「どうでも良いけど、最近姉さんにべたべた頼りすぎじゃないか?
   最近、お前の血吸い騒ぎを聞かないのは姉さんに襲い掛かってるからじゃないだろうな?
   姉さんとお前が一緒の部屋ってのが何か怪しいぞ……」
鶯「まさか。初対面で痛い目見て以来、どんな事があっても彼女だけには手を出せないよ。
  むしろヘマトフィリアの発作が起こった場合、人を襲わないように光に力づくで取り押さえてもらってるし。」
宇美「……もしかして、最近発作の回数が増えたとか言うんじゃないだろうな?」
鶯「何で分かったの?」
宇美「最近、鶯から目が話せないってぼやいてたんだよ。少し学校休んで、病院行ってこい。
   あんまり姉さんに迷惑をかけないでやってくれよ……」
鶯「それもそうだね。」
晴美「お前が言えた義理か、宇美?結構お前もべたべたしてるし、いろいろと問題も起こしてるだろ。紅夜さんを殴った一件とか……。」
宇美「う、それは……。」
遊意華「……大変なんだね、光さん。妹も友人も問題児で。」
晴美「出来の悪いの2人が相手じゃ、そりゃ大変だろうな。」


鶯・宇美「悪かった(ねorな)。」


晴美「怒るな怒るな。まあ、私が光さんだったら、あなたたちの相手はとても務まらないだろうなぁ。」
鶯「怒るといえば、光が本気で怒ったときは怖いよ?マジ切れした時は冗談抜きで。」
宇美「マジ切れされたのは、鶯が冗談でも姉さんの彼氏に『性的な意味』でちょっかいかけたからだろ?」
鶯「あの時の光は本当に怖かった。殺されると思ったくらいだし。平手打ちとか、そんなレベルじゃないし。」
宇美「姉さんが一人称で『僕』なんて言い出したら、それは死を意味するぞ。
   普段みたいに笑顔のまま『しょうがないわね』って怒るのと違って、『僕』モードは殴り合いの意味で戦闘体勢に入ってるからな。」
鶯「身動きしたら、トランプのカードでほっぺた切られたとか、喉元つかまれて脅された時にはさすがに光なのかと疑ったわ……」
晴美「あの、お淑やかな光さんのイメージがガラガラと崩れていく……」
遊意華「人は見かけによらないというけど……。」
宇美「そもそも、ああ見えて武道派なんだ。怒りに身を任せたとき、とっさに武術に物を言わせるようなことがあっても不思議じゃないだろ?」
鶯「その通りだね。手が先に出る『宇美』のお姉さんだからね。」
宇美「言ってくれるな、うぐい…って、ここで乗ったらまんま肯定してる事になっちまう。」


わはははははは。






そこへやってくる一つの気配。


光「鶯さん。この後の会議の事で話があるので来てくれませんか?」

噂をすれば、影。

鶯「ん、いいよー。」

どこか、ぎこちない一同の視線が、光に集まっている気配に気づいて……

光「私の顔に、何かついてます?」
一同「いえ、別に。」
光「そうですか。さっきまで何を話していたか、なんとなく想像がつきました。」

その一言に対し、ホンの一瞬だけ、危険な気配を放ちながら鶯がニヤリと笑うのが見えた。

光「では行きましょうか、鶯さん。」

それに対して、光は気づかない、いや、気づいているのであろうか一瞬だけ冷ややかな気配を発っし、鶯がビクっとする。
その後、まるで何事も無かったかのように2人は去っていった。





晴美「何か、一瞬だけ怖い物を感じなかったか?」
遊意華「先輩二人とも怖かった……」
宇美「なんで姉さんとあいつが一緒にいるか分かった気がする(汗
   腹黒吸血鬼の鶯は、純粋に能力で圧倒してる姉さんくらいしか手綱を引けないって事なのか……?」
晴美「本当に大変なんだな……光さん。」

-- END --------------------------


話のオチをしっかり考えてなかったので微妙なまま投稿です。
後々修正するかもしれませんが、すいません。

[88]
凪鳥 - 2007年06月28日 (木) 19時04分

唯でさえ扱いが難しい鶯の、さらに難しいところに手を出してきましたねぇ〜。

それにしても、なんというかこの頃光が怖いキャラになって来たようなそうでもないような…。

[142] 全てフィクションです。フィクションの中でもフィクションです。
ジャッキー - 2007年08月31日 (金) 21時54分

「う〜ん……」
あら、珍しい。鶯さんが勉強しているなんて
真面目にやればこの学校でも並ぶものがないくらい、頭が良くなるとは思うんですよね
しかし、どういう風の吹き回しでしょうか ……気になります


微乳:花園 遊意華
   久遠 つづら
   霜月 七海
貧乳:九条 泉
   如月 宇美
   霜月 貢永
美乳:庭瀬 鶯
   如月 光
   柊 蒼月
   ルティア・天津・ライゼルロード
   九条 命
巨乳:天野 雪奈
   楠葉 晴美


「ナニを書いているんですかああああああ!!!」
「うぎゃおっ!?」
術式・貫殺砲
ちゃんと後遺症がない程度で一番苦痛が残る程に加減してありますから、大丈夫でしょう
「ううう……酷いな、いきなり。びっくりしたよ」
「びっくりしたのはこっちですって。なんでこんなものを書いてるんですか」
「いやさ、それは私なりの見解。メインキャラクターの胸の大きさを想像してみたんだよ。だってプロフィールにスリーサイズが載ってないからさ」
「……メインキャラクターとかプロフィールに載ってないとか突っ込みたいですけど、まずは……想像って、いっつも見ているじゃないですか! それで想像って何です!?」
「ああ、確かに見えてる。でも見えてないんだなあこれが」
「すいません、保健室行きます? 付き添ってあげますから」
「命ちゃんは美乳かなあ、貧乳って感じがしなくもないんだよなあ。んでもって姉妹丼ってのもありかなぁ」
「間違えました。保健室じゃなくて病院行きましょう、精神科。ちゃんと「悪いのはどこですか?」って聞かれたら「頭です」って答えて上げますから」
「まあ聞いて。これは私の想像だけどね、晴美さんの巨乳は遊意華ちゃんの日々のマッサージによって生まれたと思うんだ」
「話を聞くということは世界平和の第一歩ですよね」
「うん、そうだね。で、根拠はというとだ、3AさんのSSで……」
「さ、保険証は持ちましたか?」
「ウソウソ、許して、ね?」
「はあ……」
「ほんとは私が仕掛けた盗聴器と隠しカメラで……」
「just a morment」
「え、どうしたの?」
「まあ、ピッキングまではありとしましても、その設定はまずいですよ? ほんとに」
「設定とか言う時点で光も十分こっち側だね。大体、それはもう『士仙来校』の章でつくっちゃっているし」
「……わかりました、じゃあ、強制的になかったことにしましょう。
『汝、その諷意なる封印の中で安息を得るだろう…永遠に、儚く…』」
「え、そ、その詠唱は、V○1の大魔法の中でも最強との呼び声が高いあの……!!!」
「ヴァンパイアなら、聖属性の大魔法はさぞよく効くことでしょう。
『セレ○ティアルスター!!!!!』」

「何も残らないだけ、ゴミよりましよね」


その後、庭瀬鶯の姿を見たものは誰一人としていなかったという……(ウソ







「さーて、何か言う事はあるかい? ジャッキーさん♪」
「ぼ、僕がここに出ていいの? 鶯サン?」
「あはっ♪ なにを言っているのかなぁ。さんざん版権ギリギリのことやったり私を殺してくれたり光を魔法使いにしてくれちゃってさ♪」
「そ、そうだね……。で、出来ればこの首に当たる冷たいものをどかしてくれない?」
「君が死んだらね♪」
「あ、そう……」
「じゃ、どうしてこんなことをしたかの動機を話してもらおうか」
「そ、それは、……だって気になるじゃん!? 男なら! だから僕は世界中の男を代表してだな!?」
「私を使った事の理由にはならないね」
「うぐっ、それはそうなんだが……」
「じゃ、そういうことでサヨナラ〜♪」
「えっ、ちょまっ、もう!?」

そして、真っ赤な真っ赤な華が綺麗に咲いた

[143] ん!?宇美が姉より貧?
ラスティ・ブランフォード - 2007年09月01日 (土) 10時43分

自分の中では光の原型キャラが男だった為、
宇美のほうが体つきがボンキュボンなイメージがあるんですよね。
まあ、あくまでも光と比べて、なんですが。
具体的な3サイズは設定のしようがないです。
宇美≧学園の平均≧光くらいに漠然と考えてましたけど、
そもそも世間一般の3サイズを知らないので、頓珍漢な数値になりそうですので。

あ、別にギャグなら光が魔法使おうがパクろうがかまいませんよ?
ホーリーでもマダンテでもご自由に。
なんだったら電気ねずみや神のカードを使わせても笑って流しますし。

狼輝「版権ギリギリとかそう言うけど、いわゆるパロネタでは?」
光「魔法と言えば、霊能力者とか言う設定がどんな大魔法使っても違和感無い気がするんだけど。」
狼輝「……補正無しに使えば瀕死になりそうだけどね。シャイニングフィンガァーとか鬼の手とか、そんな風に言われる除霊でヒィヒィ言ってるんだから。」
宇美「お約束的に言えば、お札じゃ駄目なのか?」
狼輝「無理。そもそも当てられないから。あんな薄い紙がまっすぐ飛ぶのは漫画の世界の話だって。」
宇美「姉さんなら出来る気が。一応ファンタジー世界だし。」
狼輝「……。」
七海「除霊は基本的にハティとスコールが喰ってる形だよね!」
狼輝「……喰ってるって言い方に品が……」
貢永「と言いますか、本人より使い魔の方が強いのはどうかと。」
狼輝「一撃必殺の鈍重なタイプと機動性に優れた獣を比べるほうが間違ってるとは思いません?第一、自分は頭脳派タイプ……」
貢永「……今まで頭脳派であるようなことを示すエピソードありました?親馬鹿は散々強調されてますけど。」
狼輝「……OTL」

[149] って言うか、宇美や士仙がいると自然とノンジャンルにいれちゃうよね。
ラスティ・ブランフォード - 2007年09月05日 (水) 23時01分

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- 剣と弓の舞 -
-----------------------------------------


宇美の朝は早い。朝5時には起きて、格技場でいつものトレーニングメニューをこなし始める。
先日、士仙に軽くあしられる前から、戦闘にはつくづく向いていないのだとは気づいていた。
だけれども、晴美や姉さんのような才能は無くても、努力でいつかは越えてみたい。
その思いで今日も励む事で、彼女は一歩ずつ前に進んでいける。

部長「今日も、頑張ってますね。私も宇美さんに負けないように頑張らないと……」

元々、桜ノ宮学園はお嬢様学校と言うこともあり、あまり剣道部に入るような人はそうはいなかった。
淑女の嗜みとしての武術を学ぼうという人も、大抵の場合は弓道部か薙刀部、あるいは柔道部などに流れていってしまう。
その為毎年部員集めには苦労しており、今の部員は5人。
大した経歴も無いため、もし来年定員割れするようであれば廃部は免れないと言う危機もある。

宇美「部長。後で一戦お願いしてもよろしいですか?」
鷹取「いいですよ。」

だが、その廃部寸前の剣道部にある一つの光明が宇美だ。
駆け引きが苦手で力押しでねじ伏せがちとはいえ、養母に叩き込まれた基本はしっかり身についているし、
何より日々の鍛錬に余念が無いことから、個人戦なら全国大会に出られるくらいの実力は持っている。
ただ、中学時代は地区予選で全国大会準優勝者&ベスト5と当たってしまって予選落ちとなっていた。
いささかスランプに陥っているとはいえ、素質は十分にある……はずである。

鷹取「近々、他校との『対抗試合』もありますからね。本腰入れてトレーニングをしませんと。」
宇美「ああ、そうですね。特に他の3人。部長と私だけが勝ちに行っても、やっぱり素人同然では総合で負けてしまいますからね。サボらせてないで朝一のトレーニングにも参加させましょうよ。」
鷹取「そうは言っても、彼女たちにも都合があるでしょうし……」
宇美「先ほど自分で言ったでしょう。『対抗試合』が近いのですから、ちょっとは鍛えて置くべきです。」
鷹取「……あまりしごかれて、本番に出せなくなられても困ります……。それに、それに根を上げてもし退部でもされたら剣道部は即廃部になってしまいますよ。男女共学化の件、知ってるでしょう?やるといったからにはやるんです、この学校。」
宇美「それはそうですが……」

……部員を鍛えるべきだという宇美と、今でも十分トレーニングはこなしているという美奈。延々と平行線をたどっているうちに、結局時間を無為に潰して美奈の意見が通ったも同然の結果となってしまう。

キーンコーンカーンコーン

宇美「ああ、もうこんな時間か!」
鷹取「急がないと!」

予鈴がなり、慌てて駆けていく剣道部の2人。

宇美「話はまた、放課後にしましょう!」







スコーン!

良い音を立てて的に次々と矢を当てていく。

弓道部員A「凄い……」
弓道部員B「良く狙えるよね……」
弓道部員A「もうじき大会が近いからかな?」

スコーン!

5本の矢、全てが的の中央に刺さる。

影月「……。」

それまでじっとしていた弓道部部長が、矢を打ち終えて一旦弓を置いた光に声をかける。
あまり長い付き合いと言うわけでもないが、本番のときに足を引っ張ってもらいたくは無い。

影月「光さん。この調子なら本番も十分でしょうね。」
光「はい……。」

そう答える光の声には元気が無い。原因は分かっている。
肩をすくめつつ、弓道部部長としてはっきりして言わなければならない。

影月「光さん。剣道部のスケジュールと重なったのは仕方ないでしょう。」
光「ええ、分かっています。」

分かっています、では済まない。

影月「この学校は部活の掛け持ちは禁止です。助っ人に行きたいのでしょうが、あなたは剣道部ではなくて、弓道部の副部長なのです。」








スパーン!

宇美の一撃が鷹取部長の面を取る。

剣道部員A「一本!」

いつもの宇美に比べて、読みが鋭い。

鷹取「……お見事です。次期部長は貴女に任せて問題無さそうですね。」
宇美「いえ、私はまだまだですよ。」

しかし、宇美は納得した表情とはいえない。

宇美「上には上がいます。だからこそ、さらに努力しないと。」
鷹取「貴女の心意気は素晴らしいと思いますけど、それについてこられる方ばかりでは無いのですよ?」
宇美「……では、杭の残る試合結果をしようと言うのですか?」
鷹取「貴女の言っていることは極端です。そもそも、私が賛成と言えば部員は必ずついてくれるわけではありません。」
宇美「……一人一人を説得してこいと?」
鷹取「押し付けがましいやり方は駄目です。」

……相変わらずのやり取り。結局、宇美の方が折れた。

宇美「……分かりました。今のペースでいいですよ。」

剣道部員C「待ってください。」

横槍が、入った。



――――――話は飛んで、演習試合の日――――――


……ですが、試合が終わった後。







挌技場で、いつものように竹刀を振る宇美を見つけた光。

光「宇美?」
宇美「ああ。姉さんか。一応は勝ったよ。」
光「おめでとう!」
宇美「ん、ありがとう。」
光「話によると個人戦全勝だって?」
宇美「姉さんこそ、MVPじゃないかってほど活躍してきたんじゃないのか?」
光「それは大げさよ。」
宇美「そうだよ、私の活躍も大げさに聞いて見るかい?」

そう言って、竹刀を置く。

光「ええ、聞かせて。」






影月「……まったく。些細な事でうじうじ悩んでる癖に、弓を引くその一瞬だけは人間じゃないくらい集中してるんだから。悩みがある方が強いのはどういうことなのかしらね。」

鷹取「本当に、部長を任せてもいいかもしれないわね。あの子の引っ張ってく力も、実力も十分だし。」

-- END ------------------------------


まあ、少しはレート上げもやってみたが……弓道部の内容がマジで分からんかったのでほぼスルーw
終わりのほうがやっつけ仕事なのはOTLです。


鷹取 美奈(たかとり みな)3年
桜ノ宮学園の剣道部部長。総合的な実力は宇美にやや劣っていているが、技のキレを生かして何とか対等の試合が出来る。
それでも5本に3本は取られる辺り、根本的な体力差と経験差が如実に出ている模様。
弱小だの経費の無駄だの…と様々に罵られている剣道部を何とか存続させようと奮闘している。
実力が感情に左右される(怒るとまるで話にならない)宇美を、何とかエースとして活躍させて剣道部の活性化を目指す。

ネタっぽい設定
・弓道部の部長とは従姉妹らしいという噂がある。
・普通科の一般ユニット。そこそこの能力。
・人を甘やかしすぎる・甘い物が好き・ツメが甘いなど、いろんな意味で甘々な人。

剣道部
・桜ノ宮学園設立時からあるものの、万年弱小部。
・なんかの理由で部員が5人未満になった場合、生徒会から解散宣告を出されることになっている。<紅夜達の意思ではなく、他の部活動からの圧力
・宇美と鷹取以外の部員のほとんどが、真剣みも実力も無いのが悩み。
・正式な部員ではないものの、如月 光がやたら強くて部長が一本も奪えないほどなので、試合などには助っ人としてよく借り出される。
・文化祭の出し物は真剣を使った演舞(宇美が持ち出した刀はこのための物)。もっとも、一段と弱体化した関係もあって5年前からやってない。宇美は文化祭でやる気満々のようだが。


宇美は勝てる相手でも冷静さを失うと勝てなくなるが、逆に冷静さを維持して挑めば実力以上の相手にも勝てる。(大抵、格上の相手には挑発されてボロ負けするわけですが。)
鷹取は守りを固めるのが苦手というのが難点。

[152]
ラスティ・ブランフォード - 2007年09月10日 (月) 17時47分

-----------------------------------------
- 仕込み -
-----------------------------------------

鶯「……夏祭りの件、どうなってる?」
光「ん〜。貢永さんを説得出来るかどうかにかかってるわね。」
鶯「そうか。黒森神社に対しては多少のアドバンテージがあるかと思ったけど、家の意思を無視して企画を通すのは絶対に無理だからね。あの子、普段サボってる癖に風紀には五月蝿いんだから。」
光「一応、狼輝さんの話によれば夏祭り自体は例年通りやるみたいだけど、肝試しは今年から廃止にするかどうかで揉めてるそうですよ。」
鶯「肝試しが廃止?あの恒例行事が?」
光「……現生徒会の会長と副会長が去年参加したのが原因、と言えばおおよその見当がつくのでは?」
鶯「ああ。親馬鹿な神主さんの事だから、娘にそーいう意味での事に関わらせたくないわけね。」
光「出来れば廃止したいとも思わなくはないそうですが、狼輝さんはあくまで町内会の決断に委ねると言ってました。恒例行事を自分の代で独断で潰すのは先代達に申し訳ないし、町内会に睨まれたくも無いそうです。」
鶯「ふーん……昔から言われてるけど、知る人ぞ知る『本物』が出る場所としての肝試しは目玉だし、やっぱり今年もやるとは思うんだけどねー。」
光「そうでしょうね。」
鶯「ん〜。肝試しが怪しいとなると、出店の収益も期待できなくなりそうね……」
光「ちゃんと生徒会に費用を計上してくださいよ?時々、いい加減に書いてる事があって私も困ってしまいますから。」
鶯「いや〜、それはごめんごめん。『お小遣い』で補填してたりする事あるからね〜」
光「気をつけてくださいよ?」

-- END or NEXT --------------------------

夏祭りで出店を出すつもりの普通科会長たち。
やきそばでもフランクフルトでも適当にw

[153] 遅れ遊ばせながらの連鎖
ラスティ・ブランフォード - 2007年09月17日 (月) 12時29分

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- 大浴場part2 -
---------------------------------------

鶯「光。たまには大浴場行かない?」
光「別にいいけど?」

……たまには、良いか。


wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww



光「どうしたの、鶯さん?」
鶯「……。」

風呂場で着替え始めるなり、とある一点を凝視する鶯さん。こ、これは……
下手なフォローをすると逆効果になるのは知っている。

光「鶯さん。着替える手が止まってるよ。」
鶯「別に、気にしてないよ。ヒカルハカレシモチダシネ……」

……絶賛遠距離恋愛中です。だけど、彼の事を思って夜も眠れないという事は特にありません。
揉まれて大きくなったりするとか、女性ホルモンやプロラクチンが関係してるとかそんな事は特に無いはずです。
第一、そんな事が関係してるなら、宇美の方が大きいのは何があるのですか?牛乳?

……ホンの一瞬で頭をめぐった内容を押し止めて、私たちは着替えて大浴場に入った。
しかし、ここで思いもよらない先客が鶯さんを加熱させる。

天及「……。」
鶯「……。」
光「……こんばんわ、雪奈さん。」

この間の一件もあったので、ちょっとぎこちない雰囲気が漂う雪奈さんと鶯さん。

雪奈「私、上がりますね。」

えー。お姉さまー。など雪奈さんに対する黄色い悲鳴が響く。
だがそんな言葉を無視して彼女は風呂から上がる。そして私たちの脇を潜り抜けようとした時に、鶯さんがボソッと呟く。

鶯「……オオキイネ。」

お願いだから止めて、鶯さん。挑発してると受け取られかねませんよ?

そんな心配を他所に、雪奈さんは聞こえなかったのか聞かなかったのか、そのまま大浴場から出て行った。

光「ふう。」

何事も無くてよかった。

鶯「何ため息ついてるの?」
光「いえ、雪奈さんと一戦揉めるんじゃないかと。」
鶯「私だって、TPOはわきまえてるよ。向こうだってね。」

……さっきの羨望の一言は、私の聞き違いでしょうか?



wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww




雪奈さんが出て行った後、体を洗い始めていると、宇美がやってきた。
……鶯さんの視線がどこに刺さっているかは、言うまでも無い気がする。
やっぱり公衆浴場はやめて置いた方が良かったかしら……と思った時には遅かった。

鶯「……リッパダネ。」
宇美「……どこ見て言ってるんだよ!?」
鶯「いや別に。タダオオキイナトオモッテ。」
宇美「大きくなるときは大きくなるもんだろ?ならないもんはならないし。」
鶯「それ、ケンカウッテル?」
光「ちょっと、鶯さんも宇美も落ち着いて……」
鶯「ユメノナカデ、ヒカルトチチクリアッテルカラオオキイノカナ?」

ピシッ

プラスチックの桶が割れる音がした。

宇美「テメェ……?そう言う汚い目で俺の事を見てやがったのかぁぁぁぁ!?」

鶯さんの首を宇美が掴むが、石鹸がついた手ではつるっと滑っただけだった。
不味い、完全に宇美の頭に血が上っちゃってる!

……その後、騒ぎを聞きつけたルティア風紀委員長の一喝で静まったものの、鶯さんはまるで懲りずに『アノヒトモオオキイ……』と呟いているよ……。



@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


ヒ……ヒカ…‥カル‥‥

声が聞こえる。それとともに、なにやら胸の辺りがムズムズする。

鶯「光!」
光「……あれ?」

どうやら、うっかり机に向かったまま寝てしまっていたらしい。
直前に何をしていたかを思い出そうとする。

鶯「会議資料なら、光が寝ちゃった間に片付けたよ。」
光「ああ、すいません鶯さん。ちょっと疲れていたみたいで。」

眠ってしまう前に何をやっていたかを思い出してみると……
部活・主催権の企画会議(比較的落ち着いて纏まった)・夏祭りの準備の為の買出し・多めの宿題・最後に今日の会議資料の纏め。
時計を見ると、既に9時半を回っていた。

鶯「光は色々と抱えすぎだよ、雪奈さんとは違った意味で。……夢の中でまで私や宇美の尻拭いしてたんじゃないの?」
光「うっ。実は、その通りな夢だったんですが……って、なに人のオッパイ揉んでるんデスか!?」
鶯「いや、疲れて寝てたからマッサージしてあげてたんだよ。寝てるときからやってるのにちっとも目を覚まさなかったし、感度悪いんじゃないの?」

プチッ

光「へー。人が寝ているのを良い事にセクハラ三昧ですか。」
鶯「ちょ、ちょっと待って、拳握り締めないで!」

……まったく、この人は。多分、さっきの夢はこのセクハラの性で見たんでしょうね。

光「たまには、一緒に大浴場にでも行きませんか?」



-- END ---------------------------------

どうも、ネタとは言え鶯を巨乳撲滅推進者にして申し訳ありませんOTL
正直、この手のキャラとしては担当が不適当な気もしたけど、ノリで書いたらこうなりました(汗
……凪鳥さんのイラストだけで判断した為、色々と突っ込みどころはあるかもしれません。


若干追加修正。夢オチにしました。

[155] ラスティ・ブランフォードさんのSS等を参考に
ジャッキー - 2007年09月17日 (月) 16時50分

鶯は貧乳の素質があったのかあ……
ということは前に書いた奴をちょこっと変えて……


微乳:霜月 七海              ↓
    花園 遊意華            順
    久遠 つづら             に
貧乳:九条 泉               大
    庭瀬 鶯               き
    霜月 貢永              く
美乳:九条 命               な
    柊 蒼月               り
    ルティア・天津・ライゼルロード  ま
    如月 光               す(同じ序列の中で)
巨乳:天野 雪奈
    楠葉 晴美
    如月 宇美



……なんだろうか!?

※注・この「桜ノ宮学園 乳房調査」は、まだ完結していない作品や番組みに関する項目です。ある程度ストーリー・話し合いがまとまってから編集するようにしてください。

[158] だー!?
ラスティ・ブランフォード - 2007年09月19日 (水) 14時24分

いや、まあ、夢オチに投稿を修正しようと思っていた矢先にランクづけっすか!?

……あんまし派手にネタにしようと思っても、
覗きをやるような男子がいないのでオチ要員に欠けますね。
まあ、女子高だしミスコンでもやるなら別でしょうけど。
……紅夜がどういう採点するのが想像できないので自主ボツでしたが。

[159] 大きさかぁ
凪鳥 - 2007年09月19日 (水) 19時47分

胸ですか。

ふむふむ、私の考えも大体ジャッキーさんと同じですね。
唯、泉は命よりは大きいかなぁ〜と考えてました。

絵では確かに大きさとかは解り図らいですねぇ全身じゃないし。
私は正直巨乳を書くのはあまり得意ではないので・・・というか、胸そのものを書くのが得意じゃないんですよねぇ〜。

確かにこの男子陣では覗きネタはやり図らそう。
逆に覗かれるのが多いでしょうね、男子は。

[160] む?
シュレ猫 - 2007年09月19日 (水) 21時53分

何気に遊意華がつづらより小さいみたいで。
で、鶯が貧乳だったとは思いませんでしたね。

>>確かにこの男子陣では覗きネタはやり図らそう。
>>逆に覗かれるのが多いでしょうね、男子は。
というより『蒼馬が』でしょうね。というか、本当に覗かれてそう。

[162]
ジャッキー - 2007年09月20日 (木) 22時35分

ゆ、夢オチだって!?
そんな話は聞いてないぞ!?

ミスコン……ミスコン……?
(ほぼ)女子高でミスコン……? レズ……? 写真会……? 盗撮……?

スク水メイド巫女バニーガールコンパニオンチャイナドレスビキニスク水エプロンレオタード着物ブルマ……

はっ! い、今僕は何を考えていたんだ!?

[166] 何となく、最近へっぽこぶりが全開です。疲れてるのかなぁ…
ラスティ・ブランフォード - 2007年09月28日 (金) 16時51分

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- 光のパパと宇美の父 -
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私はその日、お留守番をしていた。

……両親と妹は、日が変わっても帰ってこなかった。
当時は電子レンジの使い方すら分からず、冷蔵庫の中のものをそのまま食べていた事と、周りの大人が心配してくれた事で寂しさを募らせた事をよく覚えている。

……出かけていった両親と妹は、事件に巻き込まれていた。
2日後、警察の人に連れられて妹『だけ』が帰ってきた。
妹は酷く怯えていて、私の顔を見るなり抱きついてきて離れようとしなかった。正直、苦しかったほどに。
私の胸の中で泣いていた妹を見る限り、色々と痣などが出来ていて酷い目にあった事が伺える。思えば、妹の男嫌いはこの時から始まったのだろう。
パパとママは? と警察の人に聞いたが、『お父さんとお母さんは、酷い姿なんだ。その、妹さんが怯えてるのもそれを見てしまったからなんだよ』と言っていた。

……お葬式が始まる前に棺桶の中を開けて見た。妹が服の裾を全力で引っ張るのも意に介さず、私は見てしまった。
骨と肉と皮の塊として、継ぎ接ぎだらけでボロボロになっていた両親の姿を。

……お葬式が終わった後、私達はどこに引き取られるのか、と言う事に。
両親は一人っ子で余裕のある叔父や叔母はおらず、祖父は共におらず、祖母は入退院を繰り返す身。
最終的に、孤児院を経営している祖母の姪に引き取られることとなった。
それに伴って、今の小学校を転校する事が決まった。

……昔からよく懐いていた妹は、あの事件以来すっかり暗くなってしまい、私の傍を常に離れようとしなくなってしまった。
私の後ろに隠れたり、服の裾を掴むなどはしょっちゅうで、この頃の服はボロボロなのが多い。
学年が違うにもかかわらず、良く私のクラスに遊びにきたし、眠る時には布団をくっつけて来るようになる。
逆に、私以外の人間にはあまり関わろうとせず、人との衝突が絶えなかった。

……お墓に両親の納骨に向かった時など、妹は泣きっぱなしだった。
骨壷を持つ私の服の裾を掴んだまま、延々と泣き続けており、うわ言の様に色々なものに謝り続けていた。
それを傍らでずっと聞き続けていた私も悲しくなり、お墓の前までは堪えたものの、骨壷を入れた時に私も泣き出してしまった。


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……アレから10年余り。当時の頃を思えば、さすがに宇美も、もう泣くような事は無くなった。
だけど、未だに服の裾を掴む癖は健在みたい。
あの頃は、骨壷を持った私を両手で力いっぱい服の裾を掴んでいたけど、今は右手だけで服の裾を軽く掴んでいる。
そして、宇美の左手はお墓に供えるお花の入った水桶を左手に持っていた。

宇美「?どうした姉さん。私の顔に何かついているかい?」

服の裾を掴んでいることにも気づかず、私に聞いてくる。

光「ん、なんて言うか、まだまだ独立は早そうだなぁ、って思って。」

最近は姉離れしようと色々努力はしている様は見受けられるが、まだまだ甘えんぼなんだと笑う。

宇美「それ、どういう意味だよ?」

未だに服の裾を握ったままな事に気づかない宇美。

光「分からないなら、まだそのままでいいわよ。貴女は、私の可愛い妹なんだから。」
宇美「……何が言いたいのか分からないけど、ありがとう、姉さん。」

途端に宇美の顔が赤くなり、服を掴む力がぎゅっと強くなる。
そして、お墓に着くまで会話は一旦途切れた。





宇美「……着いたね。」
光「ええ。」

両親や、先祖が眠るお墓は薄汚れていた。花を水桶から取り出し、杓子で水を掛けながら軽く洗っていく。
そして一通り洗い終え、もって来た花を添えて礼をする。

パンッパンッ

宇美「……姉さん。」
光「何?」

唐突に宇美が聞いてくる。

宇美「私、誰かを守れるのかな?」
光「宇美の志望は警察官よね。……出来るよ、絶対。」

そう言って、宇美の表情が変わる。珍しく、物憂げな表情に。

宇美「父さんと母さんが、あの不良たち相手にぐちゃぐちゃにされたのが、今でも忘れられない。ああいう現場を見て、私は足が竦むんじゃないかと。」
光「今と昔は、違うでしょう?宇美は、乗り越えられる子だよ。」
宇美「そうかな?」
光「私の記憶の中にある『パパ』なら、きっとそう言うと思うよ。」

私は笑って返し、宇美は表情が呆ける。だが、表情がころころ変わったと思えば、宇美はこう言った。

宇美「『パパ』、か。確かに、子供の頃にあった事に振り回されずに、今を生きる事で、『父さん』達も浮かばれるんだろうな。」

もう、『パパ』と呼ぶ時期は終わった。今は、『父さん』として、過去のものにして生きて行かなければならない。
高校生にもなれば、既に子供とは呼べない時期に来ているのだから。


-- END -----------------------------------


……なんだろうか。設定が頭にあった割には、いざ文章にしてみると冒頭で涙ぐんだのは。
自分で考えた設定だろうが……
こんな半端なお涙物語で泣けるなら、鶯辺りはどーなるというんだ?
大体こういう作品書いたら、後の人が続きにくくなってしまうではないカー!?
しかも、話の結尾がとってつけたようで何となく何となく何となく何となく………(ry

[202] まあ、こんなのも。
ラスティ・ブランフォード - 2007年11月11日 (日) 21時09分

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- とある日の休日 -
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鶯「ねえ。一緒にデートしない?」
宇美「嫌だ。」

そっけなく断る。

鶯「光がデートに出かけちゃって、暇で暇で仕方ないんだよ。」
宇美「統括会の仕事でもしてればいいじゃないか。なんで私を誘う?」
鶯「たまにはいいじゃないか。友達なんだし。」
宇美「……少なくとも、『俺』のほうはお前の事を友達だとは思っていないが。」
鶯「今日は私がおごるから、遊びに行こうよ〜。」
宇美「……分かったよ。お前がそこまで言うって事は、一緒に行かないと、ろくでもない事されそうだしな……」

こうして、鶯と宇美の異色コンビが町に繰り出す事になった。

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いわゆるお嬢様みたいなワンピースと帽子の鶯。(と言うか、一応はお嬢様学園に通っている人間な訳だが。)
黄色が良く目立ち、それが余計にポケポケした印象を人に与える。

それに対し、長ズボンと髑髏の入った黒いトレーナーでミュージシャン系の男みたいな格好をしている宇美。
とは言え、その体つきは一目で女の子だとシルエットで分かる。

鶯「……いいなぁ、スタイルが良いって。」
宇美「……どこを見て言ってるんだよ?」
鶯「私と並ばれると、ボンキュッボンなのが際立つのが腹立つなぁ。光は平均程度だからまだともかく、そういうラフな格好だと嫌でも目立つよね。」
宇美「そんなに気になるようならサラシでも巻くか?晴美は予備を持ってたっけか……?」
鶯「いいよいいよ、それにしても何でお姉さんより素敵な体になってるんだろうねぇ……。どうしたら大きくなるのか教えて欲しいよ。」
宇美「……少しは運動してみたらどうだ。」
鶯「やっぱりそれがあるのかなぁ。やっぱり何かしらの秘訣があるのかなぁ。」
宇美「そんな都合よく心当たりは……あ。」
鶯「何か心当たりが?」

そういったまま固まる宇美。だが、意識を戻したとき……

宇美「いや、我ながらろくでもない事を思い出したもんだ。うん、多分関係無い。」
鶯「何々、何を思い出したの?」
宇美「……以前見てた本に書いてあったことなんだが、胸を揉むと大きくなるって言うのはまんざら嘘ではない程度には可能性があるらしいって、事をな。
そもそも、胸が大きくなるのはその……Hな気分になる事でホルモンバランスが成長を促進するって話だったかな?
……まあ、私の場合はその心当たりが、小さい頃のトラウマじゃないかと……。」

そこまで言って。宇美は口が軽く滑った事に気づき、慌てて口をふさぐ。

鶯「……まさかしょ……」
宇美「先に言っとくが、まだ小学生になったばかりのガキを……その、女にするような真似までは流石にされてねぇぞ!?」
鶯「ならそれ以外の事は?」
宇美「お前に話す義理も義務も理由もない!」
鶯「んふふふふ……どうしよっかな〜?」

完全に、握られた。これは、痛恨のミスだと宇美が気づいた時にはもう遅い。

鶯「……いいよ、今日一日付き合ってくれれば忘れてあげる。但し、驕りの件はチャラね。」
宇美「お、おう……、分かった。」

このネタで、ここぞとばかりに宇美はからかわれるものだと考えていたが、鶯は言いふらせるネタではないと判断した。
……これまでの付き合いから考えれば、この手合いのネタで引っ張ると宇美だけではなく光も怒る事がある。
のちのち宇美が告げ口して、光に冷たく当たられたくないなあ、と単純に割り切ったのだった。

鶯「まずは、ゲーセン行こうか。」

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アーケードのチームプレイ。連合VSザフト2


機体:レイダー

パイロット:オルガ

プレイヤー:黒髪のシャニっぽい人





鶯「なんだか、カオスだね。」
宇美「ん、カオスを使うのか?」
鶯「私が使うのはノワール。君の選んだ組み合わせがカオスだって言ったんだよ。」
宇美「ほっとけ。パイロットが何に乗っていようと機体性能には関係ないだろう。」



オルガ「こんのぉ、馬鹿が!」

選んだキャラクターがプレイヤー2の攻撃を喰らって罵声を飛ばす。
……開幕して早々、最初に食らったダメージが味方の攻撃と言うのは笑えない。

宇美「テメェ、撃つ時は気をつけやがれ!」
鶯「ご、ごめんごめん。」

……しかし、その後も誤射は続いた。要所要所でヤオイ(連合兵)が当ててくるのだ。
唯の流れ弾と言うには酷いほど食らいすぎだ。

宇美「……誤射マリア。」

ボソッと呟く。結局、チームが悪すぎて最終ステージまで行く事ができなかった。

鶯「いやー、面白かったね。」
宇美「背後から仲間を撃っといてそれはねぇだろ。」
鶯「気にしない気にしない。」
宇美「……**んだよ、お前はぁ!」
鶯「気を取り直して、どこかで何か食べない?」


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近くのファーストフード店に入って早数十分。女の子どうしの会話はとにかく弾み(宇美がイライラしつつも)、
何時の間にやら誰が誰を好きかと言う話になっていた。

鶯「柊会長は、メガネでもかければ萌えっ子としての破壊力が増すんじゃないかと思うんだけどなぁ。」
宇美「あの朴念仁に、そんな趣味が有るとは思えんが……それより仕事するほうが先じゃないか?」
鶯「あー。そうだね。気を引きたくてやってるんだろうけど、逆に怒りを買ってるよね。」
宇美「この間もアイアンクローを決められていたぞ。まったく懲りないと言うか何と言うか……。バ会長はホントに馬鹿だな。」

ハハハと笑い声が響く。

鶯「あーあ。私も誰かに恋してみたいなぁ。」
宇美「……姉さんから離れてくれれば、それで何より。」

鶯「……宇美は晴美さんの弟には興味ないの?」
宇美「無い。係わり合いになりたく無い。」
鶯「またまた。結構ツンデレな反応してたんじゃないかと思ったんだけど。」
宇美「ヴァカに、するな。ああ言うのは大っ嫌いなタイプだ。」
鶯「ふーん。」
宇美「自分が高いところにいて、他人を見下す態度が何より気にいらねぇ。
    顔がいいとか、何ができるとか、そんな事はさておき綾川以上にいけ好かないタイプだ。
    秘密組織で例えるなら、綾川の奴は冷酷に任務を指示して部下が死んでも涙も見せない有能な上司の類なら、
    晴美の弟は成績優秀で人望もあるが部下を巻き込んである日突然裏切るタイプってところか。」
鶯「だから初対面で真剣使って殺しにかかったと?」
宇美「少なからずあったと思う…程度には思う。」
鶯「フフフフ……」
宇美「なんだ、気味悪い笑いしやがって。」
鶯「ねえ。実は宇美ってツンデレでしょ?」
宇美「どうしてそうなる?」
鶯「無理やりにくっつけてあげよう。」
宇美「ほう。姉さんにふられて私に引っ付いてきてるのに、今度は自分から疎遠になるよう仕向けるのか。」
鶯「冗談はさておき。」
宇美「ホントに冗談なのか、おい。」
鶯「宇美はからかいがいが有るね。見てて飽きないよ。」
宇美「からかわれる方は結構疲れるぞ。」
鶯「まあまあ、落ち着いて。ほれおねーさんのハンバーガーをあげよう。」

ボフッ(反論しようとして開いた口の中にハンバーガーがつめられた。)

宇美「……もういい。」

口の中に押し込まれたハンバーガーを一齧りした宇美は、ハンバーガーと共に反論の言葉を飲み込んだのだった。


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その後、100円ショップで手ごろなアクセサリーやお菓子を買ったりした後、
鶯たちはとある駅の前で光が来るのを待っていた。

鶯「光の事だから、時間にはちゃんと帰ってくるのにわざわざ駅で待つとはね。やっぱりシスコンなの?」
宇美「……悪いか?」
鶯「いいぃや。ところで、今日声をかけなかったらどうしてた?」
宇美「格技場でトレーニングしてたと思うぞ。あるいは、勉強か?」
鶯「なんて言うか、青春真っ只中な生活だねぇ。」
宇美「お前な……自分も女子高生だろうが。青春時代なのはお互い様じゃないか。」
鶯「光が帰ってくるのを一緒に待つってのは、立派な青春の一コマだね。」
宇美「ん……。そうだな。」

はははははは。

そうして時間を潰すうちに光がやってきた。

宇美「おかえり、姉さん。」
鶯「おかえり、光。」
光「ただいま。」

こうして、今日と言う日は過ぎていく。ささやかで、平和な日常が何時までも続くように……。


--- End -----------------------------------


はい、ビバ日常。……こう言うと、なんだか非日常な不思議ワールドにでも突入する前振りの様な感じがします。
腹黒な策謀をめぐらす野心家もいなければ、理性が吹っ飛んで大暴走する人もいない。
暴力的な事件もなければ、闇の世界で動き回る魔物も関わらない。
やはり、こういう日常って言うのは、意外と書きにくい気がしますよね〜

……自分だけですか?

実は、楠葉姉弟を出そうと思ったけど、話がややこしくなったのでオミットしましたw

[255] 鶯支援
雲理 - 2008年03月15日 (土) 22時06分

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とある少女の一日-1
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その日、部屋に入ると上司が猫と踊っていた。
「あ、おかえりー。」
そういったのはそのネコ踊り少女。名は庭瀬 鶯。私が所属する普通科総括会の首領だ。
正しくは普通科総括会会長。
首領とは自分だけがそう呼んでいる。ただ、その呼称が似合わない、という訳ではない。
目の前の少女は見た目とは裏腹に、かなりのやり手なのだ。常日頃の奇行も、相手を油断させる手口なのだろう。
ただの変人がこのポストに辿り着く事はないからだ。
「ほかの方達は?」
「光とみんなは図書資料室で資料の整理。みーすけは掃除当番さ。」
なるほど。ならば私も急ぎ参じなければ。光先輩、普通科総括会副会長は有能で仕事が早い。さすがに終わった後にのこのこと入室するのは気まずい。
鞄を自分の机の上に置き、さあ出ようかと入り口の方へ向いた私は、首領がじっとこっちを見ている事に気付いた。
「首領はいかないのですか?」
とりあえず誘ってみた。大体の仕事は副会長の主導の下に行なわれており、首領が参加することはない。
というかこの人は仕事らしい仕事をしていない。他の科を見ても、会長といわれる人物は大抵激務をこなしている。
サボり魔といわれる生徒会会長ですらも敏腕な副会長に引きずられ、いやいや仕事をしているという。
だがうちの首領は普通科内ですらも、「え?うちの会長が仕事するわけないじゃん。」とか言われるくらい…
「してほしいの?」
私の思考を中断するように首領は答えた。
「え、ええ。副会長も喜びますよ。たぶん。」
副会長をだしにしてみる。彼女は副会長にべったりな為、効果があるのでは、と思ったのだ。
「君もね。」
首領はふふ、と笑って答える。
「………。」
確かに私も首領に働いてほしい、と思っていた。
そもそも学生生活、上級生、会の活動、そのなかでのやりとりや、ふれあいなどに私は一種の憧れを持っている。
総括会に入ったのもその願望による所が大きい。
「うーん。残念だけどもう終わっていると思うよ。」
「あ、そうなんですか。」
「うん。光は優秀だし、こういった書類仕事では我が普通科の右に出るものはいないのだー。」
誇らしげにそういって再び猫を捏ねくりまわす作業へと戻る。それは残念だ。
時計を見上げると放課からすでに30分が経過していた。ううむ、もう少し早く来ればお役に立てたものを。
私はといえば椅子に座って皆が戻るのを待つだけだが、いかんせん居心地が悪い。
「首領。何か仕事はないですか。」
とりあえず首領に助けを求める。自分が役立たずなのは正直歯がゆい。
「そうだね。じゃあ私と皆のお茶菓子を買いに行こうじゃないか。」
「お供します。」
こうして私と首領は連れ立って出かけたのだった。

--NEXT --------------------------

[264] あったらいいなシリーズ1(嘘です、続きません)
ジャッキー - 2008年07月24日 (木) 13時49分

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- 荒野――散る華の宿命(さだめ) -
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突如として魔物を率いて現れた謎の組織、セントカインズ(聖十字団)!
団長・ヒイラギが率いるその謎の組織が通った街・村・集会・都市・集落・田舎・都会は草木一本生えぬ荒廃した土地になってしまった。
事態を重く見た桜花帝国は、シセンを隊長とする討伐部隊、ライグド・バッグ(光の申し子)を結成、セントカインズの討伐を命じた。
幾度となく戦いを重ねるうちに、シセンは、彼らセントカインズの出来た理由を知る事になる。
彼は全てを知ったとき、どうするのか…?




「――っていうコンセプトはどうよ?」
「却下」
「なんでやねーーーーーーーーーーん!!!」
生徒会室に鶯の絶叫が響き渡った。
「って、はっ! しまった、ツッコミなんてあまりしたことなかったから思わず関西弁に…って、そんなことはどーでもいいや。
なんで!? どーして!? この完璧なストーリーのどこに不備があるとおっしゃられますか!?」
猛然と椅子に座る紅夜に言い寄る鶯。桜ノ宮学園内でこの紅夜にここまで物をいえるのは、両手の指ほどしかいない。
当の本人はそんな鶯の様子を特に気に留めた風でもなく、淡々と理由を説明し始めた。
「第一、文化祭でこれをやると言ったが、軽く見ただけでこれ、いくらかかる? 舞台費用、小道具、大道具、更にこの学園にはない照明機材まで買うとか……。そんなに費用は落とせない。せめて3分の1に費用を減らす、これが絶対条件」
「そ、そんな…」
「第二、このセントカインズってつまり、生徒会ズをもじったんだろ? このラグド・バッグは…ラグビーと楠葉さんのフルバックを合体させたな?」
「鋭い! 大正解だよ! お礼にこのストーリーを文化祭で開催する事が出来る権限を君に与える!」
「初めからある。――こんなお芝居に生徒会は付き合えるほど暇じゃない。どうしてもと言うなら、自分たちの科から全て配役を出すように」
「うぐぐ…」
「第三に…」
「ま、まだあるの?」
「これが一番の理由だ。……第三に、ストーリーが面白くない」

その瞬間、鶯の中で何かが弾けた。
「オモシロクナイ!? コノワタシノカンガエタすとーりーガオモシロクナイ!?」
「はい」
「ソンナバカナアアアアアァァァァァァァァ!!!」
この校舎全体を震わせるような叫び声を残し、鶯は荒々しくドアを開け、でも何故かきっちり静かにドアを閉めて、更に大きい声で廊下を駆けていった。
取り残された紅夜は、呆然と、手元に残った合計30枚ほどになるボツ原稿を取り上げた。
そしてポツリ、一言呟いた。
その声は小さく、仮に彼以外にこの部屋に人がいたとしても聞き取れないほどの声だった。
「…せめて、セントカインズじゃなくてセイントカインズにすれば良かったものを…」
いや、つっこむ所はそこなのか。
-- END --------------------------



あったらいいなシリーズ、第一回です
前々から桜ノ宮学園・ファンタジー物は考えてたんですよ、真剣に
こう、紅夜と命が恋人同士で、その命が無残に殺されて復讐心に駆られた紅夜が〜、とか
でも考えれば考えるほど行き詰まり、クソみたいな設定になり、結局、こんなネタ話でしか日の目を見れませんでした
哀れナリ

[266] シリアスか…悪くない
ジャッキー - 2008年07月26日 (土) 20時19分

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- タイトル -
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季節は初夏。学園の名を冠する桜の花は既に散り、葉桜となった頃。
ジワジワと上がる気温に茹だるさを感じる、そんな折。
場所は至極当然に桜ノ宮学園。その中でも、ある寮の一室。
如月光と庭瀬鶯の暮らす相部屋。

部屋の中はさして散らかっていない。むしろ、女子高生にしては多いといえるこの物品の量を、よく整理整頓しここまで部屋を広々と見せていると褒めた方がいい。
物品の内訳は、カバン、教科書類、参考書類といった学業必需品から、重ねれば厚さ10センチにはなろうかというファイル数冊。主に総括会関係だ。
他に漫画、娯楽小説、ラジオ、小型テレビ、パソコンといった娯楽用品などに渡り、更にはぬいぐるみ、ルービックキューブ、その他と数え上げればきりがない。
それらが全てきっちりと収められるべき場所に収められているのだ。
この部屋を見せ、誰がやったかと問えば、返ってくる答えはほぼ一致するだろう。
「具合はどうですか…?」
その答えの主――如月光が、心配そうにベッドを覗き込みながらそう問いかけた。
その問いかけられた主は、
「…ん〜…」
と答える。
ベッドの脇にイスを持ってきて腰掛けていた光は、慈愛に満ちた瞳を向けながら諭す。
「鶯さん、それじゃあ分かりませんよ」
問いかけられた主――鶯は、だるそうにうん、と答えた後、数秒してこう続けた。
「あと2日〜……」
「はい?」
「は、寝込みそうだね〜…」
「熱は、どうですか?」
鶯がん、といって机の方を向く。
光はそちらに手を伸ばし、机の上にあった紙を取る。
「朝が37.5分で、昼が38.2分ですか…。夕方のは?」
鶯は静かに首を振った。
「じゃあ、今計りましょう。自分で出来ます?」
コクリ 鶯が頷く。
それを見て光は小さく頷くと、先端の方を持ちながら鶯に体温計を手渡した。
「じゃあ、お願いします」

「38度ピッタシ…ですか」
体温計にはしっかりとそう刻まれている。
あまりいい数字ではない。生来、抵抗力の弱い鶯は、なにがきっかけでただの風邪が命を奪う病に化けるのか分からないのだ。
出来れば直ぐにでも病院に担ぎ込ませたいのが光の心情だが、あまりに激しく鶯がそれを拒むので、光もとうとうそれを諦めた。あんなに激昂してはなお風邪を悪くするという、光の優しさと甘さが敗因だった。
鶯ももしかしたらそれを分かっていたかもしれないが。
幸いここは寮なので、保険医の先生はおり、薬も診療所の先生が出す薬と遜色ない。
しかし、それでもだ。光が鶯の両親から聞いた話では、過去に数度、病気で病院に担ぎ込まれた事があるという。
そんな話を聞いていては、光が安心できないのも無理はないことだろう。
しかし、それを鶯は拒む。
まるで駄々っ子のように。
それが何故か、光には全く分からなかった。
「それじゃあ、少しでも早く治るように寝ましょう」
光がそう言ってずれた布団を直そうとすると、鶯がいやいやとでもいうように首を振った。
「鶯さん…? 寝ないと治りませんよ」
「昼間寝たからもう寝れない〜……」
「そんなことを言って……。まるで子供みたいですよ」
「う〜…子供でもいい」
そういう事を言うところが、更に子供っぽいんですよと、光は心の中で呟いた。
本当に、こうしていると自分が母親になったように思う。
鶯が子供だとすると、父親はあの人なんだろうか?
でも、鶯が子供だったらあの人も相当手を焼くだろうな。子供1人に振り回される両親、というのがありありと目に浮かんだ。
「それに…」
「え?」
「……………し」
「え? あの、ごめんなさい、ちょっと聞こえませんでした」
「……光がいるし」
光の頭の中に?マークばかりが浮かんだ。
私? 私がいると鶯さんが寝れない? どういうこと?
まさか、鶯さんが寝ている間に、私が何か悪戯をするとでも思っているのですか!?
そ、そんな! 確かに私はいつも鶯さんに振り回されてばっかりで、色んなことの後始末とかやらされて、この部屋の後片付けだって全部私ですけど、私は、私は――!
「そ、そんなこと考えてません! 鶯さん、私は本当に貴女を心配しているんですよ!? それなのに――」
部屋に光の声が響いた。それに自身も驚きながらも、それ以上に驚いたのは鶯だ。飛び起き、何事かと光を目を点にして見つめている。
「鶯さんは私を信用してないんですか!? そんなのひどいです、あんまりです! 鶯さん、私は、本当に貴女を――!?」
光の声が突然止まった。光の耳に、急に静かになった部屋のせいで耳鳴りが届く。
「分かってるよ、光」
声は下、光の腹辺りから聞こえてきた。
鶯は、光に腕を回して頭を腹に押し付けた格好のまま、言う。
「光がいつも私の面倒を見てくれているの、よく分かってる。私がいっつも迷惑かけてばっかしなの、よく分かってる」
「鶯、さん…」
「だからさ、光。そんなこと言わないで? 何を勘違いしたのか知らないけど、そんなこと言われたら私だって悲しいよ。私は光を誰よりも信用してるし、誰よりも大事にしている。それだけは本当の本当だよ、光」
回された腕が熱い。風邪の熱さじゃない、もっと大事な何か。
優しい、優しい熱さ。
知らず、上半身を捻った体勢の鶯に手を置く。
「わた、し………ごめんなさい、私、勝手に勘違いして、怒鳴ったりして…風邪なのに、鶯さん……ごめんなさい……!」
「…いいよ、光。大丈夫」
「でも……!」
「いいんだって。…ほら…元々、悪いのは私じゃない…? だからさ、光が、気に病む必要なんて、ないんだよ…」
回された腕が段々と力を失っていく。
「鶯さん…?」
「大丈…夫だよ………光…」
「あ、あの……?」
「…………すー……」
「あ、寝ちゃい…ましたか?」
鶯は答えない。ただ、光の膝にうつ伏せになったまま、寝息を立てているだけだ。
…ふふ、しょうがないですね。寝れないなんていいながらも、ちゃんと寝てるじゃないですか。
まるで、サンタさんを待つって言う子供が夜中まで起きて、耐え切れずに寝ちゃったみたいですよ?
本当に、子供みたい…ですよ?



光…。
私が、光がいるし、って言ったのは、光がいてくれるのに寝るのは失礼だと思ったからなんだよ?
日中ずっと私の事考えてたんじゃないの? 光は極度の心配性だからさ。
そんな事考えてたら、ずっと昼間寝れなかったよ、私。
申し訳なくて、申し訳なくて。
それでさ、光が帰って来た時、急に眠くなったよ。
あれだね、子供っていうのは安心すると眠たくなる習性でもあるのかな? それとも、私限定?
まあ、どっちでもいいよね。
ありがとう、光。
こんな私に。




-- END --------------------------





たまにはギャグじゃないものを書いてみよう。
その為に生徒紹介の項目をつらつら読んでいると、鶯の項目で
「病気に弱い」
という記述を発見したときにこの話が浮かびました。
鶯が風邪を引く→光が看病→×××××(嘘です、スイマセン)。
しかし、最後の鶯の独白部分。
あれがどうしても死に行くように書いてしまって、そこで意外と梃子摺りました。
死なない死なない!とか思いながら書き直し、書いては書き直し。
結果、死んでない、よね…?



[276] 色々とカオスになってるよね、普通科。
ラスティ・ブランフォード - 2008年09月16日 (火) 23時16分

首領(と書いて『ドン』と読む)と呼ばれる鶯さんに対して、
発作を鎮める為の薬のような腹心光さん。

最近は鶯さんのボケがエスカレートしてますよね。
あまり、看護科会長が暴走した時の企画を笑えないような事も……
何でもありなキャラだからかなぁ?

[280] 不滅です
雲理 - 2008年12月03日 (水) 15時44分

ジャッキーさん。素敵な看護話ありがとうございます。
鶯は死にません。立ち位置的にはホラー映画で開始直後に行方不明になり、殺人鬼にやられたと思わせて、
ラストで運良く死んでいなかったというキャラです。(え

[283] いつまでも、心にある言葉は我が子らに
ラスティ・ブランフォード - 2010年09月17日 (金) 00時20分

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- 忘れない日 -
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夏祭りはもう終わりを迎えている。
屋台が一つ、また一つ片付けられるの見ていると、
名残惜しさに惹かれて心が落ち着かないようで、けれども気持ち良くて。
私は終わりゆく祭りの残滓を見届けたくて、鳥居に背を預けてもたれかかっていた。

宇美「こんなところに居たんだ、姉さん。」
光「宇美。」
宇美「鶯のやつ、姉さんの姿が見えないから心配してたぞ。」

終了後は自由解散と言う話だったけど……
鶯さん、けっこう夏祭りに期待してたから、何かちょっとした失敗でもあったのかしら?
……心配しすぎよね、ただ姿が見えなくて不安にさせちゃっただけでしょうし。

光「分かったわ。今行く。」


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鶯は共同部屋にいた。椅子に腰掛けて本を読みながら、少しだけうつらうつらしていたようだけど、
私の顔を見るなり、本を置いて立ち上がる。

鶯「光、どこにいたのさ?」
光「ちょっとお祭りの終わりが名残惜しくて。今年で最後ですから。」

そう言うと、鶯さんは微妙に顔を暗くした。

鶯「そう言えば、私達って今年で卒業なんだね……」
光「そうね。鶯さんとも、お別れになってしまいますね。」

急に顔を背けて、鶯さんは肩を震わせる。

鶯「光は……卒業したら、地元に帰るつもりなんだっけ。」
光「ええ。」
鶯「卒業しても、友達だよね。離れていても、友達だよね?」
光「もちろんですよ、鶯さん。」
鶯「……光は優しいね。」

くるっと向き直ると、鶯さんは私に抱きついてきた。
顔を胸に鎮めているので、その表情は窺い知れない。

鶯「光の優しさは、いつも私に元気をくれるよ。最初に会ったときから、ずっと。」
光「……少し、照れくさいですね。」
鶯「ちょっと怖かったりもする事もあるけど、いつも頼ってるんだよ。」
光「……。」

……ここまで褒め殺しをされると、鶯の事だから何か企んでいるのではないかと思ってしまう。
けれど、私を掴む力が強くなった事で本当に心からそう思って言っていることが分かる。
宇美が、そうだったから分かる。

鶯「終わっちゃうのって、寂しいよね。」
光「まだ、先の話ですよ。」
鶯「終わらない事なんて、何も無いよ。今日という日の、夏祭りはもう終わったんだ。」
光「でも、思い出は残りません?」

そういうと、鶯は顔を上げる。
笑っていた。

鶯「……月並みだけど、いいね。ちょっとセンチメンタルになってたから心に響いたよ。」

……もしかして、アレ【女の子の日】だったのでしょうか?
情緒不安定になっているようですし。

鶯「ふわ〜。」

大きくは無いけど、小さくも無い。そんな欠伸。

光「そろそろ寝ましょうか。」
鶯「そうだね。じゃあ、おやすみ。」
光「おやすみなさい、鶯さん。」

それぞれの布団にもぐりこむ。
私も疲れていたのか、布団に入るなり睡魔に襲われ始める。

鶯「光。今日という日が、忘れられない日となりますように。」

寝る前に呟いた、唐突な言葉だったかもしれない。それとも、夢の中で聞いた言葉だったかもしれない。

どちらにしても……

光「忘れるわけ、無いじゃないですか……」

夢の中で昔の事を思い出し、まだ鶯と会って間もない頃の場面を見ながら、
そう呟いていた事も忘れないでいた……

-- END or NEXT --------------------------


随分お久しぶりです。

……最終投稿から丸1年が経過しちゃってますね(汗

良くも悪くも、アイディアを採用されたし、
絵も描いて頂いたので、如月光には非常に愛着があるのですよ。
時々覗いては変化が無くてどこか落胆し、
ネタをひねっては投稿するほど形にならず。

忘れ(られ)てしまう事ほど、もの悲しいものは無いですね。
いつの日か、また蘇るように。



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