あくまで記述上からの解釈ですが、開戦の時点ではほぼ間違いなく「総予備」として控えていたと予想。
「後方」にまで下がっていたかどうかは分かりませんが、明らかにこの段階での戦闘への積極参加は無く、総指揮権を任されたシハラムとしても、その想定は無かったはず。
これを言ったらまたファンを怒らせるかもですが、記述上から考えるに、最低でも「十四年」もの間、軍としてまともな戦闘経験が無かった模様の、イシュタールの場合、実際の戦闘に突入した際、果たしてどれだけ役に立つのかが全く当てにならなかったはず。
(そしてそれは「盟主」に「国王」であるフィリックスが一番に承知していているべきわけで、本作冒頭の「国王即位」にも対応している感じの、「指揮権譲渡」にはその意味も込められていたはず。)
そしてもし戦闘レベルで下手な醜態を晒し「盟主」としての威信が損なわれた場合、イシュタールだけでなく、同盟国としても壊滅的な政治損失を起こしてしまいかねないわけであり、その意味でも(戦闘経験に勝るはずの)同盟国としては「温存」を理解承知していたはずと。
(『ジェネラル』での記述を借りるなら、まさに「落馬でもされたら士気に関わる」から「輿の上で格好良くしていてくれ」というわけで。)
だからもしイシュタールが戦闘参加したとするならば、それはやはり最後の(作中では描かれていない)総追撃段階。
ここならば「見せ場」を演出するのにリスクは低いというわけで、当然に期待は、一介の「戦士」としてならイシュタールでは数少ない大陸クラスの実力者であるはずのウルスラ。
今回は触れられていないものの、イシュタールとしても危険な存在である、ヒルクルスを始末するためにも、相当な深入りを行った可能性もあり、あるいはここでグレイセンとの再戦が実現したのか。
その場合、この時点ではグレイセンも相当な戦闘経験をしているでしょうが、状況的にも、そこまで長時間戦っていたはずなだけに、あるいは苦戦した可能性も大。
ただしここにはあのヴィクトリアも参戦していただけに、あるいはここでウルスラとの初対決も実現していたかもと想像するのは実に楽しい。
(あの魔法剣の威力に対し、ウルスラが対処できたか否かも気になりますが。)
いずれにせよ、シハラムの「追撃停止」によって、ヒルクルスを取り逃がしたのは確かであり、(もはや四十近くになっているはずの)彼女の年令も含めた、今後の機会の可能性も考えれば、まさに「長蛇を逸した」ということにもなるのか。
それもあっての戦後の「鋭い視線」だというなら、それもまた面白いところ。
あの忌々しいユーフォリアの弟だという事も当然知っているはずなだけに。