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(76) ONE DAY 投稿者:Tomoko MAIL URL
「これで報告は終わりだ。じゃあな、さなえ」
 特戦部隊のハーレム隊長が言った。
「ごきげんよう。ハーレム隊長」
 さなえが柔らかいソプラノの声で別れの挨拶を返す。
 通信が切れてもまだ、さなえは真っ暗になったモニターを眺めていた。
「ごきげんよう」
 今日もハーレム隊長と話ができた。仕事なのだから当たり前なのだが。
 本部にいる、特戦部隊と連絡を取るのが仕事のオペレーター、それが前沢さなえであった。
 さっきのは一日一回の定時連絡。
 さなえはその時間を何より大事にしていた。大好きなハーレム隊長に会える。たとえモニター越しにでも。
 けれど、さなえには彼氏がいた。
 サードニクス。熊みたいな大男で生物学を研究していて、世界中を飛び回っている。
 サードニクスは好き。だけど、ハーレム隊長も好き。
 この二つの『好き』が矛盾なく心の中に同居できるところが、さなえのなんとも恐るべきところであった。
 不倫ではない。どちらも本気の恋だから。
 ハーレムを慕っていることは、本人は一応まだ大っぴらにはしていないのだが。
 彼女を見ていればわかる。
「さ、これからサードにお手紙書かなければ」
 さなえというお嬢様(前沢コンツェルン総帥前沢曜介のご令嬢で、れっきとしたお嬢様である)は切り替えも早かった。


 今、サードさんはどうしているかな。
 智子はぼーっと考えている。智子はさなえの妹だ。
 ほんとにもう。お姉ちゃんたら、私からサードさんを取っただけでなく、他の人も好きなようなんだから。仕方ないよね、あの人は。智子は、はーっと溜め息を
吐く。
 サードさん。智子は思った。あなたもまた、お姉ちゃんを選ぶのですか。
 初恋の人に言われたことを思い出す。
「俺、あんたの姉貴の方が好きだな」
 そう。そうだよね。笑ってはいても、心は深く傷ついた。
 それから……智子はいつも今まで以上に元気いっぱいに振る舞っていて、女のくせにやんちゃだの、おてんぱだのと言われるが、これ、彼女の地ではない。頭の頂から足の先まで『お嬢様』な姉に対抗するには、これしか思いつかなかった。本当はもっと、繊細で芸術家肌なのだ……と、智子は自分で思う。だが、その戦略で己の位置をもう獲得してしまった。
 智子はサードニクスが好きだった。だが、彼は姉と恋に落ちた。
 そこまでなら、いい。残念だけど、諦めもつく。
 だが……最近姉の台詞に頻繁に登場するようになった、ハーレムの名前。彼女が頬を染めながら、その上司の話をするのを聞く度に、智子は思う。
(そんなにハーレムとやらの男がいいの?!サードさんから身をひいた私はどうなるの?!)
 窓に手をかけて開ける。空気が冷たい。辺りは暗くなっていた。
「お姉ちゃんは……バカだ」
 さっきの台詞は、姉に向かって言ったものなのか、風に乗せてサードニクスに伝えたかったことなのか、智子自身にはわからなかった。


「ああ、もうこんな時間か」
 故郷を遠く離れて、砂漠の中の研究所で仕事をしていたサードニクス。
「おやすみ、サード」
「おう、おやすみ」
 同僚達が部屋に引っ込んでいく。
 さなえ……元気かな。
 ペンダントのロケットの中には、恋人さなえの写真。ぱかっと開いて彼は、愛おしそうにその写真を眺めた。
「また手紙でも書くかな」
 ハーレムの話をたくさん書いたさなえの手紙は、もうサードニクスに届いている。
 ハーレムなんて会ったこともない、わけのわからない奴にさなえを奪われたら困るからな。
 サードニクスは苦笑する。
 この時代、メールも発達してはきていたが、『パソコンは悪魔の箱だ』という彼の妙な持論により、ここの研究所の中でも、彼だけコンピューターを持っていない。携帯なんてとんでもない。第一ここは圏外なのだ。
 すっかり目が冴えてしまっている。なにから書こうか……。
 取り敢えず、サードニクスはペンをとって、紙の上に走らせ始めた。

後書き
えんどれ界キャラの短文集です。
えんどれ界ではいろいろありましたが、私のキャラを使う分には構わないだろうということで、この話を載せました。(さなえとサードニクスは、厳密には私のキャラとはいえないかもしれないが。しかし、私がアイディアを出したところもあるので。たとえば、サードさんが『パソコンは悪魔の箱だ』というところは、多分私がネタ出ししたのではなかったっけ?)
さなえとサード、どちらも『手紙書こう』と同じこと考える辺りが、気持ちが繋がっている証拠でしょうか。
これを考えたのは、二十代前半の頃。とても、懐かしいです。
過去の想い出と共に。
2010.10.19

追記
『Blue Est Blue』への更新ができなくなってしまいました。
もう潮時なのかもしれませんね。いろいろと。

2010年10月19日 (火) 18時21分




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