[10572]君待つと。 - 投稿者:繰る名
きっと貴方は此処には来ない。
いつの日にか、貴方にもらったマフラーの端を握りしめながら。
斜め下に映る視界。
わかっていたことだったけれど、覚悟なんてそう簡単にできるものではなかったから…。
コップ一杯の水が、流れることを惜しむように。
頬に伝わる、温かい雫の粒。
拭った指には思い出の手袋が…。
…こんなにも貴方を感じることができているのに何故こんなにも惨めなのだろうか。
…自分が嫌になりそうで。
振り切った先には青信号。
戸惑いはもう、泡沫に消え去る。
私は未来を一人で歩んだ。
人を待つことは、孤独。
あの人が来るまでの時間は長く感じられて。
とても嫌いだった。
人を待つことは、きっと来るであろうあの人を信じること。
私は貴方を信じていたはずなのに。
貴方は私に応えない。
…それでもいい、と言えたなら。
もう少し…貴方を待つことができたのだろうか。
(
2009年11月05日 (木) 21時52分 )
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