2006 / 09 / 12 ( Tue ) 17:54
恩田 陸 (2006/03/15)
毎日新聞社
「まだそっち側に行ってはいけない。
そっち側に行ったら、二度と引き返せない。」
幼い時から舞台に立ち、
多大な人気と評価を手にしている若きベテラン・東響子は、
奇妙な焦りと予感に揺れていた。
伝説の映画プロデューサー・芹澤泰次郎が芝居を手がける。
近々大々的なオーディションが行われるらしい。
そんな噂を耳にしたからだった。
同じ頃、旗揚げもしていない無名の学生劇団に、
ひとりの少女が入団した。
舞台経験などひとつもない彼女だったが、
その天才的な演技は、次第に周囲を圧倒してゆく。
(本書より)
▼ネタバレではないですがこれから読む方は
きっと見ないほうがいいと思いますよ・・・♪♪♪
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恩田さんの作品を読み始めて3年ほど
気がついたら10数冊手にしてました
この作品が私の中で読んだ1番です・・・
かどうかはわからないけれど。
恩田さんの作品に出合っていくつかの本に出合って
この作品に巡り合えた・・・出合えて良かった・・・
読了したときそんな気分になれた作品でした
少し大げさな表現かもしれませんけど
この作品の中には作家恩田さんの魅力があふれてました。
登場人物の描き方、彼らの気持ち−心理描写に
何よりもすばらしく感動してしまいました。
私は数年前からミュージカルが大好きです。
でもお芝居はあまり見たことがありません。
ミュージカルに魅せられてから興味を覚えてますが
機会が少なくてその世界をほとんど知りません。
学生のころ、友達につきあって学園祭のお芝居見ました。
・・・当時の私はミュージカルへの興味は皆無・・・
なのでもちろん理解できなかった。ついてけなかった(^^;
あの頃この物語に出合ってたらどう感じただろう
きっとこれほど興味は覚えなかったかもしれない。
けれど、この作品の登場人物にはやっぱり魅せられたかも
チョコレートコスモスータイトルの意味が
最後の最後まで予想がつかなかった。
読了するまで引っ張られてしまいました。それも魅力のひとつ。
結局のところこのタイトルが飛鳥であり、響子であり、
この作品に登場するすべての人々の思いだったような気がします。
登場人物みな、生き生きしてました。
最初彼らそれぞれがどこでつながっていくのか
何で関わっていくのかー見当もつかなかった。
それも魅力・・・でした♪
驚いたのは主役が誰かもなかなか予想がつかなかったこと・・・
恩田マジックならぬ恩田ミステリー?といえばいいのかも。
ただ最初も最後も神谷、がしめくくってくれましたね。
響子は最初、どこかにいそうなありがちな?
ちょっと嫌な、タカビーな女優像をイメージしてたのですが
いえいえ、そんなことありませんでした。
彼女の心の変わっていく様、演技を見終わった後の爽快な気分。
読んでる私も同じ気分になってきました。
彼女の一番の魅力を感じたのは、
あの飛鳥の演技をみたときの気持ち、言葉だったように思います。
演技者の魅力はその人自身の演技だけでなくー
周りを見てこその自分の演技なんだということを感じました。
神谷やスタッフ同様、私も飛鳥が次に何を起こしてくれるのか?
期待の感を持ちながら1ページ1ページ大切にめくりました。
小説をドキドキしながら読んだのも久しぶりの気分でした。
殺人とは全く違う種類のミステリー、
でもおそろしく怖いものがそこにあるー未来という闇がー
人の人生ってある意味、ミステリーなんでしょうね。
恩田さんの世界に出合って初めてこういうミステリーが
あるんだって知ったような気もしています。
この作品の続きが
・・・これは思ってはいけないこと?だけど
・・・読んでみたいです!
私は続編はイマイチ乗り切れないタイプです(^^;
ドラマでも映画でも続編があるとうれしいのですが
たいてい見た後では・・・やっぱり最初だけで
終わったほうがよかったなあと思ってしまう。
初めて見た作品の価値が結果的には半減してしまうから。
ただ、この作品はちょっと先が興味があるなあ。
続編でなくてもいいからー
飛鳥の演技のそれからをー
いつかまたどこかで作品として読んでみたい。
ふっと、ほんの少しだけ思ってみました。
さてさて読了して一番に思ったことー
舞台を観たい!ミュージカルも好きだけどお芝居見てみたい。
きっと役者さんのエネルギーがそこにあふれているはず
その世界を見てみたい・・・です。
でもねえ。高い!んですねえ。舞台はねえ。やっぱりねえ(笑)
この余韻が冷めやらぬうちに・・・出会えたらいいのですが