2007/03/28 (Wed) 21:54
きのね(柝の音)〈上〉
宮尾 登美子 (1990/05)
朝日新聞社
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きのね(柝の音)〈下〉
宮尾 登美子 (1990/05)
朝日新聞社
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辛抱していればいつか花咲く日もくるかもしれない。
女中として仕えながら、端麗この上ない歌舞伎役者、
のちの十一代目松川玄十郎に寄せる献身と苦悶。
夢み、涙し、耐え、祈る。梨園の御曹司、
雪雄に仕える光乃の、献身と忍従の日々。
雪雄の愛人の出産や、料亭の娘との
結婚・離婚にも深くかかわる光乃。
一門宗家へ養子に行く雪雄につき従い、
戦中の、文字通り九死に一生の苦難をも共に乗り越えた光乃。
続く戦後の混乱期、雪雄の子を宿していると気づいた光乃の、
重い困惑と不安…。健気に、そして烈しく生きた、或る女の昭和史。
1月に歌舞伎観劇したので
読んでみようかな〜と借りてきました。
でも上巻は流し読み(^^;
誰がどなたでこの方はどういう関係か
あまり読み戻らずに進んでしまったので
結局こういう関係の方だったのかなあと
ぼんやり理解した感じで読了しちゃいました。
きのねのあの音を好きだった光乃のひたむきな思い。
今の時代だと少し想像しがたい部分もありますが、
当時は身分差もきつかっただろうし、
歌舞伎界の名門のお家だとさぞ大変だったんでしょうね〜。
今でもそれは変わらないかもしれませんが。
あまり歌舞伎のことを詳しく理解できた?と問われると
その辺はあいまいに読んでしまったので・・・ですが(笑)
光乃の一生はあっぱれというか拍手を送りたい気分でした。
これだけ一途に思えたら、ステキですねー。
恋ゆえに、愛ゆえに、でしょうか。
それにしても雪雄という人物は・・・
うーん。彼の魅力はそばで見ていた光乃だからこそ、
理解できたのかもしれません。
あれだけ辛抱の連続で生き抜いた人、
かつての日本の女性はそうだったのかなーと感じます。
今の自分がめっちゃ甘い、とは痛感するところですが(^^;
宮尾さんの本を読むのは初めてでしたが、
スケールの大きい読み応えのある1冊でした。