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タイトル:BLACK&WHITE カテゴリー未分類、その他

まだ『全能神』シリーズ書きかけなんですが、またもや書いてしまいました。
ちなみにこの話しは悟空とべジータがさらわれて悟空とべジータが敵になるという前代未聞の話しです。
よろしければどうぞ。

カイ 2009年11月21日 (土) 00時07分(938)
 
タイトル:予告

それは前代未聞であった・・・


『どうしてあなたが!!??』


誰も予想だにしていなかった・・・


『全てぶっ壊してやるよ!!』


太陽が沈んだ・・・


『我々は「黒き集団」。全てはこの方達に仕える身。』

太陽が沈んだ時・・・月も沈む・・・


『待って!!父さん!!』
手を伸ばすが、もう掴むことはできない・・・


『大変なことになってしまった・・・』

『今度ばかりは・・だめかもしれない・・・』

嘗て宇宙を救った『英雄』と呼ばれた『彼』は・・闇に囚われた・・

そして・・・

『俺達はもう昔の俺達じゃねえ。』

嘗て『破壊者』と呼ばれた彼もまた・・・闇に囚われた・・


その二人の名は・・・


『悟空!!!』
『べジータ!!』


今、二人の『英雄』は『敵』となる・・・

カイ 2009年12月02日 (水) 23時44分(939)
タイトル:プロローグ

プシューーー!!
蒸気機関車のような煙が辺りを舞った。
「これで完璧だ。」
煙の中でにやりと笑う男の目の色は赤から紫に変わっていく。
そしてにやりと笑った男は跪く。

「体調はいかがですか?」
「ああ、問題ねえ。」
「それはよかった。」
「久々にすっきりしたぜ。この状態になるのは、何百年ぶりだろうな・・?」
「貴方様のお力が封印されてからを考えると、千年くらいになりますね・・・」
「そんなにか?!道理で体がうまく動かねえはずだ。」
「もうよろしいのですか?」
「ああ・・問題ねえ・・」


「それはよかった・・・」




「もう家族だの、地球だの、宇宙だの、世界だの、もう『俺』にはどうでもよくなった。
第一、こっちは『誰かのために』やってんのに、誰も感謝の言葉の一言もねえなんてよ。
挙句に『俺』がいなきゃ何もできねえのに、威張りちらしてる『神(やつら)』に『俺』の人生なんだってゆうんだよ。」
「そのお気持ちはとってもよくわかります。」
「だろ?全部俺のせいにして、俺の気持ちなんか誰もわかってない。俺は『物』じゃねえのに。」
「よくわかります。」
「だったら、全部壊れちゃえばいいんだ・・・」
「その通りです。ならば・・・」


「ああ。べジータを迎えに行く・・・俺のこと誰よりもわかってんのは、あいつだけだ。」

「準備は整ってます・・・『孫悟空様』・・・」

暗闇の中、姿を現した悟空の顔は・・・

今まで出会った中で・・・


冷たい笑顔だった・・・

カイ 2009年12月06日 (日) 00時20分(942)
タイトル:前代未聞!!悟空が敵に!!

ちょっと長いので、こちらにアップしました。
『全能神』の続きです。

「何を言ってるんだ?カカロット?」
べジータは悟空の言葉が理解できなかった。
壊す?
全てを?
それは悟空の言葉とは思えなかったからだ。今まで地球や世界の為に戦ってきた彼がこんなことをいうとは・・。
「何ってそのままの意味だぜ?ぶっこわしてやるんだよ。全てを。もう『家族』だの、『地球』だの、『世界』だの、俺にはどうでもよくなったんだ・・。界王や界王神にこき使われるのもうんざりでね。」
「何言ってんだよ!!悟空!!」
クリリンが突然声を上げ、悟空に突っかかった。悟空はクリリンを冷めた目で見つめる。
「どうでもいいって。あんなに宇宙の為に戦ってきたじゃないかよ!!どうしちまったんだよ!!悟空!!いつものお前らしくないじゃないか!!?」
「俺らしい?」
悟空のまるで虫けらを見るような目にクリリンは思わずぞくっとした。
いつもの彼なら、こんな冷たい目はしなかったはずだ。
「俺らしいって何だ?お前、俺の何を知ってるって言うんだよ?どこの誰だか知らねえけど俺はべジータに用があるんだ。雑魚は引っ込んでろよ。」
「悟空!!俺だよ!!クリリンだ!!お前の親友の!!」
「うるせえって言ってんだろ!!」
悟空が叫ぶと空気が振動し、クリリンを吹き飛ばした。吹き飛ばされたクリリンを何とか悟飯が受け止めると、悟空を見る。そして悟飯は目を見開いた。悟空の体から今までに感じたことのないくらいどす黒い気がバチバチと放たれていたからだ。
「クリリンさん大丈夫ですか?」
「何とかな。でも、悟空の奴、俺のことまで忘れてるなんて・・・」
どうやら今の悟空には強い奴しか記憶にないらしい。
すると悟空に向かって走り出す人影があった。はっとして、クリリンが声を上げた。
「よせ!18号!!」
「よくもクリリンを!!」
18号がどうやら吹き飛ばされたクリリンを見て逆上したらしい。クリリンの制止も聞かず、18号は悟空に向かって攻撃した。しかし、
「どいつもこいつも・・うるせえって言ってんだろ!!」
悟空が叫ぶと同時に悟空の体から凄まじい気が放たれる。18号は一瞬自分の体を駆け巡るような『恐怖』を感じた。18号は悲鳴をあげ、吹き飛ばされると地面に叩きつけられた。
ビーデル達が18号に近づくと18号は自分の体を抱きしめながら震えている。


そんなことを知らず、悟空はべジータに向き直り、口を開いた。
「とんだ邪魔が入っちまったな、べジータ。もう一度言うぜ、俺達と来いよ。ぶっこわしてやろうぜ。全てを。」

カイ 2011年03月03日 (木) 23時37分(1150)
タイトル:黒き集団

「何だって?」
悟空は聞き返した。相変わらず顔は虫けらを見るようだった。
「断ると言ったんだ・・俺は貴様の手下になる気はない!!」
べジータはそう言うと悟空をキッと睨み付ける。だが悟空は表情を変えなかった。
「べジータ。別に俺はおめえに手下になれとは言ってねえぞ?俺達と来いって言ってんだよ。」
「何を言ってるんだ?カカロット・・!!貴様・・本当にカカロットなのか?!」
「何言ってんだよ?俺は「俺の知ってるカカロットは、貴様のような奴じゃない!!」
べジータが悟空の声を遮るように言うと悟空は思わず黙ってしまった。

「そ・・そうだ!お前は悟空なんかじゃない!!」
べジータの言葉に反応したのか、クリリンが叫んだ。
「僕の知っている父さんは、こんなこと言わない!!」
続いて悟飯が叫んだ。
「悟空・・お前どうしちまったんだよ?昔も今もお前はいつだってどんな時だって地球の為や宇宙の為に戦ってきたじゃないかよ?!」
クリリンが叫ぶと今度は成り行きを見守っていた悟空の半身のカカがクリリンの前に立った。


「よう、カカ。」
「悟空・・お前・・『闇』に囚われたのか?」
カカの言葉にその場にいた全員がカカに注目した。
「囚われたんじゃありませんよ。悟空様が闇を支配したんです。」
「「「「!!!!!」」」」
突然の聞こえる声にその場にいた全員が驚いた。しかし、悟空だけは笑っていて後ろを振り向いた。そこには・・


「誰だ、貴様!!主様に何をした?!!」
そこには、真っ黒なフードを被り、紫色の瞳をした男が立っていた。

「我々は『黒き集団』。全てはこの全能神様と破壊神様に仕える身。」

カイ 2011年04月05日 (火) 00時12分(1184)
タイトル:その名は・・・

「我々は『黒き集団』。全ては全能神様と破壊神様、この方々に仕える身。」
そう言うと紫色の瞳をした男はべジータの方に歩み寄ると、跪いた。
「お迎えに上がりました。破壊神・べジータ様。」
「な、何者だ?貴様!?お前がカカロットをこんな風にしやがったのか?!」
べジータは怒鳴りつけるように言うが、紫の瞳をした男は大して表情を変えず口を開いた。
「・・・私は、全能神・孫悟空様の心を解放してあげただけです。あの方の心の奥底にある決して誰にも知られることのない、深い深い『心の闇』を。」
「「「「!!!!!」」」」
深い深い・・・心の闇?

「そしてあの方は、その闇を支配した。いえ、解放したといったほうが正しい。それが今のあの方ですよ。」
そう言うと紫の瞳をした男はにやりと笑った。べジータは紫の瞳をした男を更に睨み付けた。すると二人の会話を聞いていた悟空が口を開いた。
「まあ、そういうこと。こんな解放感は、千年ぶりだな。もうあんな界王や界王神にこき使われることなんてないし、こんな世界や宇宙、俺にはどうでもよくなったんだ。」
悟空はそう言うとキビトと東の界王神を睨み付ける。思わず東の界王神とキビトは悟空の今までにないくらい冷たい瞳を見て背筋が凍った。
この感じは今までに感じたことがないくらいだった・・
魔人ブウや今までどんな敵が現れても、こんな全身を切り刻まれるような感覚は想像したことがない・・
悟空はやはり、全能神だということが実感できた。


「破壊神・べジータ様。私は貴方様に危害を加える気はございません。全身全霊を持って全能神様と破壊神様に従う覚悟でございます。どうか我々と共に来てくださいませ。」
紫の瞳をした男は跪いたまま、深々とべジータに頭を下げる。
その姿はまるで騎士そのものだった。
「断わ「貴様!!!」
べジータが断ろうとした瞬間、べジータの言葉を遮ってべジータの横から黒い影が現れた。


ガキーーーン!!!
金属同士がぶつかる音が聞こえると、そこには紫の瞳をした男に斬りかかった神龍がいた。
紫の瞳をした男は大して驚いた表情もせず、笑みを浮かべたまま、まるで神龍の攻撃を読んでいたかのように神龍の刀を自分の刀で受け止めていた。
「人が話している最中に攻撃とは・・・礼儀がなっていないんじゃないか?」
「黙れ!!主様の『心の闇』を勝手に使いおって!!無礼者!!主様を元に戻せ!!」
神龍が真紅の瞳で紫の瞳をした男に怒鳴りながら、刀を握る力を強くする。
紫をした男は神龍の真紅の瞳を見ながら、ふっと笑う。
「ずいぶんと感情的になったものだね・・・?小龍(ショウリュウ)。」
「「!!!」」
小龍。
その言葉にポルンガと神龍は目を見開いた。神龍は刀を相手から離し、距離を取る。その顔はさっきまでの殺気染みた顔と打って変わって驚愕の顔だった。

「何故・・その名前を・・?」
「小龍。君の幼名だったよね?今は神龍だっけ?幼名で呼ばれるのは、久しぶりかな?」


「貴様・・・一体?」
「僕はドラビル。神龍、君と違うドラゴン一族の末裔だった者さ。」

カイ 2011年05月26日 (木) 00時28分(1209)
タイトル:ドラビル

「ドラゴン一族の末裔・・?」
「そうだよ、小龍。いや、神龍。僕は君達に滅ぼされたドラゴン一族の生き残りさ。」
ドラビルはそう言うと黒いフードを捲りあげる。すると、さっきまで紫色だった瞳が神龍とポルンガと同じ真紅の瞳に染まるように変わった。
ドラビルの顔は神龍と同じく肌に鱗があり、目元に紋様のような刺青があった。
神龍はその顔を見ながら歯をかみ締めた。

「ドラゴン一族が何故今更になって出てくる?!貴様らは今更、我々に復讐でもしにきたのか?」
ポルンガが神龍と同じく真紅の瞳でドラビルを睨みながら尋ねると、ドラビルはくすっと笑う。
「復讐?確かに復讐かもね。でも、君達が言うような復讐じゃないよ。」
「何だと?」
「僕は確かに君達に復讐するのが第一の目的。でも、それは別に一族を滅ぼされたからじゃないさ。」
そう言うとドラビルは真紅の瞳で神龍を睨む。

そして・・・

「ねえ・・神龍・・・」


ドシュ!!!
「が!!」

音と共に血が吹き出て、神龍が膝をつく。神龍の腹部からはいつの間にか血が出ていた。
神龍が斬られた腹部を抑えながら肩越しに振り返ってドラビルを睨みつける。
ドラビルはいつの間に出したのか神龍の血で汚れた剣を振り下ろしていた。

悟飯達はその光景に目を疑っていた。
見えなかった・・・
あれほど自分達が束にかかっても勝てなかった神龍を、べジータでさえ互角に戦っていた神龍を、こうもあっさりと斬りつけたドラビルの動きを全く読めなかったのだ。

ドラビルは神龍の血で汚れた剣を軽く振って落とすと、何とか立ち上がった神龍を見る。
「まだ立てるんだ・・・。さすが神に仕える龍神。
でも・・・どうして・・・」
ドラビルは呟くと神龍に向き直る。神龍は腹部を抑えながらドラビルの動きを読もうと身構える。
油断していた・・いくらべジータ達と戦っていたとはいえ、敵にこうもあっさり斬られるとは・・と神龍は自分の愚かさに嫌気がさした。
ドラビルがゆらりと動くのを見て神龍はドラビルをじっと見て自分も動こうとした。

しかし・・・


「どうしてかな?
羽のある我らドラゴン一族である僕が選ばれず、
羽のない君ら龍族が・・羽のあるあの方、『全能神様』に選ばれるのかな・・・?」

ドシュ!!!
ドラビルがそう言うと音と共に血が吹き出た。


「ねえ、神龍?ポルンガ?」
ドラビルが軽く地面に着地すると同時に、神龍とポルンガは体から血を噴出しながら、倒れた。

「動きが遅いね、神龍。そんなんじゃ、全能神様の側近に合わないよ・・・ぶざまだね。」


「「「「「神龍ーー!!ポルンガーーー!!!」」」」」

カイ 2011年06月01日 (水) 00時23分(1212)
タイトル:野望完了

神龍とポルンガの血で染まった剣を一舐めすると、すぐにドラビルは顔を歪めてプッと吐き出した。
「不味いね、龍族の血は。動きも鈍いし、血も不味い。こんな奴等が神の側近に仕える自体どうかしてるね。しかもその一人が頂点に立つ全能神様に仕えるなんて。」
ドラビルはそう言うと剣を軽く振って鞘に納めた。
神龍とポルンガは痛む体を上半身だけ起こすと、ドラビルを睨み付ける。しかし、ドラビルはもう用済みだという風に神龍とポルンガを無視し、べジータに歩み寄った。

「とんだ邪魔が入り申し訳ありません。破壊神・べジータ様。今一度申し上げます。どうか我々と一緒に来てくださいませ。我々は全身全霊を持って全能神様と破壊神様に就く覚悟でございます。」
ドラビルは再度べジータに跪き、深々と頭を下げる。
「・・・断ると言った筈だ。貴様らと付いていく気はない。貴様がカカロットをあんな風にしたのなら、あいつを今すぐ元に戻せ。俺に殺されたくなければな。」
「べジータ。俺は元に戻るも何も、これが本当の俺だぜ?」
先ほどの事の成り行きを見ながら黙っていた悟空がべジータに言うと、べジータは今度は悟空に目を向ける。悟空の目は今まで感じたことのないくらい冷たく、バーダックやターレスとも違う鋭い眼をしていた。これが本当に悟空なのか?と思わず錯覚してしまうくらいに。
「俺はこいつのおかげでもう背負う必要がなくなった。全てのものから縛られることも、こき使われることも、全てな!!」
悟空が叫ぶと同時に悟空から禍々しい気が溢れ、悟空の目元に稲妻のような刺青が現れた。
それを見て全員が驚いた。

「べジータ。俺の心の闇を理解できんのは、もうお前しかいないんだ。」
「何でだよ?!」
すると声が聞こえ、悟空は声の方を見る。そこにはべジータの半身がいた。
「何でそんなこと言うんだよ?!悟空、何で心の闇なんかに囚われちゃったんだよ?!だったら話してくれよ!!カカ達のこと、見捨てるのかよ?」
べジータの半身の言葉にべジータは舌打ちする。すると悟空はふっと笑う。
「半身だって俺のことを全て理解できるわけじゃない・・嘗てのお前のようにな。」
「え?」
今度は悟空の言葉にべジータの半身は目を見開く。
「俺自身、たとえ半身と離れても俺自身が弱くなるわけじゃないと同じように。」
悟空は一瞬、さっきまでの残酷に笑っていた顔と打って変わり、悲しそうな顔をした。

「だから・・・」


「もう終わらせましょう・・・・」
ドラビルの声と同時に突然目の前が真っ暗になった。いや違う。辺り全体が真っ暗になったのだ。
「何?!どうしたの?急に?」
ブルマが叫ぶと倒れていた神龍はハッと何かを察し、顔を上げた。すると・・・


べジータの苦しみにもがくような叫び声が聞こえた。

「「野望完了。」」

カイ 2011年06月06日 (月) 23時59分(1214)
タイトル:野望完了ー最凶と最狂の二人

べジータは暗闇の中、突然体中を駆け巡る激痛に悲鳴をあげていた。
何だ、これは?!
激しい頭痛と激しい激痛に意識を思わず持ってかれそうになる。
べジータは以前、ベビーに体を乗っ取られそうになったことを思い出した。まるでこれはあの時とまるで同じだ。ということは、今自分はまた誰かに体を乗っ取られるということなのか?!
「くそったれ!!二度も同じようになってたまるか!!」
べジータは歯を食いしばり、激しい頭痛と激痛に耐えながら、力を使い始めた。
すると・・・

『どうして・・・?』
「!」

『どうして・・・?』
「カカロット!!?」

暗闇の中で光るように悟空が現れた。悟空の顔は今までにないくらい悲しそうだった。

『どうして・・べジータ・・・』
悟空の瞳から涙が零れ落ち、頬を伝う。

「カカロット・・・」
べジータが悟空の泣き顔を見た瞬間、力が緩んだ。するとべジータの横からにゅっと黒い手が現れ、べジータの顔を掴んだ。
「べジータ!!」
べジータの半身である「あいつ」が暗闇からべジータと黒い手を見つけると、べジータの元へ走った。が、あと一歩のところでべジータは黒い手に顔を掴まれたまま、今まで暗かった所に光が放ち、辺りを包んだ。


「野望完了」
声と共に暗闇が晴れ、全員顔を上げた。一体、今の暗闇は何だったのだろう?
クリリンが辺りを見渡していると、ドラビルは先ほどより笑みを深くして、マントを翻して跪く。ドラビルが跪いている者にクリリンや他のメンバーは目を見開いた。

「う・・うそだろう?」

「と・・父さん・・・」

「ベ・・ベジータ・・・」


そこには、悟空と同じく顔に刺青をしたベジータが、以前見た邪悪な顔で笑みを浮かべていた。

「「俺達はもう昔の俺達じゃねえ。」」


今、前代未聞の戦いが起きる・・・

今、嘗ての二人の『英雄』は敵となった・・・

カイ 2011年06月12日 (日) 23時25分(1215)
タイトル:新たなる異変

前代未聞の戦いが始まる少し時は遡ること未来では・・・

「「ぐあああああ!!!!!」」
「「父さん!!!」」
突然叫び声を上げ苦しみだした悟空とベジータをトランクスと悟飯が駆け寄るが、激しい力と気の波動で近寄れなかった。
「ご、悟飯さん!!これは一体?!」
「僕にもわからない!!とりあえず父さん達を抑えるんだ!!」
悟飯が言うとトランクスは頷き、気を同じく発しながら悟飯と一緒に二人に飛び掛った。
しかし・・・
「え?」
突然気が穏やかになり、気が丸っきり収まってしまった。

「と・・父さん・・?」
「・・・た・・・」
「え?」
悟飯が急に気を消し、力なく俯いた悟空に駆け寄ると、悟空が何かブツブツ呟いている。
トランクスの方を見ると、同じくベジータも悟空と同じ状態で俯いてブツブツ呟いている。


「父さん・・・?」
「やっと・・・」
「やっとだ・・・」
「と、父さん?」

「「俺達の力がやっと戻ったーーー!!!」」
二人が声を上げて顔を上げる。二人の顔を見て、トランクスと悟飯は驚愕に目を見開いた。
それは、なんと・・

悟空とベジータに左右対称に深い刺青が刻まれていたからだ。


二人は同時にニヤリと笑うと、互いに手を出す。すると、二人の手からそれぞれ刀と拳銃が現れた。そして二人は空間に向かって空間を切り裂き、発砲する。すると空間が歪み、裂け目ができ、空間が開いた。
悟飯は何だかやな予感がし、とっさに二人に近づく。
そして一瞬の隙をつき、二人にそれぞれ手刀を打ち込んだ。

「くっそ・・・」
「まだ力が・・・完全に戻っていないのか・・・?」

二人はそれだけ言うと倒れる。トランクスが悟飯に歩み寄った。
「悟飯さん・・」
「一応、隙があったから気絶させといた。もう少し遅かったらどうなるかわからなかったからね。一応、二人は僕がブルマさんに頼んで調べておくからトランクスはさっき、父さんとベジータさんが作った空間に行って見てくれないか?ブルマさんには話しておくから。」
「わかりました。でも、気をつけてくださいね。父さんと悟空さん、尋常じゃなかった・・。」
トランクスが悟飯に言った後、二人が作った空間の裂け目に向かう。

「気をつけて。」
「はい。」

今、またもや新たな危機が迫ろうとしていた。

トランクスと悟飯はその時、まだ知らなかった。

自分達の『父親』に起きた悲劇を・・・

カイ 2011年06月13日 (月) 17時40分(1217)
タイトル:ピッコロへのもう一つの借り

「野望は完了した。もうここにいる必要はないな。」
「おい、カカロット。俺は悪魔でもお前と手を組むだけだからな?それを忘れるなよ。」
ベジータの言葉に悟空はわかってるよと言い、皆を一瞥すると背を向けた。すると、

「待ってください!!主様!!」
神龍が吐血しながら悟空を呼ぶと、悟空はチラリと神龍を見る。
神龍は体から血を流しながら必死に叫んでいた。隣にはカカが支えている。
「どうしてあなたが?!どうして?!」
「悟空。神龍と共に俺達『半身』達も見捨てるのか?お前の『心の闇』を一番理解できるのはベジータだけじゃないはずだぞ?」
カカが鋭く言うと悟空はしばらく黙っていたが、口を開いた。
「見捨てたかどうかは、お前が決めろよ、カカ。半身がいなくても俺はピッコロのように俺自身が弱くなるわけじゃない。だったら、止めてみろよ。」
悟空がそう言うと同時にカカは飛び出した。そして悟空に攻撃した。

ドカ!!!
スーパーサイヤ人状態のカカの攻撃を悟空は軽く受け止めていた。

「やっぱりカカも、『悟空』を理解してくれないんだ・・・」
「え?」
カカは一瞬、目を見開いた。まるで今目の前にいるのは、悟空ではない気がしたのだ。

ドカ!!
悟空は攻撃をはじき返し、カカを吹き飛ばした。するとベジータが銃口を吹き飛ばされたカカの方に向けた。
「やめろベジータ。」
ベジータの拳銃を悟空が掴んで制止すると、ベジータは舌打ちして理由を尋ねる。
「カカはこんぐれえで死なねえよ。わざわざ止めを刺すこともねえだろう?」
「悪人になっても甘さはいつも通りか?カカロット。」
ベジータが鼻で笑うと、悟空はにやりと笑い返す。
「自分の『神』のことわかってもない奴に止めさすなんて愚かだろう?」
悟空の言葉にベジータはそれもそうだなと更に笑みを深めた。


「お二人とも、そろそろお時間ですがよろしいでしょうか?」
ドラビルが二人に跪きながら言うと二人はドラビルの方を振り向く。
「そうだな、そろそろ次の作戦に移るとするか。」
「次の作戦だと?」
「ベジータ、お前も来ればわかる。だが、その前に・・・」
悟空はそう言うとベジータとドラビルの前から消えた。


「悟空の奴、本気なのか?本気でこの世界を?!」
ピッコロが先ほどの悟空の攻撃で辺りが砂煙で視界が悪くなった方を見ている。
すると、
「ピッコロ・・・おめえには俺を『地獄』から出してくれた借りがあったな・・・」
「!!その声は・・悟空!!」
突然悟空の気を背後から感じ、後ろを振り向こうとした。

「一応、借りはこれで最後に返してやるよ。」

ドス!!!!

カイ 2011年06月18日 (土) 00時12分(1221)
タイトル:ドラゴンボールの呪縛、最悪の結末

「一応、借りはこれで最後に返してやるよ。」
ドス!!!
「ピッコロさーーーん!!!」




『すまねえ、ピッコロ。』
悟空の声がした。

ここは、どこだ?
俺は確か悟空に刺されたはず・・・?

ピッコロが辺りを見渡すと、目の前に悲しそうな顔をした悟空が立っていた。
俺は死んだのか?これは過去か?人が死ぬと稀に過去を見ると聞いたことがある。だが、過去の記憶でこんなのは記憶にない。ならばこれは前世の夢か?悟空が全能神だった頃の悟空の記憶か?いや、違う。これは、全能神界で出会った『俺自身』の記憶だ。


『こうするしか方法がないんだ。』
何を言っている?悟空。

『こうするしか・・・ないんだ!!!』
そう言うと悟空は短く何か唱えると両手をバッと広げる。すると、俺の体がまるで操られたかのように動き、悟空と同じようになる。そして動かなくなった。

そして悟空は目の前から消えると、悟空の気が背後から感じた。
振り向こうとするが体は動かず、俺は歯痒い思いをするしかない。そして背後から衝撃を感じた。

『ドラゴンボールをおめえの『封印』と共におめえの『中』に封印させる・・』
そうか・・この痛みか・・
これが・・最初の『真実』か・・




「ピッコロさん!!ピッコロさん!!しっかりしてください!!ピッコロさん!!」
悟飯の声がしてピッコロは目を覚ました。どうやら自分は悟空に刺されて気を失っていたらしい。
「悟飯・・」
「ピッコロさん、気がついたんですね。よかった。煙が晴れた時、父さんの傍でピッコロさんが倒れてたんですよ。」
どうやら悟飯は俺が悟空に刺されたところは見てないらしい。
俺は体を起こすと目を見開いた。悟空に刺されたと思ったが、傷がない。どういうことだ?
はっとし、俺は皆の気がないことを感じた。そして悟飯もよく見るとボロボロだった。
「悟飯!何があった!?皆はどうした?!孫とベジータは!?」
悟飯に突っかかるように尋ねると悟飯は震えるように指差した。指を指した方向を見ると、皆が倒れていた。よく見ると悟空の半身達とベジータの半身達も倒れている。
そしてそこに佇むのは悟空とベジータとあのドラビルという奴だけだった。

「あーあ、自分の場所壊すつもりなかったんだけどな。」
「自分の力がどこまで戻ったか知りたいと言ったのは貴様だろう?」
「全能神界はあなた様がいれば、またすぐに復活しますよ。よろしければ私がお直し致しますが?」
「その必要はない。こことあっちの『世界』が残っていれば、いいだけの話だ。修復は後でどうとでもできる。」
「それもそうだな。ベジータ、ドラビル。行こうぜ。」
悟空が言うとドラビルが軽く礼をして、悟空の傍に立つ。ベジータが俺に命令するなと言いながら、後に続いた。


「こいつらは殺さなくていいのか?」
ベジータが拳銃で銃口を倒れている皆に向けると、ドラビルも剣を出した。
「やめておけ。こんな奴ら、『殺す価値』もねえ・・」
「いいのですか?貴方様を侮辱した奴らですよ?」
「だからこそ、殺す価値なんてねえ。精々こいつらには、絶望を味あわせてやったほうがいい。」
そう言うとベジータは相変わらずだなと銃をしまい、ドラビルもわかりましたと剣を下げる。


「悟空・・」
「父さん・・」
ピッコロと悟飯の声に気づき、悟空は肩越しに振り返った。
「何だ、もう目覚めたのか?ピッコロ。」
「孫・・・」

「これで借りは返した。もうドラゴンボールの『呪縛』はお前にはないぜ。」
そう言った後、悟空はじゃあなと手を振る。

「待って父さん!!」


「俺達はもう、昔の俺達じゃねえ。」


「主様!!!」


「もう二度と会うことはねえ・・・」


「悟空!!ベジータ!!!」

「じゃあな・・・」

そう言うと三人の背後の空間が裂け、三人は空間の裂け目に入っていく。


「悟空!!ベジータ!!」

そして三人は消えた・・・

カイ 2011年07月16日 (土) 23時07分(1230)
タイトル:それぞれの絶望

「た・・大変なことになってしまった・・・」


「まさかあの悟空が敵になってしまうとは・・・」


「今度ばかりは・・だめかもしれん・・」
それぞれの場所で呟く声が聞こえた。すると地面をダン!と叩く音がした。思わずそちらを見ると神龍が悔しさに拳を地面に叩きつけていた。
「主様・・」
神龍は歯を食いしばりながら傷だらけの体のまま歩き出そうとするが、それを悟飯が思わず止める。
「待ってください!!神龍。そんな体で動くのは危険です!!」
「うるさい!!」
神龍は悟飯の制止も聞かず、悟飯を振り払う。しかし悟飯は構わず神龍を止める。
神龍が動くたびに神龍の体から止め処なく血が流れ、地面にシミを作る。悟飯はそれを見て顔を歪ませながら、目を伏せた。

「すみません・・」
悟飯はそう呟くと神龍の腹を殴った。ちょうどそこは傷が一番深いところだったので、神龍は悪態をつく暇もなく意識を失った。



「まったく、咄嗟のこととはいえ自分まで傷を負うはめになることは考えなかったのか?」
ピッコロが悟飯の右手を見ながら言うと、悟飯はすみませんと謝罪する。悟飯の右手には包帯が巻かれ動かさないように固定されていた。
「傷が深かったところを狙ったのはよかったんですが、神龍の体があんなに硬いとは思いませんでした。」
悟飯はそう言うと、デンデに治療されている神龍を見る。ピッコロがデンデに様子を聞くとデンデは力を使いながら答えた。
「かなり深いです。他の皆さんも大変でしたが、こっちは特にひどい。」
デンデの言葉にピッコロはそうかと呟いた後、治療を終えた皆の方を見た。
皆の顔は今までにないくらい沈んでいて、誰も話す者はいない。
すると
「悪い夢なら覚めてよ・・どうして・・」
ブルマが呟く。するとチチが泣き崩れる。

「どうして悟空さ・・・」


(((((どうしてだよ?!!悟空!!!ベジータ!!!))))

カイ 2011年08月23日 (火) 00時07分(1242)
タイトル:声

時同じくして違う場所で水晶に映された真実に涙を流す者がいた。
長い黒髪、透きとおるような白い肌を持つその女性は、白い頬を伝う涙を流しながら、膝をついていた。柔らかな紅い唇からは、何度も同じ言葉が発せられる。
「悟空・・・」




『悟空・・』
ズキン!!!
頭から発せられる声の後に続く頭痛に悟空は頭を抑えた。ドラビルが悟空の異変に気づいて尋ねると、悟空は何でもないと答える。
(頭がいてえ。何ださっきの声は?聞き覚えのない女の声・・・)
悟空は刺青をしてない方を抑えながら頭痛に耐えていた。すると顔に刻まれた稲妻の刺青が
少し消えかかっていく。それを見てドラビルは目を見開く。
(刺青が消えかかってる・・・まずい!!)
「悟空様!!刺青が!!」
「刺青?」
ドラビルが叫ぶと悟空は鏡を見る。すると悟空も目を見開いた。そして呟く。
「さっきの声で・・『こいつ』が反応し始めたってことか・・・」
「悟空様・・・」
ドラビルは心配そうに悟空に駆け寄ると、悟空はドラビルを呼ぶ。
「ドラビル・・『例のモノ』を持って来い。ベジータも飲んでるはずだ。」
『例のモノ』という言葉にドラビルはかしこまりましたと深々と頭を下げ、去っていった。
悟空は歯を食いしばって鏡をにらみつける。
そして自分に言い聞かせるように鏡に向かってしゃべった。

「今更『お前』が出てきてどうする気だ?また『光』で『俺』を隠すつもりか?」
そう言うと悟空は鏡を割った。
「やっと俺はあいつらに復讐できるんだ・・お前は眠ってやがれ。」
すると悟空の消えかかっていた刺青が徐々に元に戻っていく。そしてドラビルの声がした。
「悟空様、『例のモノ』を持ってまいりました。」
ドラビルはお盆に載せたグラスを悟空に差し出した。悟空はグラスを取ると、グラスに入った赤い液体を飲み干した。
飲み干した後、悟空はふうと息を吐く。すると悟空の体から禍々しい黒い気が発せられる。
しばらくすると止み、悟空は伏せていた目を開ける。すると刺青がさっきより濃くなり、どんどん広がっていった。

「まだ『あいつ』を抑えてなかったのか?」
沈黙を破る声がした。声のするほうを見ると、ベジータが悟空が飲んでいたであろう同じものを飲んでいた。すると悟空は笑い返すと、口を開く。
「変な声にあいつが反応しただけさ。」
悟空はそう言うとドラビルに行くぞと言った。

「何処に行かれるのですか?」



「地獄だ」

カイ 2011年08月29日 (月) 00時09分(1243)
タイトル:光に包まれた闇

「そんな!!うそでしょう!?悟空さんが・・」
ピッコロから事情を知ったデンデが驚きに目を見開いた。だが、ピッコロは辛そうに本当だと言う。その言葉にデンデはそんな・・と青ざめる。
「正直僕も驚いたよ、デンデ。これが悪い夢なら覚めて欲しいって思えるほどに。」
悟飯は包帯を巻いてない左手で顔を覆った。


悟飯は目の前の光景に目を疑った。あれが自分の父なのかと混乱するほどに。
ピッコロを気絶させた悟空は不気味に笑っていた。
煙であまり見えなかったが、確かに悟空は不気味に笑っていたのだ。
そしてその後・・・
『『『『『『『『待て悟空(カカロット・孫)!!』』』』』』』
『借りは返したのに、うざってえ蠅共だ。』
悟空を止めようと仲間達が悟空に飛び掛った。が、悟空が面倒臭そうな顔をした。そして・・・
『どいつも、こいつも・・・うざってえんだよ!!!』
悟空が叫ぶと同時に次々と仲間が悲鳴をあげ倒れていった。悟空は倒れていく仲間を気にもせず、むしろ笑って傷つけていった。悟飯は久々に恐怖した。自分の父親があんな残酷な顔をしているのに。
体は動けなかった。恐怖で足がガクガク揺れる。

ドス!!!
『か・・は・・父さ・・ん・・?』
腹に激痛が入り、悟飯は目の前の人物に顔を上げる。
『俺はもう、昔の俺じゃねえ。俺の邪魔をする者は誰であろうと容赦しねえ。俺を信じなかったお前でもな。』
そう言うと悟空は笑っていた。悟飯は必死に手を伸ばすが、悟空には届かなかった。


「その後僕さ。気を失いかけたんだけど、ピッコロさんの気がまだあったことに気づいて何とか起き上がったんだ。」
悟飯はそう言うと左手を見る。
「届かなかった・・また・・また父さんに届かなかった・・・」
「悟飯さん・・」
悔しさと悲しみで顔を歪める悟飯にデンデは声をかける。
「悟空さんが敵になったのは、やっぱりそのドラビルっていう人が怪しいですね。
それと、ベジータさんの半身さんが言った『心の闇』っていうのも。」
「まずわからないことが多すぎる。そのドラビルっていう奴のことも。
そして孫の『心の闇』ということも。孫は言っていたな。
『俺の心の闇を理解できるのは、お前(ベジータ)しかいない。』と。孫がベジータを必要としていた意味は少しわかったが、孫の心の中には今まで『憎しみ』も『悲しみ』もなかった。それをどうやって『闇』にしたのだ?」
デンデの言葉の後にピッコロが続け、悟飯を見る。悟飯はわかりませんと首を横に振る。

「やはり貴様らも主様を理解していないのだな?」
「「「!!!!」」」
悟飯とデンデとピッコロが突然の声に目を見開き、声のする方を見る。
するとデンデの治療を受けていた神龍が起き上がった。まだ傷は回復していないみたいで、痛みに顔を歪めていたが。
「まだ安静にしていなきゃ駄目です!!」
「わかっている。しかし、こっちもオチオチ寝てるわけにもいかんのでな。」
神龍はデンデに治療させながら、悟飯とピッコロを見ていた。そして口を開いた。
「ドラビルは主様を『闇』に洗脳したんじゃない。主様の『闇』を使ったのだ。」
「父さんには『闇』なんてありませんでしたよ。それは界王様や界王神様も承知のはずです。」
悟飯の言葉にピッコロとデンデも頷き、いつの間に集まったのか他の仲間達も頷いていた。
バーダックとラディッツとターレスは首を傾げていたが。
神龍はそれはそうだろうと言うと、衝撃の言葉を口にした。

「主様の『心の闇』は誰も気づかない深い心の奥底にあったのだから。そしてそれは主様の『光』でずっと封印されていた。純粋な光でずっとな・・・」

カイ 2011年09月02日 (金) 00時04分(1247)
タイトル:心の闇

「光で封印されていた・・?」
悟飯が呟くと神龍はそうだと頷いた。
「つまり悟空はずっと誰にも悟られないような深い闇を心の奥底に隠してたんだよ。」
するといつの間に目覚めたのか悟空の半身のスーが起き上がっていた。
「だが、ドラビルは悟空のその闇を引きずり出した。それでできたのが、あの悟空の姿さ。悟空の闇を引きずり出し、悟空の心を壊し、闇で覆った。いわば悟空は闇そのもの。」
「「そんな・・」」
悟飯と悟天は信じられないような顔をして青ざめた。自分達の脳裏にはかつての純粋だった悟空の笑顔がまだ残っている。
「父さんが・・闇を持っていたなんて・・・そんなこと信じられないよ・・・」
悟天は首を横に振り続けながらまだ信じられなかった。すると突然神龍が声を上げた。

「だから貴様らは主様を理解していないのだ!!!!」
その声に思わず悟天は顔を上げ、他の皆も神龍の方を見た。悟空の半身達は表情を崩さなかったが。
神龍は負傷している腹部をギリッと強く握ると、皆を睨みつけた。

「貴様らが・・・主様の心を壊した原因になったことを何故理解しないのだ?!」




ズキン!!
収まったはずの頭痛がまた始まり、空間を移動していた悟空はまた頭を抑えた。
「大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。急いだ方がよさそうだな。」
ドラビルが悟空の異変に気づき、悟空を気にかけると悟空は頭を抑えながら答える。
(声は止んだはずだ。また反応し始めたのか?いやだ、ここまできたんだ。
やっと俺は表に出れたんだ!!)

悟空の心が壊れて・・・眠った。
『眠れ、悟空。俺がお前の代わりに壊してやるよ。』

(俺はあいつの代わりに壊すんだ!!あいつのために!!)
「着いたぞ。地獄だ。」


in地獄。
「全く、あの神龍という奴。願いを叶える只の龍だと思いきや、よりにもよってあの孫悟空の側近だとは。全く腹立たしい。」
「それはともかく、あの孫悟空が全ての世界の神だとはな。どこまで人をコケにしたら気が済むんだあいつは。」
地獄に住むフリーザとセルはブツブツ文句を言っていた。先ほどまで神龍にやられていたのにもう傷がなかった。
死んでいるので当然だが。


「神龍にやられていたのに、もう復活したのか?お前ら。随分と執念深い奴らだな。」
「「!!!」」
突然の声に二人は声のする方を向く。そこには・・

「「孫悟空!!!」」


「それほどお前らの俺に対する『憎しみ』と『恨み』が強いってことだな。それでこそ、都合がいいな。」
「悟空様。ここは私が「いや、いい。」
ドラビルが悟空の前に立とうとすると、悟空が手で制した。そしてベジータの方を向く。
「ベジータ。地獄にはたくさん『材料』がある。二人で山分けしねえ?」
「ふん、山分けなどするくらいいるのだから必要ない。」
ベジータの言葉に悟空はそれもそうだなと正面に向き直る。

「相変わらず何を考えているのかわからない奴ですね。それでこそ孫悟空といったところでしょうか?」
「お前らが何のために地獄に来たのかはわからんが、ちょうどいい。今度はベジータと一緒に地獄の底に突き落としてやろう。」
そう言うと二人は気を解放した。そのたびに地面が揺れる。しかし悟空とベジータは表情を変えない。それどころか互いににやりと笑っていた。

「それでいい、もっと俺達を憎め。そうすれば俺達は・・・」
「憎め、恨め。地獄の者達。そうすれば・・・」

「「心の闇を深くすることができる・・・」」

カイ 2011年09月07日 (水) 23時04分(1249)
タイトル:罪人の鎖


「覚悟しろ!!孫悟空!!ベジータ!!地獄で力を得た俺達のパワーを思い知るがいい!」
「力を得た?地獄がお前達に力でもやったとでもいうのか?」
セルの言葉に悟空は呟いた後、ベジータが笑い始めた。それにつられてドラビルもクスクス笑い出す。セルが何がおかしい?と三人を見ると悟空が眉をひそめながら口を開いた。
「何がおかしいって?そのままの意味だよ。地獄がお前らに力を渡したって勘違いしてるみたいだから。」
「まあ地獄が余程のことがない限り罪人に力なんか渡すはずがないからな。」
「というより、地獄がどういう所かわかってないみたいですね。」
三人が何を言っているかわからないセルは三人のマイペースぶりに思わず腹が立った。

「何を言ってるんだ?!貴様ら!!」
「全く、自分達がどのような状況になっているか、まるでわかってないようですね。」
フリーザが悪魔で丁寧に言うが、その顔には怒りマークがプチプチと付いていた。明らかに怒っているのがわかる。
「この人数で勝てると思っているんですか?先ほどは神龍がいたから手は出せなかったけど、今度はそうはいきませんよ。」
フリーザが指を鳴らすと同時に地獄の住人達(ほぼ顔見知りあり)が出てきた。
しかし悟空とベジータは周りを見渡すが、大して表情を変えなかった。


「ずいぶんと人を集めたものだな、フリーザ。前に地獄にいた時の二人相手とはえらい違いだ。・・・何を怯えているんだ?」
怯えている?この僕が?フリーザは歯軋りした。

「いちいち・・・」
「・・・・?」


「勘に触るヤロウだーーーー!!!!」



フリーザが奇声を発しながら悟空に飛び掛るように向かっていく。それが合図のようにセルと地獄の住人達はベジータとドラビルに向かっていく。


「地獄がどういう所かわかってないなら、教えてやる。」


「一つ、地獄は罪人に力を与える場所ではない。本能を呼び起こす場所。」


「二つ、地獄は支配する場所ではない。罪を攻められ、罪を一生償う場所。」


「三つ、地獄を無断で出てはならない。」


「四つ・・・」
悟空が言うと目の前にフリーザが奇声を発しながら、悟空に攻撃しようとする。が、


「地獄に堕ちた罪人は・・・『鎖』によって繋がれる・・・」
悟空の冷たい瞳を見た瞬間、フリーザは背筋が凍った。そして次の瞬間、自分と悟空の間に黒い鎖が遮った。そしてそれは自分の体中に巻きついていく。
「な・・何だこれは?」
鎖を引きちぎろうにもびくともしなかった。するとそばでセルも同じようになっていた。セルだけではない。悟空とベジータとドラビル以外、全ての地獄の住人が鎖に巻かれていたのだ。

「あいつはいくら罪人であろうとも鎖で繋げるのは可哀想だとか言ってたけど、今の俺はそんな甘い考えはない。」
「くっ、孫・・・悟空・・」
体中に巻かれていく鎖に身動きが取れないフリーザは、鎖の中から覘く目で悟空を睨みつけた。


「フリーザ、セル、ドクターゲロ、ドクターミュウ、そして地獄の住人達よ。お前達は償わねばならない・・地獄の掟に背いた罰と生前に犯した罪を。
そして・・もしも俺達が憎いなら・・・」
「その憎しみを俺達がもらい受けよう・・・」

そして辺りは鎖だらけになった・・・・

カイ 2011年10月03日 (月) 23時29分(1282)
タイトル:恨みのエキス

鎖だらけになり丸い球状になった地獄の住人達を見て悟空とベジータはにやりと笑った。
そしてドラビルを呼ぶとドラビルは返事をし、鎖の球状に向かって手を出す。すると手から淡い光が出て鎖の球状も光りだした。そして鎖の球状の隙間から血のような赤い液体が出てくる。ドラビルはそれをワイングラスに少しずつ注ぐと、ベジータと悟空に手渡した。
「地獄には本能と同時に恨みも数多く存在する・・ましてやあいつらは俺達に対する恨みが強い・・まさに『恨みのエキス』を作るのには打ってつけだな。」
「自分達が材料になるとは夢にも思わなかっただろうな。馬鹿な奴らだ。」
二人はそう言うと、ワイングラスに注がれた赤い液体ー『恨みのエキス』を喉を鳴らしながら飲み干していく。
しばらくすると二人の体からさっきよりどす黒い気が発しられ、刺青が更に広がっていく。

「これでもうあいつは目を覚まさない・・・」
「ドラビル。次の作戦に行くぞ。」
二人が言うとドラビルは待っていましたというような顔でにやりと笑うと、かしこまりましたと頭を下げた。

「あ!そうだ!」
悟空が突然何かを思い出したように声を上げ、後ろを振り向いた。するとそこには、物陰で震えながらこちらをみている老婆がいた。それは以前敵の罠に嵌り悟空が地獄で出会った老婆であった。(GT参照)
老婆は気づかれたことに気づき、すぐさま出てきて悟空に跪いた。
「も、申し訳ありません!!!あなたさまがあの、全能神様だったとは知らず、数々の無礼を、お、お許しください!!なので、い、命だけは!!!」
「命?命も何もここは地獄だぜ?ここで死んでも何も変わらないだろう?」
悟空が吐き捨てるように言うと老婆はならばと安心したような顔で顔を上げたが、顔を上げた瞬間、凍りついた。

「だが、俺様破壊神と悪のドラゴンのドラビルが殺せば、どうなると思う?」
ベジータとドラビルが老婆に向かって手を出していた。二人の顔は今までにないくらい残酷な顔をしていた。老婆がひっと悲鳴をあげる。すると、

「やめておけ、ベジータ、ドラビル。」
悟空が二人を手で制すと、ベジータは舌打ちをし、ドラビルは手を下げた。
「こんな奴に情けをかけるつもりか?カカロット。闇に堕ちても甘さは相変わらずだな。」
「別にそうじゃねえさ。こいつには、やってもらうことがある。そして・・」
悟空はそう言うと違う方向に目を向けた。すると、そばの茂みから二人の鬼が現れた。
それは悟空の顔見知りのゴズとメズであった。

「よう、久しぶりだな。」
「お前は・・孫悟空・・なのかオニ?」
ゴズとメズが言うと悟空は首を傾げる。
「何言ってんだよ?正真正銘俺だよ、孫悟空だよ。」
「そ・・孫悟空は、俺なんて言わなかったオニ。」
ゴズが言うとメズがそうだそうだと言い、悟空を指す。
「そ、それに、孫悟空はそんな怖い顔してなかったオニ。」
ゴズとメズの言葉に悟空はふーんと言いながら、二人を見る。

「もう、お前らの知っている孫悟空はいない。この中でずっと眠ってる・・・」
悟空はそう言うと自分の頭を指差す。
「悟空様、話はそれぐらいにして次の作戦に移りましょう。」
ドラビルが言うと悟空はにやりと笑い、そうだなと言った。するとベジータが逃げようとしていた老婆を引きずってゴズとメズの方に投げる。そして地獄にいる鬼達を全て集めた。


「おい、お前ら。今すぐ閻魔を呼べ。俺達はこれからこの世界と宇宙に全てに宣戦布告すると。」

カイ 2011年10月17日 (月) 23時08分(1313)
タイトル:閻魔界への異変

「お父さんの心を壊した原因が・・・僕達にある?」
悟飯は神龍の言葉に驚いた。そんな悟飯を見て神龍はほとんど塞がった傷を見た後、デンデに治療させるのをやめ、立ち上がった。
「なぜ貴様は理解しようとしない?またそうやって自分に『嘘』を付く気か?悟飯。」
嘘?
僕が自分に嘘をついた?
「貴様は嘘つきだ、悟飯。そして皆、ここにいる者は主様の半身殿や兄上以外は全員嘘つきだ!」
神龍は叫んだ後、血が出るくらい手を握り締めた。まるで全てに腹を立ててるように。
そんな神龍を見てポルンガが宥めようとする。
すると、
沈黙を破るような声と全身を駆け巡るような気を感じた。

「大変じゃ!!!」
声の主は老界王神の声だった。老界王神の声に只事ではないと察した悟空の半身のカカは、水晶を取り出し、宙に投げた。すると水晶が光り大きくなった後、老界王神が映りだした。

「全能神界に通信に時間がかかったが、地獄と閻魔界が大変なことになったぞ!!」


数刻前ーin閻魔界
「しかし、まさか悟空があの全能神様だったとは。だが、今回その全能神様が悪に落ちてしまうとはな。」
悟空の異変に閻魔は頭を抱えた。
するとバタバタと何かが駆けてくる音がし、ドアが勢いよく開けられた。
「閻魔様!大変です!!不審な奴等が!!そして地獄が大変なことぐあ!!!」
言い終わる前に閻魔に報告をする青鬼はドアを破壊する爆風と共に吹き飛ばされた。閻魔は爆風で辺りが砂煙が舞う中、歩く音を聞いた。
「閻魔を呼べはいいのに、逃げやがって役立たずな奴だ。」
「仕方ありませんよ、地獄で貴方様達の気に触れた瞬間、鬼達は全員気絶してしまったんですから。」
「ふん、おかげで閻魔界にわざわざ行くことになるとはな。」
「まあいいじゃねえか。計画に支障はつきものだろう?」
聞き覚えのある二つの声と気。そして聞き覚えのない一つの声と気。

「よう、閻魔。」
「!」
煙が晴れ、そこにいたのは・・・

「全能神・孫悟空様・・・」

カイ 2011年11月05日 (土) 00時05分(1326)
タイトル:閻魔界の危機

前からずっと彼が普通の人間ではないことはわかった。
神をも超える力がある彼が自分達の知らない世界に行ってしまった後、こんなに長い年月が過ぎるのを長く感じたのは、いつからだったろうか?
だが、彼が再び現れた時、全てがわかった・・気がする・・

「どうした?閻魔。数百年ぶりの先輩の顔を見て、驚いているのか?先輩でもあり、名付け親でもある俺を・・」
「全能神・孫悟空様・・」
悟空は笑っていた。その顔は冷たく、恐ろしいほどに。
「我々は目的のためにここへ来た。閻魔、貴様にやって欲しい事がある。」
ドラビルが閻魔に剣を向けると、閻魔は目的?と聞き返す。
「これは命令だ。貴様に拒否権はない。もしあるなら・・・」

ドン!!!
「ぐは!!」

逃げようとしていた鬼の一人にベジータが持っていた拳銃を撃つと、鬼は倒れた。そして悟空も閻魔の目の前で消えると、逃げようとしていた鬼や四人を見ていた鬼達数名を一瞬の内に刀で斬り捨てたり、気を放ちながら殺していった。
「「こうなるぜ?」」
二人は不気味に笑いながら、散らばり血の匂いのする死体を踏みつける。

「貴様に拒否権はない、閻魔。あの方達の命令を受けるしかない。」
ドラビルはそう言うと閻魔の目の前に鬼の首を見せた。それは地獄を管理している鬼の一人の首であった。
「何だ、ドラビル。わざわざあいつら斬り捨ててきたのか?」
悟空が言うとドラビルは鬼の首を閻魔の前に投げる。
「一応、念には念です。それに貴方様達の命令も聞けず、すぐ気絶するような輩は死んで当然ですから。」
ドラビルが言うと閻魔は鬼の首を見ながら歯軋りする。
「貴様ら・・・」
「貴様ら?」
閻魔の言葉にドラビルがピクリと反応すると、瞳孔を開き目をぎらつかせた。そして・・

ドゴン!!
「がは!!」
閻魔が机と共に床に叩き付けられる。一瞬のことだったので閻魔は何が起きたのかすぐに理解できなかった。すごい力で押さえつけられているらしく起き上がれない閻魔は目だけで自分の状況を把握した。どうやらドラビルが自分を押さえつけているらしい。しかし驚くのはそれがたった片腕で巨漢の閻魔を押さえつけていることだ。
「我らが仕える主様達に向かって貴様らとは何だ?自分の部下一人守れず、挙句の果てに地獄やあの世一つ守れない閻魔風情が、偉そうな口を叩くな!!」
ドラビルが閻魔にそう言うと押さえる手に力を込める。メキメキという音を立て、閻魔は更に床に沈んでいく。

「待て!!」
すると沈黙を破るような声が響いた。悟空とベジータが振り向き、ドラビルは目だけを向ける。

「やっとおでましか。」

カイ 2011年11月19日 (土) 23時48分(1356)
タイトル:危機に駆けつける者達

「やっとおでましか。」
悟空はにやりと笑うと、声の主の方を向いた。
「さしずめ閻魔界の危機を界王神から聞いたのだろう?」
「悟空・・貴様・・・」
「なのに、肝心の界王達がいないとは・・・やはりあいつらは腰抜けだな。」
そこにいたのは、それぞれの界王星にいる住人達であった。いや、正確には過去悟空とあの世一武道会で戦った者達や顔見知りの者達だった。
「何を言っている孫悟空・・。閻魔界の危機であっても、界王様達がわざわざ来るわけないだろう?」
オリブーが言うと悟空は鼻で笑ってオリブーを睨みつける。オリブーは思わずぞくりとした。
「それが腰抜けだっつうんだよ!!部下の危機を他の奴らに任せて、自分達はどうせ前みたいに茶でも啜ってんだろうが!!それが腰抜け以外のなんだっつーんだよ!!」
「何だと!!」
悟空の侮辱の言葉にさすがのオリブーも怒り、悟空を睨みつけた。
しかし悟空は睨み返す。すると悟空の顔に刻まれた刺青が鈍く光り、更に深くなっていく。
「さしずめ俺達を止めるために界王星全ての戦士達を送りつけたようだが・・俺達も随分甘く見られたようようだな・・・」
ことの成り行きを見ていたベジータが米神に皺を寄せながら、魔神銃に弾を込めた。するとベジータの顔の悟空と反対に刻まれた刺青が鈍く光り、更に深くなっていく。
「ドラビル。閻魔を離してやれ。」
悟空が言うとドラビルはかしこまりましたと閻魔を離した。閻魔は長いこと床に沈められたせいか、気を失っていた。
「ふん、腰抜けが。」
ドラビルは吐き捨てるように言い閻魔を蹴った後、二人に歩み寄った。
「悟空様、ベジータ様。ここは私が「「いい。」」
ドラビルの言葉を遮るように二人が言うと、ドラビルは大して表情も変えず、頭を下げた。
「かしこまりました。あまり無茶をなさいませんように。」
「俺達が無茶するように見えるか?」
「貴方様達に少しでも傷がつくようであれば、瞬時に私はあいつらを斬り捨てますので。」
そのつもりでとドラビルは紫色の瞳を赤く変え、二人から下がる。
「わかったよ、ドラビル。なるべく返り血さえ浴びないように済ませるから。」


「来い、腰抜け共。」
「てめえらの界王達に見せ付けてやるよ!!てめらの愚かさをな!!!」

構えを取り向かってくる戦士達に悟空とベジータは地面を蹴った。

カイ 2011年11月26日 (土) 23時01分(1384)
タイトル:生きる希望

貴方に闇は無いと思っていた・・
だって貴方は我々に全てを与えてくれた光だから・・
でも、そんな貴方だからこそ・・光の中で闇を持っていたことに気づけなかったんだ・・


地獄で悟空とベジータとドラビルが暴れまわっていると聞いた途端、全能神界で途轍もない激しい地震が起こった。
「な・・何・・?!」
「激しい気のぶつかり合い?!この気は父さんとベジータさんだ!!」
立っているのも辛いほどの地震に女性陣達は膝をつく。18号やパンも冷や汗が出た。しかし悟空とベジータの半身達は慣れているのか大して表情を変えていなかった。
「全能神界まで影響するとはな・・何百年ぶりだ?」
「呑気なこと言ってんじゃねえよ。全能神界まで影響するってことは、それほど悟空の闇が深くなったってことだ。・・そしてベジータもな。」
「そんな?!早く何とかしないと!!」
半身達がそれぞれ言うと何かを切り裂く音がした。音の方を見ると神龍が虹色の剣を持ちながら空間を切り裂いていた。
「主様・・・」
肩で息をしながら神龍が虹色の剣を引きずって切り裂いた空間に入ろうとすると、剣をつかむ手があった。
「無理に『時空剣』を使うな。その剣が常人にはきついこと知ってんだろう?ここで体力を無駄に使うな。」
「はい・・申し訳ありません。」
悟空の半身のカカが剣を神龍から取ると空間に戻した。剣はまるで水の中に手を入れるように空間に戻っていった。
「お前だけ行こうとするなよ。これは俺達の問題でもあるんだからな。」
「だったら、僕達も行く権利はありますよね?」
悟飯の声にカカが頭を抱えた。どうやら会話を聞かれたらしい。
「仕方ねえな、止めても無駄なのは悟空譲りか。さっさと行くぞ。でもその前に・・」
「その前にって何よ?」
ブルマが渋るように言うがカカは無視して、神龍とポルンガを呼んだ。
「空間はその内閉じると思うが、神龍とポルンガは悟飯達と行動しろ。」
二人に命令すると二人は頷き、カカ達は額に指を当てて気を集中させた。
「行くぞ。」
そして全員その場から消えた。


「これは・・ひどい。」
「主様・・」
「ねえ、神龍。」
「何だ?」
「どうして神龍はそこまでお父さんに拘るの?まるでお父さんに執着してるように・・」
神龍はしばらく黙っていたが、口を開いた。

「主様は、我々龍神族に・・生きる希望を与えてくれたからだ・・・」

カイ 2011年12月09日 (金) 00時23分(1417)
タイトル:役目と言う名の希望

我々がいつ、どこで生まれたかなどには興味は無かった・・
神によって生まれたのか・・・
人によって生まれたのか・・・
自然によって生まれたのか・・・

そんなものに興味など無かった・・・

まだ世界が暗闇だった頃・・・神が気まぐれで大地と空を作った。大地が生まれたことにより、森が溢れ、自然が作られた。そんな話を私は遠い古文書に書いていたのを見て知った。
だけど我々がどうやって生まれたかなどはどこを探しても書いてなかったので、興味を失った。
幼い頃から自分達が他とは違うことは知っていた。
長すぎる寿命、高い知能、鋼鉄のような鱗の肌、尖った耳、真紅の瞳。
伸縮自在の体、再生能力、変身能力・・きりが無い・・・
そのためか我々がいつの間にか『魔物』に近い存在と言われるようになった・・・
そしていつしか神獣や霊獣などとも言われるようになった・・・

だからといって自分達が特別なんて思わなかった・・・
ただひっそりと長い寿命の中で、生きていたかった・・・

そうすれば我々が何のために生まれたのか、判る気がした・・・


それなのに・・・


『いたぞ!!逃がすな!!』
『捕まえろ!!龍族だ!!』

我々を捕まえる者が現れた・・


「我々は最初から神に仕える役目があったわけじゃない。」
「え?でも、神に仕える役目を代々受け継いでいるって言ってたじゃないですか?」
「それは主様が全能神だった時からだ。」
「え?じゃあ、お父さんが生まれる前に龍神族は生まれてて、その前は神に仕えてたわけじゃなかったんですか?」
悟飯が言うと、神龍は口を閉ざした。代わりにポルンガが話し始めた。
「我々が仕えるのは悪魔でも主様が生み出した神達のみだ。その前に神は滅んでいる。」
「滅んでいる?」
「前に言っただろう?この世界そのものが平行世界だと。それと同じことだ。」
「同じこと?」
ポルンガの言葉を呟いてみるが、悟飯はどうゆうわけかまだ理解できなかった。

まだこの時の悟飯や他の者達には、二人の言葉の意味は理解できなかった・・・

「一応言っておく。我々は神に仕える役目を与えられたから、生きていけた。主様がいたからだ。」

カイ 2011年12月11日 (日) 21時05分(1429)
タイトル:魔物現る・・

今回はオリキャラがでます。
名前を見ればわかると思います。


お前がんで転生してからどれくらいの年月が経っただろう・・?
でもやっと見つけたお前は・・・変わってしまっていた・・・
何があったんだよ?また一人で苦しんでいるのか?
ベジータ・・・


時同じくして違う場所でフードに身を包んだ黒い影があった。
「この気は神龍か。俺の気には気づいてないみたいだな・・・急ぐか。」
黒いフードの男はフードを上げると、その場から消えた。



その頃、閻魔界では・・・
周りは地獄絵図と化していた。
悟空はまるで戦いを楽しむかのように、残酷な顔をして笑いながら、次々来る相手を斬って行く。そこには、かつての彼の面影はまるでなく、悟空の仮面を被った魔物がいるかのようだった・・・
「く、くそ・・・」
悟空にやられた傷を庇いながら悟空を睨みつけ、背後から攻撃を仕掛けようとした瞬間。
ドン!!!
「が・・・がは!!」
発砲音と硝煙の匂いがし、撃たれたことに気づいたのはほぼ同時だった。
足を撃たれ、倒れる瞬間振り向くと、ベジータが煙の昇った拳銃を向けていたのが見えた。
「全く、殺すなら徹底的にやれ。敵の背後に油断を見せてどうする?」
「おう、わりいな。あんまり小さな気だったから、油断してた。」
「うそつけ。俺にやらせるつもりで、わざと油断してたんだろう?」
バレたかと悟空は笑うと、ベジータは舌打ちして、背後からくる敵を拳銃のグリップで殴ると、エネルギー弾で吹き飛ばした。相手を殴った時に付いた血を見ると、ベジータはまたも舌打ちして手ぬぐいで拳銃に付いた血を拭き取り、拳銃を仕舞った。
「あれ?もう仕舞いか?」
「違う、無駄な銃弾を使いたくないだけだ。やはりこれで斬った方がやりやすい。」
そう言うとベジータは黒い羽を一枚抜くと、漆黒の剣に変わった羽を持つ。
そして自分が撃った相手へと歩み寄った。
「光栄に思え。貴様はこの俺の剣で終わらせてやろう・・・」
ベジータはにやりと笑う。その顔はまるで今までにないくらい残酷な顔だった・・・

そしてベジータは剣を振り上げた。
漆黒の刃がキラリと光る。
「さらばだ・・・」
そして剣が振り下ろされた・・・

すると・・・


ガキーーーン!!!
「「!!」」


「悟空と同じくこの乱れた気の持ち主は・・・やっぱりお前かベジータ。」
「何者だ?お前・・」
ベジータとベジータによって殺される者の間に割って入り、ベジータの漆黒の剣を受け止めたのは全身黒ずくめだった。ベジータが邪魔をされたことに眉間に皺を寄せながら怒っていると、黒ずくめはフードから覘く目でベジータを見た。
「何者とは失礼だな。かつての仕えていた側近兼部下の顔をお忘れか?ベジータ。」
黒ずくめはそう言うとフードを捲った。フードを捲った顔を見た瞬間、ベジータは目を見開いて、黒ずくめの名前を呼んだ・・・

「ケルドゥン・・・」

カイ 2011年12月15日 (木) 00時03分(1441)
タイトル:ケルドゥン

どうして、僕の周りには邪魔ばかりいるのだ?
どうして、あいつらは、僕の手に入れたものを奪うんだ?
どうして、あいつらは、僕から奪ってばかりいるんだ?
どうして、あいつらなんかが、あの方達の『隣』にいるんだ?!やっと・・・
やっと・・手に入れたのに!!!??


「神獣族ケルドゥンか・・」
「龍神族に滅ぼされた、ドラゴン族の生き残りであるドラビルか・・お前がどうやらベジータをこんな風にした元凶か。ベジータだけじゃなく、悟空も。」
ケルドゥンと呼ばれた黒ずくめはフードを取ると、獣の目でドラビルを見る。ドラビルはふと笑うと、口を開いた。
「こんな風にとは、失礼ですね。私はあの方達の闇を解放してあげただけ。そしてあの方達は、それを支配した。それだけです。」
「悟空はそうかもしれないけど、ベジータは闇に染め直しただけだろう?ベジータは闇を持っていたとしても、こんな風にはならない。ベジータはそんな柔じゃない。」
「なぜわかるのです?あの方達の何を知っているのです?」
「悟空はまだわからないこと多いけど、ベジータにはずっと仕えてきたからわかる。俺はベジータの側近で、ベジータは俺の主君だからな。」
『側近』と『主君』という言葉にドラビルはピクリと反応した。そして見えないように歯軋りする。
「知った口を利くな!!」
ドラビルが叫ぶと同時に、一瞬で移動し、ケルドゥンに刃を向ける。ケルドゥンがとっさに飛んでかわすと、ドラビルが攻撃したところが穴が開いていた。ドラビルは瞳孔を開いた目でケルドゥンを睨みつけると、奇声を発しながらケルドゥンに向かっていく。
「さすがドラゴン族で『ドラビル』を継ぐ者。口先だけじゃないか・・!」
ケルドゥンが腕に仕込んでいる武器を出すと、体制を立て直しドラビルに向かう。しかし、
ズバ!!
「がは!!」
ドラビルに意識を向けすぎたためか、ケルドゥンは自分の左右に気が回っておらず、まともに攻撃を受けてしまった。悟空とベジータによって。
「神龍と同じく油断しすぎじゃねえのか?」
「戦いの最中に気を抜かず、いつでも武器と盾になること。そう教えたはずだぞ、ケルドゥン・・」
両端から斬られたことに気づいた後、ケルドゥンは血を噴出しながら真っ逆さまに落ちていった。ケルドゥンが落ちたことを確認すると、悟空とベジータはドラビルの元に戻った。
「な・・何故?」
「ドラビル。安い挑発に乗るな。挑発に乗っていたら、お前は間違いなくケルドゥンに傷を負わされていたぞ。」
「え?」
「相手を挑発に乗せんのは、お前の得意分野だろう?逆に乗せられてどうすんだよ?」
悟空がそう言うとドラビルは申し訳ありませんと頭を下げる。
「一応言っとくが、俺はお前を助けたわけじゃない。邪魔されんのが気に食わんだけだ。」
ベジータが言うとドラビルははいと返事をする。

「さすが力が戻っただけあって、強いな。」
落ちた場所で煙が上がる中、ケルドゥンの声がした。三人が振り向くと、使い物にならなくなった腕を抜いて再生させたケルドゥンがいた。
「まあ、俺や神龍じゃなかったらんでたな。」
ケルドゥンは腕に仕込んでいた武器を再び再生させた腕に付けると、構える。
「一応言っとくけど、俺がここに来たのは、二人を戻すためだ。そしてドラビル。お前を倒すためにな。」
「そういう所は神龍と似ているようですね。」
「あんな奴と一緒にすんなよ。あんな堅物で心も体も鎧のような龍とよ。」

「私も貴様のような喧嘩っぱやい獣の寅と一緒にされたくない。」
「あ?」
突然声がし、ケルドゥンが声の方を向くと足音がし、煙の中から神龍が現れた。その後ろにはピッコロやパイクーハン達もいた。
「何だ、もう来たのか?相変わらず来るのが遅いな、神龍。体も鎧だから亀だな。」
「貴様も相変わらず喧嘩っ早く雑巾のようにボロボロになるのが好きだな、ケルドゥン。」
「そういうお前だってドラビルに喧嘩売ってボロボロにされたじゃねえか、鉄くずになったようだな。」
「貴様のような雑巾と一緒にするな。」
「俺だってお前のような鉄くずと一緒にされたくねえんだよ。」
この状況で言い争いを始めた二人にピッコロ達は何をしているんだ?と思った。すると、神龍はふんと言いながら悟空達に目を向ける。
「今貴様と話す時間は無駄だ。私達が来た理由は主様達だ。」

「ドラビル。今ここで貴様を倒す。悟空様とベジータを戻すために。」

カイ 2011年12月29日 (木) 23時05分(1542)
タイトル:闇の半身

俺の何を知っているというのだ?
どいつもこいつも・・・イライラする。
どいつもこいつも・・・ムカつくんだよ!!


「戻す?何を言っているんだ?神龍。戻すも何もこれが本来の俺、いや俺達だぜ?」
「それはあなたの本心ではない。あなたの中にいる『闇のあなた』の言葉だ。主様の心の闇によって生まれた、『闇の半身』の言葉。」
「!!!!」
神龍の言葉に悟空はにやりと笑う。その場にいる者達ーベジータとドラビルや半身達意外は神龍の言葉に目を見開いた。
「俺の、いや悟空の半身達は知っていたようだけど、まさかお前までもが知っているとはな、神龍。」
「ドラビルは言った。主様の心の闇を解放したと。つまりそれは、主様の心の闇を解放したことにより、その闇が主様を乗っ取ったということ。そしてその闇が具現化した姿こそ、闇の半身である今のあなただ。」
「半分正解だが、半分違うな。」
「何?」
「俺は確かに悟空の心の闇によって生まれたが、元から悟空の中にいた存在。ドラビルが闇を解放した時によって具現化したんじゃなく、解放する前から俺は悟空の中で具現化してたんだよ。」
「何だと?!!」
「何だ、やっぱりさすがの神龍もそこまで理解できてなかったようだな?悟空の心の闇を知っていたのは利口だったが、『あいつ』や『俺』を知っているのは、ドラビルとベジータだけだ。」
「俺も知ってたさ。」
悟空の半身あるカカが言うと悟空は目を向ける。

「勿論悟空も知っていた。だけど、悟空はそれを恐れていた。そして自分の闇を克服したんだ。悟空はそう言う奴だから。」
「だけど、その悟空はいまはいない。・・・この檻の中で啼いている・・・」
そう言うと頭を指差した。
「そしてあいつはもう二度と目覚めることは無い・・ずっとこの檻の中で目覚めず、苦しみながら眠り続けるのさ。」
「なんてことを・・!」
「ドラビルは俺を解放してくれた。いや俺達をな。」
悟空がそう言うとドラビルは余裕の顔をして頭を下げる。すると、



「悟空、やめるんじゃ!!」
「あん?」
突然声がし、悟空が顔を上げると北の界王の声が聞こえた。北の界王の声だとわかると悟空は舌打ちする。
「気安く俺を呼び捨てにすんじゃねえよ。」
悟空が声のする方を見ながら睨みつけると、ベジータも同じように声のする方を睨みつけていた。
「お主が全能神様だということはわかった。だがワシらはそれを知るためにお前をずっと探し続けていたわけじゃないぞ。ましてや、お前は知っておったのか?ワシらがどれだけお前をずっとあの世とこの世で長いこと探し続けていたのかを?!その苦労をお前は踏みにじっておるのだぞ?!ワシらの知っておるお前ならわかるじゃろう?!!」
「知った風な口聞いてんじゃねえよ!!!」
悟空が怒鳴ると体から禍々しい黒い気が溢れ、地面が揺れた。


「どいつもこいつも・・・ムカつくんだよ!!」

カイ 2012年01月09日 (月) 13時40分(1596)
タイトル:異変

「てめえらに、俺の何がわかるんだよ!!??俺を、いや悟空をずっと探してた?あの世とこの世で?だがそれは何のためだよ?!自分達の都合のいい時だけだろう?自分達じゃ何もできないから悟空を呼びつけるんだろ?今までだってずっと悟空が世界を宇宙を守ってきたのに、礼の一つもよこさねえじゃねえか?!悟空がいれば、悟空さえいれば、そんなことでずっと苦しめてきたくせによ!!知った風な口聞いてんじゃねえよ!!」
悟空の顔の刺青が前より濃くなり、気が大きく膨れ上がった。
あまりに禍々しいので、その場にいた者達の中には膝をつく者達もいた。
「悟空・・」
クリリンは悟空を見ながら今までの悟空の笑顔などを思い出していた。
いつも笑っていた悟空。
戦いではいつもわくわくする顔をしていた悟空。
今までの自分の知っていた悟空が音を立てて崩れていく・・・
「悟空・・」
「気安く俺をその名前で呼ぶんじゃねえよ。俺は悟空の心の闇によって生まれた闇の半身、ヴェルインだ。まあ、悟空は俺であって、俺は悟空自身でもあるから同じだけどな。」
「そんな・・」
「だから俺は・・」
何か言おうとした瞬間、悟空ーいやヴェルインの体から大きく膨れ上がった気が止まった。そして・・・
「ぐ・・ぐああ!!」
急に苦しみ始め顔の刺青を抑えながら膝をついた。


『・・・やだ!!やめてくれ!!』
頭の中から自分と同じ声が聞こえた。
「てめえ!!」
『やだ!!』
「・・うるせえんだよ!!てめえは大人しく寝てやがれ!!」
刺青を抑えながら叫んでいるヴェルインに、クリリン達は一体何が起きたのか理解できなかった。
「どうしたんだ、悟空の奴。いきなり苦しみ始めたぞ?」
「主様が・・心の闇と戦っているのです。」
「え?」
「先ほど心の闇から生まれた闇の半身様は、主様が眠っていると言いました。しかし主様が目覚めたということです。」
「じゃあ、悟空はまだ、完全に体を乗っ取られたわけじゃないんだな?」
クリリンが言うと神龍は頷いて刀を構えた。神龍の行動にクリリンがどうしたのか聞くと神龍は口を開いた。
「今が好機。主様、少し痛い思いをしますが、お許しください!!」
「おいおい、俺を忘れてんじゃねえよ。」
ケルドゥンが言うが、神龍は無視した。二人が構えを取ると、地面を蹴った。

しかし・・・


「うるせえって・・・・言ってんだろう!!!」

禍々しい気がその場を覆い尽くした。

カイ 2012年01月24日 (火) 23時39分(1666)
タイトル:未来で・・

聞こえる・・・あの声が。

今、行くから・・


悟空の闇の半身であるヴェルインが禍々しい気で閻魔界を覆い尽くしていた頃、未来の世界で異変が起きていた。
全身を駆け巡るような強い気に気を失っている悟空とベジータの様子を見ていた悟飯が思わず外に目を向ける。
「何だ、今の?父さんの気に似ている・・でも、父さんは寝てるし・・」
悟飯が外に目を向けていると、外の様子がおかしいことに気づいた。窓に駆け寄り外を見ると空の天気がめちゃくちゃでオーロラのようなものが起きているが、まるで滅茶苦茶だった。
「何が起きてるんだ?」
悟飯が外の異変に混乱していると、眠っていた悟空の体が痙攣を起こすようにびくっと跳ねた。悟飯が今度は悟空に目を向けると、悟空の体から禍々しい気が溢れ、悟空はうっすらと目を開ける。
「お・・お父さん?」
悟飯が悟空に声をかけるが、悟空は体を起こしたまま答えない。その目には先ほどの恐怖の瞳ではなく、まるで焦点のあってない瞳だった。すると眠った時には消えていた顔の刺青が表れ、深く深くまるで侵食するようにビキビキと音を立てながら広がっていく。

「行かなきゃ・・・今、行くから・・・」
悟空はそう呟くと、焦点の合ってない瞳のまま歩き出した。悟飯がはっとして悟空を呼ぶが悟空は答えない。そして空間に手を入れると、空間から剣を取り出して空間を切った。
空間の裂け目を作ると、悟空は空間の裂け目に入ろうとするが悟飯が叫んで止めようとする。
「お父さん!!やめてください!!」
「悟飯・・」
「え?」
後ろから悟空を抱きしめるように止めると悟空が自分を呼んだ。

「どうして・・・?」
「え?」


「どうして・・わかってくれないの・・・?」
「え・・?」


ズバーーーン!!

辺りが血で染まった・・・

カイ 2012年01月27日 (金) 00時13分(1681)
タイトル:紅く染まる・・・

父さんが言った事がどういう意味なのか理解できなかった・・・

でも、どうしてあなたは・・・

そんな『悲しい目』をしてるのですか・・?


「お・・お父さん・・?」
周りが紅く染まっているのは気のせいではないだろう・・そしてその紅いものが自分の血で斬られているのは自分だった・・・そんなことをなぜかぼんやりと考えてしまったのは、斬った相手が自分の父であるー悟空だったからだ。
「どうして・・・わかってくれないの・・?」
悟空は何度もその言葉を呟きながら倒れていく悟飯を見ていた。悟飯には自分が倒れていくのがまるでスローモーションのように見えた。スローモーションのように見えていたからなのか、床に倒れる寸前、悟空の顔の刺青が刻まれていないほうから涙が溢れ、白い頬に流れていた。
「おめえは・・オラの気持ちを・・どうして・・わかってくれないの・・?」
悟空はそう言うと悟飯の血で汚れた顔をふき取ると、悟飯に背を向け、切り裂いた空間に歩み寄る。
「待って・・父さん・・」
悟飯が体から流れる血と痛みに堪えながらそれでも悟空を止めようと手を伸ばした。すると

「邪魔だ。」
ズン!!と自分の手を誰かが踏みつけ、悟飯は痛みに顔を歪める。悟飯が踏みつけられた衝撃で折れた手を握り締めながら、踏みつけた相手を見ると目を見開いた。
「べ・・ベジータ・・さん。」
それは気を失っていたはずのベジータだった。そして彼も悟空のように顔の刺青が先程よりも広がっている。
「行くぞ、カカロット。あいつが・・待っている・・シュテールが・・」
「ヴェルインも・・待っている・・」
シュテール?ヴェルイン?
悟飯は二人が何を言っているのか理解できずに、上半身だけを起こした。

「「俺達の・・闇の半身が・・待っている・・」」
悟空とベジータはそう言うと空間に入っていった。

「父さーーーーん!!!ベジータさーーーん!!」
悟飯は必死に二人を呼んだが、二人は空間に入ったまま消えていった・・・

カイ 2012年02月04日 (土) 22時22分(1720)
タイトル:ターナの声

「すごい気の乱れだ!!一体、どこまで続くんだこの道は?!」
悟空とベジータが切り裂いた空間の中で未来のトランクスはなかなか目的地に着かないことに焦っていた。
『助けて・・』
「え?」
頭に響く声に周りを見渡すが、周りには誰もいない。
『あの子を・・・悟空を助けて・・・』
これはテレパシーか?と思ったトランクスは前に悟飯が言っていたことを思い出し、その声の持ち主に話しかけた。
「あなたは?」
『私は・・ターナ。悟空の母親。』
悟空さんの?とトランクスは驚きに目を見開いたが、また話しかけた。
「一体、悟空さんに何があったんですか?父さんも異常じゃない。」
『あなたの行き先に全てがわかるわ。でも、お願い。あの子の・・悟空の孤独と闇を救ってあげて・・』
その声がひどく悲しんでるのがわかったトランクスは、わかりましたと返事をした。

しかし・・・
『危ない!!』
「え?」
トランクスがはっとして後ろを向くと、そこには・・・

「「どけ。」」
「悟空さん・・父さん・・」

未来の世界にいたはずの悟空とベジータがいた。

ズバーーーン!!

二人に背後から斬られたトランクスは血を撒き散らしながら、空間の中を堕ちていった・・




その頃、閻魔界では・・
気でその場を吹き飛ばした悟空の闇の半身ーヴェルインが肩で息をしながら苛立っていた。
「くそ・・いきなり出てきやがって。」
「ヴェルイン。ずいぶん派手にやったな。」
「悪いな、シュテール。ちょっと油断してた。」
「恨みのエキスでしたら、まだたくさんございます。今回は引き上げましょう。」
ドラビルが言うとヴェルインはそうだなと言い、ベジータの闇の半身であるシュテールに行くぞと言った。シュテールは舌打ちすると、俺の分まで取りやがってとブツブツ文句を言った。
すると・・

「お待ちください。主様。」
「まだ、終わっちゃいねえぜ、ベジータ。」
周りを気で吹き飛ばして倒れている者達の中、唯一倒れていないケルドゥンと神龍が怪我した肩を掴みながら起き上がった。
「まだ、動けるのか神龍。僕にやられた君が、そんな体で何ができるのさ?」
ドラビルが馬鹿にしたように言うと、神龍は怪我していない手で刀を抜くと、刃を向ける。
「今の主様は、闇の半身。でも、元の半身様達が体から抜けた今、あなたは超サイヤ人にはなれぬはず。だったら、今が好都合。」
「そうだな。でも・・・」
ヴェルインが言うとヴェルインの背後から悟空の半身の一人であるカカが現れ、悟空に攻撃をした。しかし・・ヴェルインは見えていたかのように背を向けたままカカの拳を受け止めて、自分の方に引き寄せるとカカの腹部に気を放った。
カカが吹っ飛ばされたのを見てるとシュテールも背後から現れたベジータの半身の拳を受け止め攻撃した。

「「こうなること事態は予測できるさ。」」

倒れた半身の二人を見た後、ヴェルインはにやりと笑う。

「わざわざ半身同士で融合して攻撃したようだが、本体には勝てるわけじゃねえ。それに・・俺達がそんなこと考えてなかったとでも思うのか?」
「何だと?どういう意味だ、ヴェルイン。」
カカが起き上がると、ヴェルインはにやりと笑う。そして目線を前に向ける。
すると・・・

空間が切り裂かれ・・・

「なあ、未来の世界の悟空とベジータ・・」

そこには・・悟空とベジータがいた。

カイ 2012年02月11日 (土) 23時53分(1756)
タイトル:ヴェルインとシュテールの目的

「ちょっと手間取ったが、何とか来た。」
「とんだ邪魔が入らなければ、すぐに来るはずだったがな・・」
「別にいい。計画に不都合はつきものだ。」
未来から来た悟空とベジータにシュテールはそう言うと、二人は互いに顔を見合わせた後、頷いてヴェルインとシュテールの二人に歩み寄った。
「何でお父さんとベジータさんが二人いるんだ?」
「悟飯。どうやらあいつらは、未来から来た悟空とベジータらしい。」
悟飯が体を半分起こしながら呟くとピッコロが説明した。ピッコロの言葉に悟飯が目を見開いて再び二人を見る。そしてあることに気づいた。
「未来のお父さんとベジータさんにも刺青が・・!!」
「どうやら、これが神と人間の異変の差らしいな!」
「どういうことですか?!」
ピッコロの言葉に悟飯は何のことか理解できず、ピッコロに聞いた。しかしそれに答えたのはピッコロではなく、シュテールだった。

「未来の人間がたとえタイムマシーンを作って時代を少し変えたとしても、自分達の未来の存在までは変えられない。それが人間の限界だからだ。そしてそれだけでは、平行世界が作られたとしても、自分達だけは変わらない。だが・・・」
「神をも超え、神以上の存在の『次元ノ聖天者』と『次元ノ破壊者』と呼ばれた俺達ならそれができる!!」
「『次元ノ聖天者』?『次元ノ破壊者』?」
「かつて悟空とベジータが呼ばれた異名さ。人でも神でもない、まして人造人間でもない、次元を超えた最強と呼ばれた。」
ケルドゥンがそう言うと、カカが口を開いた。
「その二人が闇に堕ちた事で、未来の世界の者達まで影響が出たんだ!!」
「そんな!!じゃあ、もしかして未来のお父さん達も・・・?」
悟飯が二人に向き直るように立ち上がると、自分の体にも異変が起きた。
「う!!」
全身を駆け巡るような激痛と共に、体中から血が吹き出た。悟飯が崩れるように倒れるのを咄嗟にピッコロが支えるように掴んだ。
「悟飯!どうした?!まさか、未来の悟飯の影響が!!」
先程より傷ついた悟飯を見ると、今度は遠くにいたトランクスにまでも異変が起きるのを感じだ。


「さて、茶番は終わりだ。これで俺達は最強になれる・・・」
ヴェルインが言うとシュテールが未来の二人に来いと指示を出すと、未来の二人はまるで鏡を向くように自分達に向き直る。そして手を出した。

「欠けたのならば・・・埋めればいい・・・」

「半身がいなくても・・・」

「俺達は・・・」

「本体のまま・・・」

「「「「自分自身への融合をする・・・・」」」」


すると未来の悟空とベジータの体が光り、ヴェルインとシュテールの体に溶けるように入っていった・・・

カイ 2012年02月19日 (日) 22時38分(1788)
タイトル:融合完了

「どうやらヴェルイン様とシュテール様の目的が果たされたようですわ。」
「ドラビル様もさぞお喜びになっているであろうな。」
「帰ってきたら祝福のパーティをあげなければ。」
「祝福のパーティはこの世界の全てを我らのものにしてからでも遅くなかろう。黒藍。」
「相変わらずお堅いですわね、黒夜。」
暗闇の中、二つの声が聞こえた。一つは女の声。もう一つは男の声だった。
「でもまあ・・・」

「「これで我々も自由に動ける・・・」」


未来の自分自身と融合をしたヴェルインとシュテールの体が光り、辺りを覆いつくしていた。光はしばらくすると消え、ヴェルインとシュテールの姿が少し変わっていた。
ヴェルインは顔の片方に刻まれた刺青が鎖骨まで広がり、片目が金色に変わっていた。
シュテールは刺青が額にまで広がり、角が現れて片目が青に変わっていた。
それを見ていたドラビルが不気味なほど興奮し、膝をつく。
「ようやく完成したことをお喜び申し上げます。ヴェルイン様、シュテール様。」

カイ 2012年03月02日 (金) 23時55分(1840)
タイトル:残酷な声

ヴェルインとシュテールが腕を回したり、ドラビルに渡された鏡を見ながら自分の様子を確認した後、口を開いた。
「これが融合か・・欠けた部分を補うために使った自身の融合・・これほどとはな・・」
「なあ、シュテール。試しに何かやってみるか?」
ヴェルインがそう言うと、シュテールは貴様で決めろと言って手に気を溜め始めた。
ヴェルインはちえ、しゃーねえなと言いながら、にやりと笑った。
そして・・・

ド!!!
「がは!!」
一瞬で悟天の前に移動し、悟天の胸を貫いた。
「お・・お父さん・・?何で・・?」
「何で?それ、お前が俺に言うせりふか?」
「悟天!!」
悟天の胸を貫いた刀を抜くと、悟天が倒れる。ヴェルインは血で染まった刀を振り回しながら、つまらなそうな顔をする。
「あーあ。やっぱり、刀じゃあんま味わえないや。手で貫きたいけど、そうするとこいつ。木っ端微塵になりそうだしな・・」
あははとまるで殺しを楽しむかのような顔をするヴェルインをチチが叫んだ。
「悟空さ!!何てひどいことをするだ!!」
チチの言葉にそれまで笑っていたヴェルインがあ?と振り向いてチチを睨みつける。
「ひどいこと?それ、てめえらが言えた義理かよ?
『悟空さを殺せ。』そう言ったのは、他でもないてめえだろう?チチ・・」
「悟空さ、オラのこと覚えているだか?」
「名前とある言葉だけが脳裏に焼きついて離れない。たぶん、眠っている悟空から見た記憶だろうよ。それだけさ。
ベビーに洗脳された時にお前が言った言葉。
『悟空さを殺せ。』そうだろう?チチ・・」
「オラ、そんなひどいこと・・」
「言わなかったとは言わせない。悟空はずっと苦しんでたぜ、たぶん夢の中でも見るくらいにな。故郷とも思っていた地球に帰って妻であるチチの笑顔と料理を楽しみにしてたのに。
それが、妻から出た言葉が『悟空さを殺せ。』こんな残酷な言葉、ありえない。」
「そんな・・オラ、そんなひどいことを・・」
「それもしかも息子に命令して。だから・・」
そう言うとヴェルインは倒れている悟天の腹を蹴った。
悟天がうめき声を上げる。
「なあ、悟天。いくらベビーに洗脳されたからといって、実の息子に殺されそうになる親の気持ち。お前、わかるか?」
「え?」
「悟空は、お前にも託したはずだ。自分が地球にいなくても、お前らが地球を守れと。それをお前は破ってばかりいる・・」
「・・・・」
「地球がずっと平和だと思っていたのか?悟空がいればとかで、悟空がいなくなってから大丈夫だとどうして言える?」
「それは・・」
「女にうつつを抜かしてんじゃねえよ!!戦いから逃げてんじゃねえよ!!弱さから逃げてんじゃねえよ!!誰かに背負わせてんじゃねえよ!!」
そう怒鳴りながらヴェルインは悟天にどんどん暴行を重ねていく。ドカドカと悟天を暴行する音が辺りに響いていた。


「なあ、悟天。お前はベビーに洗脳されてからこう言っていたな・・・
『せめて父さんは僕達の手で殺してあげる。』と・・今度は俺が言う番だ。」
そう言うとヴェルインは赤黒く染まった羽を一枚取ると刀にする。
そして・・・


「せめてお前は、俺の手で葬ってやるよ・・・」
悟天に刃を振り下ろした・・・

カイ 2012年03月06日 (火) 00時06分(1861)
タイトル:親友の言葉

どうして・・・こんなことに・・・?


「せめてお前は俺の手で葬ってやるよ。」
自分に迫り来る刃を見ながら、悟天は来るであろう痛みを予感した。そしてぼんやりと神龍の言葉を思い出していた。
『主様の心の闇を何故理解しないのだ!!』
お父さん・・・これがお父さんの心の闇なの?
僕たちが何でもかんでも父さんに押し付けたから?
だから父さんは、変わってしまったの?

だったら・・・ごめんね、父さん。

悟天は心の中で涙し、目を瞑る。

「悟天!!」
声と共に刃がぶつかる音がし、悟天ははっとして目を開けた。すると自分の目の前にヴェルインの刃を剣で受け止めているトランクスがいた。
「トランクス!!」
「何してんだよ!!しっかりしろ!!」
トランクスがそう言うとヴェルインの刀を押し返し、肩で息をする。ヴェルインは舌打ちすると、飛んでトランクスから離れると地面に着地する。
「へえ、まだ持ってたんだ?コナッツ星の伝説の剣。」
「一応、念のために神龍さんに渡されました。まさかあなたに向けるために抜くことになろうとは思いませんでしたけど。」
「かつて俺がまだ全能神だった頃に渡した伝説の剣をまた拝める日が来るとは、俺も思わなかったよ。」
「どういうことですか?」
トランクスがヴェルインに剣を向けながらヴェルインの言葉の意味を尋ねると、ヴェルインはにやりと笑う。
「あいつらの星の未来が見えたからそれを渡しただけさ。もうあいつらは覚えちゃいねえけどな。まあそんなことより、ずいぶんと剣の腕を少し上げたようだな?天国でのんびり暇を持て余してたわけじゃねえってことか・・・」
ヴェルインはそう言うと悟天の血で染まった刀を一振りし、血を払い落とす。
「悟空さん、いえヴェルイン。あなたのその姿が悟空さんの心の闇によってできた存在だということはわかりました。そして悟空さんをそこまで変えてしまったのが、僕達だということも。でも、僕達だって僕達なりにあなたがいなくなってからいろいろ頑張ってきたんです!!それだけは、わかってください!!」
「だったらどうするんだ?」
「あなたが僕達を救ってくれたように、今度は僕達が全力であなたと父さんを救う!!どんな手を使ってでも!!」
「どんな手を使ってもか・・・だったら・・・」
ヴェルインは目を伏せると、刀を鞘に納める。すると・・・


ガキン!!
「!!!」
「全力で自分の父親の刃を止めてみろよ。」
ヴェルインの背後から飛び出してきたシュテールがトランクスに向かって刃を振り下ろすのを見てヴェルインはにやりと笑う。まるでシュテールが行動するのを事前に知っていたように。
「自分の父親一人、止められない奴が偉そうな口聞いてんじゃねえよ。セル戦の時だって、結局ベジータを止められなかっただろう?」
そう言うとヴェルインはトランクスとシュテールに背を向ける。するとシュテールがトランクスに剣を向けながらヴェルインに向かって口を開く。
「どういう風の吹き回しだ?敵を他の奴に譲るとは?」
「しらけちまっただけさ。それにあのままだったら、シュテール。お前は俺ごと斬るつもりだっただろう?」
「戦争に汚ねえもくそもあるか。てめえがチンタラやってんのを見てたら、イライラするんだよ。今ここで斬ってもいいんだぜ?」
「それは御免こうむるな。俺を理解できるのはお前とドラビルだけだ。それに世界をぶっ壊すまでぬわけにはいかん。」
「だったらチンタラやってんじゃねえよ。俺も俺自身を理解できるのはお前とドラビルだけだ。それに世界をぶっ壊すまで付き合ってもらうぞ。」
「・・・わかってるさ。」
ヴェルインはそう言うと背を向けたまま、歩き出した。トランクスが叫ぶのを背中で聞いたが、彼は無視した。


「さて、今度はてめえらが相手か?父ちゃん、兄ちゃん、ターレス?」
ヴェルインはある程度歩いた後、立ち止まり目の前にいる人物達に目を向けた。

カイ 2012年03月17日 (土) 23時52分(1915)
タイトル:サイヤ人の神

目の前に立つ青年を久々に見た時、以前の穏やかさがなくなっていたのがわかった。
こう、向かい合っているだけでも全身を駆け巡るような寒気を感じたのは、何百年だろう?
いやこれは、寒気ではない。
これは・・・恐怖だ。


「ずいぶんビビッてるみてえだな?ターレス。何百年も地獄にいたから、心が弱ったか?」
ヴェルインに言われ、はっとしたターレスはヴェルインを睨みつけた。
ヴェルインのにやりとした顔には、かつての悟空の面影は無かった。その顔は自分と似た顔でもなく、ましてやバーダックでさえこんな不気味な顔をしなかっただろう。これがもしかしたら、悟空のサイヤ人としての顔だったのだろうというのか?
「ずいぶんと言う様になったじゃねえか?カカロットよ。いや、ヴェルイン。心の闇の半身だかなんだか知らねえが、お前が言うのはサイヤ人の運命なだけだ!!」
「何が言いたい?」
「てめえはわかってねえんだよ!!自分の子供が親を殺す、それは洗脳されようが関係ねえ!!それがサイヤ人だ!!サイヤ人のことわかってねえんだよ、てめえは!!」
「わかってないのはどっちだよ。」
ヴェルインが大して表情も変えず言うと、ターレスが何だとピクリと反応する。
「お前はサイヤ人の何を知ってるっていうんだ?ターレス。」
「何ってそれは「サイヤ人は戦闘民族じゃない。俺が戦いを教えただけなのに、勝手に戦闘民族なんて付けたのはそっちだ。それに・・・」
ヴェルインはそう言うと、ターレスの目の前に一瞬で移動した。


「俺や悟空は一度だって、お前らを下級戦士なんて思ってない。」

カイ 2012年03月24日 (土) 23時57分(1968)
タイトル:ヴェルインの力

「それは全能神としてか?俺達を生み出した責任としてか?」
ヴェルインの言葉にそれまで黙っていたバーダックが言うとヴェルインは片眉を上げ、首をかしげた。
「何だ、その言い草?そうか、神龍自身から本当のことを聞いたんだな?まあ、いつか言うつもりだったから別に遅くねえか。それにそんなこと今のあんたには関係ないよな?父ちゃん?」
父ちゃんと言った言葉にバーダックは元々怖い顔を更に歪めてヴェルインを睨みつける。
すると・・
「カカロット!!」
背後からラディッツが現れ、ヴェルインに飛び掛り拳を突き出した。


「・・・うるせえよ、兄ちゃん。」
振り向き様にヴェルインが殺気染みた目でラディッツを見ると、ラディッツがぞくっと背筋が凍った。そして体に衝撃を感じた。見ると自分の腹部に刃が刺さっている。しかもその刃は明らかにさっきヴェルインが持っていた刀ではなく、長さが自慢の薙刀に変わっていた。
薙刀が地面に刺さることによってラディッツの体は串刺しのようになった。それを見てヴェルインはにやりと笑い、その場にいたドラビルとシュテール以外の者は息を呑んだ。
見えなかったのだ、全てが。
「あーあ、せっかくチャンスをあげたのに、油断しすぎだぜ?」
ヴェルインはそう言うと串刺し状態のラディッツから薙刀を引き抜いた。引き抜くと同時に地面に鮮血が飛び散り、ラディッツはうめき声を上げる。地面にうつ伏せに倒れるラディッツをヴェルインは笑みを浮かべたまま、頭に足を乗せた。
「あの時とは逆だな。つーか、あの時は悟空は仰向けだったけどな。」
ヴェルインのいうあの時とは、昔ラディッツが地球に侵略に来た時のことだとラディッツは瞬時に思った。
「カカロット・・・てめえ・・・」
「あん?勝手に人が話してる最中に飛び掛ってきたのは、てめえだろうが?横槍を入れてきたから、横槍で返してやったんだよ。」
まあ槍じゃなくて薙刀だけどな?とヴェルインが薙刀を見せ付ける。
すると・・


「「いつまでも調子乗ってんじゃねえぞ!!」」
ヴェルインがラディッツを押さえつけてると今度はバーダックとターレスが現れ、攻撃しようとする。しかし、


「亜空間・・・」
ヴェルインが呟くと同時に辺りが鮮血を舞った・・

カイ 2012年04月03日 (火) 00時03分(2018)
タイトル:宣戦布告と目的

鮮血が舞う中、ヴェルインは不気味に笑っていた。ヴェルインの笑う顔を見て、シュテールは大して表情を変えず呟く。
「相変わらず、悪趣味だな。」


「さすがの戦闘民族のサイヤ人でも、後ろに目はないだろう?」
ヴェルインが腕を組みながらラディッツと同様に串刺しになった二人を見て言うと、二人の背後から薙刀を突き出した穴が見えた。ヴェルインが穴を消すと同時に薙刀は消え、二人の体が地面に落ちる。地面に血溜りを作る二人のうち、ターレスを今度は足蹴にするヴェルインはターレスに話しかける。
「そういえば、お前も悟空を足蹴にしたよな?まあ悟空は俺自身で俺自身は悟空だけど。」
ヴェルインが言いながらターレスを踏みつけると、ターレスは動かない体で必に抵抗しようとする。
「何だ?そんな体でまだ抵抗する気か?命乞いするなら許してやるぜ?ターレス。」
「誰が・・するか・・」
「俺や悟空だってそうだぜ。てめえみたいな、神聖樹ごときで力を得たと勘違いしてる奴なんかに命乞いするかよ。」
ヴェルインはターレスを蹴り上げると軽く浮いたターレスの体に手を突き出し、ターレスの首を掴んだ。ミシミシと音を立てながら首を締め上げていくヴェルインにターレスはうめき声を上げる。
「俺が憎いか?ターレス。」
「カ・・カロット・・」
「ならばその憎しみ・・俺が貰い受ける。」
ヴェルインの目が光ると同時にターレスの首を掴んでいる腕から鎖が現れ、ターレスの体に巻きついていく。あっという間に鎖だらけになったターレスを見た後、ヴェルインはドラビルを呼んだ。ドラビルが鎖だらけになったターレスの体から黒い液体を瓶に移すと、ヴェルインはターレスの首を離した。離すと同時にターレスの体に巻きついていた鎖が外れ、ヴェルインの手に戻っていき、ターレスはまるで抜け殻のように地面にまた落ちた。
「さてと・・」
ヴェルインはターレスを用済みのような顔をした後、背を向け今度は鎖で巻きついた手のままバーダックとラディッツに歩み寄った。すると、ヴェルインが二人に歩み寄る前に背後から銃声がして、ヴェルインは立ち止まって撃った相手を見る。
「何すんだよ、シュテール。」
「ふん、これ以上雑魚から恨みのエキスを取ってどうする?こんな奴ら、破壊すればいいだけの話だ。」
シュテールが言うとヴェルインはシュテールによって撃たれた二人を見て舌打ちしてまあいいかと踵を返した。


「まあ、当初の目的が最優先だな。おい、貴様ら!!」
ヴェルインが言うとドラビルは跪き、ちょうどトランクスを斬ったシュテールがヴェルインの後ろに付いた。

「これから俺達はこの世界と宇宙を全て破壊し、新たなる世界を作る。止めれるものなら止めてみろ!!」
そう言うと三人の背後から穴が現れ、三人を覆い尽くしていく。

「せいぜい頑張れよ、雑魚共。」
シュテールが言い、ヴェルインがじゃあなと言うと三人は穴が閉じると同時に消えた。

多くの絶望を残して・・

カイ 2012年04月04日 (水) 00時26分(2026)
タイトル:絶望の傷

また・・・届かなかった・・


天国と地獄と閻魔界を滅茶苦茶にした三人が去った後、界王達が駆けつけその場の光景にぞっとした。今までいろんなことがあった世界をここまで滅茶苦茶になったのは、何百年ぶりだろう?どこもかしこも破壊され、倒れている者達で溢れていたのだ。界王達は何とか動ける者達を呼び、けが人の治療に専念し、あれから通信が途絶えてしまった悟飯達に事情を聞いた。だが、彼らは傷ついていたため、しばらく口が利けなかった。それは体の怪我のせいもあったが・・何より傷ついていたのは、心だった・・・
「閻魔、大丈夫か?」
気絶していた閻魔の治療の後、目を覚ました閻魔にあの後何が起きたのか聞くが、生憎閻魔はドラビルに叩きつけられた後気絶してしまったため、何が起きたのかわからないと答えた。界王の一人、北の界王がそうかと呟いていると、北の界王を呼ぶ声が聞こえた。
「おい、今は怪我人の治療が先だろうが。事情聴取は後にしな。」
そう言って北の界王を呼んだのは、悟空の半身の一人であるサンであった。肩を抑えながら倒れている者に目を向ける。
「まだ動いちゃ駄目です!!いくら悟空さんの半身であっても、ひどい傷なんですよ「俺達より」
デンデの言葉を遮って答えたのは、スーでデンデの頭に手を乗せる。
「ヴェルインとシュテールによってやられた奴らを見ておけ。・・・早くしねえと手遅れになるぞ。」
スーの言葉にデンデがえ?と呟き、どういう意味かと尋ねようとした瞬間、叫び声が聞こえた。いや、叫び声ではなく、悲鳴が。
「始まっちまったようだな、『破壊』と『消滅』の力が・・・!!」



「ぐああああ!!!」
所々悲鳴をあげる者達を見て、治療をしていた者達はどうしたらいいのかわからず、青ざめていく。こんな症状は始めてみる。
デンデと騒ぎを聞いた者達が駆けつけると、悟空の半身達とベジータの半身達以外の者達が青ざめた。そこはまさに以前よりひどい地獄絵図だった・・・
シュテールによって撃たれた者達はバーダックとラディッツを合わせ、撃たれた箇所にくる激痛に悲鳴をあげていた。

「これは・・一体・・?」
「これがあいつらの力さ。『破壊』と『消滅』のな。」

カイ 2012年04月15日 (日) 23時12分(2041)
タイトル:半身の浄化

「これがあいつらの力さ。『破壊』と『消滅』のな。」
スーの言葉にどういうことだ?!とピッコロが聞くが、スーは説明は後だと言いながら他の半身を呼び、ベジータの半身達も呼んだ。悟空の半身達とベジータの半身達が集まるのを確認すると、スーとフォードがよしと言って腕に傷をつけた。すると他の半身達も腕にそれぞれ傷を付け傷ついた腕に何やら血文字を書き始めた。
「浄化結界!!!」
半身達がそれぞれ叫ぶと同時に血文字が光り始め、紅色の扇がそれぞれ半身の手に現れ軽く振ると同時にそれぞれヴェルインとシュテールによって傷つけられた者達の周りを紅い膜が覆っていった。
「何をする気だ?お前ら。」
「浄化だよ。」
浄化?とピッコロが尋ねるとスーが紅色の扇を結界の中に腕ごと手を入れた。よく見ると他の半身達も腕ごと結界に手を入れてる。
「俺達半身の血じゃなきゃ、ヴェルインやシュテールの破壊と消滅の力を浄化することはできないんだ。」
そう言いながらスーの顔はだんだん悪くなっていくがスーは説明し始める。
「ヴェルインやシュテールはいわば悟空とベジータの心の闇が具現化した姿。悟空とベジータが全能神と破壊神だったのは知ってるよな?だが、永遠と不滅の命を持つ二人には、ある力もあった。」
「力?」
「ベジータはその名のとおり、『破壊』。全てを破壊する力だ。ベジータの銃弾によって撃たれた者は、どんな再生力を持っている者でも決して再生できない。撃たれた者はべジータの血の弾丸によってたとえ小さな傷でも広がり、細胞も全て破壊される。細胞だけじゃなく存在全ても。そして悟空の力は『消滅』。全てを消してしまう力。悟空には存在させる創造力のほかに存在を消す消滅の力があった。これは悟空の意思によってコントロールできていたし、悟空自身は使わなかったが、今悟空が心の闇に捕らわれてしまったことでヴェルインが使うことができる。ヴェルインとシュテールがその場を去ったのは、その力が発動することを知っていたからさ。」
「小賢しいマネを。」
「だけど厄介なのはその力を浄化することを俺達以外できないということ。」
「どういうことだ?」
「つまり、同じ力を持つ者でなければ浄化できないんだ。悟空、いやヴェルインの血や力はいわば俺達の血。同じ魂から生まれた半身でなければな。そしてシュテールの血や力もあいつらの血でもある。」
「なるほど、それが浄化の力か。」
「でもこの浄化の力には俺達の血と気を使っているから、体に結構負担がかかるんだ。」
ただでさえ手負いなのにその場にいる者達のために身を削っているところは、やはり悟空の半身だとピッコロは思った。そしてそれ以上に何もできない自分に腹が立った。
「おい、デンデ。あいつらの手伝いをしてやれ。」
ピッコロの言葉にデンデは返事をした後、それぞれの半身の後ろに立ちながら傷を治していった。
「サンキューピッコロ。」
スーが礼を言うとピッコロは舌打ちした。

カイ 2012年05月04日 (金) 23時20分(2102)
タイトル:集う者達

閻魔界を後にした後、ヴェルインとシュテールとドラビルの三人は自分達のアジトに向かっていた。
「どうした?ドラビル。さっきから機嫌が悪そうだな?」
「いえ、何でもありません。」
ドラビルの異変に気づいたヴェルインが言うと、ドラビルは首を横に振るが、顔には出てないが不機嫌の気が溢れていた。
くそ、神龍ならともかく、ケルドゥンまで・・どうして昔から私の計画を邪魔する者は後を立たないのだ!!
ドラビルは気づかれないように歯軋りしながら心の中でブツブツ言っていた。すると、自分の頭にポンと何か乗せられた。はっとして顔を上げると、それはヴェルインの手だった。どうやら頭を撫でられているらしい。
「機嫌が悪いのは構わんが、計画に支障が出ることだけはやめろよ。」
ヴェルインはそう言って頭を軽く撫でた後、手を離して前に向き直った。ドラビルはヴェルインに撫でられた頭を軽く触って、俯いた。
優しい手・・あの頃とやはり変わってない・・
自分が悟空の心の中にある闇の半身を目覚めさせたが、ドラビルはやはり変わっていないことに気づいた。それと同時に遥か昔のことを思い出していた。
『ドラゴン族でも、おめえみてえな奴がいるんだな・・』
そう言って頭を撫でられたあの日を・・
「おい、いつまでしゃべっているつもりだ?着いたぞ。」
シュテールの言葉にドラビルははっとして、顔を上げた。


「おかえりなさいませ、ヴェルイン様。シュテール様。ドラビル様。」
アジトに着き、三人を向かいいれた者達は一斉に頭を下げ、黒いウェーブのかかった髪をした女性が前に出た。
「目的を果たされたようで何よりですわ。祝福のパーティを挙げたいところですが、どうやらそのような気分でもなさそうですわね。」
「その通りだ、黒藍。祝福のパーティは、次の計画の後でも遅くはないだろう?俺達は、次の計画に移ることにするから、お前らは引き続き準備に移っておけ。」
シュテールの言葉にかしこまりましたと黒藍と言われた女性が頭を下げるのを見て、三人は黒藍の横を通り過ぎた。ヴェルインは通り過ぎる際に黒藍が首に巻きつけている蛇の頭を撫でる。蛇がうれしそうな顔をするのを見て黒藍はふふと笑う。
「アランはすっかりヴェルイン様を気に入ってるみたいですわ。」
「それはよかった。」
三人がいなくなり、黒藍は三人の行った方をしばらく見ていると、黒い影が現れた。
「ずいぶんとドラビル様は今回不機嫌だな?大方、ケルドゥンまで現れたことに苛立っているのであろう?」
「黒夜。突然現れるのは失礼ではありません?」
「おや、失礼。横槍をいれるつもりはなかったので・・」
「まあいいですわ。それより、ずっとそこにいたのであれば、シュテール様の指示を聞いていたのでしょう?」
「勿論聞いていたさ。我々部隊は、さっさと動きたくてうずうずしている。君達の部隊も同じなのだろう?」
「ええ。アランも早く奴等の血を吸いたくてうずうずしてますわ。」


「だったら、さっさとやろうぜ。」
「オイラ達も、動きたいんだからさ。」
第三者の声に、黒藍と黒夜は振り向いた。

カイ 2012年05月30日 (水) 11時13分(2180)
タイトル:憎む者の違い

第三者の声に二人が振り向くと、暗闇から顔に稲妻のような傷跡をした男と額にバンダナをした幼い少年が現れた。
「ゼベルとライガか・・まだ呼びつけてはなかったと思うけど?」
「ライガが早く行きたいってせがむから、仕方なくな。勘弁してくれよ、黒夜、黒藍。」
顔の傷跡をした男ーゼヘルが謝罪すると、黒夜と黒藍は肩をすくめる。
「だって退屈なんだもん!!ドラビル様が二人を連れてくるまでお留守番なんてよ!!」
バンダナをした少年ーライガが言うと、ゼヘルがライガの頭に手を置き、ぐしゃぐしゃとかき混ぜるように頭を撫でる。
「まあお前にしては、よくできましたって所だろう?今回は暴れずにお留守番できたんだからよ。また暴れでもしたら、ドラビル様のお怒り食らうぞ?」
ゼヘルの言葉に一瞬ぞくっとしたライガはわかったよとゼヘルの手を振り払った。すると黒藍がそれに更に追い討ちをかけるような言葉を発した。
「今回はドラビル様のご機嫌は悪いみたいですので、ライガが暴れでもしたらそれこそライガは大変なことになってましたわね。」
「なるほど。ドラビル様の機嫌がやはり悪かったのは、気のせいではなかったのだな?」
ゼヘルがブルブル子犬のように震えているライガを撫でながら言うと、答えたのは黒藍ではなく、黒夜であった。
「お前にも馴染みのある・・・憎むべき種族の気だよ。・・その傷を付けた、『ケルドゥン』のな・・・」
黒夜がゼヘルの顔に付いた稲妻の傷を指差して言うと、それまで穏やかだったゼヘルの顔つきが変わり、顔に付いた稲妻の傷を撫でながらゼヘルは黙った。

「『ケルドゥン』・・・あの野郎が復活しやがったのか・・?この・・俺の顔に・・忌々しい・・傷跡を付けやがった・・・あの野郎が・・・」
ゼヘルの口調が変わり、周囲を威圧させるような気が溢れ出した。ライガ以外の黒藍と黒夜は大して表情も変えず、口を開く。
「ゼヘル。ケルドゥンを憎む気持ちはわかるが、ドラビル様も同じ気持ちだということを忘れるなよ。」
黒夜の言葉にゼヘルははっとし、ふと笑うと溢れていた気を抑えた。
「忘れるも何も、俺とドラビル様とじゃ憎む気持ちは天と地との差がありすぎる。いや、憎む意味が違いすぎる。似ているのは、憎むべき相手が同じだけ。俺はこの傷がある限り、ケルドゥンを憎んでるし、ドラビル様は違う意味であいつも憎んでいる。それだけさ。」
そう言うと、ゼヘルは悪いなと軽く謝罪すると、ライガを呼んで戦いの準備してくると言い、ヒラヒラ手を振って去って行った。

「憎む意味の違いか・・・」

カイ 2012年06月05日 (火) 23時43分(2198)
タイトル:不穏な空気

「当初の目的を果たすためとはいえ、あの場で去るとは随分ぬるい考えだな?」
「それって俺に言ってんのか?シュテール。」
貴様以外に誰がいるとシュテールは煙草を咥えながら言うと、ヴェルインがシュテールの口から煙草を奪い取って手で握り潰す。生憎火は付いていなかったので、ヴェルインは火傷を負うことはなかったが、シュテールは渋い顔をした。
「話し合いの間に煙草は禁止のはずだぜ?」
粉々になった煙草を床に落とすと、突然銃声が鳴り、ヴェルインの近くにあったグラスが割れた。
「会議中にジュースを飲む貴様が言うな。」
撃ったのはシュテールだったらしく、銃口を向けながら言うとヴェルインが溜息をつく。
「あーあ、どうしてくれんだよ。まだ半分も飲んでねえのによ。」
割れたグラスの破片を持ちながらヴェルインが言うと、シュテールを見る。だが、その目は笑っていなかった。
「お二人とも。その辺でよろしいでしょうか?」
不穏な空気を一変させるような鶴の一声が響き、二人は目線をそらす。
「後で部下に新しい飲み物と煙草を届けさせますゆえ、ご辛抱ください。」
眼鏡をかけた茶色の髪をした男が言うと、ヴェルインは悪いなと謝罪する。
「ところでシュテール様の言うとおり、私もそれは気になっております。どうしてわざわざあの場を去ってしまったのですか?」
「お前も気になるか?ザビラ。まあどんな時でも引き際が大切なんだよ。それに・・・楽しみは取っておく主義でね・・」
ヴェルインが頬杖を付きながらにやりと笑うのを見て、ザビラは眼鏡を上げながらそうですかと言う。シュテールは舌打ちをしながら、ヴェルインを見る。
「せいぜいその甘さがドジを踏むなよ。」
「・・肝に銘じておくよ。」

「ところで、ドラビル様のお姿が見えませんが?」
ザビラが尋ねると、ヴェルインが気づいたように口を開いた。
「ドラビルなら休ませた。」
「というと?」
今度はシュテールが部下が持ってきた煙草に火をつけながら答える。


「ケルドゥンのことで苛立ってるみたいでな・・」
煙が辺りを舞った・・・



ドラビルは自分の部屋で不穏な空気を撒き散らしながら、天井を見ていた。すると、
「ずいぶんと苛立っているみたいだな?ドラビル。」

カイ 2012年06月10日 (日) 20時25分(2213)
タイトル:ジョーカー

「ずいぶんと苛立っているみたいだな?ドラビル。」
「ジョーカーか・・何しに来た?」
黒い影が見え、ドラビルは声の主の名前を呼んだ。
「お前が不穏な空気を出し続けているのでな?様子を見に来た。変に不安を煽っては、ヴェルイン様とシュテール様にどんな顔されるかお前がわかっているはずだぞ。」
「・・・・・」
「まあ俺にとっては、目的が果たせればいいからな。」
声の主ージョーカーはそう言うと姿も見せず、話し続ける。
「ケルドゥンのことでこう苛立ってばかりでは、せっかく手に入れたものも零れ落ちてしまうぞ?嘗てのお前のように・・」
ジョーカーの言葉にドラビルは嘗てのことを思い出し、しばらく黙っていたがふと笑い、伏せていた瞳を開ける。その瞳は先ほどの紫色の瞳から神龍とポルンガと同じ、紅い瞳に変わっていた。
「そんなことはさせんさ。もう昔の『私』ではない。全てを奪われた嘗ての無様な『私』ではない・・」
「そうならないことを祈ってるよ。ところで・・」
ジョーカーは暗闇から翡翠の瞳を覘かせ、ドラビルを見る。
「地獄の奴らを鎖に繋げた時に、ふと思い出したことがある。確か100年くらい前に地獄を散歩してたときにな・・」
「何だ?」
「地獄の奴らがこう言ってたんだよ。」


『孫悟空、あの忌々しい猿めが・・』
『あいつのせいで、俺達は地獄に堕ちたんだ!!全てあいつのせいだ!!』
『なあ、そんなに孫悟空って悪いの?』
『悪いも何も、あいつの名前を出すだけで腹が立つわ!!そうだ!!お前、新入りなら、俺達と手を組まんか?!あいつを再び地獄に突き落としてやるんだ!!そしてまた俺達は、自由になるんだ!!』
『悪いけど、新入りじゃないんだ。ちょっと地獄に散歩しに来ただけだから。』
『何!?おい、なら地獄の出口を教えろ!!』
『それも教えられない。言っとくが、悟空はいや悟空様の話を聞きに来ただけだしね。』
『悟空様だと?!おい、貴様!!あの猿の仲間か!!?』
『まだ仲間にはなってないよ。しいて言うなら、あの方はこれから俺達の王に、いや神になる御方だからね。そしてもう一人・・』
『何だと!!貴様!!!』


「そう言って飛び掛ってきたんだよな・・まあその後、再生に時間がかかるくらいズタズタにしてやったけどな・・その時さ。あいつらこう言ったんだ・・』


『散歩しに来ただけだって言ったのに、とんだ寄り道踏んだな・・』
『な・・何故だ・・?』
『あん?』
『何故・・あいつを選ぶ?』
『自分の主人くらい自分で選ぶさ。それに、全ての奴らがあの方を憎むなんて本気でそう思ってんのかよ?だったら井の中の蛙もいいとこだ・・』
『くそ・・』


「神も面倒だが、地獄の奴らも相当愚かな奴らだ。そうは思わないか?ドラビル。」
「まあな、それに我々は少なくともあの方達に刃を向ける者は我々の敵。」
「そうだな。それに・・決して俺達はサイヤ人やツフル人、ましてや神にも屈しない。」
「あいつらが・・・ツフル人があんなものを作ったから・・そしてそれであの方達に刃を向けるから・・」

「「我々は決して誰にも屈しない・・・」」

「たぶん龍神族の神龍も、いや龍神族全ても屈しないだろうな・・」
「龍神族やドラゴン族やあの方達以外のあいつらは知らんのだろう?あの『戦闘服』の意味を・・」

カイ 2012年06月15日 (金) 23時37分(2227)
タイトル:鎖の解放

一通りの浄化を終えた後、悟空の半身達はそれぞれの状況を調べるため、二手に分かれることにした。
「大丈夫ですか?悟空さんの半身さん。」
「悪いなデンデ。でも、皆が苦しんでいるのに俺達が休んでる暇なんてないんだよ。」
スーがデンデの頭を撫でながら言うと、デンデはしょぼんとする。
「おい、スークアルド。イークアルドから地獄から通信があったぞ。」
「おいおい。いきなり本名はやめろよ、サンジェ。」
スーが頭を掻きながら、サンに言うとサンは舌打ちする。デンデがサンの言った言葉に混乱してると、スーが笑いながらデンデの頭を更に撫でた。
「スーってのは、簡単に言うとニックネーム。本名はスークアルドで、サンはサンジェラルドっていうんだ。」
「ラルドまでは言ってないだろう。」
「いちいちツッコむなよ。そういう所に似たのか?神龍は。」
スーが言うとサンはギロリとスーを睨んだ。これ以上は怒らせてはならないとスーは話を切り替える。
「イークアルド、いやカカが何だって?」
「地獄の住人が鎖状態のまま発見されたそうだ。」



IN地獄
「これはひどいな・・ここまで悟空の力が戻っていたのか。」
イークアルドことカカは鎖状態の地獄の住人を見ながら思わず溜息をついた。ちなみに今、地獄にいるのはカカと神龍と悟飯と悟天である。
「これも父さんの力なんですか?地獄にいる者達がこんなことになっているなんて・・」
悟飯が鎖状態の地獄の住人を見ながら、鎖に手を伸ばそうとした。すると・・
「触るな。」
カカが言うと、悟飯は思わず手を止めた。しかし、突然鎖が動き出し、悟飯の手に巻きついた。悟飯は悲鳴をあげながら鎖を外そうとしたが鎖はどんどん悟飯の手に巻きついていき、悟飯を鎖の球体に巻き込もうとする。それに驚いた悟天が助けようとするが鎖は今度は悟天にも巻きつき巻き込もうとした。それを見たカカが舌打ちしながら、悟飯と悟天に巻きついた鎖に手を乗せる。すると手から淡い光が出て、鎖がまるでいとも簡単に切れてしまった。
悟飯と悟天が鎖から開放されたことにより地面に尻餅をついて腕を見ると、腕は多少後がついていたが、異常は無かった。
「今のは一体・・?」
「これが地獄の鎖・・つまり罪人を縛る『罪の鎖』。元々地獄にあった力さ。今までなかったのは、悟空が封印していたからな。罪人だからといって縛り付けるのは可哀想だとか言ってな。」
「そうなんですか・・でも罪人でもないのに・・?」
「この鎖が厄介なのは、地獄にいる者には容赦なく鎖で締め付けるんだ。そして心に飢えてるのさ。そして魂にも。おそらく心や魂に引き寄せられたんだろう。触れる者には全てに。だから悟空は封印してたんだ。」
カカの説明を聞くと悟飯は砕け散った鎖を見た。
「こんなことしたくないけど、一応地獄で何があったのか聞いてみるか。」
そう言ったカカは鎖の球体に手を乗せる。悟飯と悟天が慌てて止めるが、それを神龍が制止した。
「黙ってみていろ。ちなみに地獄の鎖を解放できるのはあの方達と主様とベジータとベジータの半身しかいないのだ。」
カカが手を乗せた瞬間、パキンと音がし、鎖がいとも簡単に砕け散ってしまった・・


「俺達は・・一体・・?」
「お目覚めのところ悪いが、事情を説明してもらおうか?」




カイ 2012年06月23日 (土) 22時44分(2242)
タイトル:バランスによって生まれた者

「お前は一体?」
「俺の名はカカ。悟空の半身さ。前にスーとサンが来たはずだからわかるだろう?」
「そうか・・あの時の半身の一人ということか。」
地獄の住人の一人である、フリーザが納得するとキッと顔を上げ、カカに攻撃しようとした。すると、カカの真横から突然刀が突き出してきて、首筋に刃が向けられ、攻撃が止まった。
「鎖から解放された恩を仇で返すとは何事だ?」
「神龍・・」
「申し訳ありません。咄嗟の判断ですので、どうかお許しください。」
神龍が頭を下げるとカカは神龍の刀を手で引いた。
「フリーザ。もう一度鎖で繋がれたくはないだろう?また同じ状態になったら、今度こそ魂を吸い取られて、灰になっちまうぞ?」
カカの言葉にフリーザは舌打ちしながら苦い顔のまま手を引いた。カカがそれでいいと言いながら、フリーザに地獄で何があったかを聞いた。フリーザは他の鎖から解放された地獄の住人達と一緒に苦い顔のまま、説明した。
「そう言って悟空とベジータとあのドラビルに攻撃をしようとしたが、突然鎖が現れて・・」
「それであの状態になったというわけか。でも記憶が残っているのは、どうやら魂の底まで悟空とベジータを憎む気持ちがあるってことだな。」
「そんなの当たり前ですよ。何せ、孫悟空を憎むのは誰だって同じです。忘れたくても、あいつがいる限り、憎しみは変わらない・・」
「・・・・」
「それに仕える者も者ですよ。なぜあんな能無しの猿野郎に、仕えるのか全く理解できませんね?」
「理解するのも、てめらじゃ一生無理だろうな。」
「ふん、あんな何を考えてるのかわからない奴なんか理解したくもありませんがね。」
「言いたいことはそれだけか・・?」
そう言うとカカは苛立って刀を抜こうとしている神龍を制止ながら、悟飯と悟天を呼んで立ち上がった。
「カカ殿。もうよろしいのですか?」
「まあ事情はわかったし、地獄に来る必要はもうないしな。」
「あの、カカさん。何かわかったんですか?」
「説明は後でするよ、悟天。とりあえず今後のことは戻ってからにしようぜ。」
カカが言うとフリーザ達に背を向ける。するとフリーザ達がにやりと笑って、カカに飛びかかろうとした。

「やっぱり、罪人は罪人か・・」




「それはどういうことだ?!」
「そのままの意味さ。全能神である悟空が死んだことによって世界のバランスは崩れた。そして全能神の悟空と破壊神のベジータが、二つの力がぶつかったことによって、生まれた存在・・それが・・」



「フリーザ。お前やお前達などの種族は皆、悟空とベジータが衝突したことによって生まれた存在だ・・」
「何だと・・?」
カカによって倒されたフリーザは、傷だらけの体を起こそうとしながらカカの言葉に衝撃を受けた。
「本当は言いたくなかったんだ。でも、最後くらい真実は伝えなきゃと思ってな。」
最後?という言葉にフリーザははっとして自分の体を見た。そして目を見開いた。なんと自分の体がどんどん灰になっていく・・
「鎖によってお前らの魂はボロボロだ。なのに、また罪を重ねようとしたことによって灰化が進んだんだ・・」
カカはそう言うと少し悲しそうな顔をした。その顔を見て悟飯は前世の頃の悟空の悲しそうな顔と重なったような気がした。
「くそ・・本当に・・ムカつく野郎ですね・・孫悟空・・いやカカロット・・」
フリーザは灰化していく体を引きずりながら、今度は神龍を見た。
「何であなたは・・あの猿野郎に仕えるんですか・・?」
神龍はしばらく黙っていたが、フリーザの体がもう顔だけしか残っていないのを見て、口を開いた。

「貴様らがどんなに私達に欲するものを渡しても、私達は決して貴様らに屈することはない・・なぜなら・・」



「ピッコロ。何であいつらが、神龍達がサイヤ人達とツフル人達、そしてフリーザ達に屈しないかわかるか?」
「聞きたくもないが、一応聞いておく。」
「それはさ・・」



「「あの『戦闘服』や武器が龍やドラゴンの鱗や皮でできてるからだ(さ)。」」

カイ 2012年06月24日 (日) 00時04分(2243)
タイトル:見えぬ真実

目に見えるもの全てが真実とは限らない・・

目に見えぬもの全てが幻想とは限らない・・

何故なら我々は・・いつだって真実を見ているとは限らないのだ・・


「ピッコロ、お前は言っていただろう?フリーザ達が着ている物を着る気にはならないってさ。」
「まあな。」
「神龍が聞いたら喜ぶと思うぜ、まだ龍の記憶が残っているんだからな。」
「龍の記憶?」
「ナメック星人は本来龍神族などの近縁種みたいなものでな、先祖は龍族なんだよ。」
「なるほどな。」
スーの言葉にピッコロが頷くと、ピッコロはさっきのスーの言葉を思い出し尋ねることにした。スーはしばらく考えた後、サンを呼びサンが持ってきた本を見せる。本というより、資料みたいなものを。
「これは?」
「何百年か前に、神龍が闘神界(かつての惑星ベジータ)を偵察しに行った時に盗んできた当時の資料さ。そこに全てが書かれている・・翻訳はできると思うぞ。」
スーがそう言って悲しそうな顔をするのを見ながらピッコロは渡された資料を開いてみた。
そしてみるみるピッコロの顔が変わっていった。


「そんな・・!!こんなことが・・!!??これでは・・今までのことが・・全て偽りだったということか?!!」
ピッコロが顔を歪ませながら読んでいると、一度目を伏せ、ミスターポポとデンデを呼んだ。
「そんな!!これじゃあまるで・・悟空さんが可哀想すぎるよ・・そして神龍さん達も・・」
「こんなの・・ポポ理解できない・・」
ポポとデンデがピッコロに渡された資料を読んで泣きそうになるのを見ながらピッコロは、口を開いた。
「ポポ、デンデ。頼みがある。これを地球語などに翻訳してブルマ達に渡してくれ。勿論、界王や界王様達、いや全ての者達にだ。」
「ピッコロさん・・それって・・」


「これは・・俺達だけじゃない・・全てに伝えなければならない『真実』だ・・!!」

カイ 2012年07月16日 (月) 17時01分(2297)
タイトル:偽りの中にあった真実

「こんな・・・こんなことが?!!」
ピッコロに渡された(一応地球語に直した)資料を見てブルマは資料を持っている手が震えた。
「龍やドラゴン一匹で約数体の戦闘服や武器を作っていたなんて・・・!!この資料によると、実験に使われた龍とドラゴンは・・・約数億・・・それをずっとサイヤ人達にやらせていたのね。そして・・その龍やドラゴンの遺伝子を取り、数多くの生命体まで作った・・」
「狩りなどはサイヤ人達にやらせ、自分達はその狩ってきたもので武器などを作っていた。それがツフル人のやり方だったのか・・べジータが言っていた『奴隷扱い』という言葉は嘘ではなかったのだな・・」
「それだけじゃない・・龍やドラゴンの他に実験に使われたのは奴隷達もだ。」
「奴隷?」
「その資料の中に奴隷リストってのがある・・それを見てみろ。たぶん驚くぜ。」
スーが言うと体を少し震わせて顔を背けた。
ピッコロは資料を一枚一枚捲っていくとスーの言っていた奴隷リストを見つけた。そして驚きに目を見開いた。
スーはそれを見ながら、遠い過去を思い出していた・・



『やだ!!やめてくれ!!』
『この者は異端だ!!我らの神であるはずがない!!』
『オラ何も悪いことなんかしてねえよ!!』
『やれ!!!』
『やだああああああ!!!!!』


「何でここに悟空の名前が・・?異端者と書いてあるが・・?」
奴隷リストの中には悟空の名前が書いてあった・・そしてその横には『異端者』と書いていたのだ。
「ツフル人は自分達を作ってくれた悟空が自分達の主だと認めなかったんだ・・だから悟空を実験台にしたんだ。そして先代の神達も・・」
「先代の神達?」
「悟空は生まれた時から『異端者』とされ、実験に使われたんだ。どんなに身を引き千切られる痛みや傷も残ったが、傷は時間がたてば無くなった・・それを何度も繰り返された。」
想像を絶するような実験をスーから聞かれ、チチは涙を流した。

「だが本当はそれだけじゃないんだ。破壊神べジータはそれを知っていたが、全能神であった悟空に心を許していく自分が恐ろしかったんだ・・そして・・あの日。全てが変わってしまった・・」

カイ 2012年07月29日 (日) 16時54分(2323)
タイトル:バランスの二人

「お前がつけた傷は・・いつまでも、お前を苦しめているな・・」
鏡に映った自分の姿を見ながら、ヴェルインは呟いた。そして自分の胸に刻まれた沈丁花の刺青に触れる。
「どんなに体を切り刻まれても、どんなに皮を剥いでも、火で焼かれても、この刺青だけは消えず、浮かび上がっては再生した。」
「お前もそうだったのか?ヴェルイン。」
「シュテールか・・」
第三者の声にヴェルインは大して驚きもせず、鏡越しにシュテールを見た。シュテールは煙草を吹かしながら足を組んで椅子に座っていた。
「今更過去のことでも考えているのか?」
「昔のことなんて今更どうなったって知ったことじゃねえよ。ただ・・・」
「ただ・・?」


「ツフル人のベビーには感謝してるぜ。おかげで俺は『出てこれた』んだからな。」
「まあ、あんな出来損ないでも役には立ったな・・」



「悟空が生み出した神達でも、決して破ってはならない掟があった。今思えばあれがあってもなくても、あの日の出来事を変えることはできなかったと思うがな。」
「掟?」
「その掟の一つは、『全能神と破壊神には逆らってはならない』
そして二つ目は、『全能神と破壊神を会わせてはならない』
そして三つ目は、『全能神と破壊神を戦わせてはならない』
これは悟空もベジータも知らず、勝手にあいつらが決めた掟だがな。」
「ちょっと待て。何でそんな掟を?」
「悟空とベジータの力がそれほどまでに強かったのさ。星ひとつでも破壊できるほどにな。」
「なるほどな・・だがわからんことがある。最後の掟はどういうことだ?」
「悟空とベジータ・・つまり全能神と破壊神の力は、いわば正反対の力。悟空が陽ならベジータは陰。力の加減によって逆になることもあるがな。」
「それがどうした?」


「「つまり二つの力がぶつかり合うと、ぶつかり合ったことによって世界や次元が歪み、世界や次元のバランスが崩れるんだ。」」

サンとスーの言葉にその場にいた者達は目を見開いた。

「俺達半身が言うのも何だが、あいつらは宇宙のエネルギーによって生まれた二人。二人はそれなりにバランスを取っていた。故にどちらかが壊れれば、バランスが崩れる。」

「だがあの日。それは起こってしまった。
二人の力がぶつかり合ってしまったあの日が、全てを変え、全てを壊した・・」

「それによって生まれた者もいる。それがフリーザ達さ。」

カイ 2012年08月14日 (火) 19時25分(2369)
タイトル:禁忌に手を出した神

「でもだからといって出会ってしまったから全てが壊れるわけじゃない。二人だってそれは知っていた・・ぶつかり合わなければいいだけの話。」
「でもぶつかり合ってしまった・・」
悟飯の言葉にスーは黙り、サンは頷いた。
「悟空の心が壊れさえしなければ・・あの出来事は・・そしてベジータが悪魔に魂を売ってしまわなければ・・あの悲劇は生まれなかった。」
「悲劇?」
「心を許していくことを恐れたベジータはある『禁忌』に手を出してしまった。悪魔に自分の魂・・『不滅の命』を渡す代わりに自分を悪魔と近い力を渡せと。」
その言葉にその場にいた者達は衝撃を受けた。中でもトランクスは自分の父親の話に驚きを隠せない・・
「悪魔にとって魂は欲すべきもの。それに『不滅の命』と呼ばれた神の魂は、喉から手が出るほどの物。勿論悪魔は承諾した。だがな・・」
「ベジータだって馬鹿じゃない。いやむしろずる賢くてな。悪魔から力をもらった後に、その悪魔を殺した。利用する者は利用する奴だからな、それは昔から変わらなかった。」
「だが悪魔はそれに気づき、死に行く瞬間ベジータにある呪いをかけた。」
「呪い・・?」
「それは一族への呪い。自分がどんなに力を持っていても、スーパーサイヤ人にはなれない、最強の力を発動できないという呪い。そして一族への破滅の呪い。」
「それは転生してから発動する呪いでもあった。だから転生したベジータがどんなに強くなっても、スーパーサイヤ人にはなれなかった。」
スーの言葉にトランクスは違和感を感じ、手を上げた。
「ちょっと待ってください。でも、父さんは遅くてもスーパーサイヤ人にはなれました。呪いはないんじゃ・・」
トランクスが言うと、ブラがそうよと頷く。するとスーがそれがなと続きを話し始めた。
「この呪いには、ある条件が入ってるんだ。そしてこれがないと呪いは解けないんだ。」
「悪魔もずる賢いことをしたもんだよ。」
今度はサンが話し始めた。
「条件?」


「実は呪いを解くには、転生した全能神の悟空か、その悟空の血を持つ者が覚醒しない限り、呪いは解けないんだ。」

カイ 2012年09月14日 (金) 21時24分(2442)
タイトル:本題へ・・自身との戦い

「まあ話はこれくらいにして、突然で悪いが本題に入るぜ。」
「本題?どういうことですか?」
「今の貴様らでは、ドラビル達には到底敵わないということだ。」
突然の第三者の声にその場にいたものは振り向いた。そこには今しばらく帰ってきたらしい神龍がいた。スーがおかえりと言うと、神龍は頭を下げる。
「只今戻りました。地獄での状況はひどいものでした。ですが、解決したため戻りました。遅くなってしまい申し訳ありません。」
「そうかご苦労だったな。」
スーが言うと神龍は再び頭を下げる。するとケルドゥンが黙っている悟飯達の方を向いた。
「身をもって知っただろう?自分達との力の差が。だからといってこのまま指を咥えてあいつらの思うがままにするつもりか?そんなことお前らの親はどうした?」
ケルドゥンの言葉に悟飯達ははっとした。そうだ、確かに自分達との力の差は理解できた。
でも・・
「でも・・いろんなことを知りすぎて・・どうすればいいか・・わかりません。」
悟飯が苦しそうな顔で言うとケルドゥンが悟飯の胸倉を掴んだ。
「てめえは今まで何を聞いてたんだよ?!!自分の父親がどういう状況かわかっただろう!!?同情する暇があるんだったら、あいつを救うとか考えろよな!!」
ケルドゥンが今までにないくらい険しい顔で言うと悟飯は渋々頷いた。が今度は悟天が、
「でも・・僕達にどうしろっていうの?!!お父さん達と・・戦えない・・」
「確かに今の貴様らでは、戦うには充分に不利だ。」
神龍が言うと悟天はえ?と顔を上げた。


「だったらまず強くなれ。強くなってあの方達を救ってみよ!!」
「そうだよな。それにこっちには悟空の半身達とベジータの半身達がいるし、何とかなるかもしれないよな!!」
「おい、クリリンの旦那。それは買いかぶりすぎじゃねえか?」
クリリンが暗くなっている空気を変えるように言ったが、ケルドゥンが言う。クリリンはえ?とケルドゥンを見る。
「誰かがやってくれる。誰かがいるから強い。そうやってきたから今回のようになったんじゃねえか?いつもそうやって悟空に頼ってばっかりだったから、自分達でどうもできなかったから・・悟空はあんな姿になったんだぜ?」
ケルドゥンの言葉にクリリンは今までのことを思い出した。
『まあ悟空がいればどうにかなるよな!!』
『この地球には悟空がいるんですよ。何とかなりますって!!』
『大丈夫ですって!!』
「そうか・・俺、親友なのに何も悟空のことわかってなかった・・」
そしてクリリンは以前悟空に言ったことを後悔した・・

『悟空、ごめんな。お前にばっかり運命を託してしまって・・』
「運命を託して悪いと思ってたのに、いつの間にか全部悟空に背負わせてた・・」
「誰かに頼るのはいいことかもしれねえか、自分達でやらなきゃいけないこともあるんじゃねえの?」
ケルドゥンが言うとクリリンはわかった!!と頷いた。
「わかった!!俺も強くなる!!どこまで強くなるかわからないけど、やってみる!!」
クリリンが真剣に言うと、ケルドゥンがさすが旦那だと呟く。


「「「「「「だったら、まず戦ってみろよ。『もう一人の自分』とな!!」」」」」」
そう言うと神龍とケルドゥン、悟空の半身とベジータの半身達はそれぞれの人達に手を向けた。すると、辺りが暗くなった・・

カイ 2012年09月28日 (金) 23時06分(2488)
タイトル:本題へ・・自身との戦い2

「「「「「「戦ってみろよ、自分自身と・・・」」」」」」
手を自分の頭に置かれた瞬間、意識が遠くなった・・暗くなったのは、周りではなく、自分自身だと気づくのに、そう遅くはなかった。
「どうしちゃったの?皆、急に倒れて・・」
それぞれが倒れたのを見てブルマが心配そうに駆け寄ると、神龍が制した。
「ご安心ください、少し精神を飛ばしただけです。自身の精神世界へ・・・」
「精神世界・・・?」
「今あいつらに戦うべきなのは、自身の弱さと心さ・・」
ケルドゥンがそう言うとそれぞれの者の顔を見た・・・


「ここは・・?一体・・?」
悟飯が目を覚ますと、知らない場所に立っていた。いや、立っていたとしても周りは真っ暗で浮いているのかもわからない。辺り全体が真っ暗だった・・
「兄ちゃん!!」「悟飯さん!!」
自分を呼ぶ声にはっとして振り向くと、そこには悟天とトランクスがいた。
「悟天、トランクス。お前らもいたのか?」
「うん。僕達も一瞬意識が遠くなって気づいたらここにいたんだ。」
「じゃあ他の人達を探そう。」
とりあえず三人はまだ他に人がいるかどうか歩き出した。しかし歩いても歩いても、真っ暗でどこにいるかさえもわからない。
すると、
「おーい!!悟飯達!!」
声がし、はっと前を見るとそこにはクリリンがいた。よく見ると後ろには、ピッコロがいる。
「クリリンさん!!ピッコロさんもいたんですか?よかったー!!」
「いやー、俺たちも気づいたらここにいてよ。偶然ピッコロと会って悟飯達の気があったから辿ってみたんだ。」
「そうですか・・そういえば場所に混乱してて気を探るの忘れてました。すいません。」
でも見つかってよかったと悟飯はほっと胸をなでおろし、ところでここはどこなのか?辺りを見回す。
「神龍とケルドゥンが自身と戦ってみろと言っていたとなると・・ここは・・」
ピッコロがそこまで言った瞬間、ピッコロは激しい気を感じ取った。それはピッコロだけじゃなく、悟飯達もだった。
「何だ?この気は・・・今までに感じたことのないくらい強い気だ。」
はっとして全員振り向くと遠くで激しい爆発が起きており、そこに一人のフードを被った者がいた。
ピッコロが行ってみるぞと言い飛んでくと、白いフードを被っていたのは男で片手に刀を持ちながら、目の前に襲い掛かってくる者をなぎ払うように斬っている。
全て斬り終えた男は血に塗れた刀を地面に刺しながら座り込んだ。見ると男の体は全身が血で汚れ、フードもボロボロだった。男が休むこともなく戦っていたことが容易に理解できる。
「あの・・あなたは・・?」
悟飯がそっと男に駆け寄ると男ははっとして一瞬で地面に刺さっている刀を抜き、悟飯に刀を向こうとしたが、悟飯の顔を見るなり刀を下ろして小刻みに震え始めた。
「ご・・悟飯・・・?」
「え?何で僕の名前?・・貴方は一体・・?」
悟飯がなぜ男が自分の名前を知っているのか聞こうとしたが・・

ドン!!
突然の気孔破が男の胸に当たり、男が血を吐きながら倒れていった・・地面に倒れる瞬間、フードが捲れ、悟飯は男の顔を見て目を見開く。それは悟飯だけじゃなく、全員だった。

「お・・お父さん・・・」
地面に倒れたフードの男は、悟空であった・・

カイ 2012年09月29日 (土) 23時43分(2494)
タイトル:現実の幻覚

「お父さん!!しっかりしてください!!お父さん!!」
倒れて血を流し続けている悟空に駆け寄って悟飯は何度も呼び続ける。するとピッコロが悟飯の襟を掴んで悟飯を悟空から引き離した。
「しっかりするのはお前だ、悟飯!!これは悟空じゃない!!幻覚だ!!」
ピッコロの言葉に悟飯ははっとし、正気に戻った。そうだ、お父さんは今ここにいるはずがない・・
「すみません、ピッコロさん。つい取り乱しちゃって・・・」
悟飯がピッコロの方を向きながら謝罪するとピッコロはほっと胸をなでおろす。すると・・

「そう・・これは幻覚だ。おめえらが望んだ、『現実の幻覚』。」
聞き覚えのある声に悟飯が視線を戻すと、先程まで倒れていた悟空が起き上がった。悟空は血を流し続けながら、血塗れの体のまま笑っていた。
「この体に風穴を開けたのも、おめえら。そしてオラを葬りたいと望んでいたのもおめえら。これは全ておめえらが望んだ現実の幻覚。」
「そんな・・僕達がそんなこと望むわけ・・」
「しっかりしろ!!悟飯、悟天、トランクス!!今の悟空は幻覚だ!!幻覚の言葉に耳を傾けるな!!」
「そうだぞ!!しっかりしろ!!」
ピッコロに同意してクリリンが叫ぶと三人ははっとしてキッと目を鋭くさせ、戦闘態勢に入る。
「そうだ、これは幻覚だ。騙されないぞ!!」
悟天がキッと目を鋭くさせながら目の前の悟空に向かって叫んだ。すると悟空はフッと笑い、フードをまた深く被った。


「そう・・これは幻覚。お前らの・・心の弱さの姿の・・」

カイ 2012年10月07日 (日) 00時44分(2514)
タイトル:心の弱さ

「だからこそ、あの時殺してくれなかったじゃないか?『あたし』を・・」
フードを再び捲りあげた瞬間、その場の全員が目を見開いた。中でもクリリンが一番驚いていた。
「じゅ・・18号・・?」
フードを被りなおした瞬間、悟空はいつの間にか18号に変わっていた。そしてその青い目には血の涙が溢れていた。
「あたしはね、クリリン。セルに吸収されるくらいだったら、死んでもいいと思ってたんだよ。殺されてもいいと思ってたんだよ。それがたとえあんたでもね・・でも、あんたはしくじった。それどころか逃げろだって?あの時いくらあたしに惚れてたからといって、逃げられることできないことくらいあんただってわかってただろう?あたしもあんたに惚れてたけど、あの時正直あんたを恨んだよ。」
18号の言葉にクリリンは何も言えなかった。確かにそうだ。あの時、うまく逃げろだの言っていきながら、後悔したのは自分だった。守れなかったのだ・・結局・・
クリリンの顔が暗くなるのを見て、悟飯が声をかける。
「クリリンさん!!しっかりしてください!!これは幻覚です!!確かにそうだったとしても、お父さんはクリリンさんを怒ってませんよ!!思い出してください!!」
『そんなことかよ?気にすんなって。』
クリリンははっとした。そして顔を上げた。
「そ・・そうだよな。ごめん、悟飯。」
クリリンが謝ると悟飯はほっとした。でもこんな幻覚を見せるものが許せなかった。
「どうしてこんなことするんですか!!??あなたは一体、何者ですか?!!」
悟飯がキッと目の前にいる幻覚を映している者に叫ぶと18号の顔をした者は、再びフードを深く被った。
次は一体何を見せるのか?悟飯は構えると、クリリンも構え、他の者達も構えた。


「何者?さっき言っただろう?現実の幻覚・・心の弱さ・・そう望んでいたお前らの・・」
「だったら・・ぶっ壊せばいいだけの話だ。」
「!!」
悟飯達の背後から突然声が聞こえた瞬間、エネルギー弾が通り過ぎた。エネルギー弾はそのままフードを被った幻覚に直撃し、幻覚は燃え上がった。はっとして全員が後ろを振り向くと、そこにはエネルギー弾を撃ったであろうターレスとバーダックとラディッツがいた。
「幻覚だろうが何だろうがぶっ壊す。それがサイヤ人だ。」
ターレスはにやりと笑って悟飯達のそばを通り過ぎ、幻覚を踏みつける。
「いきなりどこかに連れてきやがった上、俺達を差し置いて、ずいぶん面白いことしてんじゃねえか!!あ?!」
ターレスは幻覚をグリグリ踏みつけていく。あまりのターレスの行動に他の全員は止められなかった。
「言っとくがな、俺はカカロットがどうなろうが知ったこっちゃねえ。幻覚ならぶっ壊す。それだけだ。」


「それがたとえ・・『私』でも?」
急に声が透き通るような女性の声になった瞬間、灰になった幻覚のフードが捲れた。そしてターレスはその声の主の顔を見た瞬間、目を見開いた。
「お・・お前は・・」
ターレスが一瞬動きを止めた瞬間、ターレスの足に刃が突き刺さった。ターレスは足の痛みに顔を歪めると、顔面にエネルギー弾が直撃して吹き飛ばされた。
吹き飛ばされ、倒れたターレスをラディッツが駆け寄った。バーダックだけは表情を大して変えてなかった。
「おい、大丈夫か!!?ターレス!!」
「情けねえ野郎だな。」
バーダックが舌打ちしながら前を見て幻覚を睨みつけた。幻覚は起き上がる際にフードを被った。そして一瞬のうちにバーダックたちの前に移動した。
「貴方達には、消せるの?愛していた『私』を・・」
フードを捲って見せた顔を見てラディッツだけではなく、バーダックまで目を見開いた。
「何で・・お前が・・」
バーダックが呟いた瞬間、幻覚は懐から割れた鏡を取り出し、三人に投げつける。すると鏡が光り、三人は消えてしまった。後に残ったのは、割れた鏡だけであった。幻覚はその鏡を再び懐に仕舞うと、フードをまた深く被った。

「一体、何があったんだ?いきなりあの三人が消えた。」
ヤムチャが言うと幻覚はふと笑い、割れた鏡を取り出し全員を鏡に映す。そして口を開いた。
「幻覚の鏡(イリュージョン・ミラー)」
そう言った瞬間、鏡が光り辺りを照らした。あまり眩しさに全員が目を瞑った。

「信じられないなら、引きずり出してやるよ。おめえらの弱さを・・」

カイ 2012年11月03日 (土) 21時18分(2567)
タイトル:引きずり出された心の弱さ

「引きずり出してやるよ、心の弱さをな。」
割れた鏡が光りだした瞬間、全員の体に異変が起きた。

「ぐ・・ぐああああ!!!!!」
まるで体が引き裂かれるような、まるで自分の体から何かが引きずり出されるような感覚を悟飯は感じた。
意識がなくなる・・だめだ、こんな所で意識を失ったら・・
『だったら早く『俺』を出せよな・・・』
「え?」
声が聞こえ、辺りを見渡すが、誰もいない・・そしてはっとして自分の体を見た瞬間、悟飯は目を見開く。
「な・・何だこれ?」
『だからさっさと出せよな。いい加減腕だけ出しても意味ないだろう?』
自分の体から腕が生えていた。いや、腕が突き出ていた。真っ黒な腕が・・・
「どうして僕の体から・・・腕が・・?」
『「それは俺を出せばわかるさ・・』
黒い腕はそう言うと黒く光り出し、悟飯の体から飛び出した。悟飯ははっとして体を見ると幸い傷や出血はしていなかった。
そして周りを見るといつの間にか自分一人になっていた。
『悪いな、他のみんなはお前と同じ状況で違う所にワープさせてもらったよ。』
え?と声が聞こえ、悟飯は前を見ると悟飯から飛び出してきた黒い塊が声を発していた。
そして黒い塊はさっきまで黒い腕からだんだん姿を変え、黒いフードをした人の姿になった。
さっきと同じか?と悟飯は思ったが、さっきの幻覚の言っていた言葉が気になった。
『引きずり出してやるよ、心の弱さを。』

「安心しろよ、俺はあの『幻覚』じゃない。俺はな・・」
そう言うと黒いフードの男はフードを捲った。
フードを捲った素顔を見て、悟飯は目を見開いた。


「俺はてめえ自身だよ。てめえの心だよ・・・悟飯。」
それはまさしく自分だった。
顔も声も、体系も・・まさしく自分そのものだった。

カイ 2012年11月18日 (日) 14時52分(2600)
タイトル:それぞれに迫る戦い

先程の声の言ったとおり、それぞれに飛ばされた者達にも同じ状況が起きていた。
「そ・・そんな・・」
「どうして・・」
「こんな・・・」
「ことが・・」

「「「「起きているんだ!!!????」」」」」

「悟飯君!!しっかりして!!」
ビーデルが必死に苦しがっている悟飯を揺さぶるが、悟飯は目覚めない。それをケルドゥンがビーデルの肩を掴む。
「離して!!どうしてこんなことするの?!」
「さっきも言っただろう?自分自身と戦うってよ。」
「でも、パパや他の皆が苦しがっているのを黙ってみてるなんてできないじゃない!!」
今度はパンが言うと神龍が口を開いた。
「パン殿、貴女はベビーによって地球が支配され、自分の家族が洗脳され、敵になった時、どう思いましたか?」
「え?」
「貴女ならわかっているはずだ。自分の家族が敵に回った時に貴女は苦しんだでしょう?悲しかったでしょう?でもそれを貴女がどんなにベビーにぶつけても、家族に正気に戻ってとぶつけても、ベビーどころか家族には届かなかった・・」
「それはベビーは洗脳した張本人だし、パパやママは洗脳されてたから・・それに、もう皆は元に戻ったんだからいいじゃない!!」
「確かに戻ったのはよかったが、また同じことが起きて・・今度は悟空が敵になった。そしてベジータも・・」
ケルドゥンは自分がベジータを守れなかったことに歯軋りする。しかし何とかそれを噛み締め、続けた。
「悟空・・ヴェルインは言っていたはずだ。地球に戻って家族に会えるはずが家族に刃を向けられる者の気持ち、わかるかと。」
「それは確かにサイヤ人なら当たり前のことかもしれないが、悟空は、俺達の神は心までサイヤ人になったつもりはない。」
「確かに洗脳したのはベビーだが、悟空に全てを任せてしまったあいつらにも責任はある。だから本当に悟空やベジータを戻したいという気持ちがあいつらにあるなら、まず洗脳された自分自身の弱さと向き合い、戦わなければならないんだ。そして、もう二度とあんな悲劇を生まないためにも!!」

「そして貴女達にもね・・」
神龍はそう言うと黒い札を取り出し、地面に貼り、刀で突き刺した。すると黒い札がそれぞれ割れ、チチ達の影に入り、影が浮かび上がってきた。
「これは・・一体・・?」


「人を救いたいという気持ちは誰にでもある。だけど、その人の傷を知るには、自分も同じ思いをしなければ・・自分だけじゃなく、人も救えない・・私はそう教わった。」

カイ 2012年12月08日 (土) 22時22分(2624)
タイトル:心の弱さゆえの代償

自分そっくりのもう一人の悟飯は自分の体を確かめるように腕を回したりした後、ニヤリと笑った。
「さてと・・」
「!!」
もう一人の悟飯はサッと悟飯の前に移動した瞬間、悟飯の目の前に掌で溜めた気で攻撃した。悟飯はすばやく回避すると立て続けにもう一人の悟飯は攻撃してくる。
「な・・何をするんだ!!?」
「何って・・戦いだよ!!殺すんだよ!!お前自身を!!」
「ぼ・・僕達が戦う理由なんてどこにあるんだ!!?」
「戦う理由?神龍とケルドゥンから聞いてないのか!!?もう一人の自分自身と!!」
その言葉を聞いて悟飯ははっとした。そして飛んで回避した後、地面に着地すると冷静さを取り戻して態勢を取る。
「やっとその気になったか。くだらない正義感で戦いから逃げていたくせに・・」
「戦いから逃げていた・・?」
「その通りだろ?君はずっと逃げていた。生きている限り、戦いから逃れることなんてできないんだよ!!そしてその弱さが、地球をベビーなんかに乗っ取られてしまった!!」
「生きている限り・・」
「魂が生きている限り、肉体が滅んでも、戦いからは逃れられない!!昨日会った人が次の日には敵になってるかもしれない!!だからいつでも心の底では戦う意思を忘れないようにしなきゃいけないんだよ!!」
「そんなの無理です!!だって・・それでもしその人が大切な人だったら・・」
「大切じゃなかったの?『父さん』は・・・」
「!!」
悟空の笑顔が脳裏に浮かんだ瞬間、頬に激しい激痛が走り、悟飯は吹っ飛ばされた。吹っ飛ばされた後、もう一人の悟飯は瞬時に移動し、腹部に両手で固めた拳を振り下ろした。
「がは!!!」
口から胃液と血を吐いた悟飯は、地面に叩きつけられる。


「父さんなんて・・・いなければよかったのに・・戦うしか脳のないサイヤ人なんて・・消えてしまえばいいのに・・そう言ったのは・・君自身だよ。悟飯・・」
「うぐ・・ぼ・・僕が・・そんなことを・・」
腹部を抑えながら悟飯は体を起こすと、もう一人の悟飯の顔が変わっていくのを見た。それはまるで紋様が浮かび上がった顔で、今まで自分が見たことがないくらい性悪になっていたからだ。
「一応言っておくけど、この姿はベビーに洗脳された姿。この顔で君はお父さんに言った。」


『『『サイヤ人は皆殺し・・』』』


『『『目障りなサイヤ人だ・・・』』』



『『『野蛮なサイヤ人の分際で・・・』』』


「そう言って自分の家族だけじゃなく、実の父親に刃を向けるお前たちこそが、サイヤ人だということがわからないのか!!!」

悟飯と同じようなことがそれぞれの場所で起こり、それぞれの者達は互いに傷づいていた。
「こんなことを・・僕達が・・そんな・・」
悟天が負傷した片手で掴みながら、よろよろと立ち上がる。
「それは君の弱さが招いた元凶・・・だから・・」
ドゴン!!!
「がは!!」
鳩尾に蹴りを入れられ、吹っ飛ばされ叩きつけられた悟天。

それぞれの場所で同じく叩きつけられるトランクスと悟飯。

そして向けられるもう一人の自分達の目。

「「「わかるか?これがお前達の・・心の弱さだよ!!!」」」

もう一人の自分達はそう言うと手に気を溜め始めた。

カイ 2013年02月09日 (土) 14時51分(2712)
タイトル:宇宙の異変

悟飯達がそれぞれ自分の弱さと戦っている頃、ヴェルインは月を眺めていた。
「結局、皆『オラ』を裏切ったんだ・・」
ヴェルインが『オラ』と発言したのを聞き、ヴェルインの横にいたドラビルは驚き、ヴェルインを見る。するとヴェルインはくすっと笑い、ドラビルを見る。
「大丈夫だ、ドラビル。『あいつ』なら、ここで啼きながら眠っている・・・」
ヴェルインが自分の頭を差した後、ドラビルの頭を撫でる。
「なあドラビル。作戦の第一段階である、『目的地』にはあとどれくらいだ?」
「そうですね。あと一時間です。」
「そうか・・なあ、ドラビル。最後は地球と決めていたが、俺に考えがあるんだ。」
「考え?」
「ああ・・なあシュテール。この考えにはおめえも賛成なんだろう?」
ヴェルインが振り向くと同じく月を眺めて酒を飲んでいたシュテールがヴェルインのほうを向いて、ニヤリと笑った。
「ああ・・久々に破壊神の血が騒ぐ・・あいつらにとってはいい手土産になりそうだ。」
不気味に笑いあう二人に一瞬ぞくっとしたドラビルだが、すぐニヤリと笑い口を開いた。

「あなた方がいう考えというのはさぞ美しいものなんでしょう。ならば私も聞かせていただきたい。ジョーカー、お前も聞くといい・・」
ドラビルが呼ぶとジョーカーが出てきて二人に頭を下げた後、ドラビルの横に移った。


「どういうことだ?これは・・ここ数日で・・惑星が次々と破壊されている・・」
「もしかして、これが全能神様と破壊神の仕業なのか・・?」
宇宙の異変に気づいた老界王神が東の界王神と共に宇宙の状況を調べていた。
「しかし、ただ破壊するだけなら、やっていることはそうサイヤ人達や他の輩と何ら変わりはない・・ん?」
「どうしました?ご先祖様?」
「これは!!!???」

カイ 2013年02月09日 (土) 15時29分(2713)
タイトル:宇宙の異変2・界王達の決意

「これは・・一体・・?」
「破壊された惑星が次々と違う形に変わっていっています・・それに、その星達の生命達がまるで何かに吸い寄せられるようになっていきます。」
「吸い寄せられた場所は?」
「わかりません。一体何故・・?」
界王神達が宇宙の異変に気づいていると、北の界王が現れた。後ろには他の惑星の界王達もいる。
「あの、界王神様・・」
「何じゃ?今ワシらは忙しいんじゃが・・」
「わかっています。今の宇宙の状況も・・ですが我々には貴方様達に話さなければならないことがあります。」
北の界王のまるで苦渋の決断をするような顔を見て、老界王神は話を聞くことにした。
「我々は・・悟空とベジータを・・『封印』するつもりです。」
「それはつまり、悟空とベジータ・・全能神様と破壊神と戦うということか?」
「はい。もうこうなってしまった以上、下界のことに安易に関わるとはいえません。それに・・もう・・あの二人はかつてのあの二人ではない・・」
北の界王の脳裏にはかつての悟空とベジータの記憶が浮かぶ。
いつも笑っていた優しくて、強くて宇宙を守ってきた悟空。
いつも眉間に皺を寄せ、だが悟空と共に宇宙を守ってきたベジータ。
もうかつてのあの二人は・・もういない・・


「それはワシらとて同じじゃ。」
「え?」
「じゃが、封印するのはあの二人だけじゃない・・その前にドラビルを倒すことも目的とせねばならん。それを忘れるでないぞ・・」
「わかっています・・」

カイ 2013年03月02日 (土) 17時35分(2733)
タイトル:大切な者をなくす代償

『オラは一度、大切な人を殺したことがあるんだ・・』
そんなことを私は遠い過去に聞いたことがあった。


悟飯達が精神世界で戦っているのを精神世界を映す鏡で見ながら、神龍とケルドゥンは黙っていた。ちなみに今自分達がいる所でも戦いが起きていることを知ってながら。
「何で助けてくれないのよ?!神龍、ケルドゥン!!」
パンが近くで神龍が作った結界の中で自分の母親達が己の弱さという名の者と苦戦しているのを見ながら叫んだ。
「助けるね・・それが弱さだって言ってんだよ、パンのお嬢。」
「何よそれ?!」
「いいですか?あれは自分自身への戦い・・自分に勝たなければ、誰かに勝てるわけがないでしょう?苦戦しているということは、あれは彼女達に責任がある。」
「でも!!「いい加減にしなさい!!」
神龍が怒鳴るとパンはビクリと黙った。

「自分を救うには自分しかいないんですよ!!主様を元に戻したいというなら、我慢しなさい!!貴女はいつも助けを求めてばかりいる!!求めるだけじゃ・・何も変わらないんですよ!!」
「我侭言うのも・・大概にしとけよ・・」
神龍が言うのをケルドゥンは相変わらずこええな・・と思いながら呟いた。神龍の言葉にパンはそれ以上何も言えず、黙るしかなかった・・・


「相変わらず女にもきついなお前は・・まあ『あいつ』が惚れるのもわかるけどな・・」
「何の話だ?」
「栄華・ユーリル。お前の婚約者の名前だろう?」
「何故その名前を知ってる?」
「ベジータが破壊神だった頃、俺達の運命が変わった・・『審判の日』。龍神界を襲撃した時にそいつと会ったからな・・そいつのことはだいたいわかる。最後に言った言葉も・・」

『お願い・・あの人と出会うまでは・・あの人だけは見逃してあげて・・お願い・・』
「俺は数多くの奴を殺してたけど、どうもあん時だけは、躊躇っちまったな・・」
「貴様があいつを・・私の婚約者を殺したのか・・?」
神龍の顔が怒りで露になっていくのを見てケルドゥンは大して表情も変えず、口を開いた。
「どっちを取っても構わねえけど、俺が殺したようなもんだな・・そういうお前だって・・
俺の女を殺しただろうが・・?これでおあいこか?」
フッと笑うケルドゥンに神龍は何がおあいこだケダモノが!!と叫んだ後、顔を背けた。


『大切な者を失うのも、大切な者に刃を向けられるのも・・どちらも悲しいものだな・・』
『どういうことですか?』
『オラさ・・大切な者を・・自分の手で殺したことがあるんだ・・ただ殺すならまだしも、
その人の魂まで粉々に壊してしまった・・幸い消滅までにはいかなかったけど、オラは千年の罰を受けた・・そして今度は大切な者に刃を向けられる・・これもオラの罰なのだろうか・・?』
『主様・・』
『ごめんな、こんな話して・・』
そう言って彼は悲しそうだった・・・


「どちらも・・悲しいものなのか・・皮肉だな・・」

カイ 2013年03月09日 (土) 23時47分(2756)
タイトル:弱さゆえに響く声

己の弱さと向き合えと言ったのは、神龍とケルドゥンだった・・

これが自分の弱さなのだということを・・身を持ってわかる気がする・・・

そして誰かが心の奥底で・・叫んでいる・・

「思い出せ。」と・・・・


気孔波を避けることもできず、もろに食らった悟飯は吹っ飛んだ後、もう一人の自分によって暴行を受けた後、地面に叩きつけられ、顔を蹴り上げられ、何発かの打撃を受け続け、悟飯の体はボロボロだった・・
「もうおしまいなの?弱いね・・自分の心の弱さに負けるなんて弱くて無様だよ・・」
にやりと笑うもう一人の自分の顔を見て悟飯はあれが本当に自分なのかと眩暈を起こしそうになった・・

もう何もかも限界だった・・どうしてこんなことになったのか・・?現実逃避したくなるくらい悟飯の心は限界で、体も限界で悲鳴をあげていた・・
ドカ!!
「がは!!」
気が遠くなりそうになった瞬間、鳩尾に蹴りを食らい、悟飯は吹っ飛ばされ、背後に回りこんだもう一人の自分によってまた地面に叩きつけられた。
「まだ動けるの?」
両手に手を付いて立ち上がろうとしたが、足で顔を踏まれ、また地面に叩きつけられる。
「どうして・・こうなったんだろうね?」
もう一人の自分の冷たい声が聞こえ、悟飯はもう立ち上がることもできず、動けない体と共に意識が失われていくのを感じた・・


どうして・・?


ドウシテ・・?


「・・・せ・・」


「・・・だせ・・」


「・・いだせ・・」


「思い出せ・・」


思い出せ?何を思い出せというのだろう?

悟飯は自分の中で言い続ける声を聞いたまま・・沈んでいくように感じた・・

カイ 2013年04月13日 (土) 22時42分(2808)
タイトル:弱さゆえの代償

「沈んだか・・」
神龍はポツリと呟くと真紅の瞳を伏せた。パンがえ?というとずっと倒れていた悟飯の体がぴくりと動き、パンは悟飯が目を覚ますのだと感じ悟飯に駆け寄ろうとした。しかし、悟飯の体が起き上がった瞬間、パンはその光景に目を見開いた。
「な・・何これ?」
悟飯の体から禍々しいほどの黒い気が溢れ出て、それはいつの間にかドロドロとした液体のようになり、悟飯を異形な姿へと変えていった。
「パ・・パパ・・なの?」
「闇に食われおったか・・」
パンが驚きと恐怖で青ざめているのに対して神龍は悟飯の姿を冷静に解釈した。
「な・・何を言ってるの?」
「己の弱さと戦ったが負けて代償をくらったのさ、悟飯の坊主は。」
ケルドゥンがそう言うと神龍は苛立った顔をして異形の姿になった悟飯の胸倉を掴んだ。
すると、悟飯が目を開ける。

「し・・神龍さん?ど・・どうして・・?あれ?僕は・・?」
「貴様、闇に喰われたのは体だけか・・」
え?と神龍が何を言っているのかわからない悟飯に神龍は鏡を見せた。すると悟飯は自分の姿に目を見開き、悲鳴をあげた。


今の悟飯は全身が黒い毛と鱗で覆われ、手も足も長い爪が生え、まるで化け物のようだった。
「何で僕がこんな姿に!!!???」
「貴様が己の心の弱さに負けたゆえの代償がその姿だ。つまり、貴様が招いた物だ。」
「そ・・そんな・・」
「貴様だけではない・・貴様と同じように己の弱さと戦った者全ては・・代償を食らった・・・」
神龍がそう言うと顔を向こうに向ける。悟飯が神龍の向いた方を振り向くと、自分の仲間達や家族がそれぞれ異形の姿に変わっていった・・


「自分がその姿になったのは、お前が自分の弱さと向き合えなかったからだ。元の姿に戻りたくば、もう一度戦うしかない。」
「そんなのできませんよ!!あんなに強いのに!!」
「戦ってもいないのにか?」
「!」
「自分の迷いゆえに戦おうとしなかったからだろう?」
「でも・・僕は・・いえ僕達は・・己の弱さと向き合うなんてできないんですよ!!父さんやベジータさんや・・貴方達の様に・・強くないんですよ!!!」

『神龍、お前強いな・・もっと強くなれよ。』

「私は・・・」
神龍は刀を抜いた・・


そして悟飯に歩み寄り・・

「私は・・・」


刀を高く上げ・・



「強くなど・・・ない・・・!!!」


強く振り落とした・・

カイ 2013年05月04日 (土) 19時42分(2812)
タイトル:悟飯の覚醒

振り落とされる刀を悟飯はとっさにガードしようとしたが、刀を振り下ろす神龍の瞳から流れる涙を見て、一瞬力が緩んでしまった・・
その一瞬の気の緩みが命取りになった・・はっと気づいた時には刀はもう目の前・・それが悟飯にはスローモーションのように見えた・・

斬られる・・
悟飯はすぐに思った・・

どうして僕は結局駄目なのだろう・・?

弱さから逃げたから?

でも・・僕は・・

『正しいことのためにた…闘うことは罪ではない… は…話し合いなど通用しないあいてもいるのだ… せ…精神を自由に開放してやれ… き…気持ちはわかるがもうガマンすることはない…』

『オ…オレのスキだった自然や動物たちを…… ま…守ってやってくれ…』


『悟飯・・これだけは覚えとけよ。戦うことで守ることは正しいことかわからない・・でも争うことは何も守れない・・それは正しいことじゃない。自分の心も。』

『決して逃げちゃ駄目なんだ。自分の心からは・・』


自分の心・・


思い出した!!!


カッと眩い光が悟飯から放たれ、神龍は刀を止め、ケルドゥンとパンは目を瞑った。
そしてしばらくして光が弱まり、消えていくとケルドゥンとパンは目を開ける。すると悟飯の姿を見て、パンは目を見開いて、ケルドゥンはへえと軽く笑う。
「どうやら、スーパーサイヤ人の力だけは、取り戻したようだな・・」
悟飯の姿はスーパーサイヤ人に変わっていた・・ケルドゥンの言葉に悟飯は自分の姿がスーパーサイヤ人に変わっていたことに気づくと呟いた。
「何で・・スーパーサイヤ人の力は神龍に奪われたはずなのに・・?」
「どうやら少しは自分の心の弱さと向き合うようにはなったようだな・・」
神龍は悟飯が驚いているのをさして気にしたようでもないまま、冷静に解釈する。悟飯は少し冷静になるとぐっと顔を上げ、強気な目で神龍を見る。

「まだ自分のことは理解できていない・・でも・・逃げても何も変わらないことはわかりました!!」
「少しは理解したようだな・・だがそれではまだ程遠い・・やはり私が主様を助けるしかないようだな・・」
神龍は悟飯に向けていた刀を鞘に納めると、踵を返す。すると悟飯が呼び止めた。
「貴方にとって父さんは大事な主かもしれませんが、僕達にとってもたった一人の父親なんです!!」
「ならば・・その言葉を・・己の魂とぶつけて私を納得させてみろ。」

そう言うと神龍は時空剣を空間の中から取り出すと、自分と悟飯にだけの空間を作り出した。

悟飯はスーパーサイヤ人の姿のまま、気を最大限に放出させて神龍に向かって行った。神龍も同時に刀を抜いて地面を蹴った。

カイ 2013年05月11日 (土) 23時01分(2815)
タイトル:ぶつかり合う刃

神龍の刀を悟飯は気で覆った腕で受け止めながら、蹴りを食らわすが神龍は軽くかわして柄の先で腹に一発食らわせる。
反撃してはかわされ、傷が多くなっていく悟飯は一瞬神龍から離れると、額に流れる汗と血を拭った。
「パパ・・傷がひどい・・相手が刀なのにパパは素手でしょう?これじゃああんまりよ!」
パンが透明の空間に触れるがまるで壁ができているようで前に進めず、ただひたすら悟飯の様子を見守るしかなかった。
「ねえ、ケルドゥン!!神龍に言ってよ!!刀は捨てて素手で戦ってって!!普通戦いは素手でしょう?これじゃあ卑怯じゃない!!」
パンがケルドゥンに言うがケルドゥンがのん気な声でそうはいってもなと呟く。それに痺れを切らしたパンはもういいわよ!!と空間を叩く。
「神龍!!もういいでしょう!!もうやめてよ!!パパがスーパーサイヤ人になったんだからもういいでしょう!!」
「戦いに口出しは無用だぜ?パンのお嬢。」
パンの口を片手でケルドゥンが塞ぐとパンはケルドゥンの手を離してまたも叫ぶ。
「じゃあせめて刀捨ててよ!!素手で戦ってよ!!それならいいでしょう!!「そしたらあいつ、死ぬぜ?」
「え・・・?」
死ぬ・・?
ケルドゥンの言葉にパンは目を見開いてケルドゥンを見る。ケルドゥンの神龍と同じ真紅の瞳にはいつもと違う色のように見えた。
「死ぬっていってもここはあの世だから死なねえか・・。でも、死人が死ぬ時は魂が消えるって聞いたな。魂まで消えたらもう・・何も残らないぜ。それに、たとえ死ななくても五体満足でいられる保障はないぜ。」
「どう・・いう・・こと・・?」
パンががくがく震えながらケルドゥンに尋ねると、ケルドゥンは右手を見せると袖を巻くりあげ、その下にはバンダナを巻いているらしく、それも外した。そこにあったのは・・

「何これ・・?」
そこにあったのはいくつもの無数の傷だった。いやそれよりもその腕は何度も接合しようとしたのであろうつぎはぎだらけの跡があった。
「これはあいつによって付けられた傷さ。同じ再生能力を持った俺でもこの傷だけは治すのに苦労したぜ。」
「どうしてこんな・・」
「あいつが何で刀持ってるか知ってるか?それはあいつ自身が加減しながら戦ってるからさ。」
「加減?あれが・・」
「加減って言っても力加減だぜ?あいつ、素手だと見境ねえからな・・過去に二度戦った時我を忘れたあいつが刀を使わずに、見境なく周りの者を殺していく姿を見た時は・・さすがの俺でも驚いた。まあ、それを見た時俺の獣も叫んでた。『やっと本能が出せる』と・・そしてぶつかり合った時、何が何だかわからなくなった・・気づけばあいつと俺が戦っていた場所は血だらけで、お互い酷い傷を負っていた。あいつはフラフラになりながら悟空の下に去って行った。俺はあいつを追おうとしたが限界で何とか再生能力で動けるようにしたが、右手だけがどうしても再生できなくて我武者羅になりながらそこら辺の物でつぎはぎして、再生した。そして跡だけが残った・・それがこの傷さ。」
「そんなことが・・」

「だからあいつが刀を使う時がまだ安心さ。素手の方が危険だからな。」

カイ 2013年11月17日 (日) 00時02分(2843)
タイトル:ケルドゥンの行動

「パパ・・神龍・・もうやめて・・」
ケルドゥンの言葉に何もいえなかったパンであったが、しばらくしてやっぱりもう見ていられなくなり、涙を流す。それを見ていたケルドゥンはやれやれと溜息を吐くと、気を失って倒れているトランクスの前に行き、傍にあったトランクスの剣を持った。
「一応手入れはしてあるから、折れなくてよかった・・」
ケルドゥンは剣の具合を見た後、剣を持ち、まだ目覚めていないトランクスを見てまた溜息を吐き、トランクスの胸倉を剣を持っていない方の手で掴んで持ち上げると顔を近づけるようにトランクスを見ながら怒鳴った。
「いい加減いつまで寝てんだ!!それでも俺の主のベジータの息子か!!いい加減目覚ましやがれ!!」
怒鳴った後、ケルドゥンはウーブや悟天にも同じように怒鳴りつける。
「メソメソ泣いてる女一人にして、何が男だ!!」
そう言い残した後、ケルドゥンはトランクスの剣を持って、空間の前に立った。


「後でパンのお嬢がギャアギャア言うかもしんないし、お前も渋い顔するかもしんないけど・・悪いな。ちょっと・・手ださせてもらうぜ。」
ケルドゥンは空間に手を入れると入れることを確認して空間に入っていった。あれほどパンが叩いてもびくともしなかったのに、空間に入っていくケルドゥンはまるで水の中に吸い込まれるような感じだった。
「悟飯坊。」
ケルドゥンは悟飯が神龍と距離を置いて肩で息をしているのを見ながら悟飯を呼んで、トランクスの剣を投げた。
「これは・・「使え。」
トランクスの剣を見た後、悟飯は顔を上げた。ケルドゥンは悟飯が受け取ったのを確認すると、背を向けて悟飯に言う。

「これだけは言っておくぞ。戦いにぶつけるのは力だけじゃない。技でも武器でもない。魂だ!!・・・その剣で己の思いを込めて、ぶつけてこい!!今、お前が何をすべきかを。ぶつけてこい!!」
「己の思い・・」
ケルドゥンはそういい残した後、空間から出た。神龍が渋い顔をしながら「余計なことを」と言うのをあえて無視しながら。


「ちょっと、ケルドゥン!!どういうこと?!!何で今更!!こうすべきなら、もっと早く行動してよ!!」
「その前に涙拭いたらどうだ?」
ケルドゥンが片耳を塞ぎながら、ハンカチを手渡した。パンははっと気づいて涙を拭くと、またケルドゥンに怒鳴った。
「どうしてもっと早く「だったら何でお前が最初にしなかったんだ?とっさの判断くらい、ガキでもできるぜ?・・あ!つーかガキか。」
ケルドゥンの言葉にまたパンは怒り、さらに声を上げる。しかしケルドゥンは大して表情も変えず、パンの言葉を聞き流す。
「ちょっと聞いてるの?!ケ「うるせえな。」
ケルドゥンがギロっとパンを睨むと、パンは黙った。

「どうしてあんたはそうやって・・口ばかりで収めようとするんだ?!」
「え?」
「自分ばかり正しいと思ったら、それは大間違いだぜ!!言っとくけどな、俺があいつに剣を渡したのは、あいつがこのままじゃ心が折れると思ったからだ!!それだけだ!!あんたもあいつの娘なら、ギャアギャア騒いでないで、何か出来るかを考えることが当たり前だろう?!誰かに頼ってばかりじゃ自分は変えられないんだ!!誰も救えないんだ!!それぐらい、少しは自分で考えてみろよ!!わかったか!」
「・・・・・・」
ケルドゥンの言葉にパンはとうとう何も言えなくなった・・・

「自分ばかり正しいと思うままだったら・・それじゃあ何も救えないぜ。」

カイ 2013年12月21日 (土) 23時57分(2849)
タイトル:神龍の決意

『神龍、何があっても・・オラを信じてくれないか?』
信じていた・・何があっても・・

『でもいつか信じることができなくなったら・・オラの力を受け継ぐ者を信じてくれ。』
あなたはそう言っていた・・


『それか自分の心を信じてくれ。それだけは忘れないでくれ。』
自分の心・・


『神龍。もし・・・』
それは・・私は・・・・


信じることが怖いわけではない。心を持つことを教えてくれたのはあなただった。私はあなたの言葉を信じたかった・・でも・・あいつらは・・あなたの心を・・・

『受け継いでなど・・いなかった・・』




ガキン!!
「くっ!!」
悟飯がケルドゥンに渡された剣で弾かれた瞬間、間合いを取った。何度刃を交えただろう?
何度剣を弾かれただろう?一向に神龍の距離が縮まらない・・
「それで終わりか?」
こっちがボロボロで息も上がっているのに、神龍は最初から全然息が上がっていない。それどころか大して変わっていない・・

「弱いな・・」
「わかってますよ。だから強くなるために、殺す覚悟で来てください!!」
「・・・・・」
「もう、逃げたくないんです!!」
「嘘つきが・・」
「え?」

もうたくさんだ!!偽りの言葉も!!
歯軋りをした神龍は刀を数本捨て、一本だけになった刀を両手で持ち、構える。

「もう・・終わりだ!!!」
神龍から禍々しい気が溢れ、地面を蹴って向かってきた瞬間、悟飯は剣を構えた。
が・・


「え?」
悟飯が何かを自分の体がすり抜けたと思った時、自分の後ろには神龍がいた。


「終わりだ・・・・」
神龍が刀を鞘に収めた瞬間、辺りに血が舞い、折れた剣と共に悟飯は崩れ落ちた・・・

カイ 2014年01月03日 (金) 18時41分(2863)
タイトル:後悔の念

「「「!!!」」」
「どうなさいました?ヴェルイン様、シュテール様、ドラビル様。」


「………」
「いや・・・」
「何でもない。」

何かの気に感じた三人は一瞬手を止めたが、またすぐに手を動かした。そしてしばらくしてドラビルが立ち上がる。
「どこへ行く?ドラビル。」
「少し出てきます。すぐに戻るので、ご安心ください。」
そう言うと、ドラビルは部屋を出て行った。シュテールはふんと言い、部下に下がるように指示を出す。
「相変わらずあいつの行動は読めるようで読めんな。どこぞの従者と同じで。」
「それって神龍のこと言ってんか?シュテール。」
何かのまじないをしていたヴェルインが手を止め、視線をシュテールに向けるとシュテールは他に誰がいる?と返す。
「あいつがどう思ってんのかどうかなんて俺にも悟空にもわかんねえけどよ、少なくとも俺の存在に気づいていたことは確かだ。ドラビルも神龍もな。…そしてケルドゥンも。」
「その名を口にするな。」
「悪い、でも気づいていたことなのに、何もできなかっただけ。そして後悔してんだよ、神龍は。」
「あの、真面目故の傲慢さの性格にか?」
「それもあるけど、あいつは俺の存在を止められないことへの罪悪感、そしてそうさせてしまった自分への後悔、全ての罪に。そして気づいてんだよ、悟飯達は本当は裏切ってなどいないことに。」
「あの真面目故の傲慢な性格に意地っりも入ってたとはな。」

カイ 2014年01月12日 (日) 15時03分(2869)
タイトル:キカザル

倒れた悟飯を見下ろしながら神龍は折れたコナッツ星の剣を拾い、遠くに投げた。そして悟飯に背を向け歩き出す。パンはハッとし、結界を叩く。すると神龍が結界を解いたのか結界が無くなり、パンはケルドゥンを振り払い、悟飯の元へ行く。悟飯に意識がないことに青ざめながらパンは神龍を睨み叫ぶ。
「神龍!!ちょっと待ちなさいよ!!」
「急所は外しておきました。処置が早ければ、助かります。」
「そういう問題じゃないでしょう!!何でこんなことするのよ!!」
「そうよ!!信じられないわ!!」
いつの間にかブラまで来て二人で神龍を罵倒する。だが神龍は背を向けたままだった。すると
「!!」
パシ!!と辺りに音が響いた。パンとブラは目を見開いた。そこには今まさに神龍に平手をしようとしたブルマとチチの手を受け止めていた神龍がいた。ブルマとチチの目には涙が浮かんでいる。だが神龍はそれでも大して表情を変えない。
「私を殴る前に、自分の子の安否を確認しなさい。まだ死んでません。」
神龍の悪魔でも動じない口調と顔に二人は更に顔を赤らめ、また平手をしようとした。するとその手を掴む第三者の手に二人は振り向く。そこには

「何の真似だ?キカザル。」
そこにいたのは、神龍の部下のキカザルだった。キカザルは軽く頭を下げると、ブルマとチチを神龍から突き放す。地面に倒れた二人は何すんのよ!?と怒鳴る。しかしキカザルは無視した。
「ちょっとあんたね!!突き放す相手間違ってるわよ!?それでもあんた、女なの?」
「女なら女の敵は女だということは間違ってません。」
「敵かどうかじゃないのよ!!」
「いちいちうるさい女ですね。貴女は・・」
キカザルが肩越しに振り返りながらブルマを見るとブルマはぞくっとした。その目は今までに感じたことのないような冷たい目だったからだ。

「そのぐらいにしておけ、キカザル。」
「ちょっと、元はといえばあんたが!!「キカザル。ブルマ殿とチチ殿の代わりに私を殴れ。」
「え?」
神龍が言うとキカザルは神龍に向き直り口を開く。
「しかし、神龍様。あなたはこの者達のために、二度目は抵抗せずに殴られるつもりだったのでしょう?このような者達になぜ貴方様が手にかからなければならないのですか?」
「それで二人の気が済むのなら構わぬ。どちらに転んでも、結局は何も変わらんのだからな。」
「・・・かしこまりました。」
キカザルはそう言うと、神龍の顔を叩いた。神龍の顔は大して傷も付かず変わらなかったが。


「これで気は済みましたか?」
神龍はそう言うと二人の傍を通り過ぎた。そして通り過ぎる時に呟く。
「すみませんでした・・・」
その声は少し悲しそうで辛そうだったので、二人は神龍の方を向いたが神龍はもういなかった。
神龍が消えたのを見てブルマとチチはキカザルが代わりに自分達のことをしてくれたので、キカザルに礼を言おうと向き直った。が、

パン!!パン!!
「え?」「!!」
向き直った瞬間、自分達が平手を食らったので、一瞬何が起きたのか理解できなかった。

「目、覚めましたか?」

カイ 2014年06月08日 (日) 19時30分(2964)
タイトル:救うための代償

「目、覚めましたか?」
キカザルが今までにないくらい冷たい目をしていたので、二人はしばらく固まっていた。が、すぐにキカザルを睨む。
「ちょっと!!何すんのよ!!?」
「そうだべ。おめえ、いきなり何するべ!!」
「いきなり神龍様を殴ろうとした輩がよくそんな口が聞けるわね。」
急に口調が変わったキカザルをチチとブルマがえ?とキカザルを見る。キカザルは顔どころか覇気まで変わっていた。
「敵が撃ちますよと言って攻撃してくるとでも思ってんのか?あんたら?」
「な・・何言ってんのよ?!」
「神龍様は悟飯を強くするために戦ったんだ。それにあいつが答えられなかっただけ。そんなことも知らずに、よくそんな口が聞けるよな!!てめえらはよ!!」
「おーい、キカザル。キャラ変わってるぞ」
ケルドゥンが遠くでそう言うがキカザルは無視した。ブルマは耳に入っていないのか、キカザルに噛み付く。
「そんなことって何よ!!親が子供の心配するのは当たり前じゃない!!何が悪いのよ!!」
「そうだべ!!自分の子供を心配しない親なんてこの世にいるわけねえべ!!」

「じゃあ生まれてすぐに弱いからという理由で、親に見捨てられ、クズ呼ばわりされた悟空様どうなんですか?」
「それはサイヤ人の話でしょう?「地球人がサイヤ人とツフル人を元にして生み出された人類でもですか?」
「え?」

「そういう身勝手な所、サイヤ人によく似てるわ。」
「どういうことよ?」
「説明してほしいべ。」
「全能神である悟空様は、後のサイヤ人でもある闘神と後のツフル人でもある知識の神を自分の手で滅ぼしてしまったことを嘆き、せめて形でも残したくて基にして生み出したのが、地球人です。」
「そんな・・・」

「これ以上話すことは後にしましょう。今はやるべきことがあるはずよ。」
「そんなこと!!」
今まで黙っていたビーデルが言おうとしたとき、
「やめるんじゃ、ビーデル。」

「パパ・・」
「サタンおじいちゃん・・・」

それまで黙っていたサタンが現われ、ビーデルを制す。

「わし等はこんなことで争っておる場合じゃないんじゃ。悟空さんがあんなことになったのは、全てわしらのせいなんじゃ。それをもう責任逃れをするわけにはいかんのじゃ。」
「でも・・サタン!!」
「ブルマさん、チチさん。気持ちはわかる。でも、今一番苦しんでいるのは、悟空さんなんじゃないのか?」

「じゃあどうすればいいのよ?!わかんないのよ、全部!!」
ブルマは混乱して頭を抱える。

「本当にあの方を救いたいのであれば、あなた達には違う選択を取ってもらいます。」
「選択?」
「全てを変えたいのであれば、逆にその持っているモノを捨て、全てを変える。」
「持っているもの?」
「例えば、サタン殿であれば今までの格闘家で築き上げた地位、ブルマ殿は大切なもの、18号殿は力。」
「「「そんな・・」」」

「できないのであれば、救う権利などない。それとも全てを捨てますか?」
「俺達はもう決めてんだよ。もう全てを捨てる。神龍が・・今『死にに行く』ようにな。」
ケルドゥンが言うとブルマはしばらく考えた後、口を開く。

「わかったわ。でも、もう死んでいるんだから死んでも無意味よね?」
「違いますよ。」
キカザルが言うとブルマは首を傾げる。

「これから行う選択は、全てを捨てるということは、今までの命も捨てるということ。もう二度と転生もできず、存在すらなかったことになる。人の記憶にも残らない・・そして持っているものを捨てることももう二度と手にすることもできない・・・」
「そんな・・・」

「救いたいのなら・・曖昧な考えじゃ駄目なんだよ。どうすんだ?」

カイ 2014年06月22日 (日) 15時10分(2969)
タイトル:新たなる刺客・羅魅と莉魅

「ここでドラビルの気が消えている・・そして主様とべジータの気も・・やはりここに何らかの仕掛けがあるということか・・しかし・・」
神龍はドラビルの気と悟空とべジータの気をわずかに探りながら、ある場所に来ていた。
そこは何もない所だったが、神龍にはわかるらしい。神龍は何もない所に触れた後、目を伏せて気を探す。その行為を何度も繰り返していた。しかし何度やっても何も変わらなかったようで、溜息を付いた後自分の背後を見る。
「これだけの雑魚を叩いても、何も知らぬままとは・・ずいぶん厄介な者だな。ドラビル。」
神龍の背後には、たくさんの魔物や宇宙人が転がっていた。呻き声を上げている者もいるが、ほとんどは虫の息であった。どうやらここを張っていた者達だったらしく、突然現われた神龍に飛び掛ったらしいが、神龍の相手ではなかったみたいだ。

「空間を何らかの方法で捻じ曲げているのか・・それとも・・」
神龍は気を手に流し込みながら、空間に触れてみる。すると・・

「!」
カン!!

突然何かの気配を感じ取った神龍は、背後を振り向くと同時に刀を抜いた。
すると、刀は何かを弾き飛ばす音がする。
「あーーん!!残念!!」
「ちょっと、どこ狙ってんのよ?!羅魅。」
神龍は刀で何かを弾き飛ばした後、向き直り刀を構える。弾き飛ばされた何かは回転しながら声の主の二人の内、一人の手に納まる。
「首を狙うつもりだったのに、こうもあっさり気づくなんて、さすがは神龍ってとこね。」
「感心してる場合じゃないでしょ、羅魅。あたし達はドラビル様にここを守れって言われてんのよ。そして何かあったら殺せともね。」
「わかってるわよ、莉魅。」
現われたのは、二人の少女だった。どうやらさっきの飛んできた何かはチャクラムだったらしい。
「ドラビルの部下か・・やはりここにドラビルが仕掛けたカラクリがあるのか。」
神龍は刀を構えながら、さっき触れた空間を横目で見る。

「自分の主を取り戻すために来たみたいだけど、もうここで終わりよ。」
「あたし達、殺し屋シスターズ・羅魅と莉魅がいる限りね。」
二人はそれぞれチャクラムを神龍に向けながら構える。


「もうおなごに手を出すのは嫌なんだが、そう言っている場合でもないか・・」
神龍は溜息を吐く。
(私はどこまでも、最低な者だ・・だがどうせ死ぬためにきた・・どこまでも最低なまま死ぬ方がいいな・・)
神龍は刀を向けながら、口を開いた。
(だが所詮これは私のエゴでしかない・・少しエゴを言っても罰は当たらんだろう)
「向かってくるのは結構だが、最後に忠告しておく。私はこんな所で時間を潰すつもりはないし、無駄な戦いはするつもりもない。怪我をしたくなければ、さっさとそこに転がっている仲間を引き連れて去れ。命まで取るつもりはない。」
「ちょっとそれって、馬鹿にしてんの?!」
「ずいぶんと舐めてくれるじゃないの。あたし達の力、見くびらないでね!!」
羅魅と莉魅はそれぞれそう言うと、神龍に飛び掛った。


「やはり口で言っても無理か・・」
神龍は向かってくる二人にまた溜息を吐く。

ガキン!!
二人のチャクラムを二本の刀でそれぞれ受け止めながら、舌打ちをする。
(こんな細腕でよくこんな重いチャクラムを扱えるな・・口だけではないようだ)
二人のチャクラムを押し返して、神龍は体制を整える。すると、チャクラムが飛んでくる。
チャクラムを弾くと、今度はチャクラムを使って攻撃をしてくる。
(チャクラムは飛び道具であり、打撃と殺傷系に使うということか。)

「あたし達の力、舐めないでよね!!」
チャクラムを構えながら二人は言うと、神龍はふと笑う。

「一筋縄ではいかぬようじゃな。」

カイ 2014年06月28日 (土) 22時57分(2973)
タイトル:失敗作

『これは素晴らしい!!』

『やはり龍神でありながら、王家の者は一味違うな・・」

『これなら次の実験もできる・・』

『バラバラにされても元に戻るとは・・さすが化け物だな・・』

『なぜデータが上がらない!!何がおかしいのだ?!」

『やはりこいつは・・失敗作だな・・』

『失敗作』・・奴らはいつもそう言っていた


ガキン!!
「キャアアア!!」
羅魅のチャクラムを弾き飛ばした神龍は体制を整えながら、向き直る。
「どうした?殺し屋シスターズではなかったのか?」
神龍が刀を向けながら言うと、羅魅は舌打ちして、頬にできた傷口を拭う。
「よくも、あたしの顔に傷つけてくれたわね!!許さないんだから!!」
「羅魅!!敵の挑発に乗っては敵の思う壺よ!!」
「うるさいわね!!わかってるわよ!!」

「全く、おなごというのはどうしてこうも口うるさいのだ・・・」
って両性である私が言えた義理じゃないか・・雌雄同体でもありながら、今は『男』に近い姿ではあるが・・・

「あーら。ずいぶん女を甘く見てるじゃない?ドラビル様はともかくとして、『失敗作』である龍神のくせに!」
「!」
「あらずいぶん感情的な顔するじゃない?あたし達がドラビル様から何も聞いてないとでも、知らないとでも思ってんの?」

その言葉に神龍は今までの冷静な顔が崩れ、驚愕の顔をしていた。
「ドラビル様はいつも言っていたわ。何であんな『失敗作』が選ばれたのか?ってね。」
「・・やめろ・・」

「男に近い体にしてるつもりだけどさ、それじゃあ化け物のままよ?」
「・・やめろ・・」

神龍の体が震えているのを見て二人はクスリと笑うと、チャクラムを向けた。

「気持ち悪いからさ、あんた消えてよ。」

「『化け物』」

二人が無数のチャクラムを取り出し、無数のチャクラムが神龍に向かって放たれた・・


神龍の周りは煙と爆音で見えなくなった・・・


神龍が見えなくなったのを見て、二人は高笑いをする。

「やったわ!!これでドラビル様に幹部に就任させてもらえるわ!!」
「殺し屋シスターズを舐めると痛い目にあうのが理解できたようね。」
二人は高笑いしながらまた神龍の方を見る。しばらくすると神龍が無数のチャクラムで串刺しになっていた。二人はまた笑うと、ドラビルに報告しようと無線機を取り出した。

すると・・・


「やめろというのが・・わからんのか・・?!小娘どもが!!」
突然の声に二人が振り向いた瞬間、二人は目の前の光景に息をなくし、目を見開いた。
そして自分達に振り下ろされる刃に気づかなかった・・・


「しまった・・あれほど感情的になるなと兄上に言われたばかりなのに・・・」
神龍は落ち着きを取り戻し、血が付いた刀を一振りした後、鞘に戻す。

「すまんな・・一応急所は外しておいた。ギリギリでな。」
神龍はそう言うと踵を返し歩き出した。

そこに血まみれで辛うじて息をしている二人を置いて・・

カイ 2014年08月14日 (木) 23時08分(3025)
タイトル:キメラの覚醒

ねえ・・どうしてよ?

あたし達、こんな所で死ぬの?

そんなの・・そんなの・・・


いやよーーー!!!


「ら・・羅魅・・」

「り・・・莉魅・・」
二人は互いの手を伸ばして掴もうとする・・

「あたし達は・・殺し屋・・シスターズ・・・」

「まだ・・爪も・・剥がして・・ないし・・」

「腕も・・折って・・ない・・」

「「そして・・・何より・・皮も・・剥いでない・・」」

「こんなの・・・ドラビル様・・に・・見せられない・・・」

「「そんな・・の・・いや・・・」」
二人の手が重なった時・・・光が放たれた・・


「!」
背後で突然高い気と爆音が膨れ上がり響き渡るのを感じ取った神龍は振り向いた。するとそこには・・・

「「いや・・いや・・そんなの・・いや・・」」

「「あたし達は・・殺し屋・・シスターズ・・」」

「「任務は絶対に・・・遂行する!!!」」

「互いの力を合成して・・復活したのか・・始めてみるな・・『キマイラ』。いや、『キメラ』か・・だがそれではまるで、私が言えた義理ではないが、化け物に近いぞ。」
神龍の目の前にいたのは、一つの顔にそれぞれを合わせ、体は人だが背中や頭に羽を生やした二人が合成した姿だった。

「パン殿がうるさいから手加減したつもりでいたが、やはり一筋縄ではいかぬようじゃな。といっても、一度我を忘れた私が言えた義理でもないか・・」
神龍は刀を抜き、構えた。

「戦いには、女も男も関係ない。戦場に出た瞬間から、どちらも悪にも変わりはないというのに・・・」

カイ 2014年09月07日 (日) 11時37分(3034)
タイトル:利用価値

今回は短いです。

紫色の瞳を輝かせながらドラビルは呟いた。
「まさか君たちがここまでの存在だったとは思わなかったよ。」

「でも君たちは忘れているようだけど僕はね…」

「役に立つ人は好きだけど余計なことをする人は嫌いなんだよ…」

「それがたとえ女であれね…」

「利用価値はそれで決まるんだよ…」

カイ 2015年02月08日 (日) 22時27分(3113)
タイトル:囚われた者の解放

キメラになった二人の攻撃をかわしながら、神龍は気を集中させながら何かを探っていた。
やはり感じる・・二人の気から絡みついている一つの気・・
神龍はずっと何かを感じ取っていたのだ。

「さっさと斬ってしまえばよかったのだが、一般人を巻き込むわけにはいかんのでな。」
「「何を・・言っている・・?」」
「ようやく位置が分かった。斬らせてもらう!!」
「「女は・・斬らないんじゃ・・なかったの・・?」」
「私にだって斬りたくないものだってある・・だが斬らねばならん時もある・・今、『貴様ら』だけを斬る・・・」

神龍は間合いを取った後、刀を構える。
「覚悟して受けろよ・・!!」

「「殺してやる!!」」

キメラは神龍に向かっていった。しかし次の瞬間、神龍は消えた。
自分を通る暖かな風を感じた・・



「風の舞・円龍覇!!」
気づいた時には、神龍の声が聞こえ背後で刀を納める音がする。

それと同時に体を駆け巡る斬撃。
「ガハ!!」

血を吐く相手に神龍は複雑そうな顔をして見届ける。
そしてピシピシと音を立てキメラが真っ二つに割れると、中から一人の女性が呪縛から解き放たれたように現われ、糸が切れたように地面に倒れる。
しかし地面に倒れる瞬間、神龍が受け止めたため、衝撃は免れた。

「最初は分裂して分からなかったが、キメラになったことでわかった。全く、ドラビルはずいぶん悪趣味だな。」

カイ 2015年02月22日 (日) 12時45分(3118)
タイトル:幼名

忘れられない人がいる・・・

いつか会えると思っていた・・

でも、それをいつも後ろ向きに考えるのは、いけないことだろうか・・?


「息があるから死んではいないようだな・・」
神龍は自分の腕の中にいる女性の顔についている汚れなどを拭き取りながら女性を観察していた。
汚れを拭き終わると神龍は女性をマジマジと見て、過去のことを思い出していた。

今でも忘れることのないあの日を・・

『ねえ、小龍。』
『その名前は幼名だ。もう過去の物となったと言ったはずだが?』
『あら、ごめんなさい。やっぱりすぐには慣れないわね。そういえば、今は何ていうの?』
『神龍(シェンロン)。神の龍と書く。』
『龍神なのに、その名前?何か変ね。』
『まあ、法名や襲名みたいなものだからな。』
『そういえば、私ももうすぐ新しい名前を貰うのよ。』
『新しい神の元に就くのか?』
『うん、そうよ。女神様の元に。』

『何ていう名前なんだ・・・?栄華・・』



『ユーリルよ。』


『ねえ、小龍。私の今の名前と幼名。忘れないでね・・』


時折思い出しては、君の‘幼名’を呟く自分がいた。それは君がどちらも大事な名前だから忘れないでという意味だったのかもしれない。

「うぅ・・・」
「!・・気がついたか・・」
過去のことを思い出していた神龍は腕の中にいる女性が動き始めたので、女性の方を見た。


「あなたは・・誰?・・私は誰?」

カイ 2015年04月18日 (土) 20時33分(3137)
タイトル:キメラの最期

「自分の名前を知らないのか?」
神龍は女性を降ろすと向き直る。女性は一度神龍の顔を見た後、周囲を見渡しながら、自分の今の状況を確認した。
神龍は女性の行動をじっと見ていた。
「あの・・ここは・・?私、何でここにいるの?」
「(記憶を失っているのか・・?)一応、名乗っておこう。私は神龍。ある使命の為にここに来たら、偶然君に会った。」
「使命?」
「まあそのことを話すかどうかは後で決めるとして、ここで長居をするつもりはないからとりあえず移動するが、君はどうしたい?」
「あの・・話が飛びすぎてわからないんだけど・・?」
「まあそれもそうか。私が使命でここに来た途中、襲ってきた敵を倒したら、君が偶然現われたと言った方がいいか・・」
「敵?」
「ああ。そいつは・・!」
神龍が言葉を続けようとした瞬間、背後から殺気を感じ後刀を掴み、振り向くと同時に刀を抜く。

ガキン!!

振り向いたと同時に金属同士のような音が鳴り響いた。金属同士のような音と共に刀には火花が散っていたが、神龍は大して表情も変えず、背後から迫ってきた何かに目線を送る。
「こいつだ・・説明しようか迷ったが、そうも言ってられないようだな。」
神龍が刀で相手の攻撃を防いでいると、女性は目の前の光景に目を見開いた。
「キメラ・・!!」
「まだ生きていたのか・・」
神龍に襲い掛かってきたのは、先ほど合体して神龍に倒された羅魅と利魅のキメラだった。キメラは体中に血を流しているが、目は血走っていて神龍を睨んでいる。
「「あたし達は・・ドラビル様のために・・死ぬわけにはいかない・・!!」
「たいした覚悟だな・・」
刀で押し返すと神龍は女性に離れるように指示をした後、キメラから間合いを取る。キメラは荒い呼吸をしながら、長い爪を神龍に向ける。どうやらさっきの何かは、この長い爪らしい。
今までキメラになっても体からチャクラムを出したりしていたが、長い爪も武器の一つだということが分かった。

「そんな深手で挑むのはお勧めせぬぞ。」
「「あたし達は・・あたし達は・・・」」
体から所々出血し、息も荒いキメラを見て神龍は二人が合体したキメラがもう立つのもやっとだということがわかった。しかし目は死んでおらず、キメラの意思も固いこともわかる。そんなキメラを見て神龍は深手を負っているのに挑むのは無駄だと聞いてみるが、全く聞く耳を持たないキメラに神龍は溜息を吐いた後、刀を振り上げる。

「心して受けろよ・・」

奇声を発しながら襲い掛かってくるキメラに神龍は刀に気を溜め、ゆっくり振り下ろす・・・
神龍の刀の刀身が淡い光が放たれていく・・・
この一瞬でキメラの運命は決まるであろう・・そんなことを神龍は考えていた。

ズバーーーン!!
「「!!」」


「「カハ!!!」」

しかし、キメラが突然血を吐いて動きが止まった。神龍と女性は何があったのか理解できなかった。しかし神龍はすぐにその答えがわかった。この気は・・

「「な・・・何で・・」」

キメラは血を吐きながら、背後を振り返る・・
先ほど血走っていた目からは殺気が消え、生気も戻っていたがそれと同時に涙がこみ上げている・・

「「ドラビル様・・・」」

キメラの背後には剣を抜いていたドラビルがいた。
その顔は不気味に笑っていた・・

カイ 2015年05月10日 (日) 15時02分(3144)
タイトル:望む者への処罰

「ドラビル様が動き出したみたいですわ。」

「やれやれ、あの二人はもう終わりだな・・」

「せっかく使える人材を苦労して手に入れたというのに、また奴の気まぐれで壊されるとはな。」

「ドラビルも・・ずいぶん勝手なものだ・・・」

「それは違うさ、黒藍、黒龍、アイズ、シャルデン。」
先ほどまで四人の会話を聞いていた紅い髪と瞳をした男、ジョーカーは呟いた。四人はジョーカーに顔を向けると、黒髪のウェーブがかかった美女、黒藍が首を傾げながら尋ねる。
「どういうことですの?ジョーカー様。ドラビル様が気まぐれで動くような方ではないと?」
「そういうことさ。今まで奴の手によって処刑された者達には、ある共通点があるんだよ。」
『共通点?』という言葉に顔に傷が付いた男、ゼヘルがそれはなんだ?と尋ねると、ジョーカーはニヤリと笑って、真紅の瞳を光らせる。すると風が吹き、ジョーカーの真紅の髪が揺れる。

「あいつは思い通りに動く人材は必要とすれば引き込むが、その命令に背く行為をした者には罰を与える。」

真紅の髪が揺れ、ジョーカーの顔にかかりながらも、ジョーカーはかきあげることもしない。
「まあ、つまり・・・」

真紅の髪はまるで・・
「余計な真似や行動をする者は・・・」

血のように・・
「嫌いな性質なんだ・・・」


紅かった・・・


「「な・・・んで・・・?」」


「ど・・・」「ドラビル様・・・?」
キメラは斬られた瞬間、光に包まれた後分裂し、羅魅と利魅の姿に戻って同時に地面に崩れ落ちた。背中にはそれぞれドラビルが斬ったであろう傷跡があり、流血している。羅魅と利魅は何とか顔を上げ、ドラビルに手を伸ばす。その顔には涙が溢れていた。ドラビルは二人を見るとしゃがんで羅魅の顎に手を触れ、自分と向き合うようにする。
「これはどういうことかな?羅魅。そして利魅。」
「え?」
むしろお前がどういうことだと言いたいが、ドラビルは笑顔を崩さないまま言葉を続ける。

「君達には二つ命令したはずだろう?
一つは、侵入者を始末すること。
二つは、『神龍』は傷つけてもいいけど、殺してはいけないこと。」

「彼はこの僕が殺すんだから・・・」

「そ・・それは・・・でも私達はドラビル様のことを思って!!」

「僕はね、役立つ人は好きだけど、余計なことをする人は・・・」

「嫌いなんだよ。」

カイ 2015年07月12日 (日) 00時10分(3160)
タイトル:キメラの一族

「ドラビルもずいぶんと冷たい奴だな。彼女らをあんなに溺愛していたのにのうゾイ。」
「彼がそういう性格だってこと、君だったら知っているはずだよ。何百年いたと思うんだ?アイズ?」
水色の髪に赤いメッシュを入れた男ーアイズにジョーカーは言うと、アイズはふんとそっぽを向く。
「参謀でもありナンバー2でもあるお前が、ドラビルのことを知っているのなら、何故あいつを止めないんだゾイ?あいつは俺達の頭であるゾイ。」
「全てはあいつの意思だ。それに・・あの生き残りの姉妹を拾ったのも、あいつの気紛れなんだよ。」


『君達がある惑星で実験体になって逃げ出し、少しずつ数を増やしていった一族。キメラか・・』

『そして君達は最後の生き残り。自ら主を殺したのはいいが、もう君達しか残っていない。』

『僕と来るかい?』


「様々な殺しを仕事とし、様々な者達と合成していくことで数を増やしていったキメラだったが、その危険性を察知した神達や他の惑星の者達から恐れられてしまい、とうとう滅ぼされてしまった所でドラビルが拾った。だからそれ以来彼女らはドラビルに忠誠を誓っていたというのにのうゾイ。」

「ドラビルにしては暇潰しだったんだよ。いらない玩具を壊す前に捨てるんだ。」



「「ドラビル様・・・」」
「今までご苦労だったね。でも・・」」

「もういらないよ、君らは。」


ドラビルは微笑みながらそう言うと刃を振り上げ、キメラに向かって振り下ろす。


やめて・・やめて・・

「ダメーー!!」
キメラに向かって刃を振り下ろすドラビルを見て女性は走り出した。だが、間に合わない。

カイ 2015年09月19日 (土) 00時40分(3196)
タイトル:特別な存在・・

振り下ろされる刃・・・

この一撃で自分達の命は終わる・・・




どうして・・・


私達は・・特別な存在のはずなのに・・



『君達は化け物なんだから、化け物らしく化け物同士で殺しあえ。』

『何ということだ・・これほど素晴らしいものはない!!』

『今度はこの死骸と融合するば・・どのようなキメラになるのだろうな・・?』
実験され、迫害され、様々な姿になって生きるしかなかったキメラ。
自分の姿が何なのか・・とうに忘れてしまった。
でも・・

『いいですか?羅魅、利魅。私達は特別な存在なのですよ。』
『我々キメラは他の下等な種族とは違う・・それを忘れるでないぞ。』
『融合して合体して進化して、我々の存在を知らしめてやるのだ!!』

『どういうつもりだ・・?主に逆らうつもりか・・?!』
『主?我々を実験して、こき使って気持ちがよかっただろう?だからもうてめえらには用がないんだよ。』
『これからは我々は自由だ!!』
『このキメラの・・化け物風情が!!』

『私達って化け物なのかしら?』
『何言ってんのよ、利魅。あの時、言ったじゃない?私達は下等な種族とは違うって。』
『そうね。そういう輩は全部潰してやりましょう。』

『あれ?羅魅。その爪どうしたの?』
『これ?前殺した女の爪が綺麗だったから手だけ融合させたのよ。骨も折ってやったわ。』
『まあ残酷だこと・・』

『『何で・・何でなのよ・・?!』
((何で・・羅魅(利魅)の顔だけ・・醜くなるのよ!!))

『その醜い姿が嫌なら・・僕が変えてあげようか?』
その人の瞳の色は・・蒼かった・・


『これが・・私達?』
『うそ・・?』
あんなに見たくなかった鏡で自分の顔を見た時、初めて自分を愛せた。
『君達の能力を少し改良して細胞を調整した姿だから、これならキメラとは思わないよ。』
『嬉しい・・』『綺麗・・・』

『これからその姿で生きていくといい・・・僕のためにね。』

『『はい!!このご恩は一生忘れません!!我々は全身全霊をかけてドラビル様に尽くします!!』』


貴方の為になら・・どんなことでもしよう・・

貴方の為になら・・・



それなのに・・・



「光栄だろう?その美しい姿で死ねるなら・・・ 醜いものは罰を受けるけどね・・・」
ドラビルは剣を振り下ろしながら笑みを浮かべていた。その瞳は蒼く不気味に輝いていた・・

ガキン!!
「「「!!」」」

火花が散り、ドラビルの剣が羅魅と利魅の二人の顔の目の前で止まった。よく見るとドラビルの剣を一つの刃が受け止めていた。それは・・
「どういうつもりかな?神龍・・」
ドラビルはいきなり邪魔をされたことに苛立ち、神龍を睨みつける。
「悪いが、無抵抗なしかももう戦えない相手に止めを刺すのを黙ってみるほど、冷酷ではないのでな。こいつらが貴様に何かしたか?貴様のために忠誠を誓っていただけだぞ。」
神龍は悪魔でも表情を変えず、ドラビルの剣を受け止めながら尋ねると、ドラビルはニヤリと笑う。

「そうだね。彼女達は僕に忠誠を誓った。でも、彼女達は相手が君だと知っていながら、僕に報告もせず、勝手に戦いを挑んだ。そしてこのざまだ・・傷つけてはいいけど、殺そうとした。」
ドラビルはさっきまで蒼かった瞳をまた紅くしながら、笑う。
「そこに転がっている雑魚達と同じように・・自分の実力を分かろうともしていない・・だからね・・」


「そんな醜い部下はいらないんだよ・・・醜いものは罰を受けるものだろう・・?」
笑みを浮かべたまま・・ドラビルは言う。

「ねえ・・ジョーカー・・?」

「!」
神龍は背後に気配を感じたが、それより早く背後から血飛沫の音と悲鳴を聞き、背後を振り向く。振り向いた瞬間、自分の顔に生暖かいものを浴びた。

「あんなに地位まで上げたのに、所詮キメラは醜いものだね。」
振り向いた神龍が見たものは・・・ジョーカーによって切り裂かれ倒れている羅魅と利魅の姿だった・・

カイ 2015年12月27日 (日) 01時15分(3232)
タイトル:鮮血

※少しグロイのが出ますので、お気をつけください。

「醜いものでも味はなかなかいけるみたいだぞ?ドラビル。」
ジョーカーは羅魅と利魅を斬った後、影をとんとんと叩く。すると影がまるで溶岩が噴出すようにブクブク泡立ち、影から全身が黒い毛で覆われた目が異様にギラギラ光る黒い魔物を出てきた。黒い魔物は血まみれの二人の匂いを嗅いだ後、舌なめずりをし、食べ始める。肉を引き千切り、裂く音が響く中、ジョーカーは自分の顔に飛び散ったらしい血を舐めながら言うが、ドラビルは何も言わない。
黒い魔物が二人を食べるのを見て、神龍の傍にいた女性はあまりの恐怖にガタガタ震える。そして、自分の傍にボトリと落ちた血塗れの腕が見え、更に青ざめる。
何なの・・?どういうことなの?
私は何でここにいるの?どうして・・
わからない・・わからない・・!!
「い・・いやああああ!!!」

すると突然、目の前を白い布が覆った。一瞬、それに気をとられると首にトン、と軽く何か当たったと思うと、そのまま女性は意識を失った・・・

「すまない・・・少し眠っていてくれ・・」
神龍は女性を気絶させた後、倒れこむ女性を抱かかえ、地面に横にした。
「おや?ずいぶんと優しげだね?あのパンとかいう女の子には冷たいくせに。」
「ああいう気の強い者には、それなりに対応しているだけだ。あれごときでメソメソするようには思わんしな。」
振り向かずに言う神龍にドラビルはジョーカーに視線を戻す。
「ずいぶん丸くなったと思わないか?ジョーカー。まるでかつての神龍じゃないみたいだ。」
「そうだな、ドラビル。でも、あまり上から目線だと足を掬われるぞ。それに俺の役目は終わったしな。」
ジョーカーが影から出した魔物を呼ぶと、魔物は粗方食べ終えたのか満足したようにジョーカーの影に戻った。

「何を言っているんだい?この僕がそんなこと・・「遅い」

肉を裂く様な音が辺りに響き、それと同時に鮮血が舞った。
「え?」
「!」

「今度はちゃんと本体だったようだな・・ドラビル。」
神龍の声がドラビルの後ろから聞こえ、ドラビルは斬りつけられた肩を抑えながら、振り向く。
そこには燃えるような赤い瞳を輝かせた神龍がいた。

カイ 2016年03月06日 (日) 23時47分(3270)
タイトル:破られた術

「今度はちゃんと本体だったようだな・・ドラビル。」
神龍の声がドラビルの後ろから聞こえ、ドラビルは斬りつけられた肩を抑えながら、振り向く。
そこには燃えるような赤い瞳を輝かせた神龍がいた。


何故だ?何故、僕を斬れた?奴から目は離していないはずなのに・・・?
ドラビルは肩から流れ出る血を自身の再生能力で治しながら考えた。そしてまさかとあることに気付いた。
「まさか貴様。あの時既に【僕の術】を見切ったのか?」
「やはりそうか。あの時は頭に血が上っていて判断力が欠けたが、冷静に考えてわかった。すぐに気づけなかった自分が愚かだったと思うよ。」
神龍はそう言うと刀に付いた血を払うと、ある一点を指す。そこには違う刀で地面を突き刺すように刺された影があった。影はまるで意思を持っているかのように刺された刀から逃げようともがいている。
「また私の影に入ろうとして私を斬るつもりだったようだが、残念だったな。入る前に貴様の影を縛り付けておいて正解だった。その刀には私の血がたっぷりと付いているからそう簡単には逃れられない!」
神龍の言った通り影を縛り付けているらしい刀には血がたっぷりと付いており、じわじわと影を赤く染めていく。影は染められまいと更にもがき始める。その光景にドラビルは舌打ちし、自分の剣を抜こうとする。しかし、
「遅い!!」
「!!」
神龍の声が間近で聞こえた瞬間、鳩尾に蹴りを食らい、ドラビルは砂煙をまき散らしながら、吹っ飛ばされる。するとドラビルの影もドラビルと同じように吹っ飛んだ。しかし刀は刺さったままで、影が伸びているようだったが。ジョーカーはその光景を対して表情も変えず、見ていた。
「自分の影を切り離して拘束を解こうとしたようだが、ずいぶんと隙が多いな、ドラビル。」
砂煙が止むのを見ながら、神龍はドラビルの方を見る。吹っ飛んだドラビルは地面を数回転がった後、体を何回か打ち付けたようで、体中に無数の傷がついていた。影も同じような動きをする。うつ伏せで地面に倒れたドラビルは数分後、のろのろと起き上がる。すると影もドラビルと同じように倒れていたが、のろのろと起き上がった。
「貴様!!」
「思念体と魂の分裂。ドラゴン族と龍神族が使う技。久々に見るのは、数百年ぶりだがな。」
神龍によって完全に術の正体を暴かれたドラビルは悔しさに歯を食いしばり、睨みつける。神龍はそんなドラビルに歩み寄って、ドラビルの影の元まで来ると立ち止まった。神龍の刀はドラビルの影を縛り付けた状態のまま、赤く光っている。
「やはり辛いだろうな。今の貴様は影に魂が半分入っている状態。自分の体にも今魂が半分だが入っている状態。片方が傷つけばもう片方も反動で返ってくる。私の血で術を縛り付けているからな!!」
神龍が叫ぶと、ドラビルの影とドラビルの胸が同時に脈打つかのように、赤く光った。ドラビルは悔しように顔をゆがめると口元から血が出ているのに気付く。どうやらさっきの神龍の攻撃の時に、口元を切ったらしく口から流れる血を手で拭うと、息を整える。
「ずいぶんと余裕のようだね。」
「誰かに言われなかったのか?あまり上から目線だと足元を掬われるとな。」
「君がそれを言えた義理かい?視野が狭く、救う権利だとほざく部下にさえ目も入れていなく、ネチネチと過ぎたことを言う。そんな君だって足元を掬われたじゃないか!【あの時】のように。そして自分だけが可哀想だとでも思っているのか!」
「あいつらがまだそんなことを言っているとはな。自分が裏切られたからなのか、見捨てられたからなのか、助けられなかったからなのか、全てを捨てるしか自分を変えられない、助け合うことすらできないと思い、救う権利と判断してしまったあいつらが、【幽霊と同じ存在】になってしまったあいつらが・・まだそんなことを言っているとはな!!」
神龍は顔を歪ませながら、かつての遠い昔のことを思い出していた・・・
けして忘れることのない、はるか昔のことを。
まるで昨日のことのようかに・・

『神龍様。これが私達の【選択】です。』
『勝手にしろと言ったが、そんなことをしろとは言っていないぞ。』
『私達は全てを捨てるしかできなかったんです。それしか救う権利がない。』
『権利なんて言葉を使うな!!もっと視野を広げんか!!どんな過酷な状態でも助け合うべきではないのか?お前達だってそれぐらいはできよう?』
『ですが・・・」

あの時のキカザルのことを自分は今でも忘れることはなかった・・
いや、忘れてはならないのだ。
なぜならそれは自分の責任でもあるからだ。


「言い訳に聞こえるかもしれんが、どんな過酷な状態でも助け合うという言葉をもっと言うべきだったな。でもそれは心の強い者達がやるべきこと。助け合うことで心に隙ができると思い込んで、また全てを失うのが怖くて、結局一人で自滅しようする私が言えることではないな。あいつらも私と同じ選択をするとは思ってなかったがな。まあ手紙に書いておいたし、あいつらもいつかわかる日が来るだろうな。」
もうその時には、私はいないし、思い出すこともないだろうが。それにそんなこと私が絶対にさせないし。という言葉を神龍は心の中で呟いた。
「何を言っているんだい?君は。」
「ただの独り言だ。それにネチネチ言うのはいちいち突っかかる者が気に食わんだけだ。まあそれでも芯の強い者(ブルマ殿)がいることには感謝してるがな。自分だけが可哀想なんてことも今まで一度もない。私も視野が狭いみたいだが、一度過ちを犯した者がまた同じ過ちを犯すことが哀れでならないと思うだけだ。【あの時】のようになってほしくないのにな。それだけだ・・」
神龍は一度寂しそうな顔をすると、刀を構える。

「少し喋り過ぎたようだな。来い、ドラビル。」

「決着をつけよう、ドラビル。」
『決着つけようぜ、ベジータ。』

神龍の構え方を見たドラビルは自分がかつて見た全能神だった頃の悟空と同じのように感じた。

カイ 2016年10月13日 (木) 15時40分(3326)
タイトル:重なる面影

『決着をつけようぜ、ベジータ。』
そこにあの頃の『彼』がいるわけでもないのに、なぜお前の姿があの人と重なるのだ・・・


「気に入らない・・気に入らないんだよ!!」
突然バチッと電流が走ったような音がすると、ドラビルの背後から長い物がうねるように現れ、ドラビルの影を縛り付けていた刀を弾き飛ばした。刀が弾き飛ばされたことにより、自由になった影はドラビルの中に収まる。神龍はまたも長い物が自分の所に来る前に飛んで回避すると、ドラビルから距離を取る。
「なぜ貴様ら、龍風情があの方と同じことを言う!気に入らないんだよ!!」
ドラビルは瞳を赤に変えながら、神龍に怒鳴る。よく見るとさっきのドラビルの背後から現れた長い物は、太くて鱗があるドラビルの尻尾だったようだ。
「神龍。君はまだ気づいてないみたいだけど、僕を殺したとしても、あの方達は止まらないんだよ!!」
ドラビルは手をすっと出すと、神龍によって投げ出された剣がまるで磁石でもくっつくように、ドラビルの手に収まる。
「いいよ。君がどれだけ愚かなのか、決着をつけよう!!最高の殺し合いと行こうじゃないか!!」

ドラビルは瞳を赤く燃やしながら、剣を構える。

『最高の殺し合いと行こう!!カカロット!!』
神龍はドラビルの姿がかつてのベジータの姿と重なったように感じた。

カイ 2016年11月24日 (木) 22時39分(3339)
タイトル:本来の消滅

「おやおや、ずいぶんと余裕をなくしているみたいだね。ドラビル。」
暗闇の中、声がした。
「ぐ・・貴様・・」
一つは高くはないが、はっきりした声。
もう一つは、苦しそうな声。

「ああ、すまないね。ザマス。せっかく消滅した君をもう一度作り出したならまだしも、こんな苦痛を味わわせて・・」
「・・・ぐぅ・・何で私を・・返せ・・私の力を・・・」
もう一つの苦しそうな声は、ザマスであった。しかしもはやその姿はボロボロで乱れ、かつての面影はない・・
「返せ?何言ってやがんだ、界王神様よ。いや、元界王神だっけ?」
ザマスの首を締めあげている黒ずくめの背後から第三者の声が聞こえた。ザマスは眼だけそちらを向け、気を探る。そして第三者が黒ずくめの背後から現れた瞬間、目を見開いた。
「き・・貴様。孫悟空・・」
そこにいたのは、悟空(ヴェルイン)であった。ザマスはなぜ彼がここにいるのかわからなかった。そして彼の纏う気が出会った時の気ではなく、禍々しく別の気になっているのがわかった。自分とも違う、全く別次元の気のようだった。そしてよく見れば服も違う。
「全く悟空の奴も、さっさと力を戻して神の座に戻っていれば、こんな面倒なことしなくて済むのによ。」
ヴェルインが舌打ちすると、続いてベジータ(シュテール)も現れる。ザマスは二人の気が今まで感じた気とは全く違うのがすぐわかった。そして自分がまるで太刀打ちできないと何か逆鱗に触れてしまったような感じがした。
「ふん、ヴェルイン。だからこうして俺達がすることになっただろう?」
「まあそれもそうだな。」
「お話はそれぐらいでよろしいでしょうか?お二人とも。」
二人の会話をずっと聞いていたザマスの首を締めあげていた黒ずくめが言うと、ヴェルインがまあ待てと手をあげ、黒ずくめとザマスに近づく。そしてザマスの耳元で囁いた。

「今の俺は悟空の心の闇の半身、全能神・ヴェルインだ。体はあいつのままだがな。そしてあいつはベジータの半身、破壊神・シュテール。この名前は聞いたことぐらいあるだろう?」
「全能神・・破壊神・・まさか?!」
その名前を聞いた瞬間、ザマスの頭の中から記憶がフラッシュバックする。
「お前は罪を犯し過ぎた。だから罰を与える。そして返してもらうぜ、お前が俺達から奪ったもの、全てを。」
ヴェルインはそう言うと手から青い炎と赤い炎が混じった光を作り出す。
「人の心もわからない貴様でも・・・【魂】だったら感じられるだろう?人の痛みと怒り、悲しみ、恨み、全てを。感じろよ、魂で!」
ヴェルインは黒ずくめがザマスの首を離すのと同時にザマスの首を掴み、作り出した光をザマスの頭に注ぎ込んだ。その瞬間、ザマスが目を更に見開き、声にならない悲鳴を上げる。

ザマスの中にはそれぞれ自分が感じたことのない怒り、悲しみ、恨みが痛みとなって全身を駆け巡るのを感じる。
「セルやフリーザの時は気絶したけど、こいつはずいぶん長いな。」
「魂が悲鳴を上げているんですから、当然ですよ。」
「相変わらず悪趣味な力だな、そいつは。」

ザマスの反応をそれぞれが言うと、黒ずくめはではそろそろですねとヴェルインがザマスから離れるのを見た後、首をまた掴んだ。
「では、返してもらいましょうか。お前が奪ったもの、全てを。」
ザマスが悲鳴を上げ続けるのを見ながら、黒ずくめは手を伸ばした。



しばらくしてもはや悲鳴を上げる力すら残っていないザマスは無気力のまま、転がっていた。そして三人を睨みつける。
「貴・・様・・ら・・覚え・・て・・い・・ろよ。」
黒ずくめが差し出した淡く光る球をヴェルインとシュテールがそれぞれ飲み込んだ後、ヴェルインとシュテールが気付いてザマスを見る。
「覚えてろよか、お前。何か勘違いしていないか?」
「な・・んだ・・と・・?」
「俺達はお前から全てを奪い返した。もはやそのお前に、存在することが可能だと思っているのかと聞いてるんだ。」
「な・・に・・?・・!!」
ザマスはハッとし、自分の体を見た。そしてその体が消えていくのを感じた。そして自分の中の記憶も消えていくのを・・
「何故だ?!何故?!」
「悟空は全能神に戻った後、全王によって滅んだ世界をまた作り替えたみたいだけど、それだけじゃダメなんだよ。」
「そう、貴様の【存在】がなくなれば、済む話だ。」
「つまり、ただ消滅しただけでは、また違う世界の貴様が存在する。だから、貴様の存在を本当の意味で消滅すれば、今まで貴様に関わった者達の記憶からも消え、あったはずの歴史も消え、作り替えられることになる。決して同じ者が存在することはない。そして自分の記憶も・・」
「まさか、そんなことが?!」
「掟だの、規則だのに縛られるような奴じゃないんだよ、全能神は。」
「そして、破壊神もな。ビルスと違って。」
「そして・・私・・  も。」
黒ずくめはヴェルインとシュテールの後に呟くと、深く被っていたフードをめくった。
その姿にザマスは眼をまた見開く。
「まさか、貴様は?!  !!」
ザマスはそして完全に消えてしまった。


こうしてザマスは完全に消滅してしまった。




カイ 2016年11月25日 (金) 18時57分(3340)
タイトル:消滅の対価

「「「「!!!!!!」」」」
ザマスが完全に消滅した瞬間、それぞれの場所では神達が何かを感じ取っていた。そして地球人達や他の種族達も。
「ねえ、ウイス。何か感じなかった?」
「さあ。私には何のことやら。」
自分の住んでいる所でビルスは椅子に腰かけながら、ウイスに言うとウイスは素っ気なく返す。今あの世や世界で何が起こっているかを二人はまだ知らなかった。そして自分達の記憶からザマスの記憶が消えたことも知らなかった。ビルスはまあいいかと欠伸をした後、ふと悟空のことを思い出した。
そして自分の頭の中に、ある記憶が流れ込んできたのを感じた。そしてそのことを感じていたのは、ビルスだけじゃなく、ウイスも同じで頭痛のような痛みを感じ、お茶を用意していたポットを落としてしまった。
たくさんの悟空の顔、ベジータの顔、でもその中の悟空とベジータの姿や気は、今迄とは明らかに違っていた。
「全能神・・か・・僕まで忘れているとは思わなかったよ・・・ウイス。」
ビルスが立ち上がると、落ちて割れてしまったポットの破片を片付けていたウイスが振り向く。
「何をご用意ですか?」
「彼の場所を特定して。」



一方、その頃。
「「!!」」
ドラビルと神龍は地面を蹴って互いの刀と剣がぶつかり合う前に、何かを感じ取り、互いに距離を取っていた。
「どうやら、成功したようだね。」
「何を言っている?」
「一つ教えてあげるよ、神龍。ヴェルイン様とシュテール様がこのまま恨みのエキスを飲み続ければどうなるか・・」
「どういうことだ?」
「ヴェルイン様とシュテール様は心の闇そのもの。だが、完璧ではない。恨みを体に浸透し続ければ、元々表にいたあの方達はどうなる?」
ドラビルの言葉に神龍ははっとし、まさかとあることに気づいた。その顔にドラビルはニヤリと笑う。そうさと口を開き、
「完全に支配できるんだよ!!悟空やベジータという存在が消え、あの方達は完全な存在になる!!」
ドラビルの笑い声が響くと同時に、貴様!!!と神龍は叫ぶ。

カイ 2017年04月15日 (土) 12時56分(3367)
タイトル:戦いの・・

辺りに金属がぶつかる音がする。
それはだんだん火花になり、ぶつかり合う度に空気が揺れ、地面にはヒビが入り、舞い上がる石などは粉々になっていった・・辺りは砂煙だらけでお互いの顔さえ見えない。

「くっ!!」
ドラビルが舌打ちしながら剣を振る。しかし空振りに終わり、構え直そうとすると下に気配を感じ取り、サッと避ける。避けた瞬間、下から刀の刃先が突き出してきて神龍が現れる。ドラビルは神龍の刀を持っている腕を蹴ろうと足を突き出すが、神龍はもう片方の手で防ぐと、ドラビルの足を掴み直し、ドラビルを放り投げた。放り投げられたドラビルは回転して地面に着地するが、息を吐く暇もなく殺気を感じ、刀を突き出してきた神龍の攻撃を自らの剣で防ぐ。刀と剣がぶつかり合う度に火花が散り、二人は互いに睨みあう。
「貴様には聞きたいことがまた増えたようだな?!」
「そう言うのは、僕を倒してから・・言うんだね!!」
ドラビルが押し返すと神龍は高く飛んで避け、地面に着地する。そして咄嗟に頭を下げる。頭を下げると同時に、ドラビルの尻尾が頭の上を通過したのを感じた。何とか回避できたのを安心してると、自分の背後から殺気を感じ、振り向くと同時に刀を振るう。しかし、背後からの殺気は残像だったらしく、空振りに終わり、神龍は舌打ちする。そして神龍は目を瞑った。
「(もらった!!)」
ドラビルは背中から羽を広げて宙に浮いていた。そして砂煙の中、神龍の位置を確認すると、羽を調整して一気に空から加速する。そして剣を神龍に向かって突き刺す。


周囲を肉を刺す音がした。
そして血が地面に飛び散る。
「油断大敵だね、神龍。」
ドラビルは剣を持ちながらニヤリと笑う。すると砂煙が晴れていく。
「(手応えはあった。勝負はついたな。)」
ドラビルはニヤリと笑って剣を更に深く刺す。砂煙がだんだん晴れていくと・・・・
「!!」
「貴様がな。」
砂煙が完全に晴れると、ドラビルは目を見開いた。そして背後から声がして、振り向くと同時に背中に激痛を感じた。ドラビルが突き刺したと思っていたのは、神龍の上着だったのだ。ドラビルは舌打ちすると、剣を振り回す。神龍は背後に飛んで避ける。

「急所まではいかなかったようだな。」
背中から血を流しているドラビルを見ている神龍に、ドラビルは肩で息をしながらニヤリと笑う。
「君も致命傷までにはいかなかったようだね。」
ドラビルが言うと神龍の腹部からは血が流れていた。どうやら背中を斬られた寸前、振り回した剣は神龍をちゃんと斬っていたらしい。そして神龍も完全には避けきれなかったらしい。

「これで痛み分けだね。」
ドラビルは血で染まっていく服を脱ぐとノースリーブの格好のまま、剣を振り、剣を構える。
神龍はよく見ると体中に無数の傷があり、動きがだんだん鈍っていたことにドラビルは感じ取っていたのだ。
「さすがの龍神族の再生能力でも、ドラゴン族の攻撃には治りが遅いね。」
「それは貴様も同じだろう。」
ドラビルが剣を構えるのを見て、神龍も刀を構える。お互い傷だらけで、もはや立つこともやっとの状態らしい。それほど長く二人は戦っていたのだ。

「『これで決めるぞ。』」

「『これで終わりだ。』」

二人は地面を蹴った。



カイ 2017年04月16日 (日) 23時35分(3369)
タイトル:本当の敵

「『これで決めるぞ。』」

「『これで終わりだ。』」

二人の龍とドラゴンは地面を蹴った。

二人が地面を蹴った瞬間、せっかく晴れた周囲をまた砂煙が舞った。

そしてだんだん砂煙が晴れると、神龍とドラビルは互いに背を向けて離れていた。



「ぐは!!」
口から血を吐いたのは神龍だった。そしてそれと同時に肩と足、腕から血が噴き出し、地面に血が流れる。神龍は肩で息をしながらも、倒れまいと地面に刀を突き刺し、体を支える。
「(まだ、倒れるわけにはいかない。まだ・・・私は・・)」

「がは!!」
神龍の背後で鮮血とともにドラビルが口から血を吐く音がした。神龍が振り向くと、ドラビルも同じように傷を負っている。ドラビルは神龍と同じように剣で体を支えようとするが、剣が折れていることに気づき、倒れてしまった。
「ぼ・・僕の剣が・・・」
「勝負あったな、ドラビル。」

口から血を流しながら神龍が歩み寄る。
ドラビルは悔しそうに体を動かそうとするが、もう体の自由は利かなかった。
「無理をするな、ドラビル。もう体を起こすことも出来んだろう?」
神龍がドラビルの元に着こうとする。
が、ドラビルは背中から羽を広げ、飛ぼうとした。しかし、

「無理をするなと・・・言ったはずだ!!」
神龍は一瞬の隙をついて、ドラビルを蹴り飛ばし、近くの岩に叩きつける。

「く・・・そ・・・」
もはや避ける力もなかったようで、ドラビルは岩に叩きつけられ、悪態を尽くしかなかった。

「くそ、余計な体力を使わせおって。」
神龍もさっきの蹴りの衝撃はきつかったようで、苦顔する。そしてドラビルに歩みよった。
ドラビルにはもはや逃げる力もなかったようだ。


「僕を殺しても、何も変わらないよ。」
「今は貴様を殺す気はない。だが、貴様は言っていたな。質問に答えるなら、自分を倒せと。だから答えてもらうぞ、ドラビル。」
「何をだい?」


「貴様の背後にいる、本当の『黒幕』を。」
神龍の言葉にドラビルは息を呑んだ。その反応に神龍はやはりなと確信した。
「その様子では当たっているみたいだな。貴様は黒幕であって黒幕ではない。つまり、貴様を背後で操っている『本当の敵』がいるということだ、違うか?」
「・・・・・・」
ドラビルは答えなかった。いや、答えられなかった。神龍は続ける。
「私は感じていた。わざわざ主様達を操っていた者が姿を見せるのは当然かもしれないが、主様達の体には明らかに他の気が感じられた。そして貴様は私を殺したがっている。こうしてボスである貴様がわざわざ来るのは妙だと思ったんだが、当たっていたようだな。」
「まさか、貴様。わざと?!」
「どちらにせよ、私は叩くつもりでここに来た。そしてあいつらの、悟天やトランクス達の道を切り開くためにな。」
「ずいぶんとした言い分だね。」
ドラビルはまた羽を動かそうとしたが、さっき神龍の蹴りを食らった時に羽を痛めたらしく、羽は折れて動かなかった。神龍はそんなドラビルに気づいたのか、刀を抜いて、ドラビルに向ける。


「では、質問を変えようドラビル。貴様の背後にいる本当の黒幕であり、敵であるのは・・・・」


「『悪魔』だろう!!!」

カイ 2017年04月17日 (月) 00時21分(3370)
タイトル:悪魔の名前

全てを失ってから・・

私は死んだ

あいつらが羨ましかった・・

最後まであの方達と一緒にいたあいつらが・・・

私の手に残ったのは・・絶望だけ・・

『お困りのようだね。』

『君の願いを叶えてあげようか・・?』



「答えろ、ドラビル。貴様の背後にいる本当の敵は・・悪魔であろう!!」
「お前・・に・・」
神龍の問いにドラビルは俯いたまま、何か呟いていた。
神龍はドラビルから目を離さず、隙を与えないように神経を研ぎ澄ましていた。一瞬でも隙を見せれば犯られる!!とそんな気がしたからだ。
「答えろ、ドラビル。今更逃げようなんて考えるなよ。貴様に逃げ場はないぞ。」

「お前に・・」

「お前に・・・」

「?」

「答える義理なんてない!!!」
「!」
ドラビルが叫ぶと同時に金色の光が走り、鮮血が舞った。神龍は舌打ちをしながら、咄嗟にガードした腕にできた傷痕を見る。傷はまるで獣にでもやられたようにザックリと爪跡が出来ていた。
「まだこんな力があったとはな・・」
神龍は腕を見た後、ドラビルを見る。ドラビルは肩で息をしながら、神龍を睨みつけていた。瞳も蒼から赤に変わっている。ドラビルは武器を持っていなかった・・どうやら爪を伸ばして攻撃してきたようだ。ドラビルの指からは黒い長い爪が生えていて神龍の血らしきものが付いていた。
「隠し武器というやつか・・」
神龍は身構える。


「余所見してる場合か?」
「!」
神龍は背後からの声に反応するが、後ろを振り向く前に背中に激痛を感じた。
「!」
神龍は激痛を感じながら地面に倒れる。神龍を斬ったのは、それまでドラビルと神龍の戦いを傍観していたジョーカーだった。
「ジョーカー。貴様、どういうつもりだ?手は出さないと言ったはずだけど。」
「俺は時間に厳しいんだよ。さっさと片をつけると抜かしていた奴が一方的にやられてんじゃ意味ないだろうが。悪いけど、これ以上無駄な時間を潰したくないんでね。殺してはいないから安心しろよ。」
ジョーカーはそう言うと倒れている神龍を通り過ぎ、ドラビルを摘まみ上げ、担ぐ。ドラビルは勿論抵抗したが体中の傷の痛みで思うように動かなかった。

「一応、戦いは保留にしておくぜ。神龍。またな、本当にあの二人を助けたいなら、いつでも来いよ。」
神龍は舌打ちをしながら、顔を上げる。
くそ、散々傷つけられて傷の再生が遅い。血を流し過ぎた。

「一応楽しませてもらった礼だ。ドラビルの代わりに俺が答えてやる、そうだ。俺達の背後にいる本当の敵は悪魔だよ。だが、普通の悪魔じゃない・・」

「そいつの名は・・「べ   」だ。」
「!!」
神龍はその名前に見覚えがあった。
まさか、そんなはずはない!!


「じゃあな、俺が答えるのはここまでだ。精々死なないようにな・・」
「ま・・待て・・・」
神龍は手を伸ばすが・・届かない・・目の前が歪んで見えた。
血を流し過ぎて意識が・・・くそ、もう少しだったのに・・
神龍はそのまま地面の冷たさを感じながら、目を閉じていった・・

まさか、生きていたのか・・・?

ベリアル・・・

そして神龍は意識を失った・・




カイ 2018年01月05日 (金) 14時43分(3376)
タイトル:眠りし者への目覚め

暗い・・・どこまでも・・・暗い・・・

『神龍・・』
『!!』
主様!!
叫ぼうとしたが、声が出ない。器官に水が入ったような感じと口から出るのは、泡ばかり。
自分が吐いた泡で視界が悪い・・
必死に叫ぼうとしても声が出ない。出るのは、泡だけ。
泡の先に身に覚えのある後姿がある。あれは・・

『(主様・・・!!!)ゴポゴポ・・・』
どうにかして手を伸ばす・・

それでも届かない!!

すると声が届いたのかその人物が振り向いた。顔はモヤがかかって見えなかったが、自分には悟空だと直感した。

自分が伸ばした手を相手が掴んだ・・
『主様・・・』


『お前に「悟空」は救えない・・・』
ヴェルインはそう言って笑った・・・


「!」
神龍は思わず飛び起きた。自分は顔中に汗をかいて今のが夢、いや悪夢だったことだとすぐに直感する。荒い呼吸をしていたので、軽く深呼吸をして呼吸を整える。しばらくして自分の周りを確認すると、
「どこだ、ここは・・?」
自分はたしかドラビルと戦っていた戦地にいたはず。しかしここはどう見ても戦地とは程遠い、まるで病院のような所。自分の記憶ではそんな所はあそこにはなかった。まして自分は手当てや点滴もされているので、こんな整った医療設備は遠くてもあの地域にはなかったはずだ。
神龍は点滴を見て自分が投与されているのは無害なものだということを確認すると、ベットから降りようとする。すると自分の目の前のカーテンが開いた。
「あ!気が付きました!!」
カーテンを開いて顔を出したのは、あの時戦地にいたあの少女だった。自分が気絶させたはずなのに。
「どこだ、ここは?」
「動いちゃダメですって。まだ治ってないんですから!」
「どこだ、ここは?」
「ここは、病院です。正確に言えば、あそこより違う所の・・」
「違う所?「ここは、第一宇宙のプライド・トルーパーズが率いる病院だ。」
神龍の言葉を遮って神龍にとっては初めて聞く、しかし悟空の記憶の中で聞いた覚えのある声を聞こえた。そして少女の背後から声の主が現れた。

「お前は・・」

「貴様が第七宇宙の孫悟空が言っていた「神龍」か・・・」

神龍の前に現れたのは、かつて悟空が戦ったジレンだった・・・

カイ 2018年09月17日 (月) 16時44分(3378)
タイトル:他者からの目線

違和感はあった・・・

だが確信がなかった・・・

でも、どこかで神に近しき者と感じていた・・・


それは突然だった・・
『お前達を呼んだのは、これから話すことを全て知ってもらうためでもある・・』
破壊神ベルモット様からの伝令があり、急遽集まった場所で全てを聞かされた。
・第7宇宙のサイヤ人である孫悟空が、かつては『全能神』という神だったこと。
・そしてそのライバルであるベジータも形は違うが『破壊神』だったこと。
・そのことをベルモット様達は忘れていたこと。
・そしてその二人がドラビルという者の手によって闇に堕ちたこと。
最初は信じられなかった・・・でも、どこかで確信していた。
でも、否定している『自分』もいた・・・

そしてこれからのことをどう動くかを決めるためにと一度解散して、自分達の宇宙に戻った時、血塗れの男と気を失っている女を抱いたかつて自分が戦った第6宇宙のヒットがいた。
『すまんが、こいつらをそちらに預けてもらってもいいか?俺がいる第6宇宙ではいろいろと複雑なもんでな。それに俺はどこまで治療できるかわからんし。』
ヒットの話では、微かな気を感じ取り、向かった先にこの二人が倒れていたらしい。そして男の方から僅かにドラゴンボールの気があったらしい。どうやらこの男こそが、ベルモット様達が言っていた悟空の側近であり、ドラゴンボールの『神龍』らしかった。
流石に怪我人を追い出すわけにもいかないので、これからの話をするために帰ろうとするヒットを条件付きで引き留め、すぐに二人の治療にかかった。
女の方はたいして怪我はなかったが、男ー神龍は特に酷かった。
激しい戦闘があったのであろう、龍神族の硬い皮膚を貫くほどの刺傷と切傷打撲傷が全身にあった。鱗は剥がれ落ち、火傷などで出血していた。
服もズタズタにされており、長い金髪は血で染まっていた。
辛うじて心臓は動いていたが、ほとんど虫の息だった。


手術は難航した・・・
出血があまりにも酷く、輸血が必要だったが、龍神族の血は貴重だったので、それに近い血を用意しながらの輸血になった。だが、その後に神龍の兄と名乗るポルンガという者が現れ、彼の指示を受けながらの輸血になった。
『昔から無茶をする奴だったが、ここまでとはな。』
ポルンガが呆れながら言うのを近くで聞きながら、手術が終わった後、彼の意識が戻るのを待った。


『ヴェルインとシュテールがザマスという界王神を消滅させたらしい。』
『ザマス?』
『未来のトランクスがいた世界を滅茶苦茶にして自分だけの世界を創ろうとした愚か者だ。』
『しかし、ベルモット様達からそんな話はなかったぞ?』
『ザマスをただ消滅させたんじゃない。その界王神の存在全てを消滅させたんだ。記憶や過去からな。だからベルモット様達は覚えていない。』
『となると?』
『ザマスの存在全てを消滅させた後、違う歴史が刻まれるようにしたんだ。勿論、トランクス達の未来に現れたのは、ザマスや悟空ブラックじゃない。違う異次元から来た者になっていた。そして全王様が消滅させたのは、その違う異次元から来た者で、未来のトランクス達の世界はそのままになっている。同じ世界に二人のトランクス達が現れることはないし、トランクスはこのことで強くなった。誰もザマスや悟空ブラックも覚えていない。そしてザマスも悟空ブラックもどこの世界にも存在しない。存在することすらできない。』
『何故そいつらはそこまで。』
『世界がどうなろうがということより、自分の体を勝手にされるのが嫌だったみたいだ。そして、そして自分の愚かさを実感させたかったらしい。』
『皆が忘れているのを何故、お前は知っているんだ?』
『どうやらヴェルインとシュテールが我々、龍神族だけにその記憶を強制的に刻んだらしい。だが、もうすぐこの記憶は無くなるだろう。』
『なるほどな。それを我々に話してどうする?』
『このことを話してお前らはどう思った?』


『誰かに話すつもりはない。』
『そう言うと思っていたさ。』

カイ 2018年11月05日 (月) 12時16分(3381)
タイトル:ディスポ対神龍

神龍は悩んだ。
自分がいた場所が第一宇宙のプライド・トルーパーズという場所で、ジレンの言葉を聞くあたり、自分のことは全てわかってしまっていたことだ。そうなると、迂闊にここを離れることができない。
それに自分は手当てされているとはいえ、まだ完全な状態じゃない。
(主様とベジータの気が感じられない・・まだ二人の『血』が見えない・・)
神龍は悟空(今はヴェルイン)とベジータ(今はシュテール)の気を読もうとしたが、どうやら自分は探索能力が欠けているくらいダメージを負ったようで二人の気が感じられなかった。そして二人の血の気配も。
「お前、その様子では、悟空とベジータの気を感じる力もまだ完全に戻ってはいないようだな?しかし、俺達も悟空とベジータの気を感じ取れない。だが、お前は違うやり方で悟空とベジータの気を感じ取っているみたいだが。」
「どういうことだ?ジレン。こいつには気以外が見れるというのか?」
ジレンの言葉を聞いていたトッポが口を開くと、その場にいたメンバーがジレンに注目する。神龍は黙ったままだった。
「俺からも聞きたい。悟空とベジータの居場所をお前が違う方法で知っているのであれば、その方法を教えろ。」
すると、ずっとジレン達の話を聞いていたのか第6宇宙のヒットも姿を見せた。
「知ってどうする気だ?」
神龍は点滴を受けている手をさすりながらジレンとヒットを見る。すると、口を開いたのはトッポであった。
「決まっているだろう?悟空とベジータが悪に堕ちた以上、その存在は消えねばならない。我々の『正義』のためにも、『悪』は生かしてはおけない!!」
シュン!!
次の瞬間、トッポの頬を何かが掠めた。それはトッポの背後にある壁に突き刺さると、地面に落ちた。
「「「「!!!!!」」」」

「あの方は・・悪ではない!!」
叫んだのは、神龍だった。神龍はトッポが言い終わった後に、手術用のメスを投げつけたのだ。
トッポは目にも止まらない速さでメスを投げた神龍に驚いたが、すぐに顔をしかめる。
「貴様程度の物差しで誰かを悪と決めつけるな!!愚か者!!」
神龍は自分が怪我をしているという素振りも見せず、トッポを怒鳴る。その声に気が溢れ、その場に空気が振動し、窓や壁にヒビが入る。神龍のそばにいた少女は震え、思わず近くのタンスに隠れる。
「お前、手負いの身で随分とした言い草だな。」
神龍の言葉が気に入らなかったのか、それまで黙っていたディスポが口を開く。
「手当などをしてくれたのは、礼を言う。だが、貴様らと手を組むかどうかを決めるのは私だ。」
「随分と・・・言ってくれるな!!」
ディスポは叫ぶと同時にベットにいる神龍に向かっていく。そばにいたトッポが制止しようと叫ぶが、ディスポは聞く耳を持たなかった。
ディスポが神龍に拳を振り上げるが、神龍はじっとしていた。

「!!!」
ディスポが振り上げた拳を神龍は安々と掴んだ。
「どうした?手負いの相手に随分と手加減してくれるな?」
ディスポの拳を掴んだままの神龍はそう言うと笑う。ディスポは神龍の手を振りほどこうとしたが、びくともしない。
「少し手荒だが、悪く思うなよ。」
神龍はディスポの手首に爪を食い込ませた後、力強く引っ張った。引っ張られたディスポはバランスを崩して神龍の所に来ると、神龍はディスポの首に噛みつく。突然のことにその場にいた全員が驚いていると、神龍は喉を鳴らしながらディスポの血を飲む。その光景に怒り、今度はトッポが飛び掛かる。すると、一通り飲み終えたのか、神龍は向かってくるトッポに向けてディスポを投げる。突然の行動にトッポは避けられず、ディスポを受け止めていると、神龍はすばやくトッポの背後に現れると、トッポの腕に爪で傷をつけた。トッポの腕に血が噴き出るのを見ると、神龍はトッポの腕に噛みついて血を飲み始める。トッポはもう片方の手で神龍に攻撃する。神龍はサッと避け、床に着地する。しかし、背後にヒットが拳を振り上げているのをすぐに感じ取り、ヒットの腕に自分が引き抜いた点滴を刺した。点滴と針の痛みにヒットが気を取られていると、神龍がヒットの足に噛みつく。ヒットは歯を食いしばり、神龍に向かって気弾を放とうとしたが、
「お前、その姿?!」
神龍に向かって気弾を放とうとしたヒットだが、目の前の神龍の姿に気弾を放つのをやめてしまった。神龍は答えず、窓に向かって走ると、シーツを掴んで窓から飛び降りた。

パリーーーン!!

辺りには窓ガラスの破片だけが堕ちていた・・

カイ 2019年01月01日 (火) 22時24分(3383)
タイトル:シュテールの野望

神龍が第一宇宙にいる丁度同じ頃、あるアジトでは黒藍が紅茶を煎れていた。
「ヴェルイン様とシュテール様のお口に合うといいですわね。」
うふふと笑いながら、カップに紅茶を注いでいると、ドアを叩く音がした。
「どちら様?」
「俺だ。黒藍、ジョーカー様とドラビル様が帰られたぞ。」
「まあ。急に何処かへ行った思ったら!」
「ドラビル様は負傷している。ジョーカー様が連れてきたようだ。」
「何ですって!?」
黒藍は手を止め、扉を開けた。



そして違うところでは、ヴェルインが悪魔-ベリアルと話していた。
「気分はいかがですか?ヴェルイン様。」
「ああ、丁度いい。しかし、自分の身体とはいえ、素晴らしい出来だ。ザマスの悪知恵も案外役に立つものだな。」
しかし、ヴェルインの姿は変わっていた。その姿は・・・
「ザマスの魂や存在を消すだけでなく、その姿を奪うとは思いませんでしたよ?」
「勝手に人の身体を奪って好き勝手したのは、あいつだ。それ相応の罰は受けるべきだろう?それに俺は取られたものを取り返しただけ。プレゼントの返却だ。」
ヴェルインの姿は・・・ザマスに取られたゴクウブラックの姿になっていた。唯一違うのは、片目に刺青があることだけ。ゴクウブラックの姿のヴェルインは、ゴクウブラックのザマスよりも、激しい気を放っており、バチバチと火花が散っている。
「そうされますと、そちらの身体はどうされます?」
ベリアルがゴクウブラックの姿のヴェルインにある方向を指差して尋ねた。ベリアルの指さした方向をヴェルインが振り向いて、ああそうだなと言う。
そこには、ソファーに腰掛けてまるで眠っているような悟空の身体があった。
「それは保管しといてくれ。もしもの時のためにな。まだこの身体に慣れた訳じゃねえし。」
「かしこまりました。腐りはしないと思いますが、厳重に保管しておきます。」
「壊すなよ。大事な身体なんだからな?ところで、シュテールは?」
ベリアルが抜け殻状態の身体に近づいていくのを確認しながら、ヴェルインが尋ねると、ベリアルは手を止めた。
「確か、地獄に行くと言ってました。」
「またどうして、地獄に?」
「ベビーに会うって・・・」


カツカツカツ・・・・
シュテールは、地獄のある場所を歩いていた。そして立ち止まると、笑みを浮かべた。
「見つけたぞ、ベビー。」
「べ・・・ベジータ・・・。」
「つき合って貰うぞ。この俺の野望のためにな。」
シュテールはそう言うと、銃を構えた。

カイ 2019年01月20日 (日) 00時03分(3384)


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