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タイトル:はっちゃけてみた カテゴリー未分類、その他

深くは考えてませんが、思いつきで考えた事をネタにする計画性の無い話です。
パロディ、健全、R18と色々なネタを考えてみます。

夜魅 2016年02月13日 (土) 17時36分(3253)
 
タイトル:作者の代理人キャラクターの紹介

※このコーナーやフリートークでは、作者の代理人の様な女性キャラクターで彼女も雑談に登場します。

香月美夜(かげつみや):身長:165cm、体重:53kg。スリーサイズは87(E)・57・85、と長身巨乳だが、着痩せするタイプ。つい最近、何となくで作られたキャラクターであり、どのストーリーにも関わらないが、キャラクターは知っている。
質素で落ち着いた雰囲気を纏う黒髪茶眼(ロングヘアを一つ結びにしている。目は縦長のタレ目で茶色)が特徴の美少女。しかし、自己主張が少ないのでモテるタイプでは無い。
一人称は「私(わたし)」で一貫している。二人称も「貴方」で一貫しており、人によって変わらない。
雰囲気に違わず、無意味に着飾ったりはしない素朴な性格。基本的には、敬語で話しているが、礼儀正しいとか繊細で丁寧な性格だからと言う訳では無い。寧ろ、マイペースで誰に対しても直球な物言いをするが、本人に悪気は無い。
好きになりやすいキャラクターの傾向は男性だと「クールな実力者」か「中性的な紳士」で、女性だと「芯の強いお嬢様」か「面倒見の良いお姉さん」らしい。
好みの異性のタイプは「価値観が合う人」。身長は高めで細身な体型が理想。
本人は自覚していないが、結構な面食いで初対面の相手の顔を見るなど無意識に優れているかどうかを判断する癖がある。そして、結構評価が厳しかったりする。
性転換して、男体化した場合は175cmのイケメンになる。
イメージキャラクターは進撃の巨人のサシャ・ブラウス(敬語で喋る)、ONEPIECEのたしぎ(雰囲気)。

司会:シュラード、夜闇
ゲスト:香月美夜

シュラード「新キャラ?」
夜闇「全く面識の無いキャラクターだが、どの作品に出演するキャラクターなんだ?」
美夜「何処の作品にも出演しませんよ」
シュラード「えっ? 作品が決まらずに紹介されたキャラクターなんて他にいないぞ」
夜闇「没にされたキャラクターか?」
美夜「違います。私は作者である夜魅さんの代理人として作られたキャラクターです。今は初めてなのでゲストですが、次回から雑談で貴方達と一緒にこのコーナーを盛り上げて行こうと思っていますので、宜しくお願いします」
シュラード「えっ、マジで? 女の子が来るの? やったー!」
夜闇「女が加わる形になったか。宜しければ、今度食事でもどうだ?」
美夜「考えさせて下さい」
シュラード「夜闇、お前には無理だと思う」
夜闇「俺の美青年が活かされていないのは、気のせいか?」
美夜「流石にイケメンでも初対面でナンパは引きますね。もっとも、それシュラードさんもやってるのでどっちもどっちですが」
シュラード「どっちにも靡いてねぇな」
夜闇「だが、そこが良い」
美夜「それにしても、カイ様の更新が途絶えてますけど大丈夫なんですかね? あ、ちなみに私はカイ様のキャラクターの中ではケルドゥンが好きですね」
シュラード「作者と同意見か」
美夜「当然ですよ。私は作者の代理人のキャラクターなんですから。女のキャラクターはどの人もパッとしないので挙げられませんけどね」
夜闇「作者のキャラクターで気に入っているのは誰だ?」
美夜「男性だと中性的なキャラクターが好きなので、真紅さんですかね? 女性だと落ち着いてるお嬢様とか好きなので、小咲ちゃんですね。でも、黒髪ロングの女性キャラクターはドストライクです。型月の『月姫』リメイクでの秋葉様のイラストは心を撃ち抜かれました」
夜闇「『月姫』を知らんから何とも言えないが、どのキャラクターもリメイクのイラストで見た時には可愛いと思ったな」
シュラード「俺は琥珀さんと翡翠が好み」
夜闇「『Fate』だと、どうなんだ? 俺はライダーことメデューサが好きだな」
シュラード「俺は凛かな」
美夜「女の子限定だと、セイバーことアルトリアですね」
シュラード「さて、このコーナーについてだが、フリートークとそんなに変わらないらしいけどこっちは小説をメインにしてるんだってな」
美夜「この雑談を書いたら、オメガバースパロディでも書こうと思います。αであるケルビム×Ωである真紅の話です。ちょい役でジニアさんが出てきますが、特に関わりはありません」
シュラード「あれ? アイツのリメイクキャラクターが出てくるんじゃなかったのか?」
美夜「変なイメージを付けない様に舞さんは出さない様にします。と言うより、結構性格は違いますよ」
夜闇「どんな性格だ?」
美夜「気が遣えるタイプなので、カイ様も嫌いにはならないと思います。ですが、少し気高い性格ですね。成金上がりの女性には書きたくないです。凛としたお嬢様のイメージで」
シュラード「じゃあ、蒼葉は?」
美夜「クールですが、人当たりは良いタイプです。でも、スペックだけで言うと兄妹揃ってライバル系統のキャラクターかもしれませんね。イメージカラーが戦隊モノで言うと、ライバルにありがちな青ですから」
夜闇「そもそも、五十嵐颯と神崎美琴の息子か娘じゃないのに主人公とはどういう事だ?」
美夜「本当にそれですよね。でも、前々からハイスペック主人公を登場させてみたかったんです」
シュラード「完璧超人系の主人公は受けが悪いぞ」
美夜「嫌味に見えない様に書きたいものです」

黒髪碧眼の美男美女な兄妹と言うのはキャラクターとして中々生えますが、主人公と言うよりはライバル向けのキャラクターかもしれません(由緒正しい家系みたいなもの)。
そして、二人揃って『氷』と『風』の二重属性と言うエリートっぷり(母親は四大元素なので、もっと凄いが)です。
と言うか、主人公が兄と妹って『魔法科高校の劣等生』っぽいけど、性格は違いますし、互いにブラコン&シスコンでもありません。
この後、オメガバースパロディを書いてみたいと思います。

夜魅 2016年02月14日 (日) 01時52分(3255)
タイトル:幽閉されし紅き熱情は番を結び合わせる

※カップリングはケルビム×真紅でケルビムがα(本人はβだと思っている)で真紅がΩのオメガバースでありがちなα×Ωの組み合わせで性描写も予定しています(凌辱モノじゃないので、比較的ソフト)。尚、学パロでもありますので、後に設定をフリートークに書きます。

……ちょい役でジニア(クラスメート)とヴァイエル(教師)が出ますが、ちょい役なので、特に関係ありません。

『幽閉されし紅き熱情は番を結び合わせる』

「ねぇ、貴方って体売ってお金稼いでるって本当?」
「……は?」

突然、自分に投げ掛けられた質問の内容と問い掛けた女子生徒の直球な物言いに一人の男子生徒は素で言葉を失う。
腰まで届くであろう金髪を一つに結び、切れ長の炎が燃える様な赤い瞳は今も尚驚きで見開かれており、女子生徒の顔を呆然と眺める。

――何を言っているんだ、この女は?

口には出さないが、質問の内容が内容なので心の中でぶっきらぼうに毒づく金髪の男子生徒。
彼の名は真紅。
彼の家は父、母と共にα(アルファ)と言う王の如きカリスマ性を持った血を持つ裕福な家庭で、自分の体を犠牲にしてまで必死で金を稼ぐ必要など毛頭無い。
そんなものは事足りてるし、自分は男だ。
中性的な容姿で疑われやすいが、性同一性障害と言った心と体の性が一致しない病でも無いし、男が体を売ってまでして金を稼ぐとなれば、プライドを捨てなければならない。
真紅自身、自分がプライドの高い性格だと言う事は理解していた。
だからこそ、何処の馬の骨とも知らない輩を相手に淫らで屈辱的な姿を晒すなど、想像するだけでおぞましく、不愉快だった。
それを察してか知らずか、流れる様な黒髪を振り払いながら、女子生徒が口を開く。

「あら、ごめんなさい。不愉快にさせたかしら?」
「……いえ、急な質問に驚いただけです」
「その割には、不愉快って顔をしてるわね?」

――だったら、最初から聞くな。

真紅の機嫌が悪くなっているのを察して、指摘する女子生徒の名はジニア。
儚げな美貌と刺々しい雰囲気が混同している様な少女で話す事は無いが、真紅が苦手とする人間の部類にたった今含まれた。
この手の人間は人の機嫌や神経を逆撫でる事を得意とする様で自分とは大変相性が悪い。

「……誰のせいだと」
「怒らないでよ、悪かったわ。でも、気になっただけよ」
「気になったにしても、もう少し聞き方があるでしょう」

鬱陶しいと考えながらも、表面上は冷静にジニアの無神経な訊ね方を窘める辺りは冷静になろうとする真紅らしい行動だった。
それに軽く謝罪し、椅子に座り、帰りの準備をする真紅の机に手を置いて、顔を近付ける。

「ねぇ、どうなの?」

真紅に問い掛けたジニアは、ネイビー色の深みを思わせる瞳で彼を見つめ、首を傾げると同時に腰まで届きそうな長い髪が肩から流れ落ちる。
その様子に容姿は整っているのに、とばかりに真紅を落胆させる。

「いえ、別に私が体を売ってまでして手に入れたいものなどありません。何故、急にそんな事を? 心当たりが全く無いのですが……」

心当たりが無いのは、変えようの無い事実である為、躊躇無くジニアに告げる。
相手はそう、とつまらなさそうに机から手を離し、そっぽを向く。
そのあからさまな手の平の返し様に真紅は怒りを通り越して、呆れを覚える。
自分は不謹慎な質問に事実で答えてやっただけだ、と言わんばかりに背中を向ける女に睨みを利かせる。

「あぁ、これはクラスの男子が言ってたのを聞いただけなんだけどね。ネタにでもならないかって思ったらしいわよ」
「心底腐ってる連中ですね」
「怒ってる? それもそうね。私だったら、その場でキレる自信あるわね」

私は今すぐ貴女に怒りたい気分ですけどね、と向き直った彼女を前に表情を戻すが、心の奥底で怒りの灯火をまた燃やし続ける。
もし、これで本当に自分が売春しているとなれば、その男子はどうするつもりだったのかは知らないが、いずれにせよ信用していないので深く関わるのはやめておこう、と誓う。

「貴方ね、たまに物凄く甘くて……良い匂いがするらしいわよ」
「えっ?」

だから、売春とかの話になったんじゃない? と驚く真紅に付け足しながら、こう告げる。

「甘い……? チョコレートの様なものですか?」

甘い物は好きだが、その匂いが付着する程に食べた記憶は無いが、ジニアのあまりに意外な回答に原因となる部分を自分で考えるが、それも違うらしい。

「違うわね。もっとこう、大人って言うかすぐに"虜になっちゃう"な香りかしら?」
「"虜"に……?」

惚れ薬の様な表現を使うジニアに真紅はますます訳が分からなくなってくる。
香水も付けていないし、洗剤は市販のものなので、そんな香りのものに心当たりは無かった。

「まぁ、男子の言った事も分からなくないわ。失礼な事を聞いたわね。改めてごめんなさい」

それじゃあ、また明日ね、と鞄を持って教室を出て行くジニアにさようなら、と言うと彼女は振り向き、軽く微笑んで手を振った。
やがて、彼女の姿が見えなくなるのを確認した真紅は何気なく自分の服の匂いを嗅いでみるが、至って普通で不思議そうに首を傾げる。

(良い匂い……?)

しかし、すぐに気にする事の程でも無いだろう、と椅子から立ち上がり、鞄を持って教室を後にした。

(そういえば、明日は血液検査ね……)

一方、その頃ジニアは明日の行事をふと思い出して、真紅の匂いの原因について思い当たる事があった。
それはΩの発情期である。
α、β、Ωの三種類の性の中で最も低いカーストに分類される超希少種のΩの発情期は番のいないαやβを強く惹き付ける。
最大の特徴としては"男性でも妊娠が出来る"と言う度肝を抜くものでΩは繁殖に関する事のみが仕事とされていた歴史があるせいか、冷遇され、蔑まれる事も多い。
酷い者に至っては、"子を生む為の道具"としか思っていない者までおり、特に男性のαがこの傾向が強い。
α同士の子供は基本的にαだと言う事を思い出して、上履きを脱ぐと革靴を床に置いて、上履きを靴箱へと入れた。

(……まさか、ね)

そんな一つの疑惑に対し、ジニアはフッと笑い、その疑惑を頭の中で打ち消す様に歩いて、玄関から出た。
すぐに出ると、テニス部の部員が練習しているのを何気なく見ながら、校門へと歩を進める。
この時、彼女の真紅に対する推測と疑惑はやがて真実となる。
まさか、そんな匂い一つでこれからの人生が変わってしまうなどと、彼女も真紅も考えなかっただろう。

夜魅 2016年02月14日 (日) 04時23分(3256)
タイトル:幽閉されし紅き熱情は番を結び合わせる2

※出てくるのは萌葱(もえぎ)さんとヴァイエルが出てきますが、特に深い関わりはありませんが、萌葱は真紅にちょっと好意を抱いているかも分からないし、真紅は人間的に好意的に見ていると思われるかもしれません。

……ヴァイエルの方はホントにただの教師と言う役割を与えられただけですがね。

「いよいよだな! 血液検査の結果が返って来るぜ」
「何をそんなに期待する必要がある? どうせ、お前はβだろう」

廊下を歩きながら、教室に向かう何気無い男子生徒の会話だ。
診断の結果を楽しみに待っているであろう淡い緑色の長髪を高めの位置で一つに結んだ男子生徒に対して、紺色の目で冷ややかな視線を送り、低めな声色で返すのは襟足に付く長さの黒髪の男子生徒。
どちらも整った顔立ちをしており、性格は違えど仲は良さそうに思えた。

「皆色々と言ってるけど、大半はβだよね」
「でも、こういう時にαやΩの奴は大変だよな。Ωなら尚更な」

結果を楽しみに待つ生徒がいる中で椅子に座る隣同士の仲の良いカップルの会話だが、二人はとても現実的でαだったら凄ぇだの、Ωだったらどうしようなどと冷やかしで語ってなどいない。
赤いカチューシャの様なリボンを付けた女子生徒の方は大半は一般人として扱われるβがほとんどだろう、と事実を語り、淡い茶髪に切れ長の緑色の瞳を持つ男子生徒は冷やかしで言う連中とは打って変わって冷静な意見で返す。
血液検査。
それは自身の血液について知る為に必要なものであり、今となっては学校の必須事項だ。
勿論、それはこの高校でも同じ事であり、今日はその結果が返ってくる日であった。
ただ昔と少し変わっているのが、血液検査をして確認出来る事の判断が広がった事だろうか?
今、学校で血液検査が必須事項となっているのは自身の特性を知る為だ。
α、β、Ωの三種類に分けられたそれは、今後の人生に強く関わって来る。
人数的にはβが70%、αが20%、Ωが10%の割合だ。
αはカリスマ性やリーダーシップを持っていて社会的に優遇されやすく、就職にも有利だ。
βは平凡でβ同士の結婚が一般的とされ、産まれてくる子供もβだ。
Ωは非常に特殊で発情期なら、性別の壁を乗り越えて妊娠が可能だ。それが女同士だろうと男同士だろうと子を成す事が出来ると言う。
しかし、Ωは繁殖が仕事と思われている為に社会的地位が低く、最悪の場合Ωと分かると自殺する者もいる。
βなら良い。
しかし、αはΩだった場合には今後について考えなければならない。Ωなら尚更だ。

「酷いよね……それにしても」
「何がですか?」

金髪碧眼の身長は高めだが、女性らしい丸みを帯びた体型の女子生徒が金髪赤眼の男子生徒に話し掛ける。

「こんなの渡す必要はあっても、もっと学校側も配慮をすれば良いのに」
「ですが、自分の今後について知るのは大切な事です。私はαなので、将来は出世したいですね」
「……そっか、真紅君はお父さんとお母さんがαだったね。凄いなぁ」

羨望にも違い眼差しを向けられる真紅と呼ばれた男子生徒は女子生徒に向かって、やや照れながら言葉を紡ぐ。

「こんな事を言っては何ですが、両親は他のαの家系とも繋がりがあったんです。だから、私はその中で溶け込んでいる自覚と言うものがありました」
「でも、大変じゃない? 私はβが一番だと思うかな。αもβも大変で……私には縁遠いしね。Ωだったら、苦労しそうだよね」

万が一と言う可能性もある。
彼女の両親はβ同士であり、産まれてくる子供は高確率でβとされるが、理不尽で気まぐれな神は常に絶対では無い。
αなら儲け物だが、Ωだったら……ある種の死刑宣告に近い。

「大丈夫ですよ」
「どうして? 万が一って可能性もあるかもしれないのに」
「萌葱さん。仮に貴女がΩだったとしたら、私が貴女を"番"にします」
「えっ……?」

一瞬、言葉の意味が理解出来なかった。
まさか、自分の口からそんな言葉が出てくるとは思いもしなかったのだろう。
萌葱は目を見開くが、言葉の意味を理解して照れた様に笑うと真紅に対してこう返す。

「うふふっ、真紅君もそんな事言うんだね。……何か意外だなぁ」
「今のは言い過ぎましたね……驚かせてすみません」
「良いよ、気にしないで。それに……ちょっと嬉しかった」

考えてみれば冗談だと思うのが普通なのに、そんな発言にも頬を赤くして照れながら笑う萌葱を真紅は何処か可愛らしいと思った。
尚、番とはαとΩにのみ成立する特別な関係であり、番となれば恋人や夫婦より強いものとされ、一旦番になった場合は"どちらかが死ぬまで"解除されないと言われる。
しかし、αによってはその番を一方的に心無く解除する者もいる。
引き剥がされてしまったΩは非常に強い精神的なストレスを負い、もう二度と番を作る事も出来なくなってしまう。
だが、Ωの悲劇はそれだけではない。
疎ましい発情期そのものは無くならず、今後発情期が来てもそれを抱えたまま生涯を過ごす事になってしまう。
非常に重い話になったが、真紅は改めて萌葱に謝ると彼女は苦笑しながら良いよと許す。
その時、授業の始まりを知らせるチャイムが休み時間の終了を告げる。
まるでテスト用紙の様に全員分の結果を抱えた担任が教卓に着いて、言葉を発する。

「さぁ、お待ちかねの結果返還の時間だ」

担任の名はヴァイエル。
教師歴はそこそこ長く、三十歳前半の年齢だが、若く何よりルックスが整っていた。
雰囲気も品の良さと色気が漂っており、186cmと言う長身は全体がスラッとしていて歩いているだけで様になる。
何故、これでモデルを目指さなかったのが気になるところだが、今は結果返還の時間だ。
出席番号一番の茶髪の素朴な印象の女子生徒が呼ばれ、立ち上がると担任に頼まれて椅子を持ち、担任と共に廊下の方へ向かう。
どうやら、トップシークレットの様だ。
中央の列の一番前の生徒が結果を覗こうとした途端、教師がやめなさいと言わんばかりに強い口調で叱っていたのを思い出す。

「呼ばれた生徒は早めに来る様に」

扉を開けて生徒達の方へ振り返るとそう忠告し、最初に結果を渡される女子生徒と共に廊下へ消えていった。

夜魅 2016年02月14日 (日) 17時19分(3258)
タイトル:幽閉されし紅き熱情は番を結び合わせる3

※血液検査の結果を渡され、精神的に不安定になる真紅を中心に書いています。
「アイツってΩじゃねーの?(笑)」と本人がいない所で冷やかすモブの男子に対して鉄拳制裁するジニアが見所かな? とも考えている。

……ヴァイエルはΩですが、ここの話ではノンケかゲイなのかは想像にお任せ下さい。

椅子を持った出席番号一番の生徒と担任のヴァイエルが廊下で話し合っている状況の中、呼ばれるのを待っている生徒は近くの席の友人と話していたり、机にうつ伏せになって寝ていたり、宿題をやっていたりと様々な方法で暇を持て余していた。
ガラッと扉を開ける音がして、一部の生徒がそちらの方向を見る。
その視線の的になる茶髪のボブカットの素朴で大人しそうな印象の女子生徒は特に気にせず、スタスタと歩いて自分の席へと着く。

「……結果はどうだったの?」
「え? 普通にβだよ」

隣の席の友人らしき女子生徒が結果を尋ねるが、あっけらかんとした表情でβだと即答する茶髪のボブカットの女子生徒。
自身を普通だと形容するかの様に彼女は淡々と答えて、何事も無かったかの様に宿題に取り掛かる。

「あの反応はβだな。だって、特に焦ってる様子も無いし」
「お前はさっきから何を期待しているんだ?」
「αだったら人生の勝ち組だぜ? リーダーになったり、女子に告られたりってのはアリだろ?」
「馬鹿馬鹿しい」

結果を楽しみに待つ男子生徒に対し、相も変わらずシビアにツッコミを入れる黒髪の男子生徒は頬杖を突きつつ、宿題を進めて有効的に時間を活用する。
緑髪の男子生徒は机に勉強道具を出しているものの、結果の話ばかりであった為か黒髪の男子生徒には若干ウザいと思われている様だ。

「真紅、来なさい」
「はい」

自分の順番が回って来た真紅は軽く返事をして席を立つと、一部の生徒の視線を浴びつつも軽く受け流し、廊下の方へと消えていく。

「アイツはα確定」
「……いい加減にしろ」

そんな二人の男子生徒の様子を知らずに廊下で担任のヴァイエルに手招きされる真紅は彼の方へ歩み寄るが、担任の表情が何処となくぎこちない。

「……真紅、確かお前の両親は"αだった"だろう?」
「え? はい、そうですけど……」

生まれ持った美貌を持ち、生徒に対して人の良さそうな笑みを浮かべているのが通常であるヴァイエルのこんな表情はあまり見た事が無い。

――検査に不備でもあったのだろうか?

「あの、何かあったのですか?」

おそるおそる聞いた結果、担任は眉をひくりと動かしたのを見てやはり何かあったのだと真紅は察したが、担任はすぐにいつもの人の良い笑みを浮かべる。
そして、まるで真紅の気に触れない様に"異常に優しい口調"で言葉を並べた。

「……いや、大した事では無い。僅かな人数でもβ同士の親から必ずしもβが生まれてくると言う事は無い。恥ずかしい話だが、私はΩでね。色々と苦労したものだが、最終的に教師になる事だって出来たんだ。負い目を感じる必要なんて無い」
「えっ?」

担任がΩだったと言う事にも驚いたが、その口調がまるで自分がαだと言う事を否定するかの様に言い草に真紅は担任から渡された診断の結果が書かれた紙を見た。

「っ、嘘だ……! こんなの嘘に決まってる……!」

その紙が異様に白く思えてきて、まるでその白さに呑み込まれる様に目を奪われた。
白い紙の上に綴られた黒い文字は、彼がαだと言う事を告げていなかった。
たった一文字の印刷された黒い文字は、真紅の存在を無慈悲にも否定した。
その一文字で否定した。
真紅の存在を、真紅の在るべき姿を、根本から覆し受け入れる事は無かった。

「真紅! しっかりしろ!」
「……ッ! ぁ、はい、すみませんでした……」

紙を受け取った状態のまま、静止した真紅を呼び戻す様に肩を掴んで名前を呼ぶヴァイエルに対し、ぎこちない謝罪をする真紅。
受け取った瞬間、完全に頭の中が真っ白になっていた真紅はヴァイエルの呼び掛けにビクッと体を反応させる。

「すぐに自分の席に戻った方が良い。こちらもその為に一人一人の時間を決めてあるんだ。なるべく、何事も無い様にな」
「分かりました……」

真剣な表情ですぐに戻る様にと告げるヴァイエルに力無い返事をして、扉に手を掛ける。
周りの生徒達の自分を見る目が"アイツはΩなんだ"と言う軽蔑の視線では無い事を祈って扉を開けると特に自分が呼ばれる前と何ら変わりは無かった。

「萌葱、来なさい」
「はい」

真紅が自分の席に戻ると、入れ違いに萌葱が席を立った。
次の出席番号なので、当然と言えば当然の事だが、萌葱が席を立ってしまった事で空いている事が今は異常に寂しかった。
萌葱が廊下へ向かうのを無意識に見送りながら、彼は溜息を吐く。
結果を知った真紅は自分の体がまるで何かに取り憑かれているかの様な気怠い感覚に、瞼を閉じて机に縋る様に体を預ける。
今はもう、誰にも話し掛けられたく無かったからだ。
その様子を一人の女子生徒が神妙な面持ちで見つめていた。

――やっぱり、Ωだったのね。

勘の鋭い自分の推測が当たっても、何も嬉しくなかった。
Ωだと言う疑惑を真紅に告げる気など無かったが、やはりこのΩと言う性はこんなにも劣等感を与えてしまうものだと言う事を察した。
ジニアは真紅から視線を逸らして窓の外を眺め続けながら、空の景色が少しずつ変わるのを黙って見ていた。

夜魅 2016年02月27日 (土) 23時42分(3263)
タイトル:幽閉されし紅き熱情は番を結び合わせる4

※颯とシュラードが名前付きで真紅と会話をしています。ジニアが銀魂にいるお妙さんみたいなノリで男子生徒を嬲っています。ケルビムは次回から登場しますが、完結には少し時間が掛かります。

……性描写は多分次回からですが、愛のある性描写なので文章の拙さが伝わって来るかもしれません。

授業が終わった後も真紅は何事にも集中できない散漫な劣等生の様に窓の外を眺め、死神にでも取り憑かれた様な顔で休み時間に担任のヴァイエルの元へ向かうと、早退させて下さい、と名乗り出たのだった。
結果的に、彼は今日の午後からの授業を早退した。
ヴァイエルはやはりか、と悟った様な表情をしたが、すぐにお大事に、と優しい笑みを浮かべて真紅の早退の申し出を許可した。
そんな気遣いすらも無理に同情している様で腹立たしかったが、このまま学校に居ても利益は無いだろう、と判断した真紅はそのありがとうございます、と礼を言って、荷物をまとめていた。

「真紅、大丈夫か?」

そう彼に声を掛けてきたのは、淡い茶髪の髪にエメラルドグリーンの切れ長の目が特徴の涼しげでクールな印象を持つ男子生徒の五十嵐颯。
成績は平均より少し上で運動神経抜群でルックスも優れている為か女子にモテるが、既に彼女がいて、仲の良いカップルとして公認されていた。

「えぇ、四時間目から体調が優れなくて……」
「まぁ、そんな事もあるよな。とにかく、安静にしてろよ」
「そうそう、夜闇の奴も今保健室行ってるし」

真紅と颯の会話に割り込んでいたのは、長い緑髪が特徴の男子生徒であるシュラード。
基本的に一緒にいる夜闇が今は保健室にいると言う事を聞いて、颯は呆れた様な顔をする。

「お前、アイツに血液検査の話題振りまくってたよな。アレは相当ウザいと思うぞ」
「それは正直すまなかったと思ってる。でも、気になるだろ?」
「夜闇はともかくとして、お前は絶対にβだから安心しろ。アイツは何気に優秀だから、αだろ」
「それを言ったら、真紅もαだろ? しかし、真紅……」
「はい……? 何ですか?」

軽い調子で話していたシュラードに対し、辛辣なツッコミを入れる颯の言葉は届いていないせいか、相も変わらず軽薄なノリで喋るシュラードが突然シリアスな表情で真紅に問い掛ける。

「お前、具合悪いって言うけどそれって頭が痛いとか?」

本当は単に精神的な問題でなるべくこんな質問はされたくなかったが、否定すると怪しまれるのでシュラードのペースに合わせた。

「頭痛もありますが、気持ち悪いですね……」
「マジか! じゃあ、下腹部は?」
「……えっ?」

何故、その場所なのだろう? とも考えたが、少し痛いと答えておいた。
すると、シュラードは突然自分の腹に手を当てて、とんでもない事を言い出した。

「それってまさか、生理じゃグフォ!?」
「病人に対して、どんなセクハラ質問してんだよてめぇ」

女性が経験する月経なのでは? と言う発言を聞いた途端に颯の拳がシュラードの首付近に炸裂する。
もろに鉄拳を食らったシュラードはナイスツッコミ、と言う蚊の鳴く様な声で言葉を発し、体を痙攣させながら派手に倒れた。

「ツッコミじゃねぇ、突きだ。まぁ、とにかくきちんと休めよ」
「あ、はい……ありがとうございます」

シュラードの言葉にも驚いたが、颯のそれに対する鉄拳制裁からの自分を気遣う言葉に驚きつつも礼を言って、帰っていった。

「いつまでぶっ倒れてんだこの変態モヤシ野郎」
「モデル体型って言えよ」

颯は真紅が消えた途端にまるでヤンキーの様な調子でド直球な言葉でシュラードを罵倒しながら、首根っこを掴んで立たせるが、シュラードはそれにめげずに言い返す。
丁度、その時颯の背後に数人の影が床に映るのを見て、シュラードは疑問に思いつつ、振り返った。

「おい、てめぇ等何Ωの奴と話してんだよ?」
「あ?」

数人の影の正体は粗暴な性格をしたこのクラスで有名な不良の集団だったが、それに一切怯む様子を見せずに睨んで威圧させつつ、シュラードに下がってろ、と警告を促した。

「そっちこそ、いきなり何だよ? Ω? 誰の事言ってんだ?」
「あの良い子ちゃんに決まってんだろ? ちょっとは頭使ってから聞けバァーカ! Ωに話し掛けた奴は俺が直々に絞めてやるよ」
「へぇ〜、お前等みたいな社会不適合者からそんな言葉が聞けるなんて思わなかったな。それにこういう事、教室で言う時点でお前頭おかしいぜ? てめぇみたいなクソ野郎こそ俺がワンパンでブチのめしてやるよ」
「んだと? やんのかてめぇ!」

そう言って、颯に殴り掛かろうとするリーダー格の男子だったが、颯の目と鼻の先で拳が震え出すのを見て、颯は少し驚いた顔をしつつもフッと笑って一歩後ろに下がる。

「少しは頭冷やしなさいよ、この単細胞」
「や、やりやがったな、このまな板女がァ……!?」
「うわ、言っちゃった」
「ヤムチャしやがって……」

リーダー格の男子の拳が颯に届かなかった最大の原因はジニアが男子の脛に教室で使う箒で殴り掛かったからである。
勿論、威力は加減してあるが、人体の急所、或いは弁慶の泣き所とも言われる部位に攻撃されてしまった為か、痙攣しながらも自身を攻撃した対象に罵声を浴びせると、颯とシュラードはこの後の展開を察したのかご愁傷様と手を合わせて去っていった。

「悪い事をしたら、丁寧に、そして素直に謝らなくちゃねぇ……」

右手に持っていた箒を肩に担ぐ姿は地獄にいる鬼がまるで罪人を拷問に欠ける準備をするかの様で男子生徒には細い箒が棘の付いた金棒に見えた。
そして、薄く笑みを浮かべていたジニアの表情がゆっくりと、鬼の様な形相に変わっていったのを見て、不良の取り巻きは自分達のリーダーが最終形態になった宇宙の帝王に嬲られる戦闘民族の王子に置き換えながらずっと立ち尽くしていたのだった。

夜魅 2016年02月28日 (日) 17時54分(3265)
タイトル:幽閉されし紅き熱情は番を結び合わせる5

※ケルビムが登場します。最悪のタイミングと最悪な場所で発情期(heat)を起こして倒れる真紅を助けて自分の家まで連れて行きます。尚、ケルビムは結果的に学校をサボっています(笑)。

……ケルビムは今後は攻めの方向で良いかな? とも考えています。

「……ハァ」

今頃、自分が原因で自分のクラスメートが修羅場に遭っているとも知らずに、真紅は張り詰めていた胸から空気が自然と漏れ出る様な溜息を吐きながら前を見る。

「こんなに混んでるなんて……」

学校の正門を抜けて、すぐ通りに出ると、そこを真っ直ぐ行った所には大きな交差点がある。
そこは朝でも夜でも人が栄えている場所でこの時間帯でも人通りは極めて賑やかだった。
真紅の家はこの交差点を真っ直ぐ突っ切った道にある一軒家である為、歩行者天国の様な人混みを通って行かなければならない。

――頭が重い。それにさっきから、体が火照る様な感覚まで……。

精神的な問題もある。
しかし、それとは別に全体的に体が怠くなってきたかと思えば、今度は熱に病んだかの様に体が熱を帯びるのに真紅は違和感を感じていたが、信号が赤から青へと変わり、急ぎ足で歩を進める。
家に帰ったら横になろう、と考えながら、また足を進めた時だった。

「っう、くぁ……!」

全身に駆け巡る衝撃が真紅を理不尽に襲った。
彼の今の状況を説明すると、次の一歩を踏み出した瞬間に耐え難い眩暈に襲われて、右の方向へ受け身も取れずに倒れてしまった。
痛みに悶える声を堪えながら、視線を自分の手と足に向けると結構な血が流れていた。
擦り傷ではあるが、中々の重傷で突然自分を襲った眩暈と怪我に苦しめられる状況に心の中で舌打ちをする。
しかし、そんな問題は些細な事だった。
突然だが、机で肘などを一度はぶつけた事は無いだろうか?
肘に受けた筈の鈍い痛みがじわじわと伝染して、最終的には腕や手首などに痛みが行き着く様な感覚だ。

「っあ、っく……うン」

自分の体を突き抜けるのは忌々しい痛覚の筈だった。
その筈なのに、甘い微弱な電流が身体中に流れるかの様な快感を覚えた。
痛みに刺激されて、恍惚に身を任せるなど変態そのものだが、真紅は正にその状況で通常通りに交差点を通行する人が横目でチラチラと不思議そうな視線を向けては戻す。
そうだ、ここは交差点だ、と退かなければ通行の邪魔にもなると思考を起こして、立ち上がろうとする。

「……っあぁ!」

中々の大音量の悲鳴の様な喘ぎ。
一度は立ち上がった真紅の足が今度は別の意味で動かなくなり、再び地面にへたり込んでしまう形になった。
流石におかしいと思ったのか、人々の視線が真紅を一斉に捉えて逸らさない。

「ねぇ、あの子苦しそうよ?」
「とりあえず、ここまで運んだ方が良いわね」

二十代ぐらいの親切な女性二人が倒れた真紅を助けようと駆け寄ろうとするも、人混みが邪魔で近寄れない。
そんな様子にも気付かずに足が痙攣し、別の部位を無理に動かそうとすると、痺れる様な甘い刺激で声が漏れる。
呼吸は徐々に息苦しさを増し、体温も上昇していく。

――間違いない、これは発情期だ。

Ωの大きな特徴の一つで定期的に訪れるそれは場所や時間を選ばず、無条件に発動する。
自分の体に起こった突然の異変のせいでΩと言う最下層の性を嫌になる程、教え込まれる。
そうもたもたしている間に信号機はチカチカと点滅を始めた。
そこからは必死で、責めて邪魔にならない様にと動こうとするが、体が言う事を聞いてくれない。
這いずる様にして体を引きずろうとすると、突然地面と首の隙間に手を入れられて強い力で体を起こされると背中と膝の裏に手を回されヒョイと持ち上げられる。

「大丈夫か? とりあえず、足もフラついてるからこれで移動するぞ」
「貴方は……!」

耳に入って来たのはぶっきらぼうで低めだが、威圧感を与えない声の正体は別のクラスのリーダー的な存在に君臨するヤンキーの間でも有名なケルビムだった。
制服を着崩し、耳にはピアス、更には袖を捲った腕から鍛えられた筋肉質な体型だと言う事が分かる。
細身でも長身で70kgはある真紅をいとも簡単に持ち上げてしまった。

「ちょ、降ろして下さい! この姿勢って……」
「あー、言うかと思ったぜ。俺だって恥ずかしいんだから、ちょっとは我慢しろ。ギャーギャー喚くなよ、女じゃねぇんだから」

背中に手を回され上半身を支えてもう片方の手を両膝の下に差し入れ、足を支えて抱き上げられる様な格好。
俗に言うお姫様抱っこをされて、恥ずかしいから降ろせと反論するが、すぐに一蹴された。


「それが人を助ける態度ですか!? 女性でもないし、子供でもないんです! 良いから降ろして、」
「そうやって、歩けもしないクセに無理してる方がよっぽどガキだろうが! 良いから黙って俺に抱えられてろよ」
「……っ!」

何も言い返せなくなってしまった真紅は目を逸らしながらも歩けない事は事実である為、人々の視線を浴びて元々火照ったせいで頬は紅潮していたが、別の意味で赤面していた。
真紅はケルビムに抱えられたおかげで信号が変わる前に向こう側へと辿り着く事が出来た。

「あー、可愛げの無い態度取ってくれたな。こんな事なら、引きずってくれば良かったぜ」

鬱陶しそうに溜息を吐きながら下ろすと、反発の態度を取られたせいか本人に向かって愚痴を吐く。
いつもなら怒っていたが、今は反論するのはお門違いだと言う事は痛い程分かったので頭を下げて謝罪する。

「……迷惑を掛けてしまって、ごめんなさい」
「それはしょうがねぇよ。いきなりぶっ倒れるって事は相当具合悪いんだろ? そこは気にすんな」

手をヒラヒラと振りながら、別に気にしなくて良いと適当にフォローを入れる。

「……あと、ありがとう」

愚痴は吐かれたし、恥ずかしい思いもしたが、彼がいなければ自分は交差点の真ん中で人に迷惑を掛けていただろう。
何はともあれ、素直に礼を言うとケルビムはフッと笑って気を付けろよ? と別れようとしたが、まだ真紅の身体は熱くクラクラと揺れていて再び倒れそうになった。
だが、フラついているのを見た瞬間にケルビムが即座に真紅の手を掴んでいた為、またもや真紅はケルビムに抱えられてはいないが、助けられる形となった。
ケルビムは真紅をじっと見つめ、何かを察したかの様に極めて真剣な表情でいた。
そして、動揺しながら謝罪する真紅に忠告をする。

「……っすいません! また……」
「お前、もう動かない方が良いぞ。"ヤバい時"なんだろ? とりあえずだ。一旦、俺の家に行くぞ」

夜魅 2016年03月01日 (火) 01時53分(3267)
タイトル:幽閉されし紅き熱情は番を結び合わせる6

※ケルビム×真紅の組み合わせは好きですが、真紅の性質上の関係かリバーシブルは利かないカップリングだと思いました。

……ケルビムは女性との経験ある設定ですので、普通に慣れてます(元カノと言う設定のジニアが相手では無い)。

――どうして、こんな事になっているのだろう?

まず、色々と考えるべき事がある。
何故自分は知っているとは言え、腐れ縁の様な中の同級生の家にのこのこと上がり込んでしまったのか。
そして、その家のソファーに座っているのか。
更には、紅茶まで用意させてしまっているのか?
だが、そんな事を気にしている余裕など今の真紅には無かった。

「…ふっ……く、うンッ」

ソファーの上で体をくねらせて耐えるが、それでも体の反応は抑えきれない。
呼吸をする度に身体の体温が上昇して、ビクビクと痙攣を起こし、更には下半身まで反応を表し始める。

(もう無理だ……。下腹部まで疼いてきてる……)

年齢的にも難しい時期である高校生と言う事もあってか、自慰の経験はある。
もっとも、ベッドのシーツを汚すのが嫌なので風呂場での経験しかない。それに
今は他人の家だ。そんな真似は絶対に出来ない。

(……せめて"β"なら、こんな思いをしなくて済んだのに)

自分の性をこんなにも疎ましく思った事は無かった。
それにケルビムにこのような醜態を見られているのが、耐え切れない程に恥ずかしい。

「大丈夫か?」

そんな事を考えている間に自分の目の前に紅茶が差し出された。
何とか気を紛らわそうと真紅はティーカップを受け取り、軽く礼を言うと、一口含んだ。

「……マジでキツそうだな。本当なら、薬で楽にしてやりたいところなんだが……」

真紅の身体を気遣い、心配するケルビム。
しかし、そんな彼の顔は余裕を無くしていて瞬時に彼が"α"だと言う事を嫌と言う程に察知した。
Ωが発情期に発するフェロモンはαを強く惑わせる、と言う事から自分が発するそれでこうなってしまっているのだろう。
非常に申し訳無い事をしてしまった。
まさか、発情期のΩの男を家に招き入れるなど思いもしなかっただろう。

「その…すい、ません……色々と…」

震える唇を必死に開けて、謝罪の言葉をどうにか紡ぎ出す。
ケルビムは気にすんな、と軽く笑ってくれたが、真紅はそれどころでは無かった。
言葉を発した事で溜めていたものが全て外に吐き出されていく様な感覚に囚われ、それが気持ち悪いのか気持ち良いのか、いや、後者の可能性は考えたくなどない。
胸を強く押さえながら、肩を震わせて浅い呼吸を繰り返す。
ついには、床へ倒れ込みそうになったところを再びケルビムが支えてくれていた。

「……無理すんなよ」

気遣う言葉とは裏腹に表情は何かを抑えているかの様だ。
熱く、口から漏れる荒い息遣いだけが静寂に響く。もう泣きたかった。
ケルビムは、苦しそうにしていた自分を一度家に招き入れた親切な同級生だ。
それなのに自分は彼の家に来てまで、今にも爆発しそうな程に身体中に溜め込まれた熱を我慢し、体を揺らし、こんなにも苦しまなければいけないのか。
途端に涙が溢れ、目の前の景色が曖昧に滲む。
言い表せない虚しさと寂しさを覚え、自分では涙が堪え切れなくなっていた。

「……っう、っハァ…ホントに、ごめん、なさい……」

いっその事、ここから姿を消してしまいたかった。
ケルビムはそんな真紅を側でずっと見つめ、背中を撫でてくれていた。
ここまで同情されるなど、情けないにも程があった。
彼はずっと隣にいてくれた様だったが、泣いてしまった真紅を見て、ついに一つの言葉を発した。

「……俺が楽にしてやろうか」

夜魅 2016年03月20日 (日) 22時59分(3276)
タイトル:幽閉されし紅き熱情は番を結び合わせる7

※本番及び性描写が入ります。互いに合意の上ですが、結構激しいので苦手な方はブラウザバックを推奨します。

……それにしても、合意の上でって結構書くの難しいなぁ。

何時の間にか、真紅はケルビムの腕の中に抱かれていた。
腐れ縁、またはライバルとも言うべき相手の腕の中にいる状況など理解出来ないが、不思議と嫌では無かった。
暖かくて、心地良さすら感じる程に。

「今日、親は帰らねぇし弟も友達のところで泊まるってさ」

先程の言葉と今の彼の身内の報告で察した。
Ωの発情期を抑える方法など、二つしか無い事を真紅は知っていた。
一つは抑制剤を飲んで、強制的にそれを抑える事。
そして、もう一つはαの人間と体を重ね合わせる事。
現に今、Ωである自分の体はαであるケルビムの体を欲していて、今も部屋に向かう間に自分が彼の体に性的に反応を示している事が分かった。
カチャッと部屋のドアを開ける音が聞こえると同時に、景色と姿勢が変わった。
要するに彼の私物であろうベッドに押し倒された。

「今更だが、お前は男との経験あるか?」

無いと言わんばかりに首を横に振ると、相手は軽く笑って俺も無いよ、と答える。
大体、発情期にαとΩが抱き合っている事は同性同士でもあり得る事だし、"そういった関係"も意味する。
彼も自分の体に性的に反応してしまっているのだろう、と考え出せば体が先程より熱くなっていくのを感じる。
恥ずかしいのは不変の事実ではあったが、少し嬉しくもあった。
ふと彼と目が合った。
薄暗くした部屋の中で、始めは触れるだけの軽い口づけ。
次第に覆い被さる様にして、倒れ込んでいく。
たったそれだけだと言うのに真紅はビクッと細い肩を跳ねさせ、薄く目を開きケルビムの様子を窺った。

「……ぅん…ふっ」

熱い息が徐々に漏れ始める。
息苦しくなってたまらず口を開け、酸素を求めようとするが、ケルビムはそれを見逃さずに隙から熱い舌を絡める。
口の端から唾液が溢れ、顎を伝っていくと彼の熱い吐息が自分の顔にかかって、ついうっすらと目を開けてしまう。
その度に彼と目が合ってしまい、何とも言えない恥ずかしさが込み上げる。
しばらくすると、ふと思い出したかの様にケルビムは真紅の唇から口を離して、濡れたままの唇で妙に猫撫で声で訊ねた。

「なぁ、今ってどんな気分だ?」

気持ち良いか教えてくれよ、と耳元で囁くケルビムを前にして、呆然としていた真紅は戸惑いながらも首を縦に振ると、彼は笑っていた。
しかしその奥には優しさなんて見えず、瞳の奥に獣の様な鋭い眼光を隠しているかの様だった。
すると、真紅の制服に手を掛けてスッとボタンを全部外して、胸の突起物を弄り始める。

「ひぁ、ぅ……っぁあ!」

時々そこに爪を立てて引っ掻く様な愛撫にもどかしさを覚えながら、最初の口づけの様な震える声が素直な喘ぎに変わり始める。

「…っン……は、ッぅ…やぁっ」
「男にしちゃあ、綺麗な色してんな」

己にされるがままの真紅の姿に芽生え始めるのは、独占欲と征服欲。
真紅のフェロモンに当てられた事もあってか、ケルビムの体も熱気を帯び始め、着ていたYシャツを脱ぎ捨てる。
頭に心地良く響く甘い嬌声にケルビム自身の欲は固く熱を持って張り詰める。

「本番いくか? 今更やめろなんて聞かねぇけどな」

上半身を弄んでいた手を下半身に移動させ、自分とは異なる女性らしい腹筋に舌を這わせながらズボンへと手を掛けて下着ごと脱がし始めた。

「…マジかよ。Ωって男でも濡れるんだな」
「……っ見ないで、下さい…!」

驚いたかの様に自身の秘部を凝視するケルビムから目を逸らす。しかし、その隙をついて真紅の雄に舌を這わせ始めた。

「っ! ケルビム……ッ?!」

突然の行動に驚くが、巧みな舌遣いに脳が痺れる様な快感が下腹部を貫く。

「んぅ…っやだ、ぁ……そんな、とこ……」
「じゃあ、指でやった方が良かったか? 初めての割には強請るんだな」
「ちが……っ!」

雄は咥えられ、更に指が二本、秘部にあてがわれた。

「ひ…ぐぅ、んー……!」
「今更、堪えなくても良いんだぜ?」

こっちだって、限界近いし、と目を瞑りながら制服の襟を噛んで、声を抑える真紅にケルビムが言った。
彼は真紅の雄から口を離し、秘部に突っ込んだ指を抜くと一旦体を起こし上げ、体制を直す。

「ケルビム…」

そんなケルビムを切なげに見上げてくる真紅に対し、ドキッとしつつも平静を装いつつ呼吸を整えて言い放った。

「挿れるぞ」
「あ…っ!」

そっと腿を掴み上げ、脚を開かせる。
その間に割って入ると、張り詰めた自身をヒクつく真紅の秘部に押し当てた。
もう、お互い後に戻る気は無かった。

「つぅ…っ、あっ! すご…いィ!貴方、のが、はい…って、く…」

ケルビムに持ち上げられた脚をピクピクと震わせる真紅は、恍惚の表情で彼を見つめて逸らそうとしない。
脊髄から漏れ出る甘い痺れに、目尻から涙が浮かんでくる。
肉体的にも精神的にも、波を迎える様な至上の快楽に包まれながらケルビムの首に腕を回す。

「大丈夫か?」

優しく頬を撫で、僅かに目尻から溢れている涙を指で拭う。

「ん…大、丈夫、ですから…もっと、貴方ので、悦くして……」

涙を流してはいるが、悦んでもいる様な甘い声に目を潤ませ、ケルビムの胸に縋る真紅。
そんな彼のゾクッとする様な嬌態に理性を繋ぎ止めるのは、不可能だった。

「悪ぃ…加減出来ねぇかもしれねぇ」

掠れる様な声で静かに言い放つと、いきなり真紅の細い腰を掴み激しく自身を突き上げた。

「っ!? あっ、いきなり、そんな…っ!」

繰り返し訪れる強く波打つ様な衝動にただ口から快感に酔い痴れる真紅を前にケルビムはそんな相手の全てを求め、何度も己の欲望を打ち付けた。

「ひあっ…!や、ぁん…」
「ヤベェ…っ、絡みついてくる」

しっとりと汗ばみ、艶を帯びる肌と恍惚に満ちた表情が視界を、卑猥な水音と嬌声が聴覚を刺激し、あまりの快楽に互いの脳は霞みひたすら本能のままに欲を貪る。

「ふ、ぁあ…っん、ケル、ビム…もぅ、や…イクっ!」
「…俺も、限界…っ」
「んぁ…あ、やぁぁあっ!!」

熱と悦楽に包まれ、最高頂まで張り詰めた互いの欲から放たれた精が外気に曝され、ケルビムのものは真紅の中に注がれた。
途端に脱力し、余韻に浸る体を未だ重ねたまま静かに息を整える二人。

「はぁ……ケルビム…」
「…真紅」

髪に指を通すと、心地良さそうに静かに目を閉じる。
その声も仕草も全てが愛しくて堪らない。

「なぁ、真紅。俺と番にならないか?」
「……いきなり、どうしたんですか?」
「番になれば、お前は発情期に悩まされる心配だって無い。もう、他のαを惹き付ける事だって無い。それに、お前の事……」


「好きなんだよ」

告白。
やや順番が違っている気もするが、この大胆な言葉に言われた真紅と言ったケルビムはしばらく押し黙るが、沈黙を開いたのはケルビムだった。

「…真紅、何か言えよ」
「すいません、頭真っ白で……」

一瞬、何言われたのか分かりませんでした、と付け足す真紅だが、ケルビムはストレート過ぎる自分の告白に頬を紅潮させた。

「何か言えよ、何でも良いから! 恥ずかしくて死にそうだ!!」
「いきなりなんて、卑怯だ。わ、私だって何言って良い、か……」
「…………」
「こっち向いて…」

真紅は再びケルビムの首に手を回すと、こちらに引き寄せる様にした。

「ん…っ」

突然、引っ張られたケルビムは驚いたが、真紅の行動に何も言わずに受け入れる。
ただ進んで行く時を止める様に重ねられた互いの唇は離れなかった。

今、幽閉されし紅き熱情は解き放たれ、運命(つがい)を結び始める。

夜魅 2016年03月21日 (月) 04時02分(3277)
タイトル:迫りくる危ない痴漢(モブ)にご用心?

※おふざけ全開の下品なモブ攻めギャグ。性描写は無いですが、キャラクター(特にアッシュ)がド直球な事を平然と言っているので、生理的に受け付けない方はブラウザバック推奨。
ケルビム×真紅、アッシュ×フェニックスが全員人間で同居してます。

……何気にアッシュが精神的にダメージを受けている珍しい作品です。それとジニアの一言は作者の先輩の友人の実話です。

「露出魔に遭遇した…ですって?」
「あぁ」

驚きのあまり椅子から立ち上がる勢いでテーブルに身を乗り出した銀髪の美青年アッシュの目の前にいたのは、端整な顔立ちと炎の様な赤い髪が目を引くフェニックスは"露出魔"と言う話題の提示者である。
その終始は勿論、テーブルに向かい合い同席していたケルビムと真紅にも伝わっている。
ケルビムは銀髪碧眼のクールなイケメンで、真紅は金髪赤眼の華やかな美形である。
今の時間は、夕食時を示している。
二人共、アッシュの様に驚きはしなかったものの、ケルビムは一度口に入れた唐揚げを飲み込むと、箸をテーブルに置き、真紅は自身の外見に不釣り合いな程の渋い湯呑みに入った緑茶を一口含むと、ケルビムと同じくテーブルに置く。

「…食事時にするには、随分と下世話な話ですね」

この中で一番下ネタの類を嫌う真紅がアッシュの驚き様に少し良いとは言えない反応を示す。

「露出魔ってアレだろ? 夜道で女に下半身晒して悦ぶ変態の事だよな?」
「そうだ、"女性"にな。それも若い女性を狙うのが、普通の筈なんだが……」

要は見せに行く痴漢だろ、とばかりに吐き捨てる様に疑問を投げかけるケルビムに対し、その痴漢の被害に遭ったフェニックスが何故自分が狙われたんだ? とばかりに首を傾げる。

「以前読んだ本では、露出魔は冬の風物詩…と書いてありました」
「どんな本を読んだんですか? それにしても、物騒ですね」

アッシュの読んだ本の出生は気になるところだが、今は横に置いておくとしよう。
何故男性である筈のフェニックスが被害に遭ったのかが問題だ。
暗い夜道でも、男性か女性かなどパッと見のシルエットで分かる筈だ。
フェニックス自身も何故自分が? と、あまりの出来事に唖然としている間に隙をついて逃げられたらしい。

「自ら裸体を晒す事を示す性的倒錯者の上に、同性愛者と来ましたか…中々に業が深いですね」
「人の言える立場かお前?」

私以上の変態を見た、と呟くアッシュに対し、シンプルなツッコミを入れる。
露出魔では無いが、アッシュもこの中性的な外見とは裏腹に筋金入りの同性愛者だ。
そして、超弩級のサディストでもあり、高校生の頃はヤンキーのグループを裏から操って事実上、支配していたと言われる程だ。

「同性愛者ならまだしも、変態は……」
「ここにいる全員、同性愛者だしな」

本編ではアッシュのみだが、この話ではそれぞれ相手がいる為に同性愛者となってしまっている。

「で、その犯人だが、犯行が悪化しない内に早めに捕まえて、警察に突き出した方が良いんじゃねぇか?」
「それより、フェニックス。貴方を襲った露出魔は勃◯してましたか?」
「一番、どうでも良いでしょう…」

真面目に露出魔の対策を提示するケルビムとが裏腹におふざけ全開であるアッシュに真紅が聞きたくも無かった言葉を前にドン引きの姿勢を見せる。

「言われてみれば、勃ってた気が……」
「…何ですって?」

その言葉に怒りを露にするアッシュ。手元からは彼愛用の箸が無惨にも圧し折れる音がした。

「許さん…! 何処のお粗末な肉塊ぶら下げた野郎かは知らねぇが、見つけたらタダじゃ済ませねぇ……」
「手入れはしっかりしていたぞ。あと、お前よりデカかった」
「うわ、今の言葉でアッシュが灰になってる」

肝の据わっていたフェニックスに驚きはしないが、最後の一言にアッシュは一瞬で精神的に沈んでしまったが、特に気にしない。

「しかし、この辺も治安悪くなったもんだな」
「明日から、気を付けて行って下さいね?」
「心配し過ぎだぞ。流石に二度は無いだろう」
「何を仰いますか! 悪質な男ならストーカーになる可能性だって高いんですよ! 油断しないで下さい! そのうちセクハラ染みた留守電を残したり、下着や使用済みのバスタオルとか盗み始めるかもしれません!」
「それは付き合う前のお前に全部されたから、慣れている」

アッシュとフェニックスが今の様な関係になれたのかは定かではないが、一人興奮するアッシュを汚物を見るかの様な目で軽蔑するフェニックスの姿から、ロクでも無い事だろうと察してかケルビムと真紅は追及するのをやめた。

「それにしても、見せられたのが私で良かった……」

そう、男性と女性では精神的なダメージが比べ物にならない。
自分が犠牲になり、その代わりに世のか弱い女性が一人でも減ったのなら良いとフェニックスは考えたが、ケルビムの異性の友人であるジニアは逸物を見せた犯人を前にし、"ちっせぇ"と言う一言だけ残し、男を撃沈させた事があるので全ての女性がか弱いとは言い切れない。

と言う出来事があったのが、一週間前。

あの時と同じリビングで寛ぐアッシュ、ケルビム、フェニックスは露出魔の事などすっかり忘れて談笑している。
日も暮れて空に残るオレンジがあと僅かとなったところに玄関の扉が開き、三人がそちらに意識を向けた。

「……ただいま…」

帰って来たのは食料の買い出しに出掛けていた真紅。
外見に似合わず、非常に重そうな大量の袋を軽々とテーブルに乗せる姿は頼もしいが、声に元気は無く顔色も悪い。
そんな恋人の様子に真っ先に気付いたケルビムが駆け寄り、顔色を窺う。

「おい、何かあったのか? 具合でも悪いんじゃないのか?」
「ケルビム…」

アッシュとフェニックスも少し離れた場所から二人の様子を見守っていた。
目に見えて落ち込み何かをぐっと堪えた、下手をすれば泣き出しそうな表情の真紅にますます心配が募るのだが、こうして見ると女性にしか見えない、とアッシュが口には出さないが、そう思っていた。

「話してみろよ、な?」
「……それが…」

肩を抱きながら寛容に接するケルビムに安心感を取り戻したのか、固く結ばれていた彼の口元が開いた。

「今…帰り道で……」
「帰り道で何があった?」
「私も遭ったんです。その…露出魔に……」

「何…だと……?!」
「BLEACHネタですか?」

小さく紡がれた驚愕の事実に言葉を詰まらせたケルビム。
親しい友人でもあり、先輩でもあるフェニックスに続き、恋人までもが変態の毒牙に掛かる思っていなかったケルビムは、途端に犯人の男と恋人を守れなかった自身に対する怒りが湧き上がる。

「勃◯してましたか?」
「黙れ。まず犯人より先に貴様を警察に突き出すぞ」

自分に飽き足らず、真紅にまで犯人の下半身事情を聞き出そうとする改造ライターを構えながら、鬼神の様な形相でフェニックスが脅しをかける。
しかし、真紅が言い辛そうに口を濁した後、顔を赤くしながら涙目で呟く様に答えた。

「……してました」
「ぶっ殺す」
「落ち着けケルビム! 殺すのは道徳的にアウトだ!」

一瞬にして、親友を殺された一人の戦闘民族が怒りで金髪に覚醒した様な殺気を全身に纏うケルビムをすかさずフェニックスが押え込む。
一方、尋問したアッシュは満足そうによく言えました、と言わんばかりに真紅の頭を撫でていたが、その様子を見たケルビムに血祭りに上げられた。

「安心しな。命は奪わねぇよ……ただ男としての機能を永久的に止めてやるだけだ」

目に見えぬ速さでシュッとシャドーボクシングの様なジェスチャーをしながら、右ストレートでブッ潰す、真っ直ぐ行ってブッ殺す、と霊界探偵がチンピラに死刑宣告を告げる様なケルビムの姿にその場の全員が恐怖に慄いた。

「貴方…自分にも同じモノが付いているのに、よくそんな事が言えますね」
「一緒にすんじゃねぇ! 奴のは腐ったナマコ以下の汚ぇ肉塊…俺のは神々しい聖剣エクスカリバーだ!!」
「待て、どれだけ自分の逸物に自身があるんだケルビム」
「そりゃ昨日、真紅の中で鍛えられて清められたからに決まってんだろ」
「「……えっ」」

アッシュとフェニックスは真紅の方を見ると、純情な女性が裸の姿を覗かれた様に顔を赤くしていた。
と、そんな出来事があったのが三日前。

「遅いですね……夕方には帰ると言っていたのに」
「アイツは研究を始めると、夢中になってしまうからな」
「もしかしたら、露出魔に遭ってたりしてな」
「だとしたら、命知らずにも程がありますよ」

朝から科学者の面々と研究に出掛けたアッシュの帰りを待ちながら、まったりと寛いで真紅の注ぐ紅茶を飲む三人。
露出魔の件は記憶も真新しい事件だが、冗談交じりに会話の中に出せる様になっていた。
その時、噂をすれば何とやらで研究を終えたアッシュが資料と豪華な包装に包まれたお菓子を持って帰宅した。

「遅かったな、おかえり」
「随分と遅かったじゃねぇか」
「…はい…ご迷惑をお掛けしました……」
「…え」

全員が揃った事で賑やかにアッシュを迎え入れた面々だったが、アッシュの予想外のローテンションな反応に思わず拍子抜けした。
基本的にこのメンバーの中では"奇人"とも言える彼だが、そんな人物が大人しく椅子に腰掛ける姿はある意味不気味である。

「ハァ…」
「おい、心なしか白衣が乱れてるぜ?」
「何か争い事にでも巻き込まれたのか?」
「……アッシュ」

ケルビムとフェニックスが話しているのを余所に、真紅は冷静に彼の様子を見てある一つの懸念…いや確信を持ってそっと話し掛ける。

「まさかとは思いますが、貴方も…」
「私も遭いました…露出魔に……」
「「嘘だッ!!!」」

アッシュの衝撃の告白にケルビムとフェニックスが隠し切れない驚愕の叫びを発した。

「意外とダメージ喰らうんですね……その…」

今まで露出魔関連の話題に関しては、面白半分で首を突っ込んで自分の被害に遭ったフェニックスと真紅にセクハラ染みた質問をしてきたアッシュ。
しかし、世の乙女達並びにフェニックスと真紅の傷心を甘く考えていました、と反省する。

「まず、腕を掴まれた時は流石に焦りましたね…それに、白衣を脱がされそうにもなりましたし、服の中に手を入れられましたから…」

妙に生暖かくて気持ち悪かった、と若干涙目で語るアッシュを前にフェニックスは背中を擦っていた。

「にしても、節操無ぇな。犯人の奴…フェニックスみたいな男らしいのが好みかと思えば、真紅やアッシュみたいな女っぽいのもイケるなんてな」

ストライクゾーンの広い犯人に対して、ある意味凄いな、と感心するケルビムだが、仲間の視線がこちらに向いているのに気付いた。

「…何だよ?」
「ここまで来ると、いよいよ見過ごせなくなってきたな、と思わないか?」
「そりゃ当然だろ」
「いい加減、冗談で済まされないレベルだと思いませんか?」
「正直、真紅が毒牙に掛かってる時点でヤバいとは思ってた」
「この流れだと、次は貴方が危ないかもしれませんよ…?」

「…上等だ」

続けざまに仲間が被害に遭い、曲がった事は許せない性格のケルビムが黙っていられる筈も無く、何時の間にか持っていた木刀を肩に担いで静かに立ち上がる。

「犯人は俺が警察に突き出す前にボコボコにしてやる…お前等の仇は俺が取ってやる」
「「「勝手に殺すな」」」

滾る怒りにケルビムは仲間のツッコミを無視し、勢いつくまま宛ても無く左手の人差し指と中指で握り拳を作り、合鍵を持っているが、この武器はボールペン、三角定規でも応用が効く。
本編でも至る部位に武器を忍ばせているケルビムのこの発想には驚くばかりだ。
良い大人の皆さんは決して真似をしない様に。

「…大丈夫でしょうか」

そして、数十分後。

ケルビムが出て行ってから大人しく待っていた三人だが、中々戻ってこないケルビムを探しに行こうかと考え始めた頃、ピンポーンと玄関のチャイムが鳴った。
ケルビムならチャイムなど鳴らさずに入って来るから、客人だろうと真紅は玄関に出向かい、そっと扉を開ける。

「はい」
「こんばんは、夜分遅くにすいません。警察です」
「えっ?」

そこにいたのは、堅苦しい制服を着て長い金髪を一つに結び、品のある凛々しい雰囲気の赤い警棒を持った女性警察官。
今までにない来客にアッシュとフェニックスも玄関先に寄って来る。

「よう、帰ったぜ」

その女性の後ろで軽く手を振り、家の中に入るケルビム。

「事情を説明します。お宅のケルビムさんが暴漢に木刀で殴り掛かってるところをパトロール中の警官が発見しまして…」
「暴漢と言うのは、例の露出魔か?」
「はい。取り押さえて事情聴取をしたところ、余罪が出てきました。同性ばかりを狙った衣服の窃盗や公然猥褻、強◯未遂で犯人はその場で現行犯逮捕しました。ケルビムさんには感謝していますよ。木刀で殴り掛かった時には驚きましたけどね。後は法が裁いてくれるでしょう」

なので、もう安心して下さい、と爽やかな笑顔で女性の警察官は礼儀正しくお辞儀をして去っていった。
と思っていたが、ケルビムに向き直り真剣な表情で告げる。

「ですが、今後は気を付けて下さい。むき出しのままの木刀を持ち歩いていた場合、軽犯罪法や迷惑行為防止条例に接触する可能性がありますので」
「あっ、はい気を付けます…」

先程の威勢はどうしたのか、と尋ねたくなる程にケルビムは素直にすいません、と頭を下げる。
他の三人は何があったのかは分からないが、何も知らない第三者が木刀で人に殴り掛かるのを目にすれば、きっと勘違いしてしまうだろうと考えた。
一歩、間違えれば自分が警察の世話になっていただろう、とケルビムは深く反省し、木刀を物置部屋にそっとしまったのであった。

夜魅 2016年03月21日 (月) 19時16分(3279)
タイトル:蜜月の雫はそっと陽だまりに包み込まれる

※"蜜月(みつげつ)って何かエロい響きなので、今回のタイトルに使用しました。
まぁ、それを抜きにしてもオメガバースと言う題材がエロ要素満載なので今更ですが、リハビリも兼ねて書きたいと思います。

……かなり強引にまとめつつ、予定よりも長くなってしまいました。本当はもう少し鬼畜な感じでした。

『蜜月の雫はそっと陽だまりに包み込まれる』

あいつの身体はまるで媚薬だ。

一度、その身体に触れれば俺が俺じゃ無くなる様な…そんな錯覚を覚える程に尽きる事の無い欲望が俺を嘲笑うかの様に支配する。

傷付けない様に優しく触れようとは思っているが、透き通る様な素肌に触れた途端、そんな理性は掻き消える。

俺の中の荒ぶる本能が覚醒し、獣の様に乱暴に扱ってしまう。

そして、意識を失った真紅の顔を見る度に俺は行き場の無い喪失感に駆られているのだった。

「ケ、ケルビム…少し、休ませて下さい…っ」

既に何度も交わり欲望を精を吐き出した真紅は肩で呼吸をしながら、背後から覆い被さるケルビムに制止を訴えた。

「まだだな。こんなんじゃ、足りねぇよ」

しかし、切実な真紅の訴えは聞き入れてはもらえず、ケルビムは彼の首筋に舌を這わせた。

「ひ、ぁっ…や、やめ…っ!」

大した事の無い刺激にさえも、敏感になり過ぎた身体は浅ましくも反応してしまう。
身を捩じるも四つん這いの姿勢をさせられ、背後から覆われて腰を掴まれては抵抗する事も敵わない。

「おい、逃げてんじゃねぇよ。お前だって気持ち良いんだろ? こんなに濡れてるんだぜ」
「ち、ちが…っ!」

真紅に覆い被さるケルビムの固く張り詰めた代物は挿入されておらず、彼の股の間、同じく男性の証拠であるそれに擦り付ける様に緩く腰を動かしている。後孔からは幾度も中へと吐き出したケルビムの白濁の液が流れ出し、滴るそれが互いの**を濡らし、卑猥な水音を立てている。
真紅は羞恥に頬を染め、黙秘したままだが、震える秘部は反応を示し欲望の蜜を零している。

「なぁ、どうして欲しい?」
「あっ、や…は、ぁあ……」

自分の中に指を入れて、好き勝手に動かし弄るケルビムに翻弄される真紅。
自分の番相手でαである男は、こうして自分の口から発せられる淫らな言葉を強要してくる事があった。
一刻も早く解放して欲しいのに、許されない。
まるで自分から、理性とプライドを全て剥ぎ取るまでは解放しないとばかりに責め立てる。
何時からかは分からないが、初めて体を重ねた時に比べて情事の際の態度が明らかに嗜虐的且つ攻撃的になってきている。
時に自分から強請らせるまで、こうして焦らして、羞恥と期待に苛まれながらアレが欲しいと涙ながらに強請る自分を見て、満足した様な表情を浮かべる恋人の顔を蕩けそうになる脳で思い出していた。
良い意味でも悪い意味でもαはΩを縛り付けると言うが、そんな事をしなくても自分はあの時体を交えた時からずっと貴方と添い遂げると決心した。
汗ばんだ身体で互いを求め合い、摩擦しそうな程の熱に私はこんなに心地良い体温と快楽に歓喜した事があっただろうか? と自問した。
初めてのあの日、まず口付けをして、次第に舌を絡め合う際に目が合った時の恥ずかしさと言ったら無かったが、あの涼しげな空色の瞳が自分を見る時は欲望を灯していて、それに見つめられると抵抗すらままならなかった。

「知ってるか? お前が後ろからこうされるの弱いって」
「は、あぅぁ、も、そこ…っ、良いから、ぅぁ、嫌だ…っ!」

耳朶を甘噛みし、背骨に沿って指を這わせる。途端に腕の中に抱かれる肢体は震えて嬌声を上げる。
正確に言うと、このままのもどかしい状況が続いているのが嫌だった。下腹部に疼く熱は未だにそこに留まっていて、引く様子は無い。

「言えよ…俺にどうして欲しい?」
「っは、挿れて…ケルビム…」

感じすぎてしまう身体は、既に限界だった。この熱をどうにかして欲しかった。真紅は震える手でそこを開いた。腰を高く上げ、誘う様に蜜口を見せる真紅の姿は、酷く淫靡でケルビムの理性も飛びそうになっていた。

「奥まで、突いて…滅茶苦茶にして…」
「…上出来だ」

自分を労う様な言葉の後、待ち侘びてきた熱が押し入って来た。

「あっ、ああっ! 良ぃ…そこ、もっと、奥ぅ…んぅ!」

突かれる度に内壁もとい中が熱く蠢いて、巧みなまでに男根を咥え込み、腰を振り乱れる姿は酷く妖艶で、まるで抱かれる為だけの疑似性交用の人形の様だった。

「凄ぇな…。そんなに締め付けてさ…なぁ、俺以外の前であんな態度取るなよ?」
「そんな、事、んっ、する訳…ない、でしょう…!」

――貴方以外に、抱かれたくないのだから。

こんな自分の淫らな姿だって、見せているのは全て恋人の為だけだ。
…そう、あの日に番を結んだ相手だけ。今、自分を手荒に抱く銀髪の男だけだ。

「そうか…」

突然、腰を掴んでいた片方の手を離し、真紅の指に絡める様にして倒れ込み、顔を彼の耳元へと近付ける。

「愛してる」

不意に耳元で熱く囁かれ、ギリギリまで追い詰められていた真紅の身体はビクッと震え、熱が爆ぜた。

「…ぅ、あぁっ、は、ケルビム……」

ビクビクと痙攣し、絶頂の余韻に浸っている身体を数回激しく突き上げられたかと思うと、最奥に熱くドロリとした液体が注がれるのを感じた。

「…大分、長い事やってたな…」
「だから、休ませて下さいと言ったんですよ…!」

そのまま自身を引き抜いて真紅の横に並ぶケルビムに対し、数十分前の制止を無視された真紅が呼吸を整えながらやや怒りを滲ませた声色で言った。

「無理させちまったのは謝るけどよ、お前だって何だかんだノリノリだっただろ? あんなにエロく強請ってさ」
「ア、アレは…! ああでもしないと、解放してくれなかったでしょう…」
「だろうな。まぁ、悪かったって。とにかくシャワー浴びるか。そのまんまじゃ、汗ばんで気持ち悪いだろ?」
「あ、ちょっと…!」

腕を引っ張られ、浴室へと向かっていくケルビムと真紅。
シャワーを浴びるだけなのに、何処か二人の間には良い雰囲気が漂っていて事後の処理と言う事を忘れさせた。
汗ばんだ後のシャワーの気持ち良さは格別で、水を全身で貪り食う様な感じだった。
シャワーが滝の様に湯を撒き散らし、希望を与えてくれるかの様な温かい湯が胸の内に広がっていく。
他愛ない会話がとてつもなく、愛しく感じる。
色々な障壁がこれからもあるだろう。
でも、運命の番として死に遂げるまで陽だまりの様な愛情を最後まで感じていたい。
…そう、一筋の涙をそっと包み込む様に。

夜魅 2016年08月28日 (日) 08時54分(3314)


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