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タイトル:全能神2 カテゴリー未分類、その他

ちょっと長いので、2を創っちゃいました。
「全能神」の方はまだ作成中です(←だめじゃん)
とりあえず見てください

カイ 2009年05月12日 (火) 21時25分(678)
 
タイトル:『予告』

始まりから終わりがあるように、

終わりから始まりがある。

『ようこそ、べジータ!!我らの世界、全能神界へ!!』

全てはここから始まった。

一人を『太陽』と呼ぶのなら、もう一人は『月』。

『俺は破壊神。貴様は全能神。正反対だろうが!!』

まるでコインの表と裏。それでも、お互い信じあっていた。

『人一人殺したことが無い破壊神ってなんだかなあ・・・』

『はは。そう思うか?』

二人の神の出会いで、同じだということがあった。

それは、二人とも同じ半身がいたこと。

一人は、『孤独』から生まれた全能神の半身。

一人は、『拒絶』から生まれた破壊神の半身。

同じ半身達も笑っていたあの日。

自分達の子供達も笑っていたあの日。幸せだったあの頃。

それが・・・・



音を立てて崩れ始める・・・


『どうしてこんなことに?!』

全てが壊れる音がした。誰も予想はしてなかった。

『カカロット・・いや全能神。さらばだ・・・一族の恥を知れ!!』

『兄ちゃん・・・もう、戻れないんだな・・』

全能神の心が壊れた・・・全能神から笑顔が消えた・・

『俺達は所詮、破壊神と全能神。相容れぬことは・・・ない・・』

破壊神は『魂』を売った・・・引き換えに彼は何を得た?

『べジータ。オラ達、どこで路を間違えたんだ?』

全能神の『心』は壊れた・・・代償は大きかった。

『逃げて、父さん!!』

叫ぶ声。止まらない戦い、殺し合い。流れる血・・・

『ごめんな、悟飯。悟天。オラのせいで・・・』

我が子を抱く手はどんどん冷たくなっていく。

『決着を・・・着けようぜ。べジータ。』

『殺してやる、カカロット!!』

運命を賭けて、この世界を賭けて、二人の神がぶつかる。

そして・・・


『ごめんな・・・べジータ。』
頬を流れる、涙。初めて彼が泣いた。

『何故貴方様が死ななければならない!!悪いのは、あいつらです!!』
彼を想う、一匹の龍。

『あいつらをあんなふうにしたのが、オラなら・・
オラが責任を取らねばならない・・・』

それは一人の神の選択。この世界のために、全てを捧げた彼の選択。

『ありがとう、神龍。ごめんな、オラのせいで。
ドラゴンボールを頼む。神龍。』

『主様・・・』

彼は初めて涙を流した。でも、彼は笑っていた。

『ごめん・・・そしてありがとう・・・』

それが彼の最後の言葉。それが彼の最後の笑顔。

『うわああああああああーーーーー!!!!』

泣き叫ぶ声。それに答えるように、雷鳴が走る。

遺された者は・・・何を想う?

全てはここから始まった。
一人の神の死から・・・全てが崩れた。

『これで、全てが変わる・・・これで、全てが終わる・・・』

遥か昔。天使の羽を持った『全能神』という神がいた。
彼の死が、全てを変えた。彼の死で、全てが始まった。



カイ 2009年05月12日 (火) 23時19分(679)
タイトル:始まり

長らくお待たせしてごめんなさい・・(謝罪)




今、扉が開かれる・・・


悟空は全能神界を少し歩いた後、眼を瞑る。そして気を集中させた。
「・・・・・・・・・・」


しばらくして悟空は目をカッと開け、右腕で防御の体制をする。
すると、防御すると同時に悟空の腕に拳が当たった。攻撃した相手は、悟空の半身のカカことカカロットだった。攻撃した瞬間、防御されたのでカカロットは舌打ちして離れると、気孔弾を数発放つ。悟空は気孔弾を放つ瞬間、姿を消し、カカロットの前に現れ、カカロットに奇声を発しながらパンチとキックを連続する。カカロットは紙一重でかわしながら、悟空に気孔破を放つが、また悟空が消え、舌打ちする。
悟空は一瞬でカカロットの後ろに現れると、カカロット同様、気孔破を放った。

煙と共に見えなくなったカカロットを探すと、今度は自分の背後に気を感じ、振り向くとと同時に防御の構えをする。構えをした瞬間、悟空のクロスした腕に別の拳が当たる。
それはカカロットと同じ悟空の半身のサンであった。

サンの攻撃を受け止めた後、悟空はサンに攻撃する。
すると今度は悟空の半身のスーが現れ、悟空に攻撃する。

サンとスーの攻撃に悟空は攻撃を避けたり、反撃したりしながら繰り返していた。

すると、


「おーーい!飯だぞ!!」

メシと単語に三人は同時に攻撃が止まった。

カイ 2009年06月04日 (木) 20時31分(732)
タイトル:門を叩く者

ガツガツガツ!!
大量にいくつもの皿にあった料理がまるで掃除機のように消えていくのを見ながら、一緒にテーブルに座っていたウーブは固まっていた。
「ウーブ、見てないでさっさと食った方がいいぜ。
じゃねえと、悟空に全部食われちまうぜ。」
固まっているウーブを見ながら、スーが悟空と同じくらい料理を食べながら言うと、ウーブははっとして箸を進めた。

「悟空の半身なのに、悟空のスピードに追いつけないなんて・・」
サンが悟空の食べていくスピードを見ながら呆れにも似た顔で呟く。その肩をカカロットが叩いて口を開く。
「まあ、ずっと俺達の『神』は三日も寝てたんだ。力も腹も減るのはわかるだろう?」
カカロットの言葉に今度はスーが口を開く。
「だけどよ。目覚めた途端、
『組み手するぞーー!!』だぜ?何があったかは神龍から聞いたけど、二対一の組み手は初めてじゃねえか?」
「それほどまでに、悟空がワクワクしてるってことだ。
どうやら破壊神って奴は、俺達の『神』に『戦いの火』を付けちまったみたいだ。」
そうだろ?とカカロットが食べるのに夢中になっている悟空に尋ねると、悟空は口に食べ物をいっぱい詰め込みながら、ニッと笑う。
そして食べ物を飲み込むと、口を開いた。

「久しぶりにワクワクしそうなんだ。ウーブがこの全能神界の門を叩いた時みたいに。」
「え?」
いきなり自分の名前を出されたウーブは思わず箸を下に落としてしまった。
「どういうことですか?師匠。」
ウーブが不思議そうに尋ねると、悟空はにこりと笑う。

「お前が来た時な、随分強い気を感じたんだ。
そして初めてだったんだ。自分の意志で『強くなりたい』ってこの全能神界の門を叩いた奴は・・・」
悟空はウーブの頭を撫でながら言うと、ウーブは少し顔が赤くなった。



「自ら進んでこの全能神界の門を叩く奴はいない・・
いつも使いで来るか、誰かに言われてくるか、その程度さ。でも、ウーブ。おめえは、自ら進んでここに来た。そういう奴って初めてだからな。」
「そうなんですか・・・」
悟空の言葉を聞いてウーブは悟空の目を見つめていた。

「それに・・・」

ドゴーーーン!!!!!

「「「「「!!!!!!!」」」」」

カイ 2009年06月07日 (日) 00時02分(737)
タイトル:再会

「何だ、今の音は?!!」
神龍が思わず立ち上がって壁にかけてある刀に手を伸ばす。ウーブは今までに感じたことのない気を感じて、悟空を見るが悟空は誰か分かったようで平然としていた。
「来たみたいだな・・・」
悟空は呟いた後、立ち上がって口の周りを拭いた。悟空が立ち上がると同時に悟空の半身達も立ち上がった。
「師匠・・・」
「心配すんな、ウーブ。たぶんお前と同じ、『この全能神界の門を始めて叩いた者』だ。」
「え?」
ウーブは悟空の言っている意味がよくわからなかった。
自分と同じ?どういうことなのだろう?
悟飯と悟天が震えながら悟空の服を掴んで悟空を見上げると、悟空は優しく笑って安心させるように頭を撫でる。
「主様・・?」
「神龍。おめえも来るか?たぶん、おめえも会ったことがある奴だと思うぞ。」
悟空が尋ねると、神龍ははい、勿論ですと頷く。
「ウーブ、わりいけど悟飯と悟天を頼む。」
悟飯と悟天をウーブに頼んだ後、悟空は白いフードを被った。



「一体、誰なんですか?主様。」
「行って見りゃ、わかるって。」
悟空がフードの下からワクワクしているのを見て、神龍は首をかしげる。
「しかし、主様。『結界』を壊してまで来た者ですよ。
今日は門番も休みですから、ハイセキュリティシステムが発動してるし、それまで壊されたら・・・」
「ちょっと待て。神龍。」
「何ですか?」
「ハイセキュリティシステム???!!」
聞き覚えの無い言葉を聞いて悟空は思わず神龍を見た。
「はい、門番が休みの時などはそれを『結界』の後に発動するように仕掛けました。」
「え?!!!」
悟空は思わず声を上げた。
すると・・・



ドゴーーーン!!!


すごい音がして音の方を向くと、煙が上がっていた。
「ハイセキュリティシステムまでも壊すとは・・・!!」




ー全能神界の門前ー
「さすが、全能神界だな。『結界』の後におかしなものまで作るとはな・・」
神龍が創ったであろうハイセキュリティシステムを壊した男は、全能神界の門を見上げた。
聳え立つように建っている門は、まるで自分を見下しているようだ。
男はそれにイラっときたのか、聳え立つ門を破壊しようと手を出す。
手から光線を出し、門に当たると門は重い音を立てながら開き始めた。
男は門が開いても、ずっと手を向けたままであった。

「ここに、全能神のカカロットが・・・」


門が完全に開いたと同時に男は手を下ろし、構える。

すると目の前に煙に包まれて人の影が見えた。男は目を鋭くさせる。


「よくここまで来たな。」
煙が晴れていき、人の影が露になっていく。

「ようこそ、べジータ。我らの世界、『全能神界』へ。」
白いフードを被った悟空はべジータに手を差し伸べた。

カイ 2009年06月07日 (日) 21時57分(745)
タイトル:再会2

「ようこそ、べジータ。我らの世界、『全能神界』へ。」
その男は、聞き覚えのある馬鹿みたいに高い声で俺に手を差し伸べた。


「お前が全能神・カカロットか・・・」
黒い衣に身を包んだ男ーべジータは警戒心バリバリの目で悟空を見た。
「何だ、悟空。お前が本名名乗るなんて滅多に無いのにな。」
悟空の半身であり、悟空の本名を使っているカカロットが呟くと、悟空はフード越しに笑った。

「ウーブに続いてこれで三人目だな。この全能神界の門を叩いたのは・・」
悟空の半身のサンが呟くと、スーがべジータを見ながらにやりと笑う。
「なるほどな、悟空が言っていた『破壊神・べジータ』。どうやら、間違いじゃなかったみてえだな。」


ビュッ!!!
「「!!!」」
スーが呟くと同時に悟空の横を誰かが通過し、前からも殺気じみた気が向かってきた。


ガキン!!!
音と共に火花が散り、悟空の目の前に刀と剣が現れる。
刀と剣を見るとどうやら悟空に向かってきたべジータの剣を神龍が刀で防いだらしい。
「この全能神界に無断で侵入したばかりか、全能神様に刃を向けるとは、何たる無礼!!」
神龍は刀で剣を押し返した後、刀を持ち直して構える。
「今、ここで斬り失せてくれる!!」
神龍は地面を蹴ってべジータに向かっていくと、べジータも黒い剣を持って構えた。

「やめろ、神龍。」
フードを靡かせながら悟空が神龍の前に現れ、手で制す。
神龍は悟空を見た途端、慌てて刀を引っ込める。
「こいつの狙いは、全能神であるオラだ。おめえに、余計な傷を付けさせるわけにはいかねえ。」
悟空の気遣いでもある言葉に神龍はしかしと言うが、悟空のフードから覗く目を見て刀を鞘に収め、頭を下げる。
「畏まりました。先程のご無礼、お許しください。」


「おめえ、よくここまで来たな。この全能神界に自らくる者は、おめえで三人目だぞ。」
悟空が言うと、べジータは懐から白い羽を取り出した。
「貴様が落としていったこの羽を調べて、ここまで来たのだ。」
べジータが持っていたのは、どうやら悟空の羽らしかった。
「この羽は調べてみると、『全能神』の羽だという事が分かった。そこで全能神がいる全能神界を繋ぐ空間を作ったんだ。」
べジータの説明に悟空はなるほどという顔をして、自分も懐から黒い羽を取り出す。
「気でも分かったけど、『この羽』の持ち主がこんなに早く来るとは思わなかったな。」
悟空が持っていたのは、どうやらべジータの羽らしい。

「お前があのバーダックの息子であり、数々の星などを作った全能神のカカロットだな!!」
バーダックとカカロットという言葉を聞いて、悟空はぴくりと反応した。

カイ 2009年06月08日 (月) 23時23分(747)
タイトル:べジータが来る前・・

「何でそれを知ってんだ?」
まさかバーダックの名前が出てくるとは予想もしなかった悟空が尋ねるとべジータはにやりと笑って話し始める。


全能神である悟空との戦いの後、べジータは闘神界(後の惑星べジータ)で治療を受けていた。べジータの傷は悟空と同様、思ったよりひどく、メディカルマシーンで治療を受けても、五日もかかってしまった。
やっと治療が終った後、べジータは自分と戦った全能神の居場所を突き止めようといろいろ調べてみたが、どこを探しても見つからず、自分が全能神と戦った場所であるライト星を探してみたが、どうやら自分が去った後、何らかの方法で全能神が見つからないようなことをしたらしく、ライト星はどんなに探しても見つからなかった。

『くそ、全能神の奴め・・・!!』
『べジータ様。』
イライラしながら廊下を歩いていたべジータを治療班が声をかけた。
『何だ?』
『貴方様のボロボロになった衣服から奇妙なものを発見しました。』
『奇妙なもの?』

べジータは治療班に言われるまま行ってみると、治療班の一人がべジータが来たのを確認した後、べジータの衣服から取り出したものを見せる。
『鳥の羽?』
べジータが治療班の一人が見せたものを受け取ると、羽をまじまじと見る。
その羽は、白かったが水晶のように透き通っていた。
『ライト星人のかと思いましたが、ライト星人にそのような種族はいませんでしたし。
どこを探しても、そのような羽を持つような種族は存在しませんでした。』
治療班の一人がそう言うと、べジータは羽を凝視する。

脳裏にぼんやりと映る映像・・・
白いフードを被った奴は、背中から真っ白な羽を出して、一枚の羽を取った・・・

『そうか・・あの時・・・』
『べジータ様?』
はっとしてべジータは何でもないと首を横に振った。

『そういえば、奇妙なことといえば闘神の一人が行方不明なんですよ・・・』
『行方不明?』
『ええ、遠征の報告は貰ったのに、遠征に行く準備もしないままいなくなってしまったんですよ。』
『そのまま行ったんじゃないのか?』
『荷物も持たず、アタックボールに乗らずにですよ?』
その言葉を聞いてべジータは確かに変だと思った。
『一応、聞いておく。その行方不明の闘神の名前は?』


『ああ・・たしかバーダックの二番目の息子の・・・・』

べジータの脳裏に破れかかったフードから覗いた目と声が甦ってくる。


『オラはの名前は・・・』



『『カカロットっていいましたね(いうんだ)・・・』』


『!!!!』
べジータは目を見開いた後、すぐに羽を治療班に渡した。


『べジータ様?』
『この羽の成分などを今すぐ調べろ、俺は少し調べたいことがある。』
べジータはそう言うと長い廊下を走り始めた。

カイ 2009年06月10日 (水) 22時16分(749)
タイトル:絆

『カカロット?バーダックのせがれのことですか?
そういえば、最近見てませんな・・』
『カカロット?ああ知ってますよ。闘神のくせに、やたら無邪気だからよく覚えてますよ。
バーダックも親バカになるわけもわかりますし・・』
『どう育ったらあんな子が生まれるか、理解できませんね。
闘神のくせに戦っても、敵は殺さないし、星一つ破壊しないからね。』
『遠征の後、なぜかいつも行方不明になるんですよ。
死んだのかと思ったら、コロッと帰ってくるし。』
『おまけに、注射は嫌いだし、何故か怪我や自分の血を見せるのはすごく嫌がるんです。』
べジータは様々な闘神から話を聞いた後、バーダックの元へ行った。


『カカロット?そういえば最近見てませんね。
いつものことだと思ったけど、こういうのは初めてだな。』


これでべジータはつじつまがあった気がした。
やはり、自分と戦った全能神は、『カカロット』に間違いなかった。



「調べてみたら、やはりそうだった。
お前が全能神だということがな。全能神には、どんなものでも癒し、力を与えるという『癒しの血』があると聞いたことがある。そしてそれは結晶化すると見事な宝石になることも。
お前が自分の血を見せるのを嫌がったのは、全能神だということをバラされたくないからだ。」
「・・・・・・・・・・」
「驚いたな。全能神がこんな近くにいるとはな。」
「それ父ちゃんと兄ちゃんに言ったか?」
「ふん、言うはずが無いだろう。言って全能神であるお前を倒すのを横取りされたら、俺の楽しみがなくなる。」
べジータの言葉を聞いてそうか・・と悟空は白いフードを取った。


べジータは目を見開いた。何故なら悟空の顔がとても穏やかだったからだ。
「よかった・・・」
「何?!」
「まあ正体バレたのはまずかったけど、まだ誰にも言ってないなら安心だ。」
「何を言っている?」
「悪りいけどずっと言わないでいてくれるか。父ちゃんと兄ちゃんには特に。
せっかくできた『絆』だから。」
べジータがふんと言うものかと言うと、悟空は微笑んだ。

カイ 2009年06月11日 (木) 23時00分(753)
タイトル:黒いオーラと白いオーラ

「くだらん話はここまでにして、覚悟はいいな?全能神。」
べジータはニヤリと笑って黒い羽を広げた後、一枚取った。すると羽はみるみるうちに黒い剣に変わった。
「オラこの全能神界では、無駄な戦いはしたくねえんだけど。」
「ふん、今更言い逃れか?ならば・・・」
べジータはそう言うと黒い剣を持ってない方の手を横にし、気孔破を放つ。

ドン!!!

放たれた気孔破は、地面をえぐったような爪跡を残した。

「貴様!!」
神龍がべジータの行動に激怒し、刀を抜こうとする。が、寸での所をサンに止められる。
「やめとけ、神龍。」
「しかし、サン殿!!」
「ここでお前が手を出したら、俺達の『神』である悟空のすごい気で火傷どころじゃ済まねえぞ。」
「!!!」
サンの言葉に神龍ははっとして悟空を見ると、悟空の身体から殺気じみた強い気が溢れ出ていた。思わず神龍はぞくっとする。
今まで気が付かなかったが、こんな殺気は初めてだ。

べジータは気づいたらしく、またもニヤリと笑うと気孔破を放とうとする。
が、


ガキン!!!
「!!!」「くっ!!」
べジータが気孔破を放とうとした瞬間、悟空がいつの間に出したのか、如意棒でべジータに襲い掛かってきた。べジータは咄嗟に黒い剣でガードしたのでよかったが、黒い剣に罅が入っているのと、肌で感じる強い気に冷や汗を流した。
神龍はあまりのスピードに目を見開いていたが、悟空の半身達は見えていたようで平然としていた。


(何だ、こいつ?!!前よりスピードが、いや、パワーも明らかに上がっている!!)
べジータが冷や汗をかきながら、悟空の如意棒を押し返そうとするが、悟空の如意棒はぴくりとも動かない。
それどころか、自分の黒い剣の罅が広がっていてこのままでは折れてしまう。

(くそ、このままではやられる!!

やられる?

この俺が?

こんな・・・こんな・・・、こんな神風情に?

俺が・・・?

やられるだと!!!!!)

ぎりっと歯軋りして、べジータは黒いオーラを纏っていく。
その光景に神龍だけでなく、悟空と悟空の半身達も驚いた。


「くそったれ!!!!!」
ガキン!!
べジータは黒いオーラを身体から発しながら、渾身の力で悟空の如意棒を弾き飛ばした。
べジータの黒い剣はべジータのオーラに耐え切れなかったのか、それともさっきの衝撃か、
粉々に折れてしまった。


悟空はべジータの体から発せられる黒いオーラを見ながら、苦笑いをする。
べジータは奇声を発しながら悟空に飛び掛った。悟空は如意棒を捨てると、ガードする。
そしてべジータの額に手を乗せた。
すると、


ドン!!
悟空の手から淡い光が出ると同時にべジータはびくんと体が揺れた後、膝を付いた。
べジータが膝を付いた瞬間、悟空は白いオーラを身体から発して、如意棒を拾う。
すると、

「悟空。そう熱くなんなよ。」
悟空の行動を察したのか、悟空の半身の一人であるカカロットが、背後から悟空を抱きしめた。カカロットの身体から包み込むような金色の気が流れ出ると、悟空の身体を包み込む。
金色の気が悟空の身体を包み込むと、悟空はビクンと体が揺れ、如意棒を落とした。
そしてカカロットに身体を預ける。

「わりい、カカ。」
「貸し一つな。」
カカロットにそう告げると悟空は白いオーラを消して、べジータに手を差し伸べる。

「さっきは、悪かったな。
おめえの力をまた見たかったんだ。
でも、おめえがまさか急にあんなことするなんて思わなくてよ。」
悟空の言葉にべジータがふんと悟空の手を払い落とすと、立ち上がる。

「貴様に情けをかけられる筋はない。」
べジータはそう言うと黒いオーラを消した。

「こんなんじゃ、勝負にならん。もう一度ここに来てやる、その時まで覚悟しとけ!」
べジータは服の埃を払いながら、悟空に背を向ける。

「せっかくの客人だ。何なら、一杯やってから帰えるのもいいんじゃねえか?」
美味い酒があるからと悟空が言うと、べジータは立ち止まった。

「手ぶらで帰るのも滑稽だ。付き合ってやる。」
べジータは肩越しに振り向いて言った。

カイ 2009年06月13日 (土) 22時57分(760)
タイトル:ハイセキュリティシステムの罠

「どうだ?うまいだろう?銀河系にある『シェリー星』から取り寄せてきたんだ。」
悟空がべジータに酒を注ぎながら言うと、べジータは不機嫌な顔のまま悪くないと言う。

「わからん奴だな、お前は。俺はお前を殺すために来てやったというのに。」
「わかってるさ、そんくらい。でも、おめえだって同じだろう?
手ぶらで帰るわけにもいかないとか言って、結局くつろいでんじゃねえか。」
悟空の言葉にべジータはうっとする。
図星だった。

「貴様がいい酒があると言ったからだろう!!
それに、破壊神であるこの俺が酒に付き合ってやってるんだ!!ありがたく思え!!」
べジータが逆ギレしながら、悟空に怒鳴りつける。逆ギレされたべジータに悟空が何で怒るんだ?と首を傾げる。

ガチャン!!
「おわ?!」「!!?」
突然二人の目の前に山と詰まれた食べ物や果物が乱暴に置かれたので、二人は驚いた。

「お話中失礼します。お茶菓子が焼けましたので、どうぞ。」
乱暴に置いたのは神龍であった。べジータが神龍の態度に怒り、神龍を睨みつけるが、神龍は無視していた。
神龍の口調は丁寧だったが、怒りが含まれていたのは丸分かりだった。
しかし悟空は気づいてないらしく、ありがとなと神龍に笑いかける。


「お前の側近は、あんな下品な奴なのか?」
「へ?何でだ?神龍はすげえ優しいぞ。」
悟空が首を傾げながら言うと、それは悪魔でもお前だけにだとべジータは心の中で思った。

「ハイセキュリティシステムを直してきますので、私はこれで失礼致します。」
「おう。終ったら一緒に修行しような!!」
悟空の笑顔に神龍はわかりましたと背を向けた後、歩いていった。

「ハイセキュリティシステム?」
「おめえがぶっ壊したやつだよ。」
あれかとべジータは心の中で思った。

「全く、おかしなもんを創るもんだな。貴様は!」
「創ったのはオラじゃねえぞ。」
「何?」
「創ったのは神龍だぞ。」
あいつかとべジータははらわたが煮え繰り替えそうになった。

「あいつか。いろんなトラップで俺を網にかけようとしたり、落とし穴で串刺しにしようとしたり、ドミノを倒してきたり、ミサイルをぶっ放してきたりしたのは!!」
「おめえ、よく生きてたな・・・」
べジータの服が少しボロボロだったのは、どうやら気のせいじゃなかったらしく、悟空はハイセキュリティシステムでよく生還できたべジータに拍手したくなった。



その頃神龍は・・
べジータがぶっ壊したであろうハイセキュリティシステムの残骸を見ていた。
「今度はもっと強力なシステムを作らなければ・・」

カイ 2009年06月16日 (火) 23時26分(767)
タイトル:鬼ごっこ

「おい、カカロット!!
もしかして貴様。この俺がそのハイセキュリティでボロボロだったから、戦わないんじゃなかろうな?」
べジータがそう言うと悟空はぎくりとした。
やっぱりか・・・とべジータは悟空の胸倉を掴む。

「貴様!!俺に情けをかけるつもりか!!」
「だ、だってよ。そんなボロボロのまま戦っても意味ねえじゃねえか。
どうせなら、ベストな状態でオラは戦いたかったし。」
悟空はべジータを宥めながら言うと、べジータはチッと舌打ちして、悟空を離す。

「全能神がどんな奴かと思ったが、こんな甘ったれの奴だったとはな。」
内心少しがっかりしたべジータの顔を見て、悟空は乱れた服を整えた後、何か閃いたような顔をする。

「じゃあよ、べジータ。」
「何だ?」
「鬼ごっこしねえ?」
「はあ?!」
いきなり何を言い出すのかと思ったら、鬼ごっこという言葉にべジータは思わず間抜けな声を出してしまった。

「最初はおめえが鬼で、オラを捕まえてみろよ。
そしたら、もう一回戦おうぜ。」
「ふん、くだらんな。何故この俺がそんなことせにゃならん!!」
「何だよ、いいじゃねえか。それとも、自信ねえのか?」
悟空がからかうように言うと、べジータは眉間に皺を寄せ、悟空を睨みつける。

「よし!!そこまで言うならやってやる!!後悔するなよ!!」
べジータが怒鳴ると悟空はにこりと笑った。

カイ 2009年06月17日 (水) 23時39分(768)
タイトル:鬼ごっこ2

「くそ!待ちやがれ!!」
「こっちこっち!!」
べジータが悟空との『鬼ごっこ』を始めてから早5時間は経過していた。
初めはすぐ捕まえてやると言っていたべジータだが、今では余裕の笑みがない。

「何してんだよ、べジータ。速くこいよ!!」
悟空はにこにこ笑いながらべジータを呼ぶが、その顔にはからかいの笑みではなかった。
しかし、プライドの高いべジータにとっては、それはバカにされているようにしか思えなかった。
「くそ、あいつ!!どこまでも俺様をバカにしやがって!!」
べジータが手を振る悟空を見て歯軋りする。
そして勢いよく地面を蹴る。

べジータが一気に悟空の間合いを取り、悟空に手を伸ばすが・・・


「はずれ」


寸でのところでかわされてしまう。


べジータは舌打ちをして、奇声を発しながら悟空にフックを連発するが、悟空は所々にかわしてしまう。
べジータは舌打ちし、悟空は微笑んでいた。

「あの、カカ殿。主様は大丈夫なんですか?」
悟空の様子を気になっていた神龍が、カカことカカロットに尋ねると、カカロットは大丈夫大丈夫と手をヒラヒラ振る。

「しかし「大丈夫だって。悟空はああやって相手を試してんだよ。
鬼ごっこしながらな。」
「え?」
カカロットの言葉に神龍は目を見開く。

「前にこの全能神界に最初に来た奴で、悪の分身のピッコロって奴がいてな。」
「ピッコロ?」
神龍がオウム返しに言うと、カカロットは頷く。

「どうやら全能神の悟空を探しに来たらしくて、暴れ回ってたんだけど、俺達が動きを止めた後、悟空がある条件を出したんだ。」
「条件?」

『おめえそんなに強えなら、オラを捕まえてみてくれよ。
捕まえられたら、おめえの願い一つだけ叶えてやるよ。』

「そして悟空の『鬼ごっこ』が始まった。
ピッコロは悟空を必死で捕まえようとしたけど、悟空は捕まえられなかった。
悟空は逃げながらも、相手の実力を見ていたんだ。」
カカロットの言葉に神龍は悟空を見る。

(そういえば主様は、さっきからべジータから目を離していない。
それどころかべジータの動きを身体で感じながら、紙一重でかわしている・・)

神龍が悟空とべジータの動きを見ていると、べジータの手が悟空の白い衣の布を握った。

「!」
「捕まえたぜ、カカロット!!いや、全能神!!」
べジータはにやりと笑って、もう片方の手を振り下ろした。


「主様!!!!」

カイ 2009年06月18日 (木) 22時41分(770)
タイトル:鬼ごっこ3

「捕まえたぜ、カカロット!!いや、全能神!!」
「主様!!」
べジータの手が悟空に迫っていくのを見て、神龍は思わず叫びカカロットの制す手を払い、
刀に手をかけたまま走っていた。


悟空とべジータがいる距離は思ったより遠ざかっており、神龍は歯を食いしばって走った。

間に合わない!!!


べジータがにやりと笑って悟空に手を伸ばす・・・



が・・・・




「はずれ」
悟空は口の端を上げながら笑った後、べジータの前から白い衣だけを残して消えた。
「「!!!???」」
突然悟空が消えたので、神龍は思わず立ち止まってしまう。


「こっちだよ、べジータ。」
後ろから声がしてべジータは舌打ちして振り向いた瞬間に気孔破を放った。

「危ねえな、まともに食らったら怪我してたぞ。」
またも後ろから声がして、べジータは気孔破を放つが、その度にかわされてしまう。

「こっちだぞ、べジータ。」
悟空は瞬間移動を使いながらべジータの前や後ろに現れては消え、現れては消えを繰り返していた。
べジータは舌打ちしながら眉間に皺を寄せると、ハッと何かに気づいたらしく、にやりと笑って立ち止まって目を伏せる。
するとべジータの身体を覆っていた黒い気が徐々に収まっていく。

「べジータの奴、何をする気だ?」
神龍がべジータの様子を見ながら不審に思ってると、べジータの姿が消える。
突然のことに神龍はまた目を見開くはめになった。

すると、姿は見えないが激しい気のぶつかり合いがした。
神龍が音がする方を向くと同時に悟空とべジータの姿が現れた。
べジータはにやりと笑っていて、悟空はさっきと違い、冷や汗をかいていた。

「見つけたぞ、カカロット!!」
「おめえも、瞬間移動使えたのかべジータ!!」
悟空は舌打ちするとべジータが手を伸ばしてくる前に消える。
すると、べジータも消える。

シュン!!
シュン!!
シュン!!

悟空が現れると同時にべジータも現れ、悟空が消えると同時にべジータも消える。


そして・・・

ドゴー―ン!!
激しい音と共にべジータが現れ、悟空を地面に叩きつけていた。

「やっと捕まえたぞ、カカロット!!」
「すげーな、べジータ。オラを捕まえたの、おめえが初めてだぞ。」
互いに息を切らしながら、二人は笑った。



カイ 2009年06月21日 (日) 19時59分(774)
タイトル:鬼ごっこの終幕

「やっと捕まえたぞ、カカロット!!」
「すげえな、べジータ。オラを捕まえられたの、おめえが初めてだぞ。」
べジータに地面に叩きつけられながら悟空は起き上がろうとするが、べジータに強く叩きつけられてるため、身動きが取れない。
「合格だ、べジータ。わりいけど、手を離してくれ。」
身動きが取れないと悟空が言うが、べジータは何言ってやがると言う。
「せっかく捕らえた獲物を、わざわざ離すバカが何処にいる?」
べジータはにやりと笑って悟空がさっき持っていた黒い羽を奪う。すると黒い羽はみるみるうちに黒い剣に変わった。
「完璧な勝利を望むのが俺様の性分だ!!」
べジータは悟空を抑えながら、黒い剣を振り上げる。

そして、黒い剣を振り下ろした・・・

神龍がはっとして、また走り出そうとするが間に合わない。


振り下ろされる黒い剣を見ながら、悟空は口を開いて何かを唱えようとする。


すると・・・



ガキー――ン!!
「!!!」
目の前の光景に神龍はまたも立ち止まり、真紅の目を見開く羽目になった。


「サン・・・それにスー。べジータの相手はオラだって言ったはずだぞ。」
悟空は溜息を吐いてべジータの首元に刃を向けているスーと、黒い剣を持っている手を止めているサンを見る。

「悪りいな。つい、身体が勝手に動いちまってよ。」
「俺達が止めなきゃ、悟空『亜空間』を作ってたろ?」
サンとスーが言うと悟空はバレたかという顔をする。


べジータは一瞬で自分の元に来た悟空の半身達を目だけを動かしてみる。
(こいつら、一瞬で気を消して来やがった・・・)

べジータは舌打ちをしてスーの刃を押しのけ、サンの手を振り払い、二人から距離を離して地面に着地する。
肩で息をして二人をにらみつけると、悟空が立ち上がってべジータを見る。
「わりいな、べジータ。オラの半身達が邪魔してよ、第二ラウンドと行こうぜ!!」
勿論、さっきみたいのは無しで。と悟空が付け加えると、べジータは上等だと笑った。

カイ 2009年06月22日 (月) 21時51分(777)
タイトル:突然の来訪者

第二ラウンドということでべジータがさっき持っていた黒い剣を捨て、黒い拳銃を出し構えるのを見ると、悟空は如意棒を神龍に預けると、白い刀を出す。
「「第二ラウンドだ!!」」
二人はそう言うと同時に地面を蹴った。


第二ラウンドのゴングが鳴った・・・


しかし・・

二人が同時にぶつかった瞬間、激しい音ともに空間に亀裂が現れる・・・
「主様!!」
神龍の声と激しい音に気づいた悟空とべジータが振り向くと、空間に入った亀裂が徐々に深くなり、空間の裂け目からぬっと長い爪を生やした巨大な手が出てきた。

巨大な手が二人に迫り、二人は互いに離れた後、何とか巨大な手から逃れるのに成功する。
巨大な手は地面に大きな穴を開けた後、裂け目の方に戻り裂け目をどんどん広がるように深くしていく。そして裂け目が深くなったとき、裂け目から巨大な怪物が姿を現した。


紅い目をギョロギョロ動かしながら、怪物は悟空とべジータの前に立ちはだかる。
「魔物か・・・?!」
「俺達の気を探ってわざわざ『魔界』から来やがったのか?!!」
驚く悟空をよそにべジータはとんだ邪魔が入ったと歯軋りする。

巨大な魔物は長い牙を生やしながら口から唾液を出して、悟空とべジータを見てにやりと笑った。すると巨大な魔物の後ろからたくさんの羽を生やした魔物や、様々な姿の魔物が次々と姿を現した。
そしてあっという間に魔物の群れに悟空とべジータは囲まれてしまった。

「『不滅の命』を持つ、破壊神・・・」

「『永遠の命』を持つ、全能神・・・」

悟空とべジータを見ながら二人を取り囲んだ魔物達は、ギラギラ目を光らせながら不気味に笑った。

カイ 2009年06月23日 (火) 23時46分(780)
タイトル:永遠と不滅

『永遠』・・・
1.いつまでも果てしなく続くこと。時間を超えて存在すること。また、そのさま。

2.無限に持続すると考えられること。

『不滅』・・・
滅びないこと。永久になくならないこと。また、そのさま。

この世に存在する二つの言葉。
『永遠に存在する』者・・・
『永久になくならない』者・・・

同じ意味で違う言葉・・・

それを当時の『二人』は『命』と言う形で持っていた・・・

「破壊神の血肉を喰えば、『不滅の命』が手に入る・・・!!」
獣の姿をした魔物は、べジータを見ながら長い爪をなめる。
「全能神の血肉を喰えば、『永遠の命』が手に入る・・・!!」
片目しかない魔物は、悟空を見ながら舌なめずりをした。

「どいつもこいつも、人の邪魔ばっかりしやがって!!」
「気持ち悪りい・・!!」
べジータが舌打ちしながら、長い爪をなめていた魔物の頭に一発、弾丸をお見舞いする。
悟空も気分を害した顔をしながら、舌なめずりをしていた魔物に思わず気孔破を打った。

それが合図だったように、多数の魔物が悟空とべジータに遅い掛かってきた。

「べジータ、一時休戦と行こうぜ!!」
「俺も今、そう思っていたところだ!!」
悟空がべジータの背中に自分の背を預けながら言うと、べジータも同意する。
そして二人は互いに離れて地面を蹴る。




「主様!!」
「神龍、悟空なら心配ないからまずはこっちのを片付けようぜ!!」
神龍が行こうとするのを止めたカカロットは自分達にも襲い掛かってきた魔物を指差した。
「しかし!!「悟空を助けたいのなら、まずは悟空を信じることだ!!」
カカロットの言葉に神龍ははっとし、わかりましたと頷いて襲い掛かってきた魔物を容赦なく切り捨てる。

「破壊神のべジータが『結界』を壊して全能神界に来るのを狙ってきやがったわけか、こいつら!!」
サンが気孔破を放ちながら呟くと、スーはそうみたいだと頷く。
「『永遠の命を持っている・全能神』と、
『不滅の命を持っている・破壊神』・・・、
あいつらの狙いは、悟空とべジータだ!!」
スーが言うと、神龍は思わずスーを見た。

「悟空がいろいろ狙われているのは、それもあるんだよ。」
カカロットが驚いてる神龍に戦いながら説明する。

宇宙のエネルギーから生まれた悟空には、無限の力を持っていた。
そのため、宇宙から生まれた悟空の血肉を巡っての争いが絶えぬという。

「悟空が『全能神』の地位に落ち着いても、それは変わらない・・・
でもな、悟空は自分の命を狙われるより、そのせいで誰かが犠牲になるほうが嫌なんだ。
悟空は戦いは好きだけど、争いは嫌いなんだ。」
カカロットの言葉に神龍は黙っていた。

「おそらくべジータも同じ境遇なんだろうな。
だから悟空、べジータを歓迎したんだろうな。」
「え?」
「『不滅の命』・・単なる噂かと思ってたけど・・」
カカロットの顔を見て神龍はどういうことだと首を傾げていた。

カイ 2009年06月24日 (水) 21時57分(781)
タイトル:戦闘開始

「まあ、そんなことは置いといて。神龍!!」
「はい!」
「悪いけど、一旦ここ退いといてくれ。」
「どうしてですか?」
急に退けと言われ神龍は驚いた。
「お前はウーブ達の所へ行って、魔物がウーブ達を襲わないように守ってくれ。」
「で、でも私とて戦えます!!」
「あいつらは、俺達だけで充分だ。」
カカロットの蒼い目を見て神龍は普段の彼と違う雰囲気を感じ、わかりましたと頷いた。
「できれば、奴らが気づかれないように『結界』も張って置いてくれ。
そしてできれば、頑丈な・・・強力なものを・・」
カカロットの言葉を聞いて神龍ははい!と言ってその場を離れた。
神龍が行ったのを確認すると、カカロットは悟空の半身である二人を呼んだ。
二人がカカロットの傍に来ると、スーが口を開く。

「行かせたのか、カカ。」
「まあな、これで巻き込まずに済む。」
カカロットの言葉を聞いて今度はサンが口を開く。
「まさか全能神界で戦闘になるとは思わなかったけど、まあ後から全能神界はゆっくり直せばいいから問題はないしな。」
「そうだな。それに、せっかく招待した客はともかく、『招かれざる客』が来るのはいただけねえな。」
カカロットがそう言うと、スーがにやりと笑う。
サンはそのままにしていた長い金髪を結んだ。
「『招かれざる客』には、それ相当の『挨拶』と『礼儀』を教えるのが、常識だ。」
「久々に大暴れできそうだな。」
サンが髪を結ぶのを見て、スーは真紅の衣で袖だけが白い部分を切り離した。
そして腕を鳴らす。



「さて・・・・」(カカ)


「戦闘・・・・」(サン)


「「「開始だ!!!!」」」(カカ・サン・スー)


そう叫ぶと三人は同時に地面を蹴った。


カイ 2009年06月26日 (金) 23時08分(783)
タイトル:二人で共同作業

悟空の半身である三人が同時に地面を蹴った瞬間、三人の気が一斉に上がった。
三人は気を上げながら、魔物達に向かって行き、次々と敵をなぎ倒していく。

「カカ、それにサン。一人何匹多く倒したら今日のおやつあげるってことにしようぜ!!」
「よし!それ乗った!!俺は、チョコレート賭ける!!」
「俺は、ワラビ餅賭ける!!」
敵をなぎ倒しながら今日の賭けが決まった三人は、また一気に気を上げた。


その頃、悟空とべジータはというと・・・
「くそ、何匹いやがるんだ!!??次から次へとウジャウジャ出てきやがって!!」
べジータが舌打ちしながら片手で黒い剣で相手を斬り、もう片方の手で拳銃を発砲しながら敵を倒していく。
「こりゃ、きりがねえぞ。」
悟空が如意棒を振り回しながら次から次へと沸いて出てくる敵を見てうんざりした。

「たく、雑魚の癖に人海戦術で来やがるとは、随分俺様もなめられたものだな。」
べジータが敵に数発気弾で打ち続けると、敵は四方八方から襲い掛かって来る。
すると、


「べジータ、伏せろ!!」
声と共に伏せると回転した如意棒がべジータの頭上を通過して、べジータの背後にいた敵に直撃する。
「カカロット・・・」
「無事か、べジータ。」
投げたのは、悟空であった。悟空はべジータが無事なのを確認するとにこりと笑う。
「俺は貴様に助けられる義理はないぞ。」
「別にそんなつもりじゃねえよ、おめえとの勝負まだついてねえかんな。」
そう言うと悟空は落ちた如意棒を拾う。
すると、如意棒を拾った悟空に向けてべジータが拳銃を構えた。
悟空はきょとんとするが、べジータは無表情のままだった。

「カカロット、邪魔だ。」
べジータが悟空に向かって発砲した瞬間、悟空がサッと避け、悟空の頬を気弾が通過した。
拳銃から放たれた気弾は、悟空の背後にいた敵の頭に当たる。

「サンキューな、べジータ。」
「さっきの借りだ。」
べジータはそう言うと弾がきれやがったと舌打ちし、黒い拳銃を羽に戻した。
羽に戻した後、べジータは一向に減らない敵の数を見て、さらに眉間に皺を寄せる。悟空が敵の数を見ながら再びべジータの背中に背を預ける。
「こりゃ、きりがねえぞ。」
「なら、一気に片付けるまでだ。」
「まさかオラ達が一緒に戦うことになるとはな。」
「勘違いするな。
これが、終ったら・・・・
次は貴様の番だ!!!!」
そう叫んだ瞬間、べジータが先程より強くて、黒いオーラを発しながら走る。悟空もべジータより遅れて、べジータと対照的な白いオーラを発しながら走った。

カイ 2009年07月01日 (水) 21時43分(791)
タイトル:全能神の力ー時空剣ー

ドガガガガ!!!
ドンドンドン!!

凄まじい音と共に大地が揺れ、あっちこっちで激しい気のぶつかり合いが起きた。
そんな中悟空とべジータは互いに背を預けたり、互いに攻撃しあったり、互いにぶつかったりして、敵を粉砕していく。
そして百人ほどいた魔物は、あっという間に悟空とべジータによって倒されてしまった。

「だいぶ、片付いたな。」
「ふん。こんな雑魚共を倒すのに、余計なエネルギーを使ってしまった。」
悟空がべジータとの鬼ごっこの時に脱ぎ捨ててしまっていた白い衣を拾うと、べジータは腕
を組んで舌打ちする。
悟空はそんなべジータを気にすることもなく、白い衣を広げて、白い衣の下に着ていた蒼い胴着の上から羽織った。そして、そこら辺に倒れている魔物達を見る。


「さてと、とりあえずこいつらを元の世界に戻してやんねえとな。」
悟空の言葉にべジータが眉を潜めた。

「元の世界だと?そんな屍をどうする気だ?」
べジータが悟空に尋ねると、悟空は口を開く。

「こいつらを元いた魔界に帰してやるんだよ。こいつらだって、もう悪さしねえだろう。」
悟空の言葉にまたもべジータは眉を潜め、悟空の傍で転がっている魔物達に目を向ける。
よく見ると、魔物達は気を失って動けないだけで、まだ息があった。
べジータはまたも舌打ちして、倒れている魔物に手を向ける。
すると、悟空に止められる。

「やめろよ、べジータ。こいつらはもう、動けねえはずだ。」
「ふん、だからこそ、こいつらに止めを刺してやるんだ!!」
そう言ってべジータが悟空の制止も聞かず、気孔破を放った。

が、

ドン!!
「!!」
べジータは目を見開いた。
何故なら自分が放った気孔破が敵に当たったかと思えば、急に消えて、べジータの背後で爆発したからだ。
「ふー、危ねえ危ねえ。」
悟空がべジータが気孔破を放った時に出した手を引っ込めながら、ほっとする。
そんな悟空を見て、べジータが悟空の力だということがわかった。
「カカロット、貴様何をした?!!」
べジータが叫ぶと、悟空はん?さっきのかと気づき、説明する。

「さっきのは瞬間移動と同じ原理さ。
名前は『亜空間』。さっきべジータが気孔破を放った所から『空間』を繋いで、別の場所に気孔破を移動させただけだ。」
急にはできねえからどうなるかと思ったけど、うまくいったなと悟空は満足げに笑う。

「なるほど。つまりさっき、貴様の半身達が言っていたやつか。」
「そういうことだ。」
「つまり、貴様はその『亜空間』とやらでこいつらを『魔界』に飛ばすというわけだ。」
「いや、違えよ。」
「何?!」
悟空の言葉にべジータは耳を疑った。

「『亜空間』は悪魔でも『空間』同士を繋げる技だからこんな人数を飛ばすのは困難だ。」
「じゃあ、どうするというのだ?」
「こうするんだ。」
そう言うと悟空は手から淡い光を出しながら、手を横に向ける。
すると悟空の手は何も無いのに、まるで水に手を入れるような感覚で入っていく。

悟空の手がみるみる何も無いところに入っていくと、悟空は何かを掴み、何も無いところから手を引き抜いた。
べジータは目を見開いた。

引き抜いた悟空の手には虹色に輝く剣が握られていたからだ。


「これが『時空剣』。今からこれでこいつらを『魔界』に飛ばす。」

カイ 2009年07月02日 (木) 23時56分(792)
タイトル:全能神の力ー時空魔法ー

「これが『時空剣』。今からこれでこいつらを『魔界』に飛ばす。」
悟空は空間から引き抜いた虹色に輝く時空剣を持ち直し、空に高く掲げる。
一体何をするつもりだ?とべジータは不思議に思いながら、悟空を見ていた。

悟空は時空剣を高く上げた後、一度下に下ろして剣の刃に手を添える。
「魔界・・・降臨!!!」
悟空は手を添えた後呟いて、天に向かって剣を横切らせる。
すると、大空の空間にまるで剣で斬ったような大きな切れ目が出来た。
「!!!!」
切れ目は徐々に広がってパックリと大きな穴が空いた。


「よし、これで完璧だな。」
悟空はそう言うと大きな穴を見上げた後、そこら辺に転がっている魔物達を見る。
大きな穴は空いたと同時にまるで全てを吸い込むように、魔物達を吸い込んでいった。
べジータは吸い込まれまいと、黒い剣を地面に突き刺しながらふんばっている。
「大丈夫だ、べジータ。この『時空魔法』は、主が決めた者しか吸い込まないようになってるから。」
悟空はそう言うと肩にかけた白い衣を靡かせながらべジータに言う。
べジータは舌打ちしながら悟空を見た。すると何かに気づいて、目を寄せる。

「カカロット。それ・・・」
べジータが見たのは、突風に煽られながら少し見えている悟空の背中の右肩だった。
悟空の背中には、右肩にかけて大きな刺青があったのだ。
悟空はべジータが見ているのに気づかず、一通り魔物を吸い込んで閉じていく穴を見た後、
よし!と言うと、時空剣を空間に戻した。
時空剣はさっきと同じく、まるで水に入れるように空間に入っていく。

「おい、カカロット!!」
「何だ?」
「さっき魔物達を飛ばした場所は『魔界』か?」
べジータがそう言うと悟空は頷く。

「何で殺さない?あいつらは、貴様の命を狙ってたんだぞ?」
べジータが言うと悟空はきょとんとした後、口を開く。
「何で殺さないかって?だって殺すほどのことじゃねえだろう?」
悟空の言葉にべジータは眉を寄せる。

「まあ結界さえ強化すれば、もう二度と悪さしねえと思うし、あの怪我じゃ、そう簡単には来ないと思うぞ。」
「ふん。随分、甘いな貴様は。」
「よく言われるよ。」
「ならば、カカロット・・・」
「何だよ?」
「その背中の『刺青』は何だ?お前と違うが、俺にもある『刺青』だ・・・」
「!!」
べジータの言葉に悟空は胴着が肌蹴て背中の『刺青』が見えていたのに気づいて慌てて隠した。
悟空の顔は今までにないくらい慌てていた。

カイ 2009年07月05日 (日) 22時13分(796)
タイトル:『刺青』

『ねえじいちゃん。これ、何だ?』
『それは『お守り』じゃ、悟空。』
『お守り?』
『そうじゃ、ワシがお前のために作ってやったんじゃ。』
『でも、他の奴にはねえぞ?』
『お前は『特別な者』だからじゃ。その印じゃよ。』
『特別?』



『じいちゃん・・・?』
『ご・・くう・・・やっと、戻ったんじゃな。よかった・・・』
『じいちゃん、ごめん・・・オラ・・・』
『泣くな、悟空。ワシはお前を恨んどらんよ。ごめんな、悟空。
ワシはお前に嘘ばかりついておった。お前に本当のことをもっと早く話していれば、こんなことにはならんかった・・全てはワシのせいじゃ。』
『違う!!じいちゃんのせいじゃない!!オラが『力』をコントロールできてさえいれば!!』
『小さいお前にはそれは無理じゃ。ワシは運がなかっただけじゃ。』
『じいちゃん・・・』
『悟空・・、お前の背中にある『刺青』はお前に昔からあったものじゃ。』
『え?』
『それにはお前の『名前』と同じ意味がある・・・
意味は・・・・




「おい!カカロット!!」
「!!!」
ハッとして悟空は顔を上げた。そして声の方を向くと、べジータが顰め面のまま悟空を見ていた。
「悪りいな、べジータ。ちょっとボーとしてて・・・」
「その『刺青』、『天竺葵』か?」
「え?」
べジータの言葉に悟空は目を丸くする。
「さっきチラっと見たが、前に見た背中に描かれている葉を見て、思い出した。」
「何だ。じゃあ前に見たんなら隠す必要ねえな。」
そう言って悟空は隠していた背中を見せる。


そこに描かれていたのは、
左肩から斜めに映えた、幾層にも重なった鮮やかな小さな華の真紅と、大きな牡丹の華があった・・・


「これ本当は誰にも見せたくないんだ・・・」

カイ 2009年07月11日 (土) 22時57分(804)
タイトル:『刺青2』

「本当はこれ、誰にも見せたくないんだ。」
そう言った後、悟空は背中の刺青を白い衣で隠した。悟空の言葉と行動に今一納得できないべジータは口を開いた。
「何で見せたくないんだ?『全能神』である証でもあるだろう?それは。」
べジータが言うと、悟空は首を横に振る。

「これは、ある人がオラに託した『絆』と『罪の刻印』だからだよ。」

『罪の刻印』・・・?
悟空の言葉にまたもやべジータは首を傾げ、悟空に聞いても今の悟空には答えてくれそうも無かったので、悟空の頭の中を探ろうと悟空の頭に気づかれないようにそっと手を乗せる。

しかし、寸での所で気づいた悟空が手でべジータの手を弾いた。

「オラに・・・触れちゃ・・・だめだ・・」
悟空が震える声で言った瞬間、べジータの背後で大きな穴が空いた。
べジータは背後で空いた穴が時空の穴でそれが自分を吸い込もうとしているのに気づき、舌打ちして穴を塞ごうと手をかざす。
が、

「悪りいな、べジータ。」

ドン!!

声とともに悟空に押されたのに気づいたべジータは、宙に浮いた状態のまま体制を立て直し、悟空に向かって叫んだ。

「カカロット!!俺はもう一度ここに来る!!必ずだ!!
俺はお前がどういった罪を犯したのかも、貴様の刺青のことも、『闘神』のことも知ったことではない!!
貴様は『全能神』カカロット!!ただ、それだけだ!!
俺は必ずここに来る!!待っていろ!!」

そう言うとべジータは時空の穴に吸い込まれ、時空の穴が閉じると同時に消えた。


「ごめんな、べジータ。またな。」
閉じた時空の穴を見ながら悟空は微笑んだ。

カイ 2009年07月12日 (日) 21時52分(806)
タイトル:闘神界

「・・・タ。ベジータ!!」
悟空によって全能神界から飛ばされたベジータは自分の名前を呼ばれて、意識を取り戻した。
目を開けると自分の髪と目の色以外そっくりな顔と見慣れた天井が目に映った。

「ここは?」
「闘神界の医務室だよ。お前、闘神界の外で倒れてたんだぞ。」
どうやら自分は全能神界から闘神界に飛ばされたらしい。ベジータは舌打ちするとベットから起き上がった。
「ベジータ、まだ横になって方が・・」
「うるさい、黙れ!!」
自分を心配する半身をよそにベジータは怒鳴ると、壁とハンガーにかかっていた黒い剣とマントを乱暴に取った。
「俺はどれくらい寝てた?」
「え?せいぜい一日だけど・・・」
半身の言葉にベジータは黒いマントを羽織ながらまた舌打ちし、黒い靴を履いた。

「カカロットの野郎・・・」
「え?どうしたんだ、ベジータ?」
「うるさい!!貴様には関係ない!!」
ベジータは半身にまた怒鳴りつけると、乱暴にドアを閉め、医務室から出て行った。



「ベジータ、起きたのか?」
医務室から出ると、壁に背を預けベジータを待っていたらしい黒い長髪と紅い体毛が特徴の青年がベジータを出迎えた。ベジータは自分のもう一人の半身を見ると口を開いた。
「俺が全能神界に行ってからどれくらい経っている?」
「やっぱり、全能神界に行ってたのか・・・」
「質問に答えろ。」
「あんたを『あいつ』が発見してからを計算に入れると、二日ぐらいだな。」
自分のもう一人の半身の答えを聞くと、ベジータはそうかと言い、もう一人の半身の横を通り過ぎる。

「『あいつ』・・ずっと、あんたのこと心配してたんだぜ。」
独り言のように言うもう一人の半身の言葉にベジータはふんと言い、吐き捨てる。
「いらん世話だ。」



長い廊下を硬質的な音を立てベジータは歩いていた。そして目的の場所に着くと、ボタンを押す。自動ドアのように開いたドアを見た後、ベジータは中に入る。
どうやらそこは自分の部屋らしかった。
ベジータは部屋に入ると、灯かりを付け羽織ったばかりのマントと黒い剣を投げ捨て、壁に八つ当たりするように拳を打ち付ける。壁は少しヒビが入ったが、壊れはしなかった。
「カカロットの奴・・・」



「あの、ベジータ様・・」
ドアをノックする音にベジータは眉間に皺を寄せながら何だと聞いた。
「行方不明になっていた闘神の『カカロット』という者が、先程帰還致しました・・」
「!!!」
『カカロット』という言葉にベジータは目を見開き、急いでドアを開けた。

カイ 2009年07月15日 (水) 23時19分(807)
タイトル:闘神界2

勢いよくドアを開け、鬼のような形相のベジータを見て報告しに来た部下はひっと怯えたが、ベジータに案内しろと言われたので怯えながら案内した。
長い廊下を怒りのオーラを発しながら歩くベジータに案内している部下とそれを見ているギャラリーは青ざめていた。
特に案内をしている部下は、死刑判決を受けたかのような感じであった。

「ここか。」
目的地に着くとベジータは自動で開いたドアを見ながら呟く。
「どいつだ?カカロットは。」
「あの、真ん中の席に着いている奴です。」
そう言った部下はこれ以上いると生きた心地がしないのか、ベジータにそれだけ言うとダッシュで逃げてしまった。
ベジータは大して止めもせず、まるで何事もなかったかのように歩を進める。
そして、真ん中の席でこちらに背を向けて出されている料理を夢中で食べている男ーカカロットに歩み寄った。背を向けているためベジータの気配に気づいていないカカロットは、周囲の気温が落ちているのにも全く気づかず、ただ料理を食べている。

「おい!」
モグモグ
「おい!!!」
「!?」
ベジータの怒鳴り声にようやく気づいた男ーカカロットは食べ物を口に頬張りながら振り向いた。
その顔は確かに悟空であった。
カカロットこと悟空はベジータの怒りの顔にも全く動じることもなく、ただにこやかに笑った。

「よう、ベジータ!!ケガ大丈夫か?」


ベジータの額にまた怒りマークが一個追加になった。


カイ 2009年07月18日 (土) 16時34分(809)
タイトル:悟空が闘神界にくる一時間前・・・

「行かせてよかったのか?」
腕を組みながら悟空の半身の一人であるサンが目の前にいる人物に話しかける。
目の前にいる人物は白い衣を羽織った後、緑色の帯を腰に巻きつける。
そして帯を結び終えた後、サンを見た。
「悟空のことか?」
自分に尋ねてきたサンを見てカカロットが言うとサンは頷く。

「まあ、全能神界に来たベジータをあんなふうに追い出してしまったんだ。
悟空だって責任感じたんだろう?後は悟空がどうするかによるさ。」
カカロットはそう言うと飾ってある冠を取ると頭に乗せる。
それを聞いたサンは肩をすくめると、呆れ顔をする。

「まあ悟空なら大丈夫さ。心配する気持ちはわかるけど、仮にも俺達の『神』だぜ?」
突然聞こえた声にサンが振り向くと、そこには眠った悟飯と悟天を抱えたスーがいた。

「そいつらどうしたんだ?」
「遊び疲れて寝ちまったんだ。いつもなら悟空がいないと寝ないから、寝かすの大変だったぞ。」
スーの腕の中で眠る二人の頬をつつきながら、サンが笑みを浮かべる。

「全能神界での仕事はとりあえず俺が代理でやるから、大丈夫だ。」
カカロットが言うとサンとスーは了解と頷いた。

「悟空が『謝りに行く。』って理由で闘神界に行くとは、本当に悟空らしいな。」
サンがそう言いながら、悟空が闘神界に行く一時間前の事を思い出していた。




『オラちょっと、闘神界に行って来る。』
ベジータを時空の穴に飛ばした後、しばらく落ち着いた悟空は突然そう言った。
それを聞いて皆は一斉に『はあ?!』と驚いたのは言うまでもない。

『何で急に行くなんて言うんだよ?そりゃ、闘神界では行方不明ってことにはなってるけどよ。』
『いや、だってよ。いつまでも行方不明のままじゃ、さすがにやべえだろう?
それに、ベジータを闘神界に飛ばした責任もあるし。』
要するに悟空はベジータを飛ばしてしまったことに責任を感じてるらしい。
それに気づいたカカロットはしばらく考えた後、口を開いた。

『わかった行ってこいよ。全能神界は俺達が何とかするから。』
『本当か?!サンキュー、カカ!!』
『その代わり、後で一週間分のおやつお前からもらうからな。』
『う!!わ、わかったよ。』
『それと・・・』
『まだあんのか?!!』
『俺の言うこと一週間聞くこと。わかったな?』
カカロットの貸しを聞いて悟空はまた息詰まったが、渋々聞くことにした。

その後悟空は闘神界の服に着替えた後、宇宙船で闘神界に行った。


「一週間分のおやつはわかったけどよ、一週間分の命令は何にする気なんだ?」
サンはカカロットに尋ねると、カカロットはにやりと笑って・・・

「内緒vv」
と言った。

カイ 2009年07月18日 (土) 21時57分(811)
タイトル:闘神界3

一方、こちら闘神界では・・・
「カカロット・・・ここが何処だかわかるか?」
「えーと、闘神界だろう?」
ベジータが腕組をしながら悟空を見ていた。悟空は、ただきょとんとしている。
「そしてここは、何処だ?」
「えーと・・・ベジータの部屋?」
「何で態々この俺が、お前をここに連れてきた意味はわかるか?」
「・・・・・・・・・?わかんねえ・・??」
しばらく考えていた悟空が首を振ると、ベジータは肩を落とす。
何故悟空がベジータの部屋にいるかは10分前に遡る。


『よう、ベジータ。ケガ大丈夫か?』
食堂で料理を食べていた悟空を見て、ベジータは怒りで爆発しそうになった。なぜなら、破壊神である自分を闘神界に飛ばした張本人が今目の前にいるからである。
本当はここで今すぐにでも殴りたかったがそんなことをしたら、後で厄介になる可能性があると踏んだベジータはとりあえず周囲の視線を無視して、料理を食べている悟空の襟首を掴んで、食堂を後にしたのだ。


そして今に至る。
「どうしてここにお前がいるんだ?」
「さすがにずっと不在のままじゃやべえだろう?結構速く帰って来たんだけどよ、失敗しちまって・・・」
「それだけか?」
「いや、それだけじゃねえよ。」
「何だと?」
眉を寄せたベジータに悟空は両手を合わせた。
突然の悟空の行動にベジータは一瞬、目を丸くする。

「本当にわりい!!ベジータ!!
いきなりあんなことしちまって!!ちょっと力コントロールできなくてよ!!」
悟空の必な顔を見てベジータはまたも目を丸くする羽目になる。

本当にこいつは、全能神なのか??
俺と互角に戦った、あの『全能神』なのか??

混乱するベジータに悟空は再度頭を下げ続ける。そんな悟空に根負けしたのか、ベジータは頭を抱えながら口を開く。
「わかった。もういい、もういい。」
「許してくれんのか??」
ぱあっと明るくなった悟空を見て、ベジータは頷く。

「よかった!!ベジータ、おめえいい奴だな!!」
にこりと笑顔で悟空は言うと、ドアに向かう。

「じゃあオラ行くからまたな、ベジータ!!」
笑顔で悟空は言うと、ベジータの部屋を後にした。


一人取り残されたベジータはぽつんとしていた。
『ベジータ、おめえいい奴だな!!』
脳裏には、悟空の笑顔と言葉が残っている。


「いい奴・・・・?」

カイ 2009年07月22日 (水) 20時51分(819)
タイトル:『あいつ』との再会

一方、その頃全能神界では・・・
バン!!!
「何故行かせたのですか!!!」
神龍は勢いよく机を叩いた。叩いた衝撃で山積みになっていた書類の山が一瞬崩れそうになる。羽ペンで書類に文字を書いていたカカロットは手を止め、溜息を吐くようにすると神龍を見る。
「何故って、それが悟空の『望み』だからだよ。」
「しかし、幾らなんでも破壊神のベジータを追って『闘神界』に行くなんて余りにも危険すぎます!!どうか、外出許可を下さい!!」
「そこでお前の正体がバレたら、それこそ悟空に危険が増すだけだぞ。」
「!!」
カカロットの言葉に神龍はうっと息が詰まった。カカロットはそんな神龍を見た後、書類に目を通して片付ける。

「悟空なら、大丈夫さ。仮にも俺たちの『神』だぞ?」
「しかし!!」
「神龍。主を心配する気持ちもわかるが、主を信じて待つのも側近の役目だぞ。」
それとも・・・


「悟空がいなくて寂しいのか?」
「そ、そんなことありません!!!/////」
失礼します!!と神龍はカカロットに背を向けて勢いよくドアを閉めた。
カカロットはケラケラ笑うとまた書類に目を通した。
全能神界の主である全能神の悟空が不在の今、悟空の仕事の一つである事務処理は、悟空の半身のカカロットが『代理』をしている。
全能神の主な仕事は、事務と各惑星の管理と処理などである。
そして宇宙で害なす存在の『封印』、または『討伐』である。

「惑星レインでは、異常気象の影響で雨が一年間降らないか・・・
惑星ラークドでは、宇宙海賊が暴れている・・・こんなんばっかだな・・・」
何度目になるかの溜息を吐きながら、カカロットはぐったりした。


「まあ、一つは大暴れできるからよしとするか。」
カカロットはそう言うと書類に判を押した。


一方・・・
「おい、あいつ・・」
「知ってるぜ、ベジータ様の『半身』だろう?」
「ベジータ様の半身の癖に、いつも任務に失敗ばかりって聞いてるぜ。」
「よくあんなできそこないがベジータ様の後ろに付けるもんだな。ベジータ様もかわいそうに・・」
そんなヒソヒソ話が聞こえ、ベジータの半身の金髪の青年は一度立ち止まり、廊下を突っ走っていった。
「聞こえちゃったかな?」
クスクス笑う声が響いた。


「くそ!!」
遠い惑星の木に八つ当たりするように拳をぶつけた青年は悪態を吐く。
「何だよ、自分達だってベジータに着いて行くしか脳がねえくせに!!」
思ったことを吐き出すのは内心すっきりする。
しかし、直接言えない自分にも正直腹が立った。
「くそ・・・」
青年は自分の手を見る。
脳裏にベジータが言った言葉が蘇った。

『お前は俺の『拒絶』から生まれた存在だ。俺の名に傷がつくようなことはことは絶対するなよ。』

「わかってる・・・わかってるのに・・・!!」
ぎりっと歯軋りして青年はまたも木に八つ当たりする。
拳が木に当たって、さっきより強く振動する。

すると・・・
「おわ!!??」
「へ?」
グラリと木が揺れた瞬間、声が木の上から聞こえてきて思わず顔を上げた。
木の上から自分と同じ金髪の青年が落ちてくる。


ドサ!!!
「いてえ!!」
「お、お前・・?!!」
木の上から落ちてきた金髪の青年は落ちた瞬間ぶつけた尻をさすると、顔を上げる。そして
自分を指差した青年を見る。

「お前、カカ!!」
「よう、久しぶりだな。」
カカこと悟空の半身のカカロットとベジータの半身はお互いに顔を見合わせた。

カイ 2009年07月23日 (木) 20時25分(823)
タイトル:『拒絶』の半身、『孤独』の半身

「何でお前がここにいるんだ?」
「ちょっと仕事の帰りに散歩がてら。それに、」
「それに?」
カカロットはそこまで言うと顔を上げる。顔を上げるとカカロットの金髪の髪が揺れ、風と共に桜の木の花びらが舞った。

「ここの惑星で有名な桜の木に呼ばれた気がしたんだ・・・」
カカロットが言うたびにまた風が吹き、花びらが舞う。
「それでもっとよく見ようと木の上に登ってたら、そのまま寝ちまったってわけ。
まさか、お前にこんな形で起こされるとは思わなかったけど。」
カカロットの言葉にベジータの半身は思わずくすっと笑ってしまった。
「それは済まなかったな。猿も木から落ちるとは、このことだな。」
クスクス笑うベジータの半身の顔を見て、カカロットは笑う。

「やっと笑ったな・・・」
「え?」
カカロットの言葉にベジータの半身は思わずカカロットを見た。
「さっきイラついてたろ?何かあったのか?」
カカロットの言葉にベジータの半身はびくっとする。それを見たカカロットは話したくないなら別にいいけどよと寝転がって自分に降り注ぐように散っていく花びらを見た。
しばらくしてベジータの半身は、独り言のように自分の身に起こったことなどを話し始めた。

「なるほどな・・それでイライラしてたってわけか。」
「まあな。」
「人一人殺したこと無い破壊神てなんだかなあ・・・。」
「はは、お前もそう思うのか?ま、おかげで闘神の奴らにも蔑みの眼で見られるがな。」
「だったら何で闘神界にいるんだ?俺が悟空に頼んで全能神界で暮らさてやっても・・・・。」
「それは、ダメだ。」
「なんでだ?」
ベジータの半身はそこまで言うと口を閉ざした。何も答えなかったが、何かの『想い』を胸に秘めていたようだった。

その時の俺には、ベジータの半身である『あいつ』が、何を胸に秘めているかはわからなかった。

自分の『神』である悟空の、『孤独』から生まれた自分にとって、
ベジータの『拒絶』から生まれた『こいつ』の気持ちを・・・

あの頃の俺は・・・


まだ・・・


わかっていなかったんだ・・

カイ 2009年07月26日 (日) 21時03分(824)
タイトル:桜の木の下での二人・・

『この『桜の木』に呼ばれた気がしたんだ・・・』
あの時は再び『あいつ』と再会できるとは思ってなかった・・・
あの時はただ、この惑星の桜の木がとっても美しかったから行っただけで、『あいつ』と再び会えるとは思わなかった。
でも、今思えば、本当はこの桜が『俺達』をここに引き寄せたのかもしれない。

だから再び『あいつ』に会えたことを、俺は感謝している。



「なあ、カカ。知ってるか?この惑星の桜の木の言い伝え。」
「言い伝え?」
再び会ったあの日から数日経ち、俺達はこの惑星の桜の木を目印に会う約束をした。
会うたびにお互い手土産を忘れずに。
俺の持ってきた菓子などを摘みながら『あいつ』は今までの他愛無い話題を切り替え、桜の木のこと話し始めた。『あいつ』が持ってきた甘酒を堪能していた俺は一瞬、きょとんとする。
そんな俺を見たのか、それとも何か思い出したのか(おそらく前者だろう)、『あいつ』はクスッと笑うと再び桜の木を見上げる。

「この桜の木には、二つ願い事があるんだ。
一つは、落ちる花弁を酒で受けてそれを飲むこと。
二つは、この桜の木が咲く瞬間に願いを言うこと。」
「へえ、そんな言い伝えがあるのか。よく知ってんな。」
「前に古い書物を読んだことがあってさ、それにこの桜のこと書いてあったんだ。」
「なるほどな。」
「べジータは、『そんなくだらない言い伝え信じてる暇があるなら、もっと鍛えろ!!』とか言うけど。」
「べジータは信じてないんだ・・・」
俺がそう言うと『あいつ』は、うん・・と頷く。
その顔は少し寂しそうだった。
『あいつ』はべジータに信じてもらえないことなどに悲しんでるのがわかった。

「俺は信じるぜ。」
「え?」
「信じてやってみなきゃ、わかんねえだろう?」
たぶん、悟空もそう思うぜと付け足した。

「カカ。ありがとな。」
『あいつ』は少し安心したのか、今までにないくらい優しく笑った。


「なあ、おめえ。今度全能神界に来いよ。歓迎するぜ。」
「え?いいのか?」
「大丈夫さ。神龍は堅物だけどいい奴だし、悟空も喜ぶと思うぞ。」
「そうか・・」
「どうだ?」
「わかった。」

それがあの頃の俺達の『約束』だった・・・

カイ 2009年08月05日 (水) 23時12分(833)
タイトル:闘神界4

あいつのことが、はっきり言ってよくわからん。
本当に『全能神』なのか?

でも、なぜか・・

あいつといると、俺の中の『何か』が変わっていくんだ・・・


「カカロット。バーダックのせがれで次男坊。戦闘力は波以上ですが、兄のラディッツと父親のバーダックと比べると下ですね。任務は軽くこなしますが、星も人も破壊はゼロ。
任務の時はたまに行方不明になってますが、ころっと帰ってくる時がたまにあり。
以上がカカロットに関するデータです。」
資料を読み上げた部下の言葉にべジータはわかった下がれと言い、部下を下がらせ、部下が置いていった資料を手に取る。
それはカカロットこと孫悟空に関する、部下に調べさせた資料であった。
「変な所が『あいつ』に似てるな・・・」
べジータは呟いた後、資料を投げ捨てる。



「今日は非番だからトレーニングルームで体でも鍛えっか!!」
カカロットこと悟空はべジータが自分のことを調べていることも知らぬまま、廊下を歩いていた。
「父ちゃんも兄ちゃんも不在だし、今日は一人で組み手か・・・」
内心少しがっかりしながら歩く悟空を見て、たまに通りかかる奴はヒソヒソしたり、クスクス笑ったりしていたが、悟空は大して気にもせず通り過ぎる。


「おい!カカロット!!」
「ん?」
突然名前を呼ばれ、悟空は立ち止まった。声の主の方を向くと、そこにはべジータが立っていた。
べジータの登場にさっきまでヒソヒソ話していた輩は、そそくさと逃げ出した。
べジータは大して気にもせず、靴音を立てながら悟空に歩み寄った。
「何だよ、べジータ。オラに何か用か?」
首を傾げる悟空にその場にいた輩は、驚いている。

「カカロットの奴、べジータ様と知り合いだったのか?」
「そういえば、べジータ様。最近、カカロットのこと調べているって聞いた事があるぞ。」
ヒソヒソ話す輩にべジータが眉間に皺を寄せながらにらみつけると、話していた輩たちはそそくさと逃げ出した。
べジータの目には、「早く去らないと**。」という目をしていたからである。

そんなことも知らず、二人だけとなった廊下に悟空はただ首を傾げていた。
「なあ、どうしたんだ?べジータ。オラに何か用か?」
「お前に聞きたいことがあるんだ。少し面を貸せ。」
「オラ、ヅラなんか持ってねえぞ。」
「ヅラじゃない、面だ!!いいから、さっさと来い!!」
ボケてるのはわかってるが、いちいちツッこむと疲れる。べジータは悟空を怒鳴りつけると、悟空を引っ張った。
「いてえってべジータ!!」
「うるさい」
引きずられていく悟空を軽く一括すると、べジータは歩き出す。

が、


「!」
悟空が何かに気づき、引きずられている足を止める。
「どうした、カカロット?」
「べジータやべえぞ!!逃げるぞ!!」
「はあ?」
いきなり何を言い出すのかべジータが悟空に理由を聞こうとするが、悟空の顔が冷や汗が流れているのを見て一瞬取り乱す。
「べジータ、逃げるぞ!!あいつが来る!!」
悟空はべジータの手を掴むと、べジータとは反対の方向を向いて走り出した。
「おい、カカロット!!どうしたというんだ?!!」
「説明は後だ!!ブ、ブロリーが来る!!!」
ブロリー?
べジータが誰だそいつはと考えていると、背後から凄まじいオーラと気が向かってきた。

「カカロット!!!!!」
「来た!!!」
べジータが振り向いて見ると、そこにはカカロット!!と奇声を発しながらこちらに向かってきている大男がいた。

悟空は半泣きでべジータの手を掴みながら、全速力で廊下を走りだす。
後ろではブロリーと呼ばれた大男が追いかけてくる。
べジータはただ混乱しながら悟空に手を掴まれていた。


「おい、カカロット!!あいつは何なんだ?!!」
「あいつ、ブロリーっていって。オラのこといつも追いかけてくる厄介な奴なんだよ!!」
軽く説明する悟空に少し納得したべジータは、悟空の前に来ると口を開いた。
「とりあえず、ここじゃ埒があかん。一度、『テレポート(瞬間移動)』するから、来い。」
べジータの言葉に悟空はわかったと返事をする。べジータは右手を出すと、指を鳴らした。

すると二人の姿はその場から消えた。



カイ 2009年08月08日 (土) 23時03分(838)
タイトル:闘神界5

あの出会いから随分経つが、
『破壊神』である俺は、
『全能神』であるこいつが・・・

今でも理解できない・・・・
なぜ普段から笑っているお前は・・・
時折そんな顔をするんだ?


「いやー、助かったぜ。ありがとうな、べジータ。」
瞬間移動でとりあえずブロリーから逃げきった悟空とべジータが今いる所は、べジータが特別に使っているトレーニングルームだった。べジータや特別な者以外は入ってはいけないことになっているので、恐らくブロリーは来ないと思う。
「勘違いするなよ。あのブロリーとかいう奴が来ない場所を選んだだけだからな。」
「わりい、わりい。巻き込んじまってよ。あいつ、普段はあんな奴じゃねえんだけどよ、何かわかんねえけどオラを見つけるたびに追いかけてくるんだ。」
完璧なストーカーに狙われているのだと、べジータは瞬時に思った。
そんなことを知らない悟空はべジータがいつも使っているらしいトレーニングルームを見渡して、うひょーすげえなと大きな目を輝かせた。
その様子にべジータは半分呆れと半分ドキッとした気持ちになってしまい、首を横に振ると口を開く。
「そんなに、珍しいのか?全能神界ではこんな部屋、いくつでもあるだろうが?」
「あっちじゃ確かにいっぱい部屋はあるけどよ、こういう造りのトレーニングルームはまだねえんだ。」
その内作ってみるかと悟空は言った後、踵を返してべジータのトレーニングルームを後にしようとする。しかし、べジータが止める。

「待て、カカロット。」
「ん?どうした。」
「なぜ帰る?」
「え?だってここ、べジータの部屋だろう?ここで戦ってみてえけどよ、今『下級戦士』であるオラがここにいたら、べジータが厄介なことになるだろう?」
べジータに負担をかけたくないらしく悟空が言うと、べジータはふんとにやりと笑う。

「ここは俺の部屋だ。主導権は俺にある。なら、俺がここに貴様を招いたと言えばいい。」
べジータの言葉に悟空はそれもそうかと軽く納得して、べジータに向き直る。
「じゃあ、ここで戦ってもいいんか?!!」
わくわくする悟空を見て、べジータは頷いた後その前にと付け加えた。

「貴様に聞きたいことがある。」
「ん?何だ?」
「なぜお前は、『全能神』という身分を隠して、ここ闘神界にいる?
闘神と知識の神は・・お前が造ったものだろう?奴らを服従させようとか思わんのか?」
べジータの言葉にそれまで明るかった悟空の顔が急に変わる。その顔は、少し悲しそうだった。

「オラにそんな権利ねえよ。」
「なぜだ?」
「オラはただ・・あいつらに自由に生きて欲しいだけさ。
あいつらは最初はあんな奴らじゃなかった・・・」
「どういうことだ?」
べジータが尋ねると、悟空は悲しそうな顔をしながら天井を見る。


「あいつらを作ったのはオラ、『家族』が欲しかったから。」
「家族?」
「昔とんでもねえことしちまってさ、千年間一人ぼっちになったんだ。
千年間ずっと一人ぼっちだったオラは、自分の体から魂の半身を生み出した後、考えた。
『半身以外の家族が欲しいな・・』って。
それで『自分に最も近くて、自分と同じくらい強い者』を作ってみたんだ。
それが闘神と知識の神だった。

でも・・・あいつらは・・・

自由になった途端、

『強さ』と『知識』に・・・


溺れてしまったんだ・・・・

カイ 2009年08月16日 (日) 21時16分(846)
タイトル:闘神界6

「まあ話しはこれぐれえにして、べジータ。ここ、少し使わせてもらってもいいか?」
話しを終わらせた後、悟空はにっこり笑い、トレーニングルームを見渡した。
べジータははっとして頷くと、悟空はやった!!とうれしそうに笑って、腕を回す。
先ほどまでの悲しそうな顔が一変したのを見てべジータは不思議に思ったが、考えるのをやめ、口を開いた。
「おい、カカロット。」
「ん?何だよ?」
まだあるのか?と悟空が首を傾げるのを見ながらべジータは戦闘服の上に羽織っていた黒いマントを投げ捨てる。

「少し俺のトレーニングの相手をしろ。ここでのお前の実力を知りたい。」
「え?全能神界で一回やったはずだけど?」
「うるさい!!あの時は邪魔が入ってできなかっただろうが!!いいから付き合え!!」
怒鳴るべジータに悟空はまあいいかと軽く言った後、組み手の構えをする。

「いくぞ!!」
「おう!!」
二人は同時に床を蹴った。




「カカロット知らないか?」
「え?確かさっき、べジータ様と一緒にいるのを見たぜ。」
「王子と??」
※この時のべジータは”王子”とあだ名で呼ばれてました。


ズン!!!!!
「!!!」「な、何だ?!!」
突然床が揺れるくらいの強い気にその場にいた二人は驚きに声をあげた。
「おい、バーダック!!カカロットがべジータ様とトレーニングルームで一戦やらかしてるぜ!!」
「何だと?」
慌てて知らせに来た同僚の言葉に男ーバーダックはまたも目を丸くした後、同僚に従い、トレーニングルームをバーダックは一緒にいたもう一人の同僚と共に駆け出した。





ドガガガガガ!!!!
ドガガガガガ!!!!
どれくらい時間が経ったであろう?互いに拳をぶつかり合ってから随分経った気がする。
そう思うくらい二人は互いにボロボロで、二人がいるトレーニングルームも壁や床には所々、ヒビや穴が空いている。

「あそこにいた時よりも、随分腕を上げたようだな。カカロット。」
「そういうおめえもな、べジータ。」
べジータがにやりと笑うと悟空もにやりと笑い返した。


「カカロット!!!」
「ん?父ちゃん?」
自分の名を呼ぶ声に気づき、悟空はべジータのけりを受け止めながらバーダックの方を振り向いた。すると、

「カカロット!!よそ見すんな!!前!!」
「え?」
バーダックの声に悟空は一瞬、相手を見失ってしまった。

悟空がバーダックの言葉を聞いて再びべジータの方を振り向いた瞬間、べジータのエネルギーの塊が悟空めがけて飛んできた。

カイ 2009年08月19日 (水) 23時13分(850)
タイトル:闘神界7

お前が『ここ』で自由に動けないというのなら、この『俺』が自由に動ける『鎖』をやろう。

表では『上司』と『側近』で、

裏では『破壊神』と『全能神』という・・・

『ライバル』という形で・・・


向かってきたエネルギー弾を悟空は手をかざした後、気合を入れて掻き消した。気合で掻き消したのを見たべジータはにやりと笑うと床を蹴って飛び出るように接近し、悟空の頬めがけて殴りかかる。悟空がべジータの拳を受け止め、もう片方の拳を受け止めた。そしてそのまま取っ組み合いに突入するした後、また二人は互いに弾かれるように互いに距離をとり、もう一度額がぶつかる程に距離を挟めた。
そこで拳を向けられれば拳で、膝蹴りを繰り出されれば膝で勢いを殺していく。


そんな光景をトレーニング室の外で見ていた者たちは釘付けになっていた。
「カカロットの奴、王子と互角に戦えるなんてすごいな。」
「そりゃ俺の『息子』だからな。」
「あれ?バーダック。カカロットのこと、できそこないとか言ってなかったっけ?」
「うるせえ、そんな昔のことなんて覚えちゃいねえよ。」
バーダックの顔を見てトーマがニヤニヤ笑う。
どうやら久しぶりに生き生きしているカカロットを見て誇らしげに思っているようだ。

「・・あんなに楽しそうなカカロット。久しぶりに見たな・・・」
バーダックが言うと隣にいたトーマは笑う。


互いに拳をぶつけながら数時間経ち、闘いに決着が着けられようとしていた。べジータも悟空もかなり消耗している。ここまできたら二人の最後の一発が勝敗を決める。
互いに距離をおいて肩で息をしながら二人は向かい合う。
そして同時に床を蹴る。


べジータが気弾を数発放った。悟空はそれを腕で霧散させ、彼との間合いを詰めてゆく。
誰もが息を飲んだ。

「甘いな。」
悟空がべジータの頬をめがけて殴りかかった拳は咄嗟にべジータがよけ、その頬を掠め、空を突いた。悟空が舌打ちすると同時に悟空のがら空きになった脇腹にべジータの回し蹴りが入る。
蹴りを直接受けた悟空は飛ばされて壁に激突する。
激突した悟空にとどめをさすつもりなのか、べジータは悟空を飛ばした後、悟空が飛ばされた方へ向かっていった。


「カカロット!!」
誰もが叫ぶが激突した衝撃で辺りを煙が舞ったため、周りが見えなかった。



しばらくして霧が晴れ、みんなは目を凝らす。
そして目を見開いた。


「カカロット・・・」
「王子・・・」


そこには壁に激突した悟空に拳を向けているべジータと、壁に激突しながらも拳をべジータに向けている悟空がいたのだ。

「オラの負けかな?」
「いや、引き分けだ。」
互いに拳を向けながら悟空が言うと、べジータが否定する。そしてにやりと笑って拳を下ろした。


「合格だ、カカロット。今日から貴様、俺の『側近』になれ。これは命令だ、いいな?」
「え?う・・うん。」
べジータが突然言い出したことに悟空は一瞬きょとんとするが、命令だと聞いて頷いた。
べジータは悟空が頷いたのを見た後、トレーニング室を覗いていた者達等に目を向け、口を開いた。


「こいつはまだまだ強くなる。だが、俺はさらに上を行く。そのために側近にした。
文句がある奴は名乗り出ろ!!」
俺の下で付いてくるだけしか能がない奴はいらん!!と付け加えると、その場で口々に文句を言っていたエリートは押し黙った。

べジータは一瞬でエリート達を押し黙らせた後、悟空に背を向ける。
そして悟空にしか聞こえないように、テレパシーを送った。


『貴様がここで自由に動ける条件を作っておいたぞ。』

それに気づいた悟空はにっこり笑った。



貴様がここで自由に動けずに、自分の『力』を隠すというのなら・・・

俺が自由に動ける『鎖』を与え、貴様の『隠している力』を見よう・・・




カイ 2009年08月27日 (木) 22時57分(859)
タイトル:痛み

なあべジータ。

お前が俺に『名前』を付けないのは、俺がお前にとって『不要』であることはわかってる。

でも俺はお前から生まれたことに感謝している。

お前が俺を見てくれないのはわかってる。

お前が今、『誰』を見ているのかも・・・

でもさ・・・


一度でいいから・・・


俺を見てくれよ・・・・



「あ・・・・」
「ん?どうしたんだよ?」
カカといつものように約束した場所で話していたら、突然話しをやめたのでカカは首を傾げた。

「べジータが喜んでる気がしたんだ。初めてだな、あんなべジータ。」
どうやら闘神界にいるべジータの気を感じたらしい。
「へえ、こんな遠くでもべジータの気がわかるんだ。」
「うん、まあな。俺はべジータの半身だから。」
そう言った『あいつ』を見てカカはどことなく『あいつ』の顔がうれしい反面、少し悲しそうな顔をしている気がするのを感じた。
「どうやらべジータ。お前の『神』とまた会ったらしいぞ。そして自分の『部下』にしたみたいだぞ。」
「へえ悟空をね・・そりゃよかった。あいつ、無鉄砲な所あるからどうなるか不安だったけど、うまくやったみたいだな。」



「ありがとな。」


「ん?」


突然礼を言われてカカは首を傾げる。


「べジータを喜ばしてくれて。」
「別に俺達は何もしてねえぞ。悟空は誰とでも仲良くなれる奴だし、悟空はべジータのこと『敵』とは認めてないみたいだしな。」
「いいんだ、それでも。べジータが喜んでくれるなら、それで・・・」
少し嬉しそうな反面、少し悲しそうな顔をする『あいつ』を見てカカはしばらく見た後、口を開く。

「なあ・・・」
「ん?」

「何でそんな悲しそうなんだ?」
「別に悲しくなんかねえよ。」
「でも、俺にはそう見えるぜ。」
「・・・・・」



べジータが『嬉しい』と俺も『嬉しい』。

でも・・・


べジータは・・・


俺を見てくれない・・・・


「俺は見てるぜ。」

「え?」
突然の言葉に顔を上げる。


「べジータが悟空を見てるなら悟空だってべジータを見るけど、

俺はお前と出会った日から俺はお前を見てるぜ。」


カカの言葉が・・・

何となく・・・


俺の心を・・・・



溶かしてくれた・・・・


「・・・うん!!」


カイ 2009年09月06日 (日) 23時10分(885)
タイトル:闘神界8

「おい、知ってるか?ターレス。」
「何を?」
「破壊神のべジータ様がさ、新たな側近を付けたんだってよ。」
噂というものはどこの世界でも広まるもので、いやでも誰かの耳に入るものだ。
勿論、この(自称)一匹狼のターレス様の耳にも。
いつも世の中を斜めに見ていた俺の耳にも入るこの噂を・・・

この時の俺は適当に聞き流していた・・・



「あの坊ちゃん(俺命名)が新しい『側近』をねー、どんな奴なんだろうな?」
この闘神界を治めている『神』であるべジータ様が『側近』を付けるのは結構珍しい。
長年遣わしているナッパ以外の側近を付けるのは自分の知るところ、いなかった。
いや、ナッパは側近というより自分の見るところ、『家来』といった方が正しい。
なんせ、当の本人のべジータ様はナッパをいつも家来呼ばわりしているからだ。
エリート気取りのナッパは気づいていないが・・・

そんなことをぼんやりと考えていた俺は、今日は遠征が終わったので自分の部屋で一息つこうと長い廊下を歩いていた。

すると・・・


「父ちゃーーーん!!」
自分より高い能天気な声が向かってきた。
声に気づいた俺が振り向いた瞬間、声の主はこの俺に飛び掛ってきた。

ドカーーン!!
「ぐあ!??」
見事な不意打ちというか、タックルというか、とにかくすごい衝撃を受け俺は床に思いっきり背中を打ち付けてしまった。一瞬、気絶しかけたことはこの際、聞き流してくれ。

「お帰ぇりー、もう遠征終わったんかー!!?」
この俺を不意打ちとはいえ飛び掛ってきた能天気な声の主は、どうやら俺を誰かと勘違いしているらしい。俺はとにかく自分を今、押し倒している能天気な声の主を眉間に皺を寄せて睨み付けるように見上げた。

そこには、自分と同じ髪型と色黒と目つき以外は俺と似ている顔があった。

「あれ?」
「このガキ・・・(怒)」
闘神には顔のタイプが少ないので自分と似ていることには大して驚くことはない。
しかし俺はこの顔がどこかで見覚えがあった。

「おめえ誰だ?父ちゃんかと思ったけど、父ちゃんじゃねえ。」
「そりゃ俺のセリフだ。」
自分を押し倒した声の主の悪気のない顔を見て、俺は毒気を抜かれてしまった。


「いや、悪りいな。後姿が父ちゃんそっくりだったもんで、間違えちまった。」
両手を合わせて頭を下げたこの青年は闘神と想像もつかないくらい、素直だった。
そういえば・・
「お前、バーダックの息子か?」
「え?父ちゃんを知ってんのか?」
やっぱり・・・そういえばバーダックの二人目の息子は顔は似てるが性格が全然似てないと聞いた事があった。たぶん、こいつがそうなんだろう・・
しかし性格が似てないというより、正反対といった方が正しい。
というよりも・・・

「お前、男にしては結構かわいい顔してんじゃねえか。」
ニヤリと笑う俺に当の本人はわかってないのか首を傾げてる。
バーダックの息子だというが、こんな幼い無邪気な顔をしてるとは・・・


「おめえどっかぶつけたんか?」
「ああ、悪いな。どうやら、背中と頭をぶつけたらしい。悪いが、俺を部屋まで連れてってくれないか?」
俺のうそにバーダックの息子はそりゃあ、大変だ!!とすっかり魔に受けてしまった。
ニヤリと俺はまた笑った。

しかし、
「おい、カカロット!!」
「ん?べジータ。」
自分の首に俺の手を回して担いでいるバーダックの息子が声のする方を振り向いた。
そこには俺達の長でもある、べジータ様がいた。
「何をしている!!今日はこの後明日の遠征の報告だと言っただろうが!!」
「もうそんな時間か?悪りいな、べジータ。ちょっと怪我人がいてよ。」
「怪我人?」
べジータ様は眉間に皺を寄せながら、俺を見た。
「何だ、ターレスか。」
何だとは何だよ、坊ちゃん。
「おめえがターレスか?」
「ああそうだ。自己紹介がまだだったな。」
とりあえずべジータ坊ちゃんを無視して、俺はバーダックの息子のカカロットに名乗った。
「オラに似てるからどんな奴かと思ったけど、結構父ちゃんに似てるんだな!!」
満面の笑顔を間近で見た俺は少しどきりとした。
まあそれはさておき。

「おい、カカロット!!俺を忘れるな!!」
「あ!悪りい、べジータ。とりあえず怪我人を部屋まで送ったらすぐ行くから。」
「いや、いい。こいつを医務室に運べ。怪我人なんだろう?」
そう言うとべジータ様は付いて来いと歩き始めた。カカロットが礼を言いながら、べジータ様に続く。

「お前、あの坊ちゃんと知り合いか?」
「ああ、まあな。オラはあいつの『側近』だから。」
「側近???!!」
べジータが新しい側近を付けたのはさっき噂で聞いたが、まさかこいつだったとは。

俺は本日、またも驚く羽目になる。

カイ 2009年09月25日 (金) 23時19分(908)
タイトル:破壊神の力

「あ、あのよ・・王子(あだ名)・・・。」
「何だ?」
ターレスがべジータの方を向きながら尋ねると、べジータが眉間に皺を寄せながら答える。
「俺一応怪我人なんだけど・・・」
「だからこの俺様が直属に運んでいるだろうが・・・」
「いや、あの。これ運んでいるというより引きずられている気がするんすけど・・」
気のせいだとべジータは言うが、ターレスの気のせいではない。なぜならべジータはターレスの首根っこを掴みながらまるで重い荷物を引きずるようにして歩いているからだ。
その姿はどっからどう見ても運んでるようには見えない。
(最初はカカロットがしてくれたのに・・・)
ターレスはさっきまで一緒にいたカカロットのことを思い出す。
医務室に運べと言った後べジータはカカロットに俺が運ぶから先に行ってろと言って、カカロットを先に行かせたのだった。
カカロットは悪りいなと言い残して去っていったので、ターレスにしてみればべジータを始めて恨む形となった。

「怪我人は大人しくしていろ。医務室はもうすぐだ。」
「だったらもう少し優しくしてくれよ。つーか、首絞まる!!首!!!」
ターレスは掴まれた首のせいで窒息しそうになる。べジータはやかましいと言った後、医務室の前で足を止める。
止まった拍子に力が緩んだのでターレスは思いっきり息を吐いた。
「あー、ぬかと思った。」
ほっとしたターレスだが、またもべジータに首根っこを掴まれる。

「べジータ様、どうなされました?」
「こいつが怪我をしたと言ってな、見て欲しい。」
べジータはそう言うとターレスを思いっきり、まるで荷物を放り投げるように投げた。
綺麗な放物線を描いて床に激突したターレスを見た後、べジータは用は済んだというように医務室を後にする。

「あれ?べジータ、ターレスは?」
「何だ、カカロット。先に行ってろと言ったはずだが?」
「ちょっと気になって様子を見に来たんだ。オラが父ちゃんと間違えなけりゃ、あいつ怪我しなくてすんだのに・・・」
自分のせいで怪我(ターレスのうそ)をしたことにしょんぼりしているカカロット(悟空)にべジータは舌打ちする。
「あいつは平気だ。戦闘民族の闘神がこれぐらいでくたばると思うか?」
「それもそうか。」
あっさりとべジータの言葉で元気になった悟空は、じゃあ行こうぜとべジータの手を掴んだ。
べジータはフンと言いながら悟空の後ろに続く。
後ろのドアの向こうでターレスの悲鳴が響いているのを無視しながら。



「おい、カカロット。スカウターは準備できたか?」
明日の遠征の話しが終わった後、べジータは遠征に必要な道具を揃えたか確認する。
「やべえ。スカウターぶっ壊れちまってスペアもらうの忘れてた・・」
悟空が壊れたスカウターの残骸を見ながらもまあいいかと軽く受け流す。
しかし・・・
「俺の話しを聞いてなかったのか、カカロット?」
背後から悪寒を感じ、悟空は振り向くとそこには修羅をまとったべジータがいた。
「悪りい、べジータ。スカウター壊れてて・・・」
「お前な・・・」
「本当に悪りい!!」
頭を下げる悟空を見てべジータは舌打ちをした後、ため息を吐いた。
「ちょっとその残骸を見せろ。」
「え?」
べジータの言葉に悟空が首をかしげると、べジータは壊れてバラバラになったスカウターの前に立つ。


「俺の『力』はこういうために使うんじゃないんだがな。」
べジータはスカウターの前に立つと、両手をパン!!と合わせる。するとべジータの合わせた両手から火花が散った。火花が散っている両手をそのままべジータは下に叩きつけようにする。
すると・・・


バチッ!!
「?!!」

火花が電流のように地面から流れた後、スカウターは元通りになってしまった。
べジータは元通りになったスカウターを拾うと、悟空に投げ渡す。
「すげえな!べジータ!!どうやったんだ??」
「今のは『錬金術』と同じ原理だ。今のところ俺しか使えないがな。」
「すげえ、元通りだ!!べジータ、こんな能力あんならもっと使えよな。」
「俺は必要な時にしか使わん!!」
べジータは明日は早いから寝坊するなよと言い残して、ミーティングルームを出た。

カイ 2009年09月27日 (日) 23時52分(911)
タイトル:監視と見守り

お前が『あいつら』を監視するように・・・

俺が『お前』を監視する。



「本当に何も殺さないんだな。」
「え?」
べジータが遠征場所である惑星の住人の体に腰掛けながら呟いた。べジータの周りには血の海と化したたくさんの体が転がっている。悟空とべジータは遠征場所に着いた後、二手に分かれたのだ。なので悟空がべジータの戦場を離れた後、数分も経たないうちにべジータはこの血の海と化した戦場を作り上げてしまったのだ。
「ずいぶん遅いと思い、スカウターを見たら生き残りが何人かいた。」
悟空はべジータの言葉にどう説明しようか迷っていた。べジータの側近になってからだいぶ立場はよくなったが、それなりの態度は変わらなかった。
「全能神だからといってやはり殺したくないのか?」
無言を続ける悟空にべジータが聞くと、悟空は意を消して口を開く。
「オラは確かに全能神だけど、闘神と同じように戦っているとワクワクするんだ。でも、殺したいとは思わない。それはオラの意思と覚悟だから。」
たぶんこれは破壊神であるべジータだけに言える事だと悟空は思った。
本当は自分の兄にも、父にもいえないと思う。
「ならば・・・・」
べジータが口を開いた。


「破壊神である俺が・・・・

『側近』であるお前に・・・

殺せといってもか・・・?」

そう言うとべジータは黒い羽を広げた後、羽を拳銃に変え悟空に向ける。

「たとえ破壊神であるべジータだって、オラの覚悟は崩せない。」
それは全能神でもなく、側近でもなく、自分の意志だった。
悟空はべジータに拳銃を向けられてもそれだけ言った。例え今ここでまたべジータと戦闘になっても自分の意志は曲げないつもりだった。
シン・・と静寂が辺りを支配した。


「くっ・・ははははは!!!」
静寂を破るようにべジータが笑い出した。悟空は急にべジータが笑い出したので拍子抜けする。
「なるほどな。さすが全能神であるお前だ。いい度胸だ、そうでなくてはつまらんからな。
さすがは俺のライバルということはある。」
べジータはそう言うと拳銃を懐に仕舞った。悟空はもしかして試されたのかと目を丸くする。
もしかしてべジータは自分に何かを求めているのだろうか?
そんなことを悟空が考えていると・・

「カカロット。ところでなぜ貴様、スカウターを使わん?」
「え?」
「お前はよくスカウターを壊すらしいが、貴様と初めて会った時は貴様はスカウターを持っていなかった。それはつまり、貴様はスカウターなしで戦闘力がわかるということだ。」
「それは・・・」
「そして貴様は俺とまた会った時、気をコントロールしている。神の力ではないようだが・・・」
「そんなことまでわかんのか?すげえな、おめえ。」
べジータは自分と会ってまだ日が浅いが、ここまで自分を見抜いているとは思わなかった。
何か皮肉みたいに聞こえるけどと言うと、べジータはにやりと笑う。

「俺が言いたいのはわかるか?その方法を俺にも教えろ。」
「え?」
(今は)側近である自分に教わりたいと申すのか?この男は。と悟空は思った。
ほんというと悟空はこの方法を今教えているのは、自分の弟子だけだった。ウーブはすぐ覚えられたが、神龍はもう少しといった所だった。
まあ確かにたぶん自分が知っている限りでは、自分の半身とピッコロ以外はこの方法を身に付けているのはいないと思う。
神龍だったら断固拒否すると思うが、自分はべジータの力がもっと知りたいと思うし、それに闘神に悪い印象しか持ってなかった悟空にとって闘神を従えているべジータに関心を持った。
柔軟な考えだな、べジータ。面白ぇ。

「いいぜ。たぶんべジータならすぐ習得できると思うし。ただ・・」
「一応言っとくが、俺は他の闘神や他の奴に教える気はない。そこまであいつらを甘やかすほど優しくはないからな。」
そっか、ならいいや。と悟空はあっさりと頷いた。
するとべジータが悟空に指を突きつける。

「一応言っとくがカカロット。お前は俺のライバルであり、全能神であり、側近だ。
貴様を倒すのは俺だということを忘れるなよ。」

ああ、わかってるよと悟空は頷いた。

カイ 2009年10月23日 (金) 23時18分(929)
タイトル:満月の日

「でな。とりあえずべジータの側近として、今は闘神界にいるってわけだ。」
『そりゃあ驚きだな!!悟空、お前が闘神界に行って神龍がえらく心配してたぞ。』
「はは!!わりい、わりい。神龍にはうまく言っといてくれよ、カカ。」
『わかった、わかった。お前が闘神界に行って、何の連絡もなかったからどうなったかと思ったけど、そう聞いて安心したぜ。』
悟空は一人個室で窓の外を見ながら、全能神界にいる自分の半身の一人であるカカにテレパシーを送っていた。傍から見ればただ黙って外を見ているように見えるが、悟空は心の中で自分の半身にテレパシーを送れるのだ。

『どうやら『あいつ』が言っていたことは本当のようだな・・・』
「ん?どうした、カカ?」
『いや、何でもねえよ。それより、悟空。あんまり全能神界空けるんじゃねえぞ。
悟飯達がお前がいなくて寂しがってたぞ。』
「ああ、わかってるさ。一通りのことが済んだら帰えるさ。」
『それと・・・』
「何だよ?まだあんのか?」
カカロットのくどい口調に悟空はうんざりする。


『今日は闘神があちこちで暴れまわってる。力は大したことないんだが、このままじゃ他の銀河にも影響が出る。俺達が相手をするから悟空は『あの方法』を使ってくれ。』
「え?!ずりいぞ。オラだけ仲間はずれなんてよ!!」
カカロットの言葉に悟空は思わず立ち上がる。
『お前が出たら闘神にお前の正体がバレるだろう?それに『俺の命令を一週間聞くこと』まだ達成してねえだろう?』
「でもよ・・」
自分も戦闘に参加したいのか、悟空は膨れっ面をする。

『それに・・・今日は『満月』だろう?』
『満月』という言葉に悟空の目が一瞬見開いた。しばらく経つと、悟空は目を伏せる。
『悟空・・今更だけど、『あれ』はお前のせいじゃない。もうお前は一人じゃない。俺達や神龍、悟飯達やべジータだっているんだ。』
「わかってるさ・・・」
『だったらいいよ。じゃあ、またな。』
そう言うとテレパシーは途絶えた。悟空はしばらくして窓の外から見える月を見た。
カカロットの言う通り、今日は『満月』だった。

「満月か・・・」
悟空はそう呟くと、窓を開けて外に出る。


「満月か・・・」
時同じくしてべジータも自分の部屋の窓から見える満月を見ていた。
「俺が破壊神として目覚めた日も、確か満月の日だったな・・・。」
そう言うとべジータはグラスに注いだ酒を口に含んだ。少しきつめの味が舌に染みる。
べジータにとって滅多にゆっくりした時を過ごしていた。
「破壊神・・・」
破壊神である自分がそう言われたのはいつの頃だったろう?
べジータはふと考えていた。

星が生まれる時はビックバンといわれる、所謂「爆発」から生まれるという。
だが簡単に言えばそれは「爆発という名の破壊」。
破壊神である自分はそんな星星の爆発の中から生まれた。小さな星が互いにぶつかり合い、そして離れていく。そんな中、その高い密度のエネルギーがやがて一つの石になり、それはあらゆる『破壊』のエネルギーを吸収して一つの生命体が生まれた。
それが自分であった。
自分がどう生まれたかは何年かしてわかったこと。
だが自分はそんなことどうでもよかった。
ただ気づけば並外れた『破壊の力』を持っていた。そして『不滅の命』と『創造力』を。
自分の命を狙う者は何が何でも殺しまくった。
そしていつしかそんな自分に平伏す者達が現れた。

「破壊神様。破壊神・べジータ様!!」
べジータ・・それは宇宙の言葉で『支配する者・帝王・烈闘』という意味。いつしかそれが自分の名になった。平伏す者達は『闘神』と『知識の神』と名乗った。
そして自分はその者達を従える『破壊神』といわれた。
『破壊神』、その名前で言われそして目覚めた日も、こんな満月の日だった。

「闘神が力を発揮して『大ザル』になる日も、俺が目覚めた日も『満月』・・・
どうやら俺達は『満月』に縁があるらしいな・・」
べジータはそう呟くと残りの酒を呷った。

カイ 2009年12月18日 (金) 00時40分(954)
タイトル:満月の日2

思えばこれが始まりだったのかもしれない・・・


美しく輝く満月を一人、自室で眺めていたべジータは気配を感じ取り、持っていたグラスを置いた。
「何か用か?」
べジータが言うとべジータと髪と瞳の色は違うが、べジータとよく似た金髪の青年が現れる。
青年は少しびくついた顔でべジータに近づく。
「あ、あのさ。べジータ、今日は冷えるから毛布持ってきたんだけど。」
手に持っていた毛布をべジータに渡そうとすると、べジータは青年に背を向けたまま、乱暴に青年から毛布を奪う。
そしてそれを床に落とした。
「あ!」
「余計なことをするな。誰が頼んだ?こんなことしてる暇があったら、星の遠征の支度でもしていろ。」
冷たく言い放つべジータに青年は少し悲しそうな顔をした。
「わかったらさっさと**。俺は今、貴様の顔なんて見たくないんだ。」
顔をあわせようとしないべジータに青年は何言おうと口を開いた。
「べジータ。「うるさいぞ!!さっさと**!!できそこない!!」
べジータの怒鳴る声と共にべジータから発せられる凄まじい気に、青年はびくついた。

「ごめん。べジータ。」
そう言うと青年は踵を返して部屋を出た。
青年が部屋を去った後、べジータは舌打ちして空になったグラスに酒を再び注いだ。
「魂の半身など、俺には必要ないのに・・・」
『破壊神』と呼ばれたあの日から、全てが変わった。
だが、それと同時にいつ自分の地位を狙ってくる輩が出るかと思うと、警戒心が強くなった。
弱さを見せてはいけない。
甘さを見せてはいけない。
情けを見せてはいけない。

自分は強くなければならない・・・

だから自分の中の『不要な感情』と『不要な甘さ』を切り捨てた。
その時に生まれたのが、『あいつ』だった。
後からわかったのは、それが自分の魂の半身だということ。
初めて魂の半身を見たとき、絶句した。

これは『自分の弱さの塊』だと。
自分のプライドを傷つけられた気がした。プライドが許せなかった。

「俺がナンバーワンだ!!俺は絶対に『貴様ら』を認めない!!」
べジータはグラスを握りつぶした。


「!」
遠くの星でべジータの気を感じた青年は顔を上げた。
「(べジータの気が荒れている。満月の日のこと思い出してるんだろうな・・・)」
闘神界を出たのはどうやら正解だったらしい。
今日は自分の『神』であるべジータがいつになくピリピリしていたので、今日は闘神界にいない方がいいと思い、他の星の偵察に行ったのは馬に蹴られたくはないのもあったが、何よりべジータをそっとしておいた方がべジータの為でもあるからだ。
「『あいつ』も馬鹿だな。べジータに何より嫌われてんのに、べジータに近づいてどうすんだよ?
頭使えよ。」
またべジータに冷たくされている自分と同じ半身を思いながらそう吐き捨てた。

「おめえ、破壊神べジータの『半身』なのか?」
「!!」
突如、今まで気配がなかったのに近づいてきた声にはっとして振り向いた。

そこにいたのは・・・

カイ 2010年01月14日 (木) 00時26分(960)
タイトル:満月の日3

「誰だ・・・?お前・・?」
そこにいたのは長髪と袖なしの紅い衣が特徴の男が立っていた。袖のない部分から見える腕は衣と同じ赤い体毛に覆われている。どうやら自分と同じらしい。
「人から尋ねる時は自分から名乗るもんじゃねえの?」
アイラインの引いた金色の瞳でいたずらっぽく言うそいつに俺は眉間に皺を寄せる。
「俺は確かに破壊神べジータの半身の一人だ。名前はない。以上だ。次は貴様から尋ねる番だ。」
さらりと言った俺にそいつはへーと呟くと、口を開いた。
「俺は全能神孫悟空の半身の一人、名前は『スー』。以上。」
自分と同じく自己紹介をしたそいつの名前は、スーというらしい。
・・・ん?・・・全能神?


「全能神だと!!!???」
「期待通りの反応だな。サンの言うとおりだ。」
大して驚きもしないスーは、べジータの半身の一人である男の顔に納得する。


しばらくして落ち着いたのか冷静を取り戻した男はさっきと同じ仏頂面に戻った。
「お前が本当に全能神の半身なのだな!」
「まあな。四番目に生まれたから『スー』ってことになったけど。」
「四番目?」
「簡単に言えば俺のほかに後三人いるってこと、半身が。」
指で数を示すスーに俺は頭の中でこいつと同じ半身を思い浮かべる。
奇妙な姿(俺も人のこといえないが)だから、恐らくこいつと同じ姿なのだろう。
まあそんなことはおいといて。

「お前、ここに何しにきたんだ?まさか、俺の仕事の邪魔をしにきたんじゃないだろうな?」
「随分と警戒的だな。」
「返答次第ではすぐに殺す。」
「・・・・・・・」
口を閉じて男を見るスーの金色の瞳とべジータの半身である男の緑色の瞳が交差する。


「俺も仕事でね。」
「何?」
「他の闘神達が星星を荒らしているから、止めに来たんだ。それに今日は『満月』だから。」
「満月?べジータや全能神と同じように闘神が大ザルになるこの満月の日に、闘神達を止めにきたのか?だったら無駄足だな。もう、満月は昇ってる。
いくらお前でも多くの闘神を止めるには時間がかかるぞ。」
「満月の日に力が増すなら、月を消せばいいはずだ。」
「それでも無駄足だ。今闘神達はあちこちで満月やブルーツ波を造ってる。
一つ一つ虱潰しに消すしかないぞ。」
「それなら大丈夫だ。」
「何だと?」



「あいつ(悟空)ならやってくれる・・・!!!」


スーが呟いたと同時にそれまでスーの背後で輝いていた月が突然爆発した。



「!!!!!」

カイ 2010年01月24日 (日) 22時56分(962)
タイトル:満月の日4

長らくお待たせしてすいません!!

突然壊れた月を見て、男は目を見開き、スーは口元に笑みを浮かべていた。
「な・・何だと・・?!」
「な?言ったとおりだろう?」
まるでこうなることがわかっていたように言うスーを見て、男はギッとスーを睨み付ける。
するとあることに気づいた。
気を集中してみると、まるでさっきの月の爆発が合図だったように所々で星の月が破壊していった。しかも闘神達が任務に行っている星だけ。
「貴様一体、何をした?!」
「俺は何もしてないぜ。言っただろう?『あいつならできる』って。」
「これが貴様の『神』の力か・・!」
男はそう言うとスーはそういうことと返す。
すると・・・・



ドン!!
「ずいぶん頭に血が上りやすい奴みてえだな。」
「そっちもずいぶん人をこけにするのが得意のようだな。」
突然向かってきた男の拳をスーは受け止めながら、男を見た。男の顔は笑っていたが、それと同時にスーも笑っていた。

「お前強いな。」
「貴様もな。今の一撃で終わらせるつもりだったが、最初の一撃で死なん奴はお前が始めてだ。」
「そりゃ、どうも!!」
言い放つと同時にスーは男の鳩尾に強いけりを入れた。男は吹っ飛ばされるがすぐに体制を立て直し、スーを睨む。が、
ドゴン!!
体制を立て直した瞬間、凄まじい破壊音と共に地面が割れた。
足場が崩れ、男は舌打ちをし地面を蹴って宙に浮かぶ。すると視界が一瞬紅く染まった。
どうやら何か被せられたらしい。
男はそのまま地面に落下して、視界を封じた紅い布を取ろうともがくが、紅い布に何か力が働いているらしく、簡単に取れなかった。
「わりいな。本当はおめえみてえな強い奴と戦いたいんだが、生憎今日は『仕事』でね。」
そう言うと紅い布が突然光り出し、顔に巻きついていたのが体に巻きついていった。
それと同時に男の姿が消え始める。
「この勝負、預けるぜ。次は勝負しようぜ、『フォード』。」
スーはそう言うと指をパチンと鳴らした。
それと同時に男の姿は紅い布に巻きつけられたまま、消えた。

「じゃあな、フォード。」

カイ 2010年03月27日 (土) 21時28分(1000)
タイトル:悟空の力

「じゃあな、フォード」
スーは消えたベジータの半身の場所をいつまでも眺めていた。すると、頭からテレパシーが流れてきた。
『何かあったのか?スー。』
「別に何でもねえよ。悟空、それよりうまくいったみてえだな?」
『まあ月を見ながらそれぞれの月の気をこっちに集中するのは骨がいるけど、うまくできてよかったよ。』
「それができるのは、今のところ俺達半身か悟空お前だけだけどな。」
『・・・そうだな。』
「・・悟空、カカにも言われたと思うけど、あれはお前のせいじゃない。」
スーが言うと悟空はうんと言った後、テレパシーを切った。悟空のテレパシーが切れたのを確認すると、スーは顔を上げ、粉々になった月を見ていた。
「さてと。俺も仕事をするかね・・・」
スーはそう呟くと、ベジータの半身であるフォードが傷つけたであろう惑星の住人達を見た。そして腕に傷をつけ、短く何か唱え始めた。



「満月はやっぱり慣れねえもんだな・・」
粉々になった月に伸ばしていた手を下ろしながら悟空は呟くと、そばに転がっていた尻尾を気で燃やした。燃えカスも残さず、消えた尻尾を見届けると悟空は粉々になった月に背を向ける。
「悪りいな、ベジータ・・」



「ベジータ様!!大変でございます!!」
「何だ?騒々しい。」
書類を片付け、自分も遠征に行こうと準備をしていた矢先、突然ドアを叩く音にベジータは眉間に皺を寄せる。
「先程、闘神軍が向かった惑星に昇る満月が突然破壊しました!!」
「何だと?!!」
「それだけではございません!!各惑星に昇る満月全てが跡形もなく破壊されております!
闘神の者達全ては大猿になることができません!!」
「すぐにその者達にパワーボールを作れと連絡をしておけ!!」
「しかし!!」
「今度は何だ?!!」
「満月が破壊されたと同時に、闘神達が違う惑星になぜかワープされているとのことです!!」
「何だと?!」
ベジータは耳を疑った。そして部下から渡されたリストを見た。

「全能神の・・力か・・・」

カイ 2012年01月21日 (土) 23時28分(1647)
タイトル:鮮血の貴公子

「全能神の力か・・」
リストを眺めながら呟いていたベジータに背後から声がかかる。
「どうされました?主上。」
「いちいち敬語は似合わんからやめろと言ったはずだ、ケルドゥン。」
ベジータが振り向かず声の主の名前を言うと、声の主ーケルドゥンと呼ばれた少し赤みかかった銀髪の男がそれは失礼と詫びを入れべジータの横の壁に体を預けた。
「いつも以上に難しい顔していると思ったら、また厄介ごとか?」
「半分当たってるな。どうやら全能神が月を破壊した後、闘神共をわざわざ治安の悪い惑星に送り込んだらしい。おそらく闘神や知識の神からの被害を減らすためだろう。」
「なるほどな、月を破壊するだけならともかくその場にいた全員の闘神を惑星にワープさせることができるのは、不滅の命を持つ破壊神ベジータ以外にいるとしたら、永遠の命を持つ全能神しかいないしな。」
それでどうすんだ?止めにでもいくのか?とケルドゥンが聞くと、ベジータはふんと舌打ちする。
「いちいち面倒なことをした奴に面倒をかけるのはごめんだ。治安が悪いということは、それだけ強敵がいるということでもある。ならば、あいつらの今後の戦力の腕試しぐらいにはなるだろう。それであいつらが死んだら、その程度の奴らだったということだ。」
「可愛い子には旅をさせろみたいなセリフだなベジータ。おっと、悪い。」
ケルドゥンはベジータが拳銃を取り出すのを見て慌てて謝罪する。そしてベジータの横を通り過ぎると、出かけてくると言った。ベジータがどこにいくのか聞くと、ケルドゥンはにやりと笑った。

「どうやら全能神の中に厄介な奴が現れているみたいなんでな・・」


「治安の悪い惑星の処理や排除もよもや疲れるものだな・・まさか龍族のこともやっていたとは・・」
神龍は目の前に襲い掛かってきた敵を斬り捨てると刀を振って血を払い落とした。見ると神龍の周りには死体がごろごろ転がっていた。中には闘神の死体もあった。服などは斬った者達の血が付着していたが、顔には傷どころか血さえ浴びていなかった。
「闘神共との監視をするつもりだったのに、処理と排除に変わってしまったのは当たり前か・・おかげで服も汚れてしまった。」
「なるほど、まさに『鮮血の貴公子』ってわけか・・」
一人呟いていた神龍に第三者の声が聞こえ、『鮮血の貴公子』という言葉に反応した神龍は声の主を見た。
「戦場に現れ紅い華を撒き散らすように人を斬り、血を浴びても顔だけには浴びない・・・戦場に燐と立つその姿はまるで貴公子のよう・・よって付いた異名が『鮮血の貴公子』。まさかこんな所で拝めるとはな。」
「何者だ?・・理由次第では斬る。」
「一度お手合わせ願いたい・・・この神獣・ケルドゥンとな。」

カイ 2012年05月04日 (金) 00時12分(2090)
タイトル:白銀の修羅

「神獣族?そうか、お前が。」
「おや?俺を知ってんのか?鮮血の貴公子さんよ。」
ケルドゥンはそう言うと神龍を見る。神龍は眉間に皺を寄せながら、ケルドゥンを睨みつける。
「その名で呼ぶな。貴様らが勝手にそう呼んでるだけだ。それに・・貴様だって似たようなものだろう?」
神龍が言うとケルドゥンがどういう意味だと尋ねる。

「その少し赤みかかった銀髪。真紅の瞳。神獣族の中で破壊神に仕えていると聞いたことがあるが、まさか貴様がそうだったとはな。」
「ずいぶんと俺も有名になったものだな。」
「確かに貴様は有名かもしれんな。破壊神もずいぶんとした狂犬を飼ったものだ。」
神龍の言葉にケルドゥンはさっきとは違い、黙った。


「その者、銀色の髪を揺らし、戦場を駆け巡り血肉を食らい、血しぶきを浴びる狂犬。いや、獣。その姿は白銀の鎧を纏っているかのごとく・・・修羅・・羅刹のよう・・」
「・・・・」
「白銀の修羅・・白銀の夜叉・・貴様のことだろう?」
神龍の言葉に、ケルドゥンの目つきは変わった。

カイ 2012年07月15日 (日) 00時24分(2284)
タイトル:修羅と貴公子

「その言葉、知ったからには生きて返すわけにはいかねえな。」
「それはこっちのセリフだ。」
二人は屍の中、たたずんで相手を睨みつける。神龍が刀を抜き、ケルドゥンが腕に仕込んだ武器を出した。そして二人は地面を蹴った。

ガキン!!
二人の刃がぶつかり合うと同時に火花が散り、周囲の風が舞った。ケルドゥンが力を込めるが神龍も力を込めているようでびくともしなかった。ケルドゥンは舌打ちしながら足に仕込んである武器の刃を出し神龍めがけて回し蹴りを繰り出した。が、神龍はそれを一瞬で刀を片手で持ち返ると、もう片方の手で刀を抜き防ぐ。
「どうした?その程度か?」
「んなわけ・・ねえだろう!!」
ケルドゥンはそう叫ぶともう片方の足で神龍の鳩尾に蹴りをした。そして神龍がバランスを崩すのを見てにやりと笑い、地面に手を付いて神龍に回転蹴りを繰り出した。
「どうした?その程度か?」
体制を立て直したケルドゥンが言うと顔に付いた傷を吹きながらケルドゥンを睨んだ。
「ずいぶんと頑丈だな?さすが龍神族ってか?」
「貴様も随分頑丈だな?その程度の傷しかつかんとはな。」
傷?とケルドゥンが神龍の言葉に疑問を持っていると頬から縦に線の引いたような傷が出来ていた。
まさかあの一瞬で・・
ケルドゥンは回転蹴りを繰り出した瞬間に神龍が斬りつけていたことに気づいた。
「俺に傷をつけたのはベジータ以外に二人目だな。厄介な奴だな・・」
「貴様も十分に厄介な奴だ。破壊神ベジータも・・闘神も・・」
「随分と恨みを持ってるみたいだな?ベジータには数回しか会ってないってのにな。」
「何度会っても変わらぬものだってある・・あいつは・・気に入らん・・」
神龍が目つきを悪くするとケルドゥンがその目を見て、ふと嘗てのことを思い出した。


『同じ神に仕えるものとして、貴様は何故そんな者に就く?!!』
『許さぬぞ!!破壊神!!それに仕える獣めが!!』

龍神族も同類である神獣族も、同じ目をしていた・・・

でも・・それでも自分は・・


『自分で決めろ。このままただの獣として成り果てるか・・茨の道を進んでても俺について来るか・・選べ。自分の道を・・獣道と茨道を・・』


「てめえがベジータを気に入らなくてもな、俺はあいつに就いているんだよ。意外といいもんだぜ、茨道はな!!」
ケルドゥンがそう言うと同時に地面を蹴った。神龍が刀を構える。

「なるほど、茨を歩く獣か。ならば私は天道を作る貴公子だ!!」

カイ 2012年08月03日 (金) 23時59分(2337)
タイトル:従者を止める主達

ガキン!!!
その場が静まり返った・・
二人の刃がぶつかる寸前、二人は目を見開いた。
「はい。そこまで。」
聞き覚えのある声に神龍は刀をすぐに避け跪き、ケルドゥンは眉をひそめる。
「喧嘩を止めるのはご法度だぜ?俺は売られた喧嘩は買うけど、買った喧嘩を止められるのは嫌いなんだよな?」
「ケルドゥン。そこまでにしておけ。」
止められたことに苛立ったケルドゥンを止める声が背後からし、ケルドゥンは振り返る。
「何だよ、ベジータ。いきなり。俺が水を差されたりすんの嫌いなの知ってるだろ?」
「お前は何を見ていたのだ?お前の攻撃とそこの龍を同時に止めることができる者を俺以外にいると思うか?」
「お前以外・・まさか・・」
ケルドゥンはベジータの言葉にようやく理解し、おそるおそる振り向いた。そして戦いに割って入ってきた者の顔を見た。
「そいつが・・全能神だ。」
なるほどとケルドゥンは全能神ー悟空の顔をマジマジ見る。すると悟空は気づき柔らかな笑みを浮かべた。
「悪いな、二人とも。このままじゃ星が危ういと思ったから来たんだ。ケルドゥンだっけ?オラは悟空。カカロットとも呼ばれてるけど、悟空って呼んでくれ。」
「じゃあ悟空って呼ぶ。カカロットはベジータだけが呼んでるみたいだし。それにしても、この堅物の従者が仕えてるのはどんな堅物者かと思ったけど・・違うな。」
ケルドゥンが拍子抜けだと言うと、悟空は首を傾げる。
「主様。申し訳ありません、さっさと片付けるつもりが・・」
「いいよ、気にすんな。神龍、戻るぞ。」
かしこまりましたと神龍が言うとケルドゥンがにやりと笑う。
「物事が柔らかそうな主で安心したよ、堅物の反対で。」
ケルドゥンが言うと神龍はきっと睨みつける。
「ケルドゥン、戻るぞ。」
ベジータが言うとケルドゥンはへえへえと言いながら二人に背を向け歩き出した。

カイ 2012年09月17日 (月) 18時22分(2456)
タイトル:破壊神の野望

「なあベジータ。一応聞くけど、ずいぶん執着してるんだな?全能神に。自分と破壊と戦い以外には興味さえ記さないお前が。」
「ふん・・興味だと?」
ケルドゥンが言うとベジータはにやりと笑う。ケルドゥンが違うのか?と首を傾げる。
「何年貴様は俺の下で仕えている?俺は楽しみを後から取っておく主義なだけだ。あいつの懐に入り込み、隙をついてあいつを殺す。それまではあいつを監視しておくだけだ。興味なんて更々ない・・」
それが執着以外なんだというのかとケルドゥンは思ったが、言えば拳銃で撃たれそうなので黙っておくことにした。
「まあお前が何をしようが俺はお前に仕えるだけだし、お前についてくだけだから。」
「だったら黙ってろ。俺に見捨てられたくないならな・・」
ベジータはそう言うと手を出す。そして指を鳴らした・・



「ベジータ様!!どこに行ってらしたんですか?!!」
「うるさい。少し闘神達が飛ばされた所に行っていただけだ、そう騒ぐな。」
ベジータとケルドゥンが闘神界に戻ると部下の一人が彼らを出迎えた。ベジータは眉間に皺を寄せながら部下にどこに行っていたかを言った後スタスタと通り過ぎた。その後をケルドゥンが続くと部下がケルドゥンの肩を掴み、呼び止める。
「おい、貴様。勝手にどこに行っていた?ベジータ様と一緒ということは、貴様も同じ所にいたのだろう?」
部下がケルドゥンに言うとケルドゥンはうんざりするような顔でうるせえなと言い、
「俺がどこに行こうが俺の勝手だろうが?一応ベジータには許可もらったからいちいち言わなくてもいいだろうが?こざかしい。」
部下の腕を振り払った。すると部下はケルドゥンの言葉にムッとし、今度はケルドゥンの胸倉を掴んだ。
「貴様!!ベジータ様の下に仕えているだけのくせに、ましてや獣の分際でいい気になるなよ!!」
部下が睨みつけるがケルドゥンは大して表情も変えず言い放つ。
「ずいぶん言うじゃねえか。格下の分際でよ・・」
そしてケルドゥンは胸倉を掴んでいる部下の手を掴んだ。そして力を込め腕を払う。部下は掴まれている腕を外そうとするがびくともせず、逆に強い力で握られ、顔が歪みはじめた。
「そういうセリフは俺より上になってから言うんだな?この獣より上にな。唯でさえこっちは、仕留め損なった龍一匹にイライラしてんだからよ。」
「おい、ケルドゥン!!やめねえか!!」
第三者の声が聞こえ、ケルドゥンが舌打ちしながら声のする方を見ると、そこにはナッパがいた。
「勝手に仕掛けてきたのはこいつだぜ?俺が買われた喧嘩を邪魔されること嫌いだって知ってんだろうが?ナッパ。」
「ナッパ様と呼べ。いちいち廊下を汚すなといつも言ってるだろう。」
ナッパが部下を助けに止めたのではなく、ケルドゥンがいつも喧嘩で廊下を汚し、それを掃除するのが面倒だからという理由で止めたのだということに気づいたケルドゥンは、部下より廊下かよと肩をすくめる。
「あのなあ・・「おい、ケルドゥン。何をしている?さっさとそいつを離して、こっちに来い。」
ケルドゥンの言葉を遮ってベジータが言うと、ケルドゥンはまたもや舌打ちして部下から手を離した。
「腕だけすんでよかったな。ベジータに感謝しろよ。」
ケルドゥンがそう言った後部下に背を向ける。部下が握られ指の跡がついた腕を押さえながらケルドゥンを睨みつける。
「まあしいて言うならベジータと同じ所だよ。ちょっといざこざでベジータに止められたけどな。」
ケルドゥンがそう言うと部下はやはりという顔をした。そして更にケルドゥンを睨みつける。
「俺を睨みつける暇があったら、さっさと怪我治して次の戦いの準備でもしろよ。俺より先にベジータに見捨てられる前にな。」
そういい残し、ケルドゥンはさっさとベジータの方に向かって行った。
「獣風情が・・」

カイ 2012年10月07日 (日) 00時41分(2513)
タイトル:全能神の言葉

「神龍。今日ベジータが来るからお茶出しておいてくれ。」
全能神界に戻って主様は一度も闘神界に行っていなかった。ベジータが来ることに神龍は不機嫌丸出しの顔のまま、かしこまりましたと掃除を終わらせ、悟空の横を通り過ぎた。
「何だ?ずいぶん不機嫌だな?そんなにベジータが嫌いか?」
「嫌いです。」
否定することもなく言う神龍に悟空は何でだ?と神龍に尋ねた。
「あいつは闘神を束ねる長でもありながら、我ら龍神族などをたくさん殺してきました。第一、初めて会った時から気に入りません。」
「おめえはずいぶん闘神を嫌ってるんだな?・・・オラが生み出したからか・・?」
悟空の言葉に神龍ははっとして、黙った。

「ごめんな、神龍。オラがもっと早くおめえらのこと気づいていたら・・」
「そんなことありません!!」
神龍が叫ぶと悟空は顔を上げてきょとんとする。
「私は少なくとも、あなたがあの時言った言葉が全てを変えてくれたことに感謝しています!!それに悪いのは、あなたではく、自分達のやっていることに気づきもせず、罪だということを自覚しないあいつらです!!だからあなただけが悪いわけじゃありません!!」


『今日本日を持って、龍神族の全てはこの全能神が一任する!!龍神族に危害を加えた者は、この全能神を敵に回すと思え!!』


「私はまだ幼かったからわかりませんでしたが、でもあれ以来龍神族などの被害は確実に減り、平穏が訪れた。」
神龍がそう言うと悟空は笑った。

カイ 2013年01月19日 (土) 23時22分(2690)
タイトル:同じ従者との再会

「今日は全能神様に客人が来るらしいぞ。」
「全能神様にそれはどんな方なのだ?」
「聞いた話によると堅物な方だから俺たちは会わない方がいいと言われてる。」
「でも、あの方もずいぶんと物好きな方だな・・」
所々聞こえる声に、神龍は準備をしながら聞いていた。
堅物?あんな風上にも置けん奴をどうしてそう言えるのだ?神龍は心の中で呟いていた。


「なあベジータ。何で俺まで行かなきゃいけねえの?」
「俺はついて来いとは言ってないぞ。勝手についてきたのはお前だろう?」
ベジータが黒いフードを被りながら言うと同じくフードを被ったケルドゥンはまあそうだけどよと呟く。
「全能神の従者がいるぞって言ったら行きたくなるに決まってんじゃん。それに俺は今まであんたがいなくなるのに気づいてなかったわけだし。」
一応あんたの従者だからなと言うとベジータはふんと言いながら門を潜った。



「ようこそ、ベジータ。」
「貴様はずいぶんと軽い男だな、カカロット。少しは警戒心というのを考えんのか?」
悟空がいつもの白い衣姿と笑顔で迎えるので、ベジータは言う。
「そうか?だってベジータ。全然気が穏やかだからよ。」


「穏やかなのは・・・貴様だけだ・・」
「へ?」



ガキン!!!!


「何で貴様がここにいる?」
「てめえの間抜け面・・拝みに来ただけだ!!」

悟空が音のする方を向くと、そこには自分達の従者が互いの武器でぶつかっていた。

カイ 2013年01月19日 (土) 23時43分(2693)
タイトル:全能神と破壊神の心

「あり?やっぱり始まっちまったか・・」
二人の従者が突然ぶつかり合ったのを見て、悟空は大して表情も変えず、むしろ間抜けな声を出した。すると隣にいたベジータは呆れにも似た顔で悟空を見る。
「今更何を言う?こうなることを貴様なら予測していただろう?その『未来余見の力』で・・」
ベジータが言うと悟空はぴくりと反応し、ベジータを見た後ベジータの傍を離れた。すると・・

ガキン!!
「後ろからはねえんじゃねえの?」
悟空がベジータに背中を見せた瞬間、ベジータは悟空に斬りかかった。が、悟空は予想していたのか、背中を見せたままベジータの剣を刀で受け止めていた。
「それも『未来余見の力』か・・?」
「そう何度も未来ばっか見てたら、オラだってつまんねえよ。この力がいつも見るとは限らないかんな・・・言っとくけど、今のはおめえの殺気に反応しただけだ。」
「じゃあこの間の闘神達を違う所にワープさせたのをわざわざ俺に気づかせたのは何故だ?」
「何だ気づいてたのか?」
「相変わらず勘に障る言葉を発する男だな・・あんなことができるのは、全能神である貴様と俺以外に誰ができるというのだ?」
「さすがベジータだな・・」
悟空はそう言うと刀を収める。
「今まで闘神達の異変が起きていたのはわかっていた。そしてそれが違う所にワープさせられていたのがな・・」
「オラはもう・・あいつらにこれ以上『罪』を起こしてほしくねえんだよ。それにそれをわざわざおめえに気づかせたのは、おめえだったらどんな反応をするのか見たかっただけさ。」
悟空がそう言うとベジータはフルフルと体が震えていた。

「相変わらず・・貴様は・・ムカつく野郎だ!!」
ベジータが叫ぶと同時にまた斬りかかり、悟空は今度は向き直るようにベジータの剣を受け止めた。

「悪いな、ベジータ。反応するのを見たかったんじゃねえ。オラはおめえには、『嘘』を吐きたくなかっただけだ。」
「ずいぶん甘くなったな、カカロット!!だが、何故だ?!あいつらに『罪』を犯してほしくないのなら、さっさと殺せばいいだけだ!!俺ならそうしてる!!」
「!」
ベジータの言葉に悟空の目が変わり、ベジータが気づく瞬間ベジータは地面に叩きつけられた。そして目の前に悟空の刀が迫っていた!!咄嗟にベジータは目を瞑った。


ドーーン!!!
「ベジータ!!」


辺りを煙が舞い、神龍とケルドゥンは砂煙で目が開けられなかった。だんだん煙が晴れていくと、悟空の刀がベジータの首筋ギリギリで止まっていた。


「もう・・オラは・・誰かを殺したくねえんだ・・」

悟空はそう言うと刀を抜き、ベジータから降りた。

「来てくれてすまねえが今日は帰ってくれ。本当に悪りいけど・・」
悟空が言うとベジータは舌打ちして起き上がり、悟空の傍を通り過ぎる。

「これですむと思うなよ、カカロット。もう貴様とは・・敵同士だ!!」

カイ 2013年03月02日 (土) 14時47分(2729)
タイトル:動き出す歯車

あれからベジータは姿を現さず、主様は闘神界に行かなかった・・・
でも主様は相変わらずで、いつものように笑っていた。でもそれが私にはなぜか不自然で、辛そうに思えた・・

もしかしたらこの頃から・・運命の歯車は・・回っていたのかもしれない・・


「今日の宇宙の状態の報告書です。」
出された書類に目を通した悟空はしばらく首を傾げた後、溜息を吐いた。
「やっぱりか・・」
溜息を吐いた悟空に神龍が声をかけようとした瞬間、床が揺れた。地震かと思ったが、すぐに収まり、悟空を見ると床に手を付いて力で揺れを弱めていた。しばらくすると悟空は顔を上げ、何をか悟った表情をしたまま瞬間移動で姿を消してしまった。
「主様!!」
「心配ねえよ、神龍。悟空は必ず帰ってくる・・待とうぜ。」
「しかし!!」
「神龍。主を待つのも従者の役目だぜ。それに俺達半身も主だろう?」
カカの言葉に神龍は苦い顔をしながらもわかりましたと頷いた。神龍の顔を見てカカは肩をすくめた後、呟いた。


「「ベジータ・・これが・・・おめえの望みなのか・・?」」
悟空は荒れ果てた惑星に来ていた。その顔にはいつもの笑みはなく、ただ悲しそうだった・・渇いた地面に手を置いて惑星の記憶を読み取ると、ここはどうやら荒れ果てる前は、賑やかで平和な惑星だったらしい・・
「ごめんな・・オラのせいで・・」
「人殺し!!」
「!」
ガッと頭に何かをぶつけられた。どうやら石だったらしい・・見ると子供とその母親らしき人がいた。
「あんたが闘神を作ったから、知識の神なんか作ったから・・・私達は全てを失ったのよ!!この人殺し!!」
「何で・・それを・・」
「破壊神が言っていた!!悪いのは俺にそいつらを任せた全能神だと!!ここに後で全能神が来ると!!恨むのなら、全能神を恨めと!!」
「そうだ!!お前なんか死んでしまえ!!」
「違う!!確かに悪いのはオラだ!!でもー」
悟空は投げつけられ続ける石に何とか耐えながら言おうとすると、石を投げつけた二人は糸が切れた人形のように倒れた。悟空ははっとして二人に駆け寄った。
「おい!!しっかりしろ!!」
悟空が二人を抱き上げると二人の胸から宝石のような欠片が埋め込まれていた。
「これは死にゆく者を一時的に生き長らえさせる「反魂石」。でも術者の術が切れれば後はただの屍になるだけの只の石・・まさか・・ベジータが・・」
「ごめんなさい・・」
「え?」
「自分の恨みをぶつければ・・惑星を元通りにするって・・破壊神に言われたの。」
「そうだったのか・・ごめんな、オラのせいで。」
悔し涙を流す悟空を見て、母親はニコリと笑った。
「でも・・来てくれたのね、全能神様。貴方が全能神様でいてくれて・・よかったわ。」
「本当にすまねえ。でも必ず生き返らせるから!!約束するから!!」
「ありがとう・・・」
そう言って母親は目を閉じた・・そして子供も目を閉じ、二度と目を開けることはなかった・・


「ベジータ・・オラ達は・・もう戻れねえんだな・・」

カイ 2013年03月08日 (金) 21時06分(2749)
タイトル:悟空の決意

「え?どちらにお出かけに?」
「あーちょっと、そこまでな。」
「そこまでって何処まですか?はっきりしてください。」
「あー、わかったよ。神龍。そんなに追求すんなって。」
神龍の顔を見て悟空は溜息を吐いた。神龍の顔は理由を言わない限り、行かせないという顔をしている。最近の宇宙の乱れが原因で宇宙中に危険な状態が続いているので、神龍の悟空への監視の目は鋭くなっているのだ。悟空は頭を掻いた後根負けして話し始めた。
「実はな、大界王神に用があって行くんだ。まあ野暮用だな。」
「野暮用ですか?界王神界に行くのでしたら、側近である私も行くべきでは?」
「大界王神と二人で話してえから、おめえはいいんだよ。」
「そういうわけにはいきません。ただでさえ、全能神である貴方のことをどれだけの者が把握しているとはわかりませんが、一人で行くのは危険です。」
「大丈夫だよ。オラ、強いから。」
「ですが、貴方のことですから万一のことがあっては危険です。ただでさえ、貴方のことを・・・」
「よく思ってない奴もいんだろう?先代の神の眷族もいることはいるしな・・」
「・・・」
「わかったよ、神龍。そこまで言うなら来ていいぞ。でも、大界王神と話す時は、聞き耳とか立てんなよ。あいつとは二人で話さなきゃいけないことだし。」
「かしこまりました。」


「そろそろ、悟飯と悟天、ウーブのこと決めなきゃいけねえしな・・」
悟空はそう言うとフードを深く被り、冠を乗せた。




のどかな界王神界。自然に包まれたようなそこは、まさに楽園であった。まるでそこだけ、争いなど忘れてしまいそうなくらいだった・・
「全能神界と同じように作ってよかった・・」
悟空はフードと冠がずれないようにフードの端を掴んで降り立った。続いて神龍も降り立つ。神龍は降り立った後、悟空と同じフードを被る。
「おめえはしなくていいんじゃねえの?」
「一応全能神様のことは極秘ですから、側近である私にも必要かと。」
「そうか・・・」
「ところで主様。一応お聞きしますが、ここには何をしに?それだけ聞くのだけはお許しください。」


「ここにはオラの決意を改めるために来たんだ。」

カイ 2013年08月15日 (木) 23時45分(2821)
タイトル:大界王神との再会

のどかで笑い声がする界王神界。そこに降り立った悟空は、笑いあう声を身近で聞きながら、歩を進めた。すると、目の前に立ちはだかる影があった。
「お前は、誰じゃ?見たところ、界王でも、ビルス様でもなさそうだが?」
「大界王神はいるか?用があるんだが。」
悟空は目の前に立ちはだかる人物の質問には答えず、逆に質問すると、正装をした男は怒りを露わにする。
「貴様!!質問しているのは、私だ!無礼であるぞ!!」
「あ〜、悪いな。連絡してなかったから、知らねえよな。まあ、大界王神に用があんだよ。全能神って言えばいいか?

「貴様が全能神様だと!!??ふざけるな!!全能神様の名を語る無礼者め!!さっさと帰れ!!」
「(貴様・・・)」
神龍が男の言葉に苛立ち、刀に手を掛けようとすると悟空が手で制する。
「無駄な戦いはしたくねえんだが・・・緊急を要することなんで、通らせてもらうぜ。」
そう言うと悟空はフードから覗く目を赤に変え、気を上げた。




「!!!」
「どうなされました?ビルス様。」
「いや、何か悟空が珍しく界王神界で何かやってるなあ・・と思って。」
「しばらくお茶会はできそうにないと言っていたことに関係あるんでしょうか?」
「さあね。此処ん所、ベジータが荒れてるのか僕もあっちこっち引っ張りだこだからそこまで気が回んないよ。」
「ビルス様。その後始末、私がやってることわかってますか?」
「さあて今日のおやつ食べよう。」
「無視しないでくださいね!」



「人がせっかくいい気分で寝てたのに、叩き起こすなんて相変わらずですね、全能神・カカロット様。」
「その名前はやめろって言っただろう?それにオラには敬語はいいって言ったじゃねえか。」
「すまない、悟空。で、連絡もせず、今日は何しに此処界王神界に?全能神様。」

「おめえに頼みてえことがあったんだ、大界王神。」

カイ 2013年09月08日 (日) 22時47分(2826)
タイトル:ウーブの行く末

「それで頼みたいこととは?」
「ここじゃあれだから中で話してもいいか?こいつ運ばなきゃいけねえし。」
「わかりました。部下に運ばせますのでこちらへ。」
悟空は気を上げたことにより、気絶してしまった男を指差すと大界王神は何があったか理解すると、二人を手招きする。
大界王神の神殿に案内された悟空と神龍は、大界王神の部屋で待たされた。しばらくすると部下にお茶とお菓子を頼みに行った大界王神が戻ってくると悟空は神龍を廊下で待機される。
「何かあったらお呼びくださいませ。」
神龍がそう言うと悟空は返事をした後大界王神の向かいの椅子に腰掛けた。
「それで頼みたいこととは?」
「実は最近の破壊神の状況知ってるか?」
「破壊神?ビルス様のことではなさそうですね。確か・・「ベジータ。」そう、それ。」
「おめえ大界王神だろう?大界王神がそれじゃあ、部下に示しがつかねえぞ?」
「全能神のあんたが少しは常識があるようで何よりだよ、私は。」
「・・まあいいや。ところで、そいつが暴れまわってることぐらいはさすがのおめえでも知ってるだろう?」
「その破壊神の破壊活動はあのビルス様とは訳が違う。ビルス様は一度決めたことは曲げない破壊衝動のお人だが、決して間違ったことはしないお方だ。だが、あの破壊神ベジータとういう破壊神はまるで見せ付けるかのように破壊する。あれは破壊ではない・・崩壊行動。
消滅行動だ。早急に止めなければ、全てが虚無・・我々には・・もう止められない・・」
「・・悪いな。ただでさえ、界王だけじゃなく界王神が出っ張ってるってのに。」
「・・・辛気臭い話はもうやめますか・・それで?」
「こんだけ界王神界や宇宙中が荒れてんだ。人手不足だろう?だから・・俺の弟子の一人をおめえらに預けるっつーか、引き渡す。」
「弟子?」
「おう、名前はウーブ。二番弟子であり、俺の弟みたいな奴だ。戦力にはなると思うぜ。俺の弟子だし、あいつにはいろいろと叩き込んでいるしな。」
そう言う悟空の目は決意の色をしていた。

カイ 2013年09月23日 (月) 00時09分(2828)
タイトル:背負う覚悟

大切なものだからこそ、気づけないことが多い・・

でも、大切だと思う前に・・それが壊れる前に・・突き放してしまおう・・


「ずいぶんと急な話ですね?相変わらず・・読めるようで読めないお方だ。」
「まあそう言うな。オラだってこれでも精一杯考えたんだぞ?近々、ベジータと全面対決する日はそう遠くないってことくらい・・だからこそウーブをおめえに頼みに来たんだ。」
「おや?力がある者は自分と同じように戦わせるのでは?もう強い奴とは戦いたいと思う心はないのですか?」
「それは今も昔も変わっちゃいねえ。だけど、ウーブは悟飯や悟天と違って、心を壊してしまう恐れがある・・視えちまったんだよ・・ウーブの『壊れてしまう心の姿』が・・」
そう言って悟空はフードで目元を隠すように頭を抱える。その手は震えていた・・・
そんな悟空を見て、大界王神は複雑な顔をして部下が持ってきたティーポットを持って、悟空に出してあるカップに紅茶を注いだ。
「また見えてしまったんですか?『未来余見』の瞳が・・」
「正直、こんな目・・なければいいのにな・・何度目を潰そうとしても、すぐに元に戻る。
そして未来だけじゃない・・そいつの顔や声、名前まで聞くだけでそいつの過去や全てがまるで手に取るようにわかる・・これはまさに『呪いの目』。」
「つまりそれは全てが見えてしまう・・・『全能の瞳』。『神眼』とも呼ばれる。そして全てが聞こえてしまう『神耳』も貴方にある・・全てに属さない代わりに全てを得て、全てのものを見て、聞いて、感じて負う者。故に貴方は全能神と呼ばれた・・だからこそですが?
ウーブや貴方の子供を手放すのは・・」
「そのためにここに来たんだよ。大界王神、約束してもいいか?もし、ウーブの心が壊れる原因がもしもオラなら・・・その時は何があってもあいつを止めてくれ。」
「やはり・・貴方は・・「頼む!!それ以上、言わないでくれ!!」
悟空が叫ぶと大界王神は黙った。しばらくして悟空は口を開いた。


「正直、これから未来は変わるかもしれねえ・・そう願いたい。でも、オラ。神じゃなくて普通の人間としてもし生まれ変われるんなら・・・出来る限り守ってやりたい。
そしていつか・・転生した弟子と戦いたい。」
「何でですか?」
「だって、暴走して道を踏み外した弟子を止めるのは、師匠だからな。」
「私達がもしそうなる前に殺して転生もできなかったら?」
「おめえらの力を見くびってるわけでも、弱いと思ってるわけじゃねえよ。ただ、これだけは言っとくぞ。」
悟空はフード越しで目を光らせた後、ビシッと指を突きつけた。


「オラの弟子のウーブと従者でもある神龍は、オラが認めるくらい強ぇからな!!だって、オラの弟子だからな!!」
「相変わらず勝手なお人だ・・」
「勿論、悟飯も悟天もな!!まだ小さいけど。」
「ちなみにウーブは預かるとして、お子さんはどうするつもりで?確か元は闘神の実験体と聞きますし。」
「それなら界王に頼むことにする。界王に頼んで、地上に送るつもりだ。」
「では、神龍は?いくら貴方の弟子でも、神龍が私達の所に来ることを縦に振るとは思いませんが?」
大界王神が尋ねると、悟空はそれも大丈夫だと言う。大界王神は根拠は?と尋ねる。

「あいつには龍神界に戻ってもらうつもりだ。オラみたいな所にいるより、故郷で幸せになったほうがいい。結界も作ってもう来れないようにする。」
悟空はそう言うと紅茶を啜った後、立ち上がった。

「全ての力を得て感じるのも全能神なら・・全ての『業』を背負うのも・・全能神の役目だ。」

カイ 2013年12月07日 (土) 23時19分(2845)


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