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日本人千年の教科書『実語教』 (7369)
日時:2013年03月30日 (土) 04時10分
名前:伝統

『実語教』で生き方を学んできた日本人

    *月刊『致知』2013年3月号
     <幻の教科書『実語教』 齋藤孝(明治大学教授)>より


《日本人千年の教科書『実語教』》

平安時代末期から明治の初めまで、
子供たちの教育のために約千年もの間使われてきた教科書、『実語教(じつごきょう)』。

『実語教』によって子供たちは先人たちの智恵と精神を学び、
それを自らが生きる支えにしてきました。

「山高きが故に貴からず」に始まり、実践で得られた知恵の価値を不朽のものとし、
学問に励むことの必要性について説かれている。

明治以降近代日本の初等教育においても、この内容の多くが倫理規範として採用され、
後世に影響を与えた。




《「学問のすすめ」と「実語教」》

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり」

―― 福沢諭吉『学問のすゝめ』の冒頭にある有名な言葉です。

諭吉はここで、人間はみな平等につくられていることを高らかに宣言しています。

しかし、そのすぐ後に

「されども今広くこの人間世界を見渡すに、
 かしこき人あり、おろかなる人あり、貧しきもあり、富めるもあり、貴人もあり、下人もありて、
 その有様雲と泥との相違あるに似たるは何ぞや」

といって、この世の中に貧富や貴賤の差があることを指摘しているのです。

なぜ平等に生まれたはずの人間に、差ができてしまうのか。
諭吉はその理由を次のようにいっています。


「『実語教』に、人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なりとあり。
 されば賢人と愚人との別は学ぶと学ばざるとに由て出来るものなり」


『実語教』に

「人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なり」

という言葉があるように、賢い人と愚かな人の差は
学ぶか学ばないかによって決まるのだ、というわけです。

さらに、世の中には医者や学者や政府の役人や経営者などの難しい仕事もあれば、
力仕事のような簡単な仕事もあるが、難しい仕事にはどうしても学んでいる人がつき、
学んでいない人には簡単な仕事しか回ってこない、
と非常に具体的に述べています。

つまり、しっかりした仕事につきたいのならば、
一所懸命に勉強して智恵を身につけなくてはいけない。
それは『実語教』に書かれているとおりだ、というわけです。


日本の近代を開いた『学問のすゝめ』は、『実語教』を下敷きとして書かれたものだったのです。


この『実語教』という本は、平安時代の終わりにできたといわれます。

弘法大師の作という説もありますが、本当のところは分かりません。

子供たちの教育に使われ、鎌倉時代に普及し、江戸時代には寺子屋の教科書となりました。
明治時代になっても、しばらく使われていたようです。
ですから、だいたい千年近くずっと使われていたことになります。 これはすごいことです。

なぜ『実語教』がそれほど重宝されてきたかというと、
学びの大切さ、両親・先生・目上の人への礼儀、兄弟・友達・後輩との付き合い方など、
人間が世の中で生きていく上で欠かせない大切な智恵が詰まっていたからです。

昔は、子どもの頃に『実語教』をしっかり学んで自分のものにしてしまえば、
自然と立派な大人になれるようになっていたのです。

           <感謝合掌 平成25年3月30日 頓首再拝>

「富と智」「財と学」(実語教より) (7387)
日時:2013年04月01日 (月) 03時37分
名前:伝統

     *月刊『致知』2013年3月号&その他資料より

(1)「富と智」

     富是一生財 身滅即共滅 : 富は是一生の財。身滅すれば即ち共に滅す。
     智是万代財 命終即随行 : 智は是万代の財。命終われば即ち随って行く。

   富は自分が生きている間は大切なものですが、
   死んでしまえば墓の中まで持っていけるものではありません。

   それに対して智慧は万代も後まで残るものです。
   自分が死んでも、子孫へと受け継がれていくものです。


(2)「財と学」

     倉内財有朽 身内財無朽 : 倉の内の財は朽つること有り。身の内の財は朽ちること無し。
     雖積千両金 不如一日学 : 千両の金を積むと雖も。一日の学に如かず。

   倉の中に大切にしまっておいた財産でも、なくなってしまうことがあります。
   しかし、一度身についた智慧や能力はなくなることがありません。

   いくら大金を積んでも、一日一日の学びには及ばないのです。

           <感謝合掌 平成25年4月1日 頓首再拝>

親や恩師の大切さを教える言葉(実語教より) (7471)
日時:2013年04月04日 (木) 03時37分
名前:伝統


     *月刊『致知』2013年3月号&その他資料より

上の記事「「富と智」「財と学」(実語教より) (7387)」は、
学んで智恵を身につける意味を教えています。

続いて、親や恩師の大切さを教える言葉があります。

・・・

   父母如天地 : 父母は天地の如し。
   師君如日月 : 師君は日月の如し。

   親族譬如葦 : 親族譬ば葦の如し。
   夫妻猶如瓦 : 夫妻は猶瓦の如く。

   父母孝朝夕 : 父母には朝夕に孝せよ。
   師君仕昼夜 : 師君には昼夜に仕えよ。


父母は天地のような存在であり、
先生や指導者は太陽や月のような存在です。

親戚はたくさんいても、先生になるとは限りません。
夫婦も互いが先生になるわけではありません。

ですから、両親は大切にして、いつも孝行をしなさい。
先生は尊敬して、いつもその言葉にしたがって学びなさい。

           <感謝合掌 平成25年4月4日 頓首再拝>

世の中の仕組みを教える言葉(実語教より) (7511)
日時:2013年04月06日 (土) 03時35分
名前:伝統


     *月刊『致知』2013年3月号&その他資料より

   修善者蒙福 : 善を修する者は福を蒙(こうむ)る。
   譬如響応音 : 譬ば響きの音に応ずるが如し。

   好悪者招禍 : 悪を好む者は禍を招く。
   宛如随身影 : あたかも身に影の随うが如し。

善い行ないをする人には幸福が訪れます。
それは例えば、こだまが返ってくるようなものです。

悪事を好む人は禍を招きます。
それは例えば、自分の体に影がついて回るようなものです。

・・・

このように『実語教』は、人間として知っておくべき智恵を分りやすいたとえを交えて
やさしく説いています。その内容は、いまも通用するものばかりです。

要するに、子供の頃に『実語教』を学んで身につけてしまえば、自動的に立派な日本人として
生きていけるようになっていたのです。

私(齋藤孝)は、日本人の生き方の基本が、すべてここに含まれていたといっていいようにも
考えています。

           <感謝合掌 平成25年4月6日 頓首再拝>

日本をつくった人々の基礎となった『実語教』 (7534)
日時:2013年04月07日 (日) 03時41分
名前:伝統

        *月刊『致知』2013年3月号 より

幼年時代より寺子屋で『実語教』を学んでいた江戸時代の人々は、
学びの大切さをよく知っていたのでしょう。

総じて勉強の意欲が高くて、漢文で書かれた本も一所懸命に学んでいました。
それが明治維新へと繋がっていくのです。

明治維新は日本の日本の近代化の第一歩となった出来事です。
これ以後、日本は、科学技術を導入し、工場をつくって大量生産を行ない、
銀行のような金融システムや民主主義のような政治システムを整えて、国の形を変えていきます。

その結果、当時の東洋で近代化に成功した唯一の国になりました。

これを見た世界各国は、東洋の小さな島国が、西洋諸国が長年かけて実現した近代化を
どうして僅かな時間で成し遂げたのかと驚き、不思議に思いました。
「日本は奇跡の国だ」ともいわれました。

しかし、この奇跡には理由があったのです。
それは日本人の学力の高さです。

子供の頃から『実語教』や『童子教』を読んでいた日本人には、学ぶ姿勢が身についていました。
そのため、福沢諭吉や中村正直が外国の本を翻訳し、
「文明国ではこんなことが行なわれている。これを日本にも取り入れよう」というと、

昨日までちょんまげを結って着物姿で町を歩いていたような人々が一斉にちょんまげを切って、
西洋の学問を学び始めたのです。

つまり、日本の近代化の基礎をつくった人たちの、そのまた基礎に『実語教』があったのです。

その後、日本は近代国家への道を歩みますが、アメリカとの戦争に破れ、大きな挫折を経験します。
それでも焼け野原の中から立ち上がり、たった50年あまりで世界一、ニ位を争う経済大国に
なりました。

戦後の日本を立て直した人たちは、戦前に教育を受けた人たちです。
この人たちは『実語教』こそ学ばなかったものの、それと同じ内容を、
「教育勅語」などを通して学んでいました。

すなわち、学問の大切さを知り、年長者に対する礼儀を学び、弱き者には慈愛をもって接する
ことを学んでいたのです。

そういう人たちが、日本をもう一度強い国に立て直していきました。
何がなくても文句をいわずに真面目に働き続けて、再び日本に強い流れを起したのです。

そのように努力して先人がつくった社会に、私たちがいま生きていることを忘れてはいけません。
当然私たちにも、この社会を勢いあるものにして次世代に受け渡す責務があります。
そのために、常に学ばなければならないのです。

もしも私たちが学びを忘れてしまえば、やがて水の勢いは弱まってしまうでしょう。
それは日本という国の終りを意味しているといってもいいのです。

           <感謝合掌 平成25年4月7日 頓首再拝>

すべては『実語教』から始まる (7576)
日時:2013年04月10日 (水) 03時43分
名前:伝統

        *月刊『致知』2013年3月号 より

日本人は真面目で、我慢強くて、何ごとにも一所懸命です。
お互いに助け合うという、素晴らしい心を持っています。
それは東日本大震災の時にも発揮され、世界中から称賛されました。

あの大震災のあとも、日本人は揺れ動く大地の上で頑張って生きています。
日本人はこの日本列島の上でいきていくしかないのだと、改めて思いました。

地面はまだ揺れるかもしれません。しかし、いま突然揺れ始めたわけでもありません。
過去、大きな地震がたくさんありました。
日本人は、ずっとそういう中で生きてきたのです。

ある人の説では、天災が多い地域では民族の結束力が高まって一体感がもちやすくなり、
みんなが努力するようになるのだそうです。それは本当だと私も思います。

困っている人がたくさんいるからこそ、いまはみんなが心を合わせて頑張っていこう、
日本が一つのチームになって全員が困難に打ち克っていこうという雰囲気が感じられます。

日本が天然資源の少ない小さな国です。
だからこそ、そこに住まう人々全員が、一所懸命に学んで、アイデアを出し合って
困難を乗り切っていく必要があるのです。

日本はコンパクトにまとまった国ですから、みんなが力を合わせれば、
一気に大きなパワーへと変えることもできるのです。
日本人はそうやって生きてきたのです。

いまの日本は昔に比べ貧富の差が広がっています。
みんながまとまるためには、格差ができない工夫をする必要もあるでしょう。
そして、みんなにチャンスがやってきて、やる気が出るような社会をつくっていかなくては
いけません。

もちろん、その前提となるのは、個々が、一所懸命に学ぶことです。
一生の間、気を抜かずに学び続けることなのです。

『実語教』の最後にこうあります。

   故末代学者 先可按此書 : 末代の学者、先ずこの書を案ずべし。
   是学文之始 身終勿忘失 : これ学問の始め、身終るまで亡失することなかれ。

   (どんな時代になっても学ぼうと思う人は、ますこの『実語教』を読んでください。
    これが学びの第一歩です。一生を終えるまで、学ぶことを忘れてはいけません)


『実語教』を学んだ昔の子供たちは、この言葉に触発されて、
死ぬまで勉強だと思って必死に学び続けたのです。
この学びの精神が日本をつくってきたのです。

この精神をいま一度、子供たちの教育に復活させなくてはいけません。
『実語教』に書かれている智恵をもう一度、日本人の共有財産にしていきたいと思うのです。

それは、日本がいつまでも世界の中で輝き続けるために欠かせない絶対条件であると
私は思っています。

           <感謝合掌 平成25年4月10日 頓首再拝>

気遣いや勤勉を尊ぶ日本人の国民性をつくってきた教科書 (7750)
日時:2013年04月18日 (木) 04時52分
名前:伝統

      *メルマガ「JOG-Mag (2013年04月14日)」より
       実語教〜千年にわたって、気遣いや勤勉を尊ぶ日本人の国民性をつくってきた教科書

(1)規則正しく譲り合って滑っていくたくさんの雨傘

   雨の降る渋谷ハチ公前の大きなスクランブル交差点では、色とりどりの雨傘がひしめいている。
   それを見下ろす高層ビルのレストランで、そのアメリカ人老夫婦はこんなふうに語った。

   __________
   私たち、こうするのが大好きなの。日本のことが一番よくわかるから。
   雨の日、そしてことに渋谷のような大きな交差点。
   ほら、あちこちの方向へ動く傘をよく見てごらんなさい。
   ぶつかったり、押し合ったりしないでしょ?

   バレエの舞台の群舞みたいに、規則正しくゆずり合って滑って行く。
   演出家がいるかのように。
   これだけの数の傘が集まれば、こんな光景はよそでは決して見られない。
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

   外国人が日本に来て、驚くことの一つが、日本人一人ひとりが持つ他者への気遣いである。
   他者への気遣いは日本人の国民性であるが、その国民性を作ってきた本がある。
   『実語教』という。

   と言っても、知らない人がほとんどだろう。
   平安時代の終わりに書かれたと言われ、鎌倉時代に世の中に広まって、
   江戸時代には寺子屋の教科書とされた。

   明治の大ベストセラー、福沢諭吉の『学問のすゝめ』は、
   この『実語教』を下敷きとしており、教育勅語でも同様の内容が説かれている。

   千年にもわたって、日本人の精神を作ってきた本が、ほとんど忘れ去られている、
   という点に、戦後思潮の異常さがあるのだが、その内容を実に分かりやすく解説した本が
   出版された。

   齋藤孝氏の『子どもと声に出して読みたい「実語教」』である。


(2)「お年寄りや幼い子どもを助ける」

   寺子屋などで使われていただけあって、実語教の内容は簡潔である。
   同書の末尾に素読用に大きな文字で原文が書かれているが、わずか60余行、
   全部を素読しても5分もかからない。

   内容もほとんど子どもが聴いて分かるような節が多い。
   たとえば、次のような一節がある。

     __________
     老いたるを敬うは父母の如し。
     幼(いとけなき)を愛するは子弟の如し。

           ・・・

     お年寄りを見かけたら、自分のお父さんやお母さんのように大切に敬いなさい。
     幼い子どもを見かけたら、自分の子どもや弟・妹のようにかわいがってあげなさい。
      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

   齋藤孝氏は、この節を子ども向けに分かりやすく解説している。

   __________
   まだ若いみなさんにはわからないかもしれませんが、年をとった人というのは、
   ちょっと歩くのも大変なことがあります。

   そういう大変さはなかなか伝わらないので、
   おじいさんやおばあさんが階段を上るときとか、大きな荷物を持つのに
   大変そうにしているのを見たら、すすんで手を貸してあげてください。

   「大丈夫ですか?」と手をとってあげるだけでも、お年寄りは助かるのです。
   そして、そういう行動をすると、その場の雰囲気がよくなります。

   幼い子どもも同じです。小さな子はあたり構(かま)わず、いきなり走り出して、
   転(ころ)んでしまうことがよくあります。そういう子がいたら、助け起こしてあげましょう。

   みんなが積極的にそういう行動をとる社会は、安心して暮らせるいい社会です。
   世界には、子どもが車にはねられても助けに行かないような国だってあるのです。
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

(3)ひき逃げされて血を流している幼児も助けない国

   「子どもが車にはねられても助けに行かないような国」とは、
   最近、中国であった事件をさしているのだろう。

   それは車がようやく通れるほどの細い道で、2歳の女児がひき逃げされ、
   路上で血を流して倒れているのに、そのすぐそばを18人もの人が平気で通り過ぎていった、
   という事件である。

   女児はようやく19人目のおばあさんに助けられ、病院に担ぎ込まれたが、死亡してしまった。
   この様子は一部始終が監視カメラで撮影されており、映像がネットに流れて、中国内でも
   怒りの声があがった。

   また上海の雑踏で、87歳の老人が脳梗塞で倒れ、後頭部から血を流しているのに、
   誰も助けようとしなかった。通りかかった白人女性が老人を助け、傍観している見物人に
   激怒して、罵倒したという事件も起こった。

   こういう事件がニュースになるということは、中国においても、
   「子どもやお年寄りを助けるのが良い社会」という価値観は同じだからである。
   それは世界共通の価値観なのだ。

   しかし、問題はどれだけの一般市民がそういう気遣いを実践しているか、という事である。
   欧米では、その価値観が相当に実践されているが、その欧米人が日本に来ると、
   日本人の気遣いに驚く。

   逆に同じ欧米人が、中国では倒れている老人を誰も助けないので、激怒する。
   価値観は同じでも、その実践度合いは国によって、かくも違いがある。


(4)社会とは"流れるプール"

   この違いはどこから来るのか。齋藤氏が「おわりに」に書いている内容が参考になる。
   齋藤氏が小学校5年の頃、学校のプールに1学年6クラスの生徒全員が入って、
   同じ方向にグルグル円を描くようにして歩いたことがあるという。

   __________
   しばらく歩いていると水流が起こり、すごいスピードの"流れるプール"ができあがりました。
   歩き続けているうちに水に勢いが出て、その勢いがどんどん強くなっていくのです。

   そのうち水に背中を押されるようになり、歩くのが楽になります。
   中には水流に体を預けてプカプカ浮いて、はしゃいでいる子もいましたが、
   真面目な子はずっと歩き続けていました。

   私は最近、社会というのは、この"流れるプール"みたいなものなのではないかと
   考えるようになりました。
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

   社会の道徳力とは、この水流のようなものだと思えば、理解しやすい。
   日本や欧米では、「子どもやお年寄りを助けるのが良い社会」という方向に
   水が流れているので、普通の人でも、その方向に背中を押されて、実践しやすくなる。

   中国では、過去数千年の戦争、飢饉、疫病、歴代王朝・政府の搾取のために、
   逆方向の水流が起きており、普通の人でも他人を助けるのに、相当な抵抗がある社会に
   なってしまっている。

   見物人が、倒れている老人を助けようとしない理由の一つに、
   うかつに助けると、逆に加害者だと訴えられて、慰謝料をゆすりとられる事件が
   多発しているから、というのも、その一例だ。

   筆者には中国人の友人知人も多く、個人的な道徳では立派な人も少なくない事を知っている。
   それでも社会となると、これだけの違いが出てしまうのは、
   社会の道徳力という水流の方向が違うからだ、と考えると納得できる。

   そして「子どもやお年寄りを助けるのが良い社会」という方向に、
   千年間も日本人の背中を押してきたのが実語教である。

(5)「孝」が”流れるプール”の原動力

   「老いたるを敬うは父母の如し」という言葉は、
   その水流の原動力が、父母への「孝」であることを示している。
   「人として孝なきものは、畜生に異ならず」という一節を、齋藤氏はこう解説する。

   __________
   「孝」という字は前にも説明しました。
   これは「恩」という気持ち、感謝の気持ちといってもいいでしょう。
   親に感謝して恩返しをしようとする気持ちです。

   恩を感じて生きるという姿勢を持つと、それは自分自身の心の柱にもなります。
   「ここまで育ててくれて、ありがとう」という気持ちを持っている人は、自分も強くなれます。
   
   そう考えると、恩の気持ちは単に人に感謝するだけのものではなくて、
   自分自身が豊かになっていくためにも大事なものなのです。
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

   これは「孝」がなぜ昔から、道徳の最初の項目として説かれているか、
   という事に関する見事な説明である。

   親の子どもに対する愛は無償の愛である。
   それに気がついて、親の思いを推し量ることができるようになると、
   周囲の他人にも気遣いができるようになる。

   したがって親の自分への無償の愛に気がつくことが、
   他人の心への思いやりを抱く出発点になる。

   「孝」こそが、”流れるプール”の水流を起こす最初の原動力なのである。

(6)「山高きが故に貴(たっと)からず」

   親の期待に応えて、立派な大人になるには、どうしたら良いのか。
   実語教はその冒頭でこう説く。

      __________
      山高きが故に貴(たっと)からず
      樹有るを以て貴しとす。

          ・・・
 
      山は高いからと言って価値があるわけではありません。
      そこに樹があるからこそ価値が出てくるのです。
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

   この一節を齋藤氏はこう解説する。

   __________
   なぜ樹があると貴いのでしょう?

   樹を斬って材木にして、家を建てたり、箸(はし)を作ったり、
   社会のために役立てることができるからです。
   「何かの役に立つ」ということがとても重要です。そのときに初めて価値が生まれるのです。
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

   人も同じで、社会的地位の高い人が偉いのではなく、
   世のため人のために役立つ人が偉いのである。

(7)「智有るを以て貴しとす」

   どうすれば、世のため人のために役立つ、立派な人になれるのか。第2条は続けて説く。


     __________
     人肥えたるが故に貴からず
     智有るを以て貴しとす。

         ・・・

     人は太ってふくよかであるといって立派なのではありません。
     知恵があるからこそ立派な人ということができるのです。
      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

   昔は太っているとう事は金持ちのあかしだった。
   だから、この節は財産を持つ事よりも、智を持つ方が貴い、ということである。

   人は智を持つことによって、初めて世の中の役に立てるからである。

   第4条では「人学ばざれば智なし。智なきを愚人(ぐにん)とす」として、
   智のない人は世の中の役に立たない愚人であり、そのためには学ばなければならない、
   と説いている。

   福沢諭吉の『学問のすゝめ』は、冒頭の「天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず」と
   いう一節のみが有名になって、あたかも「人間はすべて平等だ」と言っているように
   思い込んでしまうが、それは誤解である。

   諭吉はその後に続けて、世の中には賢い人も愚かな人も、金持ちも貧乏人も、
   貴人も下人もいるのは、どうしてか、と問うて、こう答える。

   __________
   『実語教』に、人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なりとあり。
   されば賢人と愚人の別は学ぶと学ばざるとによりてできるものなり。
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

   諭吉は、ここから『学問のすゝめ』を説いていく。
   その説は「人が世のため人のために役立つ人物になるには、智が必要であり、
   そのために学問が大切だ」という事で、まさに実語教の教えを下敷きにしているのである。

   江戸時代には、すでに日本人の基礎的教養になっていた実語教の教えが、
   新しい文明開化の時代にも通用する、と説いたからこそ、『学問のすゝめ』が
   大ベストセラーとなり、明治日本の急速な発展の後押しをしたのだろう。

(8)水流のエネルギーを取り戻すために

   「子どもやお年寄りを助けるのが良い社会」という方向に水流が流れている欧米と
   日本が近代化にいち早く成功したのは、偶然ではない。

   そのような水流に後押しされた国民は、世のため人のために役立つ人間になろうと努力し、
   学問に励む。そのエネルギーが国を近代化し、発展させるのである。

   個人主義教育やゆとり教育が蔓延して、いよいよその水流が弱まってきた過去20年間、
   我が国が発展のエネルギーを失って、長期停滞に落ち込んでしまったのも当然だろう。

   現下の諸問題を解決し、より幸せな国を築いていくためにこそ、
   今まで持っていた水流のエネルギーを回復させなければならない。

   「日本人の千年の教科書」と呼ばれる『実語教』が、いままた思い起こされてきたのも、
   その兆しであろう。

           <感謝合掌 平成25年4月18日 頓首再拝>

【山高きが故に貴からず】 (8331)
日時:2013年05月12日 (日) 04時56分
名前:伝統

    *メルマガ「人の心に灯をともす(2013年05月10日 )」より

   ( 斎藤孝氏の心に響く言葉より… )


   『山高(やまたか)きが故(ゆえ)に貴(たっと)からず。
   樹有(きあ)あるを以(も)って貴しとす』

   実語教(じつごきょう)のこの言葉は、
   「山が高いから貴いのではなくて、そこに樹があるから貴いのだ」といっています。

   なぜ樹があると貴いのでしょう?


   樹を切って材木にして、家を建てたり、箸(はし)を作ったり、
   社会のために役立てることができるからです。

   「何かの役に立つ」ということがとても重要です。
   そのときに初めて価値が生まれるのです。

   これは別のいい方もできます。

   たとえば、勉強ができる人はそれだけで立派なのでしょうか?
   もしもその頭を悪事のために使うとすれば、とても立派とはいえません。

   やはり、頭がいいから貴いわけではなくて、
   それを世の中のために役立つように使うところに、初めて価値が生まれるのです。


   それに不思議なのですが、自分の得になることだけを考えて勉強しても、
   あまりやる気は湧(わ)いてきません。

   ところが、世の中の役に立つ仕事をしたいという目標を立てると、
   勉強する意欲が急に湧いてくるのです。

   人間は誰でも、「世の中の役に立ちたい」という気持ちを
   心のどこかに秘めているのですね。


   頭のいい人を見たり、運動神経がすごくいい人を見たら、
   「あの人はすごいなぁ」と、うらやましく思うかもしれません。

   でも、一番大事なのは、自分の一生のうちで、
   社会のためにどれだけ役立てるか、どれだけ人が喜んでくれたか、なのです。



   宮沢賢治の書いた『虔十(けんじゅう)公園林(こうえんりん)』という童話があります。

   主人公の虔十は、ちょっと頭が鈍(にぶ)くて、まわりの人から馬鹿にされていました。
   その虔十が家の裏の野原に杉の木を植えたいといいだしたのです。

   お父さんは「虔十がそんな頼みごとをするのは珍しい」といって、
   杉苗(すぎなえ)を買って植えさせてやりました。


   ところが、土が悪くて杉はなかなか育ちません。

   それでも、虔十は下枝をきれいに伐採(ばっさい)しました。

   すると、子どもたちがその木の間を行進して、楽しそうに遊び出しました。

   虔十はそれを見て大喜びしました。


   やがて、その林で遊んでいた子どもの一人が偉い大人になって故郷に帰ってきました。

   あたりの風景は昔とすっかり変わっていましたが、
   ただ一つ、虔十の杉林だけは昔のままでした。

   虔十はすでに病気で死んでいましたが、
   家の人が「虔十のただ一つのかたみだから」といって、その土地を手放さなかったのです。


   偉くなった人は話を聞いて感激して、
   「ここを虔十公園林と名づけて保存してはどうでしょうか」と提案しました。

   すると、昔そこで遊んだ、今は立派な仕事についている人たちから、
   たくさんのお金が集まりました。

   そして、虔十の杉林は、虔十公園林という公園になって、
   みんなの憩(いこ)いの場として残ることになりました。


   頭の善し悪しでいえば、虔十は決して頭がいいわけではありません。

   でも、目標を立てて、一所懸命に木の世話をしたから、
   大きな仕事をなしとげることができたのです。

      <『子どもと声に出して読みたい 実語教』致知出版>

   ・・・・・・

寺子屋教育の原点は、平安時代にできた「実語教」にある、といわれる。
1000年近くの間、日本の子どもたちの教科書として使われてきた。

どんなに頭がよかろうが、スポーツが上手だろうが、お金持ちだろうが、
人の役に立たなければ貴いとはいえない。

人の生き方として大事なことは、どれだけ世の中の役にたったか、人が喜んでくれたか。

どんな些細(ささい)なことでもいい、世のため人のためになることをして生きていきたい。

           <感謝合掌 平成25年5月12日 頓首再拝>

「実語教」の全容 (8750)
日時:2013年05月29日 (水) 03時54分
名前:伝統


    *「子どもと声に出して読みたい『実語教』」齋藤孝・著(目次はじめに)より

1.世の中の役に立つ人になろう

  〜 山高きが故に貴(たっと)からず。樹有るを以て貴しとす。

2.智恵のある人になろう

  〜 人肥(こえ)たるが故に貴からず。智有るを以て貴しとす。

3.お金よりも智恵を残そう

  〜 富は是一生の財。身滅すれば即ち共に滅す。
    智は是万代の財。命終れば即ち随って行く。

4.どんどん自分を磨いていこう

  〜 玉磨かざれば光無し。光無きを石瓦とす。
    人学ばざれば智無し。智無きを愚人とす。

5.毎日学ぶことが一番大事

  〜 倉の内の財は朽つること有り。身の内の才は朽つること無し。
    千両の金を積むといえども、一日の学にはしかず。

6.相手を思いやる心を持とう

  〜 兄弟も常に合はず。慈悲を兄弟とす。
    財物も永く存せず。才智を財物とす。

7.勉強のすすめ

  〜 四大日々に衰え、心神夜々に暗し。
    幼時勤学せざれば、老いて後恨み悔ゆといえども、尚所益有ることなし。

8.覚悟を決めたらやりとげよう

  〜 かるが故に書を読んで倦むことなかれ。学文に怠る時なかれ。
    眠りを除いて通夜に誦せよ。飢を忍んで終日習え。

9.自分から積極的に学ぼう

  〜 師に会うといえども学ばざれば、徒に市人に向うが如し。

10.繰り返しのすすめ

  〜 習い読むといえども復せざれば、只隣の財を計うるが如し。

11.良い仲間と切磋琢磨しよう

  〜 君子は智者を愛し、小人は福人を愛す。

12.努力をすれば花が咲く

  〜 富貴の家に入るといえども、財無き人の為には、なほ霜の下の花の如し。
    貧賎の門を出ずるといえども、智有る人の為には、あたかも泥中の蓮の如し。

13.目上の人を尊敬しよう

  〜 父母は天地の如く、師君は日月の如し。
    親族はたとえば葦の如し、夫妻はなお瓦の如し。
    父母には朝夕に孝せよ、師君には昼夜に仕えよ。

14.一生の友達をつくろう

  〜 友と交りては争うことなかれ。
    己より兄には礼敬を尽くし、己より弟には愛顧を致せ。

15.人間として大切なもの

  〜 人として智無き者は、木石に異ならず。
    人として孝無き者は、畜生に異ならず。

16.落ち着いた気持ちをつくろう

  〜 三学の友に交らずんば、なんぞ七覚の林に遊ばん。

17.「慈・悲・喜・捨」の四つの心を育てよう

  〜 四等の船に乗らずんば、誰か八苦の海を渡らん。

18.幸せな人生を歩くためには

  〜 八正道は広しといえども、十悪の人は往かず。
    無為の都は楽しむといえども、放逸の輩は遊ばず。

19.お年寄りと小さな子を大切に

  〜 老いたるを敬うは父母の如し、幼を愛するは子弟の如し。

20.まず相手を大切にしよう

  〜 我他人を敬えば、他人もまた我を敬う。
    己人の親を敬えば、人また己が親を敬う。

21.「人のため」が「自分のため」になる

  〜 己が身を達せんと欲する者は、先ず他人を達せしめよ。

22.ともに悲しみ、ともに喜ぶ

  〜他人の愁いを見ては、即ち自ら共に患うべし。
   他人の喜びを聞いては、即ち自ら共に悦ぶべし。

23.いいことはすぐにまねしよう

  〜 善を見ては速やかに行え、悪を見てはたちまち避けよ。

24.親切は必ず報われる

  〜 善を修する者は福を蒙る、たとへば響の音に応ずるが如し。
    悪を好む者は禍を招く、あたかも身に影の隨うが如し。

25.偉くなっても忘れてはいけないこと

  〜 富むといえども貧しきを忘るることなかれ。
    貴しといえども賤しきを忘るることなかれ。

26.油断しないで学び続けよう
  
  〜 あるいは始めは富みて終り貧しく、
    あるいは先に貴くして後に賎し。

27.読み書きは人生の基本

  〜 それ習い難く忘れ易きは、音声の浮才。
    また学び易く忘れ難きは、書筆の博芸。

28.学問をすることは命を養うこと

  〜 ただし食有れば法在り、また身在れば命有り。
    なお農業をれず、必ず学文を廃することなかれ。

29.学びの第一歩となる『実語教』

  〜 かるが故に末代の学者、先ずこの書を案ずべし。
    これ学問の始めなれば、身終るまで忘失することなかれ。

           <感謝合掌 平成25年5月29日 頓首再拝>

「原文」と「素読用読み下し文」 (8922)
日時:2013年06月02日 (日) 07時35分
名前:伝統

『実語教』原文

    *「子どもと声に出して読みたい『実語教』」齋藤孝・著(P182〜183)より

山高故不貴   以有樹為貴
人肥故不貴   以有智為貴
富是一生財   身滅即共滅
智是万代財   命終即随行
玉不磨無光   無光為石瓦
人不学無智   無智為愚人
倉内財有朽   身内財無朽
雖積千両金   不如一日学
兄弟常不合   慈悲為兄弟
財物永不存   才智為財物
四大日々衰   心神夜々暗
幼時不勤学   老後雖恨悔
尚無有取益
故讀書勿倦   学文勿怠時
除眠通夜涌   忍飢終日習
雖會師不学   徒如向市人
雖習讀不復   只如計隣財
君子愛智者   小人愛福人
雖入富貴家   為無財人者
猶如霜下花
雖出貧賤門   為有智人者
宛如泥中蓮
父母如天地   師君如日月
親族譬如葦   夫妻猶如瓦
父母孝朝夕   師君仕昼夜
交友勿諍事
己兄尽禮敬   己弟致愛戯
人而無智者   不異称木石
人而無孝者   不異称畜生
不交三学友   何遊七学林
不乗四等船   誰渡八苦海
八正道雖廣   十悪人不往
無為都雖楽   放逸輩不遊
敬老如父母   愛幼如子弟
我敬他人者   他人亦敬我
己敬人親者   人亦敬己親
欲達己身者   先令達他人
見他人之愁   即自共可患
聞他人之嘉   即自共可悦
見善者速行   見悪者忽避
修善者蒙福   譬如響応音
好悪者招禍   宛如随身影
雖富勿忘貧   雖貴勿忘賎
或始富終貧   或先貴後賎
夫難習易忘   音聲之浮才
又易学難忘   書筆之博藝
但有食有法   亦在身有命
猶不忘農業   必莫廃学文
故末代学者   先可按此書
是学問之始   身終勿忘失


・・・


『実語教』素読用読み下し文

    *「子どもと声に出して読みたい『実語教』」齋藤孝・著(P171〜181)より

山高きが故に貴(たっと)からず。
樹(き)有(あ)るを以(もっ)て貴(たっと)しとす。

人(ひと)肥(こ)えたるが故に貴(たっと)からず。
智(ち)有(あ)るを以て貴しとす。

富は是一生の財(たから)。
身(み)滅すれば即ち共に滅す。
智(ち)は是(これ)万代(ばんだい)の財(たから)。
命(いのち)終われば即ち随って行く。

玉(たま)磨かざれば光(ひかり)無し。
光無きを石瓦(いしがわら)とす。
人(ひと)学ばざれば智(ち)無し。
智(ち)無きを愚人とす。

倉(くら)の内(うち)の財(ざい)は朽つること有り。
身の内の才(さい)は朽つること無し。
千両(千両)の金(こがね)を積むといえども、一日の学(がく)にはしかず。

兄弟(きょうだい)常に合(あ)わず。慈悲を兄弟とす。
財物(ざいもつ)も永(なが)く存(そん)せず。才智を財物とす。

四大(しだい)日々に衰え、心神(しんじん)夜々(やや)に暗(くら)し。
幼時(いとけなきとき)勤学(きんがく)せざれば、
老(お)いて後(のち)恨(うあら)み悔(く)ゆといえども、
尚(なほ)所益(しょえき)すること無し。

かるが故(ゆえ)に書(しょ)を読んで倦(う)むことなかれ。
学文(がくもん)に怠(おこた)る時(とき)なかれ。
眠りを除(のぞ)いて通夜(つうや)に誦(じゅ)せよ、
飢(うえ)を忍んで終日(ひねもす)習え。

師に会うといえども学ばざれば、徒(いたづら)に市人(いちびと)に向うが如し。

習い読むといえども復(ふく)せざれば、只(ただ)隣の財(たから)を計(かぞ)うるが如し。

君子(くんし)は智者を愛し、小人(しょうじん)は福人(ふくじん)を愛す。

富貴(ふうき)の家に入(い)るといえども、財(ざい)無き人の為(ため)には、
なお霜(しも)の下(した)の花(はな)の如し、
貧賎(ひんせん)の門(かど)より出ずるといえども、智(ち)有る人の為には、
あたかも泥中(でいちゅう)の蓮(はちす)の如し。

父母は天地の如く、師君(しくん)は日月の如し。
親族はたとえば葦(あし)の度とし。夫妻(ふさい)はなほ瓦(かわら)の如し。
父母には朝夕(ちょうせき)に孝せよ。師君(しくん)には昼夜に仕えよ。

友と交わりては争う事なかれ。
己(おのれ)より兄(あに)には礼敬(れいけい)を尽くし、
己(おのれ)よりが弟(おとうと)には愛顧(あいこ)を致(いた)せ。

人(ひと)として智(ち)無き者は、木石(もくせき)に異ならず。
人として孝(こう)無き者は、畜生(ちくしょう)に異ならず。

三学(さんがく)の友に交わらずんば、何ぞ七覚(しちかく)の林(はやし)に遊ばん。

四等(しとう)の船に乗らずんば、誰か八苦(はっく)の海を渡らん。

八正道(はっしょうどう)は広しといえども、十悪(じゅうあく)の人は往(ゆ)かず。
無為(むい)の都は楽しむといえども、放逸(ほういつ)の輩(ともが)は遊ばず。

老いたるを敬うは父母の如し。幼(いとけなき)を愛するは子弟(してい)の如し。

我(われ)他人(たにん)を敬(うやま)えば。他人もまた我を敬う。
己人(おのれひと)の親を敬えば、人もまた己(おの)が親を敬う。

己(おの)が身を達せんと欲する者は、先ず他人(たにん)を達せしめよ。

他人(たにん)の愁(うれ)いを見ては、即(すなわ)ち自(みずか)ら共に患(うれ)うべし。
他人(たにん)の喜(よろこ)びを聞いては、即ち自ら共に悦ぶべし。

善を見ては速(すみ)やかに行え。悪を見てはたちまち避(さ)けよ。

善を修する者は福を蒙(こうむ)る。たとえば響(ひびき)の音(おと)に応ずるが如し。
悪を好む者は禍(わざわい)を招く。あたかも身に影の隨うが如し。

富(と)むといえども貧(まず)しきを忘るることなかれ。
貴(たっと)しといへども賤(いや)しきを忘るることなかれ。

あるいは始(はじ)めは富(と)みて終(おわ)り貧しく。
あるいは先(さき)に貴(たっと)くして後(のち)に賎(いや)し。

それ習(なら)い難(がた)く忘れ易(やす)きは、音声(おんじょう)の浮才(ふさい)。
また学(まな)び易(やす)く忘れ難(がた)きは、書筆(しょひつ)の博芸(はくげい)。

ただし食(しょく)有れば法在り。また身在れば命(いのち)有り。
なほ農業(のうぎょう)を忘れす。必ず学文(がくもん)を廃することなかれ。

かるが故(ゆえ)に末代(まつだい)の学者、先(ま)ずこの書を案(あん)ずべし。
これ学問(がくもん)の始め、身(み)終(おわ)るまで忘失(ぼうしつ)することなかれ。

           <感謝合掌 平成25年6月2日 頓首再拝>



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