投稿日:2007年03月27日 (火) 05時29分
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ご無沙汰しております。 今さらこのような質問をするのも恥ずかしいのですが、漢文の史書を読む上で勉強しておくとよい参考書はあるでしょうか?それとも漢和辞典を引きまくる方が早道なのでしょうか?大学・大学院の史学科ではどうような勉強法をしているのでしょう。ご意見をお聞かせください。
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[112]投稿者:NAGAICHI Naoto
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投稿日:2007年04月07日 (土) 07時45分 |
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お久しぶりです。長らく放置してしまいましてすみません。 しかし、管理人が適切なレスができる話題とは思えませんで、誰かほかの方がレスつけてくれないものかと、期待しておりましたが…。orz 漢文の参考書というと、むかし勧められたのが、西田太一郎『漢文の語法』(角川書店)ですかね。 いずれにせよ、漢籍史書を読むのに漢和辞典を引きまくることは、絶対必要にはなると思います。 中型の漢和辞典を常備しておき、それでも出てこない語彙は 『漢語大詞典』(上海辞書出版社)や諸橋轍次『大漢和辞典』(大修館書店)を引くというような手順のかたが多いように思います。 |
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[114]謝謝投稿者:コルテス
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投稿日:2007年04月17日 (火) 22時04分 |
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永一さん、レス有り難うございます。 『漢文の語法』、読んでみます。 中型の辞書というと、研究社の英和中辞典サイズのものでしょうか?
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[116]投稿者:NAGAICHI Naoto
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投稿日:2007年04月22日 (日) 11時53分 |
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そうですね、親字10000前後のものが、中型の漢和辞典ですね。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%A2%E5%92%8C%E8%BE%9E%E5%85%B8#.E4.BB.A3.E8.A1.A8.E7.9A.84.E3.81.AA.E6.BC.A2.E5.92.8C.E8.BE.9E.E5.85.B8 僕がいま使ってるのは、学研の『改訂新版漢字源』です。 あと、最近なら電子辞書の漢和という手もあるかもしれません。僕は持ってませんけど、部首(漢字の構成部品)での引きが良くなっているらしいですし。 http://www.densijiten.co.jp/column/column.php?column_id=20030910 |
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[117]どうも投稿者:コルテス
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投稿日:2007年04月24日 (火) 13時22分 |
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重ね重ね有り難うございます。 ところで戦国史で五代のシナリオを作成中とのことですが、永一さんからみた五代の魅力というのはどんなところにありますか? |
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[119]投稿者:NAGAICHI Naoto
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投稿日:2007年04月26日 (木) 19時52分 |
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五代のシナリオ…は、いまは休眠中ですけどね。 五代はろくすっぽ知らないものですから、勉強してたんですが、その勉強も止まってます。(汗;) 魅力というか、あまり暮らすにいい時代ではないと思いますよ。 ただ前代の貴族のほとんどが淘汰されてしまったくらいには、社会的流動性がとても高かった時代なので、成り上がりには面白い時代だったろうとは思いますが。 僕は前世紀の黄巣の乱とウイグルの西遷がポイントで、とくに後者がユーラシア全土を揺り動かすきっかけになって、玉突きみたいに政権の交代が各地で起きまくったと見てますけど。そこらのダイナミズムは魅力といえば魅力でしょうか? |
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[123]勉強法投稿者:方壺島主
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投稿日:2007年05月06日 (日) 14時55分 |
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3月のスレに今頃お返事というのも恐縮ですが、僭越ながら自分の勉強法を紹介しますね。 自分は就職の前後あたりから本格的に漢文を読み始めたのですが、それ以前から読んでいた岩波文庫などの中国古典の知識がベースとして大変有効でした。史書にしても、本文にも注釈にもたびたび引用がありますよね。毛詩や春秋、易などを引く場合は、篇名や年号などを省略して「詩云」「春秋云」「易曰」などとなります。礼記は「学記云」と、尚書は「説命曰」などとなりますが、その場合に『学記』が礼記の篇名であることや、説命が「閲命」になっていたり「商書」になっていてもすぐに理解できることが求められます。またそれらの引用文に関しても、必ず(できるだけ)原著に当たることが欠かせません。澣典などのWebツールも駆使して出典を特定し、広範な漢文世界を一歩一歩たどってみて下さい。そう聞くと途方もない気がして怖じ気づきそうですが、実際のところ頻繁に引用される古典はほぼ限られています。また多くの古人が愛誦した名文句であるからこそ避けて通るわけにはいきません。論語・老子・毛詩の諸篇・易の主な卦辞爻辞と繋辞伝・春秋左氏伝・礼記の諸篇・代表的な諸子などは史書の中で目にしたはずです。ほとんどが容易に訳書が見つけられると思いますので、さらりと当たっておいて損はありません。 訳書と言えば、しっかりした現代語訳が出ている古典については、できるだけそれに当たるべきです。特に先秦の書はしかるべき解説・現代語訳に当たらないと読解不能。自分も最初の頃は「訳書がある古典」を訳読していました。まず自力で読んで訳してみて、それから訳書で調べてみる。迂遠な方策ですが、漢文力アップのためには欠かせません。史記の代表的な列伝、戦国策、八家文、十八史略、古文真宝、文章規範…などが入門者用テキストになるでしょうか。そのほか荘子・晏子春秋・韓詩外伝・新序・説苑・世説新語・蒙求…などの説話集スタイルの作品も読みやすく楽しいと思います。まずは基礎学力のアップです。 非常に地味で遠回りな手法ですが、漢文読解のための必要なターム(熟語)や助語辞、文法、レトリック(文体・慣用表現・故事成語)を「体で覚える」ことで、単なる字引きとの格闘から開放されるはずです。「勘を養う」と言ってもよいでしょう。ちなみ字引きの話をしますと、いま自分が使っているものは、大修館の鎌田・米山共著『新版 漢語林』4版ですが、巻末附録に「同訓異義一覧」「主要句形解説」があります。ただし助字については巻頭に索引があるだけで、個々の助字について各字に当たって解説を読まなければいけません。旧版には巻末に助字の一覧があって、大変重宝していました。 親字数で言えば、康煕字典があれば十分でしょう。熟語数では及びませんが、親字は約49,000で諸橋大漢和にほぼ匹敵。自分は上海文藝出版社の影印本を使っています。熟語の調査は澣典などを使ってDB検索したほうが早いし、字句の転倒・忌避・仮借・書き換えや字引きの活用法などについて、基礎学力を積んでいないと浩瀚な字典を持っていても意味がありません。 ということで長々書きましたが、 (1) まず史記の列伝と論語を読む。 (2) 中規模漢和辞典を猛烈に駆使する。 の2点から始めてみることをオススメします。 詩賦文学・六朝駢文・近体詩・詔令文・唐宋伝奇・仏典などについては、また別の機会に。 |
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[125]島主さん、有り難うございます投稿者:コルテス
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投稿日:2007年05月10日 (木) 06時17分 |
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旧版の漢語林も探してみます。具体的に困るのは容貌の形容などで、イメージが湧きにくいんですね。私が読むのは晋書以降がほとんどなので、三国志の翻訳が一番役に立つでしょうか。
>永一さん なるほど、異民族の動きの方に注目しているわけですね。 |
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