初めまして 司法書士のほそのです。
ご質問の件…
指輪の返還即ち物品に関して 少額訴訟を提起することはできません。
本件の場合は、原則通り通常訴訟手続きで 指輪の返還を求めることとなります。
また、指輪の返還が不可能な場合は 所有権侵害による代償請求権に基づき 金銭の支払いを求めることが可能です。
上記を併合して裁判を提起することも可能ですよ。
ただ、通常手続きによる裁判では ご自分の権利を正当化するための証拠を 事前にきちんと用意しておく必要があります。
裁判所において口頭で相手方に指輪を貸したと主張する… それだけでは足りません。
しかし、相手方が借りた事実を争っていなければ 貸したという事実は立証する必要はないし 逆に、相手方が事故に遭い、指輪を紛失し その旨を警察に届けているのなら その証明は相手方がしなければならないので
もし相手方がその立証ができないとなれば…すなわち 紛失した事実が、自己の過失に基づくものではない ということが立証できないのなら
結果的に指輪の返還を求めることができないにしても
指輪に代わる代償を請求する根拠付けが 容易となる可能性は出てきますね。
しかし…現在では指輪の価格も正確に分からないとのこと… できれば、裁判沙汰にするのではなくて 裁判外和解という形で、調和的に解決を図る方法の方が お互いのためになるのではないかな?とも思います。 例えば、司法書士を代理人として相手方と示談交渉をして 指輪の返還が不可能であれば 代償として金銭を支払う旨の債務承認及び弁済契約を内容とする 和解契約を書面で締結させておくと 一応のけじめはつけられるし
お互いに裁判手続きを経ることによる 心労を回避することもできます。
更に、書面により契約を交わしておけば 後日、相手方が約束を破ったときに それこそ、少額訴訟の提起や支払督促手続きにより 権利の早期実現を図ることが可能となる ということも言えます。
内容証明の送付や訴訟の提起 大事な権利を守るために有効な手段であることは 間違いないと思います。
一方で、多少の時間がかかっても最後まで話し合いで 解決を図っていくという方法も、本件においては 検討する価値のある有効な手段であると思いますよ。
クリーンオフの手続きなどの様に いわゆる形成権 (ある要件事実が整っていれば、一方的な意思表示により 権利の実現又は保護を図ることが可能なもの。)の行使ならば 内容証明郵便を送付することは大いに意味がありますが
話し合いの余地が残されており 和解につなげられる可能性がある場合には やみくもに内容証明郵便を送付する方法は、私は取りません。 相手方の内省を引き出すこと…まずそれに気付いて頂くこと。
返せばいいんだろ?…そうではないはずですよね?
僕が本件担当の代理人となるならば、きっと 相手方に対して、目的物の返還若しくは代償に 心からの謝意を添えるよう働きかけます。
裁判外和解とはそういうことも可能にする 大変意義のある手続きなのです。
[111] 2008年02月28日 (木) 20時56分
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