[22] 『天津会長の多忙な日々1』 |
- 猫侍to管理人 - 2007年05月22日 (火) 23時36分
「これは…?」
その日、私ことルティア・天津・ライゼルロードは溜まりに溜まった風紀の報告書に目を通している最中、書類に厄介な事柄が記載されているのを発見した。
「天津会長、どうしたんです?」
私の呟きが聞こえたのか、未処理の報告書を整理していた宇美さんが私に声をかけてきた。
「どうやら盗撮を行っている不届き者がいるようですわ」 「ち、またか。…ったく、懲りない連中だ。」
と、うんざりした表情で宇美さんは呟いた。…無理もない。事実私もそう思っている。
閉鎖的で、元とはいえお嬢様学校である桜ノ宮学園の生徒の写真は希少価値が高く、 その手の取引では高値で売買が行われているらしい。 よって毎月二、三度は盗撮目的で園内に侵入する輩が出没する。 私たち風紀委員は警備員の方と協力してそんな輩を捕まえ警察へと引き渡す。 本来警備員の仕事かと思われるが、学生主体の学風な為か最低限の人員しか配備されて おらず、やむを得ない、そんな形で風紀に回ってくる。 故にそういった事は、会長の私や護身術に長けている宇美さんといった方々が直接調査を行わなければならない。
「宇美さん。私が留守にしている間、警備員の方から何かあったかは聞いておりませんか?」 「いや...私は特に。ひょっとすると泉が何か聞い――」
視線を副会長代行―と言っても既に代行は要りませんわね―席へと移した宇美さんは絶句し、頭を俯かせて舌打ちする。 風紀委員会副会長、九条 泉さんは書類を残して風の様に消え去っていた。
「また例の病気ですわね...」 「っくそ…この俺が気配すら気付かないなんて…忍者かあいつは…」 「はぁ…全く泉さんは…」
日々進化する彼女の脱出方法に頭を痛める。 彼女は非常に有能だが、あの常軌を逸したシスコンだけは困ったものだ。 始めは姉離れさせようと様々な方法を試してはみたものの…結局全て効果無し。 最近は諦め、うまく折り合いを付けながらやっているが、稀にこうなってしまう。
「まぁとにかく…私が彼女を迎えに行ってきますわ。宇美さんは引き続き報告書の整理を御願い致しますわね。」 「…」
どこか納得行かない表情の宇美さんを一人残し、私は風紀委員室を出る。
――現在昼休み。 今日は命さんのクラスで4限目に調理実習が入っていたはずだから彼女が向かった先はおそらく、いや、間違いなく調理室のはずだろう。 命さんの居場所が解っているのならば、彼女の捜索は至って簡単だった。
――そして数分後、調理室で何故か気絶している彼女を発見する事になった。
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何分書き始めたばかりの若輩者ですので、何か問題点などありましたら、 指摘して頂ければ有り難いです。
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