海と生きる 島の伝承 〜 構想50年 淡路・濱岡さん発行
淡路市尾崎の郷土史家、濱岡きみ子さん(84)が、淡路島の海に関する伝承などを集めた「海を崇(あが)め親しみ祈り恐れて生きる淡路人―海を生活の場として働く人々の知恵と伝承―」を発行した。約50年前から発刊の構想を描いていた濱岡さんは「淡路の人たちが昔から海と密接だったことが改めてわかった」と話している。
本はA5判、278ページで300冊印刷。長年構想を練っていたが、昨年4月に淡路県民局の助成を受け、本格的に郷土史愛好家や、これまでの取材で知り合った住民に寄稿の依頼や聞き取りを始めた。
「三海峡に囲まれた淡路島」「海で生かされる人々」など6部構成で56編のエピソードを紹介。島内外から提供を受けた写真約120枚を掲載している。
第3部の「海からお越しの守護神仏」では、海に漂着した神仏を本尊にした寺社の数々の言い伝えを収録。洲本市五色町の龍宝寺の本尊・不動明王は室町時代に南あわじ市の吹上浜に打ち上げられたもので、今も浜周辺の住民と同寺との交流があるという興味深い話題も載せている。
このほか、神功皇后の石屋神社(淡路市岩屋)への参拝などの伝承や、沼島八幡神社の例祭「放生会」など海に関する行事、地引き網などの漁業、大正・昭和期の海水浴場を使った水泳大会など、淡路島の人々の生活が海と密接な関係にあったことを示す話が詰まっている。
濱岡さんは「昔は淡路島に暮らす皆が知っていた話。若い人にも読んでもらいたい」と話している。
問い合わせは一宮公民館(0799・85・0509)へ。
(2007年3月19日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hyogo/