養殖フグにオーナー制 南あわじの水産業者
神戸新聞2007/03/19
天然、養殖を合わせ年間の荷揚げ量約12万匹を誇る近畿一のフグの漁場・南あわじ市の福良港で、地元漁師が全国でも珍しい養殖フグの「オーナー制度」を始めた。漁場でのえさやり体験ができるほか、インターネットで成育状況を確認できる態勢も整えた。安全安心に高級魚を消費者に堪能してもらおうと、新たな販路開拓に挑んでいる。(大森 武)
養殖期間二年でフグを出荷する地域が多いが、福良港の養殖フグは一年長く育てる「三年フグ」。一年分多く手間がかかるが、鳴門海峡の潮流にもまれて身が締まり、肉質が天然ものに近く白子の量が多い。
この味を知ってほしいとオーナー制度を取り入れたのは、同市福良の養殖業者「若男水産」の前田若男社長(37)。
登録したオーナーは、漁船で養殖場を訪れ、フグに飼料を与えながら養殖の様子や仕組みの解説を受ける。ホームページ上でも、更新される写真などでフグの成育状況を知ることができる。個別のフグのオーナーになるわけではないが、出荷時に漁師と相談し好きなフグを選べ、加工会社がさばいた新鮮な品が自宅に直送される。
福良漁協の組合長も務める前田さんは「食の安全性が問われる中、顔の見える漁師から安心して生きのいいフグを買いつけてもらいたい。漁師の新たな収入源にもなれば」と話している。
全国海水養魚協会(神戸市)によると、真珠やカキなどのオーナー制度はあるが「フグのオーナー制度は聞いたことがない」という。
制度登録費用は、出荷までの期間により九千五百-一万円。同社TEL0799・52・3523
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000274911.shtml