歌帖楓月 |
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夏の頭煮え企画ですが。 「男気」 途中の一部分を載せます! (意味がわからない方は、無視してやってください)
「とんでもないですよ、マッソウ美人」 多くの情報を手にする管理職の男は、ひょうひょうと笑ってみせる。 「それより美人、男気、見たくない?」
「お帰り」 ようやく取り返した少女の両肩を支えて、彼女と同じ目の高さになって、ゼルクは微笑み掛けた。 「……ただいま、」 つぶやきで返して、ロイエルは、右手で自分の唇に触れた。 相変わらず、頬が上気したままだ。ついでに、目を伏せている。見ようとしないのか、見られないのか。 「嫌なことは、されなかった?」 穏やかな問いかけに、紅茶色の瞳が揺らいだ。 「うん。あのね、嫌なことは、……されてないの」 キモチイイコトサレタヨネェと、離れているのにどうやって小声を聞きつけているのだか知れない茶々を入れてくる芸術家のことはさらりと無視して、ゼルクはロイエルの前髪を撫でた。 「それならよかった。じゃ、帰ろうか?」 「う、ん」 それまで伏し目がちで、ずっと唇に手を当てたままだった少女が、おずおずと顔を上げた。 「中将。……あのね、」 「どうかした?」 「あの、」
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(297)投稿日:2009年08月29日 (土) 01時52分
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