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情報処理課分室 のぞき見 D.M.B.

ここは、DEEP METAL BATTLE を、一部の登場人物がのぞき見しているページです。
これもとりあえず作品の一つとして見てください。ネタバレありです。

そのほか、疑問感想などございましたら、ぜひぜひ書き込んでください。お待ちしてます!

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歌帖楓月 ホームページ 返信
ガイガー管理官(25歳ビューティーアドバイザー<嘘>):
っだーーー!!
いらっしゃいませこんばんはーー!
誰か見てますかー? 見てなくってもずーらずら書きこみますがね?
動かない刑事VANもとい掲示板を見てると辛抱たまらん僕の登場です!
っていうか、総合ネタバレ共に動きませんね。フフフ…動いてるのは刑事VANばかりみたいですな。あれは奴の落書き帳ですからね。
各掲示板とも動きませんが、だからといって全部僕が書きこみ出張DMBジャックしてしまうとやはりまずいので、ええ一応16禁扱いですし、とりあえずここだけ書き込んでしまいましょう。
では、フッフッフ。
無責任持ち出し企画ー!

::::::::::::::::::
未完成作品を載せる無責任男ガイガー。一体何を持ち出してきたのか。


  D.M.B.魔法使いの回廊


「出るのは大体、戦場だな。」

「そこで、魔法使いは魔力を使い果たして、魔法使いではなくなるから。」
 しかしながら、わずかに残った魔力が蒸発して、魔法使いから逃げて行く。それが集まる場所。誰が名付けたのか、「魔法使いの回廊」と呼ばれる。







「まあ俺に任しとけって!」
 アインシュタイン、魔法使いなのに体育会系な男。




「お顔は凜としてるけれど、ちょっと憂いがあって女性みたいに繊細で、『あ、魔法使いだ』って感じなのにね。」
「それを裏切っちゃう性格よね。」
「超、体育系。」


「距離ですか?・・そりゃあ、ちょっと遠いですよ。50キロくらい。」
「そーかそーか!じゃ、走るぞ!」
「え、あ、いや、それはどうかと・・・。車で参りませんか?」
「ふうむ。走るよりも車の方が時間はかからないもんな。なるほど。じゃ、君、暇なとき一緒にフルマラソンしような!」
「・・・は、ええあの、時間がありましたら。」
「トライアスロンでもいいぞ!」
「・・・・・、・・・・、あの、僕、体力には全く自信がありませんので・・。」


「来ました。」
 パソコンが次々と立ち上がる。
「うわあ・・・数値むちゃくちゃですよー、」
「本当になあ、一体、魔法っていうのはどうなってるんだろう。・・・」
「パソコン壊れるかも。」
 ほかのパソコンの群れを見ていた部下が、うんざりした声を出した。
「管理官、単位が一つ変わっちゃいましたー。」
 それを聞き、引きつる職員たち。
「単位が変わったって・・・3桁飛んだってこと?」

 
「近づいてきてるなあ。こりゃ確かに回廊だ。」
 アインシュタインが腕を組んで、普通の人間には、ただの風の強いだけの泥炭の荒野を、うなずきながらぐるっと見渡した。
「うーん苦しい。こごった魔力で首回りが苦しいな。よし、いっちょ、運動でもして、体を柔らかくするか!」
 そう言って、アインシュタインはブンブンガンガン腕を回したり、ももあげをしたり、首を回したり、体操をし始めた。
「あ・・・あのお、」
 その光景を、止めようとして手を差し伸べたまま、だけど相手は大変な上司であるため「運動はもういいから、大魔法使いとしての意見を聞かせてください。」とは言いだせず、固まったままになる職員。

「きたな。」
 そう言って、アインシュタインが、にっ、と、不敵に笑った。
 
「出ました。『魔法使いの回廊』です。」

 暗灰色と赤褐色の荒野に、揺らぎが生じた。ストーブの熱気ごしに見る風景のように、景色がその部分だけゆらゆらと揺れてみえる。



「あああ、駄目になっちゃった。」
 ガイガー管理官が、珍しくみじめな声を漏らした。
「えっ、」
 情報管理課の職員、つまり、彼の部下が背後に駆け寄ってくる。
「だめですかあ?」
 管理官は小さく何度もうなずいた。
「そうなんだよそうそう。あああ、いいやつだったのに、傑作だったのに・・・はあ。」
「やだな。管理官のが駄目だったら、・・。きっと我々のなんて、駄目じゃないですかあ・・・。」
 部下が、はあ、と、ため息をついた。
「そうね。」
 あっさり肯定した管理官に、その部下は嫌な顔を見せた。
「ちょっと、やだな、否定してくださいよ?」
「やだね。君たちは僕より駄目なの。そうなってるの。」
 肩をすくめる部下。
「やる気無くなるなあ。口先だけでもいいですから士気を高めるようなこと言ってくださいよ。部下を褒めて自信と力をつけさせようって気はないんですか?」
 管理官はコンセントを抜きながら、「頑丈な精神を養ってもらうために、わざと、親心でこのように言っておるのだ。」と返した。












「俺は、あれを消せるだろうけど。あれから魔力はもらえないな。」
「なんで?そうなの?」
 大魔法使いは、ガンガン首を振ってうなずいた。
「ありゃあ、俺には合わね。」
「そうなの?」
 ガイガーは、相手の顔を下から覗き見た。
 ああ!と、大魔法使いは力強くうなずいた。
「怨霊とかと同じで、その人その人で相性があるんだよ。取り憑かれやすい人とか、何もわからんで済む人とか。同じように、『魔法使いの回廊』に漂ってる魔力がすげえ好き!」って人と、『うわっ!寄るなっ!気色悪い!』って言う人と。」
「ああそうなんだ。で、怨霊って、アインシュタイン、見たことあるの?」
「まるでない!」







「!」
 警報音、
 職員が叫ぶ。
「壊れます!」
 バリバリバリッという、大量のベニヤ板が破れるような破砕音。そして、爆発音。
 パソコンが壊れた。
「うわあああ!個人用なのにい!」
 何人かがくずおれた。精神的衝撃で。
「弁償してもらわなきゃあ・・・死んでも死にきれないいい 。」
「せっかく俺用に良い感じに作り替えてたのに・・・とほほ。」
 爆風の中にもかかわらず、深刻だが呑気な内容の声が響いた。






「あー・・・・・。・・・・・おお。生きてる・・・・。」
 ゴオ、と、やや強い風が吹く。がれきの中で、呆然とした声と、ガサ、という降り積もった板切れをどける音がする。
「あいててて。おーい。みんなあ、無事かあ?」
 ガサガサバリバリと、自身の上にかぶさっていた細かい板切れを取りのけ、ガイガー管理官が身を起こした。
 建物が、本当に粉々に吹っ飛んでいた。大きな破片は一つも無い。全部、おがくずや砂利の様になっていた。
 ガイガー管理官は、それら破片をじいと見つめ、
「なんで生きてんだろう?」
 と、気味悪そうに首をかしげた。石や金属や木がこんなに細かくなってしまうほどの威力に、なぜ、弱っちい人間の体が・・・無傷なんだ?




「まさか、」
「やっぱり、」
「そうだ!」
 夕日を受け、がれきの中から無事生還した彼ら情報管理課職員に、長い影を延ばし、その男がかっこよく右手を腰に当てて立っていた。
「アインシュタイン師匠!」
「さすが師匠!俺たちを守ってくれたんっすね!」
 どうしてなのか体育系の感激のしかたをする職員らに、師匠は「ふっ、」と笑いを決めた。
「当たり前じゃないか、俺たち・・・仲間だろ?」
「うおおお!アインシュタイン師匠ーっっ!」
 軽傷ですんだ職員らは、アインシュタインの方へ駆け寄った。すっかり師匠に侵食されている。






「ふふふ、やっちまったぜ・・・。」
 どうしよう、と、途方に暮れた目で、彼が笑っていた。笑顔はさわやかだった。これで良い、俺はやったんだやりとげたぞ、と人間的に大変満足している笑顔だったが・・・途方に暮れてもいた。
「ただの人になっちゃったよ・・・。」
 皆、その言葉にぎょっとし、ばっと彼を見た。
「・・・て、ことは、」
 彼、アインシュタイン。魔法使いの頂点に位置する男。彼無しで、今の魔法使いらは進歩しえないほどの男。だった。過去形。
 ガイガー管理官が真っ青になっていた。愕然と、口を開く
「それじゃ、魔法、使い終わっ・・」
 アインシュタインはみなまで言わせなかった。最後を引き取った。
「ちゃったの。今から、俺、ただの人。」



「よおし!みんなあ!あの夕日に向かって(ミッドガルの方向)、走れえ!」
「畜生、」
「ちくしょおう!」
「みんなあ!涙を拭くんじゃない!涙は、涙は心の汗なんだあああ!」


「うおおおおおおお!」
「うおおおおおお!」
 夕日に響く、男泣き。黄橙色の夕暮れの荒野を駆ける、傷だらけの男たち。
「魔法使いの回廊」の消滅に、誠にふさわしくない、汗くさい終焉であった。




「で、」
「研究院に本日付けで配属となった、アインシュタイン博士だ。みんな、よろしくな!」





「しかし」
 ガイガー管理官は、首をひねった。
「コレルの荒野で『魔法使いの回廊』が消滅。これには、何の意味もないのか?」

(この事件は蜃気楼の帝国へ続く)













::::::::::::::::::

ガイガー:
あーーすっきり!(イキイキ)
それではまた辛抱たまらなくなったら、貴女のガイガーが出現しますよ?
それでは!
(146)投稿日:2005年04月20日 (水) 21時56分

歌帖楓月 ホームページ 返信
「手が荒れてるよ。両手とも、ちょっと貸しなさい」
 薬を塗り塗り……
「これなに?」
「塗り薬」
 いらないわと言って首をふる。
「大丈夫よ、すぐ治るから」
「治療の役割もあるし、保護の役割もあるんだよ。指先がひび割れてる。鉛筆握ったりすると痛むだろう?」
「痛くないからいい」
「はいはい」
 構わず塗り塗り。
 しばらくお互い無言。
「学校は、面白い?」
「変な子がいた」
「変な子?」
「そう。エミリに似てた」
「……。へえ」
「中将のこと、知ってるって」
 意味のある沈黙。
「……へえ」
 塗り塗り。
 大事にされているので身じろぎ。
「あの、もういいの。大丈夫、痛くないから」
「手を洗ってから、濡れたままにしてない? 君の村よりもこちらは乾燥してるから、気をつけないと」
 質問して気をそらす。  
 塗り塗り。
「ああ、だからなの? 顔とかあちこちカサカサになるのって。そうか、首都ってそうなのね?」
「顔も?」
 それまで手に塗っていた薬を、べたっとほっぺたにつけてやる。
「! ひゃあっ!?」
 びっくりして悲鳴をあげる。
 無防備な驚き方がおかしくて、けたけた笑う。
「び、びっくりした! もうなにするの!?」
 笑いの合間に答える。
「顔にも塗っといてあげようかと思って」
「いらない! もう! なんでそういうことするの!?」
 抗議を聞きながら相手の小さな両手を検分。
「はい終わり」
「え? あ、」
 抗議中断。
 手を見る。痛くない。きっちり薬が塗られている。
「あの、……ありがとう、」
 ほほについた薬も、おしまいにぬぐってやってから、
「どういたしまして?」

::::::::::::::::::

はい。てな具合でございました。
ただいま、御絵描き刑事VANに前触れなく出張DMBしてきました。
落書+この文章でございます。
かきなぐりで主語がありませんので、どちらが何をしたのか言ったのかは、ご推測くださいませ。
(143)投稿日:2005年03月29日 (火) 22時03分

歌帖楓月 ホームページ
ちなみに状況は、

いつ?:ロイエルが首都に来て学校に行き始めたばかりのころ。夕方。

どこで?:ゼルクの公邸の居間、ソファーの上で
 (イングリット教授は出張中です。出張中はもれなく中将の公邸にお泊りすることになります)
(144)投稿日 : 2005年03月29日 (火) 22時07分

歌帖楓月 ホームページ
のぞき見DMBもつけときます。

:::::::::::

ガイガー(25歳男 自宅にてのんびり覗き見中)
:ユリちゃーん(奥さんの名前)

ユリ(ガイガーの奥さん。外見と語り口はとりあえず可憐):
なあにー? ガイガー?

ガイガー:
手、手、見せてっ! 荒れてない!? ぼく、薬ぬったげよっか?

ユリ:
やだー残念。あたし、薬品かぶれとか洗剤かぶれとか乾燥なんて無縁な皮膚なのよ。ほら見て!(手タレさんのような完璧両手)

ガイガー:
……まいりました。(T_T)
はい。いらっしゃいませこんばんは! 現在ちょっぴり傷心のガイガーです!
いかがでしたか? 出張というか書きなぐりDMBです! あこぎなことしてるねえゼルク君。

ユリ:
誰に話してるの?

ガイガー:
えへ。お仕事中!

ユリ:
お仕事!? へえ面白そう。私も混ぜて!
初めましてこんばんは! 皆さん! ガイガーがいつもお世話になってます!

ガイガー:
いいのかな。これ一応公務のはずなんだけど。うーん、ま、いいよねっ?! ぼく気にしないっ!!
ところでユリちゃん、ぼくのお友達のゼルク君が17歳の同居人ロイエルちゃんにこーんなことしてるんだけどっ、どう思う!? 僕、民間の人の意見がどーしても必要なの!
(映像を見せる守秘義務違反→管理官権限で細君を「有識者の意見」にして回避 よくわからないけど。)

ユリ:
 まー。かわいらしい。これはあのゼルクくん?

ガイガー:
 そう。これはそのゼルクくん。

ユリ:
 へーえ。お行儀いいところしか見たことないから新鮮ねえ。
 これはお医者さんごっこをしているの?

ガイガー:
 ああそれはいい表現だねえユリちゃん。お医者さんごっこか。うん。

ユリ:
 なんで膝の上に抱っこ?

ガイガー:
 なんでっていうか、いつもだよ。

ユリ:
 いつも? ふーん。ゼルクくんを見る目、変わっちゃうね。

ガイガー:
 ていうか、この子限定なんだよ。

ユリ:
 特異的反応?

ガイガー:
 ゴメンねユリちゃん、わけわからなくなってきた。有識者の意見ありがとう。

ユリ:
 ゴメンねガイガー、あなたの部下さんみたいなコメントは期待しないでね?

ガイガー:
 ううんいいんだユリちゃん。僕たち幸せ夫婦でのぞき見コメントはちょっと無理だってわかったよ。だって、僕たち、幸せだもんねっ?!

ユリ:
 そうね!?
:::::::::::


夫婦でのぞき見は駄目だと判明しました。
次からは元通り、ガイガー単品か部下たちでお送りします。
(145)投稿日 : 2005年03月29日 (火) 22時41分

歌帖楓月 ホームページ 返信
ガイガー管理官(男一匹25歳):
いらっさいませこんばんわー!
今回の〔IF〕はこれで最終回です。
お付き合いいただきまして、まことにありがとうございます。
それではどうぞ。

:::::::::::::::::::


「うん」
 返ってきた笑顔と声に、少女はどきりとする。
「……。なんだか、名前で呼ぶって。恋人、みたい……」
 表情が定まらない少女に、ゼルクベルガーが苦笑した。
「私では不適格かな」
「そんなことない!」
 ロイエルが反射的に必死な顔で言い返したので、ゼルクベルガーは一瞬きょとんとし、次いで微笑んだ。ロイエルは、はっとした。
 しまった。何故か力が入ってしまった。これじゃまるで、中将のこと好きみたいな感じだ。
 ロイエルは、あわてて否定する。
「あ、……えとあのね。今のはちがうの。でも、そういう風に私をからかうけど、恋人、いるんでしょ?」
「さあ。そうかもね?」
 あいまいな答えが返って来た。
 ということは、やっぱり、いるんだろう。ロイエルは、中将の余裕ありげな様子から、そう予測した。
 同時に、少女は気づいた。
 それならば、こんなことをしていてはいけない。
「ごめんなさい! じゃ、私、離れる! こういうの間違ってる。恋人がいる人とこういうのって。きっと、仲がいい実の兄妹だとしても駄目よこういうのって。相手に恋人がいたらちゃんとしなきゃ」
 恋人の有無にかかわらず、これがもし実の兄妹ならばまずいのだが、と思ったが、ゼルクベルガーはそれを口にしなかった。無闇に純粋性を失わせてはいけない。ロイエルは家族としてそう言ってるのだから。
「待ちなさい。残念ながら私は忙しい人間だから、とてもそこまで手が回らないよ」
 しゃにむに降りようとするロイエルを留めてそう言うと、ロイエルは首をかしげた。
「ほんとう……?」
 しかし、「手が回らない」というのは信じがたい。
「でも中将なら、仕事がいくら忙しくても、うーん……」
 その通りだ。いない理由は別にある。
 ゼルクベルガーは、問い返すことで話をそらした。
「ロイエルの方はどうなんだい?」
「私?」
 ロイエルがきょとんとした。聞き返されるとは思っていなかったらしい。
「いないわ?」
 だがすぐに、彼女は、何のてらいも無くにっこりと笑って答えた。恋とは別のベクトルで生きているので興味がない様子だ。彼女は、医師とオウバイに心を捧げているから。
「ね。中将、聞いてもいい?」
 返答の次に、問いが続いた。
「なに?」
 ゼルクベルガーが促すと、ロイエルはうなずいた。
「恋人ってどんな感じなの?」
「……」
 ゼルクベルガーは、ゆっくり、瞬きをした。
 どう答えたものか。この状況で。
 ロイエルにとっては、何のてらいもない単なる疑問でしかない。彼はそのことはよくわかっている。ゆえに困惑する。こうされているのに、そんな問いかけを無邪気にできるのだから……手ごわい。
「知りたい?」
 問い返すと、ロイエルは、義兄の予想通りうなずいた。
「うん。知りたい。わからないもの。ルイセとか同級生とかは、そういうの騒ぎたがるけど、……私、そういう気持ちって、よくわからない。普通の好きとどう違うの?」
「普通の好き?」
 再びうなずきが返った。
「恋人への好きっていう気持ちは、ほかの好きとは全然違うって言われたの。だから、恋人に対する以外の好き、が、普通の好き」
「なるほどね」
 随分とまあ大まかに区分けされているようだ。
 ロイエルはこちらの説明を待っているようで、興味津々のていで、じっと見つめている。
「説明ねえ?」
 どう話したものか。話した所で、彼女の持つ、ドクターと老婆に対する畏敬の念に比べれば、真摯さにおいてその足元にも及ばないかもしれない。
「……難しいの? そうよね。やっぱりそうなんだ」
 中将の沈黙の意味をそう捉えたロイエルは、さもありなんという表情をしている。自分の想像していた通りだと思っているのかもしれない。合っているか間違っているか、どうも、宿題の答え合わせのような気持ちらしい。絶対に彼女は恋愛を知らない。
「いや、そういうわけじゃないけど……どう言えばロイエルにわかるかな、と思って」
 言葉を選ぶ中将に対して、ロイエルは、やっぱり難しいんだという表情をした。
 そんなに張り詰めて捉えなくても、と、彼女の思い込みをなんとかしたくなり、中将は、別の案を思いついた。
「じゃ、ロイエルが私の恋人だとして、今だけそういう風に接しようか? それでわかるかもしれない」
「え」
 ロイエルから表情が一瞬抜けて、ついで首が横に振られた。
「あ、ううん。そういうのは、やっぱり駄目」
 ロイエルが何を駄目としているのか察したゼルクベルガーは少し苦笑した。
「ロイエルが嫌がることはしないよ」
 ロイエルは中将の顔を伺うようにじっと見つめ、相手の顔に曇りが無いことを確認してから返答した。
「ほんと? それなら、見たい」
「やってみる?」
「うん。よかった。ありがとう中将。知りたかったの」
 どう見ても、学術的興味や知的好奇心にしか駆られていない。ロイエルはまっすぐな期待に胸を膨らませていた。
 そんな彼女のはっきりした返事に、ゼルクベルガーは内心で苦笑しながら、彼女の疑問を消すべく、笑った。恋人に向ける、相手の平常心をすくい去るような甘い微笑みで。
「愛してるよ。ロイエル」
 言いながら、髪をなでて頬に触れる。
「え?」
 一瞬の間に相手が豹変したので、ロイエルは対処できなくなった。
 頭の中が真っ白になって、どうしていいのかわからなくなった。心臓を、大きなその手で捕まえられたみたいに。どきりとした。
 ゼルクベルガーはロイエルの背に手を回して優しく抱き締めた。
 抱き締められたことは何回もあるけど、これは種類が違う。なんだか、体がしびれて目眩がしそうだ。体の中から力がそっくり抜け出て行くような感じがする。
「中将、」
「名前」
 笑みの混じった指摘がささやかれる。
「ゼルク、」
「うん」
 ロイエルの顎を持ち上げ、中将が笑った。間近で。
「愛してるよロイエル」
 そのまま、顔を傾ける。
 くらりとめまいがした。体から力が抜け切ってしまう。
「や、ややっぱり、もういい!」
 ロイエルが真っ赤になって中将の両肩を押して、距離を離した。
「ふりでやっちゃ駄目だと思うの! そんな気がする。だからもういい」
 一気にそう言った。心臓がどうにかなるかと思った。これは、体に悪いような気がする。本当に恋なら仕方ないが、ふりでこんなにどきどきするのは良くない気がする。恋したことがないから、悪いことだと決め付けることなんて、できないけど。
「わかった?」
 笑いをかみ殺し気味の中将の確認に、ロイエルは数度首をふってうなずいた。
「うん。うん。もういいの。違うっていうことがよくわかったわ」
 しかし、こんなにどきどきするのでは大変だと思う。ロイエルは、私、恋はできないかも、と思った。ロイエルは胸に手をやった。速い鼓動がはっきり伝わってくる。
「ルイセのこと、ちょっと尊敬する」
 ロイエルは息を吐いた後、すこし消耗した様子でそう言った。
「恋って……大変そう。心臓がどうにかなるかと思った」
「そう? 慣れれば大丈夫になるかもしれないよ?」
「慣れるって……」
 少女は途方にくれた様子でそうつぶやくと、困った様子で確認してみた。
「慣れるものなの? 本当?」
「さあね?」
 他人事のようにほほ笑む中将を見て、ロイエルは少しむくれた。
「私、からかわれてる気がする」
「そう? ……でもね、なってみればわかるよ。きっと」
 ゼルクベルガーを見たロイエルは首をかしげた。
「そんなものなの?」
「そんなものかもね」
 言いながら、ゼルクベルガーはロイエルの頬を包んで、顔を寄せた。
 ロイエルは、瞬きをしながらも、目を閉じた。
 まるで小さな花束を贈られるように、ふわりと口づけられた。
 触れただけの唇を離す。
「これは……違うのよね?」
「うん」
 少女は困惑した顔になる。
「やっぱり、難しいね。恋って」
 中将は笑う。
「そうかもね」


:::::::::::::::::::

ガイガー:
以上、ほのぼのと甘い今回の〔IF〕でした。
ところでルイセって誰でしょうね?
それでは、またお会いする日まで!
(142)投稿日:2005年03月20日 (日) 00時32分

歌帖楓月 ホームページ 返信
ガイガー管理官(男25歳)
こんばんは。
続きをどうぞ!

::::::::::::::::::::::::


 そういう性質の世界。しかし、ロイエルの内心で、何かがずれた。
「でも、中将そうじゃない。それじゃ、駄目なの。私は、」
 全てがそうであってはならない、という意識が、刻印のように消えずに刻まれている。肯定が、いつしか否定に置き換えられている。
「そういう考え方をしたことはないかい?」
 中将が静かに笑って、深い目でそう言うと、ロイエルはきっぱりと首を振った。
「そう、全部は考えられないの。自分はまだ不十分、なのに、どうして見てもらえるの? 私はね、頑張らなきゃならないの。私は努力して、目標を達成するの。目標としてる対象と、話ができるように。そこからきっと、交流が始まるの。だから今はまだ、そうではないの」
 にっこりと、ロイエルは芯の強い微笑みを浮かべた。内心の矛盾を打ち消すべく。私は間違ってない、と。
 ゼルクベルガーは、ロイエルの瞳を、湖の底を覗くかのような目で、静かな表情でひたりと見つめた。
「?」
 ロイエルは何をされたかわからなかった。空気がふわりと暖かくなった。自分の体が中将に、先程までよりも沈まっている。
 あたたかい……
「中将?」
 まもられてる
 なにから? ……知ってる。本当は、心のどこかでわかってる……あたしは、……向かっちゃいけないものに向かったままなんだ。だけど、
「だけど中将、それがなきゃ、まだ私は多分、生きていけないの……、」
 どうしてか泣きたくなった。勝手に口がそう言葉を紡いで、嗚咽で口が塞がれた。
 中将はロイエルに自分の方を向かせ、静かに微笑んで、抱き締めた。
 自分と相手との境界がなくなるような、優しい抱擁。ロイエルの瞳からぱたぱた涙が落ちた。
「ちゅうしょ……、」
 はじめに会ったのが、このひとならよかったのに……と、ロイエルの中でだれかが悲しそうにつぶやいた。
「中将だったらよかったのに……」
 ゼルクベルガーの背に手を回してシャツを握ると、もう少し強く抱き締められた。
 脆いガラス細工を扱うように、大事そうにゆっくりと右手でロイエルの顎を持ち上げて、ゼルクベルガーはロイエルを見つめる。
「大丈夫だよ」

 ロイエルを抱き上げて自室に戻った。ベッドの上に腰を下ろして、ロイエルをひざの上に乗せる。ロイエルはゼルクベルガーの首に手を回したままだ。
 ぐす、と、ロイエルが涙交じりの息を吸った。中将から手を離した。
 この部屋は空調が効いていて暖かい。
「……ごめんなさい、泣いちゃって。もう大丈夫」
 彼と話しているとこうなることが多い。どうしてだろう。いじめられて泣く場合が半分以上だけど。
 だけど、私、小さい子供じゃないんだから。泣かないようにしなくちゃ。ロイエルはそう思う。
「中将、もう平気」
 ごしごしと袖で涙を拭いて、膝の上から降りようとすると、ゼルクベルガーが微苦笑した。
「まだ体が冷たいよ?」
「ううん」
 ロイエルは首を振った。その通り寒いのだが。いつまでもこうしているのは、いかにも「手の掛かる子供です」と言っているようで、はずかしい。と、ロイエルは思った。
「この部屋暖かいし」
 付け足すようにそう言った。
 中将は、ちょっと微笑んで、ロイエルを抱え直した。ひざの上で横抱きにするようにして、回した両手の指を組む。
 やわらかく捕まえられた格好だ。
 ロイエルは戸惑う。
 降りられなくなった。どうしよう。こんなの、子供が甘えてるみたいなのに。はずかしい。
「あのね、もう寒くないから、いいの」
 中将はそれには応じず、別の話を振った。
「ロイエル、たまには、私のことを名前で呼んでくれないかい?」
「え……でも、」
 ロイエルは困惑して、口に指をやった。名前でって、
「ゼルクベルガー、中将?」
「ゼルク」
「え……」
 ロイエルは瞬いた。イングリット教授や、たまにガイガー管理官がそう呼んでる。でも、私は、この人より年下なのに、名前だけで呼んでいいんだろうか? 
「でも、中将、」
 言いよどむロイエルに、ゼルクベルガーがくすりと笑った。
「どうも職名で呼ばれると、仕事をしているような気になる。今だけでいいから、そうしてもらえないかな?」
 なるほど、と、ロイエルは納得した。それなら、名前で呼んだ方がいい。せっかくの休日に疲れさせてはいけない。
 ロイエルはとまどいながら口を開いた。
「じゃ、……ゼルク、」


::::::::::::::::::::::::

ガイガー:
 はい。
 先週からこちら、よくわからん星の話が続いてましたが。
 お待たせいたしました!
 甘くなったきましたよ。ハハハ。
 呼ばせたいだけなんじゃないかと思うんですがね?

 それではまた来週。
 来週で終わりみたいですよ。
(141)投稿日:2005年03月12日 (土) 23時16分

歌帖楓月 ホームページ 返信
ガイガー管理官(男 25歳 湯当たり経験なし)
いらっしゃいませこんばんは!
作者は湯当たり気味ですってよ。アハハハ面白いったらありゃしない。

では続きです。どうぞ!

」」」」」」」」」」」」」」


 顔を傾けて前方の星空から少し上の中将を見ると、彼も星空からロイエルに視線を移して微笑んだ。
「たしかに星は動かせないけどね。自分のなすべきことはわからせてもらえる。そうだな、自分という存在の小ささを悲観するんじゃなく、逆にね、……尊大になりたがる心を抑えてもらえる、ということかな」
 尊大になたがる心。ロイエルは心中でその言葉を反復した。ゼルクベルガーは、わかったかい? という確認の表情をしている。
「そう。そういうふうに、中将は考えるのね」
 自分は、星に、というより自分よりも偉大なものに対しては、目標とするもの、祈りを捧げるもの、という見方をしてきた。彼にとっては、それは目標ではないのだ。
「中将にとって星は、見守る者、たしなめてくれる者、……支えてくれる者?」
 ロイエルが、そう口にして、首をかしげて中将を見つめると、中将は、そういう感じかな、と言って微笑んだ。ロイエルは数度瞬きをして、うなずいた。
「そうなのね。私はね、中将、神様も星も、太陽も、月も、……自分以上の何かを持ってるものや人は、讃えたり、祈ったり、そうありたい目標にしたり、そういうふうに、捉えてるの。中将みたいなそういう考えもあるのね。私のが追いかける存在だとすれば、中将のは、教えてくれる、守ってくれる存在?」
 中将は、ロイエルの中の何かに手を貸そうとするような瞳で、彼女をゆっくり見つめた。
「まあ、そうだね」
 交流を持とうとするならば、何かを供物に差し出さねばならない存在。
 こちらに手を貸してくれる、自然に、未来の姿を育んでくれる存在。
 彼女はきれいな瞳で、青年を見つめる。純粋で真摯な、清廉な心が覗く。
「守ってくれる存在ね……。おもしろいね。そういうふうに、考えられるんだ」
 珍しいものを見つけて喜ぶ表情と同じ微笑みで、ロイエルは笑った。
 ふと、しかし、ロイエルは首をかしげた。
「……でも、中将、あのね、大人になったら他の人に頼ってはいけないって、ドクターは言ってらした。ええとね……、中将は、色々、できるのに、なんだかそういうふうに中将が考えているのって、不思議」
 自身が教わってきた観念と、中将の言葉との妙な相違に、ロイエルはやや眉を寄せた。ドクターの言葉からすると、中将の言っていることは甘えだ。だけど、彼の姿からして、そうとは思えない。けど、ドクターの言葉は、誤ってはいないと思う。
「どうしてかな。よくわからない。どういうことなの?」
 ふう、と、ゼルクベルガーは軽く息をつくと共に笑った。微苦笑している。
「頼っているっていうことかな? 自分でできることを、他にさせてる?」
 瞳の奥に浮かぶロイエルの迷う心をくすぐるように見つめて、そう返すと、ロイエルは困った顔をした。
「そう。でも、中将はそんなふうだとは思えないけど……でも、そういうふうになるの。そうか、ドクターが教えてくださった考え方をすると、頼っちゃいけないから、それをしては駄目になるのよね? でも……」
 そうは思えない。星の話は、聞いていて、とても、暖かかった。
「ええとね……、中将はどうしてそう思えるの? それは甘えとかとは違うように感じるけど、ドクターがおっしゃっていた言葉と、どうして噛み合わないの? 中将、中将は自分で色々できるのに、どうして、甘えとかと違うの?」
 ゼルクベルガーの深い瞳を覗き込んで、まるで奥底にある扉を叩くように、希求の表情でそう問う。すると、ゼルクベルガーは静かに笑って、包むように抱き締め直した。
「寒くない?」
「暖かい、中将」
 中将はほほ笑んで、ロイエルの髪をなでた。いとおしむ、という仕草に相応しい。
 ロイエルが見つめる。中将は笑った。
「交流を持つということは、甘えかい?」
 問われて、ロイエルは首をかしげた。
「それは。そうじゃない時と、そういう時と、あると思う。場合によるわ」
「じゃあロイエル。例えば、誰かが君に、親切に何かを教えてくれたとする。それは君がとうに知っていることかもしれないけど、相手は純粋な好意から教えてくれている。その場合、君は、どうする?」
 ロイエルは当たり前な問いに、少し肩を竦めた。
「ありがとうって、言うわ。私のこと考えてくれたのだもの。うれしい。……でもね、忙しかったり別のことで私の頭が一杯のときは、そう気づかなかったり思えなかったりするから……そういう所、もっと余裕を持てたらなって、思うけど」
 ゼルクベルガーは笑う。
「人に頼るのは甘えだって、相手の言い分を聞かないことはないかい?」
 ロイエルの表情が渋くなる。
「そういうの甘えって言わないわ。自分勝手なだけだわ。他の人が思いやってくれてる、とか考えてないもの。そりゃ、自分がすべきことを他人に頼るのは甘えだけど、教えてくれる人はそういうのではなくて、……こっちのことを思ってくれてるんでしょう? そういうところわからないのって……。あ」
 言っている途中で、彼の問いの意図がわかったようだ。
「星の……思いやり?」
「そういうふうに、私は感じているけどね」
 他者を思いやる心同士の、交流。
 依存する依存されるではなく。
「お互いの気持ちを汲み合えること、それは、甘えではないと思うよ」
 交流だ。
 ロイエルは、大きく一つ瞬いた。口から言葉が漏れた。
「星と、交流?」
 ゼルクベルガーが微笑んだ。
「そうだよ。他者を交流の持てる相手だと思うこと。言葉を交わす交流もあるだろうけど、言葉でなくても伝わることがある。そういう性質の世界だ、と思えること」

」」」」」」」」」」」」」」

ガイガー:
おだやかーに、話が進んでますよ。
ちなみにこの一連の話には、こんな前ふりがついてましたよ。そういえば。
話がここまで進んでから載せるのもあれですが、
こんな前ふりから始まるのです。どうぞ。
ちょっと「誰それ?」な部分もありますが。

:::::::::::::::::::::

D.M.B.[IF]3
情報処理課職員(男)
 いやーまたまた続きましたね! D.M.B.IF 三回目を数える ことになってしまいました。

情報処理課職員(女)
 三回目ねつづいてるわね……。それで、今回は何するのかしら? 

情報処理課職員男)
 ……何と、ラブラブ編! 

情報処理課職員(女)

 それはいつもでしょ? 番外にする意味あるの? 

情報処理課職員(男)
 あると言いましょうよ! ここは! 

情報処理課職員(女)
 そうかしらねえ? では、まあいってみましょうか? 前回のルイセちゃんの予告はこれだったのね。 じゃ。 D.M.B.IF3 ラブラブ編。本当に? 


   D.M.B.IF3 ほんとにラブラブになるか? 

:::::::::::::::::::::

ガイガー:
 ってな感じで、本文が始まるわけですね。
 はたしてラブラブかなあ?

 それではまた来週
(140)投稿日:2005年03月06日 (日) 00時10分

歌帖楓月 ホームページ 返信
ガイガー管理官(……。男25歳)
また忘れかけられてましたよ?
どうしてくれようか?

それでは、続きをどうぞ!

::::::::::::::::::::::


「ほら」
「本当だ」
 オリオン座の三つ並んだ星が見えていた。庭の木々により全体は見えないが。
「しかし、他所で見る星空と同じものは期待できないね」
 隣で、中将が微苦笑する。
「他所って、辺境のこと? 中将、星が好きなの?」
 ロイエルが尋ねると、中将は少しうなずいた。
「そうだね。仕事で外にいて、ふと上を見るとたくさんの星が輝いてる。空から、見守ってもらっている気持ちになって、落ち着くよ」
「へえ」
 自分たちは命のやり取りをしている。それを、数多の星がゆるやかに天空を回りながら見つめる。
 中将は穏やかに微笑んだ。
「私がどれだけやろうと、決して、あの星一つ動かせるわけではないんだ。それだけの存在なのだな、と思うと、自分のやることは何かがわかる」
 中将は弱い星を見つめた。
 ロイエルは、中将の横顔を見つめた。
「……でも、一生懸命やれば、できないことはないと思うわ。それは、星を動かすなんてことは無理かもしれないけど」
 真摯な顔で少女がそう言うと、中将は面白そうな顔で、ロイエルの方を見て首を振った。
「弱気になって言っているのではないんだよ?」
「そうなの? ……は、」
 くしゅっ、と、ロイエルがくしゃみをした。薄着なのでいいかげん寒い。
「冷え込んでるからね。その格好では風邪を引くよ。もう寝なさい」
「ううん。大丈夫。話の続きが聞きたい」
 彼は弱気で言ったわけではない。が、ロイエルにとってはそうは聞こえなかった。
 なぜ違うのだろうか。
 ロイエルは、軽く鼻をすすった。寒い。でも疑問は解消したい。
「まったく」
 中将は、肩を竦めた。そういう性分は嫌というほどわかっている。
「じゃ、こっちにおいで。私も君に掛けてあげられるような上着は羽織ってない」
 中将はロイエルを引き寄せて背後から腕を回した。
 シャツ越しに体温が伝わって、素直に暖かいと思う。
「中将、あったかい」
 ロイエルの好意的な反応に、中将が笑う。
「嫌だったら寝なさい」
「ううん。答えを聞きたいの。どうして弱気じゃないの?」


::::::::::::::::::::::

ガイガー:
仲良きことは美しき哉。
穏やかだねえ。いい感じ。
波乱万丈つかみあいのケンカ、なんてものとは、無縁だね。

それではまた!
(138)投稿日:2005年02月26日 (土) 23時40分

歌帖楓月 ホームページ
ガイガー(なんでも取り寄せできますよ? 男25歳):
……って、このまま、おとなしく帰られるわけないよねえ?
2度忘れたんだからさあ。

フフフ、こんなの載せちゃえ。

:::::::::::::
魔法使いは魔女を食う……って、人間の噂
クリスティーナ「……まんざら嘘でもないのよね」
プリムラ「(げっと思っている)」
まんざら本当です。食うん

「そうして何人、始末してきたの?」
「いちいち数えてられないわよ」
 プリムラを見てクリスティーナにやり。

川面に頭髪が半分使った状態まで落ちてから

「ほうら仲間よ?」手の上で氷生成溶けにくそう「いる?」

王宮の擬似親子もできる

:::::::::::::

ハハハー? なんの設定かなあーー??
あーすっきり。
ではでは、今度こそ本当に、また来週!
(139)投稿日 : 2005年02月26日 (土) 23時47分

歌帖楓月 ホームページ 返信
ガイガー管理官(忘れ掛けられた男25歳)
はいこんばんはー。
作者がここの更新忘れかけてましたよ。
アッハッハッハ。
笑い事ですまそうって腹ですよ?

:::::::::::::::

 入浴をすませたら、もう11時を過ぎていた。宿題は済んだ。中将には仕事がある。これ以上邪魔をしては悪いだろうと思って、ロイエルは、中将に挨拶をして、あてがわれた部屋へ行こうと思った。
 彼の部屋、というか、書斎は二階に上ってすぐの所、ロイエルが寝る部屋は、書斎の部屋の次の次、二階の奥から2番目の部屋だ。
 七分丈の木綿のパンツと長袖のシャツを着たロイエルは、書斎の扉を叩いた。
「はい、どうぞ」
 声が返ってきたので扉を開ける。彼は、先程ロイエルが座っていた場所、机の前に腰掛けてペンを走らせていた。さっきまで、教科書が数冊と薄いノートが広げられていた広い机の上には、大量の書類と、分厚い書籍が積まれている。
「中将、お風呂上がった。私、もう寝るから」
「ああ、おやすみ」
「おやすみなさい」

 そして、深夜。静寂と、時折遠くで聞こえる車両の通過音のみが響く。
「……」
 いつもよりも、確実に1時間は早く床についたロイエルは、目を覚ました。
 今、何時だろう? 
 そう思って、目をこらして時計を見ると、2時を過ぎている。11時ごろに寝たので、3時間は眠った計算になる。
 しいん、と静まり返った夜の空気。外から窓を通してカーテンごしに外灯の明かりがわずかにもれてくる。ひやひやとした空気が布団から出た肌に触れてくる。そのため、だんだんと目が覚めてきた。しかし、日の出までにはあと3時間はある。
 ……水か何か飲みに行こうかな。
 ロイエルは起き上がり、ベットを降りた。長袖のシャツに七部丈の木綿のパンツを寝間着がわりにしている。
 部屋を出て、階下の台所へ向かった。
 空気が冷えている。それは、濾過されたように清浄な気がした。

 ふう、と、ゼルクベルガーは息をついた。
 一通り終わった。机上の小さな時計を見ると、2時を回っている。使用した書籍を本棚にしまい、書類をカギのかかる引き出しに入れ、机をまっさらな状態に戻すと、彼は窓へと向かった。
 遮光カーテンを開けると、夜空にはわずかながら星が散らばっていた。
 都市の星空。人口の光にかき消されて、星明りはかすれるほど弱い。他所で見る空とは別の空だ。

 かたん、と音がした。

 ゼルクベルガーはゆっくりと振り返った。扉の外で物音が聞こえた。
 きっとロイエルだろう。

「まだ起きてたのかい?」
 階段を降りかけたところで、書斎の扉が開いて、ゼルクベルガー中将が顔を出した。
「ううん寝てたわ。ちょっと目が覚めたの。水を飲もうかと思って、台所に行くところ。中将は、まだ起きてたの?」
「そうだよ。今、一段落したところだ」

 二人は1階の居間で、並んでソファーに座り、今度は暖かいミルクを飲んだ。
 中将は、窓の外を見ている。
「中将、何見てるの?」
 暖かいカップを両手で持って、ロイエルが首を傾げた。
 中将は少し笑って、右手に持っていたカップを卓上に置いた。
「星空をね」
 ロイエルは、中将の視線を追い、自分も同じ方角を見てみた。
「首都でも見えるの? ああ。少し、見えるね」
 南に面した大きな窓の向こう、庭木に囲まれた小さな夜空に、消え入りそうに小さな星があった。
「はっきりは見えないね。明かりがたくさんあるから、空が明るいもの」
 ロイエルが、目をこらして星を見つめながらそう言うと、同意が返って来た。
「うん。……あれは多分、オリオン座だと思うんだけどね」
「本当?」
 ロイエルは立ち上がり、窓のそばへ行って、その星をじっと見た。
 星座の形は知っているのだが、いかんせん輝きが足りず、目をこらして見てもよくわからない。
「……中将、部屋の明かりを消したら、少しは見えるようになるかもしれない」
 消していい? と尋ねると、いいよ、という返事をもらえたので、ロイエルは電気を消した。居間が闇に落ちる。
 窓の外に、街灯に気圧されてはいるが、なんとか星が見えた。
 ロイエルは振り返って微笑んだ。
「少しだけ見えるよ。中将」
「本当?」
 中将が軽く笑ってロイエルの隣にいく。


:::::::::::::::

ガイガー:
ちょっと多めの更新でしたな。
穏やかですなあ。
今の所ケンカなしですよ?
このままで終わるかな?

ではまた!
(136)投稿日:2005年02月20日 (日) 00時51分

歌帖楓月 ホームページ
ガイガー:
続投。
作者がブログに、更新お知らせ入れてきましたが。
この作品、これでも16禁なのよね?
どこが? って感じなんだけどね?
「そのうちそうなる」ので、前もって指定してるのよね。
……18禁まではならないはずですがね。
(というか作者が書けませんが)

どうも、今回は特に穏やかなので、どんなもんかねえ?と思わないこともないんだけどね。

ということでした。
ということで、それではまた。
(137)投稿日 : 2005年02月20日 (日) 01時01分

歌帖楓月 ホームページ 返信
ガイガー管理官(25歳男):
こんばんは皆さん!
続きを載せますね!(いきいき)

::::::::::::::::::::::::


 宿題は終わった。二人で紅茶を入れて一息ついている。
「中将、どうして色々覚えてるの? 高校の勉強のこと」
 お陰でとても助かったが、……他の大人からはよく「中学校までの勉強ならなんとか教えられるけど、高校になると駄目だね」ということを聞く。学校の先生なら知っていて当たり前だが、それ以外の大人だとなかなかそうはいかないらしい。なのに教えてもらえた。
 中将は苦笑した。
「使う知識だからね。私は高校ではなくて別の学校だったけれど、その時覚えていたことでも、その後に使わない知識なら、忘れるよ」
 ロイエルは、ふうん、と言って、うなずいた。そうか、使うのか。数学や化学やその他色々を。それなら、勉強しがいもあっただろう。
 一口、紅茶を口に含んだ。香りに包まれるようだ。
「中将は、私くらいの時、勉強できた?」
 聞いてみたくなった。できたそうな、気がする。今でここまで覚えてられるなら。
「まあそれなりにはね」
 返答はそれだけだった。静かに笑っている。ロイエルはもっと聞いてみたくなった。
「学校、面白かった?」
 その問いに、学校? と言い重ねて、中将は、その時を思い出すような顔をして、次いでほほ笑んだ。
「おもしろかったね。たしかに。今やっていることに続くことを学んできたわけだし」
 中将の穏やかな表情につられて、ロイエルはもう少し聞いてみたくなる。
「友達とかと遊んだりした?」
「ああ。そうだな……ルイセの兄さんとかね。後は、君の知ってるところではアストン中将とか」
 ……その3人の学校時代……ちょっと想像しにくいような、しやすいような。
「ふうん……」
 いつも何処かで戦ってるこの中将にも、自分と同じような時間があったのかと思うと、ロイエルはどうしてか少しだけうれしくなった。



::::::::::::::::::::::::


ガイガー管理官:
はい。なんか平和だねえ。あーあ。
え? いやいや、良いことですよ?
別に戦闘状態を待ち望んでるわけじゃないですよ?

それではまた!
(135)投稿日:2005年02月11日 (金) 19時31分

歌帖楓月 ホームページ 返信
ガイガー管理官(25才 しんぼうたまらん男):
いらっさいませこんばんは、お嬢さん方!
僕ね、黙ってられない人なのよ。色々と、手持ちディスクはあるんだけど緘口令? でも、しんぼうたまらん。
だからね?

またまた、「これから起こるはずの物語」をこっそり連載しちゃいますーー!!
ではどうぞ!

::::::::::::::::::
 夜の公邸。夜空から冷えた空気が降ってくるようだ。そろそろ晩秋を迎える冴えた星空が広がる。
「わからない?」
 国軍の若き幹部は、今夜は家庭教師になっていた。
「……なんでこの式をこっちに代入できるの? 同じ式を同じ式に代入することにならないの? 結局ゼロイコールゼロになって、答えが出ないんじゃないの?」
 目の前の赤茶色の髪の少女は、眉間にしわを作って頭を捻っている。
「じゃあ試しに言った通り代入してごらん」
 そう言うと、少女は、うーん、とうなった。
「やってみる……」
 さらさらさら、と、鉛筆の擦れる音が立つ。
 青年は少女の書いて行く数式をじっと見る。
「そこは+じゃなくて−」
「あ、そうか。……あれ? できた」
 少女の予想に反して、どうやら問題は解けたようだ。少女は、ますます困惑した。
「なんでゼロイコールゼロにならないの?」
 答えは出たが、よりわからなくなった。
「おかしいな」
 青年は、やや首を傾げて笑った。
「さっき説明した通りだけどね? 明日学校に行って、同じ質問を、数学の先生にしてみればいい。私とは説明のしかたが違うだろうから、見方が変わって理解しやすくなるんじゃないかな」
 自分の説明でわからなければ、他から聞きなさいということだ。
「うん……聞いてみる」
 こればかりは、一人で考え抜いても理解するのには時間がかかる。
「ありがとう中将。あのね……、もう一つ、宿題があるんだけど……」
「何の宿題?」
「化学」

::::::::::::::::::

ガイガー:
おお。真面目に家庭教師をやってるねえ。
今の所はね?
ではまた次回!
(134)投稿日:2005年02月06日 (日) 00時58分

歌帖楓月 ホームページ 返信
ガイガー(25歳 男):
いらっしゃいませこんにちはー!
秘密情報ーー!
今日は「御絵描き刑事VAN」で
「一人落書祭」と書いて、「出張DMB」やってるよ!
僕も登場! ミニ番外編! 
更新が止まっている本編の、けっこう先の話だね。
ゼルク中将とロイエルがちょっと仲良くなってからの話。
多分本日中に消す予定みたい!

では! 僕は御絵描き刑事VANに行ってきます!
いいなー僕もなでなでされたい。
(132)投稿日:2005年01月23日 (日) 17時43分

歌帖楓月 ホームページ
追加情報

消すの惜しくなりました。とっときます。
(133)投稿日 : 2005年01月23日 (日) 21時46分



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