(48) シンタロー、パプワ島漂着 |
投稿者:Tomoko
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じいちゃが死んだ。 じいちゃはみんなが尊敬する、島の長老だった。 じいちゃが死んだとき、みんなでお墓を作り、木の十字架を植えた。 そのじいちゃが死ぬ間際、こう言った。 「いいか、パプワや。よく聞きなさい。この島を訪れた者全てに、良くしてあげなさい。なぜなら、その者達は、来るべくしてこの島に流れ着いたのだから――……」
パプワは、ふさふさした茶色の、毛足の長い犬、チャッピーと共に、岬の畔から、海岸を見下ろしていた。 「……あれは?」 遠目のきくパプワは、見慣れぬ物を波打ち際に発見した。 果たしてそれは、気を失って横たわっている、人間であった。 パプワは目をぱちくりさせて、その人間を眺めた。物心ついてから、自分以外の他の人間など、見たこともないパプワである。 体のサイズは、パプワの倍以上ある。そして、なんだか奇妙な格好をしている。 パプワは腰蓑一枚だが、この男――人間に対する知識の乏しいパプワでも、目の前の人間が男だということはわかったのである――は、上半身に妙な白いキレを着けている。 男の傍らには、黄色いリュックがある。留め金は外れていた。 中から出てきたのは、綺麗な海の色の青い石だ。 パプワは、一目でこの美しい宝石が気に入った。 「似合うぞ、チャッピー」 にわか仕立ての首輪に青い石を付けてもらい、チャッピーはすっかりご満悦である。 「う……うん……」 男が目を覚ます。眩しい太陽の光に照らされ、思わず瞬きした。 パプワ達が顔を覗き込む。 「なんだ? おまえら」 「人に名前を尋ねるときは、まず自分から名乗るもんだぞ」 「――俺は……シンタロー」 「僕はパプワ。こっちはチャッピーだ」 それが、彼らの始まりであった。 その後、シンタローは、青い秘石を巡ってパプワと戦い、負け、この島に居着くことになる。そして、彼は、この少年と犬と、かなり長い間付き合うことになる。 だが、この時点では、誰も、そんなことになるとは知る由もなかった。
後書き ちょっと原作と変えてみました。 基本は原作通りなんですが。
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2007年08月21日 (火) 12時07分 |
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