(5) マジシャン――MAGICIAN 2 |
投稿者:Tomoko
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四月某日――。 青の一族や関係者達の間では、この時期に団の庭で揃ってお花見するのが、恒例行事となっていた。 が。 「桜、まだ五分咲きだね」 「今年は、ちょっと寒いですからねぇ」 グンマと高松の言葉に、一同頷く。 ござを敷いて、重箱にマジック手製の料理を詰めて、そのお供には酒。そこに、前総帥マジック、現総帥シンタロー、ハーレム、サービス、グンマと高松、キンタロー、そしてジャンが、円を囲むようにして座っていた。 「花見をするのは初めてだ」 キンタローは呟いた。その表情は、心なしか嬉しそうに見えた。 「ふっふっふ。どうやら俺のデビューの時期が来たようだな」 ジャンは含み笑いをすると、 「はーい。みなさん。ちゅうもーく」 と、なんだかどこかで見たようなノリで手を叩いて注意を引いた。 「なんだよ。チン。余興でもすんのか?」 と、シンタロー。 「チンは余計だ。俺はこれから、この庭の桜を満開にする」 「えーっ! ほんとーっ?!」 「それができたら、本当にすごいな」 「グンマ、キンタロー、こいつにそんな芸当できるわけねぇ」 「言ってくれるじゃねぇか。ハーレム。俺はこれでも、昔は赤の番人だったんだぜ。よっく見てろよ。3・2・1、それっ」 ジャンが手を叩くと、桜は満開を通り越して、葉桜になってしまった。 「ジャーン〜。てめぇ葉桜にしてどうすんだよ!」 シンタローがジャンに詰め寄る。 「あれ〜。おっかしいなぁ」 「はっ。ジャンの手品なんてこんなもんさ」 「まぁまぁ。葉桜ってのも、なかなかオツなもんじゃないか?」 ハーレムが嘲笑し、マジックはマイペースに料理をつまんでいる。 「全く。余計なことしてくれたな。満開になったら、夜桜でも見ようと思ってたのに」 サービスが溜め息をつきながら、散って落ちた花びらをもてあそんでいる。 「サ……サービスまで〜〜」 「全く、仕方ありませんねぇ」 高松がずいっと進み出た。 「こんなこともあろうかと、バイオ印のインスタント桜の種を用意してきました。これをまけば十分で花が咲きますよ」 そう言って、それを地面にまき始めた。 「水も肥料もいりません。あとは待つだけです」
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2003年09月01日 (月) 17時22分 |
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