(79) 新生シンタロー登場 |
投稿者:Tomoko
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※これは、原作の『南国少年パプワくん』のシーンを捏造したものです。
――シンタローではない。 ハーレムは悟った。 ――俺がガキの頃から知っている『ニセ者』のシンタローではない。 緑の隊服の男には、もう一人の人物の影がある。 腕章には憎んでも憎みきれない男の名前がついていた。『JAN』 ――気をつけろ、今の奴は一人じゃない。
金髪のシンタローは秘石眼の力を使った。 これはジャンの能力とかけ合わさって倍加した黒髪のシンタローの力でも防ぎきれず、体のあちこちに傷を負い、眼力で吹っ飛ばされた。 相当の深手である。それでも彼はよろよろと立ち上がった。 「どけ!」 そう言い放った黒髪のシンタローの眼には、彼本来の瞳の輝きが戻っていた。 しかし、彼はいたって冷静なままだ。 「そこをどけ。俺の帰りを待っている奴らがいるんだ」 「貴様ッ!」 金髪のシンタローが仕掛けてきた攻撃を彼は、はね返した。 「――っ!!」 腕に激痛が走る。金髪のシンタローは顔をしかめた。 黒い髪が立ち去ろうとする。 「逃げるつもりか、ニセ者」 「待て! 今は奴に構うな」 ハーレムは金髪のシンタローを制した。 「何故止める!」 シンタローは苛立たしげにハーレムをぎらりと睨みつけた。 「シンタロー。今のはあいつ一人の力ではない。奴を追うなら、千人の人数を相手に戦う覚悟が必要だぞ。――奴は既に人間じゃない」 「しかし――……」 マーカーが口を挟んだ。 「今の様子では相手も相当深い傷を負っているようですが……」 「甘く見るな。手負いの獣は手強いぞ」 金髪のシンタローは、『敵』の行方を目で追っていた。 男の姿は小さくなり、やがて完全に視界から消えて行った。 「人間ではない、だと?」 金髪のシンタローはハーレムの方に向き直った。 「どういうことだ」 「あいつは赤の秘石の番人だ」 ハーレムは答えた。 「あいつは、おそらく……ジャンだ。強大なエネルギーを秘めている。残念だが……俺ではとても歯が立たん。兄貴ならともかくな」 「おい、おまえは目の前にいる男を誰だと思っている。マジックの息子だぜ」 金髪のシンタローは髪を掻きあげた。 ハーレムは笑い出した。 「ははは。だいぶ調子が戻ってきたな。何しろさっきまでのおまえは別人のように目をぎらぎらさせていたからな。そのぐらいの傲岸さがないとおまえらしくない」 「ねぇ、おじさん。さっきの話だけど――……」 コタローが二人の間に割って入って顔をのぞかせた。 「ぼくとお兄ちゃんの二人ならやっつけられるんじゃない? あの男」 「そうだな。だがそれは後だ。先にこいつの腕を見てやらんとな」 「こんなかすり傷くらいで何ぬかす」 「いいや。馬鹿にしてはいかんぞ」 ハーレムが真面目くさった口調で話す。 「ちっ。うるさい奴にひっかかったもんだぜ」 そう言って舌打ちする金髪のシンタローの表情は、二十四歳という年相応のものだった。 彼らのやり取りをコタローは面白そうに聞いている。 「だいたいアンタ、診察や治療なんてできるのか?」 「こう見えても昔は野戦病院にいたこともあったよ。まぁ、任せとけ!」 ハーレムは自信満々に胸を叩いた。
O・MA・KE 「だいたいアンタ、診察や治療なんてできるのか?」 「もちろん。こう見えても昔はペットショップでバイトやってたぞ」 「あのな〜〜〜〜!」
おそまつ!
後書き 高校の頃に書いた捏造パプワくんの一部分です。 原作の台詞を使わせてもらったところもあります。 ロッドとGの出番が削られました。ごめんね。 おまけは……遊びです。 読んでくださってありがとうございました!
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2010年12月02日 (木) 16時09分 |
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