(10) と・も・だ・ち。 |
投稿者:Tomoko
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某国、どこかの山――。 「はぁ〜あ、ここかぁ。マーカーちゃんとその弟子が修行してるってのは。淋しいとこだねぇ」 亜麻色の髪。ラベンダー色の瞳は垂れ下がり気味。 彼の名はロッド。特戦部隊の一員である。 今日は、同僚のマーカーの元に、やってきたのだ。 「マーカーちゃんいるかねぇ――おっ、やってるやってる」 マーカーは、弟子のアラシヤマと、特訓をやっていた。 弟子の攻撃を、マーカーはひらりとかわす。 「どうした、アラシヤマ。一撃必殺のつもりで来いと言ったはずだぞ」 「はいッ! お師匠はん!」 「マーカーちゃ〜ん」 ロッドの、いささか間延びした声に、マーカーは一瞬動揺した。アラシヤマは、そのチャンスを逃さなかった。 しかし、むざむざやられるマーカーではなかった。アラシヤマの一撃必殺の拳を間一髪でかわす。 そして、軽くアラシヤマの両腕をつかんで、吊るし上げた。 「いたいどす〜。お師匠はん」 アラシヤマの声を無視して、マーカーは、さっきの声の主の方に振り向いた。 「ロッド……何しに来た」 そこには、いささか非難めいた響きがあった。 「何しにって――遊びに」 「我々は修行中だぞ」 「お〜お、そっちがマジック総帥から預けられたという弟子かい。かわいいねぇ。名前、なんていうの?」 「……アラシヤマどす」 「アラシヤマちゃんか。マーカーちゃんも隅におけないねぇ。光源氏計画発動中ってカンジ?」 「うるさい。頼まれたから、こいつの特訓を引き受けてやっただけだ。妙な勘違いはするんじゃない」 「あれぇ。ムキになっちゃって。もしかして図星?」 「あのぉ……ロッドはんでしたっけ? あんさん、お師匠はんのなんなんどすか?」 アラシヤマの声に、ロッドはにまっとして答えた。 「ああ、オレね。マーカーちゃんの友達」 「……私は認めてないがな」 「と、友達〜。お師匠はんにさえ友達がいるんだったら、はよわても作らな」 「どういう意味だ、アラシヤマ」 さっきからくっくっと笑っていたロッドが、 「じゃあさ、こうしよう。今日からアラシヤマちゃんも、オレの友達な。つーか、世界中のいい女とカワイコちゃんは、みんなオレの友達〜」 と、言ってはしゃいでいる。 「アラシヤマ、あれは本気にとらなくていいぞ」 「わかりましたどす。お師匠はん」 「えっ。そんなひどいよ。マーカーちゃん。オレはるばる遠くからやってきたんだから、少しは相手してちょーだい」 マーカーは、アラシヤマを掴んでいた手を離した。おかげで、アラシヤマは尻餅をついてしまった。 「蛇炎流!」 マーカーの必殺技で、ロッドは黒焦げになった。 「おんもしれぇ〜。やる気になったかマーカー! じゃ、オレも――」 ロッドは構えた。 「羅刹風!」 ロッドが放った風は、炎の威力をますます強め、マーカーとアラシヤマが暮らしている山小屋に飛び火した。小屋は、炎上した。 「わーん。お師匠はんの友達は、やっぱり変な人どす〜」 アラシヤマは、泣いていた。
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2003年10月12日 (日) 22時17分 |
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