(2) 黄金の獅子舞 |
投稿者:Tomoko
MAIL
URL
|
特戦部隊隊長ハーレム――若き日は、その鬣のような立派な髪にちなんで、『黄金の死神』と呼ばれていた。
ある日のこと、今日も黄金の死神は破格の破壊力で、敵軍に恐れられていた。 「なぁ、あいつじゃねぇか? 黄金の死神」 敵軍――T国の一群は、ひとかたまりになって、隠れていた。 「うへぇ、こっちに気付くなよ」 「くわばらくわばら」 その時である。新兵のマツダが言った。 「あのぅ……あの人、そんなに怖いでしょうか」 「当然じゃねぇか。あいつ、何人殺してきたと思っているんだ」 「でも……あの人、獅子舞にそっくりじゃありませんか?」 「なんだ? 獅子舞って」 「僕の祖国の習慣で、正月になると、あんな風な格好をした人が踊るんですよ。獅子舞に噛まれると、頭が良くなるんだそうです。ちょっと、紙とペンを貸してくださいませんか?」 「あいよ」 「ちょうどこんな風な――」 そういって、マツダはさらさらっとペンを走らせた。 「できました」 そこで、他の人々も覗きこんでみた。 途端、大爆笑の渦。 当然、ハーレムにも気付かれてしまった。 「なんだおまえら!」 「うわぁっ! しまった!」 その日から、ハーレムの二つ名は、『黄金の獅子舞』に変わってしまった。 それから、ハーレムの破壊力は、前にも増して強くなったと言われているが、真相の程は、定かではない――。
|
|
2003年08月18日 (月) 17時24分 |
|