(22) 二十年後のエンディング |
投稿者:Tomoko
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※注意 この話には、オリジナルキャラが出てきます。
「あ、もしもし、父さん? 俺」 話している青年は、一人乗り用の飛行機で、右手に操縦桿、左手にトランシーバーを持ちながら話している。 「今、千五百メートル上空にいるんだけど。え? 大丈夫だって。心配するなよ。それじゃあね」 そして、トランシーバーの電源を切って大きなポケットに入れた。 飛行機のエンジンが変な音を立て始めた。 「ん?」 その途端。空で機体が爆発した。 ばらばらになった破片が落ちていく。 青年は……パラシュートで無事脱出していた。パラシュートは、木の枝に引っかかった。 「ふぅ……危ない危ない。グンマ伯父さんの造った物には、乗らない方がいいかな、こりゃ」 そのときである。バキッ、と、木の枝の折れる音がした。 「どっええええええええーーーーーーーーっ!!!!!!」 ドサドサドサーーーーーーー 鳥達が驚いて、空に逃げ去った。 「……てぇ」 幸い、青年は無事だった。 起き上がる彼の前に、一人の子供と一匹の犬。 「おい。空から何の断りもなく落ちてきたおまえ。いったい何者だ?」 子供が言った。上半身裸で、腰ミノをつけている。年齢は、六、七歳ぐらいだ。 「ああーん。なんだこのこまっしゃくれたガキ。まずはてめえから名乗れよ」 青年は、ほこりをはたきながら言う。 「む、生意気なヤツ。まぁいい。僕の名前はパプワだ。この名前は、代々この島に伝わるありがた〜い名前なんだぞ。よっく覚えとけ!」 「パプワ〜? 変ななま……」 皆まで言い終わることができぬうちに、青年は、頭を犬に噛み付かれた。 「え」 「僕の名を侮辱した罰だ」 「ぎゃあああああ! 誰か取ってぇぇぇぇぇ!!!」
「ぼうや、ぼうや」 大人の男の声がした。 「さっきから騒がしいが、いったい、どうしたんだ?」 男が、茂みから姿を見せた。彼も腰ミノ姿である。 犬は、既に青年から離れていた。 青年は、子供の首根っこを引っつかんで言った。 「これっ! あなたのお子さんですか?! どういう教育してるんですか! お宅では!」 そのとき、男は、何か眩しいものでも見るように、目をすがめた。 「シンタロー……」 「え?」 青年は、呆けたように問い返した。 「どうして……どうして俺の名を」 「では、君は……君も、シンタローって言うのかい?」 男の問いに、シンタローは答えた。 「はい。この名前、父からもらったんです」 「そうか……私もパプワと言うんだ。この子と同じ名前だ。もしかしたら、君の父親には、昔、お世話になったかもしれんな。君を見て、驚いたよ。あまりにも、あの男にそっくりだったから――」 そのとき、犬が、シンタローに、真正面から抱きついた。 「チャッピーがなついてる……」 それは、どちらのパプワが言ったものだったか……。 「シンタロー。ようこそ。僕らの島へ」
その頃―― 「総帥。ご子息から連絡が」 「ああ」 赤い総帥服を着た長い黒髪の男性が、部下にうなずきかける。 「全く、どこへ行ったんだ。あの馬鹿息子は」 そうぼやきながら、連絡機を手にした。 「もしもし――」 「あ、父さん。俺――」 青年のトランシーバーは無事だったので、ガンマ団と――今は、父親のシンタローが統べる組織と、繋ぐことができた。 「ちょっと飛行機が不時着しちゃってさぁ」 「グンマのか。あいつの発明品は、いつも必ず欠陥があるからな」 「それで、みんなも俺が帰れるように協力するってさ。ちょっと時間がかかるかもしれないけど」 「ちょっと待て。おまえ、今、どこにいるんだ」 「――」 少し間があいてから、青年が言った。 「――パプワ島」
後書き これは、私の初の同人誌「Fruits Basket」に載せたマンガ(結構評判良かった)を文章に起こしたものです。 「PAPUWA」の始まる前の作品だから、ちょっとずれているかもしれません。 (パプワ島、トランスフォームしないしね・笑) そうそう。これを文章にしたきっかけは、みかづきさんの感想ですvありがとう。みかづきさん。あなたがいなかったら、短編小説広場に、この小説を書くこともなかったですよん。 それでは。
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2005年09月06日 (火) 19時18分 |
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