(3) ウィーケストリンク |
投稿者:Tomoko
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「さぁ! やってきました! ウィーケストリンクの時間!」 司会者のマジックがマイク片手に叫ぶ。 みなさん、ウィーケストリンクはご存知だろうか。ウィーケストリンクとは、八人の解答者でクイズに答えて賞金を稼ぎ(稼いだ賞金を貯めるときは、「バンク」と言う)、そのとき足を引っ張ったと思われる人から順に落としていくのである。 今回は、シンタロー、キンタロー、グンマ、高松、ハーレム、サービス、ジャン、アラシヤマ(人数合わせ)。この八人で挑む。 「シンちゃーん。パパ、シンちゃんが優勝するように応援してるね」 「司会者だったら中立の立場保てよ」 「それでは第一回戦――」 途中経過は省く。このゲームのハイライトは、落とす人間――ウィーケストリンクを決めるところである。 「それではみなさん、ウィーケストリンクを書いてください。私の世界征服の野望を邪魔するのは誰だ」 いや、野望は関係ないって。 なお、このクイズのストロンゲストリンクは高松(当然という顔をしている)、ウィーケストリンクはハーレムである。 (ちっ、俺がウィーケストリンクか。だが、そう珍解答は出さなかったはずだから、だいじょうぶだろう) このゲームでは、クイズでのウィーケストリンクが落とされるとは限らないのである。解答者の中で、ウィーケストリンクと名指された回数の多い者が退場となる。 珍解答だったら、ジャンがけっこう出していたし、グンマは「バンク」のタイミングがずれていた。 ふぅむ……ジャンかなぁ。今回は。 全員、ボードに名前を書き終わった。 「では、サービスから」 サービスは、解答者の台の画面に、ボードを映す。それには『ハーレム』と書いてあった。 「ほう。なぜハーレムなんだ?」 マジックが訊いた。 「顔が気に食わん」 「てめぇと同じ顔じゃねぇかー!!」 ハーレムは叫んだ。クイズでの解答率が低い、というのならともかく、そんな正当性のない理由で落とされるのは心外だ。 なお、シンタロー、ジャン、グンマも、ハーレムを指名している。理由は以下の通り。 「俺も気に入らん」 「なんとなく」 「一番落としやすそうだったから」 覚えてろよ、てめえら――ハーレムは握り拳をにぎった。 「高松はどうだ?」 「ハーレムですね」 「ほう、なぜまた」 「ルーザー様の復讐ですよ」 「てめえ、そりゃ関係ねぇだろ」 「――ま、それは冗談として、解答数はアンタが一番少ないですからね。それと、私はアンタが嫌いですから」 なるほど、今まででもっともな理由もあるが、余計な理由がいろいろくっついているのがむかついた。 「アラシヤマは?」 「隊長ですわ」 「てめぇ、そんなこと言うと、俺の部下が黙っちゃいないぜ」 「どうどすかね。拍手喝采してると思いますわ」 客席―― 「いいぞ、アラシヤマー」 「…………」 「バカ弟子も、たまにはまともなことを言う」 (ぐぐっ。あいつら、全員給料減らしてやる) 「ではキンタロー」 「ハーレム叔父貴だ。理由は特にないが、急に邪魔をしたくなった」 「待てぇ。後ろの影はなんだ!」 キンタローの後ろでは、天使の輪っかを頭に乗せた、亡き次兄に似た白い男がピースしていた。 「では、満場一致で、ハーレムがウィーケストリンクと決まりました。 「ちょっと待て。俺のまだ見てねえだろ」 「ここまで来てそれは、時間の無駄だからねー」 「納得いかーん!!」 クイズはこの後もまだまだ続くが、この話自体は、これで終わりである。
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2003年08月21日 (木) 17時51分 |
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