(61) ボタン |
投稿者:Tomoko
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或る子供が、エスカレーターの階のボタンを全部押していた。 「君、そんなにボタンを押すのが好きかい?」 長身の男が訊いてくる。 「うん!」 「じゃあ、もっと面白いボタンを押してくれないか?」 「わかった」 ものものしい建物に、男は子供を案内した。 「これなんだけど」 そう言って、男が指さしたのは、大きめの赤いボタン。 子供の目が輝いた。 「本当に押していいの?」 「もちろん」 「じゃあ、押すよ、せーのっ」
次の瞬間、一つの国が消滅した。
昔日記に書いてたショートショートを形を変えて再録したものです(根本的には変わりませんが)。 昔、星新一にハマってしまって、たくさんの作品を読み耽りました。 自分でも少し書いて、その中で最高なのがこれ、というのが情けないですが……。 読んでくださって、ありがとうございます。
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2008年06月10日 (火) 17時57分 |
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