(16) if…もうひとつの光と闇 |
投稿者:Tomoko
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鉄塔の上に、マジックが立っていた。 「私にも仕事がありますんでね」 リカードは、もうひとつの拳銃、デリンジャーを取り出し、マジックの方へ向けた。 「このままやられるわけにはいかないんですよ……これが私の、最後の足掻きです」 ドォン――リカードの後ろで、爆発音がした。マジックが秘石眼を使ったのだ。 巨大な炎が港を包んだ。 マジックは、肩口をやられた。 「お兄ちゃん、大丈夫?」 ハーレムが声をかけた。 「ああ、大丈夫だ……さあ、リカード、次はおまえの番だ」 マジックが眼力を使おうとした。そのときだった。 「やめて!」 サービスが止めた。 「リカードさんを殺さないで!」 幼い頃から好きだった。サングラスの奥の目は、優しかった。双子達はリカードを愛していた。 ハーレムも、そうだ、そうだと唱和した。 「お前達……リカードはお前達をさらおうとしたんだぞ」 「そうだけど……」 ハーレムは言葉を探そうとした。いつか草原でリカードに肩車をしてもらったことが、何故か脳裏に浮かんだ。 その様子を見て、マジックがくすっと片頬笑みをした。 「……命拾いしたな。リカード」 「いいえ」 リカードは決然と首を振った。 「坊ちゃん達には悪いですが、私もK国の人間。私も仲間達と、命を共にします。……ハーレム坊ちゃん、その銃はあなたにあげます。大切にしてくださいね」 「リカードさん!」 リカードは、炎の方へと歩き出した。ハーレムが叫んだときは、もう、リカードは炎の中へと消えていた。 「……相変わらず、仕様のないやつだ」 マジックは、ひらりと降り立った。リカードの後姿を巻き込んだ巨大な火を、目をこらして眺めていた。
後書き これは、『光と闇』を読んだ人にしかわからないと思います(どうしてそーゆーローカルネタをやるんだ、え?) リカードさん、どっちにしても、最後には死んでしまうんですね。 まぁ、あれが彼の運命なのだとしたら、仕様がないけれど、殺してしまうには、惜しいキャラだったな。でも、敵の情けを受けてまで、生きようとは思わんかったんだろうな。
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2004年12月29日 (水) 19時29分 |
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