[56] 定理 |
- 玉賀必人 - 2008年01月31日 (木) 20時55分
殆ど立たされて終わった1日の学校生活を終え 無手鬼こと”武田 毅”と共に帰路に着いていた 身長が190cmある事からの由来らしいが 禍禍しいほど似合ってる、心底そう思う、喧嘩も強いんだろうな… 気付けば回りは真っ黒な風景に包まれていた 「ああ…夜か…」 清杉はふと思う、 しかし、元はと言えば清杉が寄り道をしたせいで あたりは真っ暗なわけで 街灯の下武田と別れ暗い夜道を一人で歩いていた。 教室での寒気はとうに去っていた、 しかし、今思えば不思議なことだった、教室にいた時は天気は快晴、暖かく皆が寝ないようにと教師が固く戒めていたからだ。
だが、その事は武田と別れる時にはすっかり忘れていた。 河川敷…その脇の道を足早に歩いていると、ふと目線の先に何かがいるのが確認できた、街灯が消えているせいかハッキリとは確認できないが景色が黒ずんでいる部分があるので分かった。 そして街灯がジジ…という音と共に街灯がフラッシュの様に一瞬 だけ光りそのあとしっかりと付いた
ソレは黒いボロボロのローブの様な物を羽織り煌く刃を持つ”鎌”を持っていた、まるで死神だった。 ソレは鎌をキャりキャリと機械的な音をさせて引きずり清杉の方に歩いて来ていた。
始めは清杉も仮想パーティーかと自己暗示しそのまま歩いたがソレは街灯の下まで来ると光を不快に思ったのか鎌を持った手を 振り回した、ブンと刃鳴りがすると光が消え街灯は斜めに切り落とさた。
清杉は確信したこのままでは自分も不快に思われ街灯と同じ運命をたどる…と、数歩後退りし身を翻そうとするとソレは清杉の目の前まで来ていた。 「え……―――?」 清杉が驚いている隙にソレは鎌を持ってない手で拳を作り、恐ろしいほど力強く且つ正確に清杉の鳩尾に叩き込んだ。 胃液が口の中まで上がってき吐き気が襲った、そしてそのまま十数メートル吹き飛んだ。
清杉が起き上がる隙も与えずソレは清杉の腹部を蹴り上げた、清杉の体は羽のように舞いまたしても吹き飛んだ、そして清杉の着地点には既にソレがいた、大きな鎌を闇夜に浮かぶ月に向かって高々と上げ今にも振り下ろそうとしていた
「GAME OVER」 そう聞こえた気がした、鎌の殺傷範囲に清杉が入ると ソレは鎌を振り下ろす ドサッ…そうは聞こえたが清杉の身体は切れてはいなかった そして清杉が真っ二つになる筈の場所に一人の男が立っていた 限りなく白い髪をし紅い瞳をしているその男は折れそうなほど細く鋭く長い西洋刀らしい剣を持って巨大な鎌を防いでいた 「あ…誰?…」 清杉は男を確認し小さく尋ねるがその声は届かなかったらしい 男は鎌を払いソレに切り掛かっていった 清杉は薄れ霞み行く目でその男を必死で追った。 何か会話してるようだが聞こえはしなかった。
「久し振りだな夜叉…」 男はそう聞くと返答も求めずに構わず切り続けた。
「?…??…???…!?…」 ソレは考える素振りを見せると掌を拳でぽんと叩いた。 「あ?、ああ?…あああ?…ああああああああああああああああああ!!??」 ソレは思い出したように言う 「ああ…嗚呼…お前か…久し振りだねぇ、んん?不動?」 ソレは男の斬撃をかわすと言った。 「蔵王は…どうした…?」 男が尋ねると夜叉は愉快そうに白を切った 「ああ…?さぁ…どうなったかなぁ?…ふふ」 そして続ける 「もう…十年になるのに…まだ…気にしてるのかい?」 その言葉を不愉快に思うのか男は剣を握る手に力をこめる、しかし夜叉は空気のように斬撃をかわす。 「はは…蔵王なら…ほら…そこにいるじゃないか…!そこに無様に横たわっている糞餓鬼さ!!!」 そう言い夜叉は清杉を指差す 「なっ…!?」 男が驚いて後ろを向くと夜叉は笑い鎌を振り上げる。 「ほぉ〜ら…隙ありぃ!…」 ブンと刃鳴りがし……血飛沫が飛ぶ……
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