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谷口雅春先生をお慕いする掲示板 其の壱

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[919] 【万教帰一の�~示】 管理人 - 2014年06月06日 (金) 08時17分 われに姿かたちあるように言うものあれどわれは姿なきものである。 われは道(ことば)である、われは霊性である、智慧である、愛である、生命である、われは如来である、われは一つにして多である。 信仰深き諸方の霊覚者にわが神姿を示したることあれども、そはわが真の姿に非ず、見えたる神姿は霊覚者の心識の所現にも非ず。 そは、われ神通力によって、疑う者の蒙(もう)を啓(ひら)かんがために、異なる場所と異なる人とに同じき一定の神姿を示して、神の客観的存在を実証したに過ぎない。 されど、本来われに一定の神姿はない。如何なる姿も欲(おも)いのままに現ずることが自由である。 されば、嘗てわれ汝に告げたのである『吾れに神殿は不要である』と。 われは神殿がないとて身の入れ場所に困るような神ではない。 供え物も要らぬ。 わが姿を見んと欲うものは『生長の家』を読め。 われは言葉である。 吾が言葉を盛る雑誌こそ吾が神殿である。 この雑誌がひろがるのこそわが神殿の大きくなることである。 われにすがた形はない。 われは霊の海である。 大海原である。 すべての宗教(おしえ)流れ来たりて吾れに入らん。 吾れは完成する者である。 われは『七つの燈台』に燈(ひかり)を点ずる者である。 古道も、仏教も、キリスト教も、天理教も、金光教も、黒住教も、大本教も、すべての教(おしえ)我に流れ入りて生命を得ん。 われは大いなるものかな。すべての教を呑吐（どんと）して、これに生命を与え、すべての相争う教をその真髄に於て握手せしめる。 吾はすべてを包容し、すべてに光を与え、すべてに栄養を与え、すべてを生かす地下水である。 他の如何なる宗教(おしえ)をも誹(そし)らず批(う)たず、常に讃頌(たたえごと)と、善き言葉とを雨ふらして、それを浄めその真髄に燈を点ずる。あらゆる宗教(おしえ)がその真髄を礼拝して手をつなぐようにならねば此の現実世界の改造は完成せぬ。 精神界が先で現実界はその影である。 元乱れて影完(まった)からず、宗教家よ、宗派争いをしている時ではない。 (昭和六年四月五日神示)

[920] 「万教帰一の神示」《　講　義　》 管理人 - 2014年06月06日 (金) 14時14分 「万教帰一の神示」《　講　義　》 ●本源の神は如何なるものか 　「われに姿かたちあるように言うものあれどわれは姿なきものである」と神示にありますが、これは神様とは如何なるものであるかということを示しているのであります。 　「われ」というのは神様御自身を指されたのであります。時々神の姿を見たという方がありますが、本源の神様には姿がないのであります。これを無相と言います。 　無相だからどんな相もないのかと思うと、無相であるからどんな相でも現ずることが自由であるのであります。だから、神は無相にして無限相であるというのであります。 　現象界のあるものはそういうように、自由に姿を変ずるわけにはゆかんのであります。姿がないからこそ、何にもさわりになるものがない、姿が限定されません。姿が限定されませんから、どんな相にも現れられるのであります。 　ところが現象界のものは、時間空間に限定されて、形が各々異なって独特の姿をしている。ところが、神様は姿かたちがないから、無限の姿を持っておられるのである。 　また姿がないから、一定の形の宮や神殿の中におらねばならぬことはないのです。それで「吾れに神殿は不要である」と書かれていて、神様のお宮や神殿みたいなものは、宇宙の本体神たる生長の家の神様には要らぬことを示されたのであります。 　既に古くからの誌友の人はご存知の方が多いと思いますが、生長の家の「生」というのは、縦に生(の)びるという意味の文字であります。 　「長」というのは横に｢長く｣延びる、即ち延長するということで、横広がりの世界――「空間」を象徴しているのであります。 　縦につづいているのが「時間」である。時間は縦に心の世界で象徴されるのであります。 　吾々のいのちを、お父さん、お祖父さん、曾祖父さんと縦に遡って行く。この遡って行くのは時間的にさかのぼってゆくのですね。吾々の現象的にあらわれている生命の本質は「時間」の持続で出来ています。 　その時間を象徴するのに、何の某家（なにがしけ）の系図とか何とかいう場合には、上から下へと縦に線を引いて、「時間」又は「いのち」の持続、または継続をあらわすのであります。 　子孫から先祖に遡るという場合には、下から上へと縦の線を引いて示します。こういうように、「時間」という観念は、吾々の心の世界で、縦の連想を有(も)っているので、それで縦の線を以って仮りに時間を象徴的に表すのであります。 　さて十字を描きますと、この縦に生びる線が「時間」にあたるので、これが生長の家の「生」であります。「生」という字は、樹木が無限に生びるという意味が表されているのであります。（※若葉が伸びて行く絵が描いてある。これが）「生」という字です。 　楠でも杉の木でも老衰することなく、無限にのびます。それで時間の無限持続を象徴して、十字の縦の線があります。これは時間の無限持続――即ち「つづき」であります。それから「長」の方は、空間的「ひろがり」であります。 　こうして十字は持続と広袤（こうぼう）――「つづき」と「ひろがり」――「時間」の続きと「空間」的広がりをあらわします。 　この「時間」と「空間」とが十字にまとまって、天球（あま）となり（○の中に＋が入る)こういう風に「家」をなします。 　その「家」即ち宇宙を形成しているのが生長の家であります。ですから、大宇宙全体のことを生長の家というのであります。 　そして「生長の家の神」というのは、大宇宙の神という意味であります。別に「生長の家」という一宗一派の本尊の神というような、他宗と対立するような神ではないのであります。 　宇宙の中に神様が生まれたのではなく、神様の生命そのものの広がりが宇宙であります。 　「吾れは智慧である、生命である、宇宙である」と「新天新地の神示」の中に書かれてありますが、宇宙そのものが神様であるわけです。 　天理教では神様のことを「月日」と書いておりますが、月は陰であり、日は陽であります。「時間」の方は生命をあらわし、生命の本質は発動的でありますから、陽であります。 　「空間」の方は、生命が展開するための「場」となるものでありまして、受ける方でありますから、受動的で「陰」であります。 　「生命」が天降(あまくだ)って来て「場」に展開する、そこに秩序が生じます。これを智慧と言います。 　「生命」と、それを受ける「場」と言いましたが、「場」そのものも、生命の展開でありますから、本来陰陽一体であり、月日本来一つであります。それで「月日」と書いて神をあらわすという訳であります。 　さてその神は「遍在」する、到る処に神が充満しているわけであります。日本神道では、「高天原に神つまります」という語で、天津祝詞も大払祝詞も、始まっているのであります。 　神道に於いて高天原というのは、↑縦線をもって高く昇ることを象徴する「高」は時間であり、「原」は横線をもって広がりを示す空間であります。 　時間と空間、「高」と「原」とが互いに交叉して、○く現れて「天」即ち天球を成しているのが「高天原」であります。 　だから大宇宙のことを神道では「高天原」と言う。天津祝詞で「高天原に神詰まります」というのは、即ち宇宙全体に神様が充満していたまうという意味でありまして、これが即ち、キリスト教で「神は遍在である」というところの教えに一致するのであります。 　神は遍在で、あまねく在（ましま）す、オムニプレゼント（omnipresent）であらせられる。神は何処にでもおられるというので、「高天原――宇宙全体――に神つまります」と神道でいうのです。 　キリスト教の真理も、神道の真理も同じことであります。クリスチャンが日本神道を評して、偶像崇拝だなどと言うのは間違いであります。仏教で盡十方に仏様が充満していると説かれているのもやっぱりおんなじ神は遍在だという真理であります。 　それで神示に「本当の神は霊媒には憑（かか）らぬ」とあるのも、霊媒にかかるのは個別霊でありますから普遍的ではない、普遍的根本神は、霊媒にはかからぬのであります。 　だから神示には「われは此処に見よ、彼処に見よというが如くにはいないのである」と示されているのであります。何処にでも到るところに、我の内に、すべての人のうちに、宿ってましますのが宇宙の大神であります。 ●カミの語源について 　神というのは「幽かなる身」あるいは「隠れている身」、そういう意味から来ている語であります。あるいは輝く光明の身という意味に於いて「輝く身」という意味も含まれております。また盡十方に神通自在に身をあらわすという意味で、「翔り身」という意味も含まれています。 　神は姿形が隠れている「光」であり、神通自在にして何処にでも姿を現すことが出来るという、そういう色々の意味が「カミ」の「カ」が「隠れて見えない」という意味だということは、一見コジツケみたいにきこえますけれども、コジツケではありません。 　「カ」という語を考えて御覧なさい。"幽かな"とか、"隠れている"とか"風"とか"香(かおり)"とか"霞"とか、皆かすかにして、肉眼でハッキリ見えないことに｢カ｣がつく。 　影などというのも、全然影ってしまって、光が見えない。「かがやく」というのは、あまり輝くものは、そこにあっても眩しくて幽かであって見えません。 　「翔り身」なんかも、空飛ぶ円盤のように、あまり速力速く翔るものは見えない。結局、｢隠り身｣「輝く身」「翔り身」という風に三つに説明できるけれども、神通自在で、姿が見えないという意味を含んでおります。 　そういうように、神様は姿形が見えずして、遍在であり、宇宙到る所に、何処にでも充満しておられて、吾々の生命となっておられるのであります。 　そういう普遍の本体である神様には、社や神殿は要らないわけであります。しかしながら、それだけが神様かというと、そうじゃない。今申しましたのは、第一義の神様であります。 　第一義というと、本来の意味に於いてということです。 　第二義の神、第三の神というと、本来の意味から多少はなれて、副次的に第二義的、第三義的な意味に於いて、また別の神があるという意味であります。 　第二義の神様と申しますと、第一義の神様――実相の神様――即ち宇宙に充ち満ちておられて、姿かたちが見えない、無相にして無限の姿の本源の神様が、無限の姿の一つを化身として現されたものであります。 　例えば、観世音菩薩であるとか、白髪の老翁の姿をして多くの誌友の霊眼に、生長の家の神様として現れられた神様というような方であります。 　ところが第三義の神様というのは、簡単に言えば、霊魂即ち霊魂（みたま）の神であります。（幽霊とは霊魂でも神格を得ないで、迷っているものですが）霊魂の神というのは、幽体という体であって、（物質ではない一種の幽質で出来ている「肉体と同じような形」の体と思えばよろしい。）靖国神社等に神としてお祀りしてあって、神格を得られている人間の霊魂であります。 　あるいは乃木神社には、乃木希典公の霊魂がお祀りしてあるとか、あるいは東郷神社には東郷平八郎公の霊魂がお祀りしてある。護王神社に和気清麻呂公の霊魂がお祀りしてある。湊川神社には楠正成公の霊魂がお祀りしてある。生田神社に若姫君命がお祀りしてある。槵觸（くしふる）神社には邇々杵命（ににぎのみこと）がお祀りしてある。その他色々あるけれども、これらはみんな霊魂の神様です。 　こういう風な神様たちはこれは「第三義の神」であって、個別霊即ち個々別々の霊魂であります。個別霊であるから、それぞれ個性がある。それぞれ職責が異（ちが）う、性格が異う、受け持ちが異うわけで全能ではない、従って何でも彼（か）でも、祈ればきいて下さるという訳には行かないのであります。 　広い意味に於いては、「霊魂（みたま）の神」も神様の中には入っておりますけれども、「宇宙の大神」ではないのでありますが、宇宙の大神の一つの表現の中心として個性的に現れていられるということに於いては、皆さんと同じであります。 　皆さんに個性があると同じように、神社に祀ってある神々にも、色々の個性があるわけであります。そしてそれぞれ司る所が異うということになっております。 大体霊魂の世界というものは、吾々の世界と密接に関係があるのであります。私たちは肉体によって物質の世界に生きていると同じように、霊体によって霊魂の世界に交渉をもっております。 　その霊魂の世界も、低い波長の霊魂の世界、高度の波長の霊魂の世界と色々あります。 　丁度NHKの第一放送の世界、第二放送の世界、あるいは文化放送、日本放送、ラジオ東京等、各局放送の波の世界が、二重三重に皆一つ所、今此処にあるでしょう。 　それと同じ様に、霊魂の世界というものが、肉眼には触れないけれども、二重三重にあるのです。 　そして、その二重三重の、その奥の奥の奥に、実相世界というのがあって、吾々は「本体」によって、実相世界に交渉をもっている。 　実相世界は何処にあるかというと、やっぱり此処にあるんです。現に私たちの実相（本体）は実相世界におるのです。現に実在世界におるのですけれども、感覚面には出て来ないのです。五官面には出て来ないけれども、其処に私の本体は居るのです。 ●実相の世界とは 　霊界と一口に申しますけれども、一番深奥にある実在の世界は実相の世界でありまして、これが第一義の世界であります。 　其処は天国浄土と言おうか、極楽と言おうか、龍宮と言おうか、名前の付け方は色々ありますが、ともかく既に完全円満に成就せる世界であります。 　キリストが「御心の天に成るが如く、地にも成らせたまえ」と言われたように、「既に天に成る」そういう世界が実在している。 　「天」というのは、実相の世界――実の相の世界であって、永遠に滅びないところの世界である。それが此処にあるのであります。 　あるいは仏教では何と言いますか、「空」ですね。「色即是空、空即是色」という「真空」ですね。「真空妙有」の世界ですね。あるいは禅に於ける「無」ですね。 　「無」といっても、「有」と相対する「無」ではなくて、一切のものが無相にして、其処に無限を包蔵する「無」ですから、「相対無」でなくて、「絶対無」ですね。 　そういう世界があって、それが実相の世界で、これが「本体界」であって、「吾々の本体」が生活しております。 　その次は霊魂界ですけれども、霊魂界を二つに別ければ、「霊界」と「幽界」との二つになります。幽界は、まだ悟りをひらかぬ霊の世界、霊界は稍(やや)悟りをひらいた霊の世界であります。 　 　 ●自然霊のこと 　これらは第三義の神様に属するのですが、第三義の神様の部に入るが、霊魂でなくて自然霊というのがあります。 　「霊魂」と言いますと、一遍肉体を持って地上に生れて来て、ある時期が経って、その肉体の皮袋を脱け出して、霊界にいるのが霊魂であります。 　ところが地上には一遍も肉体を持って来ないで、初めから霊体だけで、「霊の世界」に今もおるのが「自然霊」であります。 　これも色々の個性があり、働きも色々あるのであります。先ず神通力のあるのでは、天候を左右したり、気圧を変化したりする龍神というのがあります。 　龍とか竜巻とか申しますと、迷信みたいに聞こえるけれども、迷信じゃないのです。科学には不可知の生物の世界であります。 　科学者というものは、何故低気圧が生ずるか、何故台風が生ずるか、その原因を知りませぬ。ただ、結果としてあらわれた現象を取り扱って、 　既に低気圧があらわれ、台風が発生してから、その気圧配置の動き方を総合して、高気圧がどう張り出し、低気圧がどう進行しつつあるから、どういう天候になり、風速が何メートルになるであろうという風に、結果を計算するだけのものであって、低気圧そのものがどうして起こるかというと、判らないのであります。 　竜巻が起るというのは、空中に突然真空が出来る。そうすると真空を埋めるために、その下方にある空気がシューッと上に急上昇するから、屋根でも人でも空中にシューッと持ちあがるんだという。 　こうして科学者は、既に出来た結果に過ぎない「真空」以後の説明をするけれども、それなら上層の空気が何故真空になるのか、誰が真空にするかを説明することは出来ない。 　空気の上層に空気を抜く機械装置も何もないのに、誰が空気を抜いて真空にしたかと言いますと、科学では、そういうことは判らないのです。 　そういう原因者は、現代の物質科学の対象にはならないのであります。もっと心霊科学が発達すれば、あるいは心霊科学の対象にはなるかも知れぬけれども、物質科学の対象にはならないのです。 　空気が地表を一様に蔽うているのに、機械も装置もなくて、空気を抜いて真空にするということは、既に科学を超えた、神秘な世界の出来事であります。 　低気圧でも同じことです。真空の程度が低くて、真空ほどまでに空気を抜かないで、空気を薄くした程度の所が低気圧であります。その低気圧が何時何処に生ずるかということは、予言することもどうすることも、計算することも出来ないのです。 　何故なら、それは自然霊という「生きもの」が自由意思で動かしているからであります。 　人間の心が和順して天候を司る自然霊を怒らせぬように、調和したような状態になりますと、昨年のような豊作が出来るということになるわけであります。(註。この講話は、昭和三十一年の口演である) 　それにはやっぱり、鳩山(一郎)さんに限らず、生長の家の「天地一切に調和する」精神の政治の首班が出来まして、その心境が自然霊と調和して、自然霊のこころを悦ばすようにして置く必要があると思うのであります。 　自然界というものは、生き物(自然霊)で左右せられていますから、人間の心が感応して、左右せられます。今年は北方ソ連から、漁業制限以来、冷たい風が吹いて来ました。そうしたら、北海道は、平年よりも寒くなり、ソ連との交渉が行き詰まると、平年より十度も日本の全体が温度が低下してまいりました。 　 　 ●自然現象を受持つ諸霊 　自然現象を受持っている霊は自然霊でありまして、神秘なる力を有して、肉眼には見えませんから「カクリミ」即ち神様でありますけれども、これは絶対の神様じゃありません。それは個別霊でありまして、宇宙全体に充ち満ちていられる普遍的な神様じゃないのであります。 　だから「宇宙を貫く法則」というように、単なる「自然界の法則」として、機械的に作用するのではありません。従ってその働きは予測することが困難なのでありまして、気象予報の間違うのも其処から来ております。 　だから生長の家の講習会でもあるというと、余り台風が今吹いておって、そのため人が集まりにくくて、人類を救う聖業の邪魔になってはならないと、その自然霊の神様がお考えになると、突然台風の進路を変えて急角度で、台風が別方向に進行することも起ります。 　台風というものが物理的な自然変化でありましたら、たとい、その進路が変わる場合にでも、徐々に、少しずつ方向が変わって来るべきでありますけれども、突如として恣意的に急角度をもって台風の進路の変化が行なわれることがあるので、それは決して予測し得る物理的現象ではなくして、意志的に変更が加えられるものだということがわかるのであります。 　例えば先年神戸に生長の家の講習会があったときなど、愈々(いよいよ)今日は、神戸に台風が上陸する、中心から半径何キロメートル以内は、五十�bの強風が吹いているから、市民は雨戸を釘付けにして、警戒に当たらねばならぬと新聞やラジオが報じていました。 　ところが台風は、突如急角度に方向を変じて、神戸に上陸しないで、静岡の方へ曲がって行ってしまったという様な事が起りました。 　これなどは、台風というものが単なる物理的自然現象でなくて、意志がある自然霊の働きであって、人類光明化の聖業の行なわれている処を、その自然霊が避けて通ったのだと言う事ができるのであります。 　 　しかし、そんな大きな自然現象を左右するものだけが自然霊かと言いますと、必ずしもそうではない。自然霊にも小さなものもあります。 　コナン・ドイルというイギリスの有名な探偵小説作家がありますが、あの人は心霊現象の研究家で、山野へ行って自然霊を写真に撮ったりして、その実在を証明しています。 　ちいさな少女がバレーを舞う様な恰好をして、花の精とでもいうような姿が写真に撮れているのであります。これはニンフ(nymph)とかフェアリー(fairy)とかいわれる種類のもので、そんな可愛い自然霊が山野にはおるのですが、霊覚のない人にはわからないのであります。 　だから、そんな話をすると、唯「でたらめ」の空想だと考えたり、迷信だと考えたりする人が多いのですけれども、そうじゃないのであって、古代人の、まだ科学的な分析的知能の発達していない、その代りに直観力にすぐれている者は、心が素朴で素直であるから、そういう自然霊の世界に心の波長がよく合って、テレビを見るかの様に、自然霊の姿が見えた訳なのであります。 　吾々にもしテレビの受信装置がなかったら、テレビの放送があってもその姿が見えないのと同じ様に、物質方面ばかりに心を使って、物質方面の知能ばかりを発達させて、 　霊界への感受能力が眠ってしまっている人間にとっては、そういう霊界の自然霊などは見えないのであって、それは、仕方がないのであります。 　爰(ここ)に物質科学の限界があるのであって、科学で認め得ないものを「無い」と断定するのは、科学迷信に陥っているのであって、科学は日進月歩するのであって、 　今みとめ得ない幽微の世界でも、やがてそれをみとめ得るようになるかも知れないから、それを「無い」と断定しないで、現代の科学では「わからぬ」と言っておればよいのであります。 　自然界にも色々あります。シェイクスピアが、『真夏の世の夢』という戯曲に書いたフェアリーのようなものもあれば、四国へなんか行きますと、犬神とか、馬神とかいうようなのがおります。 　龍神に属する自然霊でも、大きく雨を降らしたりする働きのものもあるけれども、それほどでないのもある。酒なんか飲ませると、喜んでいるのもあります。 　こんなことを言いますと、愈々（いよいよ）迷信くさくなりますけれども、これは霊媒に憑って来る龍神を、実験的に研究した結果の成果を話しているのであります。 　そういう龍神を霊媒に招んで、酒を飲ませると、とても酒豪で酒を何升でも飲む。それでいて霊媒の肉体はチットも酔わないのです。 　霊媒から龍神が去って、覚醒状態になりますと、全然霊媒の肉体には酒気がないのです。そんなに飲んだら、熟柿の臭い匂いがする筈だけれども、酒気は全然なく、熟柿臭い息も何もしないというわけであります。これなどは、自然霊が来て、その人を通して酒を飲んだのです。 　或る人には、馬神というのが憑いておって、その人を病気にしている。その憑霊を去らせるのを、僕のおばさんがやったのを青年時代に見ましたが、それに生の大豆を与えると、それを悦んで一升も食べたものです。 　人間が食べるんだったら、生の大豆を一升も食べたら、水分を吸収して、胃の中で膨張しますから、胃袋が膨張して死んでしまう。それを生の大豆を一升も食べて平気である。 　「どうぞ、これをお喫(あが)りになったら、お帰り下さい」と伯母さんが言いまして、何か呪文を称えまして、エイッと気合いをかけた。そうすると馬神がその呪文と気合いによってどこかへ去って行って、それからその人の病気は治ったのであります。 　肉眼に見えない黴菌が病源体である場合もあれば、肉眼で見えない諸霊が病源体である場合があっても、別に非科学的という訳ではありません。これなどは心霊科学に属する問題であります。 　 　 ●色々の邪霊について 　次に犬神憑きなんていうのもあります。犬神っていうのを霊眼で見ますと、綺麗な頸輪を付けた、モルモットくらいの犬ころであります。それが沢山子供を産むらしく、一人の人に十数匹も憑いている。 　憑かれている人が宿主で、何時も宿主に養われているようなものですから、宿主が他人(ひと)と喧嘩でもして、憤慨して、"あいつ、こん畜生ッ"と思うでしょう。 　そうするとその憑霊が、その主人公の心をチャンと感じまして、相手のところへ往って、病気や色々の禍い(わざわい)を起したりいたします。 　恰度(ちょうど)、シェパードを飼っている家に泥棒がやって来たら、主人が泥棒に怒って、シェパードに、"やれッ"と嗾(けしか)けると、声を出して言わんでも、そう思うだけでパーッと、シェパードが泥棒に跳び付いて行く様に、 　その犬神が、宿主の憎んでいる相手を襲撃して行って、病気を起したり、色々の禍いをするということもあるのです。しかし、これは｢神｣という名がついていますけれども、本当の｢神｣ではないのであって、一種、無分別な個性を持った霊であります。 　この様な自然霊は、そんな実話をしたところで、肉眼に見えないから、荒唐無稽と言われるかも知らんけれどとも、顕微鏡が発明される前に、黴菌の話をしても、そんな馬鹿なことがあるものかと言う人があったのとおんなじことであります。 　黴菌も、結局自然発生の自然霊なのであります。ある装置によってのみ見えるのであって、肉眼には見えない。それが人間に宿ってある作用を及ぼすので、 　大は台風を起し、竜巻を起し、気象を変化するような龍神から、人間の体内に症候変化を起さしめる黴菌のようなものに到るまで、自然霊にも色々の段階があるのであります。そういうものがおって色々の禍いをするのです。 　尤も禍いだけじゃない、良い事もするのです。そして自然霊の霊界、肉体死後の霊魂の住む霊界などが、恰もNHKの放送する波長の世界が、KR(ラジオ東京)の放送する波長の世界や、QR(文化放送)の放送する波長の世界と、 　互いに同一空間に重複しながら、別々の波長の世界にあるように、それらの諸霊は、別々の霊的波長の世界に住んでいるが、互いに連絡と言うか、ある統制が出来るわけです。 　 　 ●産土神と氏神 　肉体を脱した人間の霊魂の世界を行政的に取り締まっているのが、産土の神様であります。俗には氏神様ということがありますが、厳密にいうと、氏神様とはまた別なのであります。 　氏神というと、谷口なら谷口氏の祖先に当る古代の神様のことをいうのでありまして、例えば谷口家の祖先は天兒屋根命(あめのこやねのみこと)というようなことであります。 　これを祀るように推奨していたのが、明道会といって岸一太氏という医学博士が創立した宗教団体で、今は椎神会というのになっております。岸一太氏は大本教に行って霊覚が開けて、各人はそれぞれ自宅に自分の家系の氏神を祀らぬといかん、ということを唱えた人であります。 　しかしながら古代の何という神様が自分の家の氏神かということが、普通の人には判らないから、それを霊媒を通じて知り、その氏神を招霊して、その霊を守護神としてお祀りしたものを信者に授けるというような方法で、その教団は経営されていましたが、 　守護神の写真がとれるといって写した写真を、奉納金で下げ渡したのが、それは神霊写真ではなくて、撮影のときに反射鏡を用いて守護神らしい｢光｣を、写真に写るようにしてこしらえたものだという疑いがかかり、それを実際の心霊写真だといって、金を取って頒布したのは、詐欺の疑いがあるというので、一時弾圧されていましたが、戦後は惟神(かみながら)会という名称で、その教団は復活しているようであります。 　ともかく祖先が守護神として、吾々を守護しているのは事実であります。生長の家では「××家先祖代々親族縁族一切之霊」として祖先霊をまつりますから、その中に氏神も含まれて、別に霊媒を通して、氏神が何某(なにがし)の命という古代の神様だということを知らないでもよいということになっております。 　 　 ●産土神の役目に就いて 　さて、吾々を守護している神様に氏神のほかに、産土神というのがあります。この神様は霊界に於ける知事とか、市長とかいうのに当ります。もう少し狭い範囲の産土神さまでは霊界の町長さんや役長さんにあたります。 　神様といいますが、霊界における個性霊の神通力を得た方であります。日本の霊界は、最もその組織が完全に整っていまして、最高神界の天照大御神から各地域の産土神様、それから氏神様、それから各人の守護神というように、守護の分担が整然となっております。 　宇宙普遍の神様は遍在しておられて、到る所に充満しておられるために、産土神様のように、吾々に対立的には働き掛けられるのではなく、直接、吾らの内部から、働き掛けられるのであります。これを"神催し"とか、"神格の内流"とか言います。 　自分の内の神格の内部から、神格の内流として催して来るのであって、対立的に教えられるのではなく、パッと良い智慧が出てくるのであります。 　こういう智慧などは、自分の内に宿るところの内在の実相の神様から催して出てくるのですけれども、私たちが、内在の実相の神様に、「どうぞ私に食物を与え給え。お米が無いんですがお米を下さいませ｣と一心に祈りましても、神格の内流で、自分の腹からお米がサッと出て来るというようなことはない。また天から、お米がパッと降って来たということもないでしょう。 　祈りがきかれる時には誰かが、お米が必要ならお米を持って来るのであります。誰かが持って来るというのは、誰かに、もって行ってやらせたい気持ちを起させるように、霊的波動を放送するものがある訳であります。 　内在の神から、宇宙普遍の神に通じ、宇宙普遍の神の霊波が産土神に通じ、産土神様が中継放送局みたいになって、具体的な人間に「あの人に米を持って行ってあげよう」という気持ちを起させるのであります。 　そのような途中の段階経路というものが、西洋の神学では行き届いていないので、「内在の神」から「普遍の神」にすぐ直結しているように説いているのであります。 　 　 ●神霊界の秩序について 　神霊界にも秩序があって、一々最高の神が動き出されは致しません。神々にも色々の役目があるのです。それは現実界に似ています。 　国家の法律で、チフスの予防注射のことが定まると、役場から何月何日に予防注射に来いという様な指令が出て来るでしょう。 　その指令は誰が持って来るかというと、一国の首相や市長が持って来るのではなく、市長より下のその役目の人が持って来るでしょう。 　それと同じ様に、霊界にも色々役目の神様（諸霊）の配置があって分担しているので、直接最も関係の深いのは、産土神様であります。だから産土神様への毎月一回は参拝ということを忘れてはなりません。 ●霊眼で見た産土神社 　さて、産土の神様というのは、産土の神社にお祀りしてあります。神社は肉眼で見ると、ささやかなものであっても、それは現実界への投影であって、霊眼で見ると、実に立派な御殿がたっている。 　その神社に神格に従って、その地域にふさわしい神が、お住まいになっておって、霊眼で見ると、衣冠束帯をした髯の生えた古代の何某の命といわれるような神様もあれば、 　中世の服装をした神様もあります。女神もあれば男の神様もあり、それは生前その方が生きておられた時代の服装をして、霊眼に見せられるものと思われます。 　私たちに子供が生れると、産土神様は、誰それの生んだあの子供の守護神には、どの祖先の霊魂をつけようかというような割り当てをなさるわけです。 　子供には、生れるとすぐ本人の霊魂のほかに、守護神というのがつくのです。そしてその守護神にいつも守られているのです。 　それで赤ん坊が"蟲笑い"をするなどと言って、誰もいないのに、空間を見て、嬉しそうな囁きかけるような顔をしているのがあるでしょう。あれは赤ん坊には、守護神の姿が見えているのです。守護神が子供のお守りをしながら、あやしているのです。 　守護神は、その子供が大人になっても、老人になっても、死ぬまで、一代のあいだその人間を守るべき役目を与えられて、その人に常に付き添うているのであります。 　その守護神というのは、その人の祖先の中の優秀なる霊魂が、産土の神の命令により、その役目に当っているのであります。 　以上、大体、霊媒による霊界通信や霊感によって知り得たところを述べたのでありますが、霊界の組織というのは、中々複雑になっているのでありますけれども、余り詳しいことは判らないのであります。 　それは神霊界の秘密になっておりまして、それをみだりに発（あば）こうとしますと、実相の神様は罰を当てぬのでありますけれども、産土の神様のような個性があって、ある役目をしている神様である場合には、制裁を加えられることがある。これは現実界における官庁の制裁と同じであります。 　この人間を現実界に置いては都合が悪いとお考えになる場合には、霊界へ転任を命ぜられることもあります。 　転任命令が出たりしますと、その人がそれまでは八十五歳まで生きる予定であったけれども、三十五歳で転任を命ずるということになることもあるのであります。 　ですから神界の秘密というものは、余り発くことは危険でありまして、知っても申上げることの出来ぬこともありますし、あまり詳しい事は霊覚によってさえ知らされないし、知られたら、秘密暴露の恐れがあるというので、寿命がないということもあるのであります。 　それで余り詮索をするわけにはゆかぬのでありますけれども、大体そういう様なことになっているのであります。 　 ●役目に随って憑く守護神 　守護神というのは、私たちが生れると直ぐついて一生涯守護してくれるのでありますが、これは正守護神であります。 　ところが、後天的に一時守護する守護神もあります。その人がある仕事に就きますと、その仕事の種類に随って、ある特別の守護神がつく訳です。 　例えばその人が総理大臣の官職に就きますと、国家を守護している神様の中で「今お前が行って指導しなかったならば、日本の国を護るのに都合が悪い」という様に、ある高級霊が総理大臣の守護神として選ばれ、さっそくその首相に守護神としてつくのです。 　それは役柄の守護神であって、生れつきの守護神の外にそういうのが守護して、役柄に従ってインスピレーションを与える。そして、政治に関する色々の指導をするのであります。 　政治だけでなく、生理学の研究を熱心にやっていると、生理学の研究に興味をもつ守護神、物理学の研究を熱心にやっていると、物理学の研究に就いての興味を持っている守護神が、各々割り当てられて、色々の指導をやって行くことになっているのであります。 　しかしながら、その役柄の守護神が付いても、吾々の心境が低下して、その守護神の波長と合わなくなったら、守護神がおれども居らぬと同じ状態になるんです。 　霊が導くのは、手をもって導くのではない。霊の波によって、心を導いて行くのですから、幾ら守護神が指導の霊波を送っても、その人が堕落して、心の波長が守護神と合わなくなったら、その守護の力が及ばぬということになるわけです。 　それは恰も、いくらラジオ東京の放送をしたとて、ラジオの受信機のダイヤルをNHKの方へやっておったら、どうしたって「ラジオ東京」の放送は聞えないのと同じことであります。 　だから、吾々の心境が高まなければ、良き導きを受けるわけにゆかないという事になるのでありますから、やっぱり「自分が」高まるより仕方がないということになるわけであります。 　兎も角、産土神様はそういう役目の神様ですから、住所を変更したり、土地を購入したとかいうようなときには、産土神様へ行って報告するのが当然なすべきことで、新年には勿論、毎月一回は産土神様にお礼まいりをして、日々の御守護をお願いし、御礼を申し上げるということにするのがよいのであります。 ●正神界と邪神界 　こういうように第三義の神様の世界は、霊の世界でありますが、その霊の世界が「自然界の世界」と、肉体を脱した後の「霊魂の世界」とに分かれていまして、この霊魂の世界の中に住んでいる霊のうちで、よく修業をして神通力を得、高き世界に上がっている霊と、低い冥界に彷徨っている霊とがあります。 　高き世界と言っても、空間的な高いというのではなくて、心の波長の高さのことであります。だから高いということは距離の問題ではなく、霊魂の高さであり、心の波長の周波数の相異であります。 　霊魂の中には、そういう高い霊と、低い世界にフラフラしている霊と、非常な罪悪を犯して、地獄のような煉獄のような世界に、落ちている霊とがあります。 　それで高き世界に上がっている霊の世界を正神界と称しまして、間違って邪道に落ちている霊魂の世界を、邪神界ということになっているのであります。 　刑務所の中にある囚人仲間にも、愚連隊にも親分があるように、邪神界にも力のすぐれた頭目がおりまして、正神界に対する反対運動をしております。 　その邪神界の頭目を『黙示録』などでは、「赤き龍」と言っているのであります。 　「赤い龍」の系統の霊に憑いて、日本覆滅の陰謀に加わって、表面は「平和運動」「平和運動」と叫び、本人も平和運動のつもりでやっているのですが、実は背後の「赤き龍」に操られているのが随分あります。 　正神界と邪神界との中間ともいうべき霊の世界に、天狗界があります。天狗界の中でも、正神界についているのもあるけれども、大体、天狗界というのは外様大名とでも言いますか、ヤクザの親分とでも言いますか、別に悪い事をするわけじゃないけれども、正しい秩序の世界にいないで、一種の治外法権的な活動をしております。 　稲荷(いなり)といわれるのは「稲生り」で、五穀豊穣の天地の生成化育の働きをする普遍的な神のお働きを人格化して、祭祀したのであります。だからこれは実相の普遍的な創造神の方に入るわけであります。 　五穀が自然に伸びるのは、人間が外から引っ張るのでも霊が引っ張るのでもない。実在の"神なるもの"が中からの生命が伸びて行くのであって、そういう働きをするのが稲荷なのでありますけれども、稲荷の眷(けん)族として、稲荷を中心にして集っているところの霊界のグループがある。これが伏見稲荷のグループとか、豊川稲荷のグループとかいう風にあります。 　その眷族の神々の中には、色々の階級や種別の霊がいるんです。何某大明神、何々大明神とか、色々の名前の神々がある。 　その神々の中には、天狗もおれば、武士の霊などもあります。正神邪神の中間階級の親分みたいな霊たちが稲荷の眷族となっております。 　そういう霊たちに願をかけるときいてくれます。ちょうど侠客なたいな性格をもっている個性霊の神様であります。 　もっとも、伏見稲荷のグループは、正神界に属しておりますが、多分に侠客的性格をもっていて、頼まれたら何でもきいてやるんだというような親分的性格であります。 　だから善悪に拘わらず、「金を儲けさして下さい」と頼むと、時としては大いに儲けさしてくれることもあります。だから、稲荷の信者には、芸妓や相場師が多いのであります。 ●天狗界に就いて 　それから、天狗というのは、鼻が高い僧侶の霊魂であります。霊眼で見ても、あの通り鼻が高いのであります。日蓮上人は「禅天魔」と言われましたが、禅宗で座禅をして本当に悟りを開きもしないのに、「もう既に悟りをひらいた！」と天狗になると、そういう心境が幽体に影をうつして、その幽体が鼻が高くなるのであります。 　鞍馬には天狗界がある。これも正神界に属しています。鞍馬の大僧正という大天狗がおって、牛若丸に剣術を教えたと言いますが、大僧正の下に天狗の眷族がおります。 　天狗の眷族には、木葉(こっぱ)天狗とか嘴天狗などというのがある。あれは半ば自然霊であります。肉体を死体として残さないで、霊界に往った鳥類の霊などがその中にはあります。 　鳥の死骸を皆さんは滅多に見ないでしょうが、鳥は年に二回ぐらい卵を生んで、鼠算でその数が増えて行くでしょう。雀が、例えば二十年も前には、たった二羽しかいなかったとしても、一年に二羽の仔雀を生むとして、二羽が四羽になり、四羽が八羽になり、八羽が十六羽になり、という風にズーッと増えて行って、三十代も重なったら、たった二羽が二十億くらいになる。 　ところが三十年前に雀が二羽しかいなかったということはないでしょう。三十年前のその三十年前だって、相当の雀がおったのですから、それが三十年もたったら、何百億にもなって、もう空を見ると雀だらけであって、われわれのお米でも麦でも、幾ら豊作でも、皆雀が食べてしまうというほどに、雀の数は殖えておらねばならんはずなのに、雀はそんなにおりません。 　それが死んだのなら、死骸が沢山転がっているはずなのに、死骸が殆ど残っておらん。 　それは何故かと言うと、彼らは死骸を残さずに霊界に入ってしまうのです。彼らは人間のように、不自然な人工的な食事をとらず、邪念を起さないから、肉体のままで霊界に還るのです。 　そういうような鳥の霊たちが天狗界にもおるのです。そんなのが烏天狗だなんていう嘴のついた天狗になっているのです。こういう世界は神秘極まるものであって、一寸信じられないかもしれません。 　しかし皆さんは、結核菌がこうだ、腸チフス菌がああだ、ビールスがどうだとか言ったって、それを見たのは、大抵あなた自身ではなく、二、三の大学や研究所や病院の科学者が見て、ビールスがあるんだと彼らが言ったら、自分たちは見もしないでも、本当にあるのかと思っている場合が多いのであります。 　それなら昔から、霊覚者が天狗や幽霊の姿を見て、それを絵にまで描いているのに、自分自身が見ないからとて、それを迷信だと言うのは、それこそ片手落ちではありませんか。 　科学者はこの世界には無数の色々の波長の世界があるということを発見しているのであります。しかも肉眼で見えるのは、一万分の三・七ミリから一万分の八ミリの間の僅かの範囲の波長のみなんですから、肉眼で見える以外の波長の世界に生息している、自然霊とか霊魂というものは、肉眼で見える世界に生きている生物よりも、更に更に多いのだということが言えるわけであります。 　その肉眼で見えない、異なる波長の世界には、肉眼で見える世界にいる生物とは違う形をした生物がいるということも、大凡想像出来ることであります。 　火星の世界に棲む生物の形を想像して、地上の人間とは異なる畸形に描いた人もあります。それでは霊界の生物に鼻の高すぎる人間や、嘴のついた人間がいても不思議ではありません。 　これら霊界の諸霊たちも、肉眼で見えない「カクリミ」ですから「神」の中に入りますが、こういう神様は、宇宙の大神とか、創造の神様とかいう神様ではないのであって、それは各々個別的な精神を持っている個性霊でありますから、中にはいたずらをするのもあるのであります。中には豆狸の霊だなんていう、愛嬌者もあります。 　嘗て今井梅軒先生が大政みよしという女医を霊媒に使って、ある子供の病気の原因を研究なさったことがあった。 　すると豆狸の霊が出て来て、「私があの子供を病気にしたのだ」と言う。「お前は誰だ？」と訊くと、「何処そこにいる豆狸だ」と言う。そこで「何故お前は子供を病気にしたのか」と尋ねると、「いつか××さんの家の子供が死んだとき、大勢の人が集まって、皆んな行列して歩いた。それを見ていると面白かったから、もう一度あの行列が見たいので、病気にした」と言って答えた。「お前は、どういう方法で病気にするのか」と訊くと、「あの子供が便所に行っているとき、肛門から黴菌を塗りつけてやった」と奇想天外な返事をしたこともあります。 　このように、低級な動物霊又は自然霊が、病原菌の媒介をして、病気を起していることもあります。これは病原を微生物とする現今の医科学とは一致しているのであります。 　しかしその黴菌は何処から出て来て、何を媒介として人間に伝染するかということになりますと、伝染経路が全然発見されずに、突然ある病気が発生することがありますが、何処からその黴菌がやって来たか、その説明がつかぬ場合には、此処に新しい病気の感染経路が見出されるわけであります。 　私が小児麻痺は迷っている霊魂の影響だと発表しましたら、現代の医学に合わぬ非科学的だと言って色々批評がありましたが、私は小児麻痺ビールスを否定するのではなく、そういう迷っている霊魂が、菌の発生や、感染の媒介をすることがあるということを発表した訳で、科学と一致するのであります。 　この世の中には、なかなか複雑なものであるから、物質的な面からばかり事物を解釈していると、その物質を動かしている原動体である「霊」の方を忘れてしまうようになります。 　色々的低級霊の話を致しますと、この世界は百鬼夜行の恐ろしい世界であるとお考えになるかも知れませんが、決して恐ろしいことはないのであります。 　人間は神の子であり、万物の霊長ですから、その根本自覚があったら、それ以下の霊に支配されることはない、従って低級霊を媒介として、病菌に感染させられるということもなくなるのでありまして、 　何よりも大切なのは、「この世界に如何なる霊や黴菌が居ろうとも、人間は神の子であるから、そういうものには断じて支配されないのである」ということの自覚を深めることであります。 　それですから、「人間・神の仔」の自覚を深める神想観を始終おこなって、「吾れ神の子である」という自覚が、本当に徹底したならば、如何なる迷霊といえども、如何なる病菌といえども、われわれに禍いをすることが出来ないということになるのであります。

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