[21] ボリニパ ガチ陵辱(中篇) |
- ウホッ!いいユンボル - 2007年02月18日 (日) 11時52分
ベッドの上に放り上げられ、手足の拘束を解かれた時には、既にニッパからは抵抗の意思も 気力も削げ落ちていた。 「ベッド汚しちまうか。いや、どうせドロドロになんだから関係ねえやな」 ボリングは呟くと、薬と愛撫ですっかり出来上がったニッパの体から、汚れてボロボロになった作業着を 完全に剥ぎ取っていく。 痩せぎすで生っ白い体には痣や擦り傷が目立ったが、ボリングは一向に気にしていないようだった。 下着までむしり取ったところで、ボリングはヒュウと唇を鳴らす。 「オイオイ、図体の割にゃけっこう立派なモン持ってるじゃねーか。こりゃもしかして、おめー あの野郎に犯られるつもりじゃなくて、こいつで犯るつもりだったのかよ?ヒヒヒ」 硬く充血したニッパの逸物を、節くれだった手が無造作に握り込む。 「うぁ!!」 ニッパはヒュと息を詰めて四肢を強張らせた。 ただ苦しげに身じろぎし、彼は両手で顔を覆ったまま、きつく目を閉じて浅い呼吸を繰り返す。 「初回大サービスだ。やりかた覚えとけよ」 ついで指で扱かれていたものが、ぬるりとした感触に飲み込まれる。 薬で朦朧とした意識が、それが男の口の中だとぼんやり理解する。 「あ……あ……ア……」 分厚い舌が、亀頭を這い回り鈴口を割る。強く吸われ、悲鳴じみた声がニッパの喉を突く。 「……っあう!!」 追い詰められている上に経験がないニッパは、それだけの刺激にあっさりと陥落した。 ハァハァと、肩で息をするニッパの耳に、男がぐびりと喉を鳴らす音が聞こえる。 「早えよ」 揶揄する声にも何の感情も湧かないほど、ニッパの思考は麻痺していた。
「この程度でへばってんじゃねえぞ。こっからが本番だからな」 うつ伏せにされ、高く尻を上げさせられる。 狭間に何かどろりとしたものを垂らされ、冷たさに骨ばった肩が微かに震える。 「う……」 太い指が狭い括約筋を押し開いて、内部に侵入する。 その瞬間だけ、ニッパは息苦しさに虚ろな目を見開いた。 「く……はぁっ……」 グチュグチュという音が、空っぽの頭に妙に大きく響く。 内壁を荒らす指はいつの間にか二本に増やされ、痛みと異物感に混じって 重苦しいようなむず痒いような感覚が、ニッパの腰骨あたりから這い上がってくる。 「うぁ……あ、あ……」 「何だ?もう気分出してやがるぜ、ククク……そろそろか?」 指が引き抜かれ、代わりにもっと熱を持ったものが、解された場所に押し当てられる。 (……え……?) 「力ぁ抜いてろよ、切れちまうからな。入れるぜ」 背中からそう声がかかるのと同時に、熱を帯びた肉塊が臓腑をこじ開け、ずるりとニッパの内部に 押し入ってくる。 「ヒッ……ぎぃっ!!」 臓物ごと押し出されそうな激痛が、朦朧としていたニッパの意識を裂いた。
(あ……れ……オレ……?) それまでとは比較にならない痛みに、わずかにニッパの正気が戻ってくる。 しかしそれは本人にとって、到底救いとは言えないものだった。 (ちくしょう……痛い、痛い、痛い!) 苦痛に覚醒させられた意識の中、彼が理解できたのは、自分がなすすべもなくボリングの手によって 「女」にさせられているという事実。 (イヤだ……イヤだ!……イヤだあぁっ!!) ひっきりなしに喉を突く悲鳴は言葉にはならず、逃げ場を求めて伸ばされた指が、空しくシーツを掴む。 (助けて……助け……隊長!……た……) 無意識に救いを求めた相手の名を理解した瞬間、その心を埋め尽くしたのは絶望だった。 「あ……」 足掻いた手が宙を泳ぐ。 (そうだ、隊長はもう……) だからこれは自業自得なのだと、折れたままの心がそう受け入れる。 (オレは、逃げて……逃げて、それで……) ニッパの逃走が守るため、戦うための逃走だったら、その心は決して折れなかっただろう。 たとえその身が薬と暴力に蹂躙されようと、自分は戦い抜いたとあの世のバルに胸を張れたはずだ。 だが現実には、恐怖から無様に逃げまどった挙句、たどりつけたはずの全てを手放し喪った 惨めな自分自身がここにいる。 「く……はぁっ……」 ボリングの雄が内壁の粘膜を擦り上げるたびに、苦痛が別の感覚に塗り替えられていく。 自身を犯す異物が、過敏になった内部の一点を突き上げた時、ニッパははっきりそれが快感だと知った。 「くぁ!ああああッ!!」 「凄え、もう気に入ったのかよ。コッチの素質も充分じゃねえか、ニッパ」 その変化に気付いたのか、のしかかられた背中から、ボリングの愉快そうな声が落ちてくる。 (もう、どーでもいいや……) とうに限界を超えていた彼の精神は、たやすく快楽という逃げ場に飛びつく。 ボリングの老獪な動きに目覚めたばかりの性感を蹂躙され、身悶えながらニッパはいつしか自分の意思で それを受け入れる。 「ふ……あ……も、もう……」 **には直結しないもどかしい快感に焦れ、知らずにニッパの手が自身の前に伸びる。 が、求める刺激を得られる前に、その手はボリングに押さえ込まれる。 「勝手に触るんじゃねーよ。このままケツだけでオンナみてーにイかしてやる」 言って、男が律動のペースを上げる。 ニッパはイかせてくれと喘ぎ泣き叫びながら、少しでも強い刺激を得ようと自ら腰をくねらせ 銜え込んだモノを締め上げる。 「凄えな。たまんねぇよ、お前……」 掠れたボリングの声を、彼はどこかひどく遠くに聞いていた。 思考は愉悦にドロドロに溶かされ、いつ果てたかもわからないまま、シーツを吐き出した精で濡らす。 腸壁を灼く男の精に、ニッパの意識が一瞬飛ぶ。 自身の狂態に、なけなしの自尊心が根こそぎすり潰されて行く様を、ニッパはぼんやりと眺めていた。 (ああ、当然じゃないか……) ただ憎むべき相手に犯されながら快楽に溺れる自分自身を、彼は諦めと共に自嘲した。 (みじめな、オレには……お似合いだ……)
気が付けば、ニッパは這いずり出るようにボリングの屋敷を後にしていた。 時刻は深夜。あの崩壊からまる二日と経っていない。 『この街はもうオレの街だからな、困ってんならいくらでも手ぇ貸すぜ、オレとおめーの仲だしな』 ウヒヒと笑うボリングの声から逃げるように、痛む体も薬の残る足もそのまま逃げ出してきたニッパは 市街地に差し掛かったところで足を縺れさせ、往来にドサッと転倒した。 「いてて……」 転んだ拍子に、握らされていた数枚の紙幣が手を離れ、石畳の上に散らばる。 『てめーもオレも、結局同じ穴のムジナなのさ……』 寒空の下、ボリングの言葉が呪縛のようにニッパの頭蓋にこびりつく。
一夜で変貌した世界。目の前に散らかったしわくちゃの札。ズタボロの自分。 夢の残骸。失われた道標。誰より届きたかった、守りたかった男の最期の言葉。 己の全てだったその存在。 「……っ……ア……」 怒りとも悲しみとも情けなさともつかない、グチャグチャな感情がニッパの喉奥から噴き上がる。 「うおおおおおおおおッ!!」 激情にまかせ拳を石畳に叩きつける。激痛が裂けた手の甲から脳天まで抜け ニッパは呻いて路上に転がった。 せめて少しは泣けるかと思ったが、彼の喉から漏れたのは嗚咽ではなく乾いた笑いだけだった。 「ハ……ハハ……ハハハハハ」 ヘラヘラと可笑しくもないのに笑いは止まらず (ああ、オレとうとう狂っちまったのかな?)そうニッパは思った。 しかし笑い疲れて息を切らしても、あいにくと正気な自分に、彼はふっと溜息を吐く。 往来に大の字に寝転がり、見上げた夜空は星一つない曇天。 しばらくそうしているうち、胃袋が小さく音を上げるのを、ニッパは空虚な意識の片隅で聞いた。 「ハラ、へったな……」 力なく呟くと、軋む心と体に鞭打って身を起こす。 腫れて血の滲む手で視界の隅に写った紙幣を拾い集め、彼はとぼとぼと灯りの消えた街へ足を向けた。
|
|