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[36] 続き、バルニパver.
ビター - 2007年03月10日 (土) 22時30分

図面を一通り頭に入れて、明日に備える。
電源を落とす前に、もう一度それを眺めた。
有能な部下だ、そして有能な相棒だ。
不満は無い。
控えめな物音を耳にし、意識がそちらへ向かう。
手が勝手に拳を握る。
もう片方の手で宥めて緩める。
不満は無い、はずだった。



普通の人間ではありえない優れた五感は、密やかな帰還を早々に悟らせる。
閉じていた目を開け、立ち上がった。

ドアを開けそのすぐ先に自分の姿を見た途端、短く息を吸い込んだ音が聞こえた。
「…隊長、」
吐く息に混じる呟き。
「どうしたんすかこんな時間に。早く寝ましょうよ」
自分を避け通り過ぎていこうとする。
「こういうの、少し控えてくれねーか」
斜め後ろで衣擦れの音がぴたりと止まった。
振り返れば、同じく振り返った顔と目が合った。
「マジどうしたんすか、隊長。プライベートには口出さないのが暗黙の了解だったっしょ」
表情が硬い。
一歩近付き、手首を掴んだ。
引こうとするのを許さず、二人の視界に曝す。
そこには指の形の痣がついていた。
顔の高さまで持ち上げてその痣を舐める。
目を上げれば、驚きを通り越して怯えすら感じられる表情に変わるさまが暗がりの中でもはっきり見て取れた。
「や、やめて下さいよ、隊長らしくない」
自分の手を取り返そうとして小さくもがく。
離してやると数歩後退り、壁に背を預けてその動揺しきった表情を向けてきた。
「オレもそう思う」
自分の手を見下ろす。
あの痣の上にさらに痣を作らない程度にはコントロールしたつもりだった。
実際どうだったのか、確かめるのが少し恐い。
「オレも誤算だったんだ。お前の気持ちは知ってるし、その上で尊重してきた。これからもそうする気だった」
瞬きもせず、固唾を呑んで耳を傾けている。
「自分が、ナリはともかく中身は大人だってことに何の疑問も持ってなかったから、忘れてたよ。体に心が振り回されるこの感じ、ガキにはこんな時期があるってことをな」
苦笑してみせる。
反応は無い、ただ呆然とこちらを見ている。
言葉を求める代わりに自分が続けた。
「だから悪ィが控えてくれ。自分に惚れてる人間が性の匂いをさせてて平常心でいられるほど、今のオレは大人じゃねーんだ」
糸が切れたように壁に背を預けたままずるずると座り込むのを見て、驚いて近寄った。
「おい、大丈夫か?」
「は はは」
片手で顔の半面を覆い、力なく笑っている。
額から生え際に指が移る。
男にしてはかなり綺麗だと常日頃思っている髪が、痛々しく握り締められる。
「はは、酷ぇや隊長。オレだってそんなこと言われて平常心でいられるほど大人じゃないっすよ」
握り締めていた指を緩め髪を後ろへ梳き流すと、その手をゆっくり伸ばしてきた。
指の背が頬に触れる。
頬から唇へと移ろった瞬間、その手を掴んで止めた。
「やめろ、今までの自分を壊す気か?大事にしてきたじゃねぇかお前」
「もう無理っすよ。オレの気持ち知ってるって?分かってねぇよ隊長、オレがどん、どんだけ、隊長を好きか」
酸素が足りないかのように喘ぎながら言う。
捉えている指が冷たくなってゆく。
「ほんとはどんだけ、た、隊長に抱かれたかったか、オレだって今分かったんだ!」
溢れた涙が頬を伝った。
それすら気付いていないようだった。

口が酷く渇いている。
飲み込んでも、喉を潤すものは無い。
指の力を緩める。
掴んでいた手がぱたりと落ちた。
宙に取り残された手を恐る恐る伸ばす。
触れた体から震えが伝わってきた。

あぁ駄目だ、なんて酷い、と頭の片隅で思っていた。
こいつがオレを想うようにはオレはこいつを愛してないのに、オレはこいつを抱くのだ、と。
唇を重ねた瞬間、解らなくなった。
オレは本当に、こいつを愛していなかったのだろうか?



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