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[44] ボリニパ
鬱系 - 2007年04月06日 (金) 23時45分

事の最中、様子がおかしいのに気付いた。
昂る自分とは逆に反応が鈍くなり、目が虚ろになっている。

「何だってンだ、オイ?!」

顎を掴み顔を揺さぶってみる。
眼球が緩慢に動いて自分を映す。

開いた瞳孔を見て、嫌な予感がした。

バスルームへ引き摺って行き胃の中のものを吐かせる。
案の定、酒臭い液体に交じって溶けかけた錠剤が7,8個出てきた。

舌打ちする。

酷い匂いに耐えながら口移しで水を飲ませ、もう一度吐かせる。
シャワーを出し、吐瀉物を流すついでに頭から浴びせてやった。

「ちったぁ目ェ醒めたかよ。ありゃ何だ」

顔に滴る水を手で拭いながら、スイミンヤク、と呟いたのが辛うじて聞こえた。
あまりに予想通りで、さらに苛立つ。


奴が実は酒に強いらしいと気付いた頃から、いつかこんな真似をしでかすのではないかと思っていた。

どんなに泥酔しているように見えても、受け答えの内容はいつだってまともだった。
“これ”もそうかもしれないという考えに至った時は、抱いている最中にも関わらず殴り飛ばしたりもした。


規定量以上をご丁寧にアルコールと共に摂取するそのやり口も、そのくせ明らかに致死量と思えるだけの量は飲めない臆病さも、そこまで追い詰められていながらなお後生大事に過去を引きずっていることも、全てが忌々しい。

殺してやろうか。
もう何度目だか分からない殺意を胸の内で呟く。
その方がラクになれるに違いないのだ。

─誰が?



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