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[13] タバコすってる人の口の中ってタバコの味がするって本当ですか、バルニパバル。
nana子 - 2007年02月09日 (金) 05時26分


「ニッパ、お前煙草持ってないか?」

ニッパ、と呼ばれた男はぎょっとした顔を見せた。

「隊長って煙草吸うんすか」 問題はそこじゃない。
という事には、すぐに男も気が付いて、目の前の子供(なのは、もっとも、外見だけなのだが)が何かを言うより早く、つまりそれからすぐに、「駄目ですよ隊長、体はまだ5歳でしょう、今から吸ったらすぐに肺癌でくだばっちまいますよ。」
眉を吊り上げ言う男に対し、子供の外見だけの隊長、バル・クロウは短い眉の終点を少し垂れ下げた。それを見て、ニッパ、ことニッパー・トーラスまで眉毛が八の字に垂れ下がる。まるで叱られて拗ねた子供と、叱った事に罪悪感を感じて困っている親のようだった。あながち外れてもなかった。
久しぶりに吸いたかったんだがな、と幼い声。
ニッパーはただ黙って、相変わらず困った顔をしているので今度は子供の方が「いいや、お前の言う通りだ」と言ってやった。子供は子供らしくない、優しく穏やかに、宥めるように笑っていた。その時には立場がもう殆ど変わっていた。だから少しだけ男の眉の形が戻った。その時だった。
「…どの銘柄の煙草吸ってたんすか?」
男が、不意に尋ねた。
もう困った様子はなかった。かと言って怒ってるわけでも笑ってるわけでもまして悲しんでる様子もなく、どの感情でものを言っているのかわからない顔で、男は不意に尋ねた。
その代わり、というわけではないがとりあえず、今度はバルの方が、ちゃんと嬉しそうに笑った。笑って、それからすぐに言った。


「買ってきてくれるのか?」
「あげません。」


子供の肩が、わかりやすいぐらい極端に、ガクリ。と落ちた。







男の手には古くさいデザインのパッケージの煙草が握られていた。
もう随分と昔からある銘柄の煙草で、探すのに苦労はしなかった。割りと良い物は良い物だから生き残るのだ。もっとも少しでも良くなければ、すぐに生産は打ちきられ、姿を消す。この煙草が良い物で、本当に良かったと男は思いながら二本目の煙草に火をつけた。そうしながら長く吸うと、口の中に酸素じゃない気体が潜り込んで来て、ライターを閉じズボンのポケットに突っ込んでから、煙草を親指と人差し指の腹同士で挟むようにして掴みむ。そして口から離す。離した瞬間勿論唇を開いてるのですぐに唇から白い煙がなだらかに逃げていった。なだらかに、なだらかに。
その煙を、惜しいとばかりに鼻からまた吸った。むせた。馬鹿だ。そう、男は随分と馬鹿な事を考えていた。

「…………」

元々男は日頃煙草を吸うというような習慣を持ってはいなかった。
勿論これが初めてというわけではなく、何度かは吸った事はあった。彼が少し前、通っていた店には多く喫煙者が居て、時々彼にも自分が吸っている煙草を薦めてくると言う事が何度かあったのだ。未成年だった頃に吸った事はなく、やはり割りと最近の話だ。少なくともこの五年間のうちの、何時かに初めて吸った。元々男は体が弱い方だったので、こういう物に手を出す事を避けていたのだ。
ともかくそんなもんだから、男の舌は煙草の煙にさっぱり慣れてはいない。いないのに、いないからこそ、舌がピリピリと、痛かった。舌全体が毒に感染して麻痺してるようだ。最も毒に感染したなんて事、はなかったので、正座をしていて足が痺れたような感じが、舌からするな。という程度の考えだった。しかしそれではあまりにかっこ悪いので、男はもし誰かにどんな感じがするかと聞かれたら、毒に感染して麻痺してるようだと答えようと思った。もっとも、今彼の隣には誰もいない。いないのに。
彼は、男は、空気の中にピリピリと痺れる舌を差し出した。
少しはましになるかと思ったが、特にかわらなかった。
しかし男は、薄く、何処か嬉しそうに笑って、笑って、呟いた





「…同じ味だ。」




(今オレの口の中は、「 あの人 」と同じ味だ。)





そう、男は随分と馬鹿な事を考えていた。





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