[715] 魔術の話 |
- 伝統 - 2015年07月06日 (月) 19時31分
*「聖光録」(P109〜146)より
《魔術の話〜その1》
〜 この話を携帯すれば、きっと幸福になる
―― 時々読んで心を新たにしてださい ――
私は最近一冊の神秘な魔術的な力をもった書物を手に入れたのである。
その書物の魔術的力はどこから来るかというと善のみ實在であるという 眞理から来るのである。
その眞理の書物はいかにしたらその唯一の實在である善の力をわがものとすることが できるかということが書いてあるのである。
その書物は第1部と第2部とに分かれている。 第1部の書出しは、グレン・クラーク教授の『牝鹿の脚の話』に 極めてよく似た書出しである。
ある日ハルヨット・D氏があるコーヒー店で一人椅子に凭(よ)って 折から運んでこられたコーヒーのカップに砂糖をほりこもうとして 手を伸ばしたというのが書出しである。
牝鹿の脚の話はあるレストランになっている。
そしてそれははげしく雨の降っている風のつよい日になっていたが、 この物語はやはり風のはげしいみぞれ雪の降りしきるひどい嵐の日になっているのである。
戸ががたがたいう、戸の隙間から冷たい風がぴゅうぴゅう入って来る。 しかしD氏は何となく心が楽しい。
外の降りしきる雪も吹きまくる風も、 心の中に、ただ楽しい感謝の念にみたされているD氏には なんら影響を与えることはなかった。
D氏は何か楽しいことを夢みながらあついコーヒーをすすっていた、 と扉(ドア)が開いた。 そして扉(ドア)がしまる。入って来たのはS氏である。
S氏は前からD氏の知合いであるが、常に運の悪い、何をしても絶対成功せぬ男で、 それにもかかわらず、普通以上に美術家としての才能のある男なのである。 しかしどういうものか運の悪い続きでいつも生活に困っているのであった。
<感謝合掌 平成27年7月6日 頓首再拝>
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