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未に日帰

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これは下のニッキへのコメントになるのです。違ったら戻るとよいです。

[426] 即興 さはる

 目の前が真っ暗になった。柔らかい布が投げつけられたらしい。あまり大きな布地ではない。そのうえ、なにやら硬い部分もある。ジッパーではないようだから、多分ゴムだろう。
「何コレ」
「ぱんつ」
 なるほど確かにそれは女性用の下着である。大体の形は、少し横に長い逆三角形。水色地に、茶色や白や青で大きめのチェック柄が描かれている。多分前側、ゴム地の部分に一箇所だけサテンのリボンがついていた。
「いや。なんでお前が持ってんの。そういう趣味? 盗んできたの?」
 目の前の男を見つめた。元々奇行の目立つ男だが、犯罪に手を染めるような輩ではないはずだった。しかし何故ぱんつ。眉根をひそめて男を見ると、彼はふふんと得意げに笑っていた。
「一体誰のだと思う?」
「知らねえよ」
「聞いて驚け。桂さんだ」
「は? 学園のマドンナの?」
 そのとおり、と男は快活に笑う。その笑顔で、嘘なのだとわかる。一瞬でも信じた自分が恥ずかしい。両端をそっと持ってぶらさげる。愛らしいぱんつ。
「で、何なんだこれは」
「おぱんつですよ」
 いひひ、と悪戯っぽく笑っている。矢印みたいな触覚と尻尾を生やしてあげたい雰囲気である。睨みを利かせると、コワコワ、と身をすくめた。
「それはですね、君のおぱんつです」
 は? と聞き返す。こんな下着は初めて見た。お店で、といわれたら自信がないが、少なくとも所有はしていない。彼は腕を組んでふんぞり返った。
「今日、お前誕生日だろう?」
 どうだ、と言わんばかりの自慢げな顔をされても返す言葉はなかった。愛らしいぱんつをつまんだまま、絶句する。
「たまにはそーゆー、女の子らしいのも履いてみようぜ☆」
 何を言ったらいのわからないままとりあえず、拳をお見舞いしてやった。

コメント 2011年06月16日 (木) 23時53分






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