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[67]文豪くん 1 投稿者:G&G

投稿日:2013年08月22日 (木) 10時23分

半年以上前と記憶してますが、ここの掲示板にて、「大学でPCソフトに星新一氏の作品に似たSF小説を執筆させる研究が始まる新聞記事を読んだが、成功して欲しくない。それより、星新一氏がこれをネタにショートショートを執筆したら、どんなオチが待っているかに興味がある。」こんな書込みをしました。もし覚えていてくれたなら嬉しいです。しかし、星先生は既に鬼籍に入られていて、そんな望みは叶えられるべくもありません。そこで、大変僭越、身度ほど知らずではございますが、小生がそのテーマにて書いてみました。
勿論、星先生には遠く及びませんがご一読頂けたら幸いです。酷評など頂けましたら無上の喜びです。

文豪くん

「坂本君、ついに出来たぞ!!」
エス博士は坂本氏の顔を見るなり得意満面の顔でそう言った。
つい三日まえに、「面白い物を発明したから見に来ないか。」と電話で誘われたので、坂本はやってきたのだ。
「一体何が出来たんです??」
「これだよ、これ。これは世紀の発明品だ。」
と言いながら指差した物はありふれた何処にでもあるPCであった。
「PCじゃあないですか、同じようなPCをつい先日、旧機種だからってものすごく安く買いましたよ。」
「誤解するな、儂が発明したものはPCじゃあない。そのPCにインストールされているソフトだ。儂はとんでもないソフトウエアを発明したんだよ。」
「そうなんですか。それで、どんなソフトなんです??」
「もっともな疑問だな、無理もない、坂本君が想像もできない発明品だからな・・。」
「勿体をつけないで早く教えてくださいよ。博士だって言いたいくせに・・。」
エス博士はその言葉を待っていたとばかりに、得意顔の度合いを強めて、手で顎のあたりをさすりながら。
「では教えよう。坂本君、驚くなよ。これはな、小説を書くソフトなのだよ。どうだ、驚いたろう・・。」
「小説??小説ってあの漱石とか鴎外とか云う小難しい人が書く、あの小説ですか?」
「そうだよ、まさにその小説だ。しかし、小説と云ったってそんな難しい純文学だけではない。歴史小説もあるし、恋愛小説もある。他には推理小説、ミステリー小説、SF小説など肩の凝らない小説も多い。そして、儂が発明したこのソフトウエアはそういったあらゆるジャンルの小説を書くことができる、万能型小説ライターなのだ。」
「このPCが小説を書くのですか・・・そんなことが本当にできるんですか??」
「まあ、信じられんだろうな、最初は誰だってそうだろう。当然な疑問と言える。儂だって数年前に小説を書くソフトウェアがあるなんて言われたら、まず信じなかったと思うよ。だが、嘘じゃない本当だ。そのソフトは小説を書くソフトだ。現に今、このソフトは執筆の真っ最中なのだ。」
坂本は改めてそのPCをまじまじと見つめた。成程、PC横のモニター中央には、
赤く太い「執筆中」の文字が点滅していた。
「2週間位前に第1号作品の執筆を起動させたのだ。執筆を起動させるにあたり、大まかではあるが小説のジャンヌを指定するのだ。さっき言ったように小説にはたくさんのジャンヌがある。このPCに執筆依頼をする際はまずその指定をしなければならない。その他オプションとして多種の設定ができる。時代は西暦1000年代1500年代、現代とか、舞台については日本は勿論、北米、南米、ヨーロッパ、東アジア、中東とかだな。他に関係したい歴史上の人物、事件などあらゆる希望に対応してくれるのだ。だから、舞台は南アフリカで、時代は西暦1500年代、関連人物は聖徳太子とナポレオン、関連事件は三億円事件、小説ジャンヌは国際ミステリー。そんなやっかいな希望にも、設定次第で楽に対応してくれるのだ。その設定は至って簡単。執筆依頼のオプションにチェックを挿入したり、BOXに人物名や事件名を記入してあげればいい。どうだ、素晴らしい歴史的発明と思わんか?」
 博士は愛しむようにPCに手を置きながらそう言ったのだが、言い終えてすぐに、そのPCからありふれた効果音が流れてモニターの「執筆中」の点滅表示が「完了」の点滅表示へと変わった。文字の色も赤色からオレンジ色へと変わり、文字そのものも大きくなっている。
「おやっ、終わったようだ。このソフトの奴め、脱稿したようだぞ。」
博士はそう呟きながら、モニターの前に座りなおし、キーボードをたたき始めた。
間もなく接続されているプリンターが動きだし印刷を始めた。
「博士、本当に小説が完成したんですか?このPCが書いたんですか?」
そんな坂本の問いかけにもエス博士耳をかさず、眼鏡を掛け直し、印刷した用紙の束を
「うん、うん」と頷きながら目を通している。やがて、
「う〜ん、予想以上の出来栄えだ。素晴らしい。やはり儂は天才じゃな。」
深く頷きながら、エス博士は自己満足に陶酔しきっていた。
「やっぱり小説ができたんですね、博士、僕にも見せて下さい。」
「いかん、これはとにかく私の作品だ。応募をするまでには誰にも見せる訳にはいかない。これは小説家の常識だよ。」
「応募?何に応募するんです?」
「それはだな、「月 古二(ツキコウジ)文学賞」だ。いくら坂本君だって、「月 古二」は知っているだろう。」 
「ええ、聞いたことがあります。確か短編小説を多く書いていた小説家ですよね。」
「その通りじゃ、短編特にショートショートと呼ばれる分野では-神様-と呼ばれた方だった。数年前に惜しまれつつ亡くなったけどな。その、月 古二に冠した文学賞が「月 古二文学賞」なのだ。この文学賞は年に一度選考されて受賞者が決まる。応募は誰でもできる。今週末がその応募の締切日だから、間に合ってよかった。今、ざっと目を通したがこれはなかなかの傑作だ。行ける、間違いない。そうじゃ、まだこのソフトに名前を付けてなかったな。そうだな・・・「文豪くん」でどうだろう。シンプルだけど愛着がわきそうないい名前だな。これにしよう。」
エス博士は口もとに笑みを浮かべ、その「文豪くん」に細めた眼を向けていた。
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