[ No.5 ]
臓器移植法運用指針の一部改正に関する意見提出について
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2007年05月24日 (木) 12時37分 |
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平成19年5月21日 厚生労働省健康局臓器移植対策室 御中
臓器移植法運用指針の一部改正に関する意見提出について
〒798-4101 愛媛県南宇和郡愛南町御荘菊川2290 移植への理解を求める会 代表 向田 陽二 電話0895-74- メール ko_yo_mukoda@yahoo.co.jp 拝啓 日ごろ、移植医療の推進に対して、多大のご尽力をされていることに、心から敬意と感謝の意を表します。さて、臓器移植法運用指針の一部改正(案)のなかで、病腎移植への対応については、次の通り、異議があります。ぜひご検討をお願いいたします。 敬具
改正(案)によると、病腎移植への対応については「疾患の治療上の必要から腎臓が摘出された場合において、摘出された腎臓を移植に用いるいわゆる病腎移植については、現時点では医学的に妥当性がないとされている。したがって病腎移植は、医学・医療の専門家において一般的に受け入れられた科学的原則に従い、有効性および安全性が予測されるときの臨床研究として行う以外は、これを行ってはならないこと」としています。 しかし、病腎移植については、病理学の専門家がデータを詳細に分析した結果、移植が原因の病気再発は1例もないうえ、生着率や生存率も死体腎と比べて遜色がなく、その有効性、安全性が明らかにされています。したがって「現時点では医学的に妥当性がないとされている」という見解は、事実に反しており、納得できません。 この問題には、移植を望む多数の腎不全患者の命がかかっています。それだけに、医学的な論議を十分に尽くさず、調査委員会の粗雑な調査報告をもとに、安易な判断をされたのでは、患者は立つ瀬がありません。 宇和島徳洲会病院の万波誠先生らが進めてきた病腎移植に関しては、不満を訴えるドナーは1人もいません。むしろ「役に立つのなら喜んで病腎を提供したい」という人がほとんどです。一方、レシピエントの多くは「3年でも5年でもいい。透析から解放され、もう一度元気な生活をしたい」という思いで移植を受けています。仮に生着率が悪くても、病気再発の可能性があったとしても、患者にとっては、少しの期間でも透析から解放され、健康的で質の高い生活ができるということが何より大きいのです。健康な人の単純な考えで、この問題の良否を判断すると、本質を見誤ってしまいます。 医療関係者によると、ドナーの腎臓は死体腎であれ、生体腎であれ、健康的なものは少なく、ほとんどは傷んでおり、いわば病腎であるということです。 もう一つ言うなら、万波先生らの病腎移植の進め方に問題があるにしても、そのことと病腎移植の医学的評価とはまったく別の問題です。移植のやり方が悪いから病腎は駄目だということにはならないはずです。それは、やり方を改めれば解決することです。 したがって、病腎移植の医学的な妥当性の可否の判断は、臨床現場の事情に詳しい、より能力の高い専門家の手で、あらためてドナーとレシピエント双方の緻密な追跡調査をしたうえでお願いしたいと思います。「病腎移植は…有効性および安全性が予測されるときの臨床研究として行う以外はこれを行ってはならない」という方針(案)も、この判断のもとに、再検討をぜひお願いいたします。 移植に利用可能な病腎は、年間約2,000個捨てられていると指摘する医療関係者もいます。もし、そうであるなら、利用が広がれば、遅れている日本の移植医療を進めるうえで画期的なことと言えます。 また医療費の問題を考えると、移植を受けた場合は透析治療の3分の一程度ですみます。そのことだけを取り上げても、病腎の再利用を真剣に検討する価値は十分すぎるほどあると思います。 こうした事情を踏まえ、病腎移植を例外的に臨床研究に限定するのではなく、日常的な医療として定着させる方策を、ぜひ考えていただくよう強く要望いたします。患者を1人でも多く救うことを第一に、今後とも賢明な医療行政を進めていただきたいと念願いたします。 以上 . 連絡先 移植への理解を求める会事務局 〒790-0925 松山市鷹子町928-2 河野 和博方 電話089-970- メール kohno@lib.e-catv.ne.jp
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