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| 昔昔・・・ 08.08.03
 
 もう気の遠くなるような昔ですが、俺のじいちゃんは、和菓子職人で、結構頭も良かったのに、長男ということだけで、家に張り付くことになってしまった気の毒なかわいそうな境遇の和菓子職人でした。
 
 きっと彼もやりたかったことは
 山ほどあったろうに・・・。
 
 そんなじいちゃんは、明治生まれの男で、
 傲慢の中にも憎めない人だったんです。
 根性があって、なかなかかわいらしいところもある、
 厳しいじいちゃんでした。
 
 じいちゃんの口癖は、
 「種、植えぬところに花は咲かない」でした。
 
 今考えると、あったりめえだろ!と思うのですが、
 この言葉をよ〜く考えてみると、
 とっても深い意味が込められていたのです。
 
 種は、樹木から落ちて初めて土の上におかれます。
 そのうちの数%が、雨かなんかの影響で土に埋もれ、
 またまたそのうちの数%が芽を出すことが
 できるのです。
 
 種を植えても芽が出るとはかぎらない・・・
 でも、植えなきゃ、もっと可能性はない。
 少しでも、ほんの少しでも可能性があると
 思うのなら、植えてみなさい、
 という意味だったんです。
 
 花は咲かないかもしれない。
 でも、植えないでゴロゴロしてるよりは、
 よっぽどいいに決まってる。
 じいちゃんは、俺にこのことを
 伝えたかったんです。
 
 「種、植えぬところに花は咲かない」
 当たり前のようで、なかなかできない
 人間の生き方の力です。
 
 じいちゃんは、きっとこう思ったんでしょう
 「この子の弱さは、可能性を可能性と思わない、
 いや、気がつかないところだ。
 だから、人間の可能性のすばらしさを、
 なんとか教えてやりたい」
 
 未だに俺は愚か者です。
 
 一生懸命あがくだけあがいている
 溺れた魚みたい。
 スイスイと泳いでるつもりでいたら、
 思わぬところに海流の違う場所があって、
 泳ぎなれている場所でドキドキしている。
 
 まあ、今まで、悠々と仕事を
 こなしたことなんて一度も
 なかったんですけどね。
 
 可能性は、いくつになってもあるものです。
 気に入った花が咲かなくとも、
 咲かせたあなたはすばらしいんです。
 
 切り取って、床の間の花瓶に
 生けられるのが運命の花もあれば、
 そこに咲き続け、命を全うする花もある。
 咲いたって、運命は全部違うんです。
 花は、咲かせてからも苦労する。
 咲くまでだって大変なのに・・・。
 
 謙虚な気持ちで生きていきたいものですね。
 
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| By あー |   
| (434)/2008年08月04日 (月) 01時04分 |  |