尊敬する筑紫哲也さんへ・・・ 08.11.12



　　　　公私ともに、僕におつきあいくださり、
　　　　また、人間という凄まじい世界も教えていただき、
　　　　舞台の楽しさ、その仕事をしているという自身と、
　　　　覚悟を教えていただいた恩師。

　　　　あなたほど大きな教訓と疑問を
　　　　世界と日本に与えたジャーナリストはいません。
　　　　それはまさにコメントなどという生易しいものではなく、
　　　　時には苦言に近い、日本人全部を敵に回しそうな批判も、
　　　　なんなく覚悟を持って、
　　　　言い当てていたあなたがいない日本の冬です。

　　　　時には戦場に、体にむち打ってレポートするかと思えば、
　　　　僕らのような中途半端なコンサートまで
　　　　見に来てくださるバイタリティーと行動力、
　　　　そして何より、世の中を知ろうする強い探究心には
　　　　今でも、「超える事の出来ない人」というイメージがあります。

　　　　何より、ニュースという枠を大幅に越えた存在の
　　　　人であったと思います。

　　　　決して、こびる事なく、決して否定するのでもなく、
　　　　公平な目をいつも維持し続けた人、
　　　　それが、筑紫哲也という人でした。

　　　　本当に偉大な人とは、沈着冷静で乾ききった人
　　　　なんかじゃないと思います。

　　　　優しさと厳しさの両方を持ち合わせ、
　　　　自分の観点から物事の中心を見極める事の出来る人、
　　　　それが本当の偉人です。

　　　　彼のような逸材がひょこひょこ出てくるとは思えません。

　　　　おそらく、もう僕たちの生きている間には
　　　　出てこないでしょう。

　　　　ご冥福と、今後のこの国のいく末を、
　　　　どうかその公平な目でいつまでも天から
　　　　見守っていてください。

　　　　最後に、京都での会食が出来た事を、
　　　　僕の一生の宝の思い出にさせてください。
　　　　どうぞ、やすらかにお眠りください。

　　　　本当にありがとうございました。