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国難打開への道(中西輝政) (7610)
日時:2013年04月11日 (木) 18時42分
名前:伝統


       *『致知』2013年1月号特集「不易流行」より

【国難打開への道~この国の舵取りを誤ってはいけない~】中西輝政(京都大学名誉教授)

1.政治力の低下が生んだ困難

  現在、日本は大変な国難に見舞われています。

  尖閣、竹島、北方領土、中国での反日デモ・・・・
  やりたい放題にやられています。
 
  日本を動かすリーダーたちの政治力の低下がこのような事態を招いているのです。


  まさに尖閣は国民1人ひとりが危機感を持って、命懸けで取り組むべき問題なのです。
 
  当時(「国民の覚悟」という著を出した折)は、
  「あんな小さな島々にどうしてそこまで」と考える方もいたかもしれませんが、
  事は一尖閣の領有問題に止まらないからです。

  もしも尖閣が中国の手に落ちれば、
  中国の政治支配が今度は日本人の住んでいる島々に、つまり沖縄・琉球列島全体におよびます。

  米軍も総撤退に追い込まれ、そしてその先にあるのは日本列島全体の危機です。

  私は以前から、尖閣問題は21世紀の日本の国運がかかる大きな意味を持つだろう
  と言ってきましたが、いまそれが現実になろうとしています。

  こうした意見を言うと、以前は経済界の方たちから
  「どうしてそんなに中国のことを危険視するのですか」「先生は反中国のお立場ですな」と、
  中には嫌みや脅しを込めた抗議を受けることがよくありました。

  しかし2010年の中国漁船による巡視船への体当たり事件以来、
  「中国という国は先生がおっしゃっていたとおりですね」
  と、あちこちから聞かれるようになりました。

  おそらく今回さらに多くの国民がそういう認識を深めていることは間違いないでしょう。

  ただ、重大な問題は、これだけの危機を目の前にしても日本の政治家をはじめとする
  日本のリーダーたちは、未だに盲目状態でこの危機を直視していないことです。
  相変わらず足元の政局や景気の行方ばかり気にしています。

  もちろん景気は重要ですが、日本の領土が奪われようとしているのです。
  本来、国としてこれ以上ない危機的な状況なのに、
  日本のリーダーたちの発想はあまりにも安易です。

  ここには日本の現在の問題点が非常に明快に表れています。

  「草の根」の位置にある国民は既に目覚めていて、現状への危機感を非常に強く持っている。
  対して、日本の舵取りをすべきリーダーの認識があまりにも安易で全くぼやけてしまっている
  のです。

  中には、分かっていて見て見ぬふりをしている人もいます。
  これはもう国家に対する裏切り、道徳的な堕落です。


まかり通る3つの嘘~第1の嘘 (7611)
日時:2013年04月11日 (木) 18時43分
名前:伝統

2.まかり通る3つの嘘~第1の嘘

  第1の嘘は、「中国国内の反日世論が強いから、中国政府はやむなく日本に対して強硬策に
  出ている」という論評です。

  しかし、中国国内での反日デモの様子を見ればその嘘は明らかです。
  あれは国家の指導による官製デモです。

  デモに使われたプラカードや国旗などを見ても、一朝一夕に民間人が作れるものではありません。
  政府自らが時間とお金をかけて、”準備”しているのです。

  また、デモに合わせて尖閣周辺や日本の領海に向こうの海洋監視船や巡視船がやってきました。
  9月14日にはもう隊列を組んで尖閣領海を侵しているのですから、出航したのはそれ以前です。
  「予定通りの行動」というわけでしょう。

  そして”国民の反日感情が抑えきれないから”と言いながら、
  デモは9月19日になるとピタリとやんでいます。
  デモが政府の号令によって始まり、終った官製である何よりの証拠です。

  これらの事実から、この反日デモが中国政府によって仕組まれたものだと
  今回ばかりは日本の国民も理解したはずです。

  決して中国国内の反日世論が強いから政府が統御できないという話ではないのです。

  にも拘らず、日本のメディアにはいまだにこうした嘘がばら撒かれています。

          <感謝合掌 平成25年4月11日 頓首再拝>

第2の嘘 (7618)
日時:2013年04月12日 (金) 04時44分
名前:伝統

3.まかり通る3つの嘘~第2の嘘

  第2の嘘は、尖閣で日中が衝突しても「アメリカは日本を守らない」という論評です。

  確かに、アメリカは領土問題については中立を保たなければならないのです。
  これは、アメリカの建国以来の国是です。
  
  (フォークランド紛争において、領有権についてはアメリカは中立の立場でした。
   ただし、紛争抑止という点では、同盟国の英国の側に立ち、戦争に突入した際は、
   同盟の義務を果すという立場をとっていました)

  今回の尖閣問題でも、アメリカは必ずこうした立場を取ります。

  アメリカの国益を考えても、尖閣が中国の支配下に入ることは、
  安全保障上、重大な事態なのです。

  中国が21世紀の大きな国策として考えているのは、アジアからアメリカを追い出して
  アジア全体の覇権国になることです。
  そのためには中国はどうしても南シナ海を支配しなくてはならないのです。

  それゆえ、中国はいま東南アジアの国々を敵に廻して南沙諸島を強引に奪い取ろうとしています。
  それらの島々がすべて自国領であるとする中国の主張は国際法の原則に全く反するのですが、
  委細構わず力の支配を目指しています。

  中国がこれほどまでに南シナ海にこだわるのは、あの海域は中国の沿海地帯に有する
  唯一の深い海だからです。なぜ深い海が必要かと言えば、核ミサイル潜水艦を配備するため
  なのです。

  アメリカと張り合うためにはアメリカ本土を中国からの核攻撃の脅威にさらしておくことが
  不可欠だと中国は考えています。もし日本を守るために日米安保を発動したら、「中国の
  ミサイルがアメリカ本土を灰にするぞ、それでもいいか」と脅しをかけて、アメリカがアジアに
  介入しないようにする。これが中国の軍事的、戦略的な大方針です。

  そころが、地上にある核ミサイルは戦争の危機が切迫したらアメリカの先制攻撃で全部潰されて
  しまいます。ですから、核ミサイルは海の底、すなわち潜水艦に搭載しないと、本当のところ
  意味がないのです。

  中国はこの5年ほど前から原子力潜水艦の配備を始めました。しかし、これを本格的に運用する
  海がない。水深が浅いところだとすぐに探知されて、戦争が始まる前に沈められてしまう。
  だから深い海が必要なのです。


  アメリカと対抗するには南シナ海を支配しなければならない。
  そのためにはまず尖閣を取って、台湾や南シナ海で立ちはだかっているアメリカを
  抑えなければならない。

  一方のアメリカも尖閣を取られればアメリカ本土の安全が脅かされることはよく分かっています。
  アメリカは南シナ海を中国との「主戦場」だと考えています。
  絶対これ以上中国に進出させてはならない。

  そのために、フィリピンを助け、ベトナムを助けているのです。
  そんな時に東シナ海に火がついたら収拾がつかなくなる。
  「日本よ、しっかり守ってくれよ」というのがアメリカの本音なのです。

  アメリカが尖閣問題に関して日米安保を必ず適用すると繰り返しているのも、
  日本が腰砕けになって、下手をすれば尖閣を中国に明け渡してしまいかねないと危惧している
  からです。
  
《オスプレイ配備を妨げる世論工作》

  アメリカは日本の政治リーダーの危うさをよく分かっているから水面下で必死に日本を支えて
  います。

  その一つの表れがオスプレイの配備です。
  沖縄へのオスプレイの配備は、ひとえに尖閣問題があったからです。

  日本のマスコミではオスプレイの事故が大々的に報じられ、多くの日本人が怒っていました。
  しかし、この報道は典型的なディスインフォメーション、意図的に誤った情報を流す世論工作
  に他なりません。

  オスプレイの事故率は、今までアメリカ海兵隊が使っていたヘリコプターや飛行機に比べて
  半分から三分の一ぐらいで、むしろ安全性は高いのです。

  (中略)

  マスコミはそれを報じません。
  これはオスプレイの配備を妨げるための巧妙なプロバガンダに聞こえます。


  このオスプレイに配備に加え、(日本側の要請で)中止になりましたが、無人島での
  日本の自衛隊とアメリカの陸・海・空軍・海兵隊が始めての合同演習が予定されていました。
  これなどは、アメリカの中国抑止への強い意志の表れなのです。

  さらにアメリカは、横須賀にいる航空母艦ジョージ・ワシントン及びジョン・C・ステニス
  という最新鋭の大型空母を沖縄の東海岸から600kmほど離れたところに配備しています。
  これが中国抑止に非常に効いています。

  もしこの配備がなければ、中国は接続水域に海洋監視船を航行させるというような
  生易しいやり方ではなく、デモ直後に間髪を容れず尖閣に上陸してきているでしょう。

  このようにアメリカは同盟国としてやるべきことはきっちりとやっているのですが、
  南シナ海紛争も抱えていますし、アメリカ企業がまだ中国から完全に撤退していないという
  事情もあります。

  これについて一言付言すると、
  アメリカやヨ-ロッパの企業はもう1年も前から中国の脱出を開始しています。

  2012年の初め頃、『ビジネスウィーク』というアメリカの雑誌が「エクソダス(脱出)」
  というタイトルで特集を組みましたが、アメリカの対中投資は2012年1月から9月までで
  前年比36%も減っています。

  崩壊しつつある中国の経済バブルに巻き込まれないようにするためです。

  ところが、日本の企業は中国経済の危うい先行きを見ずに、この1年、闇雲に投資額を増やして
  きました。その結果、対中投資は前年比20%も増えているのです。日本の経済人は経済が
  専門のはずなのに、中国経済の一大変調にも全く危機感がありませんでした。

  しかし、今回の騒ぎでようやく日本企業も目が覚めて、中国からの撤退を決断する企業も
  出て来ました。特に日本と肩を並べて中国を抑止しようとしているベトナムやインドといった
  国々に新たな投資先を探り始めました。

  その意味では、今回の騒ぎは日本の経済界にとっては幸いでした。
  これこそ「不幸中の幸い」といえましょう。

  もしもあのまま投資を続け、この先バブル崩壊が本格化すれば中国の消費市場はデフレに
  なるでしょう。そうなると労働争議が頻発して、撤退するにもできなくなります。

  そういう次第で、アメリカは状況を見て次々と手を打っている。

          <感謝合掌 平成25年4月12日 頓首再拝>

第3の嘘 (7632)
日時:2013年04月12日 (金) 20時07分
名前:伝統

4.第3の嘘

《中国はずっと尖閣を狙っていた》

  第3の嘘は、9月11日に日本政府が尖閣の国有化に踏み切ったことがきっかけで中国側が
  激しく反発し始めたという論評です。この嘘が一番深刻です。

  政治家を含め、日本人の大半が今回の騒ぎは政府の尖閣国有化が発端になっていると
  信じているのではないでしょうか。

  しかし、これは中国側の対日宣伝戦略にまんまと乗せられているのです。

  いまはっきり言えることは、中国は日本の尖閣国有化の前に、すでにこの問題を大きく
  しようという意図を持って動いていたということです。

  例えば、(2012年)8月15日の終戦記念日に、「香港の活動家」と称する中国人が
  抗議船で領海侵犯をして尖閣諸島の魚釣島に強行上陸し、中国国旗を立てるという事件が
  ありました。

  これは一見、民間人が「義憤」に駆られて暴挙に出たという図式に見えるのですが、
  冷静に考えれば、北京政府が出航許可を出さない限り船を出すことはできないのですから、
  中国最上層部からのゴーサインがあったことは明らかです。

  そういうと、中にはこんなことを言う人がいます。
  「今回のこういう騒ぎになったのは、4月に石原慎太郎さんが尖閣列島を東京都で購入する
  と言い出したからだ」と。

  しかし、これも全く間違った認識です。
  こういう議論をしている人は、この1年半余りの尖閣情勢の緊迫感を全く理解していません。

  メディアが十分に報道していないために正しくフォローできていないという側面もありますが、
  ずっとウォッチを続けていた我われは、尖閣がこの1、2年、非常にきな臭くなっている
  ことに早くから気づいていました。

  例えば、2010年の漁船衝突事件以来、尖閣上空に中国の軍用機が接近するようになりました。
  時には、防空識別圏という、それを超えると日本側が領空侵犯を防ぐための対抗措置(自衛隊機
  のスクランブルなど)をとらないといけないような線まで出てきている。

  特に東日本大震災のあと、その動きは活発化しました。
  当時の菅総理がなんの考えもなく、10万人規模で自衛隊を被災地に投入してしまいましたから、
  即座に中国が反応したのです。

  中国は建国してから2011年の夏まで、ただの一度も尖閣上空に軍用機を接近させることは
  なかったのです。それを敢えてやり出したこと自体、我われには大変な驚きでした。
  当時、中国の潜水艦が尖閣近くまで来ているという話もありました。

  これはとても怖いことです。
  潜水艦からゴムボートに乗り移って夜中に、2、30人を上陸させて国旗を立てて居座って
  しまえば、国際法上、尖閣は中国に実効支配された形になります。
  これはいつ起こっても不思議ではなかったのです。

  その点では、今回の尖閣国有化をめぐる騒ぎは日本に幸いしました。
  なぜなら、中国が隠密行動をとれなくなったからです。

  (2012年)9月以降、アメリカも日本も偵察衛星はすべて尖閣上空に集ってきて、
  ずっと監視を続けています。また海中まで監視できる海上自衛隊の対潜哨戒機が以前の
  3倍ぐらいの頻度で飛んでいますから、中国の潜水艦は接近できません。

  さらに国際世論の目もあり、中国は無茶な行動はとれないのです。

  大半の識者やコメンテーターはこんな中国の策謀に気づいていません。
  しかし、石原さんはなどは尖閣問題を「ライフワークだ」と言ってずっとウォッチしていました
  から、大変な危機感を抱いたのでしょう。それが東京都の尖閣購入発言の背景にあったのです。

  石原さんは最初、(2012年)4月16日にアメリカのワシントンで講演をし際この提案を
  しました。その後、国会に参考人として呼ばれた時にこう証言しています。

  「本当はもう遅すぎるんだ。君たちが何もしないから、こんなところまで追い込まれたんだ。
  だから、尖閣は何があっても都が全面に出てやる」と。

  実は、石原さんがアメリカで尖閣購入をぶちあげるちょうど1か月前の3月16日、中国の
  「海監50」という海洋監視船が尖閣領海に突入してきました。これは四千㌧もある大きな
  監視船で、30㍉機関砲を備えています。監視船とは言っても巨大な軍艦そのものなのです。

  それを持ってきたから、我われは中国が本気で尖閣を奪いにきたと色めき立ちました。
  いままで南シナ海にしか出たことがない最新鋭の超大型監視船がいきなり尖閣の領海侵犯
  してきて、何時間も日本領海内を航行したのです。

  日本の巡視船は危なくて近寄れないから、遠くから「ここは日本の領海だから出て行くように」
  と警告を続けました。すると中国側は怒気を含んだ口調で「ここは中国の領海だ。お前らこそ
  出て行け」と、日本語と中国語で数十分にわたって脅してきたのです。

  現場の話では、機関砲を日本の巡視船に向けつつ押し問答をやったそうです。

  このニュースを聞いた時、すぐに動かなければ尖閣が危ないという意識を持った関係者は
  少なくなかったと思います。ですから、石原提案は時宜を得ていたのです。

  この石原さんの行動に対して、中国側の公式メディアが出した論評は「また日本の極右が
  血迷ったことを言っている」といった軽い調子のもので、危機感は感じられませんでした。
  できるわけがないと思い込んでいたのでしょう。

  ところが、その直後に中国が一番恐れていることが起こったのです。
  ご承知のように、日本国民からの莫大な額の寄付金が東京都に集まりました。
  僅か1か月ほどで10万人以上の人が寄付をして10数億のお金が集まった。

  これは中国にとって予想外でした。日本の国民が総意として石原発言を支持していると、
  中国は大変な危機感を抱いたはずです。そして、石原さんを叩かなくてはいけないと戦略転換を
  図り、もし本当に買収することになったらこうしようと計画を立て始めたわけです。

  ところが、その目算が狂ってしまった。
  野田内閣が7月7日に尖閣を国で購入し、国有化すると表明したからです。
  これも中国にとっては予想外の事態だったでしょう。

  中国外交は大きな失敗をしたのです。この失敗を挽回するために、日本の「国有化」を
  口実にして中国は徹底的な日本叩きを始めたのです。国有化はそのほんの「きっかけ」に
  すぎず、事態はもっと前から進んでいたというわけです。

          <感謝合掌 平成25年4月12日 頓首再拝>

中国の領海法、日本のマスコミの限界 (7640)
日時:2013年04月13日 (土) 07時46分
名前:伝統

5.鄧小平の棚上げ論と領海法

  この3つの嘘に関して、全く許せないのは一部識者やメディアの動きです。
  私は先日、田原総一朗さんの司会するテレビ番組に出ました。
  そこに元外交官の孫崎享という評論家が出てきて、こんな発言をしました。

  「昭和53年に日中平和友好条約の締結のために鄧小平が日本に来た時、尖閣の問題は我われの
  世代は知恵がないから、知恵のある将来の世代に委ねようという話をした。あの頃から日中は
  棚上げで合意している。その後、ずっと現状凍結で来て何も起こっていなかったじゃないか。
  それなのに今回、日本政府は国有化に踏み切った。これが中国を怒らせているんだ」

  これに驚いて、私は「棚上げなんか中国側はしていませんよ」と反論しました。
  一緒に出演していた外務省出身のもう一人の方も「日本政府は当時もいまも棚上げに合意した
  という事実は一切ない」と言いました。鄧小平が勝手に発言しただけなのです。

  そして私はいつも強く言うのですが、中国側は自ら言い出した「棚上げ」をその後、一切反故
  にして、鄧小平の言葉は完全に嘘だったと既に証明されていることを知らねばなりません。

  「棚上げ」発言から14年後の平成4(1992)年に中国は鄧小平の承認を得て「領海法」
  という法律を制定していますが、その条項の中には「尖閣諸島は中国領土である」とはっきり
  書かれています。これは棚上げどころか、国内法上、「国有化」したのも同然です。

  つまりこの法律を制定した時点で、中国側は棚上げをやめていたのです。

  私が尖閣の問題に危機感を持った最初の出来事も、この領海法の制定でした。
  中国という国はあまり法律を重視しない国ですが、
  領土に関する法律になると非常に神聖視します。

  それを考えると、領海法を制定した時点で中国は絶対に尖閣で譲歩しないだろうと思いました。
  その先にあるのは日中の正面衝突だろうと。
  以来この問題を仔細にウォッチしてきたのです。

  繰り返しますが、この92年の「領海法制定」の事実をもって
  中国側は棚上げを降りたわけです。
  別の言い方をすれば、向こうが咲きに国有化しているのです。

  それから20年遅れて、日本はやっと国有化という措置に踏み切っただけです。

  この領海法一つ考慮に入れず、「日本側が咲きに現状を変更した」などという日本人識者は、
  到底誠実な知識人、専門家とは言えません。一体どこの国の利益を代表してものを言っている
  のだろうかと思うほどおかしな議論です。

  ですから、日本は「尖閣国有化を撤回せよ」という中国の要求は何があっても呑めない、
  と明示しておく必要があります。もし日本はこれを撤回したら、その瞬間に、世界は
  日本が尖閣を中国に返したのだと受け止めます。

  将来、国際裁判を起こしても絶対に勝てません。
  国有化は日本が最低限死守するべきラインなのです。

  本来であれば、飛行場やヘリポートを造り、自衛隊の部隊が駐屯するべきなのです。
  あるいは石原さんが言うように、船だまりを整備し、燈台を建て、都の職員、県の職員が
  常駐しているという状態をつくるべきです。

  これをもって初めて実効支配と言えるのですが、
  政府は対中配慮外交に終始して何もしていません。

  要するに、鄧小平の「棚上げ」という言葉に一方的に騙され続けて
  実効支配を強化しなかったことが日本の仇になっているわけです。


《メディアはなぜ真実を伝えないのか》

  石原発言や日本の国有化決定などに関係なく、中国は長期計画を立てて力で尖閣を
  奪い取りに来ているのです。しかし、そんな危機的な状況にあるということを
  ほとんどの日本人は知りませんでした。

  結局、日本にとって中国問題の最大のネックは日本のメディア、報道機関の問題なのです。
  日本のメディアは中国に関して「国民に本当のことを知らせまい」としようとしている
  かのようです。

  反日暴動の被害額も非常に小さく見積もっています。総額100億円というような報道が
  なされていますが、保険会社の専門家に聞くと、300億前後の実績が出ていると言って
  います。

  詳細は分りませんが、どちらにしても、事が中国に絡むと日本のメディアが常に
  問題を小さく見せようとしていることは確かです。普通であれば、こういう事件が起こると
  非常に強い報道をして政府関係者は何をしているのかと糾弾するのがメディアの役割です。

  ところが、日本のメディアは全く逆で、まさに「偏向」といっていい報道姿勢です。
  これは国交正常化以後40年間にわたる中国の対日工作の成果とみるしかありません。
  中国がこの40年、一番力を入れてきたのが日本のマスコミへの工作です。

  それによって、現場の記者や論説委員が知らず知らず中国を利する報道をしていることも
  少なくないのです。その原点は昭和39(1964)年に取り交わされた日中記者交換協定
  です。これにより、日本のマスコミが北京に特派員を常駐できるようになりました。

  この協定には3条件がついていました。
  ①中国を敵視してはならない。
  ②台湾を指示してはならない。
  ③日中の国交正常化へ世論を誘導しなければならない。

  いまもなお日本のマスコミはこの3原則にがんじがらめになって取材活動をしているのです。
  これではまともな報道などできるわけもありません。

          <感謝合掌 平成25年4月13日 頓首再拝>

変わりつつある若者の歴史認識 (7654)
日時:2013年04月13日 (土) 20時13分
名前:伝統

6.変わりつつある若者の歴史認識  

  中国には対日戦略として重視している3つの大目標があります。
 
 ①日米関係の分断。
 ②日本は中国に悪いことをしたという歴史の贖罪意識を絶えず日本人に植え付け続ける。
 ③日本人に中国の真意を隠して警戒心を起こさせない。

  日米関係だけはかろうじて続いていますが、あとの2つは既に達成されているかのようです。

  しかし我われはこの事態をなんとか押し戻し、打開していかなくてはいけません。
  そのために最も重要なのが中国に対する日本人の誤った歴史認識を改めることです。
  
  その点で、今回の尖閣問題は非常にいい材料になりました。
  というのは最近、学生や若い研究者の中に中国への不信感をはっきり口にする人たちが
  増えているのです。

  いま中国が国際的に大規模なプロパガンダ作戦を繰り広げています。
  その中で中国政府は「日本は1895年に日清戦争のどさくさに紛れて尖閣を奪った」と
  主張しています。

  しかし、実際はその10年も前から日本は尖閣の領有を各国に通知しているのに、
  中国側(当時は清国)はなんの抗議もしませんでした。

  この一つを取ってみても、中国が訴える「歴史的事実」というのは全くのでたらめだという
  ことがわかります。それが日本の若い学生たちにも分ってきたようです。

  「このような明白な嘘をつく人たちだから盧溝橋事件や”南京大虐殺”のような話も嘘をついて
  いるに違いない。中国が”日本にこんなことをされた”と主張している話はすべて眉唾でないか」
  と言う人たちが急増しています。

  また、彼らは中国が”パクリ大国”だとよく知っています。だから、そんな国が言う
  日本の「歴史責任」など鵜呑みにできない、すべて再検証する必要がある、と言うのです。

  このようにいま、明かに中国に対する日本人の見方が変わってきています。
  この好ましい変化を日本の同胞にどんどん広げていかなくてはいけません。
  これは非常に大事なことで、それなくして、この国の自衛は成り立たないからです。

  歴史認識が変わってくれば、少しずつ国民の自分の国に対する見方も変わってきます。
  国の歴史、国の誇りとは何かを知れば、「主張すべきは主張する」という当たり前の
  日本人が育ってくるはずです。

  (中略)

  現在の日本の政治は大変危うい状況にあります。
  今の日本は経済大国とは言えません。
  さらに政治や軍事となると、弱小国と言っていいほどです。

  いま力をつけた中国や韓国などから、そこにつけ込まれているのです。

  そういう日本の現状にリーダーはもっと強い危機感を持たなければいけません。
  これからのリーダーは自分の国の運命と自身の人生や生命さえもがぴったりと重なってくる
  ほどの危機感を持つ必要があります。それがなければリーダーの資格はありません。

  現在の自民党は中道リベラル政党です。
  いま、日本の歴史と伝統文化に沿った国家軸を持つ本格保守政党が必要なのです。
  二千数百年連綿と続いている日本の国を未来に続かせていくという使命感を持った
  本格保守政党が出てこなくてはいけません。

  いま日本に必要なのは、日本人が世界で胸を張って生きていけるような確固たる
  歴史観と国家観を堅持し、それを再度世界に発信していくことです。
   
          <感謝合掌 平成25年4月13日 頓首再拝>

安倍晋三氏への期待 (7678)
日時:2013年04月15日 (月) 05時01分
名前:伝統

7.安倍晋三氏への期待

  (2012年)10月25日に石原慎太郎さんが都知事を辞任して新党をつくる
  という爆弾声明を出しました。

  このニュースを聞いて、自民党の安倍晋三総裁は吉田松陰が武蔵野の処刑場に出向く時に詠んだ

  『身はたとひ武蔵野の野辺に朽ちぬとも留め置かまし大和魂』

  という辞世を口にして、「これが石原さんのお気持ちなのでしょう」と感想を述べました。

  それを聞いた時、二人の心の中に流れているものは同じだなと感じました。

  その安倍総裁が今回の自民党総裁選に立候補する時、先輩たちは、
  「元総理が総裁選に出て、もし3番目4番目の票しか入らないような負け方をしたら、
  政治生命を失うぞ」と強く反対しました。

  それでも彼は出馬を決断しました。
  その時の心境は、石原さんの松陰になぞらえて言えば、高杉晋作が功山寺で挙兵した時の
  思いだったでしょう。討ち死にするしかない、と。

  実際、尖閣の危機がなければ、安倍総裁は誕生しなかったと私は思います。
  安倍晋三という人は「天命の人」と言ってよいでしょう。

  いまの安倍さんからは晩年の吉田茂の、国家のことしかなかったあの雰囲気に似たオーラが
  出ています。前政権の時はそのようなオーラは感じませんでした。

  前回の時は、私は「安倍さん、10年早いんじゃないか」と言っていたのですが、
  予想通り短命に終わりました。

  あの辞め方に対して国民は落胆し、保守陣営の中にも批判した人がいました。
  安倍さん自身、それを一番気にしていました。だから、まさに「断腸の思い」という言葉で
  総括したのでしょう。本人は周り以上に深く悔やんでいたようです。

  あれは安倍さんにとって非常に大きなトラウマになり、今回の捨て身の覚悟を鍛えることに
  繋がりました。そして、このトラウマを乗り越え、はっきりと「腹を決めた」のでしょう。

  日本のリーダーとしてこの危機に向き合い、自分が国民を引っ張ろう、と。
  それがあのオーラに出ているわけです。

  安倍さんにはいま、周囲からなんと言われても構わない、という心の安定感があります。
  それは「絶対にこの国を奪われてはいけない」という強い使命感から来るものでしょう。

  わたしはそんな安倍さんに日本の再生を託したいと思うのですが、
  その一方でこうも言いたいのです。

  「安倍さん、長期政権にしようと思ってはいけませんよ」と。
  前回は長期政権を目指したために、中国との間で「戦略的互恵関係」という訳の分らない
  中途半端な妥協をしてしまい、靖国神社への参拝も見送らざるを得なくなりました。

  しかし、いま国民は日本のリーダーが日本の歴史と伝統に基づいた骨太の国家軸を示すことを
  望んでいるのですから、進むべき道ははっきりしているはずです。

  おそらく総理になれば、過去の誤った歴史認識を乗り越えるという姿勢を示すことになります。
  当然、内外から物凄い風圧を受けるでしょう。「それでもやるんだ」という姿勢を示すため
  には、長期政権を望んで同じ失敗を繰り返してはいけないのです。

  いまの日本を元に戻すのは大変な仕事です。乗り越えなければならぬ障害はいくつもある。
  一回や二回、刀折れ矢尽きて倒れることは覚悟の上で、それでも屈せずに挑み続けなくては
  いけません。

  七生報国(たとえ死んでも七たび生き返って国のために報いる)ではありませんが、
  国家再建という大課題が残る限り何度でも繰り返し総理をやるんだという気概が必要です。

  そういうリーダーであれば、どんな辞め方をしても、必ず「安倍よ、もう一度やれ、という声
  が湧き起こってくるはずです。

  いまこの国には、国家を体現するという雰囲気を全身から沸き上がらせてくるようなリーダー
  が求められているのです。その判断基準は内面にしっかりした魂があるかどうか。
  国民はここだけ見ていけば、日本のために役立つ人かどうか分ります。

  そういう直感で国民が指導者をかぎ分けていく時代が来ています。

  大切なのは政策がどうこうと御託を並べることではない。
  リーダーに「この国を立て直すためになら何度挫折しても立ち上がる」という捨て身の魂が
  あるかどうかです。

  そういう人に舵取りを託したいという気分がいまの日本に横溢してきているように思います。

  これを言い換えれば、急激に変化する時代の流れに対して古来よりの「不易の精神」で
  立ち向かえる人が待ち望まれているのです。不易の精神を持っている人は、流行に対しても
  間違わず、当面の課題に対して最善の選択ができます。

  そのような「不易のリーダー」こそがいまの日本に必要なのです。

  (以上で完了です)

・・・

  参考として、次のWebにても、同様な紹介があります。
  Web:英考塾 → http://eikojuku.seesaa.net/article/306110564.html

          <感謝合掌 平成25年4月15日 頓首再拝>



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