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ほめ教育 (8001)
日時:2013年04月28日 (日) 04時46分
名前:伝統


      *読売新聞(平成25年4月20日)教育ルネサンス より

《「ほめ言葉」で深まる絆》

「いつも優しいですね」「野球がうまいね」。
3月14日、東京都武蔵野市の市立大野田(おおのでん)小学校。

下校前に開かれる2年2組の「帰りの会」で、台の上に立った今野翔斗(かいと)君(8)を、
クラスメート27人全員が口々にほめた。
最後に今野君が「ありがとう。心に残りました」と答えた。

毎回、1人の児童をみんなでほめる「ほめ言葉のシャワー」。
約20年前、菊池省三・北九州市立小倉中央小学校教諭(54)が始めた活動が、
各地に広がっている。

大野田小のこのクラスでは、担任の吉田美恵子教諭(28)(現・武蔵野市立桜野小学校勤務)が
昨年11月から取り入れた。

体罰と決別し、子どもをほめて伸ばそうとする取り組みだ。
学校関係者の注目が集まる。

集中的にほめられる経験はめったにない。
反応ははっきり出た。
「手伝ってくれた」などとクラスメートの良い面を吉田教諭に報告するケースが増えた。

吉田教諭自身も「どこをほめればいいか」を意識するようになり、
目立たない子やうまくできない子に目が行くようになった。
子どもたちを見る視点が養われたという。

「ルールを守らない時はきちんとしかるが、やはりほめるほうが子どもの気分も良くなる」と
吉田教諭。桜野小で担任する2年生のクラスでも、5月から「シャワー」を始めるつもりだ。


 
子どもたちの心をつかもうと、毎朝早く教室に行き、
生徒にほめ言葉をかける実践を約20年間続けている教師がいる。

「ホワイトボードに『羨ましい』と書いておいて」。

3月8日の朝8時前、東京都三鷹市の市立第四中学校で、漢字テストを控室で返却していた
五味麻理子・主任教諭(56)(現・府中市立府中第一中学校勤務)が、
難しい漢字を教室のボードに記すよう男子生徒に頼んだ。

「書いておきました」と生徒が戻ると、「ありがとう」。
生徒はにこやかな表情になった。

五味主任教諭は、4クラスある1年の学年主任。
毎朝7時半頃、教室に現れ、担任するD組以外の生徒にも声をかけて、
廊下の掃除や掲示物の貼り替えなど、ちょっとした仕事を手伝ってもらう。

終わると、「上手だね」「助かったよ」とほめる。
話しかけながら、生徒一人一人に変わった様子はないかを確認する。
職員室には戻らず、朝の学活が始まる8時25分まで約1時間居続けることが多い。

五味主任教諭は

「ほめる場面を作るのは、自分が認められているという肯定感を持ってほしいから。
放課後、生徒は部活動、教師は会議などで忙しいが、朝だと、ゆっくり向き合う時間が取れる」

と話す。

ほめることを通じ、教室内の絆が深まっていく。

           <感謝合掌 平成25年4月28日 頓首再拝>

効果を上げる「ほめ教育」 (8157)
日時:2013年05月04日 (土) 06時12分
名前:伝統

上記、読売新聞(平成25年4月20日)教育ルネサンスで取り上げている
「ほめ言葉のシャワー」を展開している北九州市立小倉中央小学校教諭・菊池省三氏に関する
話材をWeb上で集めてみましたので、紹介させていただきます。



《クラス全員でほめ言葉のシャワーを浴びせよう~菊池省三》   

    *Web:教育問題の解決方法を考える(平成24年2月3日 (日) )より

ほめ言葉について、菊池省三氏(<注>)は次のように述べています。

コミュニケーションに力を入れた学習をしていますが、
一番効果があがるのは、「ほめ言葉のシャワー」という授業です。

教室の前に一人の子が出て立ってもらいます。
そして、その子へのほめ言葉が浮かんだ子どもからつぎつぎに立って発表します。

たとえば、ある女の子が前に出たとします。その子へのほめ言葉をつぎのように発表します。
「毎朝、登校すると一番に、かべ新聞を張り替えてくれます」
「休み時間に、男子が周りに集まっていました。男子とも話せることも長所です」

といったように、たんに「優しい」と言うだけでなく、
具体的な事例と、できる限り多彩な表現を使うように指導します。
そのためには、おのずと日ごろから観察力と語彙力を高める必要が出てきます。

数人だけが挙手して、順番に言うのではなく、
全員がシャワーのようにつぎつぎと言うことがポイントです。

自分も何か違うことを言おう、という雰囲気がクラス全体に広がれば、
授業での発言力が育ちます。
 
あまり仲の良くない子をほめることで、人間を多面的に見つめるようになり、
自分を客観的にみることもできます。

全員が1年間で4回前に出れば、約120回ほめられ、約120回ほめる計算になります。
クラスの子どもたちの強いきずなができること、まちがいありません。


<注> 菊池省三:1959年生まれ 福岡県公立小学校教師 
       全国コミュニケーション教育研究会会長全国教室ディベート連盟研究開発委員
       NPO授業づくりネットワーク理事 実践教育研究21サークル代表
       菊池道場主宰 北九州市すぐれた教育実践教員表彰 福岡県市民教育賞受賞

     ( http://hiro12.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-1e4f.html )


     ・・・・・       ・・・・・・      ・・・・・

保護者の感想

      *Web:最近、ほめてますか?(2012年07月13日)より

(1)「ほめ言葉のシャワー」~その中身(手法)が良いです。

(2)“成功”させるためには、ものすごい根気と知恵が必要かと思います。
   けれども、根気と知恵を使い、やってみた暁には、「ハンパない効果」があることは
   確かです。

(3)3年生の担任の先生が、この「ほめ言葉のシャワー」のことを知り、
   実際に実践してみたんですね(ご本人も最初は半信半疑だったそうで……)。

   特に、(言い方は申し訳ないけれど)“怖いお兄さんのような目つき”をしていた
   男の子たちの表情が、1年間で、非常に“子供らしい純真無垢”な目つきに変化して
   いったんです。

   気がつけば、彼らは、とっても可愛らしい愛嬌のある笑顔になっていました。
    (最初は大人を睨むばかりで、笑いもしなかった)

   それに、低学年にして既に授業に集中できていなかった子もいたけれど、
   3年の後半頃には、授業(特に発表が)が楽しくて……
   ……というオーラが出ている子が何人も。

    ( http://blog.livedoor.jp/midorityo/archives/51070408.html )

     ・・・・・       ・・・・・・      ・・・・・

【プロフェッショナル 仕事の流儀(2012年7月16日放送)】

《未来をつかむ、勝負の教室 ~ 小学校教師・菊池省三》

(1)「自信」を持たせることこそが、学級崩壊や「いじめ」をなくす秘訣です。
   そのため、「ほめる」ことを大事にしている。

(2)常に、子どもの状態を探り、絶妙のタイミングで、子どもに働きかける。
   そうすれば、子どもたちは一気に伸びることができます、

(3)「今までの自分を、超えろ」

   この言葉は、事あるごとに、子どもたちに伝えているメッセージ。

   面倒なことや苦しいことからは、つい目をそらして逃げたくなる。
   しかし、その壁を乗り越えてこそ、人は成長できる。
 
   全力で課題に立ち向かい、突破できたとき、そこには新しい世界が広がっている。
   今までとは違う自分になれる。

   社会に出ると、困難なことに多く遭遇するだろう。
   それでも勇気を出して、立ち向かっていく人に育って欲しいと菊池は願っている。

(4)子どもたちに「成長のノート」を書かせ、それに対し、菊池は丁寧な返事を書く。
   その繰り返しが、教師と子どもたちとの間の強固な信頼を生み出している。

(5)クラスが、「群れ」から「集団」になったとき、子どもたち一人ひとりの個性が
   輝きだす。よりよい集団を目指して日々、進化しつづけていく。

   *「群れ」~単に友達とつるんでいる状態をいう。
    「集団」~一人ひとりが意志を持ち、自ら考え、行動する。さらに仲間を思いやる
         気持ちを持つ姿を「集団」と表現している。

     ( http://www.nhk.or.jp/professional/2012/0716/index.html )

           <感謝合掌 平成25年5月4日 頓首再拝>

学級崩壊したクラスの再生 (8208)
日時:2013年05月06日 (月) 06時01分
名前:伝統


上記、読売新聞(平成25年4月20日)教育ルネサンスで取り上げている
「ほめ言葉のシャワー」を展開している北九州市立小倉中央小学校教諭・菊池省三氏
の活動内容を、「致知」(平成25年5月号)からの紹介です。

【学級崩壊のクラスをこうして再生させてきた】

1.より深刻化する学級崩壊

(1)「学級崩壊」という問題がひと頃に比べ、報道されなくなったように思う。
   だがそれは決して問題がなくなったわけではなく、すでに常態化してしまったためで、
   事態はより深刻化し、どんどん広がっているといえるだろう。

   私は学級崩壊という言葉がまだなかった20年ほど前、子供たちの変化に気づき、
   コミュニケーション力をつけされることで、こうした状態に陥ったクラスを立て直させる
   取り組みを重ねてきた。

   本欄では、その実践を通して自分なりに見えてきたことを述べて見たいと思う。

          ○     ○

(2)本年度(平成24年)4月、赴任したばかりの小学校で
   私は6年生を担任することになった。

   初めて来た学校でいきなり最終学年を持つことはあまりないが、
   隣のクラスの先生も着任したばかりだという。

   聞けば1年間で6人担任が代わったこともある大変な学年で、
   卒業年次にもかかわらず誰も持ち手がないということだった。

   クラスの状態は確かにひどく、
   私がよそ見を注意すると、多くの子がチッと舌打ちをしたり、
   「分かってま~す」などと横柄な受け答えをする。

   ひどい場合には机をバーンッと殴り、反抗的な態度を露わにすることもあった。

   1年間で担任が何人も代わってしまうのには、子供だけでなく、親のほうにも問題がある。

   僕は悪くないのに、という子供の一方的な話を聞いた親が
   「担任の指導が悪い」と抗議をしてくる。

   親である自分や我が子にも非があるかもしれないという意識はまるでなく、
   文句を言えばどうにかなる、実際に担任を代えさせることもできるという
   悪循環に陥っていた。

   そうやって他者を攻撃するのは、
   自分に自信や安心感がないことの裏返しでもあるのだが、
   本人たちは我こそが正しいと信じて疑わない。

   こうした例は1年前の私の学級ばかりでなく、
   全国的にもほぼ似たようなものではないかと思う。

           <感謝合掌 平成25年5月6日 頓首再拝>

学級崩壊したクラスを再生するには (8277)
日時:2013年05月09日 (木) 04時55分
名前:伝統

2.学級崩壊したクラスを再生するには

(1)プラスの面を大きく価値づける

   そうした状況(学級崩壊したクラス)を変えるためには、
   正しい考え方と行動の基準を教え、それに基づく体験の機会を増やしていく以外にない。

   私が望むのは、子供たちに言葉遣いや立ち居振る舞いなどの一般性を身につけさせ、
   公に通用するように育てることだが、実はそうした一面が、彼らの無意識の行動の中に
   表れることがある。

   
   例えば配布されたプリントを片づける時、
   上下の角と角を几帳面に合わせて鞄にしまう子がいる。

   この行為に見られる丁寧さは、人が育つ上での重要なポイントなので

   「君はその力をちゃんと身につけている。 大変素晴らしいことだ」

   と言葉を掛けてあげる。

   さらに

   「今後君は大きく成長していくだろうし、
   そういう力を持った君と出会えたことを大変嬉しく思う。
    期待しているよ」

   と大きく価値づけし、プラスの面をさらに伸ばしていくよう働き掛けるのである。

   もちろんダメなところはダメと注意するが、端から叱りつけては衝突するだけなので、
   まずほめて不要な警戒心を取り除くのである。


(2)「価値のある言葉」を与える

   私は年度初めから子供たちにいろいろなものを書かせるようにしているが、
   4月の時点ではまだ自分の非を認めず、文章で私を攻撃してこようとする。

   それが徐々に変化してきて、1か月が経つと

   「校長先生に暴言を吐いたことがある」
   「先生に物をぶつけてわざと叱られたことがある」

   といったように、過去の過ちを省みるようになる。

   さらに半年ほど経つと、自分の思いどおりにならない時に
   よく見せていた不貞腐れた態度がなくなる。

   これは自問自答ができるようになったことの表れで、
   その子の中にプラスの考え方や行動に繋がる
   「価値のある言葉」が入ってきたからといえるだろう。


   では価値ある言葉とはどんなものだろうか。


(3)「一人が美しい」という価値観

   例えば国語の時間に全員を立たせて、「教科書の○ページを声を出して読みましょう。
   読み終えたら座って黙読しなさい」 と指示を出す。

   すると一斉に声を出して読み始め、読み終えた子たちが次々と座っていく、だがその人数が
   半分を過ぎた頃、立っていた子たちが、ドドドッとほぼ一斉に座ってしまったことがあった。
   皆、最後の一人になるのがいやだったのだろう。

   その中で一緒に座るタイミングを逸し、一人で最後まで詠み続けた女の子がいた。
   私はその子を次のようにベタほめした。

   「○○さん、一人になってもよく読み通したね。明かに読んでもいないのに、皆に合わせて
   座った人がいる。恥ずかしい行為です。あなたのような行為を”一人が美しい”と言うんだ。
   素晴らしい」

   そうやって子供たちに、本当に恥ずかしいこととはどういうことかをきちんと教えてあげる。
   それまで君たちは自分が最後の一人になることがカッコ悪いと思っていたかもしれないが、
   そうではない。最後の一人になっても正しいことをするのがカッコいいんだ、美しいのだ
   と言葉によって価値づける。

   そうやって「一人が美しい」という価値観が教室全体へと浸透していくのである。

   このことは本を読む時だけ限らない。
   「一人が美しい」という言葉を心の中に入れた子は、例えば授業の質問で質問はないかと
   聞かれた時、誰にも臆せず手を挙げることができる。

   だからこそ私はさまざまな場面で子供をほめて価値ある言葉を示し、
   それを一人ひとりの中へ入れていくよう努めるのだ。

   すると「いま自分のとった行動はどうだったか」というように、
   一つの言葉を基に自問自答をしてくれるようになる。

   三十余名全員が本当にそうした状態になるには半年ほどかかるが、
   卒業を間近に控え、いまのクラスの子供たちも随分変化してくれたことを実感している。

           <感謝合掌 平成25年5月9日 頓首再拝>

学級崩壊したクラスの再生活動 (8374)
日時:2013年05月14日 (火) 04時38分
名前:伝統

4.学級崩壊したクラスの再生活動

(1)学級崩壊していた初めてのクラス

   いまで言う「学級崩壊」のクラスを私が初めて受け持ったのは、教職生活9年目を
   迎えた30代の頃である。

   通常は5、6年と担任が持ち上がるが、5年生の時に4クラス中3クラスの担任が
   代わるという学年崩壊のような事態が生じていた。

   始業式翌日、簡単に自己紹介をしてくださいと言うと、彼らは1年間、同じ学級で
   顔見知るだったにもかかわらず、前に立った時に何人かが泣き出してしまったのである。

   このクラスではボス的な存在の子を中心にクラスが荒れていると事前に知らされていたが、
   人間関係のズタズタになった集団では、自己開示をすることがやはり怖いのだろう。
   人前で一まとまりの話をすることもできない6年生に出会った。最初の体験だった。

   それまでの私は様々な実践を重ね、曲がりなりにも自分の授業スタイルを築いてきた
   という自負があった。だがこのクラスの子たちは何かを尋ねても、まるで反応がなかった
   り、口ごもって意思表示をしない。

   その日ほ放課後、桑田先生(菊池先生を鍛えてくれた全国的にも有名な北九州市の教師)
   に電話をすると「1年間かけて、一まとまりの話ができるように実践研究すればいい」
   と助言された。

   しかし当時は読解や作文が研究の中心で、話すことや聞くことは当たり前過ぎて、
   まるで価値のないことだったのである。正直なところ、私はそれをしたところで一体誰が
   認めてくれるだろう、と貧乏籤(くじ)を引いてしまったような気持ちだった。

   そんな具合だから、当時はコミュニケーションに関する指導の教材や指導法は何もない。
   そこで私はビジネス書などもヒントにしながら、手探り状態でコミュニケーションの
   指導に取り組んでいった。

   最初はスピーチから始めてみたが、主張性を帯びた内容では皆の反応を恐れ、抵抗を
   感じてしまうだろう・そこで「きょう家から学校に来るまでに見たこと、聞いたこと」
   といった日常のことを話させた。

   それに慣れてくると段階を上げ、「最近の大人に対して言いたいこと」といったテーマを
   与える。すると、それに対して感想の交流や、賛成・反対といった意見が生まれ、
   後にそれがディベートの授業などへと発展していったのである。

   他にも、学習ゲームや大声大会など独自に考案した方法を試みながら、無我夢中で指導
   していったところ、4月には泣いていた子たちもしっかり自分を表現できるように変化し、
   学級全体も温かい絆で繋がるようになったことを強く感じた。

   私はこの体験を通じて、話すことや聞くことの指導は、単純なハウツーの問題と考えて
   いたが、実は子供の人間形成に大きな影響を与える重要な領域であったことを実感。

   これを機に、私は学級経営や教科指導の基礎にコミュニケーションの問題を据え、
   言葉の力を豊かにする指導に取り組み始めたのだった。
   
(2)ほめ言葉シャワーで子供が変わる

   私が15年ほど前から教室の中で行なっている「ほめ言葉のシャワー」という
   取り組みがある。

   これは一人ひとりのよいところをクラス皆で見つけ合う活動で、その日の主役となる子が
   帰りの会で教壇に上がり、文字どおり全員で、ほめ言葉をシャワーのように浴びせていく。

   ほめ言葉は、原則として「事実(一文)+気持ち(一文)」の構成で次々と自由に起立し、
   スピーチを行なう。

   全員が「ほめ言葉のシャワー」を言い終えたら、今度はシャワーを浴びた子が、
   それに対してお礼や感想を述べる。

   元々の取り組みは、3学期に卒業式までの日めくりカレンダーをつくり、
   「○○ちゃんの頑張っているところを皆で言ってあげよう」というものだった。
   しかしこれでは卒業前にしかできない。

   そこで学期ごとの終業式に合わせて年3回にしたところ、やはり反応がよく、現在では
   日常化して、毎日帰りの会で行なうようにしている。

   1日15分程度のものだが、毎日行なうことで子供たち一人ひとりは自信を持ち、
   集団生活の場である学級には安心感が広がる。積極型の人間が育ち、
   絆の強い人間関係が築かれていくのである。

   この取り組みはいま全国へ広がりつつあるが、
   さらに多くの教育現場で行なわれてほしいと願っている。

   学級崩壊が常態化した今日では、教育の制度を変えたり、新しい組織を立ち上げれば
   よいといったことを考えがちだが、すべての根っこは「言葉」の問題に尽きるのでは
   ないかと私は思えてならない。

   あまりに日常的なことのため等閑にしがちだが、人間は言葉を元に思考していく
   のだから、言葉が育てば心が育つ、人が育つという捉え方をもっとしていくべきでは
   ないだろうか。

(3)教育者の使命は、学びの火をつけること

   私は毎週九州で「菊池道場」という研究サークルを開いているが、
   仲間内で本年度ヒットした言葉に「深読み、深掘り」というものがあった。

   子供がノートに書いたりしたしてくれた言葉を、ただ文字間だけを追うのではなく、
   その裏側までを読み、深掘りしてコメントを返すのである。

   大事なことはそうやって深掘りをして何かと何かを「繋ぐ」ということ。
   その子の過去といま書いていること、過去の学習といま書いていること、
   これからこうあってほしいということといま書いていることとを繋ぐ。

   ほめる時も同じように「前はこうだったけど、いまはこうなっているし今後はこなって
   いくと思うよ。だからあなたは素晴らしいよね」というふううに繋いでいく。

   その「視点があると子供たちは自分がどんどん成長していくことの喜びを知り、
   学ぶことの楽しさを実感できるようになるはずである。

   若い頃、私は子供たちにこんな話をよくしていたことがあった。
   「いいか、先生が感じや計算を教えたりしたことは忘れてもいい。でも先生が
   分らない問題にぶつかった時、どうしていたかということだけは覚えておいてほしい」

   私はいつも分らないことがあれば、桑田先生に言われたとおり、
   人に教えてもらったり、自分で本を調べるようにしていた。

   学ぶことの大事さを知る者は、同時に学ぶことの楽しさを知る者であり、
   さらにそれによって、自分自身を変えていくことができることを知る者でもある。

   教育者の役割とは、その学びの火を子供たちにつけてやることではないかと思う。

           <感謝合掌 平成25年5月14日 頓首再拝>

「ほめ言葉のシャワー」の具体的手順 (8430)
日時:2013年05月16日 (木) 04時38分
名前:伝統


         *「致知」(平成25年5月号)より

「一人ひとりのよいところを見つけ合い伝え合う活動」

(1)年間4回(4巡)程度行なう。

(2)帰りの会で毎日行なう。

(3)毎回日めくりカレンダーを各自1枚ずつ描く。

(4)その日のカレンダーを描いた子供が教室前の教壇に出る。

(5)残りの子供と教師がその子のよいところを発表する。
   (発表は「具体的なよい行動の事実+感想や意見」の構成とする)

(6)発表は自由起立発表でシャワーのように続けて行なう。

(7)全員の発表が終わったら前に出ていた子供がお礼のスピーチを行なう。

(8)最後に教師がコメントを述べる。


・・・以下は、Web「教育問題の解決方法を考える(2013年3月23日 (土) 学級づくり)」から
   ~「ほめ言葉のシャワー」を浴びせる具体的な方法と効果について

(具体的手順は、「致知」(平成25年5月号)の通り)

「ほめ言葉のシャワー」の大まかな年間の見通しをつぎのようにたてます。
思いつきの指導では、効果は期待できません。
特に1回目を成功させることが大事です。

1.1学期前半

(1)意義・価値と進め方の説明 

   一人ひとりに自信が生まれ、学級に安心感がひろがります。
   言葉でつながることの重要性や、ほめ合い認め合う大切さを
   担任が「ほめ言葉」発表のモデルとなって話し理解させます。

(2)指導(日常)
 
   書く(箇条書き、見ることを鍛える)、話す(起立発表、毎日多くの場面で)、
   聞く(見える聞き方の定着)

2.1学期後半

(1)日めくりカレンダー作り、1回目の実施。

(2)指導(日常)

   書く(具体的な描写-数字、会話文、固有名詞)、語彙(価値語を集める、
   NG語(すごいなど)決める)、話す(姿勢、目線、声)

(3)1学期の「成長を認め合う会」を行なう。
   2学期に2回、3学期に1回実施する。

3.「ほめ言葉のシャワー」によって、明るい積極的な子どもへと成長していきます。
  そして、学級も温かい絆の強い集団へと高まっていきます。

  多くの子どもは、自分は変わることができるんだと思うようになり、
  自分に自信を持ち、みんなと仲よくなり、コミュニケーション力が伸び、
  観察力がついたと作文に書いています。

    ( http://hiro12.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-29c2.html )

           <感謝合掌 平成25年5月16日 頓首再拝>

「私の子育て術」 (8516)
日時:2013年05月19日 (日) 04時06分
名前:伝統

      *『致知』2013年6月号 致知随想より
       ~田中章二(和歌山県立和歌山北高等学校体操部顧問・
             和歌山オレンジ体操クラブ代表)

人の話をよく聞いたり、場の空気を読めたりする精神年齢の高い子は上達も早いため、
そうした機会や課題をなるべく多く与えたいと考えてきた。


これは長男の和仁が3歳の時のこと。

スーパーへ行くと、キッズコーナーにお金を入れれば動く電動式の乗り物があった。
和仁は跨って遊んでいたが、私は最初からお金を入れてやることはせず、
その日はそのまま帰ることにした。

次に行った時、和仁の目線の先に、
動いている乗り物で遊ぶ子供の姿があった。

和仁はその子が乗り物から降りるとすぐそちらへ駆けていったが、
止まってしまった乗り物はもう動いてはくれない。

3回目、和仁は自分は乗り物に乗ろうとはせず、 やってきた親子連れの姿を見ていた。
そしてその親がお金を入れて乗り物が動くところを目にしたのだろう。

私のほうへ駆け寄ってきて、

「お父さん! あそこにお金を入れたら動くんや」

と実に嬉しそうに話をした。

その時、私は単にそうかとお金を渡すのではなく、

「おまえ、よう見抜いたなぁ! 
 自分で分からんことがあった時には、
 まず周りをよく見ることが大事なんや。
 おまえは凄い。きょうは好きなだけ乗せてやる」

とわざと誉めちぎった。
和仁は7回連続で心ゆくまで乗り物に乗った。

これと同じことがスポーツ指導にも言えるだろう。

大人に求められるのは子供が自ら考え、答えを出すのをじっと待ってやることで、
端から正解を教えてしまっては本人の身にならない。

身体能力がいかに恵まれていても、
それだけで強くなっていけるのは小学校6年生程度までがせいぜいで、
頭を使えない子は必ず行き詰まってしまう。


子供が持つ可能性は無限だが、
その能力を伸ばしてやるための環境づくりをし、
いかに本気に、真剣に取り組ませることができるかは、
我われ大人の役割であり、責任であると言えるだろう。

           <感謝合掌 平成25年5月19日 頓首再拝>



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