沢庵禅師と虎 (2440) |
- 日時:2014年12月21日 (日) 04時42分
名前:伝統
その昔、沢庵禅師が虎の檻の中に平然と押し進み 恐れずに其の虎を見詰めしとき、 虎は首を俯垂(うなだ)れて猫のごとく優しくなれりと謂うにあらずや。”と、 『聖経 続々「甘露の法雨」』にあります。
その昔、 沢庵禅師(たくあんぜんじ)が虎の檻の中に平然と押し進み 恐れずに其(そ)の虎を見詰めしとき、
虎は首を俯垂(うなだ)れて猫のごとく優しくなれりと謂(い)うにあらずや。
汝ら「人間・神の子」の真理を自覚して 恐れずに虎に立対(たちむか)えば虎は頸垂(うなだ)れ 熊に立対(たちむか)えば熊は避けて後退(あとずさ)りせん。
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<参考>
(江戸時代)
将軍家に朝鮮から珍しい大きなトラが献上され、 将軍徳川家光をはじめ、多くの家来が集まっております。 その中に、沢庵禅師も同席していました。
そのとき、将軍徳川家光が、 将軍家武芸指南番で、剣では天下無双の達人、柳生但馬守宗矩を トラのオリに入れてみろとなったのです。
柳生は、「はっ、承知仕りました」と答え、オリの戸を開けさせて中に入り、 刀をかまえて、ジリッ、ジリッっとトラに迫ったのです。 トラも刀を向けられたのでは、たまったものではありません。
ウォーッとうなり声をあげ、眼をいからし、爪をむき、 今にも飛びかからんとする、すごい形相。
さすがに柳生宗矩、身に一分のスキなくトラを見据え、 剣聖と猛虎のにらみ合いが続きましたが、ついに、 トラは宗矩の威厳に屈し、攻撃の姿勢を崩して視線をそらしてしまいました。
ここで、「勝負あり」の声。
しかし、宗矩は気を抜く事ができず、静かに後退し、すばやくオリ外に出たのです。 どうなることかと、固唾を呑んでいた将軍はじめ一同は、万雷の拍手を送ったのです。
このとき、将軍家光は、今度は沢庵和尚に向かって、 「どうじゃ、和尚もやってみないか」との話に、
「お望みとあらば」と、気軽に答え、なんの身支度も身構えもなく、 オリに入り、ノコノコとトラの前に進み出て、 犬や猫を可愛がるのと同じ仕草で、トラの大きな頭をなではじめました。
トラは敵意を示すどころか、主人に愛撫される小猫のように目を細め、 尻尾を振り、沢庵の体に頭をこすり付けたのです。
見ていた人々はあっけにとられ、宗矩の場合とまったくちがった光景に 一同感歎しきりであったというのです。
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『続々甘露の法雨講義』において、谷口雅春先生は、次のように述べております。
病気というものも真に恐れていないものには咬みつかないのであります。
これと同じような話が『旧約聖書』の「ダニエル書」というのに書かれております。 ダニエルという予言者がペルシャのネブカドネザル王のところへ捕虜になりまして、 ライオンの檻の中へ入れられたのでした。
けれどもダニエルは、ライオンを恐れないで居りましたから、 ライオンが猫の如く懐(なつ)いておったというので王様も吃驚(びっく)りした というような事実が書かれているのであります。
真に泰然自若として恐れなかったら ライオンと雖(いえど)も咬みつくものではないのです。 微生物である黴菌でも矢張り同じことなんです。
<感謝合掌 平成26年12月21日 頓首再拝>
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