投稿日:2010年06月17日 (木) 01時05分
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日銀は15日の金融政策決定会合で、日本経済の成長基盤強化に向けた新たな貸出制度の詳細を決定した。
成長分野の事業を手掛ける企業に投融資する民間金融機関への貸付総額は上限を3兆円とし、貸付金利を政策金利と同じ年0・1%の低金利とする。
8月末に貸し付けを始める。
政策金利である無担保コール翌日物金利は、現行の年0・1%程度に据え置くことを全員一致で決めた。
景気は明るさを増してきたが、その先の経済成長への展望は見えてこない。
日銀が成長基盤の強化を後押しする新融資制度を導入するのは、こうした危機感の表れだろう。
新制度は、環境・エネルギー、医療・介護など、日本経済の成長力を高めると期待される分野が対象である。
こうした分野への融資を希望する民間銀行に対して、日銀が低利融資することで貸し出しを促し、成長産業の育成を支援する仕組みだ。金利が年0・1%、期間は最長4年で、資金枠は総額3兆円を用意する。
「通貨の番人」である日銀が、特定の産業分野を対象に政策を発動するのは異例だが、民間企業の成長力を高め、閉塞(へいそく)感の打破を目指す意欲は歓迎したい。
輸出の回復などで企業業績は上向いてきたが、内需は大幅に不足し、慢性のデフレが続いている。企業が、設備投資を積極化できる環境とはいえない。これでは、次世代の日本経済を引っ張る成長産業も育ちにくい。
日銀の新融資が「呼び水」となって、戦略的な民間投資に火がつくよう期待したい。
ただし、効果には疑問の声もある。日銀が金融機関に好条件で融資することが、民間の融資や設備投資を、どの程度刺激するのか、未知数だからだ。
また日銀は民間銀行の融資方針などは確認するが、個別の企業や事業の是非を判断しないという。 資金が本当に有効活用されるかどうか、日銀は融資先の銀行と十分に意見交換する必要があろう。
菅政権は「強い経済」の実現を掲げ、近く成長戦略の具体策をまとめる。環境・エネルギーといった政府の重点分野は、日銀の新融資とも重なる部分が多い。
政府・日銀の足並みがうまくそろえば、成長強化策の実効性が、一段と高まるかもしれない。
とはいえ、物価が下がるデフレが続いたままでは、成長強化の取り組みも、思い通りの効果は望めないだろう。
菅首相は財務相時代からデフレ脱却のため、日銀に追加金融緩和を何度も求めてきた。だが日銀は、今年3月を最後に、追加策を出していない。
日銀の新融資制度は、政府などの追加緩和圧力をかわすためではないかと見る向きもある。
これでは、成長への期待も盛り上がらないだろう。日銀は、量的緩和策の拡充などで、デフレ克服の強い決意を示してほしい。
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