投稿日:2010年10月01日 (金) 23時33分
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■円高問題
円高問題は「円売り介入」と「景気対策」がツイになった問題です。 まず円高ですが、これは1995年に「円高デフレで日本経済が崩壊する」と言われました。それは、国内産業がどんなに経営努力をしていても、円高による海外製品の値下がりに追いつかず、日本の国内産業は製品を作れば作るほど赤字が増えるという時代でした。
今の日本企業の為替差損を見ますと、1円の円高でトヨタの想定レートが87円で300億円の損失、ソニーが90円で20億円、日立が89円で25億円となっています。75円になれば、トヨタは3600億円の為替差損、ソニーは300億円、日立は350億円となり、その分だけ利益が急減することになります。
■円はどこまで進むのか?
英国のポンドは昔1008円でした。それが今は131円ですから13%まで下落しています。日本の円は昔360円ですので、ポンドと同じだけ円高が進めば47円になります。
1989年に都市銀行が倒産するという話題が出た時に、ほとんどの人は信じなかった(私も信じませんでした)ですし、ソ連が崩壊することも、東西ドイツが統合することも、GMが倒産することも信じられないことですが、信じられないことが起こるのが資本主義末期ですから、1ドル=50円になっても不思議ではありません。
武富士が倒産しましたが、これはグレーゾーン金利(企業倫理ではもらってはいけない金利)をもらったから倒産した、言い換えますと環境が変わったから倒産したのであり、そういう点から考えますと、米国の庇護の元で「輸出主導で成長した日本経済が、内需主導に変わらなければならない時期に来た」のではないかと思います。
輸出がゼロになるという意味ではなく、GDPの内需の比率を挙げる時代に来たと思います。ということは、輸出企業は日本国内では生き残れない時代に入ったことになります。
問題は、何時円高が始まるのかということです。すでに円高は始まっていると思っている方もいらっしゃると思いますが、80円までの円高は経験していますので、本当の円高は80円を切ってからが本当の円高になると私は思っています。
20年前でも、投機的為替取引と実物為替取引の割合は97対3でした。つまり、97%は投機的取引でしたから、ポンド危機・バーツ危機・ルーブル危機・円危機でも、政府がヘッジファンドに勝てなかったように、円高の流れが始まれば「適性価格まではだれにも円高は止められない」「出来ることは、円高のスピードを落とさせることだけ」だということになります。
1986年の前川レポートで、輸出主導から内需主導の経済成長に変えると日本はアメリカに約束したのですが、今回は「約束」ではなく、内需主導に変えなければ日本経済は「更に縮小均衡」に向かうでしょうし、失業率も5%から20%(根拠はなく、想定です)くらいまで将来は上がってしまうと思います。
■結論
円高は避けられないと思いますが、短期で75円を突破するような円高になれば、株式市場は暴落し、その日本の株式市場の暴落で「世界が協調して為替介入に入り、景気対策が打ち出されます」ので、そこで株式市場が一旦急騰する展開になるというのが、私の第一のシナリオです。 この時に、投資資金を持っているのか、それともすでに買っていて評価損になっているのでは「天と地の差」が出ます。
私が「持っている株を全て処分しましょう」と申し上げているのは、暴落で儲ける以外に、株式投資で大きく儲ける方法は、今年はないと思っているからです。
次の欧州問題は、昨日アイルランドの財政危機が起こり、欧州で銀行救済が増加していることから、どこかで表面化するのではないかと思います。 特に英国はリーマンショックの後始末が一番遅れているといわれている上に、英国は内需ではなくマネーで稼ぐ方法を取りましたので、想像は出来ませんが表面化した時のショックは予想以上に大きいのではないかと思います。
何時も申し上げていますように、欧州には「南欧州」「中央欧州」「東欧州」があり、現在危機が表面化したのは「南欧州」だけであり、今後は「中央欧州」「東欧州」の財政危機が表面化すると言われていますので、まだまだ火種は残っていることになります。
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