投稿日:2010年10月06日 (水) 22時49分
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今回の日銀のゼロ金利政策は、政府日銀が考えている奥の手だったと思います。
これで、強烈な円高対策は使えなくなりました。 しかし、結果は政府日銀の思惑とは別に、海外で円相場が一時82円台まで円高が進み、為替相場が波乱含みとなっています。
日銀が4年ぶりにゼロ金利政策に転換しました。 以前は確か固定金利オペ30兆円のゼロ金利政策をしたことで日本経済が復活したのですが、前福井日銀総裁がゼロ金利政策を止めたことで再び日本経済がデフレに陥ってしまいました。
今回は30兆円プラス資産購入5兆円の35兆円ですから、前回よりも5兆円プラスであり、前回と同じ動きをするならば景気は再び上昇に転じることになります。 前回のゼロ金利政策は1999年2月12日に行われました。
当時の為替市場は147円から110円まで円高が進んだときに行われました。 1997年の金融システム崩壊、1998年の大規模な景気対策に続いて行われました。
今回は為替が1995年の79円75銭に近い83円台で行われましたので、前回の時のように円の高値から30円も円安で行われた時とは違っています。
さらに、前回は巨額の景気対策が行われた後のプッシュの意味がありましたので効果が高かったのではないかと思われますが、今回は財政出動が難しいので、単にゼロ金利政策をとっても経済的な効果は限定的ではないかと思われます。
今の日本に求められているのは新しい経済成長のビジネスモデルです。
日銀の目的は円高阻止と景気対策ですが、昨日の晩にニューヨークで為替が一時82円台まで円高になりましたので、今回の日銀の目的である円高阻止には全く効果がありませんでした。
逆に米国では日本のゼロ金利政策によって、来月のFOMCで思い切った金融緩和政策が発表されるのではないかという思惑が出て、ドルが売られて円が買われ、さらに金融緩和で株式市場も上昇しました。日本の金融政策で得をしたのはアメリカだったということになります。
日本の株式市場は米国の上昇を受けてプラスで始まりました。 これは違和感があります。
なぜならば、依然として輸出が日本経済を引っ張っているので、円高は日本経済にとっては大きなマイナス要因になるからです。
しかも、米国の政府高官が「為替市場の自然の動きに介入すべきではない」として、日本の為替介入を公に非難しました。
日本では金融緩和策をすることで内需刺激策をとったから、円高阻止の介入に対してアメリカの理解を得られるという見方が出ていましたが、結果は円売り介入は認められないという米国政府の初めてのコメントでした。
■今後の懸念材料
悪材料が突然出てきたときに株式市場は急落します。 今日の上昇相場を見て株式市場はしっかりしていると思った方は多いと思いますが、ある日、突然、悪材料が出て株式市場が下がりますと、 しっかりしていると思った印象は消滅し、株式市場は大変なことになるという印象に変わり、 しっかりしていると思っていた人が慌てて株を売るので株式市場が急落するというのが急落の一般的なモデルです。
市場が弱気の時に出る悪材料も強烈ですが、これは予想の範囲内に近いといえます。
一番強烈なのは市場が強気になったり、安心したりしている時に出る悪材料です。
問題は予想されない悪材料は予想できないということです。
悪材料が為替になるのか、欧州の財政不安か、中国や北朝鮮の異常行動か、米国の景気悪化の認識かは分かりませんが、今現在でも、大きな悪材料が潜在していると考えたほうが負けない投資家になるためには必要なことだと思います。
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