投稿日:2010年11月07日 (日) 02時25分
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筆者は一貫し、日米欧の猛烈な金融緩和(超低金利&大量の流動性供給)はリフレ(リスク資産価格の全般的な上昇)の進行とともに、間違いなく局地バブルを発生させる、と主張しています。すでに、その兆候は随所にみられます。もう、この“流れ”は止められません。
株式市場では未曾有の流動性相場が展開されるでしょう。すなわち、株価の全般カサ上げ相場です。2003〜2007年(日経平均株価は2003年4月28日の7607円が2007年7月9日には1万8261円と、2.4倍の急騰劇を演じた)のケースでは最終的に、株価100円未満の銘柄がほとんどなくなったじゃありませんか。
ただ、ここでの狙い目はやはり、「225中心」の主軸株です。大同特殊製鋼(5471 東1 1000株)、コマツ(6301 東1 100株)、ミツミ電機(6767 東1 100株)、ホンダ(7267 東1 100株)などに引き続いて注目できます。
さらに、三菱商事(8058 東1 100株)、リンナイ(5947 東1 100株)、日本M&Aセンター(2127 東1 1株)、ユニプレス(5949 東1 100株)、村田製作所(6981 大1 100株)なども妙味十分です。
一方、マーケットにとって、最大の焦点だったアメリカのビッグイベント(中間選挙、FOMC)が終了、短期的には外部材料の空白期間に入ります。日本の場合、為替に一喜一憂する展開が続くでしょう。
FOMCでは政策金利0.0〜0.25%(FFレートの誘導目標)を据え置くとともに、2011年6月末までに6000億ドル(約48兆5000億円)の国債買い入れを決めました。これはGDPの4.3%に相当します。
サブプライムローン・ショック、リーマン・ショック以降、すでに1兆7000億ドルの流動性を供給しており、その総額は2兆3000億ドルとなります。さすが、バーナンキFRB議長です。
金融危機、デフレに際しては短期間に、大量の資金を投入する必要があります。小出し、小手先対応は最悪であり、その克服を遅らせます。日本の「失われた20年」が好例でしょう。
ちなみに、11月4日のNYダウは1万1434ドル84セントと、リーマン・ショック直前(2008年9月12日)の水準1万1421ドル99セントを上回っています。
一方、日経平均株価はどうでしょうか。リーマン・ショック直前の水準は1万2214円76銭ですが、11月4日は9358円78銭と、大きく出遅れています。その理由をすべて政府、日銀の“対応の鈍さ”に押しつけるつもりはありませんが、かなりのウェイトを占めているのは確かだと思います。
日銀は10月5日に「包括的な金融緩和」を決定しました。国債、社債、ETF、REITなどの資産買い取り額は5兆円(GDPの1.1%)、期間は1年です。
FRBのドラスチックな施策(期間は8カ月)と比べると、日銀の対応はどうしても見劣りがします。BOE(イングランド銀行)は国債、社債を2000億ポンド(約26兆2000億円)買いました。これは実に、GDPの14.5%に達するスケールです。これこそが危機対応といえるのではありませんか。
もちろん、日銀は今後、資産買い取り額を順次、増やすでしょう。最終的には10兆〜15兆円規模になるはずです。日米欧の金融当局の狙いはインフレ期待率の引き上げにあり、リスク・プレミアム〔注〕の縮小です。
反面、“債券王”と呼ばれるビル・グロース氏はFRBの戦略を激しく批判しています。ねずみ講(Ponzi scheme)との声もあります。確かに、既報のように、債券市場は要警戒です。とはいえ、「QE2」(金融緩和第2弾)がJapanification(日本化)を防ぐうえでの有効な施策であることには疑いの余地はありません。
〔注〕リスク・プレミアムとは国債利回りとリスク資産(たとえば、株式)利回りの差のこと。現在、日本の国債利回り(1%)と株式配当利回り(2%)は約1%開いている。株式配当利回りを低下させるためには株価上昇が必要である。
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