投稿日:2011年04月21日 (木) 00時35分
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「2011年4月6日 Forbes.com」 インフレ、商品市況、そしてアラブ諸国の政情不安の3点は、今日国際投資家が直面している最も重要なテーマに含まれる。
4月2日に上海で開かれた「ワールドマネー・ショー」の合間に、この3点をはじめとする注目テーマについて著名投資家のジム・ロジャーズ氏に話を聞いた
ロジャーズ氏は米有力ヘッジファンド、クォンタム・ファンドの共同創業者で、『中国の時代』(日本経済新聞出版社、2008年)など投資に関する数々のベストセラーの著者でもある。
インタビュー要旨は以下の通り。
――中国経済の前途をどう見ているか。
「中国の好景気と繁栄は継続しており、すそ野が拡大しているのが分かる。不動産ブームも広がっており、より顕著になっている。だが当然、私を含めてこれを不動産バブルと見る者もいる。
少なくとも私は沿岸部の都市については不動産バブルだと考えている。
ご存じのとおり、中国政府はバブルをはじけさせようとしており、恐らくそうなるだろう。
中国の政府には、本気になればどんなバブルでもつぶせるだけの権限と支配力がある。いずれ分かる」
――中国のインフレについてはどうか。
「世界的なインフレは既に起きており、深刻だ。
しかもさらに悪化するだろう。原因の一端は中国にある。
というのも自国通貨を国際市場から遮断しており、結果的に資金が中国に閉じ込められているからだ。 このため資金は中国内の行き場を探して、家具や不動産、実物資産などあらゆるものに向かう。
これが問題の一因だ」
「ただ言うまでもなく、本当の問題は米国が大量の貨幣を増刷していることであり、それが世界中にジャブジャブあふれていることだ。
中国人民銀行がどれほど抵抗しても、米国の中央銀行の方がはるかに規模は大きく、資金量も多い。
世界中の中央銀行は商品相場の高騰という事態に直面しており、たとえ自ら貨幣を増刷しなくても物価は大幅な上昇を続けるだろう。
このため当面は貨幣の増刷とは無関係に、インフレは進む構造になっている。
それでも米国が火に油を注ぐかたちで量的緩和を実施していることが各国のインフレ抑制を一段と困難にしている。
米国はインフレを最大限にあおっており、状況は悪化するだろう」
――そうした見通しに基づいて、中国では何に投資しているのか。
「中国で私が買っているのは人民元だけだ。 知ってのとおり、電話1本で数百万元を買うといったことはできないが、合法的に買い足せる機会があればそうしている。
中国株は今は買っていない。暴落したときには買いたい。次の暴落がいつかは分からないが、どんな国でも必ず暴落は起きるもので、そのときに買い足すつもりだ。
私の中国に対する考え方は、他のどんな投資対象とも違っている。中国株を買い、孫のため、少なくとも子供のために長期保有するつもりだ。
中国は21世紀の超大国になると確信しているので、子供たちには孫の時代まで保有してもらいたい」(中略)
――日本の混乱の影響は最終的にどうなると見ているのか。
「私は4月上旬に日本株を多少買った
それ以前、すなわち震災で日本株が急落する以前から購入を検討していたため、行動に移したのだ。日本の状況によって商品相場の上昇圧力はさらに高まるだろう。
日本の農産物は汚染が疑われ、廃棄される可能性もあるためだ。金属に関しては、日本では長年建築活動が活発ではなかったが、今後は復興需要のため銅、セメント、鉄鋼については新たに想定外の大口需要家となるだろう。
同じことが石油、天然ガス、石炭についても言える。ウランに代わるエネルギー源の重要性が高まっているためだ。
このため今後は石油、天然ガス、石炭などのエネルギー源への需要が高まるだろう。 世界にとっては商品需要が増えることを意味する」(中略)
――インドについてはどう見ているか
「楽観はしていない。実際にはインドはショート(空売り)している。 インドの欠点や、インドに対する人々の無理解についてはいくらでも話せるが、1つ重要な事実を挙げるとすれば、インドの債務は国内総生産(GDP)の90%に達している。
どういうわけか、
知っている人もいるかもしれないが、様々な研究によると、債務GDP比率が90%に達すると、急成長は非常に困難になる。何をしても過去の債務の返済にまわることになるためだ。
どれだけ生産性が高く活力にあふれていても、相当な負担を抱えていることに変わりはない。 これをはじめとする様々な理由から、私はたいていの人ほどインドに対して楽観的ではない。旅行するにはすばらしい国だが、事業をするのはひどく困難な国だ。
インド人にとってすら、それは同じだ」(後略)
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