投稿日:2010年11月23日 (火) 21時56分
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日本経済の先行きには非常に厳しいものがあります。1992年以降、日本の名目GDPはまったく増えていません。しかし、この間に中国の名目GDPは11倍、インドは同8倍になっています。
つい5年前の2005年、日本の名目GDPはアジア主要10カ国のそれの2倍ありましたが、2010年には1対1になり、2015年に1対3になるといわれています。そう、3分の1です。
悲しい話ですね。円高、デフレを放置した政府、日銀の無策、40.7%という世界最高水準の法人税に加え、FTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)、TPP(環太平洋戦略的経済パートナーシップ協定)などの交渉の遅れ―といった悪材料が山積みの状態です。企業は海外脱出を進めるしかありません。
結果的に、産業は空洞化し、国内の雇用は失われます。国内産業の代表といわれるNTTデータ(9613 東1 1株)ですら、インド人従業員(IT技術者)が7000人おり、近い将来には2万人になるといわれています。
全従業員の半分がインド人になります。いや、これで驚いてはいけません。TDK(6762 東1 100株)、ミツミ電機(6767 東1 100株)はすでに、従業員の9割が外国人です。
これでは・・・・。学校を卒業しても就職先はありません。日本郵船(9101 東1 1000株)の船員は95%が外国人です。子供手当て、事業仕分け、農家に対する戸別所得補償などをすべてダメだッと決めつけるつもりはありませんが、もっとほかに優先的にやることがあるのではないでしょうか。
ちなみに、日本の輸出企業が海外市場を舞台に激烈な闘いを演じている韓国企業は24.2%の法人税(サムスンの過去3年間の平均法人実効税率は15.7%)、円に対するウォン安、積極的な諸外国との自由貿易協定の締結などの“支援”を受けています。
こんな状況では単純(通常)なやり方ではサムスンに勝てません。では、どうすれば勝てるのでしょうか。その答えは経費削減、事業再編(選択と集中)などを通じコストを下げるとともに、生産拠点を海外に移すことです。
日産自動車(7201 東1 100株)は主力車種のマーチの生産コストを北九州工場とタイ工場に競わせ、結果的にタイでの生産に切り換えました。ホンダ(7267 東1 100株)は輸出用の2輪車生産を止めます。
パイオニア(6773 東1 100株)はテレビ事業から撤退したのですが、中国ではパイオニアブランドのテレビが人気を集めています。ブランドを売ったのです。
企業は国を頼らず、自ら生きる姿勢を一段と強めています。本日のポイントはここです。そう、経済の現状と企業の収益力は別ものです。企業はグローバルに展開、国内の景気、政治情勢、為替の動向などの影響を受けにくくなっています。
極端な話、企業は国が衰退してもしぶとく生き残り、成長を続けることができるのです。国民生活的にはゆゆしき事態ですが・・・・。
実際、クラレ(3405 東1 100株)、ユニ・チャーム(8113 東1 100株)、リンナイ(5947 東1 100株)、シスメックス(6869 東1 100株)、旭ダイヤモンド(6140 東1 1000株)、日本電産(6594 大1 100株)、KYB(7242 東1 1000株)、ソフトバンク(9984 東1 100株)などは2011年3月期に史上最高決算の更新が確実視されています。
大同特殊製鋼(5471 東1 1000株)、愛知製鋼(5482 東1 1000株)、ファナック(6954 東1 100株)、ナブテスコ(6268 東1 100株)、ユー・エス・エス(4732 東1 10株)などは2012年3月期に史上最高決算を更新、ないしはあと一歩に迫るだろう、とみられています。日経平均株価はリーマン・ショック前の水準(2008年9月12日の1万2214円)にまだ、遠く及びませんが、企業収益はすでに、リーマン・ショックを克服しているのです。
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