投稿日:2010年12月20日 (月) 23時24分
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短期的には急騰(日経平均株価は11月2日の9123円を安値に、12月10日には10373円の高値まで1250円幅、13.7%の上昇)の反動に加え、テクニカル指標が過熱感を示しています。従って、目先は値固め(調整)が必要でしょう。しかし、深押しは考えられません。
それに、個別物色機運は極めて旺盛です。筆者注目の愛知機械工業(7263 東1 1000株)、ティラド(7236 東1 1000株)、富士機工(7260 東1 1000株)、ソディック(6143 東2 100株)、双日(2768 東1 100株)などの値動きは抜群です。
さらに、三井住友FG(8316 東1 100株)、大和証券グループ本社(8601 東1 1000株)などもジリ高になっています。当面、こうした“脱”インデックスの展開が続くのではないでしょうか。
再三指摘しているように、過去5年間の日本市場のパフォーマンスは散々でしたが、日本企業はハンディを克服、収益構造を一変させています。外国人が評価しているのはまさに、ここです。そう、経済の状況と企業の収益は別もの、と筆者は主張しています。
もちろん、日本政府は法人税の引き下げ(40.7%→35.7%)の方針を決定、日銀は円高阻止、デフレ脱却に向け、RPKO(リスク・プレミアム・キーリング・オペレーション)作戦を推進中であり、日本企業が背負わされていた“砂袋”はどんどん軽くなっています。逆境の中でつちかわれた日本企業の実力がいかんなく発揮される局面を迎えつつあるのです。
しかし、多くの投資家がこの環境変化を見逃しています。上昇相場の波に乗れないでいます。むしろ、「そのうち、また下がるだろう」と。だが、押し目待ちに押し目なし!といわれるように、こんな相場は意外にしぶといのです。とりあえず、ここはついていくしかありません。
年末年始相場では引き続いて好業績、割安な中・小型株に妙味あり、と判断しています。前述の銘柄群のほか、旭ダイヤモンド(6140 東1 1000株)、鬼怒川ゴム(5196 東1 1000株)、イーグル工業(6486 東1 1000株)などに注目できます。
鬼怒川ゴムの2011年3月期は一気に史上最高の決算になる見通しです。日産自動車向けが主力のゴム部品メーカーですが、中国の自動車メーカー(約1000社ある)に納入が始まったそうです。これは大きな材料です。
なにしろ、中国の下位自動車メーカーは徹底したコスト重視主義といわれ、雨もりすらするような車を売っています。しかし、さすがに顧客の質に対する要求に抗しきれず、「日本製のゴム製品を使おう」となった、といわれています。曙ブレーキ工業(7238 東1 100株)にも同じような視点で引き合いが寄せられているそうです。肝心なときにブレーキが効かないのではたまりません。
自動車業界は普及のスピードが速い分、質に対する要求が厳しくなっています。アップルのiPhoneだって、1〜3については日本の半導体・電子部品はほとんど使われていませんが、4は大半が日本製部品です。マーケットでは「日本の電子部品業界は国際競争力を失った」と酷評していました。これは誤解です。1〜3は高機能部品を必要としなかったのでしょう。
この点、原子力業界は20〜30年遅れています。アラブ首長国連邦、ベトナムなどで日本勢が相次いで失注していますが、敗北の要因はコストです。しかし、韓国、ロシアに原子力発電所を建設し、運営する能力があるとは思えません。
チェルノブイリ事故の教訓を忘れたのでしょうか。原子力発電所が稼動するのは10〜15年先ですが、これは怖い話です。何も起こらなければいいのですが・・・。
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