| カオスドラマZ |
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[155990]
「 彩りに溢れ、瑞々しさ溢れるトマトやブロッコリー。甘く和えられたほうれん草といった野菜群。隣に飾られた卵焼きに、丁寧に焼き上げられた鶏肉と、可愛らしいタコさんウインナー。別箱には白米がふんわりと詰まっており、ふりかけを掛けられた飽きの来ない配慮がされていた。揚げ物はなく、理渦の身体に気を配った内容だった 」
[155989]「 理渦「で、でも奥の東屋まで見に来なかった可能性もある!そう考えたら、やっぱりベンチで待ってて正解だったと思うね……!(汗 やや意地になり、無理やりこじつける。彼女の華奢な手から伝わってくる圧力にテンパりつつ何も返せず、東屋の下に到着して若干名残惜しそうに手を放す)(俺なんかのために……涼風ちゃんが、朝一番でお弁当を……)(テーブルに置かれた弁当箱を見て、込められた努力を思い胸が詰まる)け、健康第一か……ちょっと緊張するな……じゃ、開けるよ―――(向かいの椅子に座り、弁当箱の蓋を開ける) 」
[155988]「 美羽「……っ☆(傘を器用に閉じ、弁当箱を持つ手首に柄をかけてぶら下げる。そうして空いた手で彼の手を取り、引き上げてもらいながら立ち上がる)そー☆見つけた瞬間思った☆待つにしてもベンチじゃなくて雨宿りして待てばいいのにーって☆(ケラケラと笑いながら、握った手をニギニギと数度握り、ぶんぶんと揺らす)朝、頑張ってつくりました。みうは朝弱いけど、頑張ったんだよ☆(東屋の下、雨から解放されるとくるりと回りながら、簡素的な椅子に腰掛けてテーブルに弁当箱を置く)健康第一の食事です。どーぞ!!! 」
[155987]「 理渦「うん、こんばんは。まさか来てくれるなんて―――た、食べたっ……!? そりゃ、だって! もしもお弁当をせっかく作ってくれたのに俺が居なかったんじゃ、涼風ちゃんに本当に悪いと思って……(口元をもにょもにょさせながら照れ隠しにごたごたと言葉を並べ)!! 本当に作ってくれたのか……ありがとう、すごく嬉しいよ……!じゃあ早速―――あ、あずま……?(きょろ、と頭を振って東屋を発見する)……こ、こっちのベンチで待ってたのは、あれだよ……涼風ちゃんに見つけてもらいやすいかなって……移動しようか?(汗笑を浮かべながらベンチを立ち、ベンチに腰掛けている美羽を引き起こそうと手を差し伸べる) 」
[155986]「 美羽「――――……(瞳に宿る光。それは自身の感情が発露したというよりも、理渦そのものが映りこんできたことによる、希望の光が宿ったものであった)…………――……――……(頬を緩める。先まで心の底にまで沈殿していた明るさは、既に表面に顕れようと燃え上がっており)こんばんは、理渦さん☆☆☆(屈託なく、眼を閉じて笑みを浮かべる)もー☆こんな雨の中だっていうのに律儀に待ってるなんて☆そんなに美羽のお弁当食べたかったの~☆(表情も一変し、普段の調子で理渦に言葉をかけ、「ありがと☆」と言いながら彼が誘った隣に腰かける)作ってきました☆食べるなら……東屋の下の方がいいかな? 」
[155985]「 理渦「―――おいでよ、涼風ちゃん。濡れちゃうよ(―――その願いが、思いがけず目の前で瞬いたから。)(柔らかく目元を細めながら口元を緩め、厚手のタオルを隣に敷いて美羽をこちらへ座るよう手招く) 」
[155984]「 理渦「―――(彼女と目が合った。目を丸くして、思わず息を呑む。ベンチに腰掛けて肩にかけた傘を叩く、あれほどうるさかった雨粒の音が遠のいていく気がした)っ、―――。(咄嗟に言葉が出てこなかった。でも、上手く言えないけど……通じ合えた気がしたんだ。降りしきる雨、彼女は来ないかもしれない。来るはずない。だけど、だけれども。もしかしたらと、願ってしまう。そして、) 」
[155983]「 美羽「……(諦めている心のどこかで、まだ「誰か」の影を探している。その虚ろになりゆく目は、座り慣れつつあったベンチへと、静かに視線を運んだ) 」
[155982]「 不安で募る感情。ただただ、少しずつ歩み、移りゆく視点 」
[155981]「 (――居るわけ――ないよね――なんか、舞い上がって――へへ――) 」
[155980]「 傘の内側にこもる自分の息の音。掌には、濡らさないようにと包んだお弁当。布の端が少し湿って、指に貼りつく 」
[155979]「 (こんな雨で――わざわざ――) 」
[155978]「 傘で隠した目線。決してベンチを視界に居れることはなかった。映るのは自身の足元のみ 」
[155977]「 ザアアアアァァァァァァ――(公園の入り口にたどり着いた時、胸の奥で何かが沈む。雨音しか聞こえない。遊具も、地面も、どれも薄灰の水膜の中に沈んでいた) 」
[155976]「 居るよね……? 」
[155975]「 美羽「チャプ、チャプ、チャプ(足取りは、自然と公園への道程を歩んでいた)(あー……放課後から結構時間経っちゃった……補修あったなんて、私、バカすぎるな……)(何処か陰鬱な表情を隠すように、傘で目元を隠すように歩む。そして表情とは裏腹に、僅かに期待を孕ませたお弁当箱を抱えながら、傘越しに聞こえる雨音に心を歪ませていく) 」
[155974]「 ザアアアアァァァァァァ――(劈く雨、傘を差しても、風が頬を濡らす。少女の足音が、ぬかるんだ道に小さな輪を作りながら進んでいた) 」
[155973]「 ―公園近く― 」
[155972]「 美羽「ありがと☆またね! 」
[155971]「 友理奈「またー?テスト期間明けてから随分はっちゃけてんじゃん……いいよ。また今度ね 」
[155970]「 美羽「放課後……(雨の教室で、皆とゲーム。楽しそう)……(何を言い出すかは分からない口が開く。だが、開いただけで、そこから声は出ていなかった)――へへ☆ごめん、今日は用事あるからまた今度ね☆ 」
[155969]「 友理奈「もー、考えごと?珍しいじゃん。あのさ、放課後隣のクラスで人狼やんない?人数足りてないんだって。涼風もやろうよ 」
[155968]「 美羽「――!!あ、ごめん、何~?」 」
[155967]「 ――ぜ――ずかぜ――涼風~~? 」
[155966]「 その雨の匂いが、今日だけは少し嫌に感じた 」
[155965]「 居て欲しいな 」
[155964]「 校庭の雨の匂いが、少しだけ教室に流れ込んでくる 」
[155963]「 居るかな。居ないのかな 」
[155962]「 その中でも、視線は外に在り続けた 」
[155961]「 居るはず。居るよね 」
[155960]「 ノートを閉じ往く流れ 」
[155959]「 居ると思う。私のお弁当楽しみにしてくれてるし、居てもおかしくないと思う 」
[155958]「 チャイムが鳴る 」
[155957]「 美羽「……っ……(やだな~……これ……今日、会えないのかな……いや、居るよね。だって私に会いたくて仕方ないって顔しているおにーさんだもん。絶対居る、絶対!) 」
[155956]「 ザァァァァアアアア――(雨脚は次第に強くなり、校舎の屋根を打つ音が重なっていく。雨粒が、窓を伝い落ちる。彼女の表情を真似るように) 」
[155955]「 美羽「……(鞄の中に指先を入れる。健気に伸ばした指は、奥底で息を潜めているお弁当箱をなぞる。外箱から伝わる、朝、自身が丁寧に作った温もりが、そこに残っていた) 」
[155954]「 美羽「……(雨……)(頬杖をつき、窓の外を見つめていた。先生の声は、彼女の耳にはほとんど届かない。ただ、窓の向こうの灰色と、雨に揺れる校庭の緑だけが、心の奥に染みていく)……(授業中にも関わらず、その思考は自身の鞄の中にある想いに対する不安が募るばかりであった)……(天気予報……嘘付き……)」 」
[155953]「 ザァー……トントントン(雨粒が窓を叩く音、黒板を刺激する粉。それぞれが遠い拍子のように一定のリズムを刻んでおり、教壇からは学びの声が日常に溶け込んでいく) 」
[155952]「 ―午後 学校― 」
[155951]「 美羽「ん-……(卵焼きの端を少し切り、味見。僅かに口角をあげ)メロメロ間違いないね!(ニィっと歯を見せた笑みを浮かべる)ういしょ!(箱を重ね、保管箱に入れる。両手でパタンと閉じると、それを自身の目線にまで持ち上げる)……美味しいって言ってくれるよね……(自信に満ち溢れた笑みを浮かべて、使用した台所用具の全てが磨き上げられたキッチンをあとにした) 」